K'sファイルNO.38:2020東京五輪の不可解なおもてなし PARTⅠ.無断転載禁止

K'sファイルNO.382020東京五輪の不可解なおもてなし 無断転載禁止

      PARTⅠ.~政治家による政治家の為の東京オリンピック大会~

        注:河田弘道は、オリンピックが日本で開催される事に大賛成です。しかし・・・

 

1.スポーツ・アドミニストレーター不在の付け:

 ①招致活動での建前と招致後の本音、

 どうして最初から本プロゼクトには、政治家達がやけに目立つのか。これほど露骨に政治家たちが表舞台に顔を出す五輪は日本国だけでなかろうか。K'sファイル読者の皆さんは、不思議に思われませんか。

2016年の招致活動失敗から2020年東京大会開催決定、そしてその後今日迄、これほど開催に関する問題が内外共に起きる、起きた事例が嘗てあっただろうか。

16年招致活動の大義は、確か「震災復興」を掲げました。そして20年招致は、これまた震災復興を掲げてのプレゼンテイションがなされた筈です。費用の掛からない無駄のない、コンパクトなオリンピック・パラリンピック東京大会は、招致の為の旗頭と謳い文句に掲げてきました。しかし、いつの間にか大義の震災復興は、何処かに消え、予算は、とんでもない莫大な公金が実態として流し込まれ続けているのが実状です。

これに対して誰も歯止めを掛けようとしない。確か小池都知事は、選挙で予算費用縮小を訴えて歯止め役をかってでて当選した筈ですが、筋金入りの政治家では無かった事を現在露呈。金は、全て組織委員会の御用達の印刷会社がプリントしているかの感覚で無駄な金を湯水のように使っているイメージがしてなりません。

  プレゼン当初の予算告知額は、いったい何を根拠に試算された数字であったのかと、ふと頭に疑念が巡ります。いったい当初の予算の何倍の公金を投入すれば気が済むのでしょうか。此れだけの資金があるなら、何故もっと有効にオリンピックのみならず困っている現実の社会、国民の為に活用するべきであると思いませんか。此れでは、限りなく国の借金が膨らむばかりです。

このような展開になる事は、当初より予想していた事なのですから、何故五輪招致を思考し始めた時点で「ロス方式」を検討しなかったのか。話題にも出なかった事、出さなかった事が今後大きな禍根を残す事は必至で、既にその段階を一歩また一歩と上がっていっているのです。ロス方式は、公金を1セントも使わなく、440億円の黒字化した素晴らしいプロゼクトモデルなのです。

  このような優柔不断なオリンピックプロゼクトから、国外からは、招致活動に関わる裏金問題を指摘され火消しに躍起となり、国内に於いては、オリンピックロゴ・タイプの盗作問題、国立競技場の設計入札疑惑問題、設計者及び関係会社への契約変更、予算の不透明疑惑、そして、その間に主催都市の都知事が本件がらみを含めて3名も不名誉な交代劇を演じ、その都度掲げる公約に一貫性が無く、失言を海外に告知し、現知事は、威勢よく乗り込んできたが政治家同士の利権のつぶし合い、奪い合いを見苦しい程内外に曝し知らしめ、スポーツの祭典がこれでは「品の悪い政治家の祭典」と相成った感じが否めないと感じるのは私だけでしょうか。

 ②問題の発端とプロゼクトマニュアルの欠陥、

 静観して見ていますと一つの方向に問題が偏っている事が透けて見えて来るのです。それは、2020東京オリンピックパラリンピック開催招致活動のプレゼンテイションで公言、公約した予算が全くの招致する為の「飾り予算」で在った事です。これがそもそもの本プロゼクトの「トリックの起点」となって、国民、都民の税金を湯水のように投入するストーリーが仕組まれていたような気がしてならないのです。今は、この描かれていたシナリオに略近い流れで進んでいるので本プロゼクト立案、遂行している執行部達の意味深な笑みが目に浮かびます。

  この招致活動初期から、関係省庁及び関係機関、東京都は、種々の思惑の人達が絡み合い複雑怪奇な様相でスタート致していました。これをスポーツ・アドミニストレーターの視点で指摘させて頂きますと、そもそもの最大の問題は、主催者に当たる都知事が本巨大プロゼクトに強い興味を持ち、都民の税金で招致活動に邁進、自身が幕開けから幕閉じまで首を突っ込んで、利権の構図を描きその利権に手を突っ込んだことから今日の限りなく高騰する資金(税)投入に点火したのが発端と思われます。

  当時より利権をせしめようとする東京都議与党軍団、都知事そうさせまいとする文科省OBを中心とした超党派で構成する国会議員連団の利権グループが当初より抗争していたように見受けられたのです。

 嘗て1976年カナダ、モントリオール大会が、オリンピック大会史上例を見ない巨額の赤字負債を抱る大会となった事などを契機に、IOCは、この一大問題打開の策として当時のIOCサマランチ理事の提案でそれまでのオリンピック憲章から「アマチュア」の言葉を削除して変革、オリンピックにスポーツビジネスを解禁し、またプロ選手の参加に扉を開いたのでした。しかし、その後この改革の弊害が毎回の開催都市招致に関わる闇の世界を構築、獲得票を集めるための莫大な裏金で買収する暗黒のネットワークを生み、大会の巨大化に伴う主催国、都市に莫大な資金を投入させて大会を肥大化させ、負のレガシー(遺産)を山積みさせて来たのです。そして2020年東京大会は、最後の巨大化されたオリンピック大会の負のレガシーの終焉であろうと言われるに至っています。

  本東京大会以降は、大会招致の国が激減し、ついに2024年パリ、2028年米国ロサンゼルス市とプレゼンする競争相手も無く、24,28大会が自動的に同時に決まったのも偶然ではないのです。いったい東京大会招致活動は、何だったのか。

 此れは、まさに1976年のカナダ・モントリオール大会後にオリンピック大会招致に興味を持たなくなった国々が出た時期に戻り、歴史が形を変えて繰り返される事になったのです。この事は、東京大会招致委員会にとっては、因果と言う表現しか見当たらないように思えてなりません。IOC理事達の罠にまんまと日本の政治家達がはめられた事に等しいのです。

  東京大会開催組織委員会は、このことを如何に理解しているのか、いや、気にもかけている様子もなく、ただ国税、都税をいくら引き出すか、引き出せるかに奔走している状態が、今尚続いている様子が伺えます。勿論、スポーツ振興機関からの補助金、コマーシャルスポンサーからのスポンサーシップとサポートを受けているのも事実です。本来は、国民、都民の公金を充てにしないで2020年東京大会を招致活動で勝ち得た方法があったのも事実です。当時招致関係者は、公金を使わない大会擁立に誰もが興味すら見せなかった理由は何故だったのか。K'sファイルの読者の皆様はその結論に至るかと思われます。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:K'sファイルNO.39PARTⅡは、NO.38の後半を掲載致します。2.政治家たちの真の思惑:①招致活動成功後の利権代表達の抗争、②利権代表達の抗争の終焉、他、ご期待ください。