K'sファイルNO.106:中央大学に於けるSAD講義授業・実践ゼミ活動

K'sファイルNO.106中央大学に於けるSAD講義授業・実践ゼミ活動

無断転載禁止              注:K'sファイルは、毎週木曜日

f:id:hktokyo2017041:20190613000638j:plain

              信頼と絆

                                                中大河田ゼミのモットー 

読者からの便り~

河田弘道様  

魚料理に「活造り」と言うのがありますが、河田ゼミの再現を読みながらいつの間にか私自身がゼミ生の一人になったつもりで学修していました。物凄いパワーと質を作り(産み)出す大学スポーツの河田ゼミ授業に改めて圧倒され感動を覚えておりました。大学のゼミ教員、学生達は、このような真の実践ゼミが在る事を知らないと思います。こうあって欲しいと思うのは私だけではないと思います。もっと、K’sファイルの存在を知っている教員、経営者達は、自身の資料に留めず学生達、教員達に告知する事で多くの人達が救われます。

 

はじめに

中央大学に於いてスポーツ・アドミニストレイション論(略:SAD)の講義授業に付帯した実践河田ゼミは、強い「信頼と絆」をモットーとしてスポーツ・アドミイストレイションを机上の論理のみならず、担当教員の長きにわたる実践キャリアを基に何かを会得する事を趣旨、目的と致しました。

K’sファイルNO.105では、第二弾・河田ゼミ二期生の課題・テーマに付きまして3年間の成果と結果に至った内容をコンパクトにご紹介しました。ゼミ生達の成果・結果からは、強烈な河田ゼミ生達の個々の個性が大きな熱量の塊となる一方、フレッシュで爽やかな写真からは、ゼミ生個々の笑顔が彼ら彼女らのひかり輝く未来を指し示す道標のようにも思えて来るのは筆者だけでしょうか。

読者の皆様からは、今日の大学教育機関に於いて「想像を絶する教育的なゼミ活動の実践」をご紹介した事に、「感激と興奮」「気が付けば河田ゼミ生に成り切っていた」とのお褒めの読後感を沢山の方々から頂きました。此処に感謝とお礼を申し上げます。

さて、K'sファイルNO.106に於きましては、読者の多くの皆様から共通した興味とリクエストを頂いております。それは、活動した河田ゼミ生達が本プロゼクトを通して、現在社会の最前線で何を思い、何を感じて、実践経験を活かし、活かされているのかを聞きたい、聞いてみたい―、との質問です。

そこで、NO.106では二期生プロゼクトの総括として、統括プロデユーサーだった清水翔太さんの当時の報告書をご紹介したいと思います。また、清水さんには、NO.108で、ゼミ長の柏葉麻実さんと合わせて社会に出て今感じる心を生の声で伝えてもらおうと期待致しております。

NO107では、第二弾・三期生の巨大プロゼクトを紹介させて頂き、NO.108では三期生の統括プロデューサー兼ゼミ長でありました栗山政誠さんの社会に出ての生の声も、副長の今田沙梨さんと共にご紹介できればと思います。ゼミプロゼクトの統括プロデユーサー及び、ゼミ長さん方には、日々お仕事で多忙且つお疲れのところではありあますが協力を快く引き受けて頂けましたので楽しみにしております。スペースの関係でゼミ生達の氏名、活躍内容を全て掲載できますかどうか不安ですが、最大限の努力を致しますので、読者の皆様のご理解を切に願う次第であります。それでは。

                         

統括プロデューサーの総括 (担当任務報告書)

「第3回中大スポーツシンポジュームを終えて」

                                                                              中央大学・経済学部・産業経済学科

                                                                              FLPスポーツ健康科学プログラム

                                                                               FLP河田ゼミ所属、4年 清水翔太       

                                                                               2009年12月18日

 

1.はじめに

 第1回シンポジウム、第2回シンポジウムで、私は企画班に所属しプロデューサーとして活動を行った。第1回は中央大学初となるイベントを自分達の力でやり切ったという達成感を得た。しかしながら、聴衆の興味・関心を十分に惹きつけられなかったという実感が私には伴った。第2回では第1回の経験を踏まえ、活動に力を注いだ。内容はアンケートから判断する限り、改善出来た。ただ、第2回シンポジウムに足を運んでくれた人は第1回目より少なくなってしまった。この集客に関しては第2回を経験した事で自信というものを失ってしまった。

2.決意

 第3回目のシンポジウムを行うのか否か。第2回シンポジウムが終了し、ゼミ内での論点はそこに集中した。正直な所、私自身としては「飽き」と「自身の欠如」が心の中にあったため、第3回に関しては前向きな姿勢ではなかった。

3年目も同じようにシンポジウムを行うとすると、また同じように企画書を作成して、パネリスト交渉をして、企画を練って・・・」とシンポジウムを行う心構えとして、ルーティン作業とまでは言わないが、ある種の飽きを感じている自分がいた。また、人生の節目の1つである就職活動と並行してシンポジウムを行わなければいけない中で、「果たして本当に満足のゆくシンポジウムを創りあげることが出来るのだろうか。中途半端になるだけなのではないか。」とも考えてしまっていた。つまり、怠惰で弱気になっていたのだ。

ゼミ全体の流れとしても第3回目に関して、どこか消極的な空気が漂っていたように思う。しかしながら、優れた代替案などが出るわけでもなく、全体としてフワフワしたまま時が流れていく一方だった。

そんな折、河田先生からシンポジウムの目的、そしてこのゼミの活動の目的・意義がゼミ全体にメールで送られた。これを見て私はハッとしたのを覚えている。「たかだか2回のシンポジウムで中央大学が劇的に変わるような土壌が中央大学にはない。ここで第3回シンポジウムを行わなかったら今までの活動の意味はなく、中央大学スポーツには何の刺激も与えられずに終わってしまう。また、スポーツ・アドミニストレイションの一環でもあり、中央大学スポーツを盛り上げる事にも繋がるシンポジウムの集客に関して、自分は本気になれていない。」このように感じ、悔しさと情けなさがこみあげてきたのだ

そこで私はどんなに大変であろうと第3回シンポジウムを行い、目標集客を何としても達成して卒業しようと決意した。

3.実践したこと

3回シンポジウムを行い、集客目標を500人に設定する事がゼミの話合いで決まった。今回は何としても500人を集めたいという気持ちが強く集客班として私は活動をする事にした。集客班のリーダーとなったが、個人的には「先生とのパイプ役」「全体がどのような状況か把握し、活動が滞った時に打開策を考えよう」くらいの心構えでしかなかった。というのも、あれやこれや指示をすると皆の中に「指示待ち人間の心」が宿ってしまうのではないかと考えたからだ。全員が自発的に努力し、頑張らなければ集客目標を達成する事は絶対に出来ない。自発的に全員が活動するように、言うなれば全員が「私がリーダーとして集客を引っ張っていかなければ」といった自覚を持つくらいの組織になるようにしなければと思った企画に関しては、薄情かもしれないが、企画班を信じきることにし、任せきった。(勿論、困った時や相談がある時は協力するが。)

集客班として私が実際に活動したものは、

①学員時報

②草のみどり

③ゼミ内で試合観戦を組む

④各体育連盟へのコンタクト

⑤地域へのポスター貼り

⑥集客班のスケジュール調整

⑦長期休み時の先生への連絡

⑧授業告知

S-COOP

⑩校内でのビラ配り

⑪校内でのポスター貼り

⑫個人での集客

⑬装飾品造り、その他に細かい仕事などがある。

活動した全ての事から何かしらの気づきや、学ぶべきことを得ることが出来たが、特に①、②、⑦、⑧、⑫に関しては学ぶべきものが特に多かったように思う。

4.集客活動、シンポジウムから得たもの

集客活動を通して大きく学んだことは「地道な活動の大切さ」、「報連相を密に」「人との繋がり」である。「地道な活動の大切さ」であるが主に上記の②、⑫で強く感じた。②の草のみどりに関して、例年はビラの同封をお願いするだけであったが、今年は1人でも多くの人に河田ゼミの活動と清水翔太の思いを知ってもらおうと草のみどりに原稿を掲載して頂けるようお願いしたしかし、正直なところ「時間をかけて書いたけれども、本当に効果はあるのか」と半信半疑であった。ところが、⑫の個人集客にて草のみどりは目に見える形で効果を発揮した。

サークルの後輩や友達、両親までもが草のみどりを通して私の思いを自然と知ってくれ、シンポジウムには50人以上もの知人が足を運んでくれた。特に両親が私の河田ゼミの活動に興味を示してくれたのは今回が初めてであり、私自身も嬉しく思った。草のみどりに関しては他のゼミ生はあまり効果を実感出来なかったかもしれないが、私は非常に効果を感じ、「地道な活動の大切さ」を実感するに至った

報連相を密に」であるが、⑦の先生への連絡を通して実感した。「報告・連絡・相談を密にしろ」なんて昔からよく言われているから、重要性くらいわかっているよと思いがちだが、なかなか出来ていないからこそ世間では頻繁にその事が言われているのだろう。私はリーダーとして先生へ活動報告するために、全員の活動進捗状況を確認していた。つまり「報連相を密に」しようとしていたのだ。すると、どこの作業が遅れていて、どこの作業が進んでいるのかが整理出来、今後の見通しを立てることが出来る。班で活動をしている以上、仕事というものは繋がっているのだから、遅れている仕事をそのままにする訳にはいかない。遅れているところがあるのであれば助け合わなければいけない。社会に出る前に全員の進捗状況を把握し、仕事を進める事の重要性を再認識出来た事は非常に有意義であった

また①、②、⑧を通して「人との繋がり」の大切さも実感した。浦野さんをはじめとする学員ネットの皆さま、斎藤さんをはじめとする父母連絡会の皆さま、小峯先生をはじめとする授業告知を手伝っていただいた教員の方々、多くの人がシンポジウムに対して理解を示し、協力を快くしてくれた。卒業された河田ゼミの先輩たちから引き継がれる人脈はシンポジウムにおいても大いに役立ち、シンポジウム成功の一端を担った。このような「人との繋がり」は本当に大切にしなくてはいけないと実感することが出来た。

プロゼクト成功のキーワード

そして、3回シンポジウム全体を通して学び得た事は「①目的を見失わないこと」「②諦めないこと」「③仲間の大切さ」である

 「①目的を見失わないこと」何のために活動をしているのか、その本質を頭に刻み、目的を見失わないことは何かを成し遂げようとする時にはとても重要になってくる。今回、第3回シンポジウムを行う前にはその重要性に気づけていなかった。しかしながら、先生のメールのおかげで本質、目的を頭に刻みこんでからは、悩んだ時は原点に立ち返る事が出来、ぶれずに活動を続けられたように思う。

「②諦めないこと」これをゼミ全体で実践する事ができたから、目標人数の達成、シンポジウムを終えた後の達成感を味わう事が出来た。

途中、いつ誰が「やっぱ無理じゃない」と本気で言ってもおかしくない状況の時もあったが、誰1人として諦めることはなかった。これは私自身も含めゼミ生皆が精神的に成長した証しでもあると思う。

「③仲間の大切さ」これが1番学び得た事である。河田ゼミ生は個性様々であり、ムラっ気があるが、全員が心の底では「シンポジウムを成功させたい」と強く思っている。それ故に、私自身疲れている時や、やる気が低下しそうな時でも仲間の活動、思いを見る事で、「自分も頑張ろう」と思えた。(今回の第3回シンポジウムでは特に、佐々木の活動、努力に尊敬し、刺激を受けた。)このような刺激的な仲間がいる事はとても幸せであり、今後も大切にしていきたい仲間と巡り会えた事は非常に喜ばしい。

f:id:hktokyo2017041:20190613001413j:plain

中大クレセントホールにて、(撮影のため高井さんが入っていません)                           写真提供河田ゼミ

5.最後に 

もうすぐ長いようであっという間だった大学生活も終わりを告げようとしている。何年後かに私が大学生活を振り返ってみると、まず間違いなくこの河田ゼミの事を最初に思い出すであろう。つらいことや面倒くさい事も勿論沢山あったが、それ以上に有意義で充実し、学生として非常に貴重な経験ばかりをした。他のゼミでは決して経験出来ない事だったであろう。

そして、このような貴重な経験を数多くさせてくれ、本当は口を出したい事も沢山あったのだろうが、私達ゼミ生の成長のために温かく見守ってくださった河田先生には心から感謝している。河田先生が中央大学客員教授として在籍をしている間に、入学出来、先生のゼミ生として3年間活動を続けられた事を誇りに思う。本当にありがとうございました。心から感謝したい。

 私はこれから河田ゼミで得た経験を基に社会人として、先生の名に恥じぬよう、活躍をしていきたい。期待していただきたい

これからも河田ゼミ、河田先生のご活躍、中大スポーツを応援していきたい。

 

                                河田ゼミ二期生 清水 翔太  

                                 シンポジュウム統括プロデユーサー

 お知らせ:清水翔太さんは、この時期既に第一志望の「KDDI株式会社」に就職先を決 め、卒業式を待つだけ。卒業式では、2009年度中央大学主席、総代という輝かしい足跡を残して卒業。FLPプログラム開講以来初、そして河田ゼミから栄誉ある主席、総代を輩出した事は、河田ゼミ、ゼミ生達の誇りです

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:このようにして河田ゼミ二期生のプロゼクト、活動は、本総括を持って無事終了する事が出来ました。次回河田ゼミ三期生は、中央大学でのスポーツ・アドミニストレイションの講義授業に付帯するFLP河田スポーツゼミの5カ年計画の最終章へと進めて参ります。此れが日本の大学教育機関で実践した実践ゼミの正体を覗いてみて下されば幸甚です。それでは、次週お会い致しましょう