K'sファイルNO.123:②何故IOCは伝家の宝刀を初めて抜いた

f:id:hktokyo2017041:20190718003102j:plain

K'sファイルNO.123②何故IOCは伝家の宝刀を初めて抜いた

無断転載禁止            毎月第二、第四木曜日公開予定

読者からの便り~

河田弘道

雨模様の冷たい勤労感謝日でした。122号拝読致しました。表題のインパクトも凄いですが、論考の厳しさと重量感を感じながら読ませて頂きました。

近代オリンピックが創立誕生して120年余。この地球上で最も大きなお祭り(平和の祭典)になりましたが、それが今、そのお祭りを組織する最高機関のIOCが天下の宝刀を抜かなければやっていけなくなった「本質」とは何かを河田流俯瞰力(ふかん力)で鋭く斬り込まれ、オリンピックとは、スポーツとは、スポーツ競技者ファーストとは何か等などを問い質し、改めて、オリンピック、スポーツの有り様に向けて本格的な議論をぶっつけ合う先陣を切られたことに敬服申し上げます。古代ギリシャオリンピアの祭典も、前6世紀頃から競技者のプロ化現象が進み、その事から起こってきた様々な問題についてソフイスト達が批判しておりますが、そのことを河田さんの論考を読みながら勉強をし直しています。とくに、「惨め」と言うギリシャ(athlios)は競技者から派生して作られた言葉であったことを教訓的として今でも噛みしめています。122号論考に感謝を込めて。  読者より~

 

目次

第二弾 IOC理念の行詰まりと今後

Ⅰ.五輪は悪政と利権の道具と化したか

①五輪のビジネス化で得た教訓

IOCNOと言えない契約書を締結した責任者は誰だ

NOが言えなくなった日本社会(イノベイションの必要性)

Ⅱ.IOCが伝家の宝刀を抜くに至った経緯

①告知前後の出来事

②強権発動の経緯と経過

筆者の私見

筆者の素朴な疑問

 

第二弾 IOC理念の行詰まりと今後

Ⅰ.五輪は悪政と利権の道具と化したか

①五輪のビジネス化で得た教訓

国際オリンピック委員会IOC)の五輪の本来の理念は、1984年のロス五輪の後、消滅してしまったのではないかと思われます。

これは、IOCがロス五輪(1984)当時のLAOOC(ロス五輪組織委員会)委員長で五輪最強のアドミニストレイターとして歴史に残る偉業を成し遂しとげたP・ユベロス氏の存在を抜きにしては語れません。同氏の「五輪開催による莫大な黒字捻出の手法」を目の当たりにしたIOCは、目先の利権欲しさに五輪を丸ごと民間企業の電通(広告代理店)に売り飛ばした事に端を発し、一度は栄耀栄華の頂点を極め、今や急激な坂道をブレーキの無い荷馬車に加速が加わった状態で転げ落ちようとしている様子です

コンパクト五輪はカムフラージュで、金と肥大化に一向に歯止めが利かない五輪は、東京大会の先の2024年のパリ、28年のロスアンゼルスの決定においては招致の対抗馬すら現れず、現在のIOCの理念及び経営、運営、管理態勢が終焉を迎え、IOCのやりたい放題のオリンピック・アドミニストレイションに各国が“NO”の裁定を突き付けたと理解するのが賢明かも知れません。

東京五輪は、IOCの言い値で、半数以上のIOC理事達に爆買いさせられた最後のオリンピック・アイランドであったように思われます。読者の皆様にはどの様に受け止められますか。

2020年開催の東京五輪は、ロス五輪後の五輪ビジネスの集大成とも言うべきマーケテイング神話によって、国を挙げての巨大国費と巨大民間資本の投入という商売最優先の姿に終焉を迎えようとしています

その証として東京五輪は、アスリート、国民、社会の為にあらずIOC電通(独占広告代理店)、大会組織員会の利権のビジネス・ツール(商売道具)と理解された方がシンプルで判りやすいかと思われます。そして此処まで、露骨に国会議員、政治家達が五輪組織委員会に携わっている五輪も未だかつて記憶にありません。重要な国会審議よりどうも五輪関連に関わる方が一挙両得なのかも知れません。ある国会議員は、「政治とスポーツの分離」を声高に述べています。この方は、「政治家とスポーツの分離」と言えないのは自ら競技団体の役員に身を置いている矛盾を抱えているからかも知れません。

プロパーな人であるならば、招致活動以前から客観的科学データが示している通り、近年の日本の7月、8月、9月の酷暑に無理やり「虚偽のプレゼンテイションを行い、且つ収賄の重大疑惑を負ったまま」莫大な国家財政を大義名分にレガシーの必要性を掲げて箱物建設に建材の生コンクリートを流し込むような真似はされないでしょう

会計検査院の先日の告知では、既に現時点で五輪に総額3兆円以上が投入され、当初の数字の4倍もの支出が既になされているとの事の様です。この状況では、開催当日までには4兆円を超えると予想されている次第です。そして既に、危惧されるのは、大会終了時までに重要な収支の証拠が長野オリンピック同様に「焼却」されている可能性が高いかも知れないと言う事です。

毎年起きる国内の自然大災害に対するインフラ整備に、被災者救済に、福島県の原子炉汚染による放射能処理も未だ処理できず、何故五輪に投入する莫大な費用を計画的整備に投入して、国民の生命を守ろうとする声すら上がらないのか、不思議な我が国の現状を悲しくさえ思う次第です。 

本当は、国民、社会の民意が低くなっているのではなく、平和ニッポンが国民、社会から「正義(Justice)と公正・公平(Fairness)」の人間社会の根幹を奪ったのか、はたまた、それに伴い国民は権力に対して無力と化してしまったのか、我々は自己中心的になり下がり、自由と民主主義社会の「共存共栄」の原理原則まで失ったか、と思わざるを得ない実情と現実ではないでしょうか。

 

IOCNOと言えない契約書を締結した責任者は誰だ

アスリート・ファーストを口にされる人達は、真にそう願っているなら東京五輪の招致に際して「虚偽のプレゼンテイション」を一国の総理大臣と共に行ったり、未だどす黒い疑惑の晴れない「収賄行為が未解決」のまま、福島原発津波被害に伴う「放射物質の処理も未解決」、「この酷い酷暑の夏に炎天下で選手達を競わせ」としたりしようとするでしょうか。これでは、国家の未来が危ぶまれてならないと危惧するのも当然かと思われます。

真面なスポーツ・アドミニストレイターは、この様な酷暑の真夏に大半屋外競技スポーツを抱える夏季オリンピック大会を日本に招致しようと思考したり、自然災害で苦しむ被災者達の苦しみと痛みを招致活動のプレゼンで虚偽の御旗に利用したり、IOCの拝金主義をサポートする為に国民の税金を湯水のように投入する様なマネはしないのではないでしょうか。

この日本のオリッピック・アドミニストレイションを嘗てのLAOOCP・ユベロス委員長が知ったなら、同氏は、この世界最大の国民の税金を投入した東京五輪をどう評価するであろうか筆者は、機会を見て直接お聞きしてみようと考える次第です。

 

NOが言えなくなった日本社会

日本国内の各自治体では、真夏日、猛暑、酷暑、熱波の夏には「屋外での活動は控えて下さい。危険です」と防災予防街頭スピーカー、携帯、スマホを通して自粛を呼び掛けている季節なのです。そこでフルマラソンを走らせる事は、思考力の貧しい人間の浅ましさを告知しているようなものではないでしょうか。このような矛盾社会の中で子供達に教育、指導等をどう行なえと文科省スポーツ庁は通達しているのでしょうか。

つい最近、文科大臣が確か国会で「夏の全国高校野球大会(甲子園大会)は、無理である」と断言されましたが、オリンピック大会なら大丈夫という判断で招致活動を推進したのでしょうか。現文科大臣も、組織委員会の重鎮でもあるのです。

先日はまた、文科省組織委員会は、膨大な数の観戦テイケットを東京都に買わせて都下の自治体を通して、小学校に配布して観戦する企画が水面下で既に手配されていたようですが、「大多数の小学校では本企画に賛同できずお断りの決断をした」旨の報道が新聞マスメデイアでなされていました。その最大の理由は、子供達をこの時期長時間に渡り交通機関で移動させ、観戦中の「事故」に対する対策、対応が不可能で危険であるとのことのようです。これを企画した側には、子供達への生命の危険に対する概念が欠落している証でもあると思われます。

この様な方々が国の根幹を成す教育、スポーツの部門を司るようでは、資質を問われても仕方ない事なのかも知れません。教育、スポーツ部門には、何としてもスポーツ、教育に特化した真のスポーツ・アドミニストレイターの養成及び育成が急務です。この様な矛盾に対して社会、国民は、誰もがNOを言わない、言えない、まるで異なった社会国家に変革されてしまったようです

この様な時期に日本の屋外で競技スポーツを行わせる非常識さは、健康と生命に関わる危険度を全く顧みない、できない人達の考える事なのでしょう。この種の人達は、一日中涼しい場所に身を処している人達と申し上げても過言でありません。その人達が、「選手ファースト、アスリート・ファースト」を連呼しても、かえって空々しく響くだけです。真に選手を守るのは、選手自身なのかも知れません。“NO”と言えた選手は、真に勇気あるアスリートとして称賛されるオリンピック大会の勇者と筆者は思う次第です。

隣国「香港」の民のように国民、社会の生活と生命を脅かす政府に対しては、大半の民を持って“NO”を表明、能動的行動も辞さないあの勇気と決断力、結束力に頭が下がる思いです。

我が国に於いては、特に近年倫理も思考力も蝕まれ、弱体化して行く日本国を憂えてなりません。1964年の東京五輪は、戦後日本の復興を世界に知ら締める為の装置としての役割を十分に果たせました。しかし、2020年の東京五輪は、国民と社会にまた国際社会に何を知らしめようと招致したのでしょうか。この度の五輪に「大義」はあるのか、ポジテイブな意味で国家、国民にオリンピックの実情、実態を知らしめてくれる装置であったのかも知れません。この状態を国民一人一人がどう受け止め、今後に生かすか「民意」を問われているのではないのでしょうか。

筆者は、今こそ日本の教育界、スポーツ界に「イノベイション(Innovation)」が必要で求められているのではないかと強く提案させて頂きたい次第です

 

Ⅱ.IOCが伝家の宝刀を抜くに至った経緯

①告知前後の出来事

この度IOCが危機回避の為の最終決断を行い、自らの権力を振りかざしたスポーツ・アドミニストレイション及びアドミニストレイターとしての最悪のシナリオを実行した状況を読者の皆様は改めて知り確認されるのではないでしょうか。

2020東京五輪のマラソンコース(及び競歩)は、国際オリンピック委員会IOC)により20191016日に札幌移転開催を突如発表されました

この時点で、IOCトーマス・バッハ会長及び現執行部)は、自らの手によって今日まで長い歴史によって培われて来たオリンピック大会を頂点にしたIOC及びその翼下の組織・団体の構造とそのシステムを無視し、IOCの権力を行使した即ち「問答無用」の決断をその翼下の開催都市、TOCOGJOC日本陸上競技連盟JAF)、選手達、等に呑ませた次第です

IOC(バッハ会長)は、重要な各統括組織・団体に対する理解を得るための議論をする猶予すら与えず、短時間で秘密裏に根回しを行い、IOCの理事会で本移転の承認を得ていたという事なのです。即ち、本運営、管理手法は、バッハ氏(ドイツ出身)特有な独裁的特徴のような気が致します。そしてこの強硬手段を成就する為に取った行動とは、IOCのバッハ会長、ジョン・コーツ東京五輪調整委員長は水面下で事情にあまり問題の本質及び専門知識に精通していないと思われるTOCOG森喜朗会長とコミュニケイションを測り、森会長は総理官邸への根回しに赴き、最終的にIOCの決断であったとの印象を強烈にアピールした次第のようです。また翼下の組織・団体の異論反論に対しても蓋をしたのでした。

哀れであったのは、東京都知事小池百合子氏の五輪に関する発言、意見が常にことごとく潰され、相手にしてもらえないあの無力な言動、姿が目に浮かびます。

それに比べて森氏の無関心を装うあの言動、表情、態度を国民、社会にTVマスメデイアを通してさらした姿こそ、東京五輪組織委員会TOCOG)の資質が透けて見えた様な気がしてなりません。TOCOG、既にコース整備も莫大な都の予算を傾注して完成、アスリート、関係者は既に本番コースでの最終トライアウトも終了しているにも関わらずIOCNOが言えなかったのでした此れでは、唯のIOCのイベント請負組織で、資金調達機関であったとそしりは免れないでしょう。きっと甘い蜜箱なのかも知れません。

IOC理事会には、日本のJOCから渡邉守成氏(国際体操競技連盟会長)が出席していた筈です。またIOCのジョン・コーツ氏は、東京五輪調整委員長であります。しかし、彼らは、この事態に対して何の調整役の責務も使命も果していなかった事がこの度の1016日の突然の通達・告知で証明された事に成りました。

 

②強権発動の経緯と経過

6月1920日:IOC理事会(Executive Board meetingローザンヌスイス

IOC20日、スイスのローザンヌで理事会最終日の審議を行い、2020東京五輪の大会組織委員会から電話会議形式で準備状況の報告を受けた。組織委の森喜朗会長は報告後に東京都内で取材に応じ、IOCから「準備状況は極めて正確だと評価をいただいた」と述べた。森会長によると、IOCのバッハ会長は、過去の大会と比較した上で、東京大会の準備は「オリンピック新記録だ」と述べて、順調に進んでいるとの見方を示した。他(以上共同通信配信記事より)

東京五輪ラソン競歩のアゼンダ(議題)無し

8月下旬:IOCトーマス・バッハ会長及びIOC東京五輪調整委員長のジョン・コーツ氏は、東京五輪開催の準備状況及び、暑さ対策への万全を報告、告知。

東京五輪ラソン競歩の話題無し

927日~106日:2020世界陸上ドーハ大会開催

開催:カタール、ドーハ (中東アジア)主催:国際陸上競技連盟(略:国際陸連IAAF

男女マラソン競歩競技に於いて、多数のレース途中棄権者が続出

IOCバッハ会長は、ドーハ世界陸上大会女子マラソン終了後のインタビューで、「東京五輪の暑さ対策には自信を深めた」と述べていた。

1023日:IOC理事会 ローザンヌ スイス

国際オリンピック委員会IOC)のバッハ会長は3日、スイスローザンヌでの理事会後に記者会見し、東京五輪の暑さ対策で大会組織委員会が全ての国際競技連盟IF)にアンケートを行っていると明らかにした

IFの懸念や要望を集約し、準備状況を監督する今月末のIOC調整委員会で組織委の回答を受ける。他」(以上共同通信社配信記事より)

*本理事会でバッハ会長は、初めて東京五輪の暑さ対策で各競技種目の統括団体である各国際競技連盟IF)にアンケート調査を行っている事を告知した。

東京五輪ラソン競歩のアゼンダ無し。

1008日:東京五輪組織委員会TOCOG)は、五輪テイケットの2次抽選販売延期を既に発表済み。TOCOGの延期理由は、一部関係者との調整が出来なかった事。

1009日:TOCOGの森会喜朗長は、内閣総理大臣安倍晋三氏と会談(報道済)。

1010日:森会長は、橋本聖子五輪担当相、秋元克広札幌市長と会合(報道済)

★★★1016日:

IOC東京五輪のマラソン競歩競技を札幌市に移転することを発表

(読売、朝日、それぞれの論調を掲載)

国際オリンピック委員会(IOC)は16日、猛暑下での開催に懸念がある2020年東京五輪のマラソン競歩について、会場を札幌に変更して実施することを検討すると発表した。IOCは既に大会組織委員会国際陸連に変更の提案を伝えている。(時事通信社配信記事より)

★★1017日:IOCバッハ会長は、東京五輪組織委員会(略:TOCOG)との2者間での合意を明かにした

国際オリンピック委員会IOC)のT・バッハ会長は17日、ドーハで2020東京五輪ラソン競歩の会場について「IOC理事会と大会組織委員会は札幌市に移すことに決めた」と、既に二者間では札幌開催に合意に達したとの認識を示した。

組織委の森喜朗会長も受け入れる考えを表明した。

開催都市の東京都をはじめ札幌市などとの調整がまだ残っているが、札幌開催は確実な情勢となった。

バッハ氏は、ドーハでの各国オリンピック委員会連合(ANOC)総会で、約200カ国・地域の代表者を前に「(札幌開催は)より涼しく選手の健康を守れる。これは大きな重要な一歩だ」と発言。

森氏は東京都内で記者団に「暑さ対策の一環からみればやむを得ない。組織委として受け止めるのは当然」と述べた

森氏は、札幌への変更で開催経費が膨れ上がった場合、IOCに負担を求めていく可能性があると説明した。

IOCのジョン・コーツ調整委員長は16日にドーハで札幌開催に付いて「国際陸上競技連盟が早急にコース計画を練って実行する」と実現に自信を示した

中東ドーハで行われた陸上の世界選手権のマラソン競歩で棄権者が続出しことが決定打となり、先週から開催地変更のプランが動き出した。(以上共同通信社配信記事より)

1019日:TOCOG森喜朗会長は、1011日にIOCから電話で札幌への変更を伝えられたと1016日後に述べている

*「橋本聖子五輪担当相は、札幌変更について北海道がさらに大きな舞台となって行くのは非常に喜ばしい」と歓迎。北海道出身の橋本五輪担当相は、森会長が政界に導いたことから「父と娘」のような関係に在ると述べられて居る。(その他メデイア報道より)

1025日:IOC調整委員長のJ・コーツ氏は、開催都市東京都知事小池百合子氏と都庁で会談した。小池氏の東京実施の可能性を問われ「NO」と小池氏に口を挟ませなかった。

★☆1030日~111日:IOC調整委員会の会議を3日間の予定で東京で開催。

 注)IOC会長、調整委員長発言、TOCOG会長発言、都知事発言

以上、本件に付いて時系列に列記しましたが、読者の皆様は、改めて事の次第が出来レースで在った事を強く印象に残られたのではないでしょうか。

 

筆者の私見

IOCの告知は、今後起きる事に対してバッハ会長が、暑さ対策で東京五輪組織委員会が全競技団体にアンケートを取り始めたと布石打ったのかも知れない。

■しかし、そのアンケートの中身は、公表して居なのでないか。

■本理事会で既にIOCは、東京から札幌移転の承認を得ていたという矛盾が時系列から推測される。

安倍晋三内閣総理大臣森喜朗会長会談の趣旨・目的は報道せず。マスメデイアは、何故取材し情報公開しないか。

■何故、この時期、このタイミングで三者会談(森会長は、橋本聖子五輪担当相、秋元克広札幌市長と会合)がなされたのかの情報公開がなされていない。マスメデイアは、何故取材し明らかに公表しないのか。

■このバッハ会長発言から、全て本件に付いては事後報告、事後告知である事を認めた事になると考えられる。

■本都知事発言は、都知事の名誉を守るパフォーマンスに過ぎない発言。

■既にIOC理事会で承認を受け決定しているにも関わらず、「東京都をどう納得させるか」などとは、都民、国民を愚弄する茶番であった。

109日に既に森氏は、内閣総理大臣と秘密裏に会い、費用負担の最悪のシナリを確認している筈なので、この様なパフォーマンスが必要なのか。

■此処で初めて、IOC調整委員長のコーツ氏が「国際陸上競技連盟IAAF」の存在を告知。

■森会長発言は、時系列からも同氏(森会長)の行動からも信じられない。少なくとも10月初旬のIOC理事会前後には事前の打診、及び経過情報を受けていたと推測する事が現実的である。

TOCOGの森会長は、「私は11IOC側から初めて聞いた」と何度も何度も繰り返す理由は、裏を返せば本件に付いて何も知らなかったと言いたげ。

これは、まさに開催都市長への事後報告と理解する。そして、J・コーツ氏は、東京都がどうするかを確認に来たのでなく、東京から札幌移転はIOC理事会で決定している。意思決定は、IOCにありと念を押しに来たと考えられる

IOC調整委員長のJ・コーツ氏は、111日に4者協議開催を提案。4者「IOC(調整委員長J・コーツ氏、TOCOG森喜朗会長)、東京都(小池百合子知事)、国(橋本聖子オリンピック担当相)」を指している。これらは、セレモニーでありIOCの権威付けに他ならないパフォーマンス。

■は、K’sファイル筆者の私見

 

筆者の素朴な疑問

この度の東京五輪ラソン競歩競技会場が全ての準備が整った東京から開催9カ月前の1016日にIOCは、開催都市東京都に対して札幌市移転の強権発動を持って通告致しました。本件の経緯は、時系列を持って客観的な報道内容を主体に致しましたが、読者の皆様はどのように理解、消化されましたでしょうか。

筆者の目には、IOCT・バッハ会長が短時間で先ず結論ありきのシナリオを描き、IOC及び自身のキャビネットの保身有りき、を最優先されたが為に「伝家の宝刀(IOCの強権発動)」を抜かざるを得なかったと推測する次第です。彼らは、IOC1016日の開催都市への通達告知発表時には既に“NO”を言わせないための「完全武装」をしていたはずですが、なぜか本シナリオを完結させる為の重要なキーワードの幾つかが、シナリオ図のパズルが抜け落ちていたことに気付いて居なかったのかも知れません。

本件のマラソン競歩競技は、陸上競技種目の中のロードレース(競技場内のトラック&フィールド外の一般公道を使用する競技)です。本競技は、競技場内で行われる他の種目同様にIOCは本競技の専門部門を司る「国際陸上競技連盟(略:国際陸連IAAF)に運営、管理を委託契約しているのです。しかしながら、本件が国際陸連の管轄でありながら表面的には、IOC会長、調整委員長が全てを仕切り、IAAF国際陸連)新会長のセバスチャン・コー氏(Sebastian Newbold Coe、英国)の専門部門としての「移転の根拠と見解」が全くなされていない状態である事は、本件の最大の抜け落ちたパズルであると思われます。

日本のマスメデイアに於いては、コース移転決定後、何故か札幌コースが確定しないと報じています。その理由は、IAAFTOCOGに溝があると指摘しています。しかし、これは即ちIAAFIOCの間で今回の移転に関する問題で何かしっくりいっていない事を物語っているのかも知れません。

勿論、本件に付いては、IAAF会長のS・コー氏は、主役の1人であります。そして、彼はIOC東京五輪調整委員でもあり、嘗てのロンドンオリンピック組織委員会の委員長でもあった人物です。S・コー氏に付いては、次回12月26日の最終章で詳しく触れる事に成ると思います。

筆者は、この抜け落ちたパズルこそがこの度の札幌移転への最大の隠された根拠と暗部であると思えてならないのです

この度のテーマ「何故IOCは伝家の宝刀を初めて抜いた」の最終章第三弾では、「この抜け落ちたパズルの解読を筆者の素朴な疑問と私見を交えて」を予定致しております。

 国際陸連IAAF)は11月に「ワールドアスレテイックス(世界陸連、WA)」に名称変更を発表しましたが、今回はそれ以前から話が継続していることもあり、混乱を避けるため国際陸連で統一表記致しました。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

お知らせ:本テーマに対する多くの読者からの読後感、ご意見を頂いております。次回は、本テーマの最終章でもあり、本年度最後のK’sファイルNO.124をお届けいたします。これから沢山のホリデイシーズンを迎えますので、熟読して頂き行間とその奥に潜む、スポーツ利権に対するポリテイカルゲームをスポーツ・アドミニストレイターとして解読して頂ければ幸甚です。