NO.17 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

NO17 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

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Ⅴ.プロ野球の指導者に何を求め期待するか

 1.監督がお飾り的な場合:

有能な競技者は、有能な指導者にあらず~

    以前本BLOGでご紹介いたしましたように、オリンピックのメダリスト、代表選手は、その競技種目で競い合った最高の勝利者、勇者として認められ、称賛されるべきです。しかし、日本の社会では、残念ながらこのような競技選手を、即優秀な指導者、人格者でもあると、また教育界では、スポーツの専門家(オーソリテイー)と称せられ、優れた教育者である。と誤った考えで評価をしてしまう慣習がある事を忘れてはなりません。読者の皆さんは、如何でしょうか。

     このような評価は、まさに迷信に近い思い込みであります。このような万能の評価をされるアスリートは、居ないとは申しませんが奇跡的な存在である事もまた確かです。このような優れた競技選手が、指導分野、部門で活動、活躍を望まれる場合は、先ず希望する専門分野、部門で十分な知識と実践を習得した上で、できればその専門分野での資格を得ることを薦めます。優秀なスポーツ競技者は、優秀な万能者でないのです。何故ならば、殆どの競技者達は、自ら特化した競技種目という世界での競技を通しての経験、体験と限られたものです。いわば、社会で申しますスペシャリストです。

  このような競技選手が監督、指導者になり指導を遂行する事は、自らの経験的な指導を強いるのであります。ジャイアンツの一軍、二軍の監督、指導者は、自身の選手時代の経験を活かして指導していますが、自らの経験が全ての選手に当てはまるものではありません。

 選手達は、顔かたちが個々それぞれ異なるように、異なる身体の構造、能力、異なる精神力、精神構造を持って居ます。その潜在的な能力をポジテイブな指導により、引き出し、導き出す事がコーチング術(スキル)です。例えば、自分は、この方法で成功したが、その方法を他の選手に押し付ける事は、その選手にその指導方が合っていない場合が多く、壊すことは出来ても、コーチングをした事にはならず、かえって球団の財産である優秀な未来ある選手を潰してしまっていることに、気付いていない事が問題なのです。

 ましてや、個々の選手のコンデイショニングの知識も無く、唯強制的にやらせる指導法を持ち込み全体練習を最優先するような質より量的指導は、コーチングという指導論理とは対極の指導法であり、これでは、個々の若駒は育てられないと思います。

 勿論、ごく少数ですが、指導者の中にも、選手時代から独学で専門知識を学び、自らの実践に取り入れ成功されて、現場で日々活躍されている指導者も居ることも事実です。

  このような現実から、プロの監督、指導者には、選手を引退され指導者になる以前にテイーチング及びコーチングの専門知識を先ず修得して頂きたく思う次第です。本来なら、日本プロ野球機構(NPB)、選手会組織は、セカンドキャリアの養成の一環として、専門的な指導者指導、養成を行える機関を確保し、運営、管理する事が必要かと思います。即ち、これは、日本プロ野球界の選手の障害予防、健康管理、指導者スキルの向上に繋がる事に何故気付かないのか残念でなりません。 

 球団の財産である選手を指導するに当たって、球団は、コーチとしての能力、適性、資質があるかどうかの独自の適性基準と評価基準が必要です。特にGMには、適性の見極めをする物差しが無ければ、選手を育てる担保が確保できないと思います。

 

契約雇用制度の有効活用~

 有名人監督を任命する場合は、実質的マネージメント面に於いて高いリスクが伴います。これを遂行する場合は、必ず両脇を固める意味に於いて、有能な強い信念を兼ね備えた補佐役を配置する事がリスク軽減に繋がります。

 このような人物を監督、指導者に据えた場合は、就任後も指導者の職責、責務を逸脱した言動、行動を起こしすい事も事実です。その為に、軽率な選手への指導が選手を壊し、それが原因で今日も放出した選手が後をたちません。全ての選手に自らの経験のみを押し付ける指導方法は、間違いの根源となっているようです。また、コーチングスタッフ達の多くは、長年の慣習でバーチカル・ソサエティー(ピラミッド型の上下関係の社会)が確立されているので、上ばかりを見ての保身術を磨いても、コーチングスキルを磨かない悲しい現実を先ず改めて欲しいです。

  その為には、契約雇用の意義と目的を明確にする事が大事です。契約は、双方の信頼と尊敬の証としての担保です。この担保が在って初めて、指導者は、指導成果の評価と査定がなされ生活の糧が得られるのですから、真剣に日々指導力の向上に努め、成果をだすよう業務に取り組むべきです。

 日本のプロ野球球団には、本職責、責務をグレーにした状態で現場を運営している球団が多く見かけられます。それでは、何故各球団の指導者個々に担当業務の肩書が与えられるが、その肩書の成果と結果の責務が問われないのでしょうか。不思議なベースボール・アドミニストレーションです。

 これは、我が国の伝統的な社会に於ける雇用制度に欧米型の契約雇用制度がプロ・スポーツ界に導入されました。この契約雇用制度は、責任の所在を明確にすることも重要な特徴であります。しかし、この特徴を有効に活用できていないのが現実の様です。

 

リーダーたる気配りの必要性~

 監督、指導者は、壊し屋さんです。と呼ばれない為にも素晴らしい内外の指導力のある人材に目を向け、指導を受け、学ぶという謙虚な姿勢が、必要であると思われます。  例えば、「誰それ監督、コーチは、誰それ選手を一流に育てた」なんてマスメデイアがよく一面に掲載していますが、それらには確かな根拠も無く、その指導者の商品価値を高めようとするマスメデイアのトリックに過ぎないのです。 

 その監督、指導者は、「実はそれは私でなく、誰それ氏のお蔭なのです」との素直な気配りさえもありません。これは、実に悲しい事です。この気配り一つで、球団内での指導者間の競争力が芽生え、指導部門に於ける競争の原理を導き出せるのです。此れも指導者へのコーチングの一つなのです。

  実力の無い指導者は、このようなシステムを望みません。多分多くの指導者達は、嘗て選手時代の名声で選手達を威圧する事をコーチングだと勘違いしているのかも知れません。私の経験から申し上げますと、本球団と監督の間には、GMと球団のそれと同様にこのようなビジネルライクな取り決めがあるとは思われませんし、球団とコーチとの間の肩書の責務がグレーである事が中途半端な指導体制になってしまっているように思えます。此れこそがプロの選手を育てられない大きな要因の根っこの一つだと思います。 

                      文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

 NO.18 では、「巨人軍での9年間、松井秀喜選手の努力と真の指導者」をご紹介します。驚かないで下さい。本BLOGに初公開!