KファイルNO.187:夏季休暇明けのご挨拶

KファイルNO.187:夏季休暇明けのご挨拶

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

2022年10月27日

AUTHUR A. ESSLINGER PhD. 1905~1973

DEAN 1953~1972

Oregon大学 体育学部長 専門:体育、スポーツ・アドミニストレイション

筆者が54年前に出会って、運動生理学からスポーツ・アドミニストレイションに志を変革したエスリンジャ―教授の教えを受けた最後の学生だったかも知れません。小生の適性を諭して下さった恩師の一人です。                   深謝

 

Kファイル読者からの貴重な便り~

河田先生、残暑お見舞い申し上げます。

 今年も、コロナ禍も収束しない状態でのお盆休暇になりましたが、この夏の色々な話題の中で、「長崎を世界で最後の被爆地にする」という言葉は印象に残りました。ロシアが狡猾に核兵器原子力発電所を使った脅しをかける中で、日本として主張できる数少ないメッセージであり、世界の秩序が年々悪くなる中で、貫き通さなければならないメッセージであると思います。

一方、昨今の東京2020オリンピックに関係する賄賂などを考えると、「東京2020が日本最後のオリンピック開催になる」のではないか、との懸念も抱いた次第です。東京在住の一都民としては、コンパクトで環境にやさしい当初の構想には魅力を感じていただけに、新型コロナによる無観客での開催はやむを得なかったとしても、誘致段階のコンサルタント料などの疑惑、新国立競技場設計、様々な競技における会場の変更などでコンパクト性も失われたことなど、想定外のことが多々、発生しました。

現在のところ簡単な報告書で済ませているようですが、一国民・一都民としては、投資した税金をどのような目的に使い、客観的にはどれだけの投資効果が得られたか、ブラックな部分、グレーな部分は何だったのか、その反省と対策について、我々にもわかるように「自主的に」情報公開してほしいころです。国民・都民に対して、誠意をもった情報公開がないとすると、次回、巨大なスポーツイベントを開催することに対して、過半数がネガティブな考えをもつことになるのではないでしょうか。

河田先生から情報ご発信において、巨大なスポーツビジネスにおける電通の実力は驚きをもって記事を拝見しておりました。特に、日本開催のみでなく、各国でのオリンピック開催においても、電通が多大な影響力を発揮していたことは、電通の組織としても、実際にリーダーとして活躍された方のリーダーシップとしても、尊敬をしておりました。今回、ある時期からの「みなし公務員」としてのコンサル料の受領の問題に限られるのであれば、部下も含む手続きミスの可能性もあるので、上記の尊敬を大きく損ねるものではありません。

IOCにしても、サッカーのFIFAにしても、巨額の放映料を含む利権が存在し、またマスコミ各社もその利益を享受していると思います。また、我々の多くも、将来、オリンピック、ワールドカップなどの巨大イベントを日本国内で開催できることに誇りでありますし、生で競技を見てみたいという欲望もあります。日本での巨大イベント開催をなくさないようにするためにも、東京2020の情報公開、反省と対策は重要であると考えます。マスコミも利権を持っている以上、どのようにプレッシャーをかけるかということも興味のあるところです。

この10年間程度の期間で、日本におけるコンプライアンス(法令順守)については、大きく進んだと思います。一方で、IOCFIFAにおいては、これまで賄賂(わいろ)などを中心とする問題が継続しているという認識でいます。日本としてあるべきところとしては、IOCFIFAのような巨大利権が関係する機関においては、ガバナンスやコンプライアンスの問題が根絶されるまでは誘致活動はしないというのが正しい方法だと思います。ただ、現在の世界情勢からは非常に時間がかかることは予想されるため、クリーンな国々がワン・チームとなって、脱退する覚悟でガバナンスやコンプライアンスの改革を求めるべきではないでしょうか。

まずは、日本から巨大イベントをなくさないようにするためにも、東京2020の反省と今後の対策について、詳細かつ国民・都民にわかりやすいかたちで、情報公開をお願いしたいと思います。 Kファイル読者より

 

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2022年10月27日 木曜日 KファイルNO.187号

Kファイル筆者からのご挨拶

 Kファイル読者の皆様は、長きに渡る猛暑、酷暑の夏を越されお変わりなくお元気にご活躍、お過ごしされている事とお察し申し上げます。

筆者は、8月第4週木曜日公開のNO.186の末尾にお知らせをさせていただきました通り、5年数か月ぶりの夏季休暇を取らせて頂きました。休暇中の旅先には、多くの読者の皆様、友人、知人からメールを頂きました。そのメールは、静かな平和な環境の中で熟読させて頂きました事を先ずご報告、お礼申し上げます。休暇中ではありましたが、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawadaは、FacebookTwitterに掲載を継続して参りました事も合わせてご報告致します。

 夏季休暇を終えて帰国致しますと日本はもうすっかり晩秋を迎える季節になっていました。近年は、日本の最大の特徴であります四季が無くなり二季に完全に移行した昨今日本人として大切にして参りました季節感を失ったことへの寂しさを改めて感じた次第です。読者の皆様は、どの様にこの情緒を感じておられますでしょうか。

 国際情勢は、日々刻々と状況が激変している中でやはり大切なのは如何にして人類が「共存共栄」して行くか、行けるかは最大のテーマである事を確信致しました。人類は、「自分だけが良ければ主義」が大半を占めています。この個々の「Egoismエゴイズム(自己の利益を重視し、他者の利益を軽視、無視する考え方)」が蔓延してしまった地球上の経済先進国と称される国々、民、社会には近年本イズムの終着駅が近付いてきている事が今日のあらゆる分野・部門の実態を鑑みるにつけて現実味を帯びて参りました。如何でしょうか。

 一方、スポーツ界に於ける国際情勢は、その頂点に君臨する国際オリンピック委員会IOC)への疑念が津波の如く押し寄せIOC電通の所業が五輪の理念と概念を逸脱し崩壊させてしまった現実が近年の状態であります。今日の乱れた五輪ビジネスの展開は、世界のスポーツ界に大きな波紋を投げかけています。

米国、英国の大手マスメディアとNBC(米国TV局)は、この乱れた五輪の現実をIOCが修正できるのか否かの動向を静かに見守っている事に、IOCは神経を尖らせているのも事実です。それに関連して、今日の国内の東京五輪に政治家、組織委員会電通、企業、JOC、等々の贈収賄(ぞうしゅうわい)事件の拡大、拡散は、止まるところを知りません。

本件に関わる問題は、Kファイルに於いて2017年春より今日迄掲載続けて参りました。驚いたことに、このKファイルは、米国の大手マスメディアが独自に翻訳されて情報収集されていたことを夏季休暇中に関係者から聞かされて驚きました。しかし、筆者としては、少し海外のマスメディアの間で価値評価されている事にある種の喜びを感じた次第でした。

筆者は、国内マスメディアに評されなくとも海外の最大手のマスメディアにこれ程評されているなら喜びも倍加した次第です。今日では、情報のリテラシー(共有活用)は、最大のメリットでありスポーツ界の「JusticeとFairness(正義と公正)」を維持する為には不可欠であります。此れが「スポーツ・アドミニストレイション、スポーツ・アドミニストレイター」の神髄なのです。

 この程は、長い夏休みを頂き心の故郷に自身の身を置き原点に立ち返らせて頂きました。今後、小生は、さらに心を新たに精進努力致して参ります。読者の皆様には、本「Kファイル」をより一層拡散、拡大して戴き専門知識を蓄えて頂き、読者の皆様がスポーツ・アドミニストレイターの立場で毎日氾濫しています情報の真相真意を読み解いて頂ける一助として頂けましたら幸いです。

以上を持ちまして、筆者の休暇明けのご挨拶に替えさせていただきます。   深謝

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G ファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社発刊 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

休暇中暫しの間、筆者は、日本を離れて客観的な視点で我が国、自身を見つめ直して参りました。日々雑用に追われ、また古い親友、知人、新しい出会いの友人達に触れました。毎朝早朝には、近隣を散歩し丘の上からの日の出を拝観しながら若かりし頃に血反吐を体験したこの地での思い出をこのようにして、Woodチップ(木の幹を木っ端にした)の香りが遠い昔を記憶の中から蘇らせてくれました。この幸せな感触をそうでない人達に還元する事が自身の使命である事を改めて諭してくれた旅でした。東京五輪を食い物にする我が国の政治家、企業家、教育者達は、何と浅ましい愚かな人間達なのでしょうか。天は、きっとこれらの人達に天罰を与えて下さるでしょう。そうでなければ「Fairness公正・公平」は、フェイクと化す。