K'sファイルNO.93:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

 

K'sファイルNO.932020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

無断転載禁止 注:K’sファイルは、毎週木曜日掲載予定

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読者からの便り~K'sファイルを毎日ワクワク、ドキドキしながら一週間を待ちきれない思いで拝読させて頂いています。K'sファイルを読み始めてから他のマスメデイア報道、新聞メデイアを気を付けているのですが、みんな同じような当たり障りない報道、記事ばかりの様に感じます。どうして報道機関は、K'sファイルのように情報を誠実、正直に我々に公開してくれないのか、これでは国民、社会は情報操作された情報しか与えられていない様に思えてならないのです。読者より

第六弾:公益財団法人2020東京五輪組織委

1.20東京五輪からミズノスポーツが消える!

先ず初めに

前回のK’sファイルNO.92では、20東京五輪招致の勝利報告、それに伴う20東京五輪組織委に絡む人事抗争の一環に於いて、招致委員会で活躍され、誰もが次なる組織委での活躍を期待した水野正人氏(当時:20東京五輪招致委員会、副理事長、事務総長、専務理事、JOC副会長)が、突然の退場勧告を受けた模様について述べました。

そして、水野氏は、その後全ての役職から姿を消し、JOCの副会長のポジションも退任された次第です。当時よりJOC会長で招致委員会の理事長として、水野氏と両輪で闘ってきた竹田恒和氏は、何故水野氏を擁護されなかったのでしょうか。同氏には、その力がなかったか。或いは、ご自身のポストを守るのに精一杯で事の次第を見て見ぬふりをされたのかも知れません。まさか、この時竹田氏は、今日の20東京五輪招致に関する疑惑の矢が自らに向けられてくるとは思いもしなかった事でしょう。

この度の招致活動の旗振り役は、最初は当時東京都知事だった石原慎太郎氏であり、次に猪瀬直樹氏、さらに舛添要一氏へとバトンが引き継がれて行きました。しかし、どの知事も曰く付きの方であったために職を追われることになりました。そして、献身的に活動された企業家の水野氏も姿を消し、竹田氏もまた招致疑惑の責任を問われ、JOC会長職の任期延長が取り沙汰され始めているのです。此処に負け組の顔触れは、略出そろった事になるのでしょうか。しかし、国会議員、都議会議員達は、賑やかに飛鳴していた海鳥(シーガル)が巣に戻ったが如く鳴き声一つしなくなったのもこれまた政治家としての処世術の一つなのかも知れません。

そのような不穏な空気が淀む中、20東京五輪組織委員会の設立に向かっての人事、予算案、協賛スポンサーシップ、等の作業が準備会議を中心に粛々と進行されて行くのでした。

①公益財団法人2020東京五輪組織委員会設置

2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(略称:TOCOGThe Tokyo Organizing Committee of the Olympic and Paralympic Games,20東京五輪組織委)は、2014124日に発足し、201511日付で公益財団法人となりました。此処で読者の皆様は、本組織委員会が公益財団法人である事をしっかりと記憶して於いて頂ければ幸いです。

20東京五輪組織委会長には、森喜朗(元内閣総理大臣)が就任し、副会長には、何と現役衆議院議員遠藤利明が就任されたのです。それでは、政府に居る五輪担当大臣の桜田義孝は、何をする為の大臣で遠藤氏は何のための衆議院議員なのか。これでは、政治家の為の政治家による東京五輪である事を歴史に負のレガシーとして刻んだ事を意味すると筆者はスポーツ・アドミニストレイターとして申し上げて置きます。

そして事務方のトップには、事務総長として武藤敏郎(元日本銀行副総裁、現大和総研名誉理事)が就任したのです。また、理事には、複数の国会議員が顔を揃えています。しかし、16年招致委員会で失敗した事務総長の河野一郎が副会長に入り、20年招致委員会で勝利した事務総長、専務理事、副理事長、JOC副会長の水野正人の名前は、最後まで外されていたのです。

これは、本来スポーツ・アドミニストレイターが行うフェアーな人事ではありません。本件に付いては、一切の情報公開は成されていないのでないかと思われます。読者の皆様は、このような密室での人事が成された理由をご存知でしょうか。まさにこれは日本の政界の総理総裁、閣僚人事の伝統的な人事手法そのもので、スポーツ界に取っては暗黒の組織委員選考人事のような気がしますが、クリーンで清潔な人物は居なかったという事の様です1つ政界とは異なるのは、野党が居ないので反対、反論する立場の人間が誰ひとりとして居ない事です。

そして委員会の役員の皆さんは、皆本業から所得を得、組織委員会からも莫大な報酬を受け、諸経費も付帯され、バランテイアー活動者の顔をした高額所得者なのです。

また、2014417日には組織委員会は、国内の協賛企業獲得を行なうマーケティング専任代理店を公式に株式会社電通(略:電通)を指名しました。そして、電通の代理として高橋治之氏(元電通専務、現株式会社コモンズ代表取締役会長)を組織委員会理事として迎え入れたのです。

此処で森喜朗氏は、自身の神輿の担ぎ手キャビネットのお披露目をした次第です。その後、複数の理事等の交代が在りました。

②公益財団法人2020東京オリンピックパラリンピック組織委員会20181128日現在)

評議員 名簿

https://tokyo2020.org/jp/organising-committee/structure/councillor/

役員理事 名簿

名誉会長

一般社団法人日本経済団体連合会名誉会長

キヤノン株式会社代表取締役会長CEO       御手洗 冨士夫

会長

内閣総理大臣

公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問       森 喜朗

副会長

衆議院議員

2020東京オリンピックパラリンピック大会推進議員連盟幹事長

公益財団法人日本スポーツ協会副会長        遠藤 利明

パナソニック株式会社代表取締役社長        津賀 一宏

公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構理事長   河野 一郎

国際オリンピック委員会委員

公益財団法人日本オリンピック委員会会長      竹田 恆和

国際パラリンピック委員会理事

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会

日本パラリンピック委員会委員長          山脇 康

東京都副知事                   猪熊 純子

 

専務理事(事務総長)

株式会社大和総研名誉理事             武藤 敏郎

常務理事(副事務総長)

文部科学省スポーツ・青少年局長         布村 幸彦

常務理事

公益財団法人日本オリンピック委員会副会長兼専務理事 平岡 英介

 

理事

作詞家                      秋元 康

麻生セメント株式会社代表取締役会長        麻生 泰

公益財団法人日本オリンピック委員会理事      荒木田 裕子

公益財団法人日本スポーツ協会副会長兼専務理事   泉 正文

東京都オリンピック・パラリピック準備局長     潮田 勉

福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長

一般財団法人世界少年野球推進財団理事長      王 貞治

日本政府代表 中東和平担当特使          河野 雅治

東京都議会議員                  小山 くにひこ

公益財団法人日本オリンピック委員会副会長     齋藤 泰雄

スポーツ庁長官                  鈴木 大地

東京都議会議員                  髙島 なおき

株式会社コモンズ代表取締役会長          高橋 治之

オリンピアン(体操)               田中 理恵

オリンピアン(柔道)               谷本 歩実

トヨタ紡織株式会社取締役会長           豊田 周平

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会

日本パラリンピック委員会事務局長         中森 邦男

パラリンピアン(水泳)              成田 真由美

写真家 映画監督                 蜷川 実花

衆議院議員

2020東京オリンピックパラリンピック大会

推進議員連盟幹事長代理              萩生田 光一

参議院議員

公益財団法人日本オリンピック委員会副会長     橋本 聖子

東京都議会議員                  東村 邦浩

公益社団法人関西経済連合会会長

住友電気工業株式会社取締役会長

近畿陸上競技協会副会長

公益財団法人日本陸上競技連盟評議員

一般財団法人大阪陸上競技協会会長         松本 正義

公益財団法人日本スポーツ協会常務理事      ヨーコ ゼッターランド

公益財団法人日本陸上競技連盟会長        横川 浩

国際オリンピック委員会委員

国際体操連盟会長                渡邉 守成

監事

公益財団法人日本オリンピック委員会監事     黒川 光隆

東京都会計管理局長               土渕 裕

 

IOCスポンサーと国内スポンサーとは

IOCのスポンサーシップに関する規定では、1985年から新しい規約、規定が設けられました。それらは、IOCの協賛スポンサーとして最高位(TOP)のスポンサー価値を意味するものです。その為には、一業種一社方式、即ちIOCのスポンサーに成れるのは、例えば自動車メーカーを選ぶ場合、1メーカーを選定すると他の自動車メーカーはスポンサーには成り得ない事を意味するのです。これは、IOCTOPThe Olympic Partners)と称される所以なのです。これにより、IOCは、協賛スポンサーをリスペクトすると共にIOCの唯一のスポンサーとしての評価価値を最高位に維持する事を目的としているわけです。

開催国の組織委が獲得できる国内に限るスポンサー権は、これまたIOCのスポンサーの一業種一社のコンセプトに基づいたスポンサーであり、IOCのスポンサーの評価価値を下げない事が明記されているのです。しかし、この度国内に於ける大会スポンサー契約は、これまでのIOCのコンセプトの慣例を破る「一業種2社」の契約が特例として認められたのです。マーケテイング担当者の発表では、20154月の時点で目標収入額の1500億円を突破したとの事でした。そこで、契約枠には、1150億円以上の契約金の設定が新たに設けられたのです。

本国内スポンサー契約に関しては、2019219日の朝日新聞朝刊に寄りますと、現在3200億円のスポンサー収入を見込んでいるとの事で、これも広告代理店電通の力によりIOCの慣例を特例にした様子が伺えます。また、この朝刊記事によると、大会組織委会長の森氏の記者会見では、森氏が両脇に日本航空JAL)社長と全日空ANA)社長を従えこうやって仲良くね。オールジャパンの象徴だと得意満面な笑顔でしたが、このお方にはスポーツマンシップが必要な環境、組織には似合わないと思うのは筆者だけでしょうかこれは、代理店電通にとっても莫大な手数料が入るのでこの上ないIOCの慣例破りとなった次第です。

この森氏の得意満面な笑顔を読者の皆さんは、記憶の片隅に置いておいて頂ければ、同氏の政治家論理は、言動と実行の不一致が後に明らかになるのです

この特例は、IOCがよく許可をしたと筆者は驚いている次第です。何故ならば、IOCの商品価値を低下させ、IOCTOP精神を否定する事に繋がるからです。これは、IOCのパートナーであり、組織委員会のマーケテイングパートナーである電通の力がIOCを動かした事に繋がるのです。しかし、これによりIOCの商品価値が崩れ出した第一歩となる気配が漂い始めたと申し上げても過言でありません。今後のIOCのビジネスコンセプトに禍根を残すことになりそうです。

④国内五輪協賛スポンサーに本命登場

ここで日本を代表する選手達、役員達が使用する公式ユニフォーム、開閉会式に使用される公式ブレザー、シューズ、等のスポーツ用品・スポンサーサプライアー権の指名が行われたのです。その内容に付いては、明らかにされていませんがどうも最終的に国内2社(ミズノ、アシックス)が競合し、最終的に組織委は、20東京五輪のスポーツ用品のオフィシャルスポンサーサプライアーとして、株式会社アシックス(略:アシックス=ASICS)を指名したのです

これでスポーツ用品部門のカテゴリーは、ASICSとなったのでした。しかし、本入札の詳細に付いての情報公開は、勿論なされていないのです。聴こえてくるのは、2社の中でアシックスの提示価格が最高額であったという噂だけです。これにより、大会の国内スポンサーの最高位(ゴールドパートナー)の中で、唯一のスポーツ用品メーカーがアシックス(ASICS)と決定したのです。

アシックスは、既に創業者の鬼塚喜八郎氏の生誕100周年記念で、アシックス会長兼CEO(最高経営者)の尾山基氏は、本オリンピック開催でのスポンサーとなる事は創業者、鬼塚喜八郎氏の夢・悲願であったかに歓喜極まる中で挨拶されたかに聞き及んでおります。悲願の夢が創業者にとっても、会社・企業にとってもかなった事に対して、筆者は心よりお喜び申し上げます。

⑤森会長の発言内容とその矛盾

本件に関しては、本ファイルの「③IOCスポンサーと組織委スポンサーとは」に於いて述べさせていただきました。本国内協賛・スポンサーに付きましては、IOC電通の協力により特例として1業種2社枠が設けられ、組織委設置後多くの協賛を得ているのは、既にご紹介致しました。そして、その中で森氏は、1業種2社のスポンサーを従えて記者会見を行いました。森氏は、「こうやって仲良くね。オールジャパンの象徴だ」と得意満面な笑顔を既にK’sファイルでは、朝刊から引用させて頂き、ご紹介しましたので読者の皆さんは御記憶にあるかと思います。

それでは何故この度このようなスポンサー規定が1業種2社の方向に当初より動いていた事を承知しながら長年日本スポーツ界の屋台骨に尽力し、支えて来られたスポーツ用品メーカー2社のアシックス社とミズノ社に対して差別的な振る舞いをされたのか。何故仲良く協力したスポンサー契約を図れなかったのかと筆者は、組織委会長のアンフェアーな裁定(言行不一致)に政治家の計算高い心の動きを感じざるを得ないのです。このような裁定では、日本国民が納得しないまでもなく、メイクセンスしない一貫性の欠落した論理を通したようです。

この事に関連して、また新たなる被害者が出現

お知らせ:第六弾:公益財団法人2020東京五輪組織委 「1.20東京五輪からミズノスポーツが消えた」は、長編となりましたので、今週は、此処までとさせて頂き次週NO.94は、第七弾で続編を掲載させて頂きますのでご了承下さい。

 

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports