K’sファイルNO.73:日本独自の会社・企業スポーツと文化 無断転載禁止

KsファイルNO.73:日本独自の会社・企業スポーツと文化 無断転載禁止

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 第一弾忘れられた企業スポーツとその価値

 

企業スポーツ無くして東京五輪は成立しない

先ず初めに

2020東京五輪が、もうすぐやってきます。大会が近づくにつれ、今なお多くの問題が山積している様子が伺えます。この回のテーマは、企業スポーツに付いて取り上げてみました。その理由は、競技大会(スポーツイベント)のCOREは、選手であります。その選手達のトレーニング、生活を支えているのはいったい誰なのでしょうか。マスメデイアはほとんど語ろうとしません。このことにより、国民、社会、突き詰めれば競技スポーツのファンでさえ、全くと言ってよい程、理解がされていないように思われます。

各競技スポーツ団体は、主に大会に代表選手を招集して主催、運営をしているだけであります。しかし、選手達、指導者達の大多数は、会社、企業に所属して競技スポーツをしながら生活の糧を得ている。即ち、一般的には、会社、企業が、選手達や、指導者達をサポートしていることの理解と認識が、世間的には余りにも低いのでないかと感じるからです。

また、会社、企業及びそこに所属する選手達は、登録先の実業団連盟、実業団連合と言う組織・団体によって運営、管理されています。中央競技団体のみが常に前面に出ていますが、実は企業スポーツを長きに渡り組織して来ているのは、実業団連盟、連合である事も是非ご紹介して於かなければ彼らの日々の努力が浮かばれないでしょう。そこで、この度は、企業スポーツとその価値をテーマにお伝えできたらと思います。選手及び関係者は、所属会社、企業に対する感謝を胸に競技して欲しいと願わずにはいられません。

筆者と企業スポーツの関係

筆者は、1985年から2005年迄20年間、NEC日本電気(株)に於きましてNEC SPORTSを設立、スポーツ・アドミニストレイターとしての職責を賜り、遂行させて頂きました。NECでの20年間は、小生の人生の中でも日本の企業スポーツを直接的に運営・管理する上で、この上ない経験と体験をさせて頂いた時期でした。この期間に得られた実践体験は、日本の企業スポーツ界の実態に加え、大学、高校の競技スポーツ、スポーツ競技団体との関係者、等と会社・企業との関係、関わりを学べ、大きな財産となりました。米国には、企業スポーツが存在しませんので非常に興味深い20年間でもあった次第です。

NEC SPORTSを支援、応援して下さった社内の多くの社友は、素晴らしい方々でした。このような会社・企業で在りましたので、微力ではございましたが会社側が望む成果と結果を出させて頂けたのだと誇りに思っています。

この場をお借りして協力、支援して下さいました方々に心よりお礼申し上げたいと思います。また、NEC SPORTSに「NECロケッツ」と命名させて頂きましたことを此処にご紹介させて頂きます。(当時の強化スポーツテイーム:ブルーロケッツ男子バレーボール、レッドロケッツ女子バレーボール、女子バスケットボール、男女陸上競技、男女テニス、グリーンロケッツラグビー

 

1.日本の企業スポーツとそのバックグラウンド

 我が国の企業スポーツは、世界に類を見ない独自の競技スポーツの形態と文化を擁しています。他国に於いては、日本の競技スポーツを手本にして韓国、台湾でも始りましたが、今は殆どがプロ化の形態に移行しているようです。

現在の企業スポーツの前身は、戦後国の復興を目指した第一次産業(生産)の目的を達成する為に国民の体力の向上のみならず精神的な鍛錬の場としても設けられ戦前、戦後の重い過去の歴史を継承し現在に至っています。会社・企業に於きましては、社内の生産力の向上を目指していた為に産業体操なるものが中心となって始められた歴史があります。産業体操は、今日のスポーツを分類しますと専門的には健康、リクレーションスポーツの要素を多く取り入れた指導が導入されていたようです。

その後第二次産業(大量生産)が奨励され1960年代からは、機械化の導入に伴い大量生産時代へと導かれ高度成長へと突き進んでいったのです。スポーツ界においては、戦後復興の象徴として1960年に東京オリンピック大会招致成功、1964年の開催国として国家を挙げて世界に国威を示す機会を得ることになりました。ここに初めて国家の方策として競技スポーツの育成と指導、強化が前面に打ち出されたのでした。その現場の選手育成、指導の場として当時は、各生産企業(紡績、製鉄、製紙、等)にその育成を要請、委託されたのです。

現在の企業スポーツは、ここに本格的企業における競技スポーツとして産声を挙げたのです。これら各生産企業は、競い合って各企業独自の競技種目を選択、設立し競技スポーツとして指導、育成され、やがて運営、管理されるようになりました。各会社・企業、選手、指導者達は、当時設立された代表組織・団体として日本実業団連盟、連合に登録し連盟、連合が組織運営する競技大会に出場することになるのです。

その会社・企業スポーツの主な競技種目としては、バレーボール、陸上競技(マラソンを含む)、柔道、バスケットボール、ハンドボール体操競技教育機関)、水泳、サッカー、レスリング(教育機関)、等々と華々しい成果と結果を残して1964年オリンピック東京大会の成功と共に終了したのでした。

その後時代が進むにつれ、会社・企業の形態は、生産から第三次産業としてサービス業が加わり、企業スポーツに於きましても新しい時代のコンセプトの基に新しい会社・企業が参入して参りました。

2.1964年オリンピック東京大会後の企業スポーツ実体

その後オリンピック東京大会を引き継いだ形で日本オリンピック委員会(略:JOC,各中央競技団体(略:NGB)をアマチュアの統括競技団体として、その下部組織として全日本実業団連盟、連合、大学、高校、中学の各組織団体が設立され今日に至っています。

この企業スポーツは、日本のアマチュアスポーツの根底を支え、その後のオリンピック、プロスポーツ競技に多大な貢献をして参りました。また、今日まで、各会社・企業の協力と支援の下に全日本実業団連盟、各地域・地区の実業団連合は、日本のオリンピック・スポーツに多大な貢献と支援をしてきた組織・団体であります。

しかし、国民、社会、スポーツファン、関係者の間でもこの実業団組織の存在と貢献を正しく理解している人は少ないと思われます。現在も本組織・団体は現存し活動をされていますが、企業スポーツの衰退と同時にその存在も希薄になってきているのも事実です。

競技スポーツを抱える会社・企業は、各競技スポーツに選手のみならず会社テイームとし全日本実業団連盟(会社・企業のスポーツテイーム及び選手個人として加盟登録が義務付けられている組織団体の名称)と中央競技団体に加盟登録しなければならないのです。国内スポーツ競技大会は、各中央競技団体が組織運営している大会と実業団が組織運営している競技大会及び、共催で運営・管理している大会とが存在します。今日においては、各競技大会及びその内容がマスコミメデイアによって大きく取り上げられる競技大会(例:実業団ニューイヤー駅伝、男女バレーボール大会、柔道、都市対抗野球、等々)と全く結果すら取り上げられない競技大会があるのも現実です。

この企業スポーツの発展は、日本の戦後企業の発展と国の復興に大きくかかわり、今日を迎えています。戦後企業の再建と構築が叫ばれ、国策として企業の発展が第一に位置づけられていたと言っても過言ではありません。これに伴い国民の体力、健康、教育においては、呼び名も教練から訓練へ、そして体育へ、トレーニング、コンデイショニングへと移行して行った事もこの企業スポーツの歩みと深い関係があります。

教育の場においては、戦前、戦中の教練から体育へと移行されたのですが、戦後長くある意味と形で今尚この教練時代の暗い影を21世紀に継承しているのがこの日本のスポーツ界の現実であることも見逃せません。よって、今日、日本社会に於いては、体育とスポーツと競技スポーツを混同してしまった原点が此処に起因している様子が伺えます。この事については、また別の機会でご紹介させて頂きます。

3.企業スポーツのコンセプトとは

今日の企業スポーツのコンセプトは、各会社・企業の歴史と伝統によって大きく二つに分類されると思われます。その1つは伝統的な企業の運営・管理の継承であり、もう1つは、新しく設立された会社・企業コンセプトに基づいた運営・管理であります。

日本の会社・企業の多くは、伝統的な企業コンセプトと体質を基本的に戦後から今日まで維持し継承してきています。企業スポーツを抱える会社は、生産を目的にしてきた企業であることです。この事実から企業及びその関連会社においても、主に会社内部の中枢に位置していたのは、勤労部、人事部、総務部、厚生部と称された労働者を直接的に運営・指導・管理していた部門、部署が大変力を持っていたのも事実であります(現在では、殆どが支援部と名称変更)。よって多くの企業スポーツを統括管理してきたのは、各会社内でこの管理中枢部門が多大な貢献をなしてきたと申しても過言でありません。

前者は、主に日本の伝統的な生産会社・企業であり、「スポーツを主に社員の士気高揚、会社の連帯感、忠誠心、シンボル、等」をそのコンセプトの中心にした巨大な企業です。

後者は、大変柔軟な対応要素を持った会社・企業で、スポーツを会社・企業の広報宣伝、及び商品の宣伝、イメージアップとしています。

元来、各企業とその関連会社は、会社に対しての生産の向上と勤労者の共通の話題を提供することによるモラルの向上、国内における知名度の向上、また、企業の地域社会への貢献と還元、等を主たる目的として大切に維持されてきました。

 4.企業スポーツと世界の競技スポーツ界の動向

世界のスポーツ界は、1984年のオリンピック・ロスアンゼルス大会を機に大きく変貌したのです。即ち、それまでのアマチュアリズムは、選手、指導者、競技、大会、及び運営に至るまで一切のコマーシャルスポンサーからの金品の授受があってはならなかったのです。

しかし、80年以降は、伝統的な「オリンピック憲章」が改正されて、プロ選手の出場が認められると共に、選手も大会もスポーツをビジネスとして自由に活用、運営できるという画期的な大会がロスオリンピック大会でした。その世界的な流れの中で日本企業(製品と企業名の広告宣伝を目的とした)は、世界の企業に先駆けていち早くこのロスオリンピック大会に日本の広告代理店の仲介により参加したことは本K'sファイル(NO.41~45)でお伝えした通りです。

この大会を境に日本における国内アマチュアスポーツは、その後それまでの習慣・慣習を脱しきれず選手、組織・団体、企業、マスメデイアもストレスフルな時代が暫く続きました。しかし、内外の現実と状況はいかんともしがたくあらゆる方面から日本も世界の流れへと動かざるをえなくなった次第です。

先ずオリンピック・競技スポーツを国内で統括する日本オリンピック委員会JOC)は、自らの権益を確保する為に法人化し、選手の個人の権利を奪ったのです。即ち選手は、自らの肖像権をJOCに奪われたのです。その後、選手登録、管理をしている各競技団体もJOC同様に各団体、所属選手、及び指導者の権利を独占することでそれまでと同様な利権構造を強固にして権力の集中を図ったのです。

此処で大きな矛盾が生じたのは、その選手の大部分が企業スポーツ即ち選手個々が会社・企業に所属しており、選手は所属企業にも権利があることを所属団体及びJOCは全く無視してしまったのです。

また、企業スポーツ選手は、全ての企業スポーツの統括団体である実業団連盟に属していますが、実業団連盟は、各競技団体との力関係からか何もアピールできず、容認してしまったのが現実でした。それにより選手及び選手を抱える企業は、JOC及び各中央競技団体の権利主張に対して誰もプロテクトやアピールをしなかったのです。

これは、まさに日本社会の悪しき伝統と風土と申し上げます所の、お上に盾を突かないという建前からか、個人の自由な権利と会社・企業の権利を放棄して、お上に対しては誰も反論すらしないという企業側の姿勢に当時筆者は驚いた記憶が鮮明に残っています。

この起源は、恐らく1960年ごろに国の政策、施策により競技スポーツを強化するため、会社、企業に指導、育成の通達があって以来連綿続く不自由な伝統が主従関係を生み出している証であると筆者は理解致した次第です。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター 

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

NO.73は、日本社会に於いて今忘れられようとされている企業スポーツをテーマとして取り上げました。若い世代の競技スポーツに取り組んでいる方々には、是非このブログを読んで頂き、企業スポーツの必要性と重要性を是非理解し、感謝の気持ちを忘れないことを切に願う次第です。NO.74は、引き続き第二弾を掲載予定しています。

K'sファイルからのお知らせ

お知らせ:

1102日、木曜日のK'sファイルNO.73は、

日本独自の会社・企業スポーツと文化に付いて述べさせていただきます。

第一弾 忘れられた企業スポーツとその価値

「企業スポーツ無くして東京五輪は成立しない」をお送りします。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

K’sファイルNO.72:2018秋読売劇場開演  無断転載禁止

K’sファイルNO.722018秋読売劇場開演  無断転載禁止

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東京読売ジャイアンツの最高経営者(略:CEO)

 注:NO.72は、読者の皆様からのリクエスト「筆者がTYGCEOなら球団の現状現実  をどう再建するか」についてお答えしたいと思います。結論から申し上げますと、目先の監督、スタッフの首のすげ替え形式的なものではなく、構造的問題の改善、改革の必要性から先ず手を付けたいと思います。差し障りの無い範囲内で述べさせて頂きますので、悪しからずご笑読頂ければ幸いです。

1.球団組織の構造的な問題を先ずオーガナイズすべき

先ず、球団最高経営者として今与えられた時間内で最初に行うべきことは、経営部門のアゼンダ(取り組むべき課題)は別にして、商品を生産する編成部門の立て直しを如何に迅速且つ将来を見据えたシナリオにできるか、それを描く事です。

その手始めとして、過去5年間の球団編成部門に関わる各部署の担当責任者の業務報告書の存在の有無を確認(筆者の経験からこのような物は球団には皆無と推測)、あるのであれば各責任者に各年の要旨をまとめて報告をさせることです。無いのであれば、過去3シーズン分を各担当責任者に業務として、書かせ提出させる事です。報告書の書き方、統一されたフォーマットを指導する。

フィールド部門に関しては、テイーム、個々の選手、監督、スタッフに関する編成部門の現場責任者から報告書の有無の確認や、スカウト部門、国際部門、FA移籍、戦略、戦術の確認と、人材の適性、故障者の経過リスト、医療体制、等の整理と報告書の作成を指示する事が重要です。そして、それらの資料を短時間で提出させ、プライオリテイー(順番)を決め、各年のスタッツとの照合作業及び精査と検証を図ることです。これにより何処に欠陥があったのかが一目瞭然です。口頭での報告では、責任の所在がないので“NO”です。

同時に並行して行わなければならないことは、現在の球団、テイームの再建に関わる指針を明確にすること。これが最重要課題であると思います。誰を監督、コーチングスタッフに招聘するか否かは二次的な問題なのです。人事に入る前に2週間もあれば新プロゼクトに必要な最低限度の準備が整います。本来ならば、シーズン終了1カ月前に報告書の提出を義務付けるべきなのです。

しかし、この度新オーナーが着手された手順は、真逆な首のすげ替えが大改革との認識が誤解を招いています。指導者の顔ぶれを新たにすることに重きを置いたようです。

指導経験の無いプロの指導者、そして不向きな人物を大勢招き入れることは、一層のリスクを伴います。何故長年指導して来た指導者達に此処に至った原因を業務としてレポートを提出させないで解雇、解任するのか。実質彼らとの契約は、本年度末まで残っているのです。どうしてこのような無駄な運営、管理をするのか理解に苦しみます。長期に渡って指導者が得た指導に関する財産を球団経営者は、いとも簡単に結論も得ず放棄するとは信じられない球団経営、運営、管理をしているということです。また新しく雇用する指導者達は、エキスパートとして、どのようなスケールで採用の判断基準とされたかも重要なポイントです。ただ頭数を揃えたようにしか筆者には思えてならないのです。

最重要課題として、CEOは、これからジャイアンツをどのような球団テイームに改善、改革して行きたいのか、また行くのかの基本方針をまとめ告知することです。何故なら、球団に一番必要且つ大切なのは、ジャイアンツ・ファンに対してファンが安心できることであり、また夢を持てる指針と目標を明確にする事です。そしてその裏付け説明が必要で、その情報を公開する事が大事です。この作業を行うことで、ビジョンが明確になり、それに沿ったシナリを完成する事が出来るのです。

この指針を明確にしない限り、これから進む東京読売ジャイアンツ(略:TYG)の未来は、社会、ファンからの信頼回復が難しいと思います。つまり、現在のような「俺たちは球場に足を運ぶファンにジャイアンツ戦を見せてやっているんだ。ファンはプラテイナテイケットを買わせて頂いています」の主従関係の時代は終わったという意味なのです。何故必要かと申し上げますと、プロ野球球団は、一新聞社が新聞拡販目的の為に道具として使う(ビジネス)コンセプトの時代でないと言うことです。また公益法人ではなく私企業体で独立したビジネス組織なのです。球団はファンを先ず大切にする姿勢が大事だと強調したいと思います。

読者の皆さんは、球団株主の読売新聞社・最高経営者が過去に、球団経営陣、監督、等は、社内人事であると公言されたことをご記憶されているかと思います。嘗て球団は、「株式会社よみうり」という会社の一事業組織としてTYGがあり、その中に他の地方の各読売新聞社も連結で組み込まれていました。よって、読売新聞社の最高経営者は、TYGが「株式会社よみうり」の中に属する一事業所として長年位置付けていた関係で、退任した監督を何らかの役職で残したり、緊急時に復帰させる為に抱えたり、個人的な不祥事、不都合を持つ監督を静かに球団内に寝かしたりしたため、球団内の人事を会社内人事だと公言してはばからなかったのだと思います。

しかし、近年は、独立した株式会社法人として経営、運営、管理がなされている筈なのです。よって球団内の経営、運営、管理も新聞本社とは、切り離したビジネス・アドミニストレーションを取り行うことが正攻法でないかと思う次第です。このスタンスが明確になって初めて、本来のプロ野球球団としてあるべきベースボール・アドミニストレーションの基盤が整うのです。

2.球団最高経営者(CEO)がやるべきこと

近年の歴代オーナー発言を拝聴致しておりますと、今日も尚「株式会社よみうり」時代の一事業所感覚で捉えられ、独立している株式会社組織として思考されていないところが、いつまで経っても球団組織の背骨が見えない所以なのかと思ってしまいます。

此れでは、近年の与党自民党の組閣人事の模倣に過ぎない様に思えてならないのは、筆者だけでしょうか。マスメデイアを通して表面に出てくる報道からは、全くベースボール・アドミニストレーションの基軸となるべき球団の経営方針及びそれに伴う球団のテイーム作りに対するコンセプトが見えてきません。

その理由は、球団組織としてのアドミニストレーションに大きな問題があるからと思われます。

球団に於けるベースボール・アドミニストレイターは、誰なのか、どのような職責、責務なのかを先ず明確にされた方が賢明です。そして、その球団統括責任者は、球団社長なのか、代表なのか、GMを置かないのであるならばそれに代わる球団編成部門を統括する責任者の肩書、契約年数、業務に対する責務を明確にする事です。球団の最高責任者は、フィールド監督をアナウンスする以前に球団編成統括責任者を告知する事が重要な手順であり、アドミニストレーションの鉄則なのです。

そして公表された球団編成部門の統括責任者は、自らの初心を公に告知する事がプロとしての業務の第一歩となります。球団経営者から託された経営やテイーム再建を描いたビジョンの表明と、その計画の下に遂行して行く事を宣言し、プロのGM的役割を担う編成統括責任者としての大きな業務と使命のデビューになるわけです。

編成部門の統括責任者の宣言後、「現テイームの戦力を分析した結果、今後3シーズンに於いてビジョンと計画を遂行する為に必要とする次期監督は、複数の候補の中から○○監督が適任として球団最高経営者に推薦させて頂き、オーナーより了解を得たので、今日ここに発表させて頂きます」とこれがプロの球団組織としての準備と手順では無かったでしょうか。今オーナー自ら公表、着手する手順、内容は、大局の視点から見たシナリオに沿ったものではなく、目先のパズルを埋める作業にしか見えないのですが、如何でしょうか。注:CEOChief Executive Officerの略)

3.この度のTYGのオーナー発言と告知に疑問

この度のTYGの高橋監督辞任発表と同時にGM、スカウト部長、等の去就が公に出たり、次期監督名が出て来たり、CS終了翌朝に既にコーチングスタッフの名前が非公式にだらだらと壊れた蛇口から漏れ出したような状態では、プロ組織のベースボール・アドミニストレーションとしての体を成していない様に思われます。これは、丁度私が1993年秋に当時の球団、テイームの調査をしていた状態に酷似しています。TYGの広報担当責任者の資質が問われてもしかたない現状を露呈しているように思えてなりません。読者の皆さんは、公式発表もない時点で何故このような報道があちこちから漏れ聞こえるのか、おかしなことをやっているなと思われている事でしょう。これでは、プロと呼べない。

親会社の最高経営者としての重責を担っているオーナーは、いちいち球団の個々の人事についてスポークスパーソンとして登場する必要はないと思います。オーナーたるや、読売新聞社本社の社長室でド~ンと構えられていればいいのではないでしょうか。

ベースボール球団の経営、運営、管理において能力有と洞察された人物に対して面談、身体検査を行い、本人が興味ありとの意志表示をすれば、球団経営者会議の場で本人にプレゼンテイションをさせ、質疑応答を経て賛同を得られれば、オーナーが任命するべきであります。オーナーは、球団統括責任者として契約を行う。そして、契約期間中は、全ての職責業務を任せる度量が無ければ東京読売巨人軍CEO、オーナーは務まらないと思います。このようなスタンスと理解では、いつまで経っても本球団の混迷、迷走は続き、不祥事が今後も永遠に不滅となると思います。勿論、テイームの成果と結果も最高経営者の思惑通りには、行かないという事です。

4.日本のプロ球団で成功している例

この点、日本のプロ野球界の中で成功している球団と筆者が評価するのは、福岡ソフトバンクホークスです。ホークスのオーナーは、球団個々の人事、組織、経営、運営に対して金は出しても一切口出しはされず、常に距離を置いています。球団には全責任を自身が任命した統括責任者を置き、その統括責任者が球団内で起きる諸般の問題に対する判断、処理、決断をして、最終的に球団オーナーの決済を仰ぐシステムが機能しているように見受けられます。

この組織構造とシステムは、日本の伝統的な球団と親会社の関係に於いて大変珍しい合理的且つ責任体制が明確なプロ野球球団の構造とシステム体制であると思われます。このようなCEO、オーナーが真の器の人物だと筆者は確信している次第です。

よって、外部から招聘した役員、専門職、等に対する対応、対処の仕方は、契約雇用制度を有効に活用して、不要な人材が負の遺産とならない為にも、球団組織に不利益を与えた、与えるであろうと統括責任者が判断した時には、スパッと削ぎ落とす判断や決断をする所が成功の秘訣です。社内人事、お仲間集団、お友達集団を形成させないところが現在成功しているベースボール・アドミニストレーションであり、アドミニストレイターの成功例ではないかと思われますが、如何でしょうか。

5.TYGは全員契約雇用制度を徹底すべし

球団組織内の責任体制が、優柔不断な体制、体質である事は、球団フロントのみならず、現場(フィールド)に於ける監督、スタッフ達も同様で各コーチの肩書があっても何故かジャイアンツの各担当コーチには、責任が問われない問わない体質があるのです。選手指導に於いても肩書の異なる指導者が口出し、越権行為をしてもフロント担当者も監督も見て見ぬふりをしてその選手及び担当指導者にも不利益を与え、潰してしまうか、他球団に逃げられるのが現実なのです。現場の監督が個々の指導者達の肩書通りの業務をさせて挙げられないのは、監督自身にトータルマネージメント力が無いので個々の指導者の能力も引き出せないと判断するのが妥当です。

このような現実にフロント球団の体質も同様なので、誰もがコーチ達のいい加減な業務を、見て見ぬふりをするので一貫した指導体制が取れない大きな問題の要因が此処にあるのです。

球団経営者は、現場で行われている現実を知る由もないので、「指導体制を一元化して横断的な指導を行う」等とよく聴くセリフです。しかし、これ程無責任且つ抽象的な表現は、勝負の世界で通用する事はないのです。それでは、何故個々の指導者、コーチに肩書を与えるのか、与えられたコーチの責務は誰がどのように何を基準に評価、査定されるのか。よってコーチに対する査定も無く、全員1年契約なのです。監督を含めて全指導者は、総合コーチの肩書で担当肩書は無用だと思います。このようなコンセプトでは、プロスポーツの組織として成り立たないのです。

球団の貴重な財産である選手個々は、誰の指導を受ければよいか、誰の言うことを聴けばよいのか、これでは選手に対しても指導者に対しても責任の所在がないので、誰の言うことを聴いておけば試合に出してもらえるのか、良く思われるのかと世渡りを指導しているようなものが現実に現場で起きていることを全く理解できていない経営者の発言なのです。

しかし、MLBの球団組織と日本のプロ野球球団組織とは、根本的な違いがありますので、CEO,オーナー制度の比較対象になり得ません。この違いに付きましては、機会が在りましたらご紹介します。

6.オーナーは自身の発言に責任を持つ事が大事

この度の球団内の編成部門に関わる人事を球団のオーナー、読売新聞社社長がスポークスパーソンになり、広報責任者がやる業務に口出しするのは如何なものでしょうか。

前回の「まとめ」で既に述べさせていただきましたが、この状態に於いて、先ず刷新されるべき大事は、読売新聞社TYGは、独立した別法人としたのですから、実質的に伝統的な天下り人事を行うのでなく、球団経営陣の過半数読売新聞社及び関連企業役員とされても、残り役員を外部から招き入れ、球団をこれから支える真に実力のあるエキスパート達(ビジネス部門、医科学部門、渉外部門、国際部門、広報部門、等)を厳正な審査の上雇用して実力主義に雇用体系を改善する事が、本球団の活性化と将来の発展の為には、重要不可欠なベースボール・アドミニストレーションの基本だと確信しております。

この球団は、この骨格が非常に不透明で優柔不断な人材の集合体である事から、全てのことがフェアーでなく、最終的には責任のなすりつけ合いが生じ、不都合な結果に対しては誰かをスケープゴート化する体質が絶えない球団組織となっていると思われます。

即ち球団内にデイシジョンメーカー(球団内で起きる全ての決断が出来る決定権者)がいないのです。これは、スポーツ・アドミニストレーションの視点から申し上げますとプロスポーツ競技組織としての致命的な最大の弱点であると思います。

このような球団組織では、日々勝敗が決まる組織に於いて対応が仕切れないと申し上げている次第です。球団内の各責任者達が、自身の責務を遂行するに当たり、いつも読売本社の顔色を伺いながらの日々の仕事では、話になりません。このような人材ではなく、堂々と自身の職責、責務を敏速に遂行できるプライドを持った人材を配置、雇用しなければ競技スポーツの日々の勝敗に対応しきれないと申し上げるのが筆者の論理です。

どうか筆者の論理が利害、利得を優先される方々には、不快を与えたことを末尾にお詫び申し上げますと共に、ベースボール・アドミニストレーションのモデル球団として、日本の競技スポーツ界、大学競技スポーツ界のよき手本となるように心より期待し、そう願う次第です。

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:大変厳しい辛辣な言葉を使用しましたが、本球団の立て直しには、避けて通れない最大の関門であることをご理解頂けましたでしょうか。本ブログが公開される頃には、既に新しい体制も発表されている事と思われますので、本BLOGをご笑読して頂きながら現実を対比して頂きますれば、物事の本質が透けて見えてくるのでないでしょうか。

K'sファイルNO.71:G高橋由伸監督辞任に思う 無断転載禁止

 

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K'sファイルNO.71G高橋由伸監督辞任に思う 無断転載禁止

 

        恒例の読売劇場開演の季節

若き指揮官のプロ野球人生の始まり、そして辞任

先ず初めに

筆者は、19971231日に東京読売巨人軍(略:TYG)を退任致しました。実質的には、確か1997918日の読売新聞社水上勉会長、渡辺恒雄オーナー、長嶋茂雄監督兼編成統括常務取締役の紀尾井町(日本料理店)での三者会談翌日と記憶しております(本件に付きましては、Gファイル、長嶋茂雄と黒衣の参謀、文芸春秋社武田頼政著に掲載)。小職が退任前の97114日に逆指名権を使って入団した選手は、高橋由伸選手(慶応大学)でした。そして、翌19984月に彼はプロデビューとなった次第です。

ビジョンなき球団の犠牲者

高橋由伸選手のプロ野球人生の始まりは、余りにも悲劇的と表現するよりは、むしろ異常な記者会見であったというのが適切かも知れません。本来プロ野球選手の入団会見は、おめでたい祝いの席の筈です。しかしそれが、物静かで品のよい高橋選手は、顔色は優れず、頬を少し腫らし、身体は震え、目を潤ませながら怒りとも思える感情で会見を始めたのです。それもそのはず、会見に臨む前日、前夜、そして当日の朝まで某ホテルの一室で父親と激しい葛藤を繰り広げたのが原因だったようです。野球ファンの皆様は、当然入団したかったヤクルトスワローズ球団にお世話になる選手だと想像されていたと思います。

当時、筆者は同年1231日でTYGとの契約期限が終了するため、同年のドラフト、逆指名、等に関わらず静観していた時期でした。よって、私のTYG在任の最後の年に、入れ替わりで彼は入団したのです。高橋選手が入団するまでの経緯、人間関係、出来事は、ある程度理解していましたので、今後、起きるかもしれない出来事に対しこの球団の誰が彼を守ってあげられるのだろうか、と今後を予測しながら後ろ髪を引かれる思いで退任致した事を記憶しています。プロ野球選手としての最後は、これまた自分の意思では何ともならない球団、親会社の論理で強制的な引退に追い込まれたのも御承知の通りです。

 監督就任要請は経営者誤算による副産物か

高橋由伸選手が、強制的に監督職を押し付けられたのが3年前でした。

此処で強制的にと表現致したのは、同選手には入団会見以来球団、読売本社からの要望であるなら「NO」が言えない事情が担保されていたのだと思われます。当時は、原辰徳監督の社会的な不祥事、事件が発覚後、グレーな球団イメージをさらに色濃くして行った不祥事、事件が選手達にも起きていた時期でもありました。その為、経営者は、一日も早く腐食したイメージを取り除こうとする焦りがあったのだと推測します。

球団経営者は、原監督の後釜にはずっと早い時期から松井秀喜氏を監督にとあらゆる手段を講じて準備されて来ていたのは皆さんもご推察の通りです。しかし、当の松井氏が首を縦に振らない状態が今日も続いている事から監督問題に付いては、行き詰まっていたのが正直なところだと思われます。

松井監督擁立プロゼクトの大きな誤算は、二つあったと考えられます。

一つは、天下の読売本社渡辺恒雄氏は、「俺が声かければ松井は受ける。そして欲しい物があれば何でもくれてやる」的な発想がその根底にあったと思われます。その例が、国民栄誉賞であったように思われます。また、此処は出番との如く、長嶋茂雄終身名誉監督と松井氏の間柄をやけにマスメデイアを通して誇張表現を用いていたことなども挙げられます。もう一つ大事な事は、渡邉氏及び、長嶋氏は、松井氏が2002年12月に東京読売巨人軍退団を決意した真意をよく理解されていないのでないかと筆者は推測致す次第です。

マスメデイアを利用しての不可思議

本件に関してマスメデイアは、長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の関係性を事あるごとに「強い師弟関係」と強調し、TV、マスメデイアは商品化までしてしまっているようです。

そうであれば、何故長嶋氏は松井氏に「巨人に戻って監督をやれ」と言わないのか、その一言で松井氏は監督になっていたと思うのが自然ではないでしょうか。

私は、当時監督補佐を兼務させていただいていましたが、特に長嶋監督が松井選手を特別扱いした事も無く、全ての一軍選手達は、監督の支配下選手として平等に公私共に接していたことを確認致しております。時折、思い出したかのように遠征先のホテルの自室に呼び、バットを振らされている光景は確認していましたが、松井選手だけでも無かったと記憶しております。

松井選手は、自らの強い意志でTYG在籍中9年間(初年度を除く)、週3回、身体のメンテナンスとバッテイング練習、スローイング指導は、休むことなく市川繁之氏(PTPNF)に指導、ケアーをして頂いていました。これは、打撃コーチも野手コーチも勿論監督も公認でのことです。マスメデイアが長嶋、松井両氏の関係を取り立てて「強い師弟関係」と何故誇張するのか大分無理があるように思います。誰かがこの表現を捏造しているように思えてならならないのです。

この程高橋由伸監督は、監督就任して3シーズン終了前に辞任を申し出る運びとなりました。彼のプロ野球人生は、親会社であるマスメデイア企業の論理に翻弄され続けているように思えてなりません。一体高橋監督は、いつが来たら自由な身として解放されるのでしょうか。本球団は、今尚日本の古い伝統的な制度を活用しているのかも知れません。これは、何か一昔前にNHKでドラマ化された「おしん物語」を思い出さされます。

高橋監督は、前監督のような、巨人軍選手として前代未聞の女性問題、金銭問題、等の不祥事件を起こし、何のけじめも付けずに球団顧問として残り、高橋監督辞任発表の数日後に監督復帰を受託するような人物ではないと思います。

高橋監督こそ、TYGの模範となる信頼できるプロ野球人であると心から称賛致します。しかし、今後また前任者同様に球団の肩書を受けて、自由を拘束される立場に置かれるのであれば、高橋由伸氏の不自由は永久に不滅なのかも分かりません。それは、彼の運命(Destiny)なのかも知れません。

彼の優しさ故の悲劇

事の発端は、東京読売ジャイアンツ(略:TYG)入団時にボタンの掛け違いをしてしまったからではないでしょうか。当時の会見時の悲壮な様相が今尚、彼のプロ野球人生を狂わせた始まりであったように思えてならないのは、筆者だけでしょうか。

プロ野球人生の門出に高橋選手は、家族の負の遺産を継承したがために彼は負のデステイニー(運命)を背負い込むことになったようです。これは、最終的に彼自身の優しさが招いた身内内での出来事だったのかも知れません。既にヤクルトスワローズ球団への入団の意思を決めていたにも関わらず、その思いを反故にして、何を得たのでしょうか。以来現役時代から今日迄に彼の清々しい笑顔を見たことが無く、何か心の深層にいつも蟠りを持った表情が大変印象的な選手でした。人として、選手としては、素晴らしい人物に違いないと思います。しかし、いつもどことなく物静かで寂しさが付きまとっているような姿が印象に残っています。彼は、自分の意思では何ともならならい柵(しがらみ)に縛り付けられてプロ野球選手としての時間を過ごしていたような気が致します。彼の柵は、今後解き放たれるのか、自らの意志で解き放てるのか。是非、一日も早く自分の意思を自由に表現できる世界で羽ばたいて欲しいと願う次第です。これからの彼の動向が物語ってくれると思います。

天才打者としての才能 

高橋由伸選手は、幼いころから他の野球少年の多くがそうであるように、父親の強い影響を受けて野球に打ち込んできたと聞き及んでいます。

同選手は、日本のプロ野球界よりむしろMLB向きの選手であったと思われます。同選手は、巨人軍の伝統的なカラーに向いていなかったと表現した方が理解し易いかも知れない選手でした。何故なら彼は、幼いころから人から強制されたり、慣習に縛られて自身の意思を抑圧されたりするような環境、人間関係を嫌う性格だったのではないかと推測します。高橋選手は、自主性を主体とする球団色の強い球団、組織の方が彼の個性をよりポジテイブに伸ばせたと思われます。

巨人軍は、伝統的にコーチングというよりもテイーチングを主体とした球団です。プロと呼ばれる指導者は本当に限られ、多くの指導者達は教え魔と言われるような自身の経験、体験だけを選手に押し付けるタイプ、常に何か教えていないと気が済まないタイプ、怒鳴り声を出すのが良いコーチと思っているタイプで、休むこともトレーニングの一環であるという医科学的な知識の無い人達が多すぎる事です。これらの指導者のことを、筆者はよく壊し屋さんと呼んでいます。

高橋選手には、このようなタイプの指導者は必要でなく、何方かと言うと選手が聴きに来れば指導する、聴きに来るまで静観する。そして、その選手の個性を発展させるための得意な事をより一層得意にさせてくれるコーチング手法が向いていると思われます。

彼の天才打者としての才能は、スポーツバイオメカ(運動力学)とモーターラーニング(筋力学)からの理論と実践を既に中学時代に会得していたのかも知れません。

そのメカニズムは、「体幹のひねりを利用し、遠心力を活用し、自身のパワーを最大限にバットに集約し、バットのヘッドスピードをMAXに上昇させて、無駄な力を失わずにボールを強く、遠くに運ばす原理」を彼自身がこれを会得したのか、素晴らしいコーチングにより導き出されたか、或は相互作用からかも知れません。

この科学的な動作解析のキーポイントは、バットのトップの位置からスイングを開始する際に、下半身(特に骨盤)の始動を早める事で上体と下半身に感覚的なズレが生じることにあります。このズレが自然にコーデイネートできることで、無駄な力(Strength)を上体に入れずに合理的なハイパワーを安定供給できる論理なのです。即ち一般的に言われる「ため」と称せられるものです。

高橋選手は、この力学に合致したスイングを兼ね備えていた選手で、この「ため」を会得している事で、身体にもスイングにも無理、無駄無くボールを遠くに飛ばせ、ミート率も高かった訳です。残念であった事は、同選手の天才的なバットコントロールを支える身体のメンテナンス、コンデイションニングを行う専門家がいなかったのか、或は天才に良くある強い意識を持って学ぶ姿勢がなかったのか、向上心がそれほどなったか、故障が多発していた報道を聴くに付けて残念でした。ひょっとしたら、このスイングを維持する為の腹筋力と背筋力のバランスの維持を間違えられたのかも知れません。

松井秀喜選手と異なる点は、技術、身体のコンデイショニングの専門家の市川繁之氏(PTPNF)が居てくれたのと大きな違いがあったと筆者は、確信を持っております。

監督辞任の決断 

日本のプロ野球ファンは、敗けると監督に罵声を浴びせます。これは正しいマナーでありません。阪神も巨人も球団は、伝統的な体質です。

テイームが勝てない理由は、監督のみあるのではなく、大部分は監督を推薦した人、任命した人の責任なのです。即ち、球団フロントのツケと結果がシーズンの終了と共に訪れるのです。監督としての資質を見極められなかったのも、その監督を勝つ為にサポートできなかったのもこれまた球団フロントと経営者達なのです。勝ち負けは、これらの産物として理解された方が賢明かと思われます。

コミュニケーションは、サポートをする為の初歩的な一つのスキルなのです。また、コミュニケーションは、この積み重ねが信頼関係を構築するCOREでもあります。

高橋監督の就任後で、最も監督をサポートしなくてはいけなかった球団フロント体制、特に同監督擁立から一体となって邁進して来た堤辰佳GMをいとも簡単に切ってしまう親会社は、何ともし難い本球団の本質的な問題とお察し致します。

高橋監督就任以来、先日の辞任発表まで、同監督がダッグアウトで都度ポケットからメモ帳を取りだしメモしていた姿は、非常に同氏の置かれた立場と真面目な心情、性格を物語っていると思われます。監督は孤立していながらベンチでのメモ取は、何の為であったのか。

監督就任要請を本社から持ち込まれ、発表までに大変時間を要しました。舞台裏で会話が非常に長かったのは、何か選手時代のことで球団との事務処理に手間取ったのかも知れません。経営者達は、同氏を「裸の王様」で就任させ、このような結末に追い込んだ責任は計り知れないと思います。

プロの世界は、勝ちか負けしか結果として残らない。彼は自身に監督としてのトータルマネージメントを、自分が出来るか否かの判断する機会されも与えてもらえなかったのかも知れません。また、彼を監督にさせた球団経営者は、彼にトータルマネージメント力が備わっていると思われたのでしょうか。私は、そのような眼力がある経営者が居たのであれば、このような事態に陥る事は無かったと確信します。

同監督には、ベースボール・アドミニストレイターを付けてあげなかったのか、或はそのような配慮、気配りができる経営者が1人もいなかったのかも知れません。その為に堤GMより鹿取義隆GMの方が仕事が出来ると判断されたのか、その判断された方自身がベースボール・アドミニストレイターとしての観察力、洞察力が欠落している人物であったという事でしょう。いずれに致しましても、高橋選手は、監督就任をお断りしたかったが、経営者の論理がその何倍も強かったので断れなかった、というのが就任、辞任の真相なのかも知れません。

まとめ

この度の高橋由伸監督辞任に際して、山口寿一オーナーは「やはり監督経験者で無ければ無理だと言うこと」と述べられました。これは、高橋監督自身は辞任と言っていますが、事実上の解任と理解した方が正解である事を裏付けていると思われます。そして、このオーナーの発言は、今後禍根を残す一言にならない事を願う次第です。

今や、日本プロ野球界では多くの球団が、未経験の監督を擁立しています。この度の山口オーナー発言は、今後TYGでは監督未経験の人材にはオファーは行わないと宣言されたように思いました。

本来、1軍監督は、現役選手引退後2軍、1軍の指導者経験を重ね、社会経験の機会も与え、人心掌握が出来るスキルを要した人物が適任者です。しかし、日本のプロ野球界は、そのような育成システムも無く、経営者は、現役時に人気のある選手を営業優先で監督にさせる慣習を伝統的に継承していると思います。

高橋監督は、監督就任から辞任までの間、本当にお気の毒なぐらいに彼の手足を球団フロント、経営者が引っ張ったのでした。監督就任後、球団フロントは、堤辰佳GM体制で新監督を迎えました。そしてスタートと同時に選手達の賭博事件、傷害事件、窃盗等での逮捕、等々とそれに対する球団内での老川祥一オーナー、堤GM辞任で読売劇場は留まるところを知りませんでした。そして、昨年6月鹿取義隆GMの就任に続き、本年度は山口オーナーの誕生と落ち着く暇も無く、この度の高橋監督辞任劇、それに伴う鹿取GMの解雇、岡崎スカウト部長の解任とこれではプロ野球球団組織としての体を成していない見本市の状態です。

このような組織の最大のウイークポイントは、プロフェショナルのベースボール・アドミニストレイターが居ないということであり、まさにその事が白日の下に証明されるわけです。球団の経営、運営に対するビジョンが無いために、毎年ジャイアンツ丸は、東京竹芝桟橋埠頭を出奔するのですが、いつまで経っても羅針盤が無いので有視界での東京湾めぐりは出来ても太平洋の航海には出られない状態と説明させて頂いた方がよく理解できると思われますが、如何でしょうか。

筆者は、山口新オーナー誕生に伴い、旧態依然の淀んだ政事、人間関係、人材の整理と整頓、プロフェッショナルな人材の育成と配置を期待致しておりました。しかし、現実のアドミニストレーションは、期待を致しましたベースボール・アドミニストレーションではなく、会社内の人事異動を恙なく取り行っているように思えます。山口新オーナーは、今尚主筆渡邉恒雄氏のご意向を伺いながら政事を司り、外向きには長嶋茂雄終身名誉監督のご威光を活用しながら「調整役」を演じ、あちらに伺いを立て、こちらの了解を得るという実際は秘書的な役割のオーナー職なのかも知れない事が、彼の言動、行動から透けて見える次第です。

筆者は、山口新オーナーの時代には読売新聞社東京読売巨人軍との間での伝統的な天下り人事を行わないことを強く要望します。そしてまた、真の独立したプロフェッショナルな競技スポーツの組織・団体としてのグローバルスタンスで、勇気を持ってビジネス・アドミニストレイションを断行して行く絶好の機会とタイミングであると思います。山口新オーナーは、筆者の真意が本K’sファイルを通して伝わる事を切に願う次第です。ご健闘を祈っています。

高橋由伸氏とご家族に平和と自由が訪れますことを切に祈念致しております。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:本K’sファイルでは、東京読売ジャイアンツをテーマにしたベースボール・アドミニストレイターとしての視点で掲載させて頂いておりますのでご笑読頂きますとより深層が理解され易いかと思われます。ご参考までに、NO.59,60,61,62,63をご参照下さい。

K'sファイル:お知らせ

お知らせ

K’sファイルNO.71G高橋由伸監督辞任に思う」は、10月18日、木曜日に公開させて頂きます。テーマは、恒例の読売劇場開演の季節としました。

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

K'sファイルNO.70:財団法人日本バレーボール協会の体質 無断転載禁止

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K'sファイルNO.70:財団法人日本バレーボール協会の体質 無断転載禁止

 

 第二弾 競技大会の主体は協会OR広告代理店?

何故毎年日本で国際大会を開催

松平康隆会長時代の功罪として今尚継承されているのが、この毎年開催される国際大会です。当時、国際バレーボール連盟(略:FIVB)の会長であったアコスタ氏(メキシコ)がバレーボール界に於いて強い権力を有していた時代です。

松平氏は、丁度公益財団法人日本ボレーボール協会(略:JVA)の会長職に在りFIVBの副会長として、次期会長職に興味を持たれていると囁かれていた時代でありました。そこで、松平氏は、懸命にアコスタ会長に貢物を試みていたわけですが、日本の広告代理店とTV局に協力をさせ、日本国内で国際試合の興業を行い、その収益をFIVBに貢いで、アコスタ会長のクレデイット(実績、功績)にする。それが今日まで継続している日本での主要国際イベント開催の舞台裏なのです。

①政事とマネージメント力

丁度この時期は、小職がNEC SPORTSでスポーツ・アドミニストレイターとして運営、管理を致しておりました時でした。松平会長がFIVBのアコスタ会長を連れて、NECの社長に面会を求められ、来社の際には何故か小職に社長からバレー界の状況と意見を求められた記憶があります。この来社の趣旨、目的は、FIVBが新しい世界リーグ構想を仕掛けており、そのワールドワイドスポンサーとしてNECに冠スポンサーになって欲しいとの事でした。いわばスポンサー獲得の為のプレゼンテイションのような来日、表敬訪問、来社でした。

当時、NEC男女バレーボールは、日本リーグVリーグで常勝軍団として存在しており、この件は松平氏のアイデイアで在ったとその時直感しました。

社長から意見を求められましたので、「NECが世界リーグのスポンサーになられても、NEC SPORTSには何のメリットもございません。何か美味しいお話はございますか」と笑顔で逆に松平会長にお聞きした事を覚えています。何故ならば、小職は、本件とは別に当時NEC SPORTSを短期間で特定の強化スポーツを日本一にして欲しいという事が業務委託内容であったからです。

後日、NECは、数年間の約束で本リーグの冠スポンサーになる事を発表した次第です。

②操り人形化して行く「ニッポン・チャチャチャ」

金の力で主要国際大会を日本に引き寄せ、その興業収入の60%をアコスタ氏率いるFIVBに貢ぐ。近年は、この構図とシステムが今日尚JVAFIVBとの間で前例となり、継承されているか、或は、この前例を広告代理店が巧みに利用しているのかも知れません。本イベントを継続している事は、ビジネスとして成立している証なのです。この様なFIVBとの取引に於いて、JVAは、どのようなメリットがあり、またデメリットを背負っているのかに付いて考察して見ました。

アコスタ氏は、大の親日派として知られた人物でしたが、それは、日本にお金があり松平氏が貢物をしてくれるからでした。

今日に於いてもワールドカップや世界選手権、グランドチャンピオンシップバレー、五輪最終予選、等主要な大会の多くが日本で開催されています。これらは、最大の収入源となるジャパンマネーがFIVBに入るからです。ジャパンマネーは、FIVBの経営母体をも支えているのです。他国では、開催招致すら難しいのがバレーボール競技大会のマーケットテイングの歴史と現実です。

日本のテレビ局と国内での国際大会との関係:

①世界選手権大会予選 フジテレビ

アジア選手権 日本テレビ

③ワールドカップ予選 フジテレビ

④ワールドリーグ フジTVTBSが交互に放映。CS放送もあり

⑤ワールドグランドチャンピオン(グラチャン) NTV 4年に1

ネーションズリーグ 男子TBS、女子NHK 毎年開催 

アジアカップ TBS

⑧世界選手権大会 TBS

⑨ワールドカップ フジTV 4年に1

⑩オリンピック予選 フジTV

(テレビ局バレーボール国際大会広報より)

 

③日本テイームへのメリットはあるのか

この国際大会をホストする見返りとして、日本テイームに、有利な裏工作が年々露骨になりだします。

読者の皆様にも疑念を抱いている方がいらっしゃると思いますが、日本テイームの試合開始時間を常時ゴールデンタイムに固定し(TV局、広告代理店の都合)、対戦相手を決める抽選会、どの予選ブロックに入るかの枠決め、ルールを変更する事、等もあるようです。これらは、表向きにはホスト国の特権だそうです。

主催国権利として出場権を与えられる事だけではなかったという事ですまた、リベロ制、ラリーポイント制の導入も、日本のテレビ局のためのルール改編であったとも言われています。また明らかにそこまでやるかという運営がなされているのは、日本テイームが決勝戦に出場できないので、日本の出場する順位決定戦の前座として、何と大会の決勝戦が行われるなど競技スポーツのフェアネスは、このようにして捻じ曲げられているのです。

国内のスポーツマンシップ云々を唱えている関係者の方々は、これらの行為をどうして黙認しているのでしょうか。或は、権益に自らが関わるので全く知らぬ、存ぜぬ、なのかも知れません。現在の日本の競技スポーツに於いてのスポーツマンシップとは、死語に等しいと思います。

誰がこのようにしてしまったのでしょう。よくスポーツマンシップ云々を公言している方は、その方自身がそうでない人物の可能性が高いかも知れません。読者の皆様は、今後この発言をされる方を観察されるとなるほどと理解されるかも知れません。真の情報が国民、社会に届かない社会こそ悲しい現実です。

このように見た目には、日本テイームにメリット(有利)として作用しているかに見える事が実は、このような事が成される程、日本テイームがFIVB及び日本のTV、マスメデイアによりスポイル(甘やかされている)されデメリット化している事に協会関係者は長年誰一人気付こうとせず、今日までこのような罪が毎年エスカレートしている要因の一つでもあるようです。このような一件メリットのように見える行為が最終的には、日本の指導者、選手達の耳にも情報が入り、プライドを無くす可能性があり、競技スポーツの本質が失われて行って居る事に早く気付いて欲しいと願わずにいられない次第です。

日本テイームを有利にするための指示、指導は、誰によって成されるのかは、毎年各大会が異なるTVマスメデイアがスポンサーとなり、放映している為か、TVマスメデイアは知っていても表に出す事が無いのが実態です。しかし、TV局は、毎年異なってもJVAと広告代理店は変りません。国際大会の運営、管理は、FIVBJVA、広告代理店、TV局の同意がなければ成立しないと思われます。

このような事からも、日本の男女代表テイームの現場では、スポイルされている事に気付かず、一層関係者達の仕掛けの深みに入って行きテイーム力も低下し、弱体化に歯止めがかからない状態に陥っていると思われます。読者の皆様は、日本に於けるTV、広告代理店ビジネスとスポーツ競技イベントの関係に付いて少し理解して頂けましたでしょうか。本K'sファイルの読者の皆様は、段々と競技スポーツ、スポーツ競技イベントの映像が今迄と異なる観点、視点で観戦できるのではないでしょうか。

④対戦国からの不満は

この様な恥ずかしい舞台裏の国際バレーボール大会に対して、対戦国は、どう感じどう対応しているのかを筆者の知り得ている範囲内でご紹介します。

対戦国からの不満は、大きく分けて二分されます。

1.読者の皆様も耳にされた事があるかと思われますが、世界のバレーボール界でランキングが低いテイームからは、露骨なクレームが大会関係者に寄せられているのは事実です。その例として、日本テイームだけ何故予選から午前開始の試合、午後開始の試合が組まれないのか、どうして夜の試合のみに設定されているのか、これはアンフェアーな大会である。との指摘が昨年もありました。これは、正常な競技スポーツ関係者ならば誰しもがそう感じると思います。

2.バレーボールの古豪、強豪国のテイームからは全く対照的な逆な反応を直接伺っていました。

口頭での回答:

毎年日本で開催される国際大会は、どれも最高レベルの大会です。世界中で日本は、一番のバレーボール事業(ビジネス)に成功している国です。我々は、年に一度日本で開催される国際大会に招かれ、全ての費用は大会側によって負担してくれます。此れが他の国での開催では、各国テイーム側の負担となります。此れも大変ありがたい事です。そして、何処の国に行くより日本に行くとその待遇は桁外れです。我々は、このような豪華なホテル、食事、送迎、観光、等と全くクレームなどあるわけがありません。

我々の目的、目標は、オリンピック大会で金メダルを取る事にあります

その為に年に一度日本で強豪国と手合わせが出来、ライバル国のスカウテイング、自分達のテイームのコンデイショニングが確認出来る事は非常に大事な事なのです。そして、選手、スタッフ達に英気を養ってもらう事です。

これ以上な年に一度の贅沢な合宿(キャンプ)をさせてもらって文句など言うのは筋違いです。依って、日本テイームにどの様なホスト国としてのアドバンテージを差し上げても誰も文句を言う国もテイーム関係者も無い筈です。

文句言うテイーム監督が居たらそれは、低いレベルの勝てないテイームなので気にしない。我々が予選、本戦が午前中、早い午後であっても全く問題ない。日本テイームがTVに合わせたプライムタイムであっても、そんな事は問題でない。日本テイームには、好きな様にやってもらって下さい。だが、これをオリンピックでやったら我々は黙っているわけにはいきません(笑)。

まとめ

筆者は、この話を真面目に聞き、やはりそうであったか、彼らは全てのからくりを知っていて紳士的な対応をしていたのかと、事の次第を確認した次第です。小生も笑い飛ばしましたが、此の回答は、現場を預かるバレーボール・アドミニストレイターの非常に正直で貴重な回答と意見であったと思いますJVAFIVB側がやっている全てを各国はお見通しで、ジャパンマネーを逆に彼らのテイームの強化に活用している事を教えてもらったわけです。しかし、これは世界を冠する国際大会としては、正常な運営、管理でないと申し上げます。日本での国際大会の趣旨、目的は、誰の為にあり、こんなアンフェアーな大会である事を視聴者、観客たちは果して理解されているのでしょうか。

逆にスポイルされて行く日本テイームは自らの首を自らの手で締めて行く、その姿を日本のJVAの有給役員、指導者達が何も理解できていない事の方が愚かなのかも知れないと思い知らされた次第です。井の中の蛙大海を知らず、にしてしまった大罪人は、何処の何方なのでしょう。

筆者の素朴な疑問

K'sファイル「NO.69の筆者の視点」で述べましたが、日本女子バレーボールテイームの初代女性監督の中田久美監督と外国人コーチ(アクバシュ氏、32歳、トルコ)との関係と役割がバレーボール・アドミニストレーションの視点で申しあげますと、非常に不自然且つ合理性に欠ける状態に思えてならないのです。

問題は、中田監督が試合中コートに立ち指揮、指示を出していない事です。イヤホーンを付けてタブレットを持って、選手を鼓舞しているだけのように見受けられる事です。前回も申し上げましたが、筆者は、外国人コーチが全軍に対しても、個々の選手に対しても全ての指示、指揮(通訳を介して)を行っているように思えてならないのです。監督は、何故前面に出て強いリーダーシップを取ろうとしないのか不思議です。読者の皆さんはお気付きですか。

もう一つの疑念は、外国人コーチの役割が何故か紹介されない、どうしてなのでしょうか。TVアナウンサーは、懸命に中田ジャパン、中田ジャパンと連呼しています。そしてアナは、中田監督が何を言った、中田監督のこれがバレーボール、中田監督が云々と、何か勝手にアナウンサーが大声を上げているのが実に幼稚に感じるのですが、如何でしょうか。試合会場での中田監督は、テイームの蚊帳の外という感じです。何かお気の毒で心中をお察しいたします。

ゲームは、コーチのアクバシュ氏(32歳、トルコ)が全軍を指揮、戦術を個々に与えて監督として役割を担っている様です。アクバシュ・ジャパン?

映像は、アナが何を語ろうが正直です。何故、映像の事実を元に同コーチの紹介、テイームへの指揮、指示の事実を伝えられないのでしょうか。全く蚊帳の外の中田監督の姿の映像は、何度もアップされても感情が押し殺されて説得力も無く、かえって虚しく感じるのは筆者の錯覚でしょうか。

此れでは、前回の男子監督に日系米国人のゲーリー佐藤氏を推薦、任命して短期間で解雇した協会の前例が思い出されます。この度は、日本人監督の中田監督がこの犠牲者にならないとは限らない様相です。

外国人監督、コーチには、莫大な年俸が約束されているようですが、何故今回も指導者を招聘する場合の基準、役割、等の情報公開をしなかったのか。また、現在女子テイームのゲームでの指揮権、指示権が、同コーチに移行しているなら、協会執行部は、記者発表をすべき重大な問題です。同コーチは、スコアラーでもありません。

残念ながら同コーチの過去の実績、キャリアはどうであったのか、どのような役割と必要性から協会は、日本人コーチでなく同コーチをトルコから招聘したのか情報公開をする必要があったのでないかと思われます。同コーチに女子テイームの試合での指揮権、指示権を与えるに相応しい指導者、管理者なのか、非常に不明瞭な状態で現在大事な大会が進行していることに素朴な疑問を感じます。

バレーボール・アドミニストレイターの視点

女子テイームのスタッフのロール(役割)は、明確に明文化して中田監督がそのロールに同意しているのかどうか非常に重大な問題です。同意しているのであれば、中田監督は、職務を履行していない事になり、よって監督としてのコートに立つ必要性も無いのです。このような優柔不断なテイーム指導、管理体制にした日本協会の強化本部及び責任者は、結果がどうであれ事前のミスを犯している事になります。

筆者は、TVの映像を拝見させて頂いて中田監督だけがテイームの蚊帳の外にいるように思えてならないのです。

このような状態で、大事な世界選手権を運営、管理する事は、バレーボール・アドミニストレーションに重大な問題があると思います。このような事は、本大会が終わってその成果と結果を見て述べるのは誰でも述べる事ができるのです。本テイームの編成の担当者、管理者に大きな問題があると思います。

選手達は、ゲーム中外国人コーチの指揮、指示通りに行動している事から、協会強化本部から、また中田監督からも指導、指示に従うように指示が出ていると思わざるを得ません。真剣勝負の筈の国際試合に於いて、監督とコーチの業務上のフェイクは、不必要且つ危険なアイデイアのように思われます。

アクバシュ氏(32歳、トルコ)は、4年前にトルコ女子代表監督に就任、ルーマニアCSMブカレストの監督も兼ねているという情報が入っています。トルコ代表監督を何故辞任したのでしょうか。まさか日本協会が表向きは、コーチとして莫大な年俸をオファーしていない事を願う次第です。女子強化本部の中には、私が見つけて来たと自慢しているとの情報も入っています。

日本バレーボール協会は、本件に付いてのロールを明確にした方が賢明ではないのでしょうか。何故ならば、公益財団法人日本バレーボール協会には、莫大な公金を強化の目的で活用している事を忘れてはなりません。中田監督は、今後もコートに立っているだけが業務と使命なのかを協会は明らかにする必要があると思います。監督は、自身の業務を明確にされた方が賢明ではないのでしょうか。本件は、重大且つ今後に大きな禍根を残すことになるのでないかと危惧しています。

筆者は、純粋にバレーボールに全エネルギーを傾注して代表になっている選手達、テイームに成果と結果を残して欲しいとの願いと、日本で初めての女子代表監督としての中田ジャパンを決してギナペット(お飾り監督の俗称)にしてはならないと苦言を述べさせて頂いております事をご理解頂けましたら幸甚です。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:

NO.70は、如何でしたでしょうか。主に現在大会が進行中の為女子の話題を述べさせていただきましたが、読者の皆様の温かい声援を期待しています。男子に付きましは、機会が在りましたらお伝えできたらと思います。

 

K'sファイルNO.69:公益財団法人日本バレーボール協会の体質 無断転載禁止

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K'sファイルNO.69:公益財団法人日本バレーボール協会の体質 無断転載禁止

            無断転載禁止

 

 第一弾 スケルトン(背骨)無き競技団体の宿命

先ず初めに

1964東京五輪での結果が歴史に語り継がれている日本バレーボール界の栄光は、今日、遥か過去の夢物語と化してしまった感があります。読者の皆様は、バレーボールと聴いて何が頭に浮かびますか。日本バレーボール界の再建はおろか、ファンの思いと期待は裏切り続けられており、何時まで経っても応えられない原因は一体何処にあるのでしょうか。読者の皆様とともに現実を客観的に考察してみたいと思います。

TVエンターテイメントと化した男女バレーボール

筆者の瞼と脳裏に先ず浮かぶのは、このシーズンです。「ニッポン・チャチャチャ」と叫ぶジャニーズ事務所の芸能タレントさん達。その掛け声に合わせ、テレビ中継がこの季節が来ると定時午後7時に開演されるシーンです。このイメージは、既に何十年も続いているように思えてなりません。そして、観客席では、バレーボール競技にあまり興味も理解もなさそうな若者達を集めて、お祭り騒ぎが繰り広げられている情景が印象的です。

これらは、TV、広告代理店の番組プロモーション活動を兼ねた一つのトリック手法なのです。これらの演出は、番組視聴率の向上がその主たる目的なのは言うまでもありません。それは、裏を返せば純粋にバレーボール競技だけでは商品価値が低いので演出効果に頼らざるを得ない、即ち勝てないテイームでは視聴者、スポンサーが満足しないという視点と判断によるものです。しかし、これは、スポーツ・アドミニストレーションの観点からすれば、真の競技スポーツを冒涜したフェイクなのです。

読者の皆様は、毎年日本で何故こうもタイトルに世界が付く国際大会が開催されるのかと疑念を抱いている方も多いのではないでしょうか。これにより日本テイームは、アウエイ(外地)で闘う機会を失っている事も弱体化の大きな要因の一つとなっています。

国際大会の競技スポーツとしてのバレーボールが、番組宣伝、広告宣伝の為であり、また芸能タレント達のプロモーション活動を兼ねた、ビジネスマーケットをその主とし、本来の競技スポーツの熱戦が従の関係にあるのが、近年の日本の男女バレーボール大会での代表テイーム、選手の置かれた実情ではないかと思われます。誠に本末転倒したバレーボール国際大会は、また今年も日本に於いて開催されているのです。入場券を購入して、入場している観客の実数は如何ほどなのか公益財団法人として情報公開の義務があると思います。何か色違いのウインドブレーカーを着せられた生徒、学生達がテレビカメラの向く席に、動員されているような様子が伺えるのは筆者の錯覚なのかも知れません。

この度のKsファイルは、読者の皆様からのご要望とも重なり時事のテーマとしてバレーボール競技を取り上げました。

②筆者がバレーボール競技に関係した背景

筆者とバレーボール競技との関係は、米国の大学で教鞭を取っていた1970年代当時にまで遡ります。スポーツ・アドミニストレイターとしてメジャーの大学競技スポーツのみならず、全米大学競技スポーツ協会(略:NCAA)主催事業の運営、管理に携わっており、当然男女バレーボールテイームにも関わっていました。

当時の日立USA社長より大学側に日本の日立テイームが米国遠征をしたいのでご協力とお知恵を拝借したいと連絡がありました。小職が日本人でもある事から大学の窓口となり、ホスト役を務めた事が日本バレーボール界とのご縁でした。当時、日立テイームの監督は、山田重雄氏、アシスタントコーチが米田一典氏、吉田敏明氏でした。

その後、小生が西武・国土計画で野球担当秘書と米国の大学職務とを兼務していたころには、既に日立監督の山田氏から堤義明社長に西友で女子バレーボールテイームを設立して欲しいとの話が進展して居たようです。しかし、当時はプリンスホテル野球部の設立や、西武ライオンズの設立が決定し始動していた関係で、山田氏は堤社長にお会いするのは難しい状況でした。そこで、ある日国土計画に私を訪ねて来られ事情説明を受けたのですが、その日のことがまるで先日のような気がいたします。

それから数年が経ち、日本に於いては、1985年から2005年まで、企業スポーツとしてNEC SPORTSが誕生。そこで小生は男女バレーボールテイームを含む8つの競技スポーツを預かり、全日本、Vリーグに於いては、スポーツ・アドミニストレイターとして運営、管理をさせて頂きましたことから、日本国内外のバレーボールに深く関わっていく事と相成った訳です。その当時、NECの経営者からは、先ず短期間で日立女子バレーボールテイームに勝って欲しいとの強い要望を受けました。そして過去に何度もお目にかかっている山田氏率いる伝統の日立を破り、確か3年目から「NECの時代」に移行させる事に成功しました。さらには男子バレーボールや、女子バスケットボール、ラグビーでもNEC時代を迎える事に成り、振り返ってみますとこれも何か運命の悪戯のような気さえします。

③野心はあるが実践力が無い協会長及び責任者達

1990年代前半まで、公益財団法人日本バレーボール協会(略:JVA)には、我が国のバレー界を支えて来た2人の巨頭が君臨していました。その1人が、松平康隆氏(男子ミュンヘン五輪監督、JVA会長、国際バレーボール連盟FIVB副会長)で、もう1人が山田重雄氏(元女子五輪監督、日立女子バレーボール監督)です。お二人に続く強烈なリーダーシップを発揮できる人材は日本バレーボール界には現れず今日に至るも成果と結果が思うように出ていないのが皆様ご承知の通りの実情です。

松平氏の後1995年から今日の嶋岡健治会長までの間に6名の協会リーダー(会長職)が誕生していますが、記憶に残る改善、改革を成された方は見当たりません。その都度起きる権力闘争の繰り返しは行われても、真に選手、指導者、バレーボールの競技力向上に対する改善、改革を能動的に示された人物は皆無に等しいと申し上げても過言ではありません。日本の競技スポーツ界の悪しき伝統の一つに、有能な若手の指導者、管理者を育てない事が挙げられます。これも権力闘争の為の犠牲と化している象徴と言えるのではないでしょうか。

④強烈な歴史を変革するようなリーダーは居ないのか

本協会の最高責任者たる会長は、短期間で交代する事に大きな問題の元凶があると考えられます。これは、裏を返せば、組織、団体としての内政が不安定である証しともいえるでしょう。

JVAを支えている団体の一つに一般社団法人日本バレーボール機構(略:JVL、通称:Vリーグ機構)があります。Vリーグ機構を支えているのは、長きに渡りバレーボールテイームを持って今日も尚運営、管理している会社、企業です。

Vリーグは、当時より将来のプロ化を前提にして一般社団法人とされたのですが、残念ながらJVAに強力なリーダーの不在と各企業間の役員達が将来の自分達の名誉職としての居場所を求めるが為に協力体制を強化できず崩壊し、プロ化の準備室も解散された次第です。

会社、企業テイームには、大部分の男女バレーボール選手が所属し、選手達の生活の糧はこの企業がサポートしているのです。即ち、JVAは、各企業で雇用している選手達を代表テイームとして招集して各国際大会でプレイをさせて興行し、そして収益はFIVBJVAが吸い上げて行くシステムが伝統的に構築されているのです。

日本体操協会と異なる点は、JVAの役員の多くは、有給である事です。また、その中のバレーボールテイームを持つ、会社、企業から執行で協会役員を務めている人達も居り、その所属企業がその執行人に生活の糧を与えているのも事実です。しかし、近年は、段々と会社、企業の環境、状況も変化し好きなバレーボールの世界でお遊びさせておくわけにもいかず、会社、企業に引き上げて戻る役員がいるのも現実です。

JVAのこのような会長以下の執行部体制は、内部の権力闘争にエネルギーを使い、彼らの本分の職責、責務に対するビジョンも実践力も伴わない中途半端なバレーボール・アドミニストレーションが日々なされている事が、本協会及び、全日本テイームが成果、結果を残せない大きな要因の一つであると申し上げてもいいのではないかと思います。

筆者の視点

日本では、初めて女子ナショナルテイームの指揮官に女性の中田久美氏が採用されました。女子テイームには、女子の監督が理想的です。しかし、そのテイームをサポートする部隊が僭越ですが、力不足のような気がします。優秀なサポーテイブな人材が居ても協会執行部の好き嫌い、派閥によって真に能力ある人間には役を渡さない。日本の競技スポーツに携わる組織、団体でよく見掛ける、指導者育成、養成の機会を与えず個人の権益を守ろうとする負の遺産の様です。

この度の大会でのコート内での指揮、戦略、戦術に於いて、中田監督の立ち位置は、どうなっているのか、また外国人のアシスタントコーチを要しているようですが、試合中の全軍へ、個々への指揮、指示系統は、アシスタントコーチにより出されている様子を見るにつけても、このテイームは、本当に中田監督のバレーボールが出来ているのかと疑念を持った次第です。また、外国人アシスタントコーチの為にコミュニケーションは、通訳を介して選手達、監督に行われています。此れでは、指揮官としてのゲームに於けるトータルマネージメントが行き届かないと思います。

幸い日本には、元米国女子ナショナルテイームを率いてオリンピック大会、世界選手権大会でメダルを獲得した優秀な日本人指導者が居ます。この指導者は、英語力もありバレーボール界の国際感覚も兼ね備えた優秀な指導者、管理者です。このような人材が居ながら、協会は、何故中田監督のアシスタントとして、或は女子強化本部長としての人選を怠ったのでしょうか。筆者は、本大会の初戦、第二戦をTV観戦しながら非常に強い疑念を抱かざるを得ませんでした。

此れでは、折角初の女性監督を擁立しても此のままでは潰してしまうような気がしてならないのは私だけでしょうか。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:次回NO.70は、何故バレーボール主要国際大会は、毎年日本ばかりで開催するのか。日本テイームのメリット、デメリットに付いて、読者の皆さんとその素朴な実態と疑問を少し深く検証して参る予定です。