K'sファイルNO.66;緊急連載 体操ニッポンの危機 無断転載禁止

K'sファイルNO.66;緊急連載 体操ニッポンの危機

           無断転載禁止

                     =緊急連載 体操ニッポンの危機=

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読者の皆様へ:

第二弾は、皆様に少しでも詳しく正確に理解して頂けたらと、資料の提供が多く成りました。そこで、第二弾の投稿をNO.1、NO.2として掲載させて頂きます。テーマを大きく4つに分けましたので、各テーマを1,2,3、4と順にコーヒーブレイク・タイムにでもご興味がございましたらご笑読下されば幸いです。次週掲載予定のパワハラ問題に付いての理解に役立てばと願う次第です。

NO.1

第二弾:日本体操協会女子強化本部の事件と問題

1.暴力指導者への対応、執行部、常務理事会、理事会

TV・マスメデイア報道の使命とは何なの

読者の皆様の視線は、現時点で「指導者の暴力事件」から「協会管理者によるパワハラ問題」、そして今や既に話題が「体操クラブ間の引き抜き問題へ」と急速なスピードでTVのワイドショー番組の視聴率最優先の為か、話題ばかりを先行させており、真相と深層がラップされているように感じてなりませんが如何でしょうか。

報道によるシナリオの殆どは、善人と悪人を先ず決め、それらに必要な裏付け材料を仕入れる為の手段として、TV業界で顔が売れた体操関係者達からネガテイブキャンペーンを導き出し、芸能タレント諸氏を雛壇に迎えて面白可笑しく騒いで頂き、スポーツジャーナリストと称する諸氏、弁護士資格を有するタレント弁護士に意見を述べて頂き、シナリオの正当性を視聴者にアピールするという番組構成を公共の電波を通して毎日繰り返し流すパターンの様です。しかし、今日では、段々とおしゃべりした方々の舌が乾かない前に整合性が取れなくなり出した、哀れなジャーナリストさん達、体操関係者の資質がこれまたマスメデイアを通して視聴者に伝わって参ります。

この方程式は、番組視聴者が知らない間にサブリミラル効果によく似た効果が、電波により受像機を通して、皆さんの知覚神経を刺激し、洗脳を受けている事に視聴者は気付かないのかもしれません。多分皆さんの脳裏には、既に宮川紗江選手は善玉で、塚原光男、千恵子夫妻は、悪玉との残像が刷り込まれ潜在意識の中に取り込まれているのでないでしょうか。

ここに出演している方々は、皆さん有給であり、この方々から優柔不断な発言が、直接的な関係者、ご家族、間接的な未成年者及び社会に不安と疑念をもたらせているとは思いませんか。このような事態は、いま何でもかんでもハラスメントにするマスメデイアもハラスメント、暴力に当たるのでないかと危惧するのは、筆者だけでない筈です。

出演しサポートする体操関係者達の真の目的は、何なのでしょうか。出演料?存在感?恨み節?ゼラシー?自身のプロモーション活動?シナリオライターの代弁者?或は、2020年の東京五輪体操利権を得たいとの思いからか、次から次へと後始末もしないでパナシ状態のネガテイブプキャンペーンをTVマスメデイアもさせ放題の始末です。根拠もない発言には、今後責任が伴う事を是非理解して頂きたいと思います。

 JGAの運営・管理能力は

公益財団法人日本体操協会(略:JGA)の存在意義は、果して何処に何の為にあるのかとふと疑念を持つ次第です。筆者は、この暴力指導者問題は、速見コーチの謝罪会見で終了した訳でないと思います。

本件の展開をマスメデイアの報道を通して拝見していますと何故かシナリオライターがそこに居て、日大アメフト問題を参考に、描かれたシナリオが脳裏に浮んでくるのは、筆者だけでしょうか。

善人役を演じている宮川選手は、まだ18歳で未成年者です。彼女のこれからの長い人生を鑑みますと、大人達の利害、利権、私欲に巻き込まれる事無く、心身の健康を先ず何よりも取り戻して、健康的な笑顔で日々生活して頂きたいと心より願う次第です。

基本的に本件の暴力コーチ不祥事、事件と指導管理者による選手へのパワハラ問題は、二つの異なる問題として捉えるべきか、リンクした問題と考えるのかがキーポイントでないかと考えます。後のクラブ間の引き抜き云々は、宮川選手側及び体操関係者が塚原夫妻のパワハラ問題の心証を悪くさせるための後だし案件であり、この度の問題は、先の二件であると確信しています。そして、 18歳の宮川選手の記者会見は、大人が描いた原稿を宮川さんが読み上げ、宮川さん自身の誠実な言葉ではない、と視聴者として感じた次第です。日大のアメフト選手でした、宮川さんの記者会見では、彼の誠実で正直さが大変印象的でしたが、体操選手の宮川さんからは、誰かに言わされている感じがしてならない会見であったと筆者は感じました。

暴力指導の根絶は、日本体操協会が掲げるテーマの大前提の一つとして推進して来ている事は、選手、指導者、関係者の知るところであります。よって、この度は、体操協会の専務理事、及び事務局長が中心と成り、本件の問題に対する最終結論を出し、記者会見の場で8152930日に公表されたのだと思われます。勿論、本件は、重大な協会の規範を犯している事から結論に至るまでの調査、手順を踏んだうえでの記者会見の運びであったと推測します。

本暴力指導に対して協会執行部、理事会は、違反行為の事実、証拠を下に臨時理事会、常務理事会を招集して、会長以下3名の副会長(2名は器械体操出身者、1名は新体操代表者)、常務理事、理事への承認を得ての当該コーチの処分、処置に至ったと理解するのが妥当です。

しかし、このような手順を踏まないで(数名の協会執行部のみでの)速見コーチへの対応であったとするならば、これは、スポーツ・アドミニストレーションの視点から重大な手落ちが有ったのでないかと指摘されても仕方ありません。事実は、どうであったのでしょうか。記者会見では、この部分の手続き説明が不足だったように思われます。

本件に関して、記者会見の要旨がマスメデイアを通して報道されましたが、筆者は、その内容を知り「暴力指導を頻繁に起こしていたとされる速見コーチに対して、暴力を確認した筈の女子強化本部、及び協会執行部は、迅速に常務理事会及び理事会に於いて本指導者の問題を提起し、十分な論議がなされたのか否かの説明が不足しておりました。論議されたのであれば、今後どうするかの結論があってしかるべきです。いずれにしても、どれ程の回数、本コーチへの注意、警告、を含めた指導は、誰に寄ってどれ程の期間成されたのか。そしてその結果報告が専務理事の会見では全くなされていなかった事は何故なのでしょうか」これは、本件の重要なポイントの一つでもあります。読者の皆さんは、不思議に思われませんでしたか。

この注意、警告、指導がなされていたなら、若しかして指導者は気付き、「此のまま改めなければ幼い時から手塩に掛けて指導、育成している宮川選手に今後指導ができなくなるかもしれない、リスクが高くなる」との事に気付くのが社会人として、指導者として普通の感覚です。そこで、暴力はストップしたかも知れません。協会側にこの指導者への指導、注意、警告をする勇気と情熱があったなら、宮川選手をこのような状態まで放置していなかったと確信します。

もし協会側がこの注意、警告、指導を行っても、速見コーチがその指導に従わなかったのであれば、これは確信犯で同コーチに他意が有ったのでないかとの疑念が残ります。或いは、速見コーチの指導の根幹には、暴力ありきで、宮川選手がこの指導法に幼いころから順応してしまった異質な状態と関係であると考えられるべき問題です。宮川選手のご両親は、保護者として我が娘を此処まで追い込む必要があったのでしょうか。この事に付いては、協会の渉外担当責任者は、宮川選手の両親に会い、確認して報告書を提出していたのかどうかも重要です。もし、この作業を行っていなかったなら、協会にマネージメント及び思考力のある人間、人材がいないという証です。

このような疑念を払拭する事も無く、協会専務は、本件に付いて記者会見を行い情報公開も説明も無く、いきなり社会に対して速見コーチへの処分とペナルテイーを発表したのです。これは、公益法人の運営、管理者として少し乱暴すぎませんか。これに対して、速見コーチは協会の対応を不服として提訴しましたが、何故かあっさりと後日取り下げ本人自ら会見を開き、暴力の事実を認め謝罪をしました。この処置は、次なるステージへの露払いであったのかと疑念が残るのは、筆者だけでしょうか。

此処で本来であれば、速見コーチ本人が長期に渡る宮川選手への暴力を認めたことにより、協会の専務理事、事務局長は、毅然とした態度で最終結論を導き出し、理事会での決定事項を明文化し、会見を持って公開するのが公益財団法人の専務理事、事務局長の職責、責務であったと思われます。

2.公益財団法人日本体操協会の組織と人材の問題

構造と組織はその体に在らず

我が国の競技団体には、ガバナンス、コンプライアンスが問題である云々を述べる以前のレベルの問題が山積しています。それは、ルール、罰則規定も明文化されていない状態です。競技スポーツの世界には、談合文化は不要です。ガバナンスという言葉をただ格好いい英語用語だからと使用する人達は、ガバナンスの真の意味が理解できていない方なのかもしれません。

本法人団体である日本体操協会は、四つの異なるカテゴリーの団体により構成されています。それらは、器械体操、新体操、トランポリン、一般体操(旧:徒手体操と呼ばれていた、この種目は、一般にヨーロッパを中心に広く人気のある種目で競技性は無く、日本に於いては、あまり良く知られていない、日体大の体操部の活動のみか。例:ラジオ体操、等)です。

体操協会の組織・団体をスポーツ・アドミニストレーションの視点から拝見、意見させて頂きます。

体操協会の最大の問題は、組織としての体を成していない事が一目で判ります。専任実務者が事務局長1名である事。そして、事務局長のみ有給者です。他の全重要職責、責務を担う役員は、本業を持ち片手間で体操協会の役職、業務を行っている、いわば全員がバランテイアー活動としての性格が濃い団体なのです。

このような状態で協会の業務に心血を注いでいる複数の現場を預かる担当役員達に対して如何ほどの責任を問えるのか。いつ辞めてもその責任を問われる筋合いではないという事です。

協会は、競技スポーツを事業(ビジネス)として、今後展開して行かなければこのようなバランテイアー団体から抜け出せない事を誰も発想しないのか、出来ないのか。このような足の引っ張り合い、マイナーな権力闘争に明け暮れる時間とエネルギーを持っているのなら、もっと発展的な問題にエネルギーを傾注しては如何でしょうか。

そして、大多数の担当役員諸氏は、教員で在り、協会の職務は、プロではないことを読者の皆様、マスメデイアの視聴者の皆さんは承知の上で批判、批評をされているのでしょうか。

今日の体操協会の選手登録メンバーの中には、内村航平選手、白井健三選手(学生プロ。CM等に出演体操選手として生活の糧を得ている選手を協会、学連、大学が許可しているかどうかは、どの組織も許認可の発表をしていないので不明)のほか、宮川選手のような未成年のプロもおり、一方でプロを宣言する指導者も増えています。

その登録者達を運営、管理する立場のJGAで重要な役職である筈の専務理事は、器械体操出身者でありません、また専務職に在りながら本業の勤務地が大阪にあり、大阪から通勤しているという異常な状態を誰もが問題視しないこともまた不思議なことであり、誰が最重要な専務理事を推薦、任命したのか、この辺りに協会の闇がありそうな気がしてなりません。我々は、この部分を見過ごしていませんでしょうか。

会長職に興味を持つ方々の多くは、実業家で、協会内部からは財力がある方が好まれるようです。その理由は、協会の役員リストをご覧いただくと推測できると思われます。

二木会長は、新体操のスポンサーであるイオン企業からであり、イオンは、新体操のスポンサーでもあります。会長就任と共にイオンから連れて来られたのが前専務理事の渡辺守成氏です。渡辺氏は、新体操出身者で、現在は、国際体操連盟(略:FIG)の会長に就任され、体操界の七不思議とされている人物でもあるようです。現専務理事の山本宜史氏は、トランポリン出身者でこれまたイオンから来られた方のようです。何か会長は他に理由があってか、最重要職に器械体操出身者を避けて、前回は新体操から、そして今回はトランポリンから子飼い(イオン)を専務職に就任させています。

要するに、この日本体操協会の要となっているのは、体操ニッポンを支えている器械体操の筈なのですが、このように協会の実務を仕切る人間は大阪からの通いであっても、器械体操出身者でない。しかも事務局長も、器械体操とは無縁な方です。このような布陣でこの度のような危機管理が出来るとは、物理的にも専門知識からしても難しいと思うのは、自然でしょう。即ち、本協会には、求心力のあるリーダーが不在なのです。器械体操出身者には、人物がいないと判断されているのかも知れません。

塚原夫妻の本業は、体操クラブ経営、指導、運営、管理の代表者であり、協会の役職、責務が類似している事もあり、他の関係役員からしますと、やりたいんだからやらせておけば、それが俺たちにも好都合と言わんばかりにこの程の問題にしても、長きにわたり皆が無関心を装ってきた根子が此処に透けて見えてくる思いもします。

次に一例をご紹介致しますと2014年迄長年常務理事まで駆け上がってきた女性役員が居ました。彼女は、何と日本体育大学卒のダンス部出身(自称)で日本体操協会の技術委員長を歴任し、国際体操連盟の技術委員にまでなった女性常務理事が長期に渡り存在したのです。何処でいつ器械体操の専門技術を習得し、天下の日本体操協会の技術委員長になれたのでしょう。余程、何か深い事情が無い限り、これほどまで図々しい人物は、存じ上げません。そして、また上部団体の国際体操連盟の技術委員にまで、どんな手口で誰が推薦されたのか不思議な世界なのです。国際連盟日本体操協会も大した人材がいない証しでしょうか。この女性は、協会関係者の中では「体操協会の女帝」と崇められていたそうです。

本当にこの協会組織は、何か特別な物をお持ちの人には従い、好きなポジションが強奪できる組織の様です。また、この女性常務理事に協会の多くの役員が、伝統的に私的にお世話になっていたのも事実の様です。困った、公益財団法人でもあるのです。

文科省スポーツ庁)、内閣府は、何の精査、監査もしないで公益財団法人の許認可を与えるのが間違いを引き起こす基です。私大学への許認可同様です。

しかし、このような問題人事を起案したのは前専務理事(イオン元社員)の意思が強く働いているのかも知れません。

こんな責任の所在の無い公益財団法人では、体操ニッポンを正常な組織、団体として経営、運営、管理して行く事が難しい事は以下の役員名簿リストから一目瞭然であると思います。ご参考までに。

公益財団法人 日本体操協会(略:JGA)役員名簿:

会長 二木英徳氏、ジャスコ(現イオン)元社長、イオン最高顧問、東大卒

副会長 塚原光男「器械体操出身」、日本体育大学卒、朝日生命体操クラブ代表

副会長 具志堅幸司「器械体操出身」、日本体育大学卒、日体大学長

副会長 石崎朔子(新体操出身)日女子体育大学卒、日女体大学長

専務理事 山本宜史(トランポリン出身)前強化本部長、大阪体育大学卒、イオンを経

                               て学校法人湊学園大阪にある幼稚園に所属

事務局長 渡辺 栄(元日立健康保険組合出身)、主に会計を担当。体操界とは無縁

常務理事 遠藤幸一「器械体操出身」、総務委員長、日大卒、日大教授、遠藤幸雄氏長

                               男

常務理事 竹村英明「器械体操」、事業委員長、早大卒、東京学館高教員

常務理事 竹内輝明「器械体操」、審判委員長、東海大卒、神奈・岸根高教員

常務理事 水鳥寿思「器械体操」、男子強化本部長、日体大卒、大阪大谷大教授、

                             慶應義塾大講師

常務理事 塚原千恵子「器械体操」、女子強化本部長、日体大卒、朝日生命体操クラブ

                             副校長

常務理事 山崎浩子(新体操)、新体操強化本部長、東女体大卒、指導、講演活

常務理事 中田大輔、(トランポリン)男子強化本部長、日体大卒、プロトランポリン

                             競技者

常務理事 米田功「器械体操」、アスリート委員長、順天堂大卒、徳洲会監督

理事  荒木達雄、一般体操(旧徒手体操出身)委員長、日体大卒、日体大教授

理事  福井卓也(トランポリン)、トランポリン委員長、金沢学院大卒、同大教授

理事  田中光「器械体操」、広報委員長、筑波大卒、アトランタ五輪代表、流通経済

                              大教授

理事  加納実「器械体操」、役職なし、順天堂大卒、同大教授

理事  田坂利明、中国ブロック選出、広島市出身

理事  村木啓造、東海ブロック選出、静岡県体育協会

 

監事  高橋史安、日大商学部教授、日大理事

監事  竹田幸夫、元協会専務理事、東京教育大卒、駒沢大教授

(以上リストは、協会発表とマスメデイアによる現在の資料より)

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 

 

K’sファイルNO.65:緊急連載体操ニッポンの危機 無断転載禁止

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K’sファイルNO.65: 緊急連載 体操ニッポンの危機 

          無断転載禁止

 =緊急連載 体操ニッポンの危機=

 

先ず初めに

本緊急連載は、公益財団法人日本体操協会(略:JGA)に於いて、スポーツ・アドミニストレーション、及びアドミニストレイター不在により体操ニッポンが崩壊の危機に曝されているため、予定を変更して取り上げることに致しました。この出来事は、JGAの記者会見後、マスメデイアのリードによりことの次第が一方的で危険な方向にミスリードされて行って居る様相を、スポーツ・アドミニストレイターとしての視点で解説させて頂き、読者の皆様にお届けしたいと思います。

「本連載をスタートさせて頂きます前に、筆者は、冒頭に私見を述べさせていただきます事を平にお許しください。この度の複数の不祥事、事件、問題は、公益財団法人日本体操協会の会長以下、副会長諸氏、専務理事、常務理事諸氏、理事諸氏、事務局長の職務怠慢により全員にその責任があると思われます。

その理由は、長きにわたり上記関係者達は、現場での状況、実態に対して無関心を装い、誰もが担当責任者への報告、会議への報告、議論も怠り、コーチ、強化指導者、管理者への指導、注意を行わなかった事です。本件に付きましては、本論の組織の問題で厳しく指摘させて頂きますので、悪しからず」

筆者の視点が読者の皆様の疑問に対する理解と判断の材料となりましたら幸いです。その為には、先ず初めに体操界、体操協会のバックグラウンドから簡単に述べさせて頂きます。

 第一弾:日本体操界を知る事で問題の深層を理解

1.派閥争いは競争の原理を支える必要悪か

日本体操協会(略:JGA)は伝統的な伏魔殿か

公益財団法人日本体操協会(略:JGA)は1964東京オリンピック以降、体操界は根強い大学の学閥による権力争いが絶えない代表的な競技スポーツ団体の一つで在る事を読者の皆様にご紹介致します。

権力闘争は、体操界の伝統であり日本の競技スポーツ界の縮図と申し上げて過言でありません。このような権力闘争を基盤に「体操ニッポン」の伝統が継承されて来た事も事実です。

少し歴史を紐解きますと、体操界の派閥は、大別して、二つの大学の体操競技部出身者により構成されています。当時の問題の元凶は、学問、理論により武装した東京教育大(現筑波大学)と根性論、精神論を主体とした日本体育大学という図式が読者の皆さんには理解しやすい表現かも知れません。少し上品な表現をしますと、両大学の違いは、教育、指導理念の相違が根本的な違いであるように理解致しております。丁度先月初めでしたか、本K'sファイルに於いて日大アメフト事件を連載致しました時に、関西学院大学日本大学のアメフト指導理念、指導コンセプトの違いを述べましたが、よく似た相違であると読者の皆さんも感じられると思われます。

しかし、この異質な二つの大学の競技部から体操ニッポンの世界に通じる選手達が輩出されて来たのもまた事実です。

 一例として

東京教育大学(現筑波大学)からは、小野喬選手、小野清子選手、遠藤幸雄選手、加藤沢男選手、等々。日本体育大学(略:日体大)からは、竹本正男選手、松田(旧山下)治宏選手、塚原光男選手、監物永三選手、池田敬子選手、具志堅幸二選手、等々が代表的な選手でした。

両大学の多くの卒業生達は、基本的に体育の教員として全国の小学校(筑波大卒業生)、中学、高校、大学、等に輩出されている事も加えさせて頂きます。

勿論、この2大学のみならず、独自に体操競技部を設置し素晴らしい伝統を構築され、素晴らしい代表選手を輩出している日本大学早稲田大学順天堂大学国士舘大学中京大学東海大学、等々の存在もここに追記させて頂きます。

筑波大学の弱体に伴う日体大独り勝ち

1980年代後半から筑波大学(旧東京教育大学体操競技部の競技力が極端に疲弊して行き「日体大筑波大学」の伝統的な派閥構図のバランスが崩れ始め、日本体操協会内のパワーバランスが崩壊してしまったのです。筑波大学(旧東京教育大学)に代わる勢力は、日本大学(遠藤幸雄氏、早田卓二氏を中心とした)と目されていたのですが台頭しなかったことにより、今日のような不安定なパワーバランスと成り、日体大卒業生達が身内の足を引っ張り合う新たな権力闘争に突入したのです。

この崩壊から、JGAの器械体操に対する指導、運営、管理体制は、偏った方向に歩み出したのも自然な成り行きだったわけです。

[その大きな現象は、毎年中学、高校、また民間体操クラブで頻繁に発生する体罰と称する暴力、セクハラ行為がその証であり、その多くの指導者達は、同じ大学の教育指導、実技指導を受けて来た卒業生達である事も事実です]。このような現象は、このパワーバランス崩壊後に、顕著に表面化し始めた不思議な現象の一つでもあるのです。

嘗ては、日本体操協会内のパワーバランスは、東京教育大系VS日体大系に寄って程好く維持されていたとも言えるのでないでしょうか。

 両大学は常に対極にあり

一人勝となった日本体育大学は、これまでに多くの代表選手、メダリストを輩出してきた為に日本体育大学に残れた教員指導者は、限られた雇用枠内の人数しかなく、それも将来を保証された人事体制ではなかったのです。

男子は、竹本正男氏を中心に、女子は池田敬子氏を中心とした体制が長きに渡り続きました。新しいメダリストが出現しても母校に残れる保証もなく、古い教員達は、段々と新しい有名選手が現れる度に居づらくなり、押し出されるわけです。このような事からOBOGで競技を継続している優秀な選手達は、競技部に付属した財団法人日体スワロークラブを設立して、OBOG達の選手登録の受皿や、社会貢献の一環としてスタートして行ったようです。強烈な個性からか人間関係における協力、調和は期待できず、財政的な破綻、等が原因となり、負の遺産と化して消滅を余儀なくされた次第です。

1970年代前半の男子体操競技部は、黄金期を迎えていた頃です。テイームには、オリンピック代表選手を4名(監物、塚原、岡村、藤本選手)要していました。

その後、竹本氏の意向で監物氏は大学に残り、塚原氏は社会人の河合楽器に就職しました。そして、塚原千恵子氏は、一時期大学に残りますが、後に朝日生命体操クラブを設立し、夫の塚原光男氏はモントリオールオリンピック大会(1976)を最後に現役引退し、朝日生命体操クラブに合流。日本体操界の復活を夢見て、特に女子体操界の低迷の復活をと今日まで多難を乗り越えて現在に至ったのだと推測します。

一方、筑波大学には、茗渓クラブが既に設置されていてOBOG会を形成。日体大とは対極で非常に卒業生の絆が固く助け合いの精神を今日も継続しているようです。

朝日生命の体操界、協会への貢献

このような体操界の歴史の中で、塚原夫妻が大きな力を持つに至った背景として、朝日生命の存在を抜きには語れません。朝日生命体操クラブの創設は1974年ですが、当時、民間の大手企業が、器械体操クラブを設立して、運営、管理するなど誰が想像できたでしょうか。それから今日まで約44年間。塚原夫妻を支えただけでなく、日本体操界、体操協会を物心共に支え、発展にこれ程まで、貢献、寄与した民間企業は、他に見当たらないのではないかと思われます。

朝日生命は、塚原夫妻に全幅の信頼の下、朝日生命体操クラブの略全権を委ねられて来ました。クラブの実質的な運営、指導、管理者は、塚原千恵子氏が取り仕切り、塚原光男氏は表の看板的な存在で統括されて来られたのであろうと思われます。

スポーツ・アドミニストレーションの視点から申し上げますと、塚原千恵子氏1人でこの朝日生命体操クラブの事業と体操協会の重職(常務理事、女子強化本部長、監督)をマネージメントするには、余りにも負担が大きく、物理的にも大変無理があったのでないかと推察します。

その為には、どうしても高名で温厚な性格、社会人としても認められている塚原光男氏は、塚原千恵子氏にとって大変心強い信頼できるパートナーであった思われます。

朝日生命体操クラブでの手腕

人には、皆得手不得手があるように、塚原千恵子氏は、対人関係に於けるコミュニケーション、コーデイネーション、等があまり得意でなかったのかも知れません。

不得手なマネージメントは、得意なスペシャリストの人材を置き活躍して頂くとどれ程作業効率が上がり、嫌な摩擦、ストレスから回避されたかもしれません。ひょっとして、全ての経営マネージメント、指導、運営、管理をご自身でやる事に生きがいを感じていたのかも知れません。

オールマイテイーとして、クラブの経営から指導、運営、管理まで全てを背負い込み、スパーウーマンとして今日までやってこられたのだと思います。

彼女に対して、ブレーキを掛ける役目のチェック機関が必要不可欠であったのかも知れません。このブレーキ役が居る事で、体操関係者達をストレスから少しは解き放せたのでないかとアドミニストレイターとして思わざるを得ない次第です。しかし、もし本人が聴く耳を持たない性格であったなら、他人は、近づかなくなりコミュニケーションに破綻をきたす最大の要因となり、一人孤立して行くのです。

朝日生命から全幅の信頼を得ているという自負もあったのかも知れません。一歩家を出ると武装していなければならない環境を自らの手で作り出してしまった部分もあるのでないかと思います。

彼女の最大の得意分野は、万人が認めているように上級者の選手を指導する事であり、体操競技に関する先進指導者(ロシア、欧州、米国)のリクルート活動、判断、決断力等であったのではないでしょうか。同氏は、他の体操界の誰よりも自ら多くの知識を修得し、実践に活かそうと努力を惜しまなかっただろうと推察します。

彼女は、他に出来る人材が居なかったのも彼女自身をこのように追い込んだ大きな要因の一つでないかと思われます。また、彼女は、他の体操界の人達より何倍も能力があったのだと思います。裏を返せば、彼女に代わる人材を育成してこなかったという事でないでしょうか。此れも、日本体操協会、体操界の伝統的な指導者の養成、育成理念が欠落していたのだと思われます。日本の女子体操界のリーダーは、高齢者が多いのも伝統の一つでもあるようです。しかし、これは、体操界、体操協会に限った問題ではありません。

体操協会内の権力闘争から復活への光明

筑波大学の衰退は、日本体操界にとっては危機的な状況であり、体操協会の混迷期の始まりでもありました。一人勝した日体大系も大学経営、管理者の思惑が相まって一枚岩ではなくなり、大学に残れた人とそうでない多くのOBOG達の分裂、集合が絶えず繰り返されて来たと思われます。そして、幾度となく繰り返された抗争を経て、協会内部は現在の体制に落ち着いたのだと思います。

その後、協会内部の指導権争いは、表面では平穏を装ながら今日まで一つの方向性に向かって来たので、成果と結果も出て国民、社会からも応援して頂いているのでなかったのかと思います。

塚原夫妻には、功罪があるのもこれまた事実です。しかし、当時から今日に至るまで、日体大関係者、OBOG達から塚原夫妻への批判、攻撃、妬みは在っても、協力、協調の精神は、得られなかった事をこの度の事件、不祥事、問題からうかがえ知れるのでないかと思います。これらの度重なる関係者達からの攻撃に対して塚原夫妻は、防御の為、攻撃の手を緩めなかったのかも知れません。これらについては、次回以降に触れさせて頂きます。

体操競技選手の特徴と特性

体操競技の特徴は、皆さんもご存知のように個人競技スポーツで、冬のフィギュアスケートと同様に演技の評価を人間の主観に大きく委ねるという点です。よって、水泳競技のような評価、判定は、タイムが全てであるのに対して、人間の感情が大きく左右する競技でもあります。器械体操のスキルに於いては、最も危険で怪我のリスクを伴う競技スポーツであります。特に女子には、練習時から競技まで補助者(サポーター)が不可欠である事も特徴の一つです。

体操競技の選手特性については、個人競技スポーツ種目であることから独特の強い個性と精神力の塊であると表現した方が理解されやすいかも知れません。それは、練習を含めた競技環境と伝統的な強化法が個人の性格をも歪めかねない複雑な世界であるためです。

何故ならば、毎日合宿所で寝泊まりし、生活を共にする仲間が即、全日本高校選手権や全日本大学選手権で、あるいは世界選手権、オリンピック大会の代表選考会や本番でトップを競い合うライバル関係にあるからです。言い換えれば、同じ釜の飯を食っている仲間が即明日の敵という事なのです。

読者の皆さんには、想像の域を超えた別世界であると思います。このような特殊な環境で長く育てられ、超強靱な心技体を磨き上げられている選手達に一般社会での常識など通じる訳がないことを少し理解頂ければ体操界で起きる現象、現実が体操界の常識に由来する事をお気付きになるかも知れません。言葉は不適切かも知れませんが、根性も捻じ曲がると表現した方が現実的かも知れません。

筆者からの願い

体操協会、体操関係者の皆様へ、

2020東京五輪では、「体操ニッポン」復活が現実になろうとしています。これまで皆様の涙と怒りと努力で此処まで凌いで来られたのです。どうかその先人の貴重な遺産を無駄にされる事無く、今一度仲良く、協力し合って「次世代に体操ニッポン」を継承する為にも、手を取り合って歩むことを心より祈念しています。体操関係者の皆さんが、協力、調和をして事に向かえばきっと最高の「着地」が出来ると確信しています。

三者委員会は、選考選定が何処の誰により行われるのか、第三者委員の実名、所属を公開する事が望ましいと思われます。

また、弁護士関係者だけでの委員会でなく、大陪審のような本競技スポーツに見識ある弁護士以外の委員も加える事の必要性を申し添えます。

双方に対して、十分な調査をされた公平で平等な第三者委員であり、結論である事を願います。

この度の一件が、後に禍根を残さないよう関係者のポジテイブな言動、行動を切に祈ります。

時事の出来事:

1.体操協会は、第三者委員会を設置する事を告知。2週間で結論を出すとの見解。

2.塚原光男氏のNHKの取材に対する謝罪。

3.メデイアマスコミ報道による、宮川選手が善で塚原夫妻は悪の構図が進行。

4.体操協会執行部及び常務理事会は、職責と責務を一貫する事が大事。

5.95日:速見コーチが謝罪会見

6.第三者委員会の委員長に、元日弁連副会長の岩井重一(いわい・しげかず)弁護士

       が決まったと発表した。

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

NO.65は、体操協会、体操界の派閥、権力闘争の沿革を中心に、体操選手の特徴、特性を合わせてご紹介させて頂きました。

次回NO.66は、この度の問題の本論に入らせて頂きます。つきましては、事態も急激な変化を伴っておりますので、筆者も読者の皆さんにスポーツ・アドミニストレイターとしての視点と問題点を率直にお伝えする為に、次回K'sファイルNO.66は、筆者の準備が整い次第に掲載させて頂きます。ご笑読頂ければ幸いです。

 

K'sファイルからのお知らせ

K'sファイルからのお知らせ

読者の皆様へ  

いつもご愛読いただきありがとうございます。

 

86日、木曜日、掲載予定のバスケットボールをテーマにしたPARTⅡは、多くの読者からのご要望(海外からも)ありまして、NO.65は、「緊急連載 体操ニッポンの危機」に変更させて頂きました。バスケットボールの読者の皆様に心よりお詫び申し上げます。時期を改めまして掲載させて頂きます。 文責:河田弘道

K'sファイルNO.64:アジア大会バスケ代表選手の買春犯罪 無断転載禁止

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K'sファイルNO.64アジア大会バスケ代表選手の買春犯罪

             無断転載禁止

 

5日後に会見日本バスケ協会(JBA)のドタバタ劇場

1.大丈夫か新JBAJOCの管理体制と体質

先ず初めに

2018820日、公益法人日本オリンピック委員会(略:JOC)は、アジア大会に於いて男子バスケットボール代表4選手永吉佑也(27=京都)、橋本拓哉(23=大阪)、佐藤卓磨(23=滋賀)、今村佳太(22=新潟)が、816日、対カタール戦を終えた深夜現地ジャカルタ市内の歓楽街で買春行為を行った事実を発表した。JOCは、4人が日本代表選手団の行動規範に違反したとの判断をし、同日早朝に帰国させたと発表。山下泰裕団長(JOC理事)は、現地で記者会見を行い「4名の代表選手が行った事実関係の説明、連帯責任に値する合理的な根拠がない」として、バスケットボールテイームは引き続き参加するとの見解を述べた。

2018821日、公益法人日本バスケットボール協会(略:JBA)は、帰国した4名の選手を同席させ、三屋裕子会長は、都内で記者会見を行った。

同会見でJBA側の弁護士は、4人は「JAPAN」のロゴが入ったシャツを着て歓楽街で買春したことを認め、謝罪した。JBAは裁定委員会を設置し、同委員会からの答申を待って処分を下す。と質問に対して回答した。また、同弁護士は、「本買春行為は日本の法律に当てはめれば売春防止法に抵触するが、同法律には罰則規定はない。インドネシアの法律をまだ調べていないと前置きした上で、合法か違法かどうかは確認できていないが、日本同様に違法の可能性がある」と付け加えている。~以上82021日付の朝日新聞記事及び、日刊スポーツ記事より引用~

JBAEXアドバイザーの川淵三郎氏は、「記者の取った態度に疑問」とコメントされています。これは、現場写真を撮ったカメラマン、記事を掲載した朝日新聞社記者の事を指しているようです。しかし、このカメラマン、記者は、プロフェッショナルとしての業務を遂行しただけで、JBAの役員でも指導者、管理職、親兄弟でもないのです。この方は、何を勘違いされているのでしょうか。JBAのバスケットボール・アドミニストレイターが職責、責務を怠っていたのと、プロと名乗る選手達がこのような醜態を曝してしまっただけなのです。記者・カメラマンの態度には、何の疑う余地もなく、本末転倒のコメントです。本件の記事、写真が世に公開されて居なかったら、JOC及びJBAは、如何なされたのでしょうか。川淵氏のこの度のコメント見解は、伝統的な日本の指導者、組織・団体管理者のテイピカルなタイプとお見受け致しました。

 アジア競技大会とは

アジア競技大会は、アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催するアジア地域を対象にした国際総合競技大会で、原則4年ごとに開催されます。

此の事から、本大会の本元は、IOC国際オリンピック委員会)であり、日本に於いては、IOCからの委託を受けたJOC公益法人日本オリンピック委員会)が事業を行っているのです。そこでJOCは、NGB(略:国内各競技団体)に選手の選考、指導、運営、管理を委託している次第です。委託を受けたNGBの本件は、JBA公益法人日本バスケットボール協会)が選手選考、指導者、スタッフ選考、招集、派遣、競技運営・管理、等を選手選考発表当日から帰国まで、JOC共々責任の所在を分担して行っている筈なのです。

②代表選手のステイタス(status)と現状

4名の代表選手は、プロバスケットリーグ所属のプロ選手達です。

今日のオリンピック、世界選手権、ワールドカップアジア競技大会、等への代表選手は、嘗てのアマチュアからプロフェッショナルへと姿を変えました。

これは1980年以降、オリンピック出場選手は、プロフェッショナルとしてのステイタスが公認されたことによるものです。

この事は、「KsファイルNO.41PARTⅠ.アマチュアスポーツのビジネス化(プロへの移行)」掲載済みです。

しかし、我が国の一般社会に於いては、オリンピック、アジア大会、等出場選手を今日もアマチュア選手との認識が絶えないのも事実であります。その慣習として、日本には、世界で唯一の企業スポーツの存在があり、伝統的にこの選手達をアマチュアと呼んで来ていた歴史があるからです。本来、企業スポーツ選手は、競技スポーツを生活の糧としているのですから、プロと呼ぶのが相応しいのですが何故か関係者は呼びたがりませんでした。現在に於いても、企業スポーツを保有する会社、企業は、プロと呼びたがらない不思議な伝統があるのです。

筆者は、20年間(1985年~2005年迄)日本の企業スポーツ(NEC SPORTS)で、スポーツ・アドミニストレイターを務め、そのキャリアから充分企業スポーツに付いても理解致しております。

③アマ選手と呼ぶに近い選手、組織は

近年、アマチュア選手と呼ぶに近い選手は、教育機関で教育を受け乍ら競技スポーツを行っている学生選手の事ではないでしょうか。

しかし、これも日本に於いては、学生選手でありながら実質プロとしての処遇を学内外で受けていている選手が多数います。何故ならば、その根拠としては、ルールが個々の大学法人により異なり、共通した大学競技スポーツのルール、罰則規約、規定が無いに等しい現状があるからです。この事から、我が国の大学競技スポーツは、いわば無秩序、無法な状況が罷り通っている事をご承知下されば近年世間を騒がしている不祥事、事件を理解し易いかと思われます。

また、近年に於いては、大学教育機関、高校教育機関に所属する生徒、学生選手のステイタスが、教育という観点を基準に申しますと非常にグレー、或はブラックである事も事実です。

④危険な土壌で育って行く代表選手達

代表選手達の多くは、嘗て生徒、学生選手の本分は教育の一環として「授業を受け、単位を取得し、卒業、学位の取得」を趣旨、目的として教育、指導を受ける為に入学している筈なのです。しかし、現実として多くの学生選手達は、「授業を欠席、評価試験は受けない、単位未修得、一般学生、教職員もキャンパスで顔を見る事も無い」、このような生徒、学生選手に大学側は、特待生として称して、「授業料免除、生活費免除、強化費と称してキャッシュサポートなどを行い、中には親に大学職員の肩書を与えて大枚な報酬を支給する」大学まで現われてきています。

そして、「最後に成績評価を改ざん」して卒業させて行くという大学が読者の皆さんの周りにも多発しているのは、ご承知の通りです。

此れにも増して、これらの学生選手達には、「JOC、各競技団体から強化指定選手として、強化費の名目で年間1人数千万円」が渡っている。また、この中には、「広告代理店、スポーツ代理人、等とマネージメント契約をし、CM料、スポンサー料を年間数億円の収入」を得ている学生選手も存在しています。

そして、非常識な大学経営者は、この商品価値のある学生選手を「学内に留めて置く為に広告代理店、スポンサーへの仲介役」も行っているのに対して、文科省スポーツ庁は一切を見て見ぬふりをして補助金まで流しているのが実状です。これらは、我が国の教育、スポーツ界のモラルの低下を引き起こし、この度のような代表選手達(元学生選手達)が、他国で競技後に買春行為に走っても自らを律する教育も指導も受けていない下地が既に出来ているという事を露呈しました。

それは、このような大学教育機関に於いて、既に反社会的な行為を助長する学生選手達を養成、育成しているわけですから無理からぬことと思われます。

2.JOCJBCの会見に対する素朴な疑問

JBC弁護士の説明と見解

筆者は、本弁護士、会長の会見での本件の説明、見解が事実とするなら、本買春行為は、法に抵触するが罰則規定がない、と取り方によっては、犯罪者を擁護、容認するかのような見解に聴こえてきました。法律に罰則規定がないなど法律に値しないと申して過言でありません、法律に抵触しているにも関わらず、罰則規定がないので罰は与えられません。と言いたげなJBAの会見は、非常にすっきりとしない内容でした。何か本犯罪者達を救う手立ての露払い的な会見で、次の一手が透けて見える見解に聴こえてくるのに驚きを隠せませんが、読者の皆さんは、どう感じられましたでしょうか。

②最大の疑問と問題点

インドネシアの法律の下どのような現地での処理をしたのか、行ったのか、現地警察への報告の有無、了解の下に選手達を緊急帰国させたのかどうかの報告、説明がJOCの現地会見、国内JBAの弁護士の会見に含まれていなかった所も詰めの甘さを感じています。

此れは、日本独特の含みを持たせた会見で在り、良く言えば大変寛容な表現と擁護、理解の仕方であるように感じます。しかし、日本国を代表し、アジア競技大会に参加し、他の各競技種目選手達は、真剣に戦っている緊張感の中で、本4名の選手達は、買春して快楽を求めていたのは事実です。

この事実は、言語道断であり、此の裁きをJOCJBA、選手の各所属プロ球団の結論次第では、これからの日本の競技スポーツ選手のみならず、その指導者、関係者、強いては国民、社会に対して大きな汚点を残し、禍根となると確信します。

821日の朝日新聞朝刊にも指摘されている、「ジャカルタ特別州の条例で買春などの行為は禁固刑または罰金刑に相当するが、現地警察からの聴取は受けていない」、何故?というこのポイントが気がかりです。

現地でのJOCの代表として同行しています山下氏は、記者会見でこのポイントを一切触れていません。4名の選手が事件を起こし発表までに4日間の空白があります。この間、JOCJBAは、本事件を何日何時に知ったのか、そしてどのような対応をしたのかの情報公開も重要であると思います。

統括管理責任者の山下団長は、現地警察に逮捕されなかったので、地元警察への自首、届け出を選手管理責任者としてなされたのか。或は、届け出をしないで本国に送還したのであれば、これは重大な違法行為をJOCJBAがミスリードした事になりかねません。これらは、非常に重要な事故処理案件であり、JOCJBAから会見に於いて触れられないで済まさせる事でしょうか。

スポーツ・アドミニストレイションの視点に於いては、競技中の暴力事件とは異なり、競技外での犯罪行為に対する刑事事件としての取り扱いになるので公益法人としてのJOCJBCは、慎重且つ適切な判断の下に選手達を送還された事を願う次第です。本事件は、両国並びに競技スポーツ界にとって非常に重大な国際問題でありますので、速やかな情報公開の必要性が問われます。

本件の処理を怠る事は、バスケットボール競技選手のみならず、他のスポーツ競技選手達に対して、悪しき前例となるからです。今後本件に類似する不祥事、事件が国内、国外で生じた場合の悪例、判例となる事を肝に銘じるべきです。

先輩諸氏からの安易な伝統的な悪しき負の遺産は、今日まで反省、改善されていない事を本件が証明した事になります。

 NEWS速報

829日:JBAは、記者会見を行いました。4名の代表選手に対しては、「1年間の公式試合への出場権を剥奪」する処分に決まった。

*筆者は、幕閉じを焦ったJBAの早期結論に対して、悪しき罰則の前例にならなければと思います。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:酷暑の中、本BLOGの読者からは、多くの感想、ご意見を賜りまして有難うございます。拙い内容、文章ではございますが、ご賛同下さる読者の皆様に少しでもお役に立っていましたら最高の喜びであります。引き続き宜しくご指導の程お願い申し上げます。

Ksファイル夏季休暇 2018年8月17日

Ksファイル夏季休暇 2018817

 読者の皆様へ感謝とご報告 

 K'sファイルは、おかげさまで現在10か国の読者から多くのアクセスを毎回早速に頂いています。特に、日本、アメリカ合衆国、ドイツ、フランス、ウクライナは、ベスト5に挙がっています。大変興味深い現象です。日本のスポーツ、競技スポーツ、大学競技スポーツ、文科省スポーツ庁JOC、スポーツマスメデイア、教育問題、等が読者の皆様と同タイムでこれらの多くの外国の方々と情報を共有できる事を大変感謝しています。此れも正しいSNSを通してのInformation Literacyの賜物です。正しいと確信した情報が正しい理解の下に敏速に伝達でき、信頼して下さる世界中の読者と共有できる事は、グローバルな世界で生きる人間としての使命であり、責任でもあると心しております。

我が国が1日も早く、開かれたジャステイスとフェアネスの国民とスポーツの社会である事を心より祈念しております。

 文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

 

K'sファイルNO.63:MOVE東京読売ジャイアンツ 無断転載禁止

K'sファイルNO.63MOVE東京読売ジャイアンツ

           無断転載禁止

PARTⅤ プロ球団と選手はビジネルライクに

1.プロ球団と選手代理人との関係

プロ野球選手代理人制度の歩み

日本プロ野球界に於ける選手代理人(略:エイゼント、Agent)の歴史は、非常に浅くこの問題を1つ取ってもプロの業界が成熟していない事を物語っています。

本家メジャーリーグ(略:MLB)では、選手代理人交渉制度が確立したのが、1970年度と約50年の歴史です。

対する日本プロ野球界では、1992年に当時ヤクルトスワローズ古田敦也選手が選手会長時、球団に契約更改交渉に初めて代理人による交渉を申し出たのが、最初でした。しかしながら、球団側は、「球団と選手の信頼関係が揺らぎかねない」との理由で拒否したのです。

しかし、この一件から日本プロ野球機構(略:NPB)が発行する野球協約がクローズアップされるに至りました。それは、選手が契約する場合「球団職員と選手が対面して契約しなければならない」と選手の出席を義務付け、参加報酬調停では調停委員会が選手本人から聴取する事を義務付けていたからです。

選手の契約更改に於いては、選手出席の契約義務に関する明文化した規定はなく、また選手契約及び参加報酬調停委員会(双方の年俸提示額に開きが生じ、同意できない片方、或は双方が調停を申し出る委員会の意味)において選手以外の代理人を同席させる事を禁止する明文化された規定もありませんでした。これにより、プロ野球協約そのものが、旧態依然のものであり事象に対応しきれていなかった事がクローズアップされたわけです。

②実質を伴わない代理人制度の発足と現実

1999年に日本のプロ野球界で代理人交渉制度が運用されるようになりました。但し、代理人の同席を認めるが弁護士有資格者に限るという条件付きでした。2001年に日本弁護士連合会は、「参加報酬調停で代理人の出席を認めないのは選手に対する権利侵害と弁護士業務に対する重要な侵害である」旨の見解を発表しました。其の後、最終的には参加報酬調停における代理人の出席が認められるようになったのです。

しかし、東京読売ジャイアンツ(略:TYG)の渡邉恒雄オーナー(当時)は、12球団の中で最後まで認めていませんでした。

当時、渡辺氏は、「巨人の選手が代理人を連れてきたら契約しない、等」の明らかなパワハラ発言をしていたのが昨日の様です。今日、このような発言をすれば即マスメデイアは、今日流行語にもなっていますパワハラだと揶揄し、ワイドショー関連の餌食となるでしょう。NPBコミッショナーは、渡邉氏の言動だからと黙認する事もできなかったと思われます。

ところが、渡邉恒雄氏が2004年の選手獲得への裏金問題の責任を取ってオーナー職を辞任すると、TYG代理人交渉制度を容認するようになりました。

*現在のプロ野球における代理人交渉の条件

1.代理人は、日本弁護士連合会所属の日本人弁護士に限る

2.一人の代理人が複数の選手と契約する事の禁止

3.選手契約交渉で初回の交渉には選手が同席を必要とするが、二回目以降の交渉については球団と選手が双方合意すれば、代理人交渉も可能

上記条件からも球団経営者は、選手の代理人制度に対する姿勢が今もってネガテイブであり、代理人使用自体も略無くなっているのが実状です。また、日本プロ野球選手会と球団経営者のパワーバランスが、余りにも球団経営者側にある事は、選手側にとってはプロ野球選手になるに当たり、大きな不利益と障害となっていると思われます。

しかし、選手は、代理人がいると自分を守ってくれ、利益となるという知識と概念が不足しているのも事実です。このため、このような選手達により運営、管理されている選手会は、球団経営者にとっては好都合とも言えるのです。

2.高野連NPBの真の協力体制が重要

①NPB及び各球団の範疇と責務

日本プロ野球機構(略:NPB)、及び球団は、プロ野球選手として承認するに当たりハッキリとした線引きを行い明文化する必要があります。NPBに所属するプロ野球選手は、今日迄統一契約書に署名、捺印する事によりプロ野球選手として認められます。

ここで問題なのは、元来大多数のプロ野球選手は、高卒、高校球児出身者であり、社会の常識や人としてのモラル、法律、規則、ルール、等に対する教育、指導を十分身に着けてプロ球界に入ってくるわけではないということです。

その証として、統一選手契約書を熟読し、理解しているプロ野球選手は、果して何名いるかを見つけ出すのは至難の業であると申し上げても過言でありません。何故なら、未成年者の高校生に対して誰も「契約及び契約書」の意義、目的も指導しないで署名、捺印させるアンフェアーな状態を、高野連、高等学校、指導者達は、黙認しているだけなのです。

②ポジテイブなリスクマネージメントは未来の源泉

ポジテイブな思考力は、物事を改善、発展させるに必要不可欠な源泉です。

高校野球関係者、マスメデイア関係者は、もっとポジテイブで夢のある競技スポーツにするために改善、改革を図ろうと、何故目を向け、一歩前に足を踏み出そうとしないのでしょうか。

ポジテイブなリスクマネージメントこそが、伝統的な負の遺産、連鎖を断ち切る機会であり、未来志向の源泉となり得ると思います。

高野連及び関係者は、フィールドに於ける重大な問題を何と考えているのでしょうか。それは、近年の異常気象によるこの酷暑の夏季に、何故地方予選大会、甲子園本大会と成長期の生徒達の健康を害してまで伝統を守ろうとするのか。また、この環境の中で一試合に200球近いボールを投げさせ、また連投させる事の重大な過ちを看過し続けている現実を何と心得ているのか。この問題は、近い将来グローバルなスポーツの世界からベースボール・アドミニストレーションのレベルを問われる大きな要因の一つになると思います。高野連は、夏季地方予選大会、甲子園本大会で万が一つに選手が生命を失うような事故が起きてからでは遅いのです。本大会に於いても多数の選手達の体調に異変を発している事をどう捉えているのか。若き命は、一つしかなく、高校野球は教育の一環でないのかを責任者達は肝に銘ずるべきです。

ポーツマスメデイアに於いては、無責任にもこの酷使される未成年の若者達を賛美、美化したか表現ではやし立てる、この振る舞いは如何なものでしょうか。

成長期の生徒達をこのような酷暑の環境で酷使する事は、高野連が掲げる教育の一環としての理念に反した行為に矛盾を感じてなりません。建前論では、若者達が大人の利害、利権の餌食となっているのです。此れでは、戦前、戦中の軍隊、兵士への教練同様な指導を関係者達が強いているのと同じに思えてならないのは、筆者だけでしょうか。

マスメデイアは、高校、大学、競技スポーツのスキャンダルな事件、事故を商品化して連日、連夜報道するだけでなく、このような発展的な改善、改革にも目を向けて頂けたら、どれ程の子供達、生徒選手、学生選手、指導者達の励みとポジテイブなモテイベーションを醸成できるか、計り知れないのでないでしょうか。内向な組織、団体では、決して未来への発展は期待できないと思われます。

NPBは、各年度の新人選手選択会議(略:ドラフト)終了後に選択された全選手に対して、統一選手契約書をどの程度理解し、社会常識を兼ね備えているかの調査を行い、その結果を選手選択球団に参考資料として提供し、その資料を基にNPB及び各球団は、選手採用に関する判断材料にして欲しいのです。

そして、NPBは、教習期間を設け選手には教習を受ける義務を与える事が重要であると思います。これにより各球団は、新人選手に対する野球に関する能力以外のプロ野球選手として不可欠な社会人として対応する能力の最低限の知識と知恵を入団以前に付与できるのです。

現在は、これらの徹底した運営、管理システムが皆無に等しいのが現実です。

③エイゼント(代理人)と制度の活用

プロ野球界に於いては、選手代理人制度が承認され現存する制度があるのです。しかし、この制度は、球団経営者達の内向な思考回路により発展を拒む条件が付いているのです。

それは、弁護士有資格者でなければプロ野球選手の代理人(エイゼント)になれない事、そして代理人1名の選手しか代理ができない事、等々と、この条件は、経営者側の拒否反応のシグナルなのです。何故、弁護士1人に対して1名のプロ選手しかクライアントに出来ないのでしょうか。NPBは、その根拠を明確にしていませんし、選手会側も異議を唱えていません。

MLBに於けるエイゼント(選手代理人資格)は、弁護士に限らず一般人がMLB選手会のエイゼント規約に基づき、面接、筆記、等の緒手続きを踏めばライセンスは、交付されます。此れも日本のNPB選手会の力関係と異なり、MLB選手会の地位と関係がフェアーな関係であることを示している象徴でもあるのです。日本のプロ野球選手会には、大きな欠陥がある事を選手関係者が誰も気付いていないのです。

此処で、何故プロ野球入団選手には、代理人を付けた方が賢明であるかを述べます。ドラフト後入団選手がプロ野球選手となる為には、NPB発行の統一契約書に署名、捺印しなければなりません。これは、雇用される生徒選手、学生選手がプロ球界に就職する際の就業規則が専門用語で細かく表現されたものです。

筆者の経験から、本契約書を読み、理解できている選手は何名居るか、殆どの選手は、内容が理解できないケースが大半なのです。また、統一契約書とは別に、球団と選手間で結ぶ契約書、覚書、同意書もサイドレターとして存在するのです。このような作業を高校生にさせること事態がフェアーではないのです。

球団、経営者側は、このような選手を相手に事を進める方が如何に有利か、簡単かという事です。しかし、代理人が同席する事は、知識の無い高校球児、学生選手を相手にするのとは全く異なるのです。選手が代理人を活用する事により、球団経営者は、契約金額、年俸、インセンテイブボーナス、そして、査定方法に至るまで専門家とネゴシエイションを行うのですから経費の高騰が一番の問題点と捉えているのです。

ネゴシエーション(交渉)には、メリット、デメリットがあるのは当然の事です。しかし、現在のプロ野球球団と選手間に於いては、球団にメリットが多くて選手側にデメリットが大きいのもこれまた事実です。

プロ野球選手に成る時に、選手は、先ず代理人に依頼して自身の重要な契約に関する初歩的な知識の指導を受け、次に契約書の内容を理解する事です。そして、契約後に起きる処々の問題に対する代理を務めて頂くことで、本文の野球という業務にエネルギーを集中でき、成績を向上させる事により次年度の契約更改に於いて、自身に有利な交渉をして頂き、より有利な対価(金額、条件)を担保できるのです。

球団側は、今迄のような選手が起こす不祥事、事件、事故、日常生活に関する問題、等に付いて、一切を選手代理人とビジネルライクに事を処理、解決する事が合理的且つプロの業務なのです。また、これにより球団は、選手を寮に閉じ込めて社会から隔離するのでなく、契約後の選手は、一般社会人として自己管理の責務を選手に与える事です。伝統的な球団の寮制度は、不祥事、事件、事故の温床となっている事に目を覚ます事です。

このような代理人制度を活用する事で、プロ球団は、責任を背負い込む必要もなく、オーナー、球団社長、GM、担当者が責任を取って職務を降格、解雇、辞任するようなことも激減するのです。

読者の皆様は、本シリーズNO.59~63を読まれて如何でしたでしょうか。殆どの内容は、筆者自ら体験し関係した実践から述べさせて頂いた次第です。ご参考になりましたら幸いです。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

お知らせ:MOVE東京読売ジャイアンツは、NO.63を持ちまして終了させて頂きます。TYGファンにとりましては、酷暑の夏と共に懸命の応援、支援をされている事と思います。TYGは、高橋監督・鹿取GMを擁して3シーズン目を戦われています。日々の選手、スタッフ、球団の努力が成果と結果でファンに対する対価として欲しいと期待しております。

注:次週のK'sファイルは、夏休みとさせて頂きます。読者の皆様にとりましては、暑さをエネルギーに交換して乗り切ってください。

K’sファイルNO.62:MOVE東京読売ジャイアンツ 無断転載禁止

KsファイルNO.62MOVE東京読売ジャイアンツ

            無断転載禁止

 

PARTⅣ 球団は親会社から真の独立が必要かも

1.球団の情報管理の甘さは自らの首を絞める

①球団経営者は自らの言動に責任を

近年よくマスメデイアを通して耳にする事象に、TYG球団の経営者である球団社長自らが「うち(TYG)は、金は幾らでもある」と公言しているのがあります。

筆者は、この言動を耳にするたびに、若しこれを額面通りに受け取ると、この人物は、いったい自身の経営者としての立場、職責をどう考えてこのような事を公に発せられるのか、と真意と経営者としての資質を考えさせられます。

経営者は、時として大風呂敷を広げてパフォーマンスする場合もあります。しかし、これには、TPOを弁えた賢いシナリオがあっての言動であるのが一流の経営者だと、私はこれまでの体験から申し上げたいと思います。

 嘗て西武・国土計画でお世話になっていたころの話です。余談として参考までにお話しします。当時堤義明社長と二人だけで食事をした際に、歳若の私を諭して下さった事がありました。それは、「いいかな、私は自身が持っている金など無いに等しい。金は全て会社の物だ。その金を持ち出して使うとすぐに無くなり、会社は貧乏になり成り立たなくなる。商売で必要な金は、銀行に行けば幾らでもある。彼らは、使ってもらうために商売している。商売というものは、家から金を持ち出して商いをするのでなく銀行の金で勝負する事。わかったな!」と。私がまだ米国の大学に籍を持ち、西武・国土計画と二足の草鞋を履き始めた、初期の段階。

その時の強烈な言葉が今でも鮮明に思い出されます。これは、西武・国土の家訓であったのかも知れません。また、これは先代の近江商人の商いの原点なのかも知れません。当時は、日本にバブル経済がまさに始まらんとする前夜であったと記憶しています。

今日、TYG球団社長の金に関する概念は、もしかして真逆なのかも知れません。この経営者は、ファンが汗水たらして働いたお金を東京ドームに運んで来てくれている事を理解しているのでしょうか。どうも前後の状況と出来事、結果からして、理解できていないように思われます。

ジャイアンツ球団の社長は、どのような意図があって軽々しくこのような言葉を何度も人前で喋れるのか。或は、余り深い意味はなく、「我が読売巨人軍は、幾らでも金があるので幾らでも選手を高い金で買ってやる」とのおごりで述べているのか。しかし、この言葉は、球団にいる現役選手達、そして全国のプロを目指す学生選手、高校球児達、また他球団の移籍、FAを窺っている選手達の耳に届かない筈がないのです。

球団社長は、近年の球団選手達がスマホ機器を持っている事すら理解できていないのでないかと危惧する次第です。本球団の社長は、球団常識と社会常識の間に大きなギャップが、選手同様にある人物が就いているような気がしてならないのです。

 

TYG球団には守秘義務の指導と徹底が必要

また、携帯電話がポピュラーになり始めた頃のお話をします。

携帯の使用は、球団内に於いても何の使用規則も束縛も無く、選手、スタッフ、球団関係者、等が練習前、試合前にロッカールームから、何処かへ連絡している光景を見掛けました。一体、彼らはどこへ連絡しているのか。プロの競技選手、スタッフ、職員、関係者には倫理規範もなく、筆者は非常に危機感を持った次第です。

この意味は、球団内で起きた事、球団幹部が発言した事、等々が、オンタイムで自軍の選手達から他球団の選手達へと情報交換されている現実を確認したからです。球団は情報が外部に漏れないようにする管理がいかに難しい時代になったかを、もう少し真剣に受け止め、改善、改革して行かなければならなかったのです。

このような脇の甘さは、球団の勝敗のみならず、球団全体の特に選手、指導者、スタッフ達の倫理観及び社会性に少なからず影響を与えている事に一日も早く気付いてほしいと願う次第です。情報管理を怠る事で、選手達の倫理規範が低下し、先発投手名の漏えい、強いては賭博行為と負のスパイラルは留まるところを知らなくなることもあるのです。

現在、球団は、情報機器の制限とそれに関する規範をどれほど指導し、契約書に明記しているかは定かでありません。

 少なくとも当時、筆者は、危機感を自身が体験し、最高経営者に事実の報告を致したと同時に、本社社会部の超ベテランで辣腕の管理職の方を広報部長として来ていただき、それまで球団内の情報が湯水のごとく内外に漏えいされていた実態に初めてメスを入れたのです。

その為、殆どのバルブは、閉じられ業務機密の漏えいがないように徹底して頂いたのでした。その結果として、この情報ネットワークとバルブは、球団内外の私的な利権及び利害構造に結びついていたことが判明したのです。

球団内外からこのバルブをクローズした小職に対する風当たりが日増しに増幅して行ったことを鮮明に覚えております。

当時折角、球団の弱点箇所を徹底的に改善した筈なのですが、今日またバルブのハンドルが緩んでしまったので選手達の不祥事、事件、スタッフの事故等が多発しているにように思えてならないです。

球団社長は、マスメデイア人である点からも、球団組織に負の結果をもたらす事も憂慮し、思慮深い発言をと願う次第です。どうか今日の資質が伴わない国会議員のような真似だけは控えて欲しいと願います。

今日のグローバル化により、情報リテラシーという言葉まで流行し、情報は金に換金され、金で情報を購入できる厳しい現実社会となりました。情報が売り買いされているのはグローバル化時代の象徴と常識である事を今一度肝に銘じられ、褌を締め直された方が球団、会社、企業の為である事を老婆心ながら指摘させて頂きます。

 

2.現在の球団はプロの運営・管理か

①中途半端な運営・管理はプロと言えない

日本プロ野球界の現状に於いて、TYG球団が如何にして球団保有選手の不祥事、事件、事故から球団、選手を守るかを考えてみます。

この問題に対して、筆者は、大きく二つの方法と手段が考えられると思います。

先ず、その一つは、球団のベースボール・アドミニストレーションは、事業(ビジネス)で在る為中途半端なコンセプトを切り捨て、プロとしての経営、運営・管理を徹底する事です。

もう一つは、プロ球団の背後に親会社・企業が存在しプロ球団を広告宣伝の一事業所として位置付けている事から、事業に於ける採算が取れなくても親会社が補てんをする構造の球団と球団の利益を親会社の事業の補てんにあてる球団にメスを入れる事です。

およそ、プロとは言い難い法人球団組織である事から、プロとは言い難い諸問題が噴出し社会を賑わせています。よって、此処では、前者の徹底したプロとしての球団経営、運営、管理を行う方向にギアをシフトチェンジする必要があると思います。

②其れならば如何になすべきか

現在プロ野球界では、契約雇用制度を採用していることから、先ず選手と球団の契約を何事においても最優先する事が必要です。その為にも現在使用している日本プロ野球機構(略:NPB)発行の統一契約書なるものをNPBは、選手会を通じて全選手に理解と認識を徹底し、理解させる事です。その為には、新入団選手には、統一契約書の内容をどれほど理解・認識しているかの理解度試験を行い、その理解度により各選手をランク付けし、基準に達しない選手は、プロ選手として各球団はリスクを背負うので研修義務と再試験義務を選手及び所属球団が負い、合格基準に達する迄同選手の一軍資格選手としての年俸を最低年俸に留める事を協定する事です。

次に、球団と選手との契約書の存在を明確にし、明文化する事です。現状では、今日までNPB発行の統一契約書を持って選手のプロ契約書として済ませてきていますが、この方式が球団と選手間、NPB,球団、選手間に於いて、契約を複雑化し、一般社会に対しても不透明且つグレーに受け止められる大きな要因の一つでもあるのです。

今日までプロ野球界では、統一契約書の存在を公にしても球団と選手間の契約書の有無は公にしてこなかったのがプロ野球界なのです。

此の事により、球団と選手間に於いては、非常にグレーな約束事を双方の都合で行い、そこには第三者の介在が無いので常に選手側には不利益な状況が生まれているのも事実なのです。よって、入団時に両者の都合により契約書、同意書、覚書とそれぞれ主に球団側の都合により書き物として双方控えを持っているケースと、そうでない口頭による約束事(これをシェイクハンド=握手)として大事な件が取り行われているのです。

このような日本的な手段方法は、もう時代に合わずプロ野球界ではすでに契約制度を履行しているのであるから、全ての約束事は契約書に明文化する事が非常に大事であるのです。よって、今日までの慣習、習慣を一度清算して、双方に於ける約束事は、契約書に書かれている事が全てであるとシンプルな理解を双方ですることへの変革が必要です。

これにより、本来は、毎年の契約金、契約年数、インセンテイブ、等は、選手本人及び、球団から堂々と公表する事が大事なのです。これは、双方プロとしての義務であり、使命であります。以前の様に統一契約書に記載する数字と球団との間で交わす数字が異なるなんていう事こそ、不正、不祥事、事件の温床となるのです。これにより、各球団が契約の骨子を遵守することで、特定の選手に対して個々の約束事(選手生活を終えた後の仕事の面倒みる約束事等)をどの球団も遵守すれば無くなり、新たに球団は、専門職種の人間を公募により採用、雇用する事で球団のプロ化が前進するのです。

此の事からも、NPB、球団は、契約違反に対する明確な罰則規定を明文化し、契約書に署名する前に理解と認識を確認し、署名、捺印する事がフェアーなのです。これにより、球団も契約違反を起こした選手、スタッフに対しては、違反行為に対する罰則規定を言い渡し、時には、相手に対して球団として損害賠償を請求する事がプロ野球界の法と秩序を維持する為にもやるべき行為であると思います。この行為自体が選手、関係者への指導、教育と犯罪に手を染めない抑止力であると確信します。読者の皆様は、如何でしょうか。

 

 プロとしての選手雇用、スタッフ採用を徹底する事により本シリーズで問題としている経営者の理念、言動、選手の不祥事、事件、スタッフの不祥事、事件、事故に対する球団の姿勢が明確になり、その事により問題の起因を事前に防ぐ事にも繋がるのです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

 お知らせ:K'sファイルNO.62は、予定を変更しまして球団経営者、管理者及び、その人達の情報管理とリテラシーを述べさせて頂きました。次回は、球団、選手に必要なのはプロとしてのマネージメントである事を述べさせて頂き本シリーズを終わらせて頂きます。