KファイルNO.145:スポーツ・アドミニストレイターとしてのGMの立ち位置

KファイルNO.145:スポーツ・アドミニストレイターとしてのGMの立ち位置

無断転載禁止             Kファイル:毎月第二、四木曜日掲載予定

読者からの便り

時事の話題から~

Kファイルコメント:プロ野球界から去ることを宣告された多くの選手達の心境は?

『球団に所属する選手の死刑宣告の開幕です。入団時は、天国を味わったが、何時もこの時期は死の宣告を待つ選手達の心境に心が痛みます。誰もが野球だけしかやってこなかったことをこの時期が来て初めて悔やむ。ご参考までに。此れもプロの掟なのです。』

河田様

私は、KファイルのSNSへの上記コメントを拝読させて頂きました。この言葉を拝見すると深く胸に突き刺さります。特に「高校・大学卒」の選手は「社会人としての教育、経験」など受けておりませんので、プロ野球に入り「将来の自分を思い描く段階」において「自分が野球を辞めなければならない現実が来る」とは微塵も思っていなかったことでしょう。戦力外という現実を前にして初めて『社会人としての厳しさ』を肌で感じていくことでしょう。小生は『社会人時代の経験』と『河田様からのご指導』がございますので『他の選手』よりは理解していると自負しております。しかし、小生も年齢を重ねていくに従って「更なる厳しさ」を味わうこととなると覚悟をしております。日本社会は「グレー」で「しがらみの世界」であります事を肌身に感じています。河田様のように「スポーツ・アドミニストレーター」としての『確固たる地位・資格』があればとは思います。しかしながら、河田様がここまでの地位を築くまでのご経験とご苦労は想像に難くないとお察し致します。小生のような未熟な人間には耐えられないことです。読者より(元プロ野球選手、現球団コーチ) 

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目次

スポーツ・アドミニストレイターの中枢を担うGM 

Ⅰ.スポーツ・オペレーションに於ける実戦配備

1.ゼネラルマネージャー(GM)の位置づけと存在

2.スポーツ・オペレーションとは

    1)実際にスポーツをプロデユース

    2)スポーツ・ビジネスオペレーション

      ■スポーツ・オペレーションの人的資源の使い方

      ■スポーツ・オペレーションに於けるマネージメント

    3)貧乏球団を引き受けた時のGMの手法

    4)GMと監督、専門スタッフの業務とその違い

Ⅱ.フィールドマネージャー(FM/HC/監督)

    1)監督の重要性

    2)監督とGMのパワーバランス

    3)能力ある人材に対するフェアーな環境と機会

 

 

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2020年11月12日木曜日    公開

スポーツ・アドミニストレイターの中枢を担うGM

Ⅰ.スポーツ・オペレーションに於ける実戦配備

 1.ゼネラルマネージャー(GM)の位置づけと存在

一般的にゼネラルマネージャー(略:GM)は、オーナー、最高経営者(CEO)の直轄管理下に位置しています。このことからもGMは、その球団、組織に特化した最重要なスポーツ・アドミニストレイターの一人なのです。GMは、球団及び組織・団体の中で経営分野とテイーム編成分野を統括運営・管理する事を職務・職責とする人の総称名を指します現実的には、①経営部門と②テイーム編成部門の統括管理責任者を配置している場合が多く見受けられます。皆さんが理解、認識されているGMは、多分後者②であると考えられます。 

  GMは、与えられた球団の財産(組織、人材、金、物、情報、テイーム、監督、スタッフ、選手、等を含む)の有効利用と活用能力が問われるスポーツ・アドミニストレイターなのです。特に大切なのは、先ず戦略を立案しその戦略に基づいたテイーム作りにおいて現戦力の今後の発展に一番適した指揮官・監督を選ぶ事からです。この選び方を間違えると組織に多大な損害を与えるのみならずGMのオペレーション・マネージメントに最大のダメージを与えることになるのです。

プロのGMに求められるものは、実行力と強烈なリーダーシップです。

1)トラブル処理能力:

利害関係がひしめく業務において問題の本質を敏速に見極め建設的な理解の下握手をさせる能力を意味する。

2)説得力:問題を先ず明確にしてお互いの置かれている現状を理解し、双方納得のゆく方向性と協調性を見いだし協力関係を再構築しなければならない。

3)客観的な対応力:敏速に客観的な要因を見つけだし、主観的な要素、要因を区別する能力が必要。

4)コミュニケーション力:ポジテイブな対話によって相手の真相と情報を得ながら素早く解読、分析しながら相手 にも理解させる交換能力が求められる。本能力を持ち合わせていない人間をGMに任命した場合、その時点で成果、結果は予測できます。任命権者に全責任があります。

5)人間関係の掌握力:オペレーション部門に携わる全てのスタッフ、職員達との信頼関係を構築し、個々の能力をポジテイブに理解し、それを業務に活用できるよう導く事が大事。

6)オペレーション部門の運営力:個人の個々の能力を導き出し、個々の業務を組織の中でまとめて組織力として活用できる能力が求められる。(マネージメント力、コーチング力)

7)判断力と決断力:球団、組織の経営、運営コンセプトに沿った判断は、スピードを持った決断力が必要不可欠です。

筆者は、実体験から以上主な必用能力として7項目を上げましたが、GM職には上記7項目は必要不可欠な項目でこれらの適正が無ければ務まらない、成果と結果が得られないと判断してよいかと思われます。また、アシスタントGMの採用に於いては、ただのイエスマンではなくGMの不得手な項目を得意とする能力ある人材をリクルートする事が賢明です

筆者は、このアシスタント諸氏には大変恵まれ、この方々無くしては東京読売巨人軍の歴史にメイクミラクル、ドラマを刻むことはできませんでした。現在もなお、この方々には心より感謝を致しております。

読者の皆さんが応援されているプロ野球球団、プロサッカー球団、等々には、このような項目に当てはまるGM,あるいはそれらしき編成本部長、等と称される方がいるはずです。

2.スポーツ・オペレーションとは

スポーツ・オペレーションとは、スポーツの活動を作る部門、部署であり実際に行うスポーツをプロデユースする現場を意味しています。

1)実際にスポーツをプロデユース

一般スポーツの場合

プロスポーツ競技者及びその関係者以外の一般にスポーツをする人達は、生産者であり消費者でもある可能性が高いことも忘れてはなりません。(この場合は、競技性は低くリクリエイション、レジャー、健康維持増進を目的としたスポーツ活動です)

例:スポーツ倶楽部では、消費者(会員)に対してサポートする側は、種々のサービスを提供しています。それらは、インストラクター、トレーナー、健康・栄養のアドバイザー、サポート役のフロント業務、ファシリテイー(施設)、メンテナンスの業務、スケジュールの管理、清掃・点検の重要な役目を担っています。これら全ての人材をまとめ管理する各部署のマネージャー及び支配人と呼ばれる役は、倶楽部の総合プロデユーサーです。倶楽部の顧客達は、消費者(会員)としての意識も高いです。よって、この場合、消費者は、実践者(商品)でもある事を忘れてはならないのです。

 2)スポーツ・ビジネスオペレーション

■特徴

スポーツビジネスに於けるオペレイションは、幾つかの重要なポイントがあると考えられます。以下考えられるポイントを列記致しましたのでご参考にして下されば幸いです。

①スポーツを観戦用にプロデユースする。

②選手自身は、プロダクトの一部です。

③マネージメントを行っているスタッフもプロデユーサーの一員。

④ゼネラルマネージャー(GM)、ビジネスマネージャー(BM)は、スポーツ組織・団体においての重要なコンダクターであり総合プロデユーサーなのです。

⑤スポーツプロダクトを消費するのはスポーツ観戦者、ファンです。

⑥スポーツプロダクトは物と異なりその生産と消費が同時に交換されることです。

⑦スポーツ消費者(観戦者)は、エンカウンター(encounter、出会い)を求め、プロデユーサーは、エンカウンターを作り商品化することを業務としているのです。

■スポーツ・オペレーションの人的資源の使い方

①仕事の内容、特性を明確にする。

②適切な人員を配置する。

③組織全体が効率よく動ける為の強いリーダーシップが必要です。

④仕事の成果を適切に評価し必ずフィードバックする事が大事です。

⑤モチベーションを高めるには、公平な報酬とそのシステムを明確にすることが大事です。

⑥スタッフへの対応は、常にフェアーに保つ事が大事です。

 

■スポーツ・オペレーションに於けるマネージメント 

本運営・管理には、GMとして能力のある人材を配置する事が大前提です。そして、最高経営者(CEO)は、GMに全ての統括権限を与え契約書に基づいた約束事を履行する事が重要な任務・業務であります。また、CEOは、ビジネス部門と編成部門の責任体制を明確にし互いに無意味なコンフリクト(対立)や業務上の越権行為を起こさせない、起こさない体制を整える事が重要です

また、一部球団、組織、団体に於いては、オーナー兼CEOがGMを兼務している場合を見かけますが(代表的な例は、NFLダラスカーボーイのオーナー兼GM)、この場合は各専門部門、部署にアシスタントGM、アシスタントBMを配置し業務を分担させることが賢明です。

GMの重要な使命は、最高経営者による球団の経営方針に基づいたテイーム作りを委託・委任され球団・組織の経営方針に沿ったテイーム運営/管理を行い組織の最終目的である「勝利」に導くことです。

次にGMの資質は、企業経営者としての資質を有し選手・スタッフ・監督の資質を見抜き強いテイームを作る為のリクルート(人集め)とそれを機能させる運営・管理能力に優れていなければならないことです。

そして最後にGMに求められるのは、資質の高い思考と行動力で思考だけでは役立たず、行動力だけでも成り立たないのです。行動力と思考力の高い資質を伴ったバランスを必要とされます

3)貧乏球団を引き受けた時のGMの手法

GM(ゼネラルマネージャー)は、スポーツ組織・団体において欠かすことのできない重要なコンダクターであり総合プロデユーサーでもあるのです。ゲームを運営・管理するに欠かせない人材です。オペレーション・マネージャーとも呼ばれています。このようにしてつくられたプロダクトを消費するのがスポーツ観戦者(消費者)と呼ばれます。

GMは、才能ある監督の発掘のみならずそのスタッフの採用が重要な成功の要素ともなります。安い材料(スタッフ、監督、コーチ、選手)を手に入れて、それに手を加え(マネージメント)新しい質のよい商品を生産し、ドラフト、FA,移籍というルールを有効に利用、活用して商品を相手に高額で売り、その利ざやで洞察力という能力をフル活用して安い材料を手に入れて、手を加えて蓄財して行く方法が能力あるGMと評されるのである。その為にもGMは、情報収集能力にたけ、それを最大限活用(リテラシー)する実践力が試されます

そして、そこでは生産者と消費者間では、物と金の交換でなく生産される選手のパフォーマンスに対する対価として観客、視聴者による消費が同時に行なわれる事が特徴です。また、観戦者がスタジアムに直接足を運ぶか、TV、マスメデイアの前に座るか、どちらかアクションを起さない限り観るスポーツは発生しないのです。よって、スポーツ観戦者は、お互いの関わり合いを含めて、観るスポーツの一翼を無意識のうちに担っているという事です。

4)GMと監督、専門スタッフの業務とその違い

GMは、球団・組織の中枢を担う職務・職責に位置するポジションである事は既に述べました。

球団及び組織の経営者によって雇用(契約)される場合一般的に監督より長い期間の契約となります。何故ならGMは、最高経営者の右腕であり経営陣の一員でもあるのです。特にスポーツ組織に在っては、経営のCOREであるテイーム、選手の商品化を図る最重要な役割を担っていて常に中・長期ビジョンに沿ったスポーツ・アドミニストレイターであるので長期に渡ってのテイームオペレーションの責任を負っているのです。よって、監督、コーチングスタッフのような短期的契約と区別されるのは当然です。よって、その組織に於いてGM、監督がよく変わるような球団、組織は、最高経営者に経営手腕が無いと言われても仕方ありません

プロGMは、本来まさに種々のマネージメント部署を預かる個々のマネージャー達を束ねて組織の経営、運営、管理を担うスポーツ・アドミニストレイターの最前線部隊の最高司令官と言えるかと思われます。

 

Ⅱ.フィールドマネージャー(FM/HC/監督

1)監督の重要性

フィールド・マネージャー(監督)は、このGMの管理下に位置します。GMの最重要任務は、スポーツ・ビジネスのCORE(根幹)をなす選手、及びテイームの商品価値を強化、向上させる事をその重要な職責としているのです。

GMは、企業経営者としての資質とその能力、優れた選手と監督、コーチ、専門職の資質と能力を見抜く観察力、洞察力を持ちテイームを強化する為の人材を集め、機能させる能力を兼ね備えていなかればならないのです。

日本に於いては、一般的にユニフォーム組の統括責任者として理解され、フロントの背広組と区別されています。

監督は、通常GMの推薦により球団組織の最高経営者により任命、承認されます。しかし、日本のプロ野球界のように最高経営者、オーナーの多くは、自らの私的感情と利害関係で判断するケースが多く見受けられます。このケースを優先する場合は、テイームの状況を十分把握した上での判断でなく人気及び私的な繋がりが強いケースが多々あり本来のGM体制の趣旨、目的とは異なるのです。

監督は、選手、技術スタッフの選考、テイームの戦略、戦術、等フィールド内における統括管理がその職責です。監督は、本来フィールドマネージメントの最高責任者である為に選手獲得に関してことのほか強い意識で獲得意思をGMに訴えるのです。この理由は、監督として短い契約期間内に好成績を残す事が条件であるからです。

獲得希望リストは、常に選手としての能力が高く、実績があり、確かな証がある選手を求める。しかし、そのような選手は、通常他の球団、監督もテイームもが求める選手なので商品価値が高く価格の高騰のみならず、内部においては、他の選手とのバランスを欠く結果を招きそれが原因でテイームオペレーションに大きな問題を引き起こし逆にテイームの弱体化の要因となって行く可能性が大となることを筆者は自ら経験しました。

此処で本件に関しての余談話になりますが、此のことは、日本球界に於いてもよくみられるケースであります。丁度筆者が東京読売巨人軍に招聘された時のテイーム状態が正にこの状態でありました。一例として、同じカテゴリーの高額年俸の野手が複数名顔を揃えていました(落合、広沢、大森選手が在籍しているにも関わらず清原選手が欲しいとの事で苦慮しました)

監督は、優秀な選手、コーチをリストアップしてGMにリクエストするが、その選手の獲得に関する全責任は本来GMにあり、またGMは、選手獲得の人件費のバゼット(予算)を任されているので慎重な対応、判断、決断が求められます。GMは、監督からのこれらの強い要望をそのまま受け入れる事が難しいのです。その理由としては、経営収支のバランスも考慮しながらオペレーション・マネージメントを計らなくてはならず、経営者の一角を担う職責、職務上の辛さもあるのである。

もちろん有能な監督の採用は、球団組織の大きな商品の一つであるのも事実です

GMが監督を選ぶ大きなポイントはいくつかあります。それらは、やはりその人物がフェアーであり、その競技スポーツに対するプロとしての指導、運営、管理能力を要している事、選手達に対して公平で、信頼と尊敬の念を要している事、また、自らの強い信念、対話、マネージメント能力、等々を有している事も重要なのです。

理想的な監督とは、上記能力を有した上での条件として、コーチンング、戦略、戦術、及びスポーツ科学の領域の知識と、社会人としての経験、社会常識を持ったポジテイブなパソナリテイーを有した自分物が望ましいのです。しかし、GMは、一番監督選考で必要とするのは現有戦力で勝利してくれる監督であって欲しいのはどこのGMも経営者の願いも同じのようですGMは、思考力、行動力、判断力、決断力が求められるがそれらのバランスがまたテイーム、組織の長期安定を醸成する事も忘れてならないのです。

これら個々のマネージメント部門、オペレーション部署を束ねて運営、指導、管理を指揮しているのは、組織の中ではスポーツ・アドミニストレイターなのです。

2)監督とGMのパワーバランス

 ここでGMと監督との間の力関係が明確に出てくるのは、フィールドに於けるコーチングスタッフの雇用について、監督が何人推薦したコーチに置けるか、フロント側のGMの意を受けたコーチを何人送り込んでくるかのバランス問題でも明らかになるのです。このバランスは、長いシーズン中のテイームの浮沈時に大きな問題が発生する時のパワーバランスとなるのです。

プロ野球の通常のコーチングスタッフ人数は、マネージャーを加えて7~8名で構成されるとすると最低約4名のコーチ陣は、マネージャー推薦のスタッフである事がパワーバランスからすると賢明な陣容であると思われます。フィールドマネージャーが強いリーダーであればあるほど、この陣容はおのずとしてマネージャー自らの推薦、指名のスタッフが大半であるということです。よって、監督は、ベンチコーチ(日本ではヘッドコーチと呼んでいる)に任命した人材を確保した段階でマネージャー自身の業務は、軽減されたといっても過言でないのです。

このようにコーチングスタッフの陣容が固まると即、フィールドマネージャー中心のミーテイングが持たれて、再び担当コーチからの意見と分析結果の報告を受け、総合的に戦力分析がなされる。ここでマネージャー(監督)とGMとの間の合意形成がなされ確認作業が終了するのです。このようなフィールド業務とフロント業務のシステムが既に隅々まで行き渡っているので1つの流れ作業となって遂行できるのです。しかし、個々の球団・組織のパワー即ち財力と人材の差が大きな差となり、結果としてシーズン終了後に現れるのも必然的です。

3)能力ある人材に対するフェアーな環境と機会

米国に於けるプロ球団、NCAA(全米大学競技スポーツ協会)加盟のメジャー大学を含む、等では、能力ある人材に対して常に他球団、他大学の有能なヘッドハンター達の注目を受けていることを組織も個人も知っているのです。よって、どんな弱小球団、弱小大学で与えられた業務を遂行していても能力を発揮できる機会は膨大にあり、巨大球団、メジャー大学への抜擢、GMへの道も決して夢でないのが米国でのフェアーなスポーツ・アドミニストレイションであると筆者は自らの体験からこれはよいシステムであり、効率がよい事をご紹介できる次第です。このような事は、日本ではまずありえない事のようです。それは、嘗て有名選手でなければ指導者、管理者として評価しないという迷信じみた伝統文化が日本にはいまだ幅を利かせている呆れた負の遺産です。

このように準備をしながら、フィールドマネージャー(監督)は、スプリングキャンプ、プレシーズンゲームを消化しながら開幕を迎えるのです。開幕後、ご存知のとおりゲームをコントロールするのは、フィールドマネージャーその人である。

ゲームマネージメントの最大のポイントは、与えられた球団の財産である個々の選手の能力をいかに最大限に生かせるか、即ち戦力の活用能力にかかっているのです。この与えられた戦力を最大限活用し最大の効果を発揮させるフィールドの最高責任者は、マネージャーなのである。マネージャーには、戦略、戦術にいかにたけているかどうかが大きなキーとなってくるのです。

例:日本の球団のケース

  日本のプロ野球球団組織では、米国のような本当のプロスポーツの組織構造とシステムを有していないのでメジャーリーグのフィールドマネージャーと日本の監督の業務が異なるケースが多々あります。現在もなお日本の各球団は、最高経営者の個人的な思惑で監督(フィールドマネージャー)を決定する場合が多くGMシステムが機能しないのもここにあると思われる。

注意:日本の競技スポーツ、野球界に於いては、テイームにマネージャーと呼ばれる人が居ます。これは、監督の意味ではなく主務(テイーム、監督の雑務係)と理解するのが正しいと思います。また、米国では、野球以外の競技スポーツの監督をヘッドコーチ(Head Coach)と呼ばれることを覚えておいてください。やがて日本に於いてもこの呼び方に変更されると思われます。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政 

お知らせ:NO.145編は、如何でしたでしょうか。少し内容が濃くなりましたが今までのKファイルをご笑読頂いている読者の皆様には、良く理解して頂いたかと思われます。本篇は、スポーツ界のみならず会社、企業、組織、団体、等に於いてもファンダメンタルなアドミニストレイションに於いては、ご参考になると思います。