K'sファイル:NO.33 大学箱根駅伝は誰の物PART Ⅴ.Ⅱ.もう一つの大学箱根駅伝の素朴な疑問~

 

K'sファイル:NO.33 大学箱根駅伝は誰の物 PART Ⅴ.

無断転載禁止

注:今回を持ちまして、本課題、テーマの連載は、終わらせて頂きます。

  いつも河田弘道BLOGをご愛読頂き感謝申し上げます。次回は、

  新たな課題とテーマでスタートを予定しています。皆さまが希望されますテーマが

       ございましたらお知らせください。

 

         Ⅱ.もう一つの大学箱根駅伝の素朴な疑問~

 1.大学と学生選手の関係:

学生とは、

此処では、「学生とは」が明文化されていない学校教育基本法、また統一されない日本の大学競技スポーツの競技以外での規則、ルールに付いての実情を取り上げます。

このような状況下、大学競技スポーツは、規則、罰則の下で勝敗が決せられます。しかし、競技以外には、規則、罰則が無いに等しい状態の為、学生選手の扱いが公平(フェアー)でない事が最大の問題の一つであります。

特にこの度のテーマの箱根駅伝(他の競技スポーツも同様)では、これが顕著になり学生競技スポーツの根幹を崩壊させる危機が迫っていると申し上げても過言でありません。

 此処での問題は、「学生とは」何を持っての定義(Definitions)がないために、日本人学生選手に対しても、外国人選手に対しても、大学法人の理事長の見識如何によりいかようにも「学生」の定義が捻じ曲げられているのが我が国の大学のスポーツ・アドミニストレーションのお粗末な実態なのです。この事は、日本の大学競技スポーツを運営、管理するに当たり最重要な問題の一つである事を是非理解して頂きたく思います。

 例えば、箱根駅伝の主催者規約の出場資格(第4章:本連盟競技者資格、第10条、第11条)には、本連盟の競技者は、次の要件を満たさなければならない。となっています。

①本連盟加盟校の学生でなければならない。

②学生の範囲は、学校教育法第90条に定めた学生、及び第91条の・・・

本連盟が認めた大学等の学生とする。

③前項の加盟校競技者は、その在籍期間中本連盟に登録する事が出来る。

以上が連盟の競技者資格です。このような大雑把な規則では、活用者側に抜け道もありますよと告知しているようなものです。

 重要なポイントは、この学校教育基本法90条には、それでは「学生とは」何を持って学生と判断するかの定義が明記されていないのです。

この事に付いて、私は、複数の大学の管理責任者にお伺いしましたが、何方からも回答らしき答えを頂けませんでした。そこで、文科省の関係者に直接お尋ねいたしたところ、その担当者曰く「文科省は、各大学法人に大学設置の許認可を出しているので、その大学の大学法人が、この人物を当大学に入学する事を認める、と承認したらその人間は、その時点でその大学の学生として認められる」とこれが回答でした。

 私は、この回答を受けて「文科省の役人は、大学設置の許認可を出すだけで、あとは知らない」と言っているのと同じであると理解しました。

それでは、各大学法人の理事長(各大学の理事長は、現理事会の過半数、及び三分の二の理事を味方に付けている証)が、大学の授業を受ける能力も、単位取得の能力の無い人間、或は、能力が在っても講義授業を受ける意志の無い人間を学生、学生選手にさせたいがために入学を認める事が、多くの大学で常態化している昨今、文科省は、何と回答するかを問い質したら、「文科省は、そこまで手が回りません」との回答でした。私は、これ以上問い質す気にもなれず呆れ果てました。

 此れでは、学生、学生選手のレベルのみならず、わが国の大学の資質の格差が各大学の経営者の資質と見識次第で、一層進行して行くのは目に見えています。特に大学競技スポーツに於きまして、スポーツ・アドミニストレーションの資質が向上、発展しないのは、「此処に根っこ」があるからではなかろうかと確信に近付けた思いが致します。

文科省スポーツ庁の役人は、プロトコールの役目もなさない事が明確になりました。これでは、歯止めが利かないわけです。

この重大な「学生とは何を持って学生と認めるか」を明確に規定しない限り、将来の日本の教育、スポーツに光は見えてこない様に思われます。先ず問題の起点は、此処から始まっていると思いますが、読者の皆さんのお考えは如何でしょうか。

 先ず留学生選手問題とこれを模倣した日本人学生選手が急増し、本来の正直な学生選手達は、アンフェアーな大学競技スポーツ活動を強いられている事をご存知でしょうか。

留学生選手問題に付きましては、決して大学の門を閉ざす事を意味するのでなく、門は大きく開いている事が前提です。何処が問題なのかを申し上げます。

 わが国の外務省移民局、文科省、大学当局には、「外国人留学生に対する留学及び、学生の定義(Definitions)」が明文化されていないのです。よって、各大学法人が必要と認めた外国人に対して学生査証(VISA)を発行してしまっているのです。此れでは、テロリスト或はその予備軍がスポーツ選手として入って来ようとすればいとも簡単に入学できるのです。

事実として、大学箱根駅伝を走らせるために大学法人は、身体能力の高いアフリカの選手を買ってきていると申し上げて過言でありません。留学生に関わる関係大学及び関係者は、アフリカと日本の文化交流だとか、大学スポーツの国際交流だとか申していますが、これらは、全て大学に連れて来る為の建前論(屁理屈)でしかないのです。嘗て、NHKは、本件を美化し、ドラマ化していましたが呆れた話です。

 その証として、大多数の留学生選手達は、日本の大学教育を受ける能力のない留学生が大半です。当然、大学の講義授業に顔を出しても午後からの練習の為の休息、朝寝、昼寝タイムとしか理解していません。日本人学生選手のマネをしているのか、そのように指導されているのか、授業に出ても講義が子守歌に聴こえるのかは、別問題です。今日では、伝統校までも助っ人導入に手を染めている状態はご承知の通りです。

留学生選手達は、勿論所属大学の特待生で授業料、生活費、小遣い付きで、母国への航空券代も加味されています。また、大学側は、これらの選手を確保する為には、プロの紹介人を介してアフリカから連れてくるのですから、当然ながら仲介手数料として選手一人に対して300万円から400万円が相場である事も業界では知られています。既にこの事は、一昨年、昨年と数回マスメデイで紹介されていたのも事実です。このような外国人選手は、企業スポーツにプロとして契約して競技に参加するのであれば何の問題もないのです。

 このような事は、30数年前から既に始まっていました。それがやがて男子のみならず、女子選手も仲介人経由でいろんな日本の高校に紹介され、そして大学へ、最後は、実業団テイームの会社、企業に売られて行くネットワークが作られるようになりました。1年で日本生活に耐えられず帰国する選手もいます。しかし、即その大学は、仲介者の手を借りて新たな助っ人を10月の箱根駅伝予選会に間に合わせます。

現在の箱根駅伝規則では、外国人を2名登録できるが公式にレースに出場できるのは1名で、もう1名をスペア―と考えているのです。一体日本の教育機関、教育者は、何を考えているのでしょうか。

 現在では、箱根駅伝出場に程遠い大学が、アフリカからの選手を同じ手法で購入して走らせるのです。その大きなメリットは、大学の広告塔として、毎年10月の箱根駅伝予選会までもがテレビ実況中継され、先頭集団を走る事で広告価値は、特待生の費用、仲介料の経費を上回るとの試算があるからでしょう。

 私は、留学生を拒んでいるのでありません。全加盟大学に共通したルールブックを作成して、各大学は、皆さんで作った規則、ルールを守るための誓約書に同意され、違反行為に対しては毅然としたペナルテイーを与え、受託する事が前提であれば、留学生問題、日本学生選手問題も問題なく解決して、皆にフェアーな大学競技スポーツを構築できると確信しております。

但し、日本の大学に留学を希望するなら、大学で講義授業を受けられる日本語能力がある事が大前提で、その能力があるかどうかの物差しとなる留学生への日本語検定試験は、必要不可欠である事をルールブックに明記する事が必要であると申し上げます。

日本人学生選手には、純粋に箱根駅伝を目指して勉学に練習に取り組んでいる沢山の学生選手達が居ます。このような学生達に対して、心無い教育者、経営者により出場資格枠が奪われ、不利益を与えている事を何と考えているのでしょうか。

 

2.大学の学生選手へのリクルート活動:

 大学から学生選手へのオファ~(条件提示)、

近年は、大学と学生選手の間の需要と供給のバランスが崩れてしまっている状態が続いています。大学側は、リクルートするに当たって学生選手を四段階にランクを決めているようです。

①特Aランク選手:

何処の大学もが欲しくてたまらない商品価値の高い選手を意味しています。このランクの選手達及び父母達は、プレステイージの高いとされる大学から引く手数多であり、そうでない大学には目もくれない様子です。

このような学生選手達は、売り手市場となっているので此処での最終オファーにより父母も我が息子、娘の行き先を決めるのです。オファーの中身は、各大学それぞれです。最後の決め手は、他大学に比べて特別な内容が加味されているかどうかなのです。

例えば、冬の競技種目で女子学生選手が「推薦入学、特待生、強化費別枠、父親の大学職員として特別待遇で迎え、大学授業は出席しなくても良い、卒業証書も確約、等々」とこれが大学経営者、大学教学責任者、教育者が行う所業かと呆れ果てる惨状です。このような方々には、大学経営者、教育者、指導者、社会の一員としての常識、プライドまでを失った方々のように見えるのは私だけでしょうか。

 ②Aランク選手:

多くの大学では、このランクの学生選手をターゲットとしているのが現実です。伝統校と一般に称される大学でも①の学生選手が手に入る保証は、有りません。よって、次のランクの選手を狙うのは自然な成り行きです。しかし、また、駅伝の場合もこのランクの選手をリクルートするのも至難の業なのです。よって、此処でも大学教育機関としてあるまじきあらゆる手法が乱れ飛んでいるのが現実です。手法は、皆さんのご想像にお任せいたします。

 ③Bランク選手:

④Cランク選手:

B,Cランク選手に対しても多くの大学は、特待生扱いをしているのが現実なのです。まさに売り手市場だからです。

 此処で読者の皆様は、お気付きになられたかも知れません。③④のランクの学生選手を抱える多くの大学は、「箱根駅伝予選会出場」の常連校なのです。

そこで大学経営者は、本戦出場と大学の売名行為を手っ取り早い方法と手段に手を出すのです。それが、身体能力の高い外国人を安易に買ってくる手法が近年特に他の大学競技スポーツにも蔓延している実態であります。このレベルの大学は、日本人選手の①②が獲れないので日本人選手だけでは大会出場枠に入れないからなのです。

 筆者の経験からも、近年の学生選手及び父母は、このような状況、環境から大学を選択するに当たってアカデミック、競技スポーツ、社会的に於いてもプレシテイージあり、就活に役立つ大学を選ぼうとするのは当たり前です。何故ならば、日本の大学には、入試、推薦があり、大部分の強化部活に所属する学生選手は受験経験のない学生、学生選手として入学してきているのです。

 私は、大学の学部に教授職として在籍していました時に、同大学では伝統的に有名な学部があります。その学部の教授が、私を訪ねて参り、丁度3月の卒業認定教授会の時期でした。その教授の相談事は、「毎年本学部の3月の教授会は、荒れています。その理由は、本学を選ぶ学生選手が法学部を希望する事です。しかし、この時期が来ても卒業単位を満たしていない酷い状態なのです。このような学生選手が、学部に多く押しかける事で学部の資質のレベル低下を招いています。しかし、大学が入学時に既に卒業を約束している事が判明し、現在教授会が紛糾しています。このような問題をスポーツ・アドミニストレーションとアドミニストレーターの専門家としては、どう処理をされますか。」とのご質問でした。伝統的に厳格な大学は、教授会でこのような件で大問題となっている事は、まだ真面な大学である証でもあります。

 このように、今日の学生選手、父母は、大学選択時にすでに大学側に条件を付けている事に気付かれるでしょう。嘗ては、大学側のオファーが推薦入学、特待生が条件でしたが、今や学生選手、父母側は、指定学部、そして卒業証書まで担保させるに至っている事を見逃してはなりません。これは、もう日本の大学には、アウトローの学生選手と教員、経営者が多数増殖していると言われても仕方のない危機的な現実なのです。

 他の多くの大学では、このような事は全く問題とならず経営者、教学責任者が簡単にハンコを押し処理されているのが、実態です。例えば、オリンピックで金メダルを取った水泳選手は、推薦入学した大学プールで4年間一度も泳ぐこともなく、卒業前には、未単位が沢山あり、担当教員がこの学生選手にNOを突き付けたのだそうです。しかし、そこで大学上層部から担当教授に圧を掛けて、この学生選手は、高笑いして卒業して行ったと知る人ぞ知る事実です。もうこの様な教育機関は、日本の最高学府の大学と言える価値もないと思います。

 私の経験則で申し上げるなら、学業、競技スポーツ共に優秀な学生選手は、ほんのごくごく僅かですが、いる事も確かです。この学生達は、真の文武両道の学生でありました。しかし、大多数の学生選手、特に強化部の学生選手は、大なり小なり共通した問題を抱えているのも事実です。

 まとめ:

大学競技スポーツの大学、関連組織、団体は、各大学の代表(有資格者)の法人化された組織・団体の設立が重要且つ急務です。

加盟大学と直接的な関係(資格)の無い第三者の介入は、本箱根駅伝主催者同様の不透明な組織、団体となる事を理解頂けたのではないでしょうか。 しかし、設立された組織、団体をフェアーに円滑にアドミニストレートする為には、必要な専門職の人材が不可欠であります。そうする事により、組織は、職責、責務が明確になり、責任の所在が求められるので有給であるべきです。

学生の名を借りた組織、団体では、責任の所在が明らかにできず、今日のような大人達のBLACK BOXとなると思われます。大学競技スポーツを、学生の自治と位置付けるには、余りにも無理があると思いませんか。

 各大学の競技スポーツ(部活)は、教育の一環、延長線上に位置し、「正義JUSTICEと公正、公平FAIRNESS」を基軸とした、強い教育の理念に沿ったアドミニストレーションが必要であると思います、が如何でしょうか。

今日のような、状況においてこそ一日も早く全加盟大学には、「共通した規則と罰則を明文化したルールブック作り」が必要である事を提案致します。 但し、本ルールブックを遵守するに当たりましては、独立した大学スポーツ査察委員会を設立して、全加盟大学が委託する事が前提です。

営利を第一とする会社、企業論理では、大学教育機関の本分である学生選手及び学生を健全な教育環境に於いて、守る事が難しくなっている事に読者の皆様もお気付きになられた事と思われます。

今こそ、大学競技スポーツを健全な姿に戻す為には、皆様方のご理解、ご支援と勇気あるマスメデイアの行動力も欠かせません。大学競技スポーツは、大学生とその地域社会が共有する公共的な財産です。この理解と認識があって初めて、関係者は、教育機関に於ける学生達に明るい未来と光を供与できるのでないでしょうか。

箱根駅伝BLOG連載にお付き合い下さり有難うございました。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 *次回は、年明けとなります。皆さまに取りまして平和で明るいホリデーシーズンで在りますと共に新しい良い年でありますことを深く祈念致します。