K'sファイルNO.58:大学競技スポーツ・大学を取り囲む環境の変化 無断転載禁止

K'sファイルNO.58:大学競技スポーツ・大学を取り囲む環境の変化

             無断転載禁止

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 注:PARTⅡは、国内の大学教育に於ける学生、学生選手(Student Athlete)の動向とそれに伴う不平等と矛盾を筆者の視点で述べさせていただきます。また、我が国の教育界、競技スポーツ界は、マスメデイアの正義と勇気ある発言、発信以外には改善、改革が望めない体質と構造に成ってしまっている事を指摘させて頂きます。尚、NO.59は、W杯サッカーロシア大会の終了翌週から再会を予定致しております。

            PARTⅡ 近年の大学アドミニストレーションに異変

先ず初めに

今日の大学教職員、競技スポーツの指導者、運営、管理者の人事権は、大学法人の経営者である理事長に集約されています。大学、法人は、会社、企業の構造とシステムによく似て来た様です。即ち、学生、授業が最優先ではなく、大学の経営、事業ファーストと言ったところでしょうか。

以前には考えられなかった事は、今日、各大学法人が事業部門を推進し「株式会社を設立」、ビジネスを展開し始めている事です。

このことから、今日の大学で起きている諸問題や大学競技スポーツの諸問題について疑問を解き明かすことができると思います。読者の皆様は、このような大学の組織構造の変化をお気付きだったでしょうか。

文科省は、大学教育機関にビジネスを認めているのですから、公的資金としての私学助成金補助金の制度を改める時期に来ているのでないかと思うのは筆者だけでしょうか。

この制度を止めれば、政治家の介入、公官庁の不正、天下りは、激減すると考えられますので一石三鳥ではないでしょうか。そして、この文科省の貴重な莫大な財源は、障害者教育及びその施設、医療、治療費、等と有効活用する事が賢明であると考えます。貴重な財源を有効活用していない大学への公金流入は、停止すべきです。その為の監査、監督、行政指導は、不可欠です。

今日の私学経営者は、大学教育機関に対して絶対的な権力を誇示していると言えます。その為に各大学の理事長は、理事達の過半数以上の3分の2を常時確保して置かなければ自身の権力の座は保証されないのです。理事長が玉座に座る為には、自身の息のかかった理事を一人でも多く担保する事が鉄則で、理事確保のためには、なりふり構ってはいられないというのが実状のようです。これは、丁度会社、企業の役員会と同じ権力構造であります。それでは、何処の誰が大学の権力構造をこのようにしてしまったのでしょうか。

筆者が存じ上げる大学では、各学部に1席ずつ文科省からの退役者席が設けられている事に呆れ果てました。いったいこの国の行政と教育機関との関係は、いつが来たらクリーンな教育機関を形成できるのでしょうか。此れも、大学競技スポーツの腐敗に関連した大きな要因と問題の一つではないかと思われます。

この度のアメフト加害者学生、父母のような勇気ある人達が、社会に対して物申し、マスメデイアが協力、支援しない限りは、腐敗した大学教育界、競技スポーツ界の改善、改革には程遠いのが現状です。マスメデイアが、正義と勇気を持たなければ我が国の教育界、競技スポーツ界が浄化されないのであれば、正常な状態ではないと言わざるを得ません。

このような現実を予備知識として本コラムをお読みいただければ、問題の本質がスムーズに理解頂けるかと思われます。

①従来の大学内のパワーバランスに異変

先ず初めに、伝統的な学部教授会の権威とパワーは、今日の大学に於きましては全く骨抜きになっている状態であります。此の事は、文科省の指導による大学及び法人に対するアドミニストレーションの構造改革の一環だと理解せざるを得ないのです。何故ならば、文科省の指導、指示が無い限り、大学、法人は、文科省の許認可規定、規則があるので勝手に改善、改革できない筈です。

その先ず第一段は、教授会でのパワーを剥奪することが、既に4,5年前から各大学に浸透していると思われます。現在の各学部教授会では、各専任教員の意見、発言は自由に述べられてもその意見、発言が取り上げられるかどうかは別問題です。このような状態から、学部長は、学部教員の「まとめ役と不満の処理」が主たる責務と化し、学長は、大学教学の責任者、管理者として、「全学部長の取りまとめ役、不満処理」が主たる職責、責務となっている様です。

もう一つ、学長の重要な役割は、教学の代表者として大学法人の1号理事として、理事長、経営陣と大学とのパイプ役が重要な任務です。また1号理事の学長は、学長の任期の間のみの理事なので、理事就任の承諾は必要ないという事です。このように今日の学長は、学部長と理事長、経営者の間でサンドバック状態になっています。このような状況から、大学教員は、学問、学術の研究の場でなくなり、会社、企業同様なサラリーマン化が進行している現状です。

②本質的な問題の元凶

国の教育に関する最高機関の文科省は、大学、学部、学科の設置と私学助成金補助金の確定、等々の許認可権限を持っています。しかし、それが有効に機能しているかどうかの監査、監督、指導、等を全く行わない無責任体質が本質的な問題の元凶であると思もわれます。

また、文科省には、歴史的に「文教族」と世間で揶揄されている幽霊族の存在があるようです。この文教族の面々は、利権を巡り現在もスポーツ関連省庁、大学、競技スポーツ組織、団体と職安の如くネットワークを張り巡らせ、教育機関のみならず、スポーツ界の利権に複雑な構造と影響力を及ぼしており、いる我が国の陰湿な伝統と歴史を構築している様子です。

これは、日本の大学及び競技スポーツに於いて悪性腫瘍、即ち問題の根源なのかも知れません。(注:筆者の文教族の解釈は、教育に関する利権に関わる人達の総称と理解する。

この莫大な助成金補助金は、どのようにして誰のさじ加減で目分量が決められているのか皆様は想像できますか。そうです、だから文科省は、大学教育機関との間で規則も罰則も明文化せず、暗闇の教育行政文化を延々と構築して、いわば貸し借りの文化の関係を今尚構築継続しているようです。

これらの助成金補助金は、公金と呼ばれ国民の汗の結晶です。そこには、私学助成金補助金に群がる公金を当てにする利権の巣がある事に誰もが異議、疑義を唱えて来なかった我々国民、社会、関係者にも責任があります。

このような民の汗の結晶の公金は、判りやすく国民、社会にその使途及び配布された大学法人でどのように学生達の為に使用されているかを情報公開する事を義務付けることを提案いたします。既にご紹介しましたが、このような公金は、学生達の為にどのように活用されているのでしょうか。まさか個人の資産に運用されているのなら許されないことです。しかし、公的教育機関には、インフラクションコミテイー(特別査察機関)が設置されていないので、全てに於いてチェックするシステムも機関も皆無の有様なのです。読者の皆さんは、どのように考えられますか。今の時代は、透明性が不可欠だと思われませんか。

今日の私学の経営者は、教育機関という名の下の企業家、実業家です。教育者は、嘗て尊敬されていた時代のイメージでないことを肝に銘ずるべきです。今日の大学教育機関には、何か自身の職責、責務を勘違いしている指導者、教員、職員が多々いるように感じてなりません。これは、筆者が大学教学現場において肌で感じた体験です。勿論、素晴らしい教員、教育者、職員も沢山いらっしゃる事も事実であり、体験させて頂きました。

教育機関が明確にするべき重要案件

問題は、大学教育機関に於いて「大学生、学生選手(Student Athlete)とは、何を持って認めるか」と「大学競技スポーツは、教育の一環である」と明記する事が欠落していることです。即ち、大学競技スポーツの趣旨、目的となる背骨(スケルトン)が見当たらないのです。

学生の定義(Definition

我が国の教育基本法、等には、「学生とは何を持って学生となす」の定義が無いことを読者の皆さんはご存知でしたか。文科省から大学設置の許可を受けた個々の大学に於いては、学内の規則、規約、等に於いて「本学では、本項目を満たした学生を正規学生として認める」という明文化された書面が見当たらないのです。このような状況から、学生及び学生選手に対する学内外での扱いは、大きな格差と不公平を醸成してしまっているのが現実です。

本件の優柔不断な現実は、大学内の教育の資質の低下、不公平、モラルの低下に大きな影響を与え、健全であるべき大学教育機関の権威、プライドを蝕んでいる事に歯止めがかからない状況です。

筆者の一案

大学生、学生選手の根拠を明文化する事が大前提です。

大学生とは:

1.大学の入学許可を得ている事。

2.大学の学則、規則、規約を遵守している事。

3.大学卒業に必要な124単位の中、各学年31単位以上を確保している事。

4.各学年の単位取得に対する授業料を納付している事。

5.上記4項目を遵守している人物は、個々の大学生としての学生証を発行。

6.大学競技スポーツ部に所属する学生選手は、上記1,2,3,4,5、項目以外に 所属大学の部、所属組織・団体の規則、罰則を遵守する事。

7.大学、法人から受ける奨学金及び付帯する全ての制度は、各大学共通の奨学金限度額を超えない事と共通の約束事内とする事。

8.外国人留学生、外国人学生選手は、上記1.~7.項目以外に、日本の大学に於いて教育を受けるに必要不可欠な、講義授業を理解できる日本語力の有無を全大学が加盟した日本語力検定試験を受け、定められた数値を満たしている事が入学の大前提である事。

上記各項目は、大学競技スポーツが教育の一環であるとするならば、最低限の大学生、学生選手を証明する基本的な約束事であると考えられます。大学は、統一されたルールブックの下、全加盟大学が同意、署名しルールブックをリスペクトし遵守するのであれば、現在起きているレベルの問題の最低限が統治されると確信致しております。

 

ハイライト:大学キャンパスに21世界陸上がやってくる

2021世界陸上オレゴン大学キャンパスでホスト

2021年には、世界陸上競技選手権大会が初めて米国に招致されます。

世界で初めて世界陸上が、大学キャンパス内の陸上競技場でホストされる事になったのです。大学及びオレゴン州ユージーン市は、アメリカで陸上競技のメッカとされています。ナイキ社は、オレゴン大学のキャンパスで産声を上げたのです。そして創設の祖は、当時陸上競技部監督のビル・バーウマン氏(パートナーのフィル・ナイト氏は、彼の教え子でビジネス部門を担当)でした。当時ジョギングを世界に広め、命名された指導者でもあります。

今日迄の伝統的な木造建築の競技場スタンドは、3700席でした。この収容能力では、世界陸上の招致規定に適合しません。そこで、新しい陸上競技専用のスタジアムが建設されることになりました。既にスタジアム完成時のデザインが出来上がり、スタジアムのキャパシテイーは、何と38000席です。ビル・バーウマンとオレゴン大学が発祥の地となっている事から、バーウマン氏の名前をネーミングライツとする予定のようです。勿論ナイキ社の寄付により建設されます。

興味がある方は、下記のURLで検索され、新スタジアムと伝統的な旧スタジアムを比べて下さい。此れがアメリカの大学競技スポーツの施設と規模なのです。本URLは、日本に於いて初めてK’sファイルを通してご紹介させて頂きます。お楽しみ下さい。

URLhttps://around.uoregon.edu/hayward

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sport

 お知らせ:この度のシリーズは、如何でしたでしょうか。本K’sファイルは、W杯サッカーロシア大会終了まで、お休みさせて頂きます。GO JAPAN GO!