NO.15 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

 

NO15 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍        無断転載禁止

         Ⅲ.ベースボール・アドミニストレーションの基軸

 1.GMは、編成の統括責任者:

     GMの職責、責務を明文化せよ~

    球団の経営、運営、管理には、大きく二つの基軸が両輪となっている事を先ずご理解下さい。一つ目は、原材料(選手)を購入して商品化を行う編成部門。二つ目は、商品化なった商品(選手、テイーム)をビジネス化するビジネス部門です。

    この度、本BLOGでのテーマは、この基軸の一つ目の「原材料を購入して商品化を行う部門」です。即ち本部門は、専門的に編成、運営、管理を司る「オペレーション・マネージメント」業務部門に付いてです。

    この部門の統括責任者は、皆さんが近年よく耳にしますゼネラル・マネージャー(GM)と呼ばれる方なのです。本名称は、球団社長、球団代表、編成本部長、等々の名称で皆さんには現在もお馴染みの肩書ですが、近年、メジャーリーグMLB)の影響を受けて名称だけでも真似した肩書なのです。二つ目のビジネス部門には、ビジネス・マネージャー(BM)なる統括責任者が職責として居るのです。

    ジャイアンツ球団に於きましては、つい先日代表兼GMがシーズン2か月余り経て突如解任されたのは記憶に新しい出来事です。この球団には、何故このような事が起こりえるのかが、今回のテーマに大きく関連している要因の一つなのです。

   本球団に於いては、代表兼GMと球団との間に於ける契約書なる物の存在は、存在していないと思います。それは、あくまでも親会社と事業所(球団)の関係に於ける人事異動と位置付けているからだと思われます。よって、GMは、職責にも責務があって無いに等しいのです。此れでは、プロとしてのGMの職責でなく、単なる肩書を与えられた1サラリーマンにすぎないのです。このような球団は、プロフェッショナル球団と言い難い経営、運営、管理がなされている様子が伺えるかと思われます。

     この度、突然新しく任を受けたGMには、球団と本人の間にGMの職責に対する責務が明文化され、その職責を全うする為にどんな権限が付与されているのか、告知出来る契約書であるかどうかも今後の業務遂行に大きな影響を及ぼすのです。

   このGMの職責に対する責務と権限が明確に明記されることにより、GMは、フィールドの監督、コーチ、スタッフ達の業務委託契約書にも職責に対する責務を明確に明記し、約束事を双方で遵守して初めてフロント、現場の責任体制が明快に確立することになるのです。丁度、現場のコーチ達は、肩書が在っても実際に於いて肩書に伴った権限と責務が与えられていないので、誰も最終的な責任は問われないのと同じなのです。

本球団のベースボール・アドミニストレーションには、プロのビジネスとしての責任の所在を明確にした球団組織である事が急務だと思います。

   責任の所在が明快であり、それを担保する契約書がある事は、本球団の構造改革の第一歩であり、本来のプロ球団組織としての体を成すのです。このような構造的な問題を抱えている組織では、フィールド現場に於いて若手選手を育成、商品化するシステムを語る以前の問題を抱えていると思われます。

  このような契約書の中身が無い場合は、責任の所在も問えないし、評価基準が無いに等しいのです。本来は、職責、責務は重く、球団は、GMの能力に託されていると申し上げても過言でありません。

 2.プロフェッショナルGMのあるべき姿:

 GMの職責と業務とは~

    例えば、本テーマのような問題は、本年度シーズンを迎えるに当たり、昨年、一昨年のシーズン終了後に、全担当コーチ(一軍、二軍)、監督からシーズン終了の業務報告書の提出を義務付けているのか、いなかったのかは、プロとして重要な業務の一つなのです。

   その報告書から球団の編成を司るGMは、分析後そのシーズンの結果からどのような選手を、即戦力としての補強が必要か、中・長期ビジョンの補強が必要か否かを精査、検討しなければなりません。この時期には、最終的にこの球団テイームのコンセプトとビジョンに沿った修正仮説を立て、即次年度用と中・長期用の企画書を自らの手で書き上げる能力も本来GMの重要な業務と責務として求められるのです。

   そして此処でGMは、必要な戦力としての選手が何処まで成長しているか、鈍化しているかの状態を数値化する事で選手本人、指導者個々に説明し、理解と説得が与えられるのです。此処で、各担当コーチの契約書に明記されている責務が果たされていたのかどうかの評価、査定もなされるべきなのです。また、シーズンの結果から自軍の弱点箇所を精査検証し、次なる補強に付いては、球団スカウト部長と入念にすり合わせをする事になります。その上で補強に関する結論は、GMが決断し、業務課題を専門部署に説明、指示を与えます。スカウト部長は、GMが出した最終決断を担当スカウトマン達に伝達、スカウテイングの戦場にスカウトマン達を解き放つのです。

    2017年度シーズンは、16年度シーズンオフに先ず年度のシーズン状況を総合的に分析して、シーズン企画書に基づいたベースボール・アドミニストレーションが出来たか否かの検証をする事が大事です。その検証を基に次年度の企画、プランニングを立てるのがより現実的なのです。

   その為には、GM、及びテイーム監督は、本企画書、プランニング書を共有し、明確に遂行する強い意思と意識が必要であります。今シーズンを迎えるに当たって、GMは、シーズン前のオフの過ごし方、選手のメインテナンス、キャンプの企画、計画書の作成、オープン戦(プレシーズンゲームの意味)の現場の状況判断、フロント判断を総合して4月の開幕から10月のシーズン最終戦までの実践マニュアル(航海図面)を完成する必要があります。

   また、今シーズンをロングタームとショートタームのゴール設定、補強、準備、を行ってきているのであれば、今シーズンの様な前半に13連敗致そうが、全くガタガタとGMを途中で交代させる必要はないのです。何故なら、GMは、シーズン前の企画時に、現テイームの戦力と監督の実践経験、個々のコーチングスタッフ力から、常に最悪のシナリオを想定していなければ真のGMと言い難いからです。そして、大切な事は、シーズン開幕後、対戦相手が一巡した段階で、シーズン一回目の企画、計画に対する検証とそれに対する修正が必要なのです。

 此処で、GMの洞察力、眼力が問われるのです。此処でのチェックを怠ると今シーズン仕出かした不名誉な記録を醸成する事になるのです。また、GMは、本企画、計画をシーズン前に球団経営者会議で説明、了解を得ておくこともGMのマネージメントの一つです。

  このような準備が、今シーズンの巨人軍には、出来ていたのでしょうか。GMは、準備を整えていても、各担当部署の責任者の能力の問題で遂行出来ていないのであるならば、その担当者の責任は逃れられません。最高経営者は、新GMにどのような権限とパワーを与えているか否か、新GMの技量と度量もこれから試されるので興味深い所。

 GMは、職責、責務を理解しているか~

 私は、本球団での経験、体験者の1人ですので、去ったGMの心中察すると心が痛みます。特に、去ったGMは、親会社から来られた今迄の方々と比較しても誠実で対人関係も素晴らしいとの評価を内外から入って来ていました。

 しかし、球団の屋台骨であるべきGMが、親会社の社員の身分でプロのベースボール・アドミニストレーターは、務まりません。何故ならば、GMは、プロに移籍する時点で、親会社を退職され、GMとして球団と契約し、本職責に就任するべきであったと思います(退路を断ってプロとしての重責に臨む覚悟の証)。 

 この基本的なスポーツ・アドミニストレーションのコンセプトが既に間違えているのだと思います。二足わらじは、身と生活の安全を担保しますが、片やプロの厳しい業務を遂行する為には、脇が甘くなるかと思います。此れも、プロのスポーツ・アドミニストレーションの辛い厳しい環境と重責なのです。

 これ程有名選手の人気集団であります球団、テイームは、新聞社、テレビ局に取りましてこれ以上ない商品価値であったわけです。これらは、マスメデイア企業のビジネスとして欠く事の出来ない彼らのコンテンツなのであります。

 巨人戦がマスメデイアのキラーコンテンツであった時代は、1994年のメイクミラクル、96年のメイクドラマで完結終了してしまったと申し上げても過言でありいません。その証は、TV視聴率の年間平均が23.5%を推移していたことであります。現在のTV視聴率は、如何でしょうか。

 その後、巨人軍は、TVキラーコンテンツに成りえていない事が残念でなりません。しかし、まだ、組織の構造的な改革をドラステイックに出来れば、次世代に相応しい新しいキラーコンテンツが誕生する可能性を秘めています。現在は、全てに於いて中途半端なベースボール・アドミニストレーションと言えます。会社・企業、組織では、最高経営者及び経営陣の創造力次第で発展も衰退も可能であります。その何れかを選び決断するのは、最高経営者なのです。

  此の度のGM人事に於ける新GMは、職責を理解し、どのようなビジョンを持って、どれ程の期間で成果と結果を出せるのか楽しみです。少なくとも3シーズンは、チャンスを与えて挙げて欲しいと願う次第です。 

                      文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

 

*次回テーマには、例として「落合博満氏の監督としての成功とGMとしての失敗」、も含まれています。お楽しみに!