KファイルNO.163: 新聞業界とスポーツ界の利害・利権の行方【Ⅰ】

KファイルNO.163: 新聞業界とスポーツ界の利害・利権の行方【Ⅰ】

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日掲載予定

読者からの便り

河田先生

いつもKファイルNews、Kファイルを拝読させて頂いています。

中田翔選手の件では、予測できてたとはいえ、日ハム球団、読売巨人軍双方の対応に失望を禁じえませんでした。原辰徳監督は、反社会的組織ともつながりがあり、不倫トラブルも揉み消してもらっている以上、ああするしか仕方ないのかもしれませんが、野球人として1社会人としてあまりにも指導者として情けないです。中田選手は、髭を剃って、髪を黒く染めていれば中身はなんでもよい、と宣言しているようなものですね。

読売球団、日ハム球団ともファンを自称する社会人の中には、このような協約破りをする球団に対してNOが言えるファンが居ないという事でしょうか。このような反社会的なやり取りを何も感じないのであればこれまた同罪であると思います。ファンが何も言わない、口を閉ざす不正義は異常でMLBでは考えられないです。真のファンなら自ら球団の不正行為を正すために無言の意思表示は、ゲーム観戦をボイコットする事で改まります。それが出来ないファンなら同じ類のレベルであると感じました。

今朝、こんな記事を見ました。4回13失点、指の皮が剥けた20歳の投手に「投げろ」…巨人二軍選手が恐れる阿部慎之助の“アベのムチ” | 文春オンライン (bunshun.jp)―

私は、いくら他の11球団も似たりよったりとはいえ、球界の盟主を名乗らないでほしいです。彼らは、育成の指針もなく、若手をつぶすばかりの現場、それを管理できないフロント、それでもお金が入るから改善する気もない。巨人がこうなら、よそも、高校野球も他の競技種目もそれに倣うだけ。僕らスポーツ医学を真剣に勉強してきた者にとっては、絶望しか感じない本邦のスポーツ界です。闇に光を当てて下さい。読者より (スポーツ医学を現場で実践するトレーナー)

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筆者からのご挨拶

2020年東京五輪は、延期にともない7月23日に開幕8月8日に終演いたしました。この度の東京五輪は、読者の皆様にKファイル、KファイルNewsを通して沢山の情報を2013年の招致活動の歩みから今日迄提供させて頂きましたので、ある程度の知識を持たれていた事とお察し致します。

IOC、日本政府、東京都、東京五輪組織委員会JOC、等が数々の不手際とスキャンダルを抱えての此の度の開催でした。それに加えてCOVID-19の蔓延にともない五輪開催が1年延期と相まって、最後の最後まで東京五輪の「開催か中止」が叫ばれ日本国民、社会を分断する事となりました。

本来は、開催ホスト都市の東京都と運営を委託された東京五輪パラリンピック組織委員会(略:TOCOPG)は、責任のある運営・管理を遂行するべき公益財団法人でありました。しかし、組織委員会内は、森喜朗会長下での不祥事、及び内部関係者の怠慢、不手際、不心得が原因で辞任、解雇、契約破棄、等々を繰り返す度により一段と組織・団体の体をなさなくなりました。

その結果実質的に東京五輪のイニシアチブは、何と日本政府の内閣府がリーダーシップを取り、前内閣総理大臣安倍晋三氏が推進してきた本東京五輪そして延期後を現菅義偉首相が口出し指揮を取り始め、名実ともに東京五輪は「政治家による政治家の為の五輪開催プロゼクト」と歯切れの悪い大会に相成った次第です。しかし、あれだけ選挙公約でコンパクトな東京五輪と予算のカットを声高に当選されたホスト役の小池百合子都知事は、途中から借りてきた猫の様な状態になったのは何か内閣関係者との間で身動きの取れない事態となり、取引に屈した節があったと思われる態度が最後まで見うけられ、口先だけの有言不実行な政治家である事を強く印象付け露呈した次第であります。

東京五輪に参加した国内選手達は、1年延期を余儀なくされても与えられた環境下で最善を尽くし東京五輪で競技をしたいという選手本来の本懐を遂げられたことは大変喜ばしい事でした片や、海外の参加選手には、その多くが各国異なる疫病下の環境事情の中で十分なトレーニング、コンデイショニングが整わない状況下での参加であった事、また最後まで参加国数、参加選手数の発表と告知さえもIOC、TOCOPGが出来なかった事は、東京五輪組織委員会IOCが隠蔽体質で禍根を残した不幸な大会となったのも事実でした

東京オリンピック大会は、この度の不自然な環境と状態の中で「」の幕を下ろしました。日本国民・社会に残された東京五輪と言う満たされなかった空虚感を大半の国民は味わっているのでないかと思われます。日本政府は、最初から最後まで強引且つアンフェアーで不正を伴う東京五輪開催を強行して参りました。

我々国民には、一体何が残ったのでしょうか。総経費4兆円であり、報道されている1兆7600億円の数字は、大会組織委員会の何を持っての数値を集約した金額を述べているのか非常に紛らわしい報道で在ります。東京五輪招致委員会は、国民・社会、世界に対してお約束した総予算は7000憶円でした。

本大会開催プロゼクトにつぎ込んだ大半は、国民、都民の税金であった事からも誰が何にこの血税を湯水のように使ったのかを「正義と公正」の名の下で明らかにし、誠実に全国民が理解できる方法で分かりやすく公開する義務と責任が、日本政府、東京都、公益財団法人東京五輪組織委員会JOCに求められます

これに付いては、もうすでに政府関係者、組織委員執行部関係者、等が重要書類の改ざん、焼却、自身の責務を離脱する準備をされているかの様子が伺えます。近年我が国では、横文字のコンプライアンス、ガバナンス等が流行語の如く声高に叫ばれていますが、この用語が理解、実行出来ていない事をこの度の東京五輪の運営・管理に於いて証明されたようです。

此の国には、「JusticeとFairness」は期待できないのかも知れません。我々国民と社会は、この結末を見守る事と大事なのは積極的に知る権利と彼らの職責、責務の所在を明らかにさせる事、またマスメデイアは国民に情報公開する義務と使命があると思います。海外マスメデイアから日本国民は、羊の群れと揶揄発信されるのは屈辱的です。国内大手マスメデイアには、真のジャーナリストが居るのか、それともジャーナリズムも死に体なのか証明できるか否かの機会を与えて下さっているので期待致しております。 

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目次

読者からの便り

筆者からのご挨拶

KファイルNO.163: 新聞業界とスポーツ界の利害・利権の行方【Ⅰ】

お知らせ

切羽詰まった新聞各社の経営実態

Ⅰ. 紙媒体の生き残りをかけた戦い

       新情報機器に乗り遅れた新聞業界

      ■業界の栄枯盛衰も自然の摂理か

      ■押し紙問題とは

  筆者の素朴な私見

 

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2021年8月26日木曜日            公開

KファイルNO.163: 新聞業界とスポーツ界の利害・利権の行方【Ⅰ】

無断転載禁止

お知らせ

多くの皆様は、猛暑の中COVID-19のデルタ株の蔓延する中、出口の見えない不安な日常を過ごされている事とお察し申し上げます。

Kファイルは、東京五輪延期にともない1年間の空白を余儀なくされましたので読者の皆様には本東京五輪をリマインドして頂く為にNO.152から162迄時々刻々と変化する五輪関連の話題と問題を加味しながら情報と知識を紹介、提供させて頂きました。そしてその中で近年の五輪に大きく関わっている日本企業の広告代理店電通が如何にしてIOC国際オリンピック委員会)、東京五輪に関わっているかの原点をKファイルNO.162迄述べさせて頂いております。まだ広告代理店電通がどの様にしてスポーツビジネス界に参入して今日に至ったかの後編は、今秋から再度暫く連載できれば幸いです。

此の度のKファイルNO.163は、東京五輪も終演したことから国内のマスメデイア事情とスポーツ事業(スポーツビジネス)の変革期の到来に付いてある根拠を元に触れさせて頂き今後の国内に於けるスポーツ・アドミニストレイションの動向を筆者のスポーツ・アドミニストレイターの視点で述べさせて頂ければ幸いです。ご興味がございましたらご笑読下さい。

先ず本編は、日本最大の発行部数を自負する読売新聞社が、朝日新聞社毎日新聞社産経新聞社、日本経済新聞社の経営とその将来をどの様に分析し、彼らが生き残りをかけて何を目論んでいるかを筆者のスポーツ・アドミニストレイションの視点で述べさせて頂きます。今後新聞各社が現在まで主催、共済、後援という名の元で各種競技スポーツを新聞の拡販を目的にした事業が、今後各社の主力ビジネスの急激な変化に伴い、どのような事業展開に至りどのような変革を起すかに付きまして、ここでは、筆者の私見を交えながら展開して行けたらと願う次第であります。読者個々の皆様の思考と異なるかと思われますが、そのような創造(クリエイテイブ)の世界もあるのだなと心の片隅に知識を付与して頂けばこれ以上ない喜びであります。此の度は、その礎をなす新聞社の現状から先ず理解して戴きたく思います。

 

切羽詰まった新聞各社の経営実態

Ⅰ. 紙媒体の生き残りをかけた戦い

新情報機器に乗り遅れた新聞業界

■業界の栄枯盛衰も自然の摂理か

自社の不動産を切り崩し自社経営損失補填に充てているというまことしやかな噂が巷に流布しています今日の新聞社業界であります。

近年特に、新聞購読者の激減は、既存の事実として隠しようのない現実を新聞各社は、真摯に受け止めているようです。しかし、この事実は、新聞各社にとって最大の問題と危機である事を読者の皆様も耳に挟んだことがあるに違いありません。

近年特に雑音が拡散されているのは、読売新聞社朝日新聞社が自社の保有する不動産を切り売りしながら新聞社本体の赤字補填に充当しているとの噂が、聞こえてくる時代が訪れる事など嘗て誰が想像したことでしょうか。しかし、売却する不動産を持ち合わせていない新聞社は、瀕死の状態であるという噂もよく理解できます。

近年の顕著な実態として、筆者が実感するのは、長年早朝午前4時前後になると新聞配達のバイクがけたたましい音を立てて各家庭のポストに朝刊を入れる音が、町内に夜明けの訪れを告げてくれていました。しかし、もうここ二十数年前からバイクの音が単数になり、ポストに入れた後そのバイクの音は隣近所に寄らず遠くに消えていく実態を実感しています。

丁度筆者が東京読売ジャイアンツに在籍していましたころは、確か渡辺恒雄社長、会長から我が社は、1000万部を誇る世界最大のマスメデイアであると得意そうに常に演壇で豪語されていたのを思い出します。そして朝日新聞は、当時700万部と言われていた時代です。しかし、これは、印刷された部数であり販売された真の部数であったか否かは、後に知ることになるのです。もうこの数字を今日業界関係者の中で信じて語る人も居なくなったのは事実です。

押し紙問題とは

その後、業界では、「押し紙問題」が社会問題となった事を皆様も記憶に新しいのではないでしょうか。新聞業界において、新聞の発行部数(印刷部数)を増刷させるため販売店にノルマを押し付け、公表される発行部数は増えるが、実際にはその全部数は購読されていないという疑惑・問題を指すのがこの押し紙用語です。即ち、新聞社が印刷部数を処理する為に各販売店に振り分け配送し、販売店が販売した残りの部数を新聞社に返却するという手法を意味しています。この不必要な新聞は、毎日膨大な部数に及んでいるのです。これは、毎日起きている販売店に取っては非効率的な新聞社から販売店への手法とその作業なのです。

この問題は、新聞社の一方的な押しつけが各新聞販売店にかかるため、販売店は、耐えきれず販売店主が法廷闘争に持ち込んだことがきっかけとなり、国民・社会に知れ渡った次第でした。そこで公正取引委員会は「独占禁止法に基づく厳正な対処」を表明し、後に先ず新聞社に注意を与えたようです。そしてこの闘争は今尚続いているようです。

それでは何故押し紙までして新聞社は、販売店に無理難題を押し付けようとするのかその理由は、新聞社の生命線は発行部数を拡販したいことなので

読者の皆様も既にお気づきの事と思われますが、新聞社の営業利益は読者の購読料が主たる収入源でありました。嘗ての購読者は、激減し経営維持が出来なくなってしまっているのです。その為、社の営業収入を他の事業収入に頼らざるを得なくなっている事です。その伝統的な事業収入が新聞広告と折込チラシ広告なのです。

しかし、これも新聞の拡販在っての収入源で、今日紙面に多くの広告宣伝のページが割かれ、折込チラシが毎朝雑誌一冊分挟まれている次第です。よって、発行部数が購読料金に大きく跳ね返り、部数により広告料金、折込チラシの料金が設定されているのです。これは、丁度TVの視聴率とCM料金の設定に酷似と申し上げた方が理解し易いでしょうか。

そこで新聞社は、いつまで経っても1000万部、700万部発行を言い続けたい根拠がここにあるようです。これらの部数は、いまじゃもう見れない夢となってしまっているのです。そこで大手新聞社は、新聞拡販の限界を知りそれによる広告料金の限界を認識した結果、次なる事業(ビジネス)展開を模索する中で結論に達したのが、読売新聞の基本方針であったと筆者は推論致した次第です

Kファイルの読者の皆様の中には、背もたれのある心地よい椅子に腰かけて、朝刊を手に取って、一ページずつゆっくり目を通すそんな一時を過ごされている方がどれ程いらっしゃるでしょうか。これは、もう過去の思い出で記憶からも去ったかもしれません。

筆者の素朴な私見

筆者の専門分野でありますスポーツ・アドミニストレイションに於いては、特にテイームスポーツのようなプロ野球の経営、運営、管理では競争相手を削除する事は経営が成立しない事を意味します。ボールゲームの競技スポーツの特徴は、常に対戦相手が不可欠なのです。そして、その参加する球団を組織する為には、団体を形成しなければなりません。その団体には、各球団が「Justice&Fairness」を維持する為協約、規則が不可欠となります。人は、約束を破る動物である事を前提でルール、罰則を明文化しているのです(これは、欧米型合理主義から)。プロの競技スポーツは、この約束事が担保されて初めて「共存共栄」の理念が維持されるのです

しかし、これを遵守させる為には、連邦保安官最高裁判事が不可欠なのです。これが機能しなければ、このマーケットは、無法地帯(Out of Law)と化し、弱肉強食となり協約、規則は無意味となるのです。日本プロ野球界の場合は、コミッショナーでありコミッショナー事務局長、各球団オーナー会議がこれに当るのです。

この度の様な日本ハム球団の4番打者が、テイームメイトに暴力をふるい球団は、その選手に対してプロ野球協約の条文を持ち出し、球団経営者自らが協約違反に当たることを認めたのでした。これは刑事事件も視野に入れた一大問題なのです。その舌も乾かぬ間に日本ハム球団と東京読売球団との間で裏取引を行い業界のコンプライアンス、ガバナンスを無視した行為が白昼堂々と起こした新たな事件でした。暴力を起した選手を引き取り発表、即登録、出場と自軍で即戦力として使い、長嶋茂雄名誉監督が片棒担いでいるかに見せかけ、マスメデイアを活用して美談で終わらせるという手法は、プロ野球を夢見て励む青少年達の教育的観点に於いて、大人は如何に説明できるのでしょうか

これが日本球界では罷り通ってしまうのです。東京読売巨人軍は、既に球界の盟主、紳士としての看板と純血主義を降ろして、競争相手の主力を手に入れ、他国籍軍で勝利を勝ち取る方が育てるより、手っ取り早い方法を選ぶことにしたのです。これを遂行する為には、コミッショナー及びコミッショナー事務局までも巻き込んだ手荒な手段を選択されたのかも知れません。コミッショナー、事務局長(元読売新聞社運動部所属)は、どの様な正当性を持って黙認されたのでしょうか。まさか1970年代の「空白の一日」論理を思い出したでは、説得力に欠けるでしょう。

以上第一弾とさせて頂きます。

次回は、第二弾「檄を飛ばす山口寿一氏」のスポーツ事業戦略を新聞拡販戦略より推論させて頂きます(山口氏は、読売新聞グループ本社代表取締役社長、読売新聞東京本社代表取締役東京読売巨人軍オーナー、等々と読売グループの頂点に立つ人物)

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

ポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

   G‐file「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:Kファイルでは、7月より新たにKファイルNews、 Comment by Hiromichi Kawadaを時事の話題からFacebookTwitterに投稿を始めました。お陰様でTwitterへのアクセスは、毎月160000回を超えています。此れも読者の皆様が興味を持って下さる一つの証であるとポジテイブに捉えています。まだお気付きでない皆様には、機会がありましたら是非FacebookTwitterを覗いてくだされば幸いです