NO.11 河田弘道の限られた体験より:日本の大学の経営者と管理者

NO.11    河田弘道の限られた体験より:日本の大学の経営者と管理者

                    Ⅰ:大学選びは慎重に Ⅱ:私立大の経営基盤と情報公開の必要性

 

I.大学選びは慎重に

    これからの日本の大学選びは、過去のような「何処の大学に行かせたい、何処の大学に行きたい」の外見だけでなく、「何を学ぶ為に誰にどのような指導を受けたいのか、その指導者は何処の大学に行けば出会えるのか」の時代に来ていると確信しました。その指導者との出会いにより、高額な授業料の評価価値が決まると申しても過言でありません。如何でしょうか。もうみなさんは、選ばれる側でなく、選ぶ側に立っている事をお忘れなく。みなさんに適した指導者は、机上の論理だけでなく、実践の裏付けがある指導者選びが肝要です。先ずは時間をかけてリサーチしてみて下さい。皆さんは、大学の舞台裏をあまりにも知らなさ過ぎます。

    現在、各大学で行われている学生獲得合戦の為のプロモーション(オープンキャンパス、過大広告宣伝)活動は、出迎えから見送りまで全てに於いて顧客獲得に対するセールス・プロモーションの一つであります。出迎えから見送りまで笑顔で、懇切丁寧に「おもてなし」して下さったお姉さん、お兄さん方は、入学後ひょっとしたら実在しない人達かも知れません。しかし翌週、他の大学のオープンキャンパスに出かけると同じお姉さん、お兄さんに出会うかもしれませんね。これらは、コンサルタント会社が関わって、学生達を指導、誘導する場合が殆どなので、出迎え、見送りのお姉さん、お兄さんに惑わされない様にしましょう。私は、派手なプロモ活動、広告宣伝を行わない地味な大学に信頼を感じています。大学を選ぶ視点は、オープンキャンパスにあらず。

    また、模擬授業と称したデモンストレーションは、オープンキャンパス時に受けてもそれはあくまでデコレーションであります。本当は、学期中に実際に講義授業を聴講させて頂く事の方が大事です。これは、私が模擬授業をさせられた体験からの見解です。これから大学側には、受講生に対する模擬授業のデモでなく、学期中の授業を公開する勇気と企画が必要です。受講生側は、大学ガイドブックに偽りがないかどうかまで調べるべきです。何故ならば、入学してから日本の大学は、他大学への編入、転校のシステムが閉ざされていて、著しく難しい構造になっている事をアドバイス申し上げます。

    そのためには、高校時代から将来の進みたい進路へのリサーチを怠らない事が肝要です。何の目的、目標も無く、ただ単に大学に入って卒業さえすればよいと考える本人、父母諸氏は、今の時代、授業料さえ納入すれば喜んでそのレベルの大学に迎えてくれます。しかし、そのような大学の殆どは、ただ授業料を運んでくれさえすればよいとの経営者、管理者達が多い事を入学前に気付くべきです。

大学選びの初歩は、「自分は、この大学に何を期待し、何を求めて行くのか」と自問自答してみる心の準備が先ず必要かと思います。これは、私自身が日本の私大学で教鞭をとらせて頂いた指導者の立場と経験で感じた真摯なことでした。

    小職は、日本の二つの環境と規模、そして伝統の異なる大学で約10年間、大変貴重な教員体験をそれぞれでさせて頂きました。各大学に於きましては、それぞれ素晴らしい個々の学生達との出会いに恵まれました。また、素晴らしい教員指導者、職員もいらっしゃいました。

  このBlogテーマで申し上げます事は、あくまで私の限られた環境と職責でそれぞれ体験、経験をした私見であります事を前提とさせて頂きますので、誤解無きよう参考にして頂けましたら幸いです。

 

近年の私大学の教育機関に在籍する学生諸氏は、大きく四つに分類されると思います。

①一つは、幼い頃から受験勉強に取り組み、その結果として数値により選別をされた大学に行き在籍する学生。大多数の学生はこの分類に入ります。

②二つ目は、幼い頃から受験勉強を強いられたが持続できなかったか、或は、最初から受験勉強をする興味も意思も無かったが、父母、周りが大学に勧めるので入れてもらえる大学に入った学生。これは、①に次いで多い。

③三つ目は、幼い頃から遊びとスポーツ、競技としてのスポーツ、その他が大好きで競技選手、プロを夢見、オリンピック選手、等を夢見て学業を疎かにした為に、受験勉強をやらなかった学生。これらは、三番目の分類に属します。

④四つ目は、学生選手としての競技レベルが高く、特殊な方法で入学許可を受けた一部の学生、名実共に文武両道の力を持った一部学生は、実際に存在する事を確認しました。

以上、大多数の学生達は、上記の分類のどれかに位置すると思います。

  此処で申し上げられます事は、①の学生のように幼い頃から受験勉強を自らの意思で、或は強いられ、競争の世界を味わった学生と②の学生のようにあらゆる推薦入学制度を活用、利用してきた学生(受験経験の無い学生を含む)は、明らかな違いがあります。

②の学生の中には、少数ですが、自身の能力に気付かず指導、注意を受ける機会に恵まれず、才能を開花せず怠慢な環境に同化して何も気付かず、楽な学生生活を日々過ごしている学生も含まれています。これらの学生達は、出会う指導者により大きく好転する可能性を秘めている事を体験しました。

①には、受験という競争の日々を過ごした結果、目標としていた大学受験に 失敗し、不本意にも現在の大学、学部に在籍して、目標を見失っている学生達も、多く見かけました。しかし、そのような学生の中には、入学後、学内の興味のある専門科目、教員に縁あって出会う事により将来の進路と才能が開花され、現在会社、企業で大活躍されている履修学生、ゼミ生達に出会いました。

③に分類されます、学生の大多数は、大学での講義授業を午後の部活の為の 休息の場として利用して、遊びの為の部活、競技スポーツの為の部活をする為に授業料を大学に寄付し、施設を借りて遊ぶ為に部費を払い、学生コーチと称する部員の管理を受けて疲れて帰る学生達です。

  このような事から、私は、各担当科目の履修学生達に毎年「課題レポート」を与えました。その結果は、①に属する一部学生②③に属する大多数が大学に来る以前から、入学後も目的意識を持たず、その為に目標も無く、アルバイトと部活の為の大学生活を送っているというレポートが数多く見受けられました。

 学生達は、それでもなぜ高額の授業料を払い、部費を払って遊ばせてもらう為に大学に通うのでしょうか。このような現象と現状は、何処から醸成されるのかとふと考えさせられます。

  私は、時々受講生達に話すのですが、「米国の学生の83%以上の学生達は、高校を卒業すると親元を離れて独立します。大学教育を受ける意思のある学生は、自ら働きながら1単位$ドルで講義授業を買うのです。この事からも大学の授業を疎かにする学生達を見つけるのが困難」。皆さんは、米国の学生達との違いをご存知でしたか。と、いつもこの話に受講生達は、驚き驚嘆するのです。何故驚くか皆さんは、お判りでしょうか。

 講義授業の受講中に朝から寝たり、男女が私語したり、野球帽子を教室で被り、スマホを授業中に机の上に置いて楽しんだり、イヤホーンを付けて音楽聞いたりしている光景、姿は、大学で学ぶ以前の問題を抱えている学生達です。これらの学生達は、精神年齢も幼く、大学生と呼ぶに相応しくないと断言します。また、他の担当教員達は、このような学生達に何も注意を与えたり、指導したりしないという事を受講生から教えられ、信じられない今日の高等教育機関の現場であることも知って於いて下さい。

  私は、いつも講義をしながら日本の大学生のご父母が汗水たらして働き、我が子を大学に通わせている姿が目に浮ぶので、少なくとも私の講義授業を受講する学生達には、社会人になるに当たっての責任感を持たせる意味でも大学生としてのモラルと礼儀、その自覚だけでも最低限、身に着けさせようと妥協せず、粘り強く指導して参りました。

 このような大学生達は、父母が授業料をいくら銀行振り込みして、明細がどのようになっているのかも知る由もないのです。このような学生達には、個々の自立、自己管理を解いたり、問うたり、目的、目標を求めたりする側が問題なのかもしれません。

  このような環境の教育機関は、学生に入学許可を与える大学側に問題があるのか、このような大学機関を選んで来る側に問題が在るのか、或は、このような教育機関に大学としての許認可を与え、何の精査も指導もしないで、毎年多額な国民の税金を私学助成金として拠出する文部科学省の無責任体質に起因しているのか、大きな課題と現実を突きつけられた思いがしました。

                                文責:河田弘道

*次週、Ⅱ:私立大の経営基盤と情報公開の必要性 予定