KファイルNO.171:大学箱根駅伝は美化される実態と真逆の実態

KファイルNO.171:大学箱根駅伝は美化される実態と真逆の実態

無断転載禁止             毎月第一、第四木曜日掲載予定

 

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筆者からのご挨拶

2021年も残りわずかに迫りました。本年は、もう8日すれば年が明けます。読者の皆様に於かれましては、2021年はどの様な年でしたでしょうか。

昨年早春は、コロナウイルスの水際対策が政府、責任省庁の不手際により混乱を来し、本年4月には、懸案の東京五輪開催か否かに国民、社会は翻弄されたました。結果、東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏の暴力事件(女性を差別する発言)により、最終的にはIOCのT/バッハ会長に促されるかの様相で不本意ながら自ら辞任せざるを得なくなった次第でした。

其の後、新会長人事では、森氏のチルドレンの一人とされる橋本聖子氏が国会議員(参議院自民党、北海道、元アイススケーター)兼務を条件に就任が決まりました。そして、4月25日には、国民の65%以上が五輪開催を望まない中、菅内閣が強引に開催を強行した次第でした。これでは、五輪は政治、政治家と距離を置くべしなど虚言の実態を証明したわけです。

その後、ワシントンポスト紙のIOC批判、その問題の矛先は、T/バッハ会長は「ボッタクリ男爵」との見出しの記事を世界に配信され、東京五輪IOCを評したキャッチコピーが今年の流行語大賞にノミネートされるに至ったのです

そして東京五輪は、COVID-19感染者が過去最大の波の中無観客という事態での開催を余儀なくされたのでした。この酷暑の中で病院にも入れず自宅待機で亡くなられた多くの国民のご冥福を心よりお祈りいたします。これも偏に政治家の社会、国民を顧みない不誠実な証拠でありました。またワクチンは、十分確保できていると大口を叩いていたワクチン担当相の実行力の無い虚言癖が今尚痛く耳の底に残っています。

9月上旬のパラリンピック大会終了後、マスメデイアを先頭にもう誰もが東京五輪を語らくなったのも此の度の東京五輪の最大の特徴であったと思います。読者の皆さんは、お気付きでしたでしょうか。

4兆円もの公費を投入し決算報告書の中身が問われる中、組織委員会の武藤事務総長は、赤字だと吠え、この赤字を東京都にと向ける丸川五輪相(通称:タマちゃん)、ハチャメチャの五輪執行部隊は、既に読者の知るところです。今後長野五輪同様に決算報告書の根拠となる書類が焼却されていない事を見守りましょう。多分今頃は、事務局内で数字合わせに苦慮し不誠実な帳簿操作に懸命になっている姿が目に浮かびます。

この様な中、日本政府に於いては、内閣総理大臣岸田文雄氏に交代し現在奮闘中です。中でも来年2月の北京冬季五輪への政府代表派遣問題で中国習主席に踏み絵を迫られる日本政府と岸田首相、中曾康弘氏スタイルの風見鶏と行くか否かの結論はまもなく出されることになるのでしょうか。

米国のNHL(プロアイスホッケーリーグ)は、不参加を決断しました。

筆者は、橋本聖子氏の冬季五輪への派遣は国会議員である事実から本人は行きたくても許可すべき人物には当たらないと思われます。此処は、五輪ボイコット反対の山下泰裕氏(JOC会長)が当を得た人選かと理解致しています

この様な社会の流れの中で既に、9月半ばから大学教育機関を揺るがすマンモス日本大学の理事、理事長の背任、脱税問題が日本のマスメデイアの注目の的となりました。今日結果として1名の理事が逮捕、そして先日理事長も逮捕、大学理事会では、恐々理事長の解任を決議、全理事の辞任を取り付けた次第です。現在理事長は、起訴されて検察、国税文科省と国民が注視する中どのような手打ち(治め方)がなされるか年を越しそうです。同理事長は、昨夜(12月21日)6000万円の保釈金を納めて20日ぶりに帰宅したようです。

この様な問題山積の中、またまた橋本聖子氏は、「札幌冬季オリンピック招致をIOC会長が応援してくれている」とのTPOを全く読めない、わきまえられない思考停止発言をマスメディアに告知し、国会議員として元オリンピック選手としての資質を国民と社会に知らしめた一例かも知れません。これも自民党、安倍派(旧森派)と北海道道民の民意の賜物でしょうか。

この様な本年の出来事からも、我々日本国民は、どれほど不安定な国体と社会情勢の中に位置しているかを認識し、今後の我が国の未来展望を教授された本年であったかと思うのは筆者だけでしょうか。2021年12月23日

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2021年12月23日 木曜日            公開

KファイルNO.171: 大学箱根駅伝は美化される実態と真逆の実態

無断転載禁止

目次

大学箱根駅伝を主催、共済するブラック・ボックス

1.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

大学箱根駅伝を主催する関東学連

 ■主催と共催の関係

 ■公益法人と任意団体の違い

 ■企業は何時から乗っ取りを計画?

 ■関東学連の実態

2.関東学連とは体の良いBLACK  BOXか

 ■代官様と越後屋の隠れ蓑

3.筆者の素朴な疑問と私見

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大学箱根駅伝を主催、共済するブラック・ボックス

1.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

大学箱根駅伝を主催する関東学連

先ず本大学箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレイターの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

大学箱根駅伝

主催  :関東学生陸上競技連盟(略:関東学連) 任意団体

共催  :読売新聞社(2004年、箱根駅伝の商標登録権を読売新聞東京本社が獲得し

     後援から共済に移行)

特別後援:日本テレビ放送網株式会社(略:NTV)

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存

     会箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

注:警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知

     されていない。尚広告代理店は、博報堂

ご参考までに、公益社団法人日本学生陸上競技連合は別の団体です。

 

■主催と共催の関係

大学箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催しています。また、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社が2004年に行い所有しています。本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録を完了した年に後援から共催に格上げになっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。共済は主催と同格とされ名称が異なるだけです

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要です。また、役員の責任に関しては、規約に明記されておらず不明瞭な文体で「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です。読者の皆様は、ご理解できますか。筆者は、上記内容に関しては意味不明です。

余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのかどうかも公開しないので不明です

★何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか。

大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか。大学内の同好会組織の方が純粋で経理は、関東学連より遥かに明朗です。

■企業は何時から乗っ取りを計画?

読売新聞東京本社は、2004年から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し、後援から共催と格上げしました。これは、読売新聞東京本社の持ち物であることの証です。関東学連は、読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録の使用許可を受けなければならない主催者となったのです。よって、読売新聞東京本社は、関東学連に対して「箱根駅伝」の使用料を請求できる立場と権利を持っているのです。この事を名目として関東学連は、莫大な金額を毎年支払っているのかも知れません。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。丁度東京五輪を例にすれば、主催者の関東学連は、IOC読売新聞東京本社)から大学箱根駅伝大会開催の委託を受けた委託業者に当るのかもしれません

業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

筆者は、読売新聞社の心変わりの大きな根拠の一つに紙媒体の限界により数十年前まで渡辺恒雄会長が発行部数は1000万部で世界一と大声を張り上げていた時代は去り、今日では500万部を既に割っているとの業界常識になっている事からも、既にKファイルNO.163,164の中で山口寿一新社長が内部の幹部会で本年6月に檄を飛ばした、「今後事業を如何に拡大し収益事業に変革させるか」のテーマの収益事業の中核に東京読売巨人軍を置き、本大学箱根駅伝が先ず最初に読売の私物化に成功し、次なる獲物を狙っているそれが春夏の甲子園大会であるのかも知れないとkファイルで推測した次第です。読者の皆様は、この様な発想をお持ちでしたでしょうか

関東学連の実態

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です。

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難い実態と思われます。

規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています。

参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

先ず此処で、注目したのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿

URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思いますNPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります。

2.関東学連とは体の良いBLACK  BOXか

■代官様、越後屋と岡っ引き達の隠れ蓑

事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されない。多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として、またバランテイアーとして活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な重要な疑問です。任意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任な団体に加盟大学は、学生達の大会運営、管理を委ねているのか大きな疑問ですが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOX」ではないかと思えてなりません。学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報開示できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。

■ドル箱イベント

何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報開示を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます

箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回は、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報開示義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

3.筆者の素朴な疑問と私見

企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権は、主に大学箱根駅伝の主催、共済の関係とその現実、現況に付いてご紹介、説明をさせて頂きました。筆者は、特にこの論考の中で何故これまで後援であった読売新聞東京本社が突然2004年に「箱根駅伝」名を商標登録して企業財産とされたのか。この所業は、任意団体の関東学連(権利能力を持たない)の誰が承認したのか。加盟大学は、オーソライズし承認したのか。読売新聞東京本社は、独自に商標登録をしたのか。本件は、筆者ならずとも各加盟大学経営・管理者、学生、学生選手、教職員、卒業生達はこの重大問題をどのように理解しているのか。素朴な疑問を持たざるを得ない商標権登録に関する疑問であります

筆者の私見として申し上げますと、此れでは、大学箱根駅伝読売新聞東京本社に伝統的に構築、使用してきた「箱根駅伝」名を売却してしまったと同じ事になってしまっているのではないのでしょうか

読売新聞社の了解なしに「箱根駅伝」名は、使用できないことを関東学連の大人たちは理解している事になります。そして、大学箱根駅伝の営業収益の莫大な余剰金は、箱根駅伝の商標権料として読売新聞東京本社事業局に支払っていても全く不思議でない構造が構築されてしまっている事を意味します。加盟大学は、このような学生選手をCOREとした大学競技スポーツ・ビジネスを何故コマーシャル企業の手に渡してしまったのかこの莫大な毎年の収入を何故文武両道で努力する加盟大学の優秀な学生選手達の支援金(奨学金)として活用する知恵を持たれなかったのかと残念至極と申し上げざるを得ないのですこの構図が事実であるならば、「箱根駅伝」の商標登録を許可した方々は、大学箱根駅伝を構築してこられた各大学の諸先輩方に対して大罪を犯したと申し上げても過言でないと思われますが、読者の皆様はこの現実を理解し同意されますか。或いは、無関係だと無関心を装いますか。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   KファイルNews、Kファイル

お知らせ:

次回は.新年1月13日、木曜日を予定しています。皆さんのご存じでないパーツをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの大義、趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

外国人助っ人の良い選手には、年間1000万円以上が購入価格で必要相場とされています。それらは、どの選手に当るのか正月の外人選手に注目下さい。札束を眼前にぶら下げれて箱根路を走っている姿を想像して下さい

このような事がマスメディアの美談の裏で大学経営者、教育者、指導者が平然と行う実態を視聴者はテレビの前で何を思考されえいるのでしょうか。日本人の27分台の選手達は、幾らで大学に買ってもらっているのでしょうか

注:引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf