K'sファイルNO.77:日本の冬の風物詩大学箱根駅伝は誰の物 無断転載禁止

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第二弾 大学箱根駅伝主催は本当に学生の自治体?                                                                                                 

1.大学箱根駅伝の帰属権が不明確

①問題の序章

箱根駅伝は、毎年正月の2日、3日の両日早朝7時から午後2時まで長時間に渡ってテレビや、ラジオで実況中継されるほか、SNSの動画、記録配信、等々と国民的な行事に発展、注目されている事は読者の皆さんもご承知の通りです。今回は大会を経営、運営、管理している主催団体をスポーツ・アドミニストレーションの視点から観察、洞察して参ります我々は、テレビの実況に気を取られている間に、何時しか重要な実態と真の伝統的な大学、学生、学生選手達の遺産を見失ってしまっているのではないでしょうか。

筆者は、人々を過熱させるこの報道こそが、本大会を主催する実権を本来の加盟大学及び学生達から、スポンサー会社、企業へ移行し、いつの間にか主催者の本来の趣旨、目的から企業ビジネスが主体となり、学生、学生選手達が商品の駒となり、主従関係が逆転してしまっている事に学生及び学生選手を預かる大学も気付かず、今日のような舞台裏が構築されてしまったような気がしてなりません。

教育を趣旨、目的とする筈の大学競技スポーツは、その本質が事業(ビジネス)と言う偏った方向にミスリードされてしまっていると思われます。その意味で、国から私学への莫大な助成金補助金の必要性とその在り方が問われる時期に来ているのではないのでしょうか

本競技スポーツに関わる大学関係者(大学経営、管理者、教員、職員、学生、学生選手)は、教育という本質を見失い、何でもいいからテレビに出て有名になれ的な風潮が極端になってしまった様です。そして、その為には、身体能力のある選手達を手段選ばず安易にお金の力を利用して内外からリクルートして来る次第です。このような学生選手獲得資金は、いったい大学は何処からどのようにして作り出されて行くのでしょうか。まさか公金の私学助成金補助金が流用されていない事を願う次第です。

このような現実は、既に大学競技スポーツの教育秩序を崩壊させている危険な状態である事を誰もが気付かないのが、重要な課題だと思います。

ここ数年大学競技スポーツが突然話題になっていますが、真に論議しなければならない本質的な問題をどう解決、処理して行くのか、避けては通れない事を関係者達がどれほど理解認識出来ているのでしょうか。この問題に大学関係者、国民、社会が全く無関心である様子は、丁度近年の我が国の選挙民と国会議員、国会の運営、管理の関係にも酷似しているように思えます。

帰属権と既得権

箱根駅伝は、「何処に帰属し、既得権は本来何処の誰にある大会なのか」を考えられた事がありますか。勿論、「各加盟大学です」と純粋にまだ思っている大学関係者、読者の皆さんがいる事を願う次第です。この重大なキーワードを各大学の経営者、管理者、また、大学設置を認可した文科省スポーツ庁)の見識者諸兄は、どのように考えられているのでしょうか。

文部省、文科省スポーツ庁は、何故、このような事態になる前に指導、勧告を加盟大学に行わなかったのか、これもまた不可思議な教育機関、省庁と言わざるを得ません。多分何も思考した事がないのだと思われます。或は、インボルブすること事態に興味すら持たなかったのかも知れません。

 

2.主催者としての関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

先ず本箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレーションの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

主催  :関東学生陸上競技連盟

共催  :読売新聞社2004箱根駅伝の商標登録済、読売新聞東京本社

特別後援:日本テレビ放送網株式会社

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存会

     箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知されていない。尚広告代理店は、博報堂です。

ご参考までに、

公益社団法人日本学生陸上競技連合が主催する大学駅伝大会要項

1) 全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢)(商標登録無し)

       主催:公益社団法人日本学生陸上競技連合 朝日新聞社 テレビ朝日 

                 メ~テレ

  後援:スポーツ庁 愛知県 三重県 名古屋市 伊勢市 日刊スポーツ新

                 聞社 一般社団法人中部経済連合会 中部経済同友会 愛知県商工会議所連 

                合会 三重県商工会議所連合会

      運営協力:東海学生陸上競技連盟 一般財団法人愛知陸上競技協会 一般 財団法

                人三重陸上競技協会 支援:愛知県警察本部 三重県警察本部

       特別協賛:JAバンク

       協賛:興和

       協力:シチズン時計 三重交通グループ ニューバランス ジャパン 

       三菱UFJリース radiko 日清オイリオグループ

       企画協力:アサツーディ・ケイ(広告代理店)

 

2)  出雲全日本大学選抜駅伝競争(商標登録無し)

       主催:主催公益社団法人日本学生陸上競技連合出雲市

       主管: 出雲全日本大学選抜駅伝競走組織委員会

       運営協力:中国四国学陸上競技連盟、一般財団法人島根陸上競技協会、出雲市

                    上競技協会、島根県警察本部・出雲警察署、陸上自衛隊出雲駐屯地

      協賛:  富士通株式会社

      後援: スポーツ庁島根県島根県教育委員会島根県立中央病院、出雲市教育委

                  員会、公益財団法人島根県体育協会、フジテレビジョン産經新聞社、サン

                 ケイスポーツ、ニッポン放送、TSK山陰中央テレビ山陰中央新報社、

                 エフエム山陰

 

3.主催団体の置かれた立ち位置

①主催と共催の関係

箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催しています。また、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催者の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社2004年に行い、所有しています本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録をした年に後援から共催になっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要だからです。また、役員の責任に関しては、「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です(不明瞭)。しかし、関東学連の規約には、役員の責任、責務に関する明文化された詳細な項目が見当たりません。また、余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのだと思われます。(法律専門家の解釈及びアドバイスより引用)

何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか

大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか。

読売新聞社が途中から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し共催とした事で、読売新聞東京本社の持ち物として、関東学連読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録使用料として莫大な金額を毎年支払っているのでしょうか。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

 ■規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています。参照URLhttp://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

③学生の自治体とは何なのか

先ず此処で、注目致しましたのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿    URLhttp://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

 

4.関東学連公益法人日本学生陸上競技連合の違い

  本件の調査から、筆者は、関東学連以外で学連の名を名乗る陸上競技団体に問い合わせをしました。その名は、日本学生陸上競技連合(略:日本学連)です。日本学連の正式な名称は、公益社団法人日本学生陸上競技連合となっています。此処で明快な違いは、日本学連に公益社団法人が付き、関東学連には法人名が付いていな事で。よって、日本学連には、法人定款に基づき全ての情報を開示する義務が課せられています

日本学連から頂いた答えは、「関東学連の上部団体は日本学生陸上競技連合ですが、本連合は8つの地区学連の構成団体であり、関東学連はその一つです。関東学連は、独自に運営しております。」との事です。また異なる期日に質問を致しますと、「関東学連は、下部組織団体ではない」との事を説明されました。私の頭は今なお混乱したままですが、読者の皆さんは、どう解釈されますか。

関東学連の実態

関東学連、今日まで法人化を何らかの理由で避けているように思われます。法人化されていない団体の事を、わが国では「任意団体」と呼び、専門的には、「権利能力なき社団」と解釈されます。それは通常の各種法人に求められている「定款」が無いという事です。では権利の無い団体とは、一体どんな団体なのでしょう。

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です。

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難いと思われます。

②学生の自治体と称するなら

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思います。今日、国内の市民マラソン大会(大、中、小)では、NPO法人化され経営、運営、管理を透明化して成果を挙げているのが現状です。法人化する事により、少なくとも組織の責任の所在と情報の公開が義務図けられるわけです。NPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります。

③規約は重要な約束事(細部明記が必要)

箱根駅伝の組織・団体は日本野球機構などとは違って公共性を最優先されるべきであり、大学競技スポーツのアドミニストレーションに相応しい、透明性のあるクリーンな事業団体であるべきでないでしょうか

何故ならば、本大会は、公道を使用し公的機関である警視庁、神奈川県警が公務として協力、支援している事もその理由であります。これらは、公的資金を利用、活用している事を意味しています。

本事業団体は、大学教育の一環、延長線上の団体だとするならば、あまりにも不透明で複雑化し、規約には大事な大義が明快ではなく、団体の唯一の規約は、詳細が不明確な為に責任の所在すら確認できないのではと思われます。

 

5.関東学連規約書には、関係者の責任の所在が不明

事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されていません。多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な疑問です。意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任きわまる団体に加盟大学は、運営、管理を委ねているのか大きな疑問が発生していますが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう。

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

BLACK BOXの扉は開かれるのか

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOXではないかと思えてなりません。学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報公開できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。

何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません。

公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報公開を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます。

箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回第三弾では、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報公開義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

次回第三弾は.皆さんの知らないことをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

 *引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URLhttp://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf