K’sファイルNO.62:MOVE東京読売ジャイアンツ 無断転載禁止

KsファイルNO.62MOVE東京読売ジャイアンツ

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PARTⅣ 球団は親会社から真の独立が必要かも

1.球団の情報管理の甘さは自らの首を絞める

①球団経営者は自らの言動に責任を

近年よくマスメデイアを通して耳にする事象に、TYG球団の経営者である球団社長自らが「うち(TYG)は、金は幾らでもある」と公言しているのがあります。

筆者は、この言動を耳にするたびに、若しこれを額面通りに受け取ると、この人物は、いったい自身の経営者としての立場、職責をどう考えてこのような事を公に発せられるのか、と真意と経営者としての資質を考えさせられます。

経営者は、時として大風呂敷を広げてパフォーマンスする場合もあります。しかし、これには、TPOを弁えた賢いシナリオがあっての言動であるのが一流の経営者だと、私はこれまでの体験から申し上げたいと思います。

 嘗て西武・国土計画でお世話になっていたころの話です。余談として参考までにお話しします。当時堤義明社長と二人だけで食事をした際に、歳若の私を諭して下さった事がありました。それは、「いいかな、私は自身が持っている金など無いに等しい。金は全て会社の物だ。その金を持ち出して使うとすぐに無くなり、会社は貧乏になり成り立たなくなる。商売で必要な金は、銀行に行けば幾らでもある。彼らは、使ってもらうために商売している。商売というものは、家から金を持ち出して商いをするのでなく銀行の金で勝負する事。わかったな!」と。私がまだ米国の大学に籍を持ち、西武・国土計画と二足の草鞋を履き始めた、初期の段階。

その時の強烈な言葉が今でも鮮明に思い出されます。これは、西武・国土の家訓であったのかも知れません。また、これは先代の近江商人の商いの原点なのかも知れません。当時は、日本にバブル経済がまさに始まらんとする前夜であったと記憶しています。

今日、TYG球団社長の金に関する概念は、もしかして真逆なのかも知れません。この経営者は、ファンが汗水たらして働いたお金を東京ドームに運んで来てくれている事を理解しているのでしょうか。どうも前後の状況と出来事、結果からして、理解できていないように思われます。

ジャイアンツ球団の社長は、どのような意図があって軽々しくこのような言葉を何度も人前で喋れるのか。或は、余り深い意味はなく、「我が読売巨人軍は、幾らでも金があるので幾らでも選手を高い金で買ってやる」とのおごりで述べているのか。しかし、この言葉は、球団にいる現役選手達、そして全国のプロを目指す学生選手、高校球児達、また他球団の移籍、FAを窺っている選手達の耳に届かない筈がないのです。

球団社長は、近年の球団選手達がスマホ機器を持っている事すら理解できていないのでないかと危惧する次第です。本球団の社長は、球団常識と社会常識の間に大きなギャップが、選手同様にある人物が就いているような気がしてならないのです。

 

TYG球団には守秘義務の指導と徹底が必要

また、携帯電話がポピュラーになり始めた頃のお話をします。

携帯の使用は、球団内に於いても何の使用規則も束縛も無く、選手、スタッフ、球団関係者、等が練習前、試合前にロッカールームから、何処かへ連絡している光景を見掛けました。一体、彼らはどこへ連絡しているのか。プロの競技選手、スタッフ、職員、関係者には倫理規範もなく、筆者は非常に危機感を持った次第です。

この意味は、球団内で起きた事、球団幹部が発言した事、等々が、オンタイムで自軍の選手達から他球団の選手達へと情報交換されている現実を確認したからです。球団は情報が外部に漏れないようにする管理がいかに難しい時代になったかを、もう少し真剣に受け止め、改善、改革して行かなければならなかったのです。

このような脇の甘さは、球団の勝敗のみならず、球団全体の特に選手、指導者、スタッフ達の倫理観及び社会性に少なからず影響を与えている事に一日も早く気付いてほしいと願う次第です。情報管理を怠る事で、選手達の倫理規範が低下し、先発投手名の漏えい、強いては賭博行為と負のスパイラルは留まるところを知らなくなることもあるのです。

現在、球団は、情報機器の制限とそれに関する規範をどれほど指導し、契約書に明記しているかは定かでありません。

 少なくとも当時、筆者は、危機感を自身が体験し、最高経営者に事実の報告を致したと同時に、本社社会部の超ベテランで辣腕の管理職の方を広報部長として来ていただき、それまで球団内の情報が湯水のごとく内外に漏えいされていた実態に初めてメスを入れたのです。

その為、殆どのバルブは、閉じられ業務機密の漏えいがないように徹底して頂いたのでした。その結果として、この情報ネットワークとバルブは、球団内外の私的な利権及び利害構造に結びついていたことが判明したのです。

球団内外からこのバルブをクローズした小職に対する風当たりが日増しに増幅して行ったことを鮮明に覚えております。

当時折角、球団の弱点箇所を徹底的に改善した筈なのですが、今日またバルブのハンドルが緩んでしまったので選手達の不祥事、事件、スタッフの事故等が多発しているにように思えてならないです。

球団社長は、マスメデイア人である点からも、球団組織に負の結果をもたらす事も憂慮し、思慮深い発言をと願う次第です。どうか今日の資質が伴わない国会議員のような真似だけは控えて欲しいと願います。

今日のグローバル化により、情報リテラシーという言葉まで流行し、情報は金に換金され、金で情報を購入できる厳しい現実社会となりました。情報が売り買いされているのはグローバル化時代の象徴と常識である事を今一度肝に銘じられ、褌を締め直された方が球団、会社、企業の為である事を老婆心ながら指摘させて頂きます。

 

2.現在の球団はプロの運営・管理か

①中途半端な運営・管理はプロと言えない

日本プロ野球界の現状に於いて、TYG球団が如何にして球団保有選手の不祥事、事件、事故から球団、選手を守るかを考えてみます。

この問題に対して、筆者は、大きく二つの方法と手段が考えられると思います。

先ず、その一つは、球団のベースボール・アドミニストレーションは、事業(ビジネス)で在る為中途半端なコンセプトを切り捨て、プロとしての経営、運営・管理を徹底する事です。

もう一つは、プロ球団の背後に親会社・企業が存在しプロ球団を広告宣伝の一事業所として位置付けている事から、事業に於ける採算が取れなくても親会社が補てんをする構造の球団と球団の利益を親会社の事業の補てんにあてる球団にメスを入れる事です。

およそ、プロとは言い難い法人球団組織である事から、プロとは言い難い諸問題が噴出し社会を賑わせています。よって、此処では、前者の徹底したプロとしての球団経営、運営、管理を行う方向にギアをシフトチェンジする必要があると思います。

②其れならば如何になすべきか

現在プロ野球界では、契約雇用制度を採用していることから、先ず選手と球団の契約を何事においても最優先する事が必要です。その為にも現在使用している日本プロ野球機構(略:NPB)発行の統一契約書なるものをNPBは、選手会を通じて全選手に理解と認識を徹底し、理解させる事です。その為には、新入団選手には、統一契約書の内容をどれほど理解・認識しているかの理解度試験を行い、その理解度により各選手をランク付けし、基準に達しない選手は、プロ選手として各球団はリスクを背負うので研修義務と再試験義務を選手及び所属球団が負い、合格基準に達する迄同選手の一軍資格選手としての年俸を最低年俸に留める事を協定する事です。

次に、球団と選手との契約書の存在を明確にし、明文化する事です。現状では、今日までNPB発行の統一契約書を持って選手のプロ契約書として済ませてきていますが、この方式が球団と選手間、NPB,球団、選手間に於いて、契約を複雑化し、一般社会に対しても不透明且つグレーに受け止められる大きな要因の一つでもあるのです。

今日までプロ野球界では、統一契約書の存在を公にしても球団と選手間の契約書の有無は公にしてこなかったのがプロ野球界なのです。

此の事により、球団と選手間に於いては、非常にグレーな約束事を双方の都合で行い、そこには第三者の介在が無いので常に選手側には不利益な状況が生まれているのも事実なのです。よって、入団時に両者の都合により契約書、同意書、覚書とそれぞれ主に球団側の都合により書き物として双方控えを持っているケースと、そうでない口頭による約束事(これをシェイクハンド=握手)として大事な件が取り行われているのです。

このような日本的な手段方法は、もう時代に合わずプロ野球界ではすでに契約制度を履行しているのであるから、全ての約束事は契約書に明文化する事が非常に大事であるのです。よって、今日までの慣習、習慣を一度清算して、双方に於ける約束事は、契約書に書かれている事が全てであるとシンプルな理解を双方ですることへの変革が必要です。

これにより、本来は、毎年の契約金、契約年数、インセンテイブ、等は、選手本人及び、球団から堂々と公表する事が大事なのです。これは、双方プロとしての義務であり、使命であります。以前の様に統一契約書に記載する数字と球団との間で交わす数字が異なるなんていう事こそ、不正、不祥事、事件の温床となるのです。これにより、各球団が契約の骨子を遵守することで、特定の選手に対して個々の約束事(選手生活を終えた後の仕事の面倒みる約束事等)をどの球団も遵守すれば無くなり、新たに球団は、専門職種の人間を公募により採用、雇用する事で球団のプロ化が前進するのです。

此の事からも、NPB、球団は、契約違反に対する明確な罰則規定を明文化し、契約書に署名する前に理解と認識を確認し、署名、捺印する事がフェアーなのです。これにより、球団も契約違反を起こした選手、スタッフに対しては、違反行為に対する罰則規定を言い渡し、時には、相手に対して球団として損害賠償を請求する事がプロ野球界の法と秩序を維持する為にもやるべき行為であると思います。この行為自体が選手、関係者への指導、教育と犯罪に手を染めない抑止力であると確信します。読者の皆様は、如何でしょうか。

 

 プロとしての選手雇用、スタッフ採用を徹底する事により本シリーズで問題としている経営者の理念、言動、選手の不祥事、事件、スタッフの不祥事、事件、事故に対する球団の姿勢が明確になり、その事により問題の起因を事前に防ぐ事にも繋がるのです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

 お知らせ:K'sファイルNO.62は、予定を変更しまして球団経営者、管理者及び、その人達の情報管理とリテラシーを述べさせて頂きました。次回は、球団、選手に必要なのはプロとしてのマネージメントである事を述べさせて頂き本シリーズを終わらせて頂きます。