K’sファイルNO.72:2018秋読売劇場開演  無断転載禁止

K’sファイルNO.722018秋読売劇場開演  無断転載禁止

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東京読売ジャイアンツの最高経営者(略:CEO)

 注:NO.72は、読者の皆様からのリクエスト「筆者がTYGCEOなら球団の現状現実  をどう再建するか」についてお答えしたいと思います。結論から申し上げますと、目先の監督、スタッフの首のすげ替え形式的なものではなく、構造的問題の改善、改革の必要性から先ず手を付けたいと思います。差し障りの無い範囲内で述べさせて頂きますので、悪しからずご笑読頂ければ幸いです。

1.球団組織の構造的な問題を先ずオーガナイズすべき

先ず、球団最高経営者として今与えられた時間内で最初に行うべきことは、経営部門のアゼンダ(取り組むべき課題)は別にして、商品を生産する編成部門の立て直しを如何に迅速且つ将来を見据えたシナリオにできるか、それを描く事です。

その手始めとして、過去5年間の球団編成部門に関わる各部署の担当責任者の業務報告書の存在の有無を確認(筆者の経験からこのような物は球団には皆無と推測)、あるのであれば各責任者に各年の要旨をまとめて報告をさせることです。無いのであれば、過去3シーズン分を各担当責任者に業務として、書かせ提出させる事です。報告書の書き方、統一されたフォーマットを指導する。

フィールド部門に関しては、テイーム、個々の選手、監督、スタッフに関する編成部門の現場責任者から報告書の有無の確認や、スカウト部門、国際部門、FA移籍、戦略、戦術の確認と、人材の適性、故障者の経過リスト、医療体制、等の整理と報告書の作成を指示する事が重要です。そして、それらの資料を短時間で提出させ、プライオリテイー(順番)を決め、各年のスタッツとの照合作業及び精査と検証を図ることです。これにより何処に欠陥があったのかが一目瞭然です。口頭での報告では、責任の所在がないので“NO”です。

同時に並行して行わなければならないことは、現在の球団、テイームの再建に関わる指針を明確にすること。これが最重要課題であると思います。誰を監督、コーチングスタッフに招聘するか否かは二次的な問題なのです。人事に入る前に2週間もあれば新プロゼクトに必要な最低限度の準備が整います。本来ならば、シーズン終了1カ月前に報告書の提出を義務付けるべきなのです。

しかし、この度新オーナーが着手された手順は、真逆な首のすげ替えが大改革との認識が誤解を招いています。指導者の顔ぶれを新たにすることに重きを置いたようです。

指導経験の無いプロの指導者、そして不向きな人物を大勢招き入れることは、一層のリスクを伴います。何故長年指導して来た指導者達に此処に至った原因を業務としてレポートを提出させないで解雇、解任するのか。実質彼らとの契約は、本年度末まで残っているのです。どうしてこのような無駄な運営、管理をするのか理解に苦しみます。長期に渡って指導者が得た指導に関する財産を球団経営者は、いとも簡単に結論も得ず放棄するとは信じられない球団経営、運営、管理をしているということです。また新しく雇用する指導者達は、エキスパートとして、どのようなスケールで採用の判断基準とされたかも重要なポイントです。ただ頭数を揃えたようにしか筆者には思えてならないのです。

最重要課題として、CEOは、これからジャイアンツをどのような球団テイームに改善、改革して行きたいのか、また行くのかの基本方針をまとめ告知することです。何故なら、球団に一番必要且つ大切なのは、ジャイアンツ・ファンに対してファンが安心できることであり、また夢を持てる指針と目標を明確にする事です。そしてその裏付け説明が必要で、その情報を公開する事が大事です。この作業を行うことで、ビジョンが明確になり、それに沿ったシナリを完成する事が出来るのです。

この指針を明確にしない限り、これから進む東京読売ジャイアンツ(略:TYG)の未来は、社会、ファンからの信頼回復が難しいと思います。つまり、現在のような「俺たちは球場に足を運ぶファンにジャイアンツ戦を見せてやっているんだ。ファンはプラテイナテイケットを買わせて頂いています」の主従関係の時代は終わったという意味なのです。何故必要かと申し上げますと、プロ野球球団は、一新聞社が新聞拡販目的の為に道具として使う(ビジネス)コンセプトの時代でないと言うことです。また公益法人ではなく私企業体で独立したビジネス組織なのです。球団はファンを先ず大切にする姿勢が大事だと強調したいと思います。

読者の皆さんは、球団株主の読売新聞社・最高経営者が過去に、球団経営陣、監督、等は、社内人事であると公言されたことをご記憶されているかと思います。嘗て球団は、「株式会社よみうり」という会社の一事業組織としてTYGがあり、その中に他の地方の各読売新聞社も連結で組み込まれていました。よって、読売新聞社の最高経営者は、TYGが「株式会社よみうり」の中に属する一事業所として長年位置付けていた関係で、退任した監督を何らかの役職で残したり、緊急時に復帰させる為に抱えたり、個人的な不祥事、不都合を持つ監督を静かに球団内に寝かしたりしたため、球団内の人事を会社内人事だと公言してはばからなかったのだと思います。

しかし、近年は、独立した株式会社法人として経営、運営、管理がなされている筈なのです。よって球団内の経営、運営、管理も新聞本社とは、切り離したビジネス・アドミニストレーションを取り行うことが正攻法でないかと思う次第です。このスタンスが明確になって初めて、本来のプロ野球球団としてあるべきベースボール・アドミニストレーションの基盤が整うのです。

2.球団最高経営者(CEO)がやるべきこと

近年の歴代オーナー発言を拝聴致しておりますと、今日も尚「株式会社よみうり」時代の一事業所感覚で捉えられ、独立している株式会社組織として思考されていないところが、いつまで経っても球団組織の背骨が見えない所以なのかと思ってしまいます。

此れでは、近年の与党自民党の組閣人事の模倣に過ぎない様に思えてならないのは、筆者だけでしょうか。マスメデイアを通して表面に出てくる報道からは、全くベースボール・アドミニストレーションの基軸となるべき球団の経営方針及びそれに伴う球団のテイーム作りに対するコンセプトが見えてきません。

その理由は、球団組織としてのアドミニストレーションに大きな問題があるからと思われます。

球団に於けるベースボール・アドミニストレイターは、誰なのか、どのような職責、責務なのかを先ず明確にされた方が賢明です。そして、その球団統括責任者は、球団社長なのか、代表なのか、GMを置かないのであるならばそれに代わる球団編成部門を統括する責任者の肩書、契約年数、業務に対する責務を明確にする事です。球団の最高責任者は、フィールド監督をアナウンスする以前に球団編成統括責任者を告知する事が重要な手順であり、アドミニストレーションの鉄則なのです。

そして公表された球団編成部門の統括責任者は、自らの初心を公に告知する事がプロとしての業務の第一歩となります。球団経営者から託された経営やテイーム再建を描いたビジョンの表明と、その計画の下に遂行して行く事を宣言し、プロのGM的役割を担う編成統括責任者としての大きな業務と使命のデビューになるわけです。

編成部門の統括責任者の宣言後、「現テイームの戦力を分析した結果、今後3シーズンに於いてビジョンと計画を遂行する為に必要とする次期監督は、複数の候補の中から○○監督が適任として球団最高経営者に推薦させて頂き、オーナーより了解を得たので、今日ここに発表させて頂きます」とこれがプロの球団組織としての準備と手順では無かったでしょうか。今オーナー自ら公表、着手する手順、内容は、大局の視点から見たシナリオに沿ったものではなく、目先のパズルを埋める作業にしか見えないのですが、如何でしょうか。注:CEOChief Executive Officerの略)

3.この度のTYGのオーナー発言と告知に疑問

この度のTYGの高橋監督辞任発表と同時にGM、スカウト部長、等の去就が公に出たり、次期監督名が出て来たり、CS終了翌朝に既にコーチングスタッフの名前が非公式にだらだらと壊れた蛇口から漏れ出したような状態では、プロ組織のベースボール・アドミニストレーションとしての体を成していない様に思われます。これは、丁度私が1993年秋に当時の球団、テイームの調査をしていた状態に酷似しています。TYGの広報担当責任者の資質が問われてもしかたない現状を露呈しているように思えてなりません。読者の皆さんは、公式発表もない時点で何故このような報道があちこちから漏れ聞こえるのか、おかしなことをやっているなと思われている事でしょう。これでは、プロと呼べない。

親会社の最高経営者としての重責を担っているオーナーは、いちいち球団の個々の人事についてスポークスパーソンとして登場する必要はないと思います。オーナーたるや、読売新聞社本社の社長室でド~ンと構えられていればいいのではないでしょうか。

ベースボール球団の経営、運営、管理において能力有と洞察された人物に対して面談、身体検査を行い、本人が興味ありとの意志表示をすれば、球団経営者会議の場で本人にプレゼンテイションをさせ、質疑応答を経て賛同を得られれば、オーナーが任命するべきであります。オーナーは、球団統括責任者として契約を行う。そして、契約期間中は、全ての職責業務を任せる度量が無ければ東京読売巨人軍CEO、オーナーは務まらないと思います。このようなスタンスと理解では、いつまで経っても本球団の混迷、迷走は続き、不祥事が今後も永遠に不滅となると思います。勿論、テイームの成果と結果も最高経営者の思惑通りには、行かないという事です。

4.日本のプロ球団で成功している例

この点、日本のプロ野球界の中で成功している球団と筆者が評価するのは、福岡ソフトバンクホークスです。ホークスのオーナーは、球団個々の人事、組織、経営、運営に対して金は出しても一切口出しはされず、常に距離を置いています。球団には全責任を自身が任命した統括責任者を置き、その統括責任者が球団内で起きる諸般の問題に対する判断、処理、決断をして、最終的に球団オーナーの決済を仰ぐシステムが機能しているように見受けられます。

この組織構造とシステムは、日本の伝統的な球団と親会社の関係に於いて大変珍しい合理的且つ責任体制が明確なプロ野球球団の構造とシステム体制であると思われます。このようなCEO、オーナーが真の器の人物だと筆者は確信している次第です。

よって、外部から招聘した役員、専門職、等に対する対応、対処の仕方は、契約雇用制度を有効に活用して、不要な人材が負の遺産とならない為にも、球団組織に不利益を与えた、与えるであろうと統括責任者が判断した時には、スパッと削ぎ落とす判断や決断をする所が成功の秘訣です。社内人事、お仲間集団、お友達集団を形成させないところが現在成功しているベースボール・アドミニストレーションであり、アドミニストレイターの成功例ではないかと思われますが、如何でしょうか。

5.TYGは全員契約雇用制度を徹底すべし

球団組織内の責任体制が、優柔不断な体制、体質である事は、球団フロントのみならず、現場(フィールド)に於ける監督、スタッフ達も同様で各コーチの肩書があっても何故かジャイアンツの各担当コーチには、責任が問われない問わない体質があるのです。選手指導に於いても肩書の異なる指導者が口出し、越権行為をしてもフロント担当者も監督も見て見ぬふりをしてその選手及び担当指導者にも不利益を与え、潰してしまうか、他球団に逃げられるのが現実なのです。現場の監督が個々の指導者達の肩書通りの業務をさせて挙げられないのは、監督自身にトータルマネージメント力が無いので個々の指導者の能力も引き出せないと判断するのが妥当です。

このような現実にフロント球団の体質も同様なので、誰もがコーチ達のいい加減な業務を、見て見ぬふりをするので一貫した指導体制が取れない大きな問題の要因が此処にあるのです。

球団経営者は、現場で行われている現実を知る由もないので、「指導体制を一元化して横断的な指導を行う」等とよく聴くセリフです。しかし、これ程無責任且つ抽象的な表現は、勝負の世界で通用する事はないのです。それでは、何故個々の指導者、コーチに肩書を与えるのか、与えられたコーチの責務は誰がどのように何を基準に評価、査定されるのか。よってコーチに対する査定も無く、全員1年契約なのです。監督を含めて全指導者は、総合コーチの肩書で担当肩書は無用だと思います。このようなコンセプトでは、プロスポーツの組織として成り立たないのです。

球団の貴重な財産である選手個々は、誰の指導を受ければよいか、誰の言うことを聴けばよいのか、これでは選手に対しても指導者に対しても責任の所在がないので、誰の言うことを聴いておけば試合に出してもらえるのか、良く思われるのかと世渡りを指導しているようなものが現実に現場で起きていることを全く理解できていない経営者の発言なのです。

しかし、MLBの球団組織と日本のプロ野球球団組織とは、根本的な違いがありますので、CEO,オーナー制度の比較対象になり得ません。この違いに付きましては、機会が在りましたらご紹介します。

6.オーナーは自身の発言に責任を持つ事が大事

この度の球団内の編成部門に関わる人事を球団のオーナー、読売新聞社社長がスポークスパーソンになり、広報責任者がやる業務に口出しするのは如何なものでしょうか。

前回の「まとめ」で既に述べさせていただきましたが、この状態に於いて、先ず刷新されるべき大事は、読売新聞社TYGは、独立した別法人としたのですから、実質的に伝統的な天下り人事を行うのでなく、球団経営陣の過半数読売新聞社及び関連企業役員とされても、残り役員を外部から招き入れ、球団をこれから支える真に実力のあるエキスパート達(ビジネス部門、医科学部門、渉外部門、国際部門、広報部門、等)を厳正な審査の上雇用して実力主義に雇用体系を改善する事が、本球団の活性化と将来の発展の為には、重要不可欠なベースボール・アドミニストレーションの基本だと確信しております。

この球団は、この骨格が非常に不透明で優柔不断な人材の集合体である事から、全てのことがフェアーでなく、最終的には責任のなすりつけ合いが生じ、不都合な結果に対しては誰かをスケープゴート化する体質が絶えない球団組織となっていると思われます。

即ち球団内にデイシジョンメーカー(球団内で起きる全ての決断が出来る決定権者)がいないのです。これは、スポーツ・アドミニストレーションの視点から申し上げますとプロスポーツ競技組織としての致命的な最大の弱点であると思います。

このような球団組織では、日々勝敗が決まる組織に於いて対応が仕切れないと申し上げている次第です。球団内の各責任者達が、自身の責務を遂行するに当たり、いつも読売本社の顔色を伺いながらの日々の仕事では、話になりません。このような人材ではなく、堂々と自身の職責、責務を敏速に遂行できるプライドを持った人材を配置、雇用しなければ競技スポーツの日々の勝敗に対応しきれないと申し上げるのが筆者の論理です。

どうか筆者の論理が利害、利得を優先される方々には、不快を与えたことを末尾にお詫び申し上げますと共に、ベースボール・アドミニストレーションのモデル球団として、日本の競技スポーツ界、大学競技スポーツ界のよき手本となるように心より期待し、そう願う次第です。

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:大変厳しい辛辣な言葉を使用しましたが、本球団の立て直しには、避けて通れない最大の関門であることをご理解頂けましたでしょうか。本ブログが公開される頃には、既に新しい体制も発表されている事と思われますので、本BLOGをご笑読して頂きながら現実を対比して頂きますれば、物事の本質が透けて見えてくるのでないでしょうか。