K'sファイルNO.40:2020東京五輪の不可解なおもてなしPARTⅢ 無断転載禁止

K'sファイルNO.402020東京五輪の不可解なおもてなしPARTⅢ 無断転載禁止

PARTⅢ.~政治家による政治家の為の東京オリンピック大会~

     注:河田弘道は、オリンピックが日本で開催される事に大賛成です。しかし・・・

 

3.スポーツ・アドミニストレーションは、国民・社会の為に:

 ①わが国のマスメデイアとグローバル社会のマスメデイアとの本質的な違い、

   誤解を恐れず申し上げますと、問題は、この状況下で我が国のマスメデイアが、この利害と利権の構図の中に組み込まれているケースが多く、真の情報が国民、社会に届けられていないと思われることです。つまり、お上にすり寄るマスメデイアでは、真に国民、社会、スポーツ界の正常化に寄与するのは難しいという事です。スポーツを話題にした番組では、日々長時間面白おかしく、商品化して視聴率を稼ぐ事を目的とする事のみならず、マスメデイアには、真に国民のオピニオンリーダーとして、志を高く持って頂きたいと心より願う次第です。

   我が国のマスメデイアの基本的な体質は、企業に雇用された1記者と表現した方が理解しやすいと思われます。その記者は、1レポーターとしての職責、責務しか所属企業から与えられておらず、ジャーナリストとしての言論の自由は与えられていないと思われます。ジャーナリストとレポーターは、本質的に異なる職域だと私は理解しています。この事を我々は、理解できていないのではないかと思うのです。よって、記者は、自身の理念、感情、倫理感をジャーナリストとして報道させてもらえない事が、大きな問題だと思います。

   我が国に於いては、国民の表現、言論の自由が法律により保証されている筈ですが、マスメデイア組織では企業の利権、利害を最優先するが為に、ジャーナリストとしての使命までもが奪い取られているようです。その為に生じている現象の一例として、紙面の記事原稿が何処の新聞社、TV、等も代り映えしない、即ちマスメデイアの紙面、TV情報、記者の特徴、個性が無くなってしまっているように感じてなりません。本来の記者、ジャーナリストは、芸能タレントさんではない筈ですが・・・。

   記者を雇用している企業は、事業(ビジネス)を最優先するが為に真実を報道できない仕組みになっていると理解した方が判りやすいかと思います。私は、権力に立ち向かい“NO” が言える真の勇気あるマスメデイア、記者で在って欲しいと切に願います。そうでなければ日本国民は、常に真の情報、知識を得られず正しい判断ができなくなります。その為には、マスメデイアが本来のジャーナリストとしての使命を堅持し、ぶれない日本のマスメデイアで在って欲しいのです。読者の皆さんは、どう思われますか。勿論、マスメデイア企業にも、記者にもジャーナリズムを堅守し素晴らしいプロフェッショナリテイーを持って、日夜活躍、活動されている企業、記者も沢山いらっしゃる事も付け加えさせて頂きます。

   此れがNYタイムズ社、ワシントンポスト社、ロサンゼルスタイムズ社、ABCCBSNBCFOX、等の先進国のマスメデイア、及びそこに所属する報道、ライター達と日本の報道企業、機関、記者達との根本的な違いではないかと思われます。よって、嘗てのワシントンポスト社の記者がジャーナリストとしての真価を発揮し「大統領の関与した事件(ウオーターゲート事件)」を告発して歴史の変革に寄与したのと、わが国の企業マスメデイアのレポーターとの違いのように思えてなりません。この国のJustice(正義)は、もう死に体なのでしょうか。K'sファイルの読者の皆さんなら理解して戴けるのではないでしょうか。

   このような、組織、構造の企業としてのマスメデイアでは、真の情報提供を期待しても難しく、このために莫大な金銭が東京大会組織委員会内部で消滅して行っていても不思議では在りません。問題は、本プロゼクトの中枢となる運営、管理者達の大多数が、競技スポーツの経営、運営、管理経験の無い人達であり、その方々が権力の中枢に居る事だと思います。莫大な公金を使用しながら、これらをチェックする第三者機関のインフラクションコミテイー(特捜部門)も設置していないのは、ワイルド過ぎませんでしょうか。

 ②オリンピックレガシー(遺産)に対する意識的誤認、

    本プロゼクトで最も気がかりな一つは、本大会組織委員会・会長氏が、事あるごとに「オリンピック・レガシーを残すのが大事」と口にして来た事です。この会長のレガシー(遺産)に対する理解と認識は、インフラ(Infrastructureの意味)、建物(箱物)を新たに建設する事がイメージの大部分ではなかろうかと思えてならない点です。

  1964年の東京大会のシンボルとしてのレガシーであった国立競技場をいとも簡単に、莫大な資金(税)を投入して壊し、不必要な新たな国立競技場、及び各競技種目の箱物を建設する事が彼らの最大の目的であったような気がしてならないのです。そうであるならば、招致活動から今日までの莫大な公金浪費の目的が大変よく理解出来、透けて見えてくる次第です。政府機関の見識ある方々は、何故ブレーキを掛けようとされなかったのでしょうか

   この目的を遂行する事により、何処の誰にどの様な恩恵とメリットがあるのか、出るのかを冷静に精査検証する必要があります。私は、公金の使用に関しては、責任の所在と責務を明確にする意味でも、1円たりとも国民、社会が理解しやすい方法で情報公開を定期的に行う義務と使命があると思います。

   祭典の後には、必ずと言ってよい程大きな財務、経理疑惑が発生するのも世の常です。後世に於いて現責任者達は、不名誉な事件を起こさない為にも手のひらがクリーンである事を口頭でなく、書き物で重要書類は少なくとも20年間破棄せず残す事を老婆心ながらご注意申し上げます。長野五輪の後、全ての重要書類が何故か破棄されていて、疑念、疑惑を証明できませんでした。

  貴重な公金は、1円たりとも無駄をして欲しくないのが真のスポーツ・アドミニストレーターの職責であり責務なのです。読者の皆さんは、後世の為にも無関心を装うことなく、勇気を持って若者たちに負のレガシーの負担を背負わせないよう能動的な日本国民で在って欲しいと切に願う次第です。

 ③真のレガシーとしてのロサンゼルス・メモリアル コロシアム、

    米国ロサンゼルスにある、ロサンゼルス・メモリアル コロシアム(Los Angeles Memorial Coliseum)は、1932年、1984年と2回のオリンピック大会を見事に開催し、2028年オリンピックでは、3度目の開閉会式を迎える予定です。此れこそがオリンピック大会招致の価値あるレガシーとしてのシンボルなのではないのでしょうか。(集客能力:約100000人、起工:1921年、開場:1923年)

  東京大会は、何故五輪招致を思考し始めた時点で「ロス方式」を検討しなかったのか、話題にも出なかった事、出さなかった事が、今後大きな禍根を残す事は必至で、既にその階段を一歩また一歩と上がっていっているのです。ロス方式は、公金を1セントも使うことなく、440億円の黒字化を遂げた素晴らしいプロゼクトモデルなのです。

注:オリンピック・レガシーとは何か。レガシーとは、近年国際オリンピック委員会IOC)が最も力を入れているテーマの一つです。IOC憲法ともいえるオリンピック憲章には記されている。「オリンピック競技大会のよい遺産(レガシー)を、開催都市並びに開催国に残す事を推進する」(第一章「オリンピック・ムーブメントとその活動」第2項「IOCの使命と役割」)。より・・・

   K'sファイルの読者の皆さんは、本件を今日までどの様に理解、評価されていましたか。此のままでは、2020年以降この負のレガシーを若い世代の皆さんが生涯かけても清算できない、また毎年莫大なレガシーの維持、運営、管理費の赤字を背負い込まなければならない事を考えた事がありますか。本来ならば、今既に大会後のレガシーの使用、活用、運営、管理のビジョンが計画書を持って明確にされ、国民、社会の理解を得ているべき重要なプロゼクトであるべきです。これがあって初めて本大会のプロゼクトの評価がなされ、スポーツ・アドミニストレーションの真価が問われるのです。

   私は、招致活動を今日まで推進して来た人達が、本プロゼクトを建設的なビジョンの下に取り行ってきたとは信じがたいです。異なる理念と野心を持った政治家及びその集団とその関係者は、国民と社会をミスリードして行く可能性が限りなく高く、これらは、本質的にリスクマネージメントとは異なるのです。

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:次回K’sファイルNO.41は、「84ロス五輪の成果とそのキーワードPARTⅠ」世界のスポーツ界の歴史的BIG3と呼ばれる人物達の出現とその時代に付いてお届けいたします。此処では、スポーツ・アドミニストレーターの資質が如何に大事で大切かを是非再考して頂ければ幸いです。