K’sファイルNO.36:この度のFA問題は両球団の談合か PARTⅠ.無断転載禁止

K’sファイルNO.36:この度のFA問題は両球団の談合かPARTⅠ.

                      無断転載禁止

1.プロ野球協約はお飾りか~

①問題の発端:

この度、特定のスポーツマスメデイア(東京スポーツ)が、日ハムファイターズの大野翔太選手の中日ドラゴンズへのFA移籍に関する問題を公表されました。しかし、このFA移籍に関する問題が事実であるなら、これは、日本プロ野球協約にとって重大な違反行為が行われています。しかし、他のスポーツマスメデイアは、口裏を合わせたかの如く話題にしないのは一体なぜでしょうか。仮にこの公表された内容が事実と異なるのであるならば、当然当該球団、当該選手からは、事実無根のクレームが東京スポーツ新聞社になされるべきであります。それが現時点ではなされていないという事は、問題を一層闇に引きずり込んでいると言えるのではないでしょうか。

此のことから、私は、本件は限りなく事実に近いと思いますが、他のスポーツメデイア、TVマスメデイアがこの重大な問題を取り扱わない事実が不思議でなりません。読者の皆さんは、不思議だと思いませんか。

K’sファイルでは、本件についてマスメデイアを通しての当該球団グループの複数のスポーツ紙、球団代表、球団本部長兼GM、監督のコメントが否定していない事から、本件の報道が事実である事を前提で述べさせて頂きますのでご理解とご了承下さい。

FAFree Agent)制度とは:

野球協約は競技規則外のルールブックの筈です。

FAフリーエージェント)制度は、「国内FA」と「海外FA」とに区別されます。国内FAは、NPB日本野球機構)所属の全ての球団と選手契約することができる権利を有する選手をいい、いずれの場合も一定のFA資格取得条件を満たす必要があります。

FA資格取得条件】

1)プロ入りして最初に出場登録(1軍に)されて、その1シーズン中の日数が145日を満たし、これが8シーズンに達した場合に国内FA資格を取得することができる。(一定の場合を除く。)

2)プロ入りして最初に出場登録されて、その1シーズン中の日数が145日を満たし、これが9シーズンに達した場合に海外FA資格を取得することができる。(以前に国内FAの権利を行使していた場合を除く。ただしその行使した選手が国内球団において1シーズン中の日数145日を満たし、これが4シーズンに達した場合には海外FA資格を取得することが できる。)

3)登録日数が145日に満たないシーズンがある場合には、それらの日数を全て合算して、その合計数を基に145日を1シーズンとして計算する。  ※登録日数はクライマックスシリーズ終了まで加算される  ※故障により日数が145日に満たない場合でも特例措置として60日まで加算することができる。(前年の出場登録が145日以上であることが条件)

FAの権利の行使】

FA資格選手は、その年の日本シリーズが終了した日の翌日から7日以内に(土・日・祭日を除く)在籍球団に対してFAの権利を行使することを表明することができる。権利を行使してFA宣言をした選手は、直前まで在籍していた球団を含め、いずれの球団とも選手契約の交渉をすることができる。

【選手契約とFA補償】

FA宣言をした選手がある球団と選手契約をする場合は、その選手の年俸は直前のシーズンの年俸を超えることはできないが、コミッショナーが認めるときは、直前のシーズンの年俸を超える金額で契約することができる。 またその選手を獲得した球団は、その選手の旧所属球団に対し、金銭補償及び選手を補償(人的補償)することとなる。ただし海外球団へ移籍する場合は、原則的に金銭補償・人的補償はない。 なお、その選手が初めてFAの権利を行使するか、あるいは複数回目の行使かで多少補償の内容が異なるが、ここでは選手が初めてFAの権利を行使した場合の補償について説明する。 FA宣言をした選手を旧所属球団におけるその年度の年俸に基づいて以下のようにABCのランク付けをする。  A 上位1位~3  B 上位4位~10  C 上位11位以下 選手(上記AまたはBに属する選手に限る。)がFA宣言をした場合には、獲得球団は旧所属球団に対し、次の(1)または(2)のいずれかの補償をする。(1)か(2)の選択は旧所属球団による。

1)選手による補償がある場合   

ア:選手による補償:旧所属球団は、獲得球団が示す選手(外国人選手及び任意に定めた選手(プロテクトされた選手)を除く。)の中か らFA宣言選手1名に付き各1名を獲得する事ができる。

イ:金銭による補償:旧所属球団は、獲得球団に対し、上記アの他、そのFA宣言した選手の年俸の金額に以下の割合を乗じた金額につき、金銭補償を求めることができる。   ①その選手がAランクに属する場合 50% ②その選手がBランクに属する場合40%

2)選手による補償がない場合   

旧所属球団が選手による補償を求めない場合には、獲得球団に対し、そのFA宣言した選手の年俸の金額に以下の割合を乗じた金額につき、金銭補償を求めることができる。   ①その選手がAランクに属する場合 80% ②その選手がBランクに属する場合60%

※なおFA宣言選手の旧所属球団から指名された選手は移籍を拒否することはできず、もし拒否すれば資格停止選手となる。ちなみにFA宣言した選手がCランクに属する場合には、旧所属球団は獲得球団からの補償は全くないこととなる。(以上NPB野球協約から引用)

 ③協約違反を犯した選手、球団へのペナルテイーは無いのか:

問題の視点は、FA資格を取得した大野翔太選手(日ハムF)がFA宣言し、それを受けた所属球団が同選手をFA宣言選手として登録しました。中日球団は、同選手を獲得する意思を表明。同選手の所属球団である日ハムは、金銭での譲渡を申し入れず中日球団に代替選手の譲渡(選手名を指名)を申し入れた。しかし、FA移籍譲渡交換選手に指名された岩瀬仁紀投手は、所属球団に対して「拒否」したという事です。上記野球協約上、選手に拒否権は与えられていません。それなのに何故、両球団は、金銭で譲渡したと告知したのでしょうか。

本件について客観的に申し上げると、中日球団は、日ハムへの代替選手リストに岩瀬投手を入れた時点で、同選手は、無条件で指名された球団に移籍しなければならないのです。今回の場合、岩瀬投手には、選択権は無く日ハムに行く義務があるのです。

同投手が拒否したのであるならば、中日球団は、即資格停止選手としてNPBに報告する義務があったのです。本件は、完全に岩瀬投手に協約違反が発生し、中日球団は、違反行為を隠ぺいした事になります。これは、まさにプロのベースボール・アドミニストレーターの不在とコンプライアンス違反を証明した事になったと思われます。

日本のプロ野球界とMLBのハッキリとした違いは、次回述べさせていただきます。しかし、どうか相撲協会のアドミニストレーションレベルにはなって欲しくないと願う次第です。

 

 文責:河田弘道

ベースボール・アドミニストレーター

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

*次回K'sファイルNO.37では、NPB(日本プロ野球機構)、コミッショナー、協約たるは、何の為にあるのか。をテーマとして予定しています。ハッキリと言わせて頂きますよ!