KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

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目次

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

Ⅰ.教育の延長線上から外れ行く大学箱根駅伝

       ■はじめに

       ■大学スポーツ組織・団体の設立に思う

       ■UNIVAS設立以前に問題解決すべき事項とは

       ■大学箱根駅伝の運営、管理母体とは

       ■大学教育機関に「本音と建前論」は不要

1.筆者の体験を通して確認した学生選手の実態

       ■筆者が興味を抱いた理由

2.此処で企業スポーツを理解して頂く為に

      ■企業スポーツと学生選手の関係から

3.学生選手の入社面談報告書を見て呆れた実態

     ■企業スポーツのリクルート活動報告書より

4.透けて見えた大学部活動の現実

     ■誰も知らない大学スポーツ推薦枠の基準・規則

     ■企業スポーツは学生選手の狭き受け皿

 

 

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2020年12月10日 木曜日  公開

Ⅰ.教育の延長線上から外れ行く大学箱根

       駅伝

はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝のシーズンと話題がマスメデイアをにぎわす。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けいたしておりますが、今年もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

大学スポーツ組織・団体の設立に思う

過去複数年間文科省は、スポーツ庁の設置に伴い同庁に陣頭指揮を委ね日本の大学スポーツの改革の柱として、日本版NCAAと称したキャッチコピーで「大学スポーツ協会(UNIVAS)」の設立を声高らかに拡声されました。しかし、この看板は、掲げては見たものの肝心な中身が夜霧に霞む楼閣に等しい状態で、何を持って日本版と申されて来たのかいまだ意味不明であります。NCAA名を拝借したのは、ただ単に注目をして欲しかったのかも知れません。

スポーツ庁創設に伴い何か実績作りを焦り、準備も不十分なままに矛盾した組織・団体を設立したようにお見受け致す次第ですNCAAとは、「全米大学競技スポーツ協会(約1275校が加盟)」の名称で、米国に於いて約100年前に設立された大学競技スポーツ・アドミニストレイションに関する組織・団体です。我が国に於いては100年経っても本組織の摸倣すら不可能に近いと嘗て筆者は述べてきた次第です。どこの何方がこのような非現実的な名称を拝借して、花火を打ち上げたのか知る由もありません。

我が国は、身の丈に合った現実の問題を直視した組織の構築が賢明且つ、合理的であると思います。加盟申請を出されていない各大学の思慮分別は、ある意味においてNCAAが如何なる組織・団体か、日本の大学スポーツ協会組織が如何なる内容で団体かを熟知した大学関係者及び経営者の判断であるのかも知れません。

■UNIVAS設立以前に問題解決すべき事項とは 

既にこの矛盾は、各大学が今日まで学内に於いて抱えている重大な問題の火に油を注いでしまったように思えます。

実は、大学内に於いて各競技部が所属しているのは、学生の自治活動を束ねている学友会組織でこれも学生による自治活動と明快に謳われているのです。学友会組織は、全学生達の授業料から学友会費、施設費として徴収され、運営、管理がなされている仕組みなのです。即ち、全学生は、学友会の各部活のステイクホールダー(投資者)なのです。これが母体で学内の部活が運営、管理されている次第です。よって、本来部活の権利は、全学生にもあり、大学が大学スポーツ協会に申請、加盟するに当たっても全学生の同意或いは本来コンセンサスが必要なのです。しかし、この度の大学スポーツ協会への申請加盟は、大学・法人が勝手に出した申請書で学生達は知る由もありません。学生達は、全くこのような状況下に在る事を理解、認識していない不幸がここにもあるのです。

筆者がスポーツ・アドミニストレイションの講義授業で、学生達に授業料には、「学友会費、施設費が含まれている事に付いて、皆さんは授業料明細を確認し知っているかどうか」を問うと、誰も知らなかったのには驚嘆させられました

この為大学が大学スポーツ協会に加盟しても、協会は、大学側が競技スポーツ部を運営、管理できる体制下に無い事をご存じないのかも知れません。

これを捕らぬ狸の皮算用とでも申すのかも知れません

但し、独裁的な経営、運営、管理を行っている中・小規模大学には、例外もあることを付け加えさせて頂きます。これらの大学は、特殊な専門学校的なスタイルの経営者と申し上げた方がイメージしやすいかも知れません。

このようなことから各大学は、学内の各競技部を統括運営・管理ができていないことをこの程の加盟申請に於いて矛盾を学内外に告知、証明した事になったのではないかと思われます。即ち、この大学箱根駅伝を運営・管理する任意団体の学連が、大学スポーツ協会(UNIVAS)に加盟申請の提出を拒否したことで御上(文科省スポーツ庁、等)の意向と権威が通用しない事を示した一例だと思われます実は大学スポーツ協会設立に中心的に関与している役員方は、この大学箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟なる団体が喉から手が出るほど欲しいのです。その理由は、日本の大学競技スポーツ界で唯一人気があり、お金が儲かるイベントであることを知っているからです。また、筆者は、この関係者の方々の協会設置コンセプトが、東京五輪招致、組織員会の運営、管理者のコンセプトに酷似の様に思える次第です。

詳しくは、次回ご紹介できるかと思います。

大学箱根駅伝の運営、管理母体とは

大学箱根駅伝の運営、管理団体の関東大学陸上競技連盟(通称:学連)は、本来学生達の自治活動としてスタートされ、現在も理念、趣旨、目的に変更はありませんしかし、これは以前から単に表向きで実際は、大人達の利害、利権集団と化し無責任な任意団体(法人資格の無い、経理等公開の義務なしの個人の集まり)で学生達はバランティア活動としての単なる駒でしかないのが実態です。大学、学生選手達は、何故このような任意団体の利権集団に大学箱根駅伝を奪われてしまったのかを本年度の連載はこれらの解明を中心に展開して行ってみたいと思います。これを機会に、学生達がもう少し興味を持ってスポーツ・アドミニストレイションの必要性に付いて学ぶことを期待しています

前出の大学スポーツ協会(UNIVAS)は、設立したものの大学箱根駅伝を主催、共済する学連、新聞社から協会への加盟を拒否されたようです。よって、協会は設立したが大学競技スポーツの大学箱根駅伝さえも関われない言わば大学競技スポーツの組織、団体としての体をなしていない次第です。

本件の最大の矛盾は、大学スポーツ協会に加盟申請を提出している大学が本大学箱根駅伝に学生ティームを派遣し協力している事です。しかし、片や大学スポーツ協会は、本大学箱根駅伝を主催、共済している組織・団体とは主従関係でも翼下でもないことになります。即ち、大学箱根駅伝主催者・共催者は、UNIVASに手出し無用との意味で加盟申請を拒否したと理解できます。

大学教育機関に「本音と建前論」は不要

読者の皆さんは、それでは何のために各大学は大学スポーツ協会に参加、加盟申請書を提出しているのか、既にここにも大きな矛盾に気づかれるのはないでしょうか。この矛盾は、大学側にも大きくその要因があり、これがまさに日本の伝統的な御上に対する「建前と本音論」を使い分けている構造的な問題なのです。

文科省スポーツ庁は、そのあたりを十分に認識した上で半強制的な申請書提出要求を致したのでないかと筆者は僭越ながら推測している次第です。

★各大学は、大学スポーツ協会に加盟させられた理由が他にあると考えられます

その最大の理由は、莫大な私学助成金補助金文科省から毎年受けている事実です。この事は、各大学が訳も分からず、加盟申請書を出せと言う御上からのお達しに対して、大学内で何の議論もコンセンサスも取らずに提出した意図と真意がここにあるのでないかと思われる次第です。このことを御上も承知の上で全大学及び各種競技団体にまで申請書を送付したのだと思われます。しかし、しっかりとした信念に基づき申請書を提出しなかった大学(筑波大学、慶応大学、同志社大学関西学院大学、その他)が在る事を見逃してはなりません。また、大学スポーツ協会は、当時加盟申請校に対して入会金、年会費を義務付けていましたが、申請書を提出しない大学、団体が多数出ている為か、今や年会費、入会金を無料にするのでとの勧誘を始めているという全く持って一貫性のないスポーツ庁の姿勢には何と申し上げればよいのやら、これでは先ず信頼を失います。数だけ集め何を語ろうとしているのかが透けて見えてきそうです。

大学スポーツ協会なる組織・団体には、看板を掲げてもルールBookさえも皆無なのです。大学のみならず学生選手が競技している各種競技団体にまでも加盟申請を出させようとする事、此処にも大きな矛盾と本協会の本質的な問題があると思われます。残念ながら本団体は、ただやみくもに先を急ごうとしている為か、支離滅裂な組織・団体であるようにお見受け致します。このことは、本協会の役員名簿をご覧頂ければ納得されると思われます。

読者の皆様は、これから本Kファイルを通してマスメデイアが一切語ろうとしない裏舞台が明らかになる事により、大学教育機関と大学法人の教育と学生への呆れた「建前と本音論」を知る事となるでしょう。これを読者の皆さんを含む国民、社会は、TV、マスメデイアを通して表面の綺麗な美化されたところを見せられて楽しまれているという筋書きなのです。悪しからず。

箱根駅伝は、レースのルールが一部改正されたようですが、大学競技スポーツ、大学箱根駅伝本体の根本的な問題には、この度もまた誰も触れようとしませんでした。今年もまた学生、学生選手を駒としか利用、活用しない大学側、運営団体、広告代理店、TV、マスメデイアであります。読者の皆様には、大学教育機関として在ってはならない大学競技スポーツの実態をご理解して頂き、健全な大学本来の姿に未来ある学生及び学生選手を導く為の方法を是非ご一緒に考えて頂けたらと願う次第です。

 

1.筆者の体験を通して確認した学生選手の実態

 大学箱根駅伝(略:箱根駅伝)の組織、運営、管理に興味を持ち始めたのは、当時筆者が企業スポーツにおいてスポーツ・アドミニストレーターとして運営、管理をしていた時期からでした(1985~2005)。

■筆者が興味を抱いた理由

何故興味を持ち始めたかと申しますと、米国に於いては、NCAA(全米大学競技スポーツ協会)の下に於ける大学競技スポーツの運営、管理者としての経験から日本の大学の競技スポーツに所属する学生選手達に対する大学での指導、運営、管理の在り方を確かめたかったからです。

日本の企業スポーツは、日本独自の伝統的な運営、管理を行って来たプロでもなくアマでもない、不思議な競技スポーツの組織、団体であります。

プロ競技ではない競技種目に取り組んでいる学生選手、高校生選手達にとって卒業後も継続する為の最終的な活躍と生活の糧を得る場所は企業スポーツとなります。そしてその延長線上にあるのが、プロとしての世界選手権大会であり、オリンピック大会です。しかし、企業スポーツには、またごく限られた選手しか所属できない厳しい世界と環境です。

1974年に国際オリンピック委員会(略:IOC)の「オリンピック憲章」の改正があり、「アマチュア」の文字が消え、オリンピック大会には、1988年ソウル大会からプロ選手も本格的に参加できる事に成りました。

これにより、日本における企業スポーツの伝統的な体質は、競技スポーツ組織、団体、選手達にも徐々に変化の兆しが見られるようになりました。しかし、依然としてプロなのかアマなのか中途半端なスタイルが解消されたわけではありません。このようなスポーツ界の新しい流れの中で、日本の学生選手達の意識にも、以前と異なる意識が芽生え、段々と自分の意思を表現する様になって来たのも事実でした。これらは、急激な海外からのプロ化の波にも大きな刺激を受ける事になり、歴史的な変革の時期であったのだと思われます。しかし、残念ながら大学に於いても指導者、管理者達は、学生選手、選手達にこのグローバル化が進む競技スポーツの動向を正しく教育、指導する為の十分な知識を持ち合わせていなかった事は不幸な出来事でした

2.此処で企業スポーツを理解して頂く為に

企業スポーツと学生選手の関係から

企業スポーツの特徴は、企業の経営業績に大きく左右されるという事と競技スポーツからの収益を求めない事です

1964年の東京オリンピック開催と共にスタートしました企業スポーツは、1990年前半から吹き荒れたバブル経済の崩壊によりまして、1995年をピークによりいっそう廃部、休部が加速し、それまでの企業スポーツの半数以上が消滅して行ったのです。

特にそれまで脚光を浴びていました社会人野球(都市対抗野球)、バレーボール、バスケットボール、テニス、ラグビー、等々から伝統的な企業名が消え去り、今日に至った状況をファンの皆様は、肌で感じて来られたのではないでしょうか。

驚く事に現在の大学生の大半は、日本のオリッピック代表選手、競技スポーツ選手達が長年会社、企業スポーツにより支えられ、今日も支えられている事の知識と理解を持たない状況です。特にその中のスポーツ専攻学生ですら、企業スポーツって何ですかと質問された時は、唖然とした次第です

大学の専門分野に於いて、この企業スポーツの存在と重要性を指導する指導者、教員が居ない事もこの大きな要因の一つであると思います。

このような現状は、指導者、教員が居ないのでなく、スポーツ・アドミニストレーションの専門分野が教育機関に存在しない我が国の現状と現実がスポーツ界の再編、構築を遅らせている最大の要因の一つであると確信します

また、新しい世代の若者達への教育もさることながら、TV・マスメデイアによる報道に於いても、プロの競技スポーツと大学競技スポーツの違いと企業スポーツの存在の意義を報道、解説できるくらいの知識を持ったスポーツ報道担当プロデュサーが我が国に於いては見当たらないように思えてなりません。

3.学生選手の入社面談報告書を見て呆れた実態

企業スポーツのリクルート活動報告書より

陸上競技(英:Track & Field)は、日本が嘗て華やかな時代を迎えていた長距離、特にマラソン競技が他国の競技レベルの強化、向上とは対照的に低下し、冬の華であったエリート・マラソン大会そのものの存在が薄れ、近年は市民マラソンが主体の大会に移行している様子を皆さんも実感されている事と思います。このような状況下で唯一、脚光を浴びているのが正月恒例の行事となりました「大学箱根駅伝」、そして企業スポーツとしての全国実業団駅伝「ニューイヤー駅伝」です。本駅伝競技は、日本にのみ存在する日本オリジナルな競技方法で行われるロードレースの1つです

1985年当時から、筆者は、NEC SPORTS(強化8競技)を会社側の強い要請で設立、強化して参りました。女子バレーボール、女子バスケットボール、男子バレーボールの順に日本リーグVリーグ、全日本を制覇と並行して、陸上競技部の強化を始めた頃、当時の長距離担当指導者からのスカウテイング、リクルーテイングの計画書、面談報告書、等の最終レポートに目を通し、担当者から説明を受けていました。これらは、毎年の事でしたが、そのリストの中の大半は、箱根駅伝で活躍しマスメデイアで取り上げられている選手達でした。

特に、特注マークの選手達の面談レポートには、注目すべき内容が書かれていました。このような学生選手の多くは、所属大学ではスポーツ推薦枠という無試験で、特待生として高等学校から迎えられた学生選手達です。日本に於ける特待生とは、その競技スポーツに特に優れ、大学側が入学時に特別待遇の学生として迎え入れた学生選手への処遇を指します

驚いたのは、大学選手に企業の大卒給与以上の現金が、大学側から毎月支給されている現実でした。大学側は、大学箱根駅伝で活躍させる為にリクルートした言わば箱根駅伝の戦士(傭兵)として、TVで大学名を宣伝する為の広告塔と学生選手も理解していた事でした

面談学生選手曰く「御社は、今自分が大学から毎月受けているお小遣いより大卒の初任給は低いです」と堂々と担当者に話し、その内容が、面談報告書に記録されていた事でした。また、「自分は、会社で競技が出来なくなった後、会社に残り勤めをするつもりはないので、退職金代わりに入社時に支度金として頂きたい。他の会社では、この条件を呑んでくれる会社が複数(実名を挙げて)あるので、この支度金が大きい方にお世話になります」とも付け加えられていました。面談者は、複数の異なる大学学生選手からもこのようなリクエストを突き付けられていた次第です。このような現実に於いても、今日もなおレースのルール改正は行われても、大学、学生選手達へのレース以外の健全な規則・罰則は、全く誰もが手を付けようとしない大学管理者、指導者の実態であることを紹介します。勿論、大学スポーツ協会の関係者諸氏は、このような実態を理解し実践経験をしてきた方は皆無であるので理解するのも難しいと思われます。

これは、即ちプロの契約時の契約金に置き換え、条件としていると受け取れました。このような学生選手を抱える大学は、当時も今も大学箱根駅伝の有名大学か、そうなろうとしている新興大学であります。現場の監督には、申し訳なかったのですが即答で“NO”の回答をし、「そのような条件で引き受ける会社、企業にどうぞ行ってもらって結構です」と伝えました。その理由は、会社側がそのような選手を入社、入部させるコンセプトではなかったので、そのような予算を確保していなかったからです。しかし、そのような学生選手達は、選手のみならず彼らの指導者達も自らをTVタレントと勘違いしている様子で、期待されて企業に入社後、このような選手達は鳴かず飛ばず状態で選手生活を終えているのも事実です。

筆者は、日本の大学競技スポーツの学生選手が、個々の大学でどのような教育、指導を日々受け教養、社会常識を身に着けているのだろうか、大学競技スポーツは、どのようなアドミニストレーションがなされていてこのような学生選手が社会に出て行っているのか、とこの時期から、20年間観察しながら強い関心を箱根駅伝と日本の大学競技スポーツに抱いてきました

そして、その後、ご縁を頂きまして日本の大学で2017年春まで、約10年間教鞭を取らせて頂き、上記問題を含めた日本の大学競技スポーツの実態を観察、研究致し学内外の状況と問題の本質に辿り着いた次第です

4.透けて見えた大学部活動の現実

■誰も知らない大学スポーツ推薦枠の基準・規則

大学生の長距離選手のスカウテイング、リクルーテイングにおける、複数の大学陸上部、長距離選手(主に箱根出場が主眼)達の企業ティームへの入社条件と実態が明らかになっていました。筆者は、これらの実態をマスメデイアが一切報道しない視点に注目を抱いていました大学側が、このような大学スポーツ推薦制度を悪用して学生選手達をどのようにして高校時代にリクルートしているのか、またどのようなオファー(条件)で大学側の誰が約束し、大学内での処理をしているのかに付きましても当然、大変興味を抱きました毎年、この時期が来ると各大学では、スポーツ推薦入試との看板を大学の玄関に掲げているようですが、必要な選手は既に夏場にコミットしてしまっているのです。

やり得やられ損的なルール無き日本の大学競技スポーツ界のスポーツ推薦制度は、無法(Out of Law)状態であり、これでは大学競技スポーツが教育、教育の延長線上にあるなどとは決して言い難い、言えないのが現状、現実であります教育機関に於けるこのような非教育的な教育者と称する指導者、管理者、経営者に対していったいこの国の誰が襟を正させることができるのでしょうか。その総責任のある人物が見て観ぬふりをするのが我が国の教育の管理、監督者なのかも知れません。

勿論、本件は、長距離選手のみに限った事でなく、他の競技スポーツ男女(高卒、大卒)のリクルート活動に於いても多くの重要な問題と現実に直面致しました。此れらをきっかけに、大学野球界、陸上界、バレーボール界、バスケットボール界、テニス界、ラグビー界、等を通して教育機関とその指導者、関係者と企業スポーツとの関係と実態に付きまして20年間に渡って現場の状況と現実を実体験させて頂いた次第です。

企業スポーツは学生選手の狭き受け皿

企業スポーツは、このような高校、大学競技スポーツ選手達に競技を継続する為に唯一受け皿として、迎えてくれる場所であることを関係者は感謝の心を持って入社する事を祈念致します。

特にこの人気のある大学競技スポーツの1つである箱根駅伝は、その実態を覗く事で、より一層我が国のスポーツ社会の縮図を見ることになるかと思われます。TV中継では、大学箱根駅伝を美化する映像、報道を担当アナウンサー及び解説者が蘊蓄物語(うんちくものがたり)を交えながら絶叫されていますが、それを見聞きするにつけて何か歪められた美学を毎年虚しく聴かされているように思えてならないのは筆者だけなのでしょうか。多分これは、放送を担当している関係者が実態をご存知でないのか、或は知っていても視聴率及び新聞の拡販目的の為に美化、誇張して拡声させられているのでしょうか。

 読者の皆様には、このような社会の状況だからこそ大学競技スポーツと学生選手達の現実と実態を再考、洞察して頂き、この機会に考察して頂ければ我が国の大学競技スポーツの根深い負の悪しき伝統と将来の歩むべき方向性をポジテイブに比べて頂き取捨選択をして頂けると幸いです。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:

本NO.147をご笑読頂き、大学箱根駅伝、大学スポーツ協会、関東大学陸上競技連盟、各大学の学友会組織とその矛盾に少し触れられて如何思われましたでしょうか。この国に必要なのは、何だと思われますか。次回は、またその大学スポーツのCOREであるべき、学生選手、学生達が大人の利害、利権の道具と化している現実を目の当たりにするかも知れません。しかし、これが現実であることをご理解、認識頂けますと、東京五輪開催を契機にしてこの伝統的なスポーツ界のアドミニストレイションの改善と改革に歴史的な舵を切る事が新しい日本のスポーツに光と未来の扉を開く機会であると切に願わずにはいられませんが、如何でしょうか。