Kファイル╱スポーツドクトリンNO.219⁚河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅳ)

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.219⁚河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅳ)

無断転載禁止                 毎月第二、第四木曜日掲載

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイタ-

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

時事の話題から~

筆者の私見と見解

ティーム大谷の突然の内部崩壊と起因

代理人の脇の甘さによる業務怠慢か

 この度の大谷翔平選手(LA/ドジャーズ球団所属)の公式通訳である水原一平氏の賭博に絡む事件は、世界中の野球ファン、社会を震撼させた出来事でした。Kファイルの読者の皆様は、既に報道を通して事の次第をある程度理解されている事と思われます。しかし、皆様は、マスメディアの報道を決して鵜吞みになさらない方が賢明です。その根拠は、殆どが客観性に基づいたものではなく、そこには人の数ほどのフェイク情報が米国内に於いても錯綜している事です。寄与のスーパースターが関わる出来事なので、それも仕方のない事であるかも知れません。

この報道を最初に報道したのは、米国のスポーツチャンネルESPNのニュース速報番組でした。https://www.espn.com/mlb/story/_/id/39768770/dodgers-shohei-ohtani-interpreter-fired-theft 本URLを筆者が確認したのは、日本時間(JST)の3月21日早朝でした。その時間帯、私は、まだデスクワークをしていましたので、米国からのメールの着信音で気付いた次第です。筆者の興味は、何故本件がESPNの記者、ロスタイムズの記者にのみリークされたのか、何処の誰がリークしたかです。怪奇?

水原氏の賭博行為は、既に数年前のLA/エンゼルズ時代から行われていた事実が明らかになっています。大谷選手のエンゼルズ時代は、水原通訳はエンゼルズ球団と契約していたか否かは公表されていません。この度は、LA/ドジャーズ球団は、通訳自ら開幕1試合目のサンディエゴ/パドレス戦後のティームミーティング時に事の次第をティームに話した後に球団は素早く反応、決断、解雇を発表しました

現時点での米国メディアに於ける問題の焦点は、本ESPNの記者が最初に水原一平氏にインタビューした時の答えと24時間後に再インタビューした時の水原氏の答えに齟齬(そご)がある事です。この24時間の間に何があったのかが今後の展開で明らかにしたいとの様です

こんな時の為にこそスポーツエイゼントは、選手の前面に出て擁護、防御する契約になっている筈なのですが、此処では、大谷選手の代理人(エイゼント)の姿が全く表に出てこないのも素朴な疑問であります。通常は、大谷選手と代理人契約をしているエイゼントが前面に出て大谷選手の代理を務めるべきです。今後どう代理人及びその企業が大谷選手をプロテクトするかが見ものでもあります。代理人の業務は、選手の契約をまとめる事だけではありません。

通常、大谷翔平選手程の超大型の契約をするに当たって選手は、先ず同選手のエイゼント(代理人とその会社)との間でビジネスマネージメント契約があります。そして次に大谷選手の専属通訳は、大谷選手の代理人会社と契約を結び、契約に沿った業務内容で選手をサポートします。また、大谷選手は、個人的に通訳の水原氏とエイゼントとの契約内容以外のプライベイトなマター(事項)で契約をしている可能性が在ります。本件では、このような重要な基本的問題の情報公開が成されていないので読者は理解しずらいかと思われます。

この度の問題で水原氏は、ドジャーズ球団との契約が在った事がドジャース球団が彼を解雇した事で明らかになりました。このように日本のマスメディアは、大事な大谷選手が誰と契約関係にあるのかの基本的な取材と情報公開が成されていない事にプロとしての取材意識の根幹が欠落しているように思います。読者の皆様は、何も感じませんですか。

本件は、現在既に米国国税庁(略:IRS Internal Revenue Service )、米国連邦捜査局(略:FBI Federal Bureau of Investigation)、MLBコミッショナーオフィスの特別捜査、調査が始まっています。これら本件に関わる最高機関の公式報告が出るまでは、全て信頼できる情報ではありません。今後は、大谷選手の一通訳がどうして大谷個人のそれも巨額の大谷資金を自由に自身の賭博の負債の肩代わりに胴元に流し込めたのかが、多分現在の焦点となっている様子が伺えます

FBIは、水原通訳の裏に組織が介在し通訳を操っていたか否かも重要なポイントしてインベストゲイションン(捜査)が行われているのではないかと思われます。それが為にも水原一平氏の身の安全を1時間でも早く、FBIに寄って保護、確保して頂きたく願います。勿論、FBIには、手抜かりは無い筈です

今日迄大谷選手は、アメリカンドリームを超順風満帆にMLBでのスターダムを駆け上っている彼の人生での出来事でした。しかし、彼は、今回この事件で巨大なトルネイド(竜巻)に襲われている現実を今後どう乗り越えられるか、乗り切るかだと思われます。大谷フィーバーに突然トマフォークミサイルが撃ち込まれました。これは、神様が大谷選手に自身の足元を見直すためのパニッシュメント(懲罰)を与えられていると理解して、この難をポジティブな心で乗り越えて初めて真の大谷翔平選手のゴールが見えて来るように思えてならないのは筆者だけでしょうか。此処で筆者は、水原一平氏大谷翔平選手をここ迄サポートし大変素晴らしい仕事をしてきた事は認めて挙げたく思いますhttps://www.youtube.com/watch?v=FchVRKXWoEしかし、この代償は、余りにも大きすぎます。

3月26日(現地25日)に大谷翔平選手は、自らの言葉で本件に付いて初めて会見を開き発表しました。それは、約12分程度新球団通訳同席で行われました。大谷選手は、終始冷静に誠実な態度で正直な解説と説明であった事に間違いありません。試合開始前の会見にも関わらずマスメディアに対応されたのは正解であったと思います。

この大谷選手の会見に於いて、“私も代理人も球団関係者も水原一平さんに嘘をつかれていた”との発言に筆者は非常に違和感を感じました

その根拠は、大谷選手の代理人は“球界切っての辣腕エイゼント(代理人)”と評価し、マスメディアは絶えず報道していました。しかし、この度の通訳の賭博問題で過去6年間代理人が通訳の動向に気づかず、この程の大事件を引き起こし、彼らの最大のクライアントの大谷選手に多大な被害を与えた事は、代理人及び所属会社の業務怠慢以外の何物でもありません。これは、エイゼント業界に於いては最大の汚点であり、ライバル会社の代理人達のほくそ笑む顔が目に浮かびます。

大谷選手は、水原通訳のみならず、代理人(会社)に対して損害賠償を請求できる立場にあると思われます。選手と代理人間の契約書には、守秘義務があるのでこの件については大谷選手個人の弁護士が把握している筈です。

これは、大谷翔平選手の会見内容です。ご参考までにhttps://www.youtube.com/watch?v=VcuvM8y5JvI

私は、大谷翔平選手とご家族、通訳の水原氏のご家族に神のご加護が在ります事をお祈りします。

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目次

スポーツ・アドミニストレイターの中枢を担うGM 

Ⅰ.スポーツ・オペレイションに於ける実戦配備

  1.ゼネラルマネイジャー(GM)の位置付けと職責

    ■GMには、実行力と強烈なリーダーシップが求められる

  2.スポーツ・オペレイションとは

    ■実際にスポーツをプロデュース

    ■スポーツ・オペレイションの人的資源の使い方

    ■スポーツ・オペレイションとマネイジメント

    ■スポーツ・ビジネスオペレイション

   3.貧乏球団(組織)を引き受けた時のGMの手法

   4.GMと監督、専門スタッフの業務とその違い

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2024年3月28日 木曜日公開

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.219⁚河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅳ)

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スポーツ・アドミニストレイターの中枢を担うGM

Ⅰ.スポーツ・オペレイションに於ける実戦配備

1.ゼネラルマネイジャー(GM)の位置づけと職責

 一般的にゼネラルマネイジャー(略:GM)は、オーナー、最高経営者(CEO)の直轄管理下に位置しています。このことからもGMは、その球団、組織に特化した最重要なスポーツ・アドミニストレイターの一人なのです。

GMは、球団及び組織・団体の中で経営分野とテイーム編成分野を統括運営・管理する事を職務・職責とする人の総称名を指します。現実的には、①経営部門と②テイーム編成部門の統括管理責任者を配置している場合が多く見受けられます。皆さんが理解、認識されているGMは、多分後者②であると考えられます。 

 GMは、与えられた球団の財産(組織、人材、金、物、情報、ティーム、監督、スタッフ、選手、等を含む)の有効利用と活用能力が問われるスポーツ・アドミニストレイターなのです。特に大切なのは、先ず戦略を立案しその戦略に基づいたティーム作りにおいて現戦力の今後の発展に一番適した指揮官・監督を選ぶ事からです。この選び方を違えると組織に多大な損害を与えるのみならずGMのオペレイション・マネイジメントに最大のダメイジを与えることになるのです。

GMには、実行力と強烈なリーダーシップが求められる

1)トラブル処理能力:利害関係がひしめく業務において問題の本質を敏速に見極め建設的な理解の下握手をさせる能力を意味する。

2)説得力:問題を先ず明確にしてお互いの置かれている現状を理解し、双方納得のゆく方向性と協調性を見いだし協力関係を再構築しなければならない。

3)客観的な対応力:敏速に客観的な要因を見つけだし、主観的な要素、要因を区別する能力が求められます。

4)コミュニケイション力:ポジテイブな対話によって相手の真相と情報を得ながら素早く解読、分析しながら相手にも理解させる交換能力が求められる。本能力を持ち合わせていない人間をGMに任命した場合、その時点で成果、結果は予測できます。GMの選考は、任命権者に全責任があります。

5)人間関係の掌握力:オペレイション部門に携わる全てのスタッフ、職員達との信頼関係を構築し、個々の能力をポジテイブに理解し、それを業務に活用できるよう導く事が大事。

6)オペレイション部門の運営力:個人の個々の能力を導き出し、個々の業務を組織の中でまとめて組織力として活用できる能力が求められる。(マネイジメント力、コーチング力)

7)判断力と決断力:球団、組織の経営、運営コンセプトに沿った判断は、スピードを持った決断力が必要不可欠です。                  

筆者は、自身の実体験から以上主な必用とする力を7項目を上げましたが、GM職には上記7項目は必要不可欠な項目でこれらの適正が無ければ務まらないと思います(組織の規模、趣旨目的にもより負担も異なる)。何故なら常に経営者からは、成果と結果が求められる職務と職責だからです。

また、アシスタントGMの採用に当っては、ただのイエスマンではなくGMの不得手な項目をカバー、フォローする能力ある人材をリクルートする事が賢明です。

小職は、このアシスタント諸氏には大変恵まれ、この方々無くしては東京読売巨人軍の歴史にメイクミラクル、ドラマを刻むことはできませんでした。現在もなお、この方々には心より感謝を致しております。読者の皆さんが応援されているプロ野球球団、プロサッカー球団、等々には、このような項目に当てはまるGM,あるいはそれらしき編成本部長、等と称される方がいるはずです。

2.スポーツ・オペレイションとは

 スポーツ・オペレイションとは、スポーツの活動を作る部門、部署であり実際に行う競技スポーツをプロデユースする現場の運営と管理を意味しています。

■実際にスポーツをプロデユース

一般スポーツの場合

プロスポーツ競技者及びその関係者以外の一般にスポーツをする人達は、生産者であり消費者でもある可能性が高いことも忘れてはなりません。(この場合は、競技性は低くリクリエイション、レジャー、健康維持増進を目的としたスポーツ活動です)

例:スポーツ倶楽部では、消費者(会員)に対してサポートする側は、種々のサービスを提供しています。それらは、インストラクター、トレイナー、健康・栄養のアドバイザー、サポート役のフロント業務、ファシリテイー(施設)、メインテナンスの業務、スケジュールの管理、清掃・点検の重要な役目を担っています。これら全ての人材をまとめ管理する各部署のマネイジャー及び支配人と呼ばれる役は、倶楽部の総合プロデユーサーです。倶楽部の顧客達は、消費者(会員)としての意識も高いです。よって、この場合、消費者は、実践者(商品)でもある事を忘れてはならないのです。

■スポーツ・オペレイションの人的資源の使い方

①仕事の内容、特性を明確にする。

②適切な人員を配置する。

③組織全体が効率よく動ける為の強いリーダーシップが必要です。

④仕事の成果を適切に評価し必ずフィードバックする事が大事です。

⑤モチベイションを高めるには、公平な報酬とそのシステムを明確にすることが大事です。

⑥スタッフへの対応は、常にフェアーに保つ事が大事です。

■スポーツ・オペレイションとマネイジメント 

 本運営・管理には、GMとして能力のある人材を配置する事が大前提です。そして、最高経営者(CEO)は、GMに全ての統括権限を与え契約書に基づいた約束事を履行する事が重要な任務・業務であります。また、CEOは、ビジネス部門と編成部門の責任体制を明確にし互いに無意味なコンフリクト(対立)や業務上の越権行為を起こさせない、起こさない体制を整える事が重要です。また、一部球団、組織、団体に於いては、オーナー兼CEOがGMを兼務している場合を見かけますが(代表的な例は、NFLダラスカーボーイのオーナー兼GM)、この場合は各専門部門、部署にアシスタントGM、アシスタントBMを配置し業務を分担させることが賢明です。

GMの重要な使命は、最高経営者による球団の経営方針に基づいたティーム作りを委託・委任され球団・組織の経営方針に沿ったティーム運営/管理を行い組織の最終目的である「勝利」に導くことです。

★次にGMの資質は、企業経営者としての資質を有し選手・スタッフ・監督の資質を見抜き強いテイームを作る為のリクルート(人集め)とそれを機能させる運営・管理能力に優れていなければならないことです。

そして最後にGMに求められるのは、資質の高い思考と行動力で思考だけでは役立たず、行動力だけでも成り立たないのです。行動力と思考力の高い資質を伴ったバランスを必要とされます。

■スポーツ・ビジネスオペレイション

 スポーツビジネスに於けるオペレイションは、幾つかの重要なポイントがあると考えられます。以下考えられるポイントを列記致しましたのでご参考にして下されば幸いです。

①スポーツを観戦用にプロデユースする。

②選手自身は、プロダクトの一部です。

③マネイジメントを行っているスタッフもプロデユーサーの一員。

④ゼネラルマネージャー(GM)、ビジネスマネイジャー(BM)は、スポーツ組織・団体においての重要なコンダクターであり総合プロデユーサーなのです。

⑤スポーツプロダクトを消費するのはスポーツ観戦者、ファンです。

⑥スポーツプロダクトは物と異なりその生産と消費が同時に交換されることです。

⑦スポーツ消費者(観戦者)は、エンカウンター(encounter、出会い)を求め、プロデユーサーは、エンカウンターを作り商品化することを業務としているのです。

3.貧乏球団を引き受けた時のGMの手法

 GM(ゼネラルマネイジャー)は、スポーツ組織・団体において欠かすことのできない重要なコンダクターであり総合プロデユーサーでもあるのです。ゲームを運営・管理するに欠かせない人材です。オペレイション・マネイジャーとも呼ばれています。このようにしてつくられたプロダクトを消費するのがスポーツ観戦者(消費者)と呼ばれます。

GMは、才能ある監督の発掘のみならずそのスタッフの採用が重要な成功の要素ともなります。安い材料(スタッフ、監督、コーチ、選手)を手に入れて、それに手を加え(マネイジメント)新しい質のよい商品を生産し、ドラフト、FA,移籍というルールを有効に利用、活用して商品を相手に高額で売り、その利ざやで洞察力という能力をフル活用して安い材料を手に入れて、手を加えて蓄財して行く方法が能力あるGMと評されるのである。その為にもGMは、情報収集能力にたけ、それを最大限活用(リテラシー)する実践力が試されます。

そして、そこでは生産者と消費者間では、物と金の交換でなく生産される選手のパフォーマンスに対する対価として観客、視聴者による消費が同時に行なわれる事が特徴です。また、観戦者がスタジアムに直接足を運ぶか、TV、マスメデイアの前に座るか、どちらかアクションを起さない限り観るスポーツは発生しないのです。よって、スポーツ観戦者は、お互いの関わり合いを含めて、観るスポーツの一翼を無意識のうちに担っているという事です。

4.GMと監督、専門スタッフの業務とその違い

 GMは、球団・組織の中枢を担う職務・職責に位置するポジションである事は既に述べました。

球団及び組織の経営者によって雇用(契約)される場合一般的に監督より長い期間の契約となります。何故ならGMは、最高経営者の右腕であり経営陣の一員でもあるのです。特にスポーツ組織に在っては、経営のCOREであるティーム、選手の商品化を図る最重要な役割を担っていて常に中・長期ビジョンに沿ったスポーツ・アドミニストレイターであるので長期に渡ってのティームオペレイションの責任を負っているのです。よって、監督、コーチングスタッフのような短期的契約と区別されるのは当然です。よって、その組織に於いてGM、監督がよく変わるような球団、組織は、最高経営者に経営手腕が無いと言われても仕方ありません。

特にプロのGMは、本来まさに種々のマネイジメント部署を預かり個々のマネイジャー達を束ねて組織の経営、運営、管理を担うスポーツ・アドミニストレイターの最前線部隊の最高司令官と言えるかと思われます。しかし、GMとして適応力の無い人選を行うとその組織の最高経営者は、組織の損失と崩壊を招くのも時間の問題なのです。人選と人事は、最高経営者(CEO)のライフラインと言われる所以がここに在ります。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政 

お知らせ:如何でしたでしょうか。少し内容が濃くなりましたが今までのKファイルをご笑読頂いている読者の皆様には、良く理解して頂いたかと思われます。本篇は、スポーツ界のみならず会社、企業、組織、団体、等に於いてもファンダメンタルなアドミニストレイションに於いては、ご参考になると思います。

Kファイル特別編 NCAA(全米大学競技スポーツ協会)Pacific 12 最終年  バスケトボールチャンピオン オレゴン大学(Ducks)

Kファイル特別編 NCAA(全米大学競技スポーツ協会)Pacific 12 最終年

 バスケトボールチャンピオン オレゴン大学(Ducks) 

優勝決定戦 

オレゴン大学75対コロラド大学68 2024年3月16日 PST

場所:T-Mobile Arena  Las Vegas NV 

TV Coverage:FOX Net Work

URL:https://www.youtube.com/watch?v=sGfJe0QJ0xs

   https://www.youtube.com/watch?v=KhRLYGxvng8

此れからいよいよNCAAのタイトルを掛けた全米ベスト68校によるトーナメント、称してMARCH MADNESS が間もなく開幕されます。

尚Pacific 12 Conference (加盟校:ワシントン大学ワシントン州立大学オレゴン大学、オレゴン州立大学、カリフォルニア大バークレイ校、スタンフォード大、カリフォルニア大ロスアンゼルスUCLA南カリフォルニア大学USC,アリゾナ大学、アリゾナ州立大、コロラド大学、ユタ大学)は、本年度を持って長い歴史に幕を閉じる事になりました。

新年度からは、ワシントン大、ワシントン州立大、オレゴン大、UCLA、USCは、BIG10カンファレンスにその他は、それぞれ異なるカンファレンスと契約して所属する事になりました。しかし、最後に残ったワシントン州立大とオレゴン州立大は、現在他のカンファレンスと交渉中との事です。このNCAAの歴史で最大の変革の根拠は、フットボールのTV放映権が絡む巨大スポーツ・ビジネス、即ちマーケットの拡大とそこから得られる収益が最大の魅力の様です。

オレゴン大学は、バスケットボールとフットボールの事業収入は現在年間約50億円と言われていますが、更なる収入が訳されることになるのでしょう。この事業拡大の為に、現在のフットボール競技場(70000席)を更に10000席拡張、80000席への準備が進んでいます。2022年世界陸上大会をキャンパスにホストする為に新しく新築した陸上競技のみが使用する新ヘイワードフィールドは、30000席、新バスケットボールアリーナは、15000席、新野球場は10000席とキャンパスはいつしかNikeスポーツキャンパスと呼ばれるようになった。

それもそのはず、ナイキのオーナーのポケットマニーで4900憶円がオレゴン大学のスポーツとアカデミーの発展の為に寄付された事は、世界の業界の知る所であります。勿論、米国内は、元より世界の何処の大学にも無いスポーツとアカデミーに必要な最新施設と実践の場が確立された事を意味します。オレゴン大学とナイキ社の関係は、オレゴン大学のキャンパス内のヘイワードフィールド(陸上競技場)の工房で当時のビル・バウアマン監督により起業された、いわばナイキ社の発祥の地だからです。


文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:F-file(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著武田頼政

Kファイル╱スポーツドクトリン、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.218:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅲ)

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.218河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅲ)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

ご紹介:読者からの便り

河田様

坂本幸雄氏への追悼文を再度拝読しました。つい昨日までお話をされていた親友がお亡くなりになり、河田さんの悲しみは幾許か、私には想像もつきまん。スポーツ・アドミニストレイターを自負される河田さんが、坂本さんを「ビジネス・アドミニストレイター」を全うされた戦士と形容されたお気持ちに、スポーツとビジネス(半導体)の世界は違えど同じ戦友と認め会える仲間だった、万感の思いがこもっている気がしました。ご家族が亡くなられたような痛みだとお察しします。3月に入っても暖かくならないのは、河田さんのその悲しみのせいかもしれませんね。

坂本さんのご冥福を心よりお祈りさせていただきます。読者より(マスメディアスポーツ担当者)

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目次

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.218河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅲ) 

スポーツ・アドミニストレイターに求められる基本的能力

Ⅰ.マネイジメント力とコーチング力

      ■コーチングの基本技術(スキル)

      ■コーチングツール(道具)

      ■コーチングに必要な心得

Ⅱ. スポーツ・ビジネスに関する基礎知識

    1.ビジネスって何をどうする事

    2.スポーツ・ビジネスとはなんだろう?

Ⅲ.スポーツのビジネス組織

      ■スポーツ・アドミニストレイターの重要なリソース

      ■スポーツ・ビジネスにも規則とルールは不可欠

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2024年3月14日 公開   無断転載禁止

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.218河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅲ) 

スポーツ・アドミニストレイターに必要な要素

Ⅰ.マネイジメント力とコーチング力

スポーツ・アドミニストレイターには、この二つの大きな要素を持ち合わせているか否かが成功のキーとなると思われます。

1. マネイジメント力

マネイジメント力とは、目的、目標に即した方向に物事を取りまとめる能力を意味します。このようにマネイジメントに関る人達は、組織としての目標やビジョンの設定と同時にそこに至るストーリーを持ち、明確なビジョンをイメイジできる観察力、洞察力が要求されます

2.コーチング力

コーチング力は、個々の能力が最高に発揮できるように導き出す力を意味します。コーチングは、あくまでマネイジメントに沿った一つのファンクション(機能、作用、働き、役目、効用、職務、役割)です

これら二つを兼ね備え、それぞれの高い資質を持ち合わせている経営、指導、運営、管理者は、業務を遂行するに当たって成功率の高い人物と言われます。

ティーチングは、あくまでも知識の付与を主体とする指導法でコーチンの基礎と  なると捉えた方が理解しやすいと考えられています。

コーチングの基本的な技術(スキル)

コーチングは、「現場でただ技術を指導」するだけではないのです。コーチは、あくまで個人の能力にあった指導を開発し、その個人がカンファタブル(人が精神的、肉体的に気持ちよく感じる状態)な状況下で育成、指導してあげられるかどうかがとても重要であると思われます。

コーチの経験主義から来る精神論的、暴力的な言動、態度で押し付けるような指導(強要)は、よいコーチングとは言えず、かえって個人のよい才能、能力を潰すのみならず、精神的、肉体的な障害となるケイスが多いのです。コーチ自身は、如何に個人に対してポジテイブなモチベイションを提供、継続できるかが大変重要であると思われます

コーチングツール(道具)

コーチングに於ける大切なポイントは、「目は温かく、耳は鋭く、口は的確に」が基本的な道具といえます

1 .   目は、口ほどにものを言うと昔から言われています。これは、相手に決して敵意を持たせない、尊敬の念で見つめるのが好ましいとされています。

2.   耳は、相手の心の深層にある深層真意を相手の言葉から逃がさず聴き取り情報を収集する事です。また、相手のトーン、言葉の抑揚から感情をも聴き逃さない事です。耳は、相手の思いを聞き取る為にある器官なのです

3.  口は、コーチの一言で相手のモチベイションのみならず、技術までも活かしも殺しも出来るのです。よって、相手の必要な事だけを的確に最小限度に伝える事が大事です。相手を見下したり、攻撃的、批判的な口調は決して説得力のあるものでなく、口は、災いの元凶となる事を忘れてはならいのです

果たして、暴力を使う教育者、指導者達にこのような道具を持ち合わせているでしょうか。この様な道具を持っているなら現場指導に於いても暴力を用いる必要性が無いのです。問題の指導者達には、本人の資質のみならず、専門教育を受ける大学教育機関の環境と指導者、指導者の免許を付与する教育機関の無責任さと軽薄さに起因する事が大きいと思いますが、如何でしょうか。

コーチングに必要な心得

観察力と洞察力の初歩的活用

コーチングに入る初期段階では、情報収集(準備)の段階で相手にどのくらのコーチングが現在必要なのかを見極める。また相手の現在の能力のレベル及び相手が何を求め必要としているかを見極める。その為には、当人との直接、間接のコミュニケーションから始める事が大事です

それにより、コーチングを始めるに当たって知識、経験量によっては、まだどれ程のテイーチングが必要なのかの目安を付ける事も大事なステップです。これは、相手がコーチングを受けるに値する現在の能力を有するか否かの判断もコーチをする初歩的な判断なのである。

初期段階で必要な資料

相手の経歴、性格、個性、意思、夢、目的、目標、希望、技術、特技、得意、等を出来うる限り早い時点で個々の情報を収集し、ポジテイブなイメイジを持つことが大事です。次に今何を求めているのか。今何が必要なのかを分析し、その求めている方向に沿ったコーチングが効果的です。決して相手の弱点、嫌がるようなネガテイブな部分を攻撃、非難したりする事はその後の指導に大きな障害、障壁を残す結果となるので最大の配慮と注意が必要である

指導者は、相手側に立った気配りと配慮が必要であり、この視点と心を持ち合わせていない指導者は指導者としての資質が欠落した人であり、指導者としての責務を任せるにはリスクが高すぎると判断せざるを得ないのです

暴力を利用、活用する教育者、指導者は、ここが本質的に欠落しているので指導者としては不適合と言わざるを得ないのです。

 

Ⅱ. スポーツ・ビジネスに関する基礎知識

1.  ビジネスって何をどうする事

ビジネス (Business) とは、社会が生産活動を調整するシステム、あるいはその生産活動を指す行為を表す用語です。狭義から広義まで様々な意味を持っていて、1つの日本語に置き換えて表現することはできないと思います。

広義のビジネスについては、ビジネスとは営利や非営利を問わず、組織形態を問わず、その事業目的を実現するための活動の総体と理解出来ます。したがって、ビジネスの主体者としては株式会社などのような営利企業とは、営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体(単位)であると思われます。社会的企業を区別するために営利企業とも言う。家計も政府と並ぶ経済主体の一つとして考えられます。

国や地方公共団体保有する企業を公企業と言い、そうでない企業を私企業と言います。NPOなどの非営利活動法人や住民サービス提供などを行う行政組織等を含み、個人または法人組織などの事業体がそれぞれの事業目的実現のために、人・物・金・情報などの諸資源を活用して行う活動全体を意味すのす。

2.スポーツ・ビジネスとはなんだろう?

「スポーツ・ビジネス」とは、スポーツを商品としてとらえ、利益を挙げるための事業活動のことです。日本ではまだ馴染みが薄いものの、アメリカにおいてはすでに25兆円の巨大市場をもつなど、完全にビジネスのジャンルとして早くから定着しています。

こうしたスポーツ・ビジネスのノウハウは、主にスポーツのチーム運営にて発揮される場合が多いと考えられます。

地域密着活動や各種イベント開催、組織の構造化、財源確保など、おおよそクラブ運営に関するマネイジメントのすべてがスポーツ・ビジネスの範疇(はんちゅう)に入るといってもよいかと思われます。また自チームの運営だけにとどまらず、他チームのアカウントマネイジャーやアドバイザーたちと手を取りあい、「ダービーマッチ」などリーグ全体が活性化するような試合や仕組みを創出(マッチメーク)することも重要な仕事です。

アメリカの4大スポーツ(フットボール、バスケットボール、野球、アイスホッケー)が常に活況なのは、この部分がうまく機能にしているからにほかならないのです。最近は日本国内でも、こうしたスポーツ・ビジネスを学問として採り入れる大学も多くなったのは、既にご承知の通りです。

ビジネス例として、

スポーツジムの運営、経営、管理とか、スポーツの用品の販売、スポーツ用品を作るメイカー企業、スポーツドリンクと作る企業、ゴルフ場 、指導、運営、経営企業、エアロビックを指導、運営、管理するクラブ企業、バッテングセンター、ドライビングレンジを経営する企業、等々。これらビジネスの主目的は、主として金儲けなのです。

こんな質問に出会った時

今、スポーツ・ビジネスについての卒論を書いているのですが、スポーツ・ビジネスとスポーツ・マーケティングの違いはなんなのでしょうか?この様な質問を学生達からよく耳にします。

▶スポーツ・ビジネスは、スポーツそのものと周辺産業を事業化したもの(すること)を意味していますが、スポーツ・マーケティングは、二通りの意味が考えられます

▶スポーツ・マーケティングとは、

1)スポーツ・ビジネスの事業計画を立てるときに必要な調査やそれを遂行する為の色々な手段。

2)スポーツが経済に与える影響を調査、考察すること。

1)であればスポーツ・マーケティングはスポーツ・ビジネスに含まれ、2)でしたら、スポーツ・ビジネスはスポーツ・マーケティングのファクター(要素)のひとつとなるのです。また、スポーツ・マーケテイングは、スポーツ・プロモーション活動の一つでもあります。

スポーツ・ビジネスは、ビジネスですからスポーツ関連の「事業」であり、スポーツ・マーケティングは、マーケティングですから経営戦略、経営管理、会計、流通などと共にスポーツ・ビジネス(事業)を構成する職能(活動)のひとつと考えられます。

 

Ⅲ.スポーツのビジネス組織

スポーツの経営に於いて重要なのは、スポーツ活動を効果的、且つ効率的に生産し、それを担う組織の経済的基盤を確保することです。スポーツ組織には、実際にスポーツの活動を生み出す「スポーツ・オペレーション部門」とこれを財政的に支援する「スポーツ・ビジネスアドミニストレーション部門」が必要であります

スポーツ組織の責任体制とその責務は、組織が保有するスポーツの「資源」を適切且つ有効に活用して、そこから確実に収益をあげることができなければならない。その収益活動の全体が「スポーツ・ビジネス」なのです。これは、また組織の存続と発展に欠くことのできない重要なファクター なのです。

ビジネス・アドミニストレーション部門は、重要な「スポーツ・マーケテイング部門、部署」も含まれるのです。その具体的な収益業務には、販売促進=セールスプロモ、テイケット販売、グッズ販売、スポンサー獲得、TV、メデイア販売、等です。また、財務、経理、総務、法務、広報、渉外、等の事務的な活動が含まれるのです。スポーツ・ビジネスとは、環境条件に上手く対応、適合して収益性を導き出す働きであり、基本的にはトップマネージメントの「戦略Strategy」であるといえるでしょう

:ビジネス・アドミニストレーションがスポーツ・ビジネスという仕事の全てではない。

■スポーツ・アドミニストレイターの重要なリソース

スポーツ組織にとって「」は最大の資源である

スポーツの経営は、資質の高い人材を獲得できるかどうかが経営成功の是非を握る重要なファクターの一つであることに間違いない。適切な指導者が獲得できるか、適材適所のスタッフが獲得できるか、スポーツ経営のコアである競技者、演技者の能力を十分に引き出せるコーチを獲得できるか、等が組織の業績を大きく作用するのである。また、これらは、教育機関の経営に於いても不可欠な要素です。成功しない組織機関は、この人材の資質に重大な欠陥があるのです。

スポーツ活動には、「もの」が必要である

先ず必要なのは、インフラ整備として用地の確保、アクセスの確保、道路の整備、駐車場の整備と確保、競技場、練習場、等のファシリテイー、クラブハウス、レストラン、等の選手、観客の要望にあった設備を考慮しなければならないのです。

③スポーツ活動に於いて運転資金、設備資金、等の「」は、欠かせない重要なファクターである

収入源の確保。(例:入場料、広告スポンサー料、寄付金、メンバーシップ料、使用料、指導料、放映料、等。)

④スポーツ活動に於ける今日の重要な資源に「情報」が加わったのは、需要な要素です

今日のような情報社会では、スポーツ・コンシューマー(消費者)が何を求めているかという情報を先に入手できるかどうかがスポーツ組織の業績を大きく左右するのです。組織文化(顧客の記憶、ブランド、スタッフのロイアルテイー、ホスピタリテイー、等)も重要な情報源なのである。

:Hospitality(room):心のこもったおもてなしの意味東京五輪招致活動に於いては、この日本語訳が滝川クリスタルさんのスピーチで使用され、買収疑惑が今日もフランス検察当局に寄り捜査活動が継続されている事でも世界の人達の知る所となり、現在もこの言葉がひんしゅくを買っているのをご存じですか。当の本人は、タレントとして雇われ喋らせられたので罪はないと早々結婚されてギャラ丸取りも仕方あるまい。

■スポーツ・ビジネスにも規則とルールは不可欠

今日のスポーツ活動の殆どは、特定の国やそのスポーツ組織が規則・ルールを作り、複数の組織を通して各国に広まったのです。これらは、ある企業が消費者の目の届かない工場で独占的に「商品=マーチャンダイジング」を大量に生産して、彼らの流通ネットワークに拡販するシステムに似た手段なのです。

スポーツの規則・ルールは、通常実践者たちの活動と経験を長く経て発展、進化して行くものです。即ち、ルールとは、熟成度が高いほど多角的な安定感、揺るぎないフェアネスを確立しているという事になります。

スポーツ・コンシューマー(消費者)達は、物のような既製品としてのスポーツを買うのでなく、消費現場で自らのスポーツ活動との出会い(Encounter:遭遇すること、接触、出会い)を買っていることを忘れてはなりません

同じスポーツであれば誰から買っても同じスポーツ活動と出会えるというものでない事をお忘れなく。顧客一人一人のニーズを満たすという点では、スポーツ組織の業務はサービス業と言えるのです。

  

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:K-file (長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル╱スポーツドクトリン、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:基礎編(Ⅲ)は、如何でしたでしょうか。分かっていても分かっていない重要な基礎部分を発見されたのではないでしょうか。発見され、理解されたなら失敗は二度繰り替える必要はありません。皆さんのお役に本河田ファイルがお役に立っていますならこれ程の幸いは在りません。昔から賢者は、「知らぬは一時の恥、知るは生涯の財産」と人は申します。此処に於いても人は、誠実で素直が寛容の様です。

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.217:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(II)

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.217:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(II)

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日 掲載

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイタ

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

坂本幸雄様 

 今は亡き坂本幸雄さんに謹んで哀悼の意を表します。

 

坂本幸雄、元TI(Texas Instrumentsテキサス・インスツルメンツ)副社長,エルピーダ・メモリー社長、2019年11月、中国半導体最大王手の紫光集団 副総裁に就任、日本体育大学卒、日本体育大学元理事

   私は、2月14日の彼の突然の死が今も信じられません。彼とは、日本体育大学の同期であり、親友の一人でありました。彼は、今日迄努力を惜しまず、全く専門外の世界から世界の半導体業界のトップ経営者にのし上がった風雲児です。

つい先日(2月13日)は、3度も彼とコミュニケイションをしたばかりです。今月末に昼飯をしようと決めていました。しかし帰らぬ人となった事に人の命のはかなさを思わずにいられません。彼は、中国の紫光集団の副総裁として中国政府最高幹部から直接招かれ、契約の決断に至った事で彼の人生の最後の目的・目標を果たしたかったのだと思います。彼は、政治、政治家を好まず経営者としての「ビジネス・アドミニストレイター」を全うされた日本人戦士です。坂本幸雄は、いつ迄も我が親友であり、仲間です。

最後まで日本体育大学の現状、経営者達の資質と行く末を憂いていたのが印象的でした。どうか此れからは、奥様の側で平和な日々をお過ごしください。

深謝

河田弘道

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➡読者からの便り~

河田先生

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.216号拝読いたしました。

スポーツ・アドミニストレーションを学ぶために「スポーツとは何なのか」まで遡る先生の姿勢にはこちらも背筋を正す必要があると感じました。

大学の教員として、そしてアスレティックトレーナーとして日々「スポーツ選手」と接している自分ですが、時折このような基礎に立ち返ることが必要だと分かっていながら、それを疎かにしてきたことにも気づかされました。

とくに「観る魅力」「観られる魅力」についての理解が本邦にはない、ところは武士道の悪い影響のように思えてきます。

例えば、野球の2塁手が、1・2塁間を抜ける打球を左手(シングル)で補給し、クルっと半時計方向に270度ターンしてセカンドのカバーに入っているショートの選手に送球するプレーを、国内の中学や高校の指導者は「カッコつけるな」と非難しますが、米国だと「ダブルプレーにチャレンジした」と褒められます。正面で捕球し、ミスするリスクを減らしたいという「一つも負けられないトーナメント主体の高校野球」と「リーグ戦で全てのチームに平等に機会が与えられて行われるアメリカのベースボール」の違いより、本邦特有の「出る杭を打ち、選手に対してマウントをとりたい」大人の歪んだ気持ちがそこに透けて見えて辛いです。

出る杭はもっと出ていかないと、日進月歩のこの世界では頂点に立てないのに、その競技を好きになったばかりの中学生や高校生の気持ちを折る指導をする人たちがあまりにも多いことにがっかりします。その方々もその時期は「観られる魅力」を感じていたはずなのに、と。

前任校で水泳部の監督をしていた時は、彼らがウェアを作りたいといったときは必ず口出ししてきました。どうしてもプロ意識に欠けたちょっとふざけた感じ、それも部員間でしか通じないメッセージを含んだものを作りたい、というケースが毎回のように上がり、その都度「どうみられるか、を考えなさい。唯一オリンピック選手たちと同じ試合に出る部活動なのだから、大学からも支援してよかったと思ってもらえるようなモノを作りなさい」とやり直しさせたことが何度かありました。モニター校としてまだ他には卸していない新製品をいち早く準備してもらえた時の選手たちの誇らしい姿は今でも時々思い出します。試合会場だけでなく、そこへの行き帰りも「観られる」ことを実感していたようです。最後は余談になりましたが、次の投稿を心待ちにしております。

大学教員より

➡卒業生からの便り~ 

河田先生

平素よりお世話になっております。SADの記事、拝見いたしました。大学生当時、先生の講義の背景にある膨大な実践経験を少しでも多く学び取ろうと、必死だった日々が懐かしいです。思えば私は先生の講義を受けることが大学に通う大きな目的で、そのために学費稼ぎのアルバイトに明け暮れておりました。

今や先生はそれをブログで公開してくださっております。ブログへとたどり着き、値千金の情報に無料で触れられる読者は幸福です。まだまだ経験不足や知識不足ゆえ、先生のブログから学び取りきれていない部分も多いと感じています。読む事だけでも辞めずに続けさせていただきます。これにより嘗て目も心も輝き、集中していた自分に戻ろうとポジティブなモチベイションにさせて頂いております。いつ迄も感謝の気持ちで一杯です。家庭を持ち社会人になった元河田ゼミ生。 読者より

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目次

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.217:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(II)

I. SAD(スポーツ・アドミニストレイション)は各部門のSM(スポーツ・マネイジメント)をトータルマネイジメントするもの

先ず初めに

  ■スポーツ・マネイジメントとは何か?

  ■筆者が驚嘆した日本の大学教員

  ■筆者が米国の大学で体験した実践に即した科目

   SADの次なるステップ

  ■素朴な疑問と質問

II.スポーツに於ける組織は必要不可欠

 1.ガバナンスは組織を堅持

 2.組織には場所が大事

 3.集団・組織・団体の違いをご存じですか

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2024年2月29日   公開

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.217:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(II)

無断転載禁止

I. スポーツ・アドミニストレイションは各部門のスポーツ・マネイジメントを統括運営・管理する

 

先ず初めに

 我が国に於きまして近年特によく耳にするのは、「スポーツ・マネイジメント」と称する言葉です。この言葉は、非常に便利な用語ではあるのですが、余りにも多岐にわたりフォーカス(Focus,焦点を合わす)し辛い特徴があります。

筆者は、10年ほど日本の私大の学部に所属し、スポーツ・アドミニストレイション論、スポーツ科学論の講義授業を行ってまいりました。その中に於いて専門科目の中でスポーツ・マネイジメント、スポーツ・ビジネスの看板を掲げて指導に当たる教員(教授職)の方々に疑問を抱きました。その発端は、ゼミ生から所属学部の各教員の講義内容について質問を受けたからです。その教授方は、いつどこでその専門の学位を納められ、何処でプラクティカル(実践的)なキャリアを有したか、全くその証が無い教員方が各学部で教授職を務めて居る事に驚嘆したのが第一印象でした。ゼミ生達が戸惑っている理由が初めて理解出来た次第でした。

そこで、この度は、スポーツ・アドミニストレイションの中枢の一角をなすスポーツ・マネイジメントと必要不可欠な組織に付いて触れて見ました

 

■スポーツ・マネイジメントとは何か?

簡単に言えば「スポーツに関する事業部門を経営、運営、管理する仕事」の広義な総称なのです。しかし、マネイジメントは、ビジネスのみだけに用いる用語でありません。皆様の身の回りを運営、管理するのもこれまた全てマネイジメントなのです。しかし、「スポーツ」や「ビジネス」の意味が大変広義なのでよけいに混乱もするし、人により解釈も異なるのです。

現代のスポーツ・マネイジメントには、スポーツ活動をやることに重点を置く、オペレイション志向とスポーツ活動を見せることに重点を置くプロダクト(プロデユース)志向が戦略的な特徴と言えます

■筆者が驚嘆した日本の大学教員

 米国の大学でもよくこんな事を耳にしました。スポーツ・マネイジメントって何? スポーツ・マネイジメントという言葉は、あいまいで、日本とアメリカでもその意味するとところは微妙なようです。

日本の大学でスポーツ・マネイジメント学科と名付けていてもコースの中身はまちまちです。よって、教えている教員もバックグラウンドもまちまちのようです

しかし、これは、酷い特例です。

日本の某総合大学では、教授がスポーツ・マネイジメント、スポーツ・ビジネスを教えているが、バックグラウンドは何と幼児体育、ある教授はリクリエイション、実技だったりしている教員もいるのです。此れには、大変驚嘆しました!

そしてまた、この専門分野、部門の教授職の方々は、一度もその理論、知識を一般社会、専門社会で実践経験を持たない方々が大多数である事です。これでは、受講する学生達の知識と理屈は増えても実践で使用、活用できるか否かの不安は拭えません。また社会に出て非常に戸惑う事に違いありません。

この様な状況が学内で起きている背景には、近年のスポーツブームが脚光を浴びている事から、此れ迄の体育、実技、スポーツの分野で伝統的な社会体育の分野で胡坐をかいていた教員達が、我先にと急遽、スポーツ・マネイジメント、スポーツ・ビジネス、等と看板を掛け替えた怪しい教授達が急増した証なのかも知れません。これらは、丁度一時期体育、スポーツ、元選手達がTV、マスメディアに顔を出す際に、我も我もとスポーツ・ジャーナリストを名乗った状況が、大学教育機関では、異なる看板を専門家の如く学生達の前で振舞っている様子が酷似のように思えます。

これは本人はさることながら、教授として採用、雇用している大学側の問題も大きいし無責任です。大学(カレッジ)アドミニストレイションの在り方とその採用の標準基準の規定・規約が存在しないのかも知れません。これは、大学の推薦人、任命権者、選考採用委員達が無責任すぎるのですが、どうも日本の大学では、採用時にその時々の学部、大学、法人に於いての忖度人事が罷り通る現実がこのような学生にとっても、大学にとっても不利益で、迷惑千万な歪んだ教員採用が今日も尚行われている大学教育機関の様子がうかがわれます。これらは、カレッジ・アドミニストレイターの貧困が此処に現れて居るように思えてなりませんが、皆様はこの実態をどう思われますでしょうか。

又真逆に、学部、大学、法人の意思に沿わない教員は、その教員が正論であっても排除されていく人事が罷り通っている事も確かなようです。読者の皆様の中には、胸に手を当てられると感じる教員、大学、大学経営者が居たのではないのでしょうか。

■筆者が米国の大学で体験した実践に即した科目

 米国の大学でのスポーツ・マネイジメント学科、大学院でのスポーツ・アドミニストレイション専門課程では、カリキュラムは通常以下のようになっています。代表的な専門科目をご紹介します。

①テイームスポーツのマネイジメント、アドミニストレイション

②選手のマネイジメント

③スタジアムのマネイジメント、アドミニストレイション

④スポーツ組織・団体のアドミニストレイション

⑤スポーツ・ビジネスアドミニストレイション:スポーツを通しての商品化、企業のマーケテイング、プロモーション(スポーツイベントの企業スポンサーシップ、選手との個人契約、他)

⑥スポーツその本体のマーケテイング、プロモーション(グラスルーツスポーツ=草の根スポーツの推進等)

⑦スポーツに関る法律(Title9,Liability,Risk Management)

⑧スポーツ・マネイジメントのコースカリキュラム、テキスト作り(大学)比較的に新しい領域なのでこれから途上改善、改良がなされていく。

⑨他人文、自然科学の専門科目多数

SADの次なるステップ

 MBA(Master of Business Administration)がビジネスを一般的に学ぶところであるのに対して、スポーツ・アドミニストレイション(Sports Administration)は、特に大学院レベルでマーケテイングやプロモーション、ヒューマンリソース(人事)、他を含むスポーツに関する経営、運営、管理を専門的に学ぶところです。近い将来、MSA(Master of Sports Administration)の学位が確立されると思われます。

■素朴な疑問と質問

 ManagementとAdministrationって何がどう違うんですか?

日本では、この専門分野、部門が確立されていない欧米の模倣、受け売り的な要素が強くあり、今スタートしたばかりのようです。米国の大学に於いては、学部(Undergraduate  School)では、スポーツ・マネイジメント学科、大学院(Graduate School)では、スポーツ・アドミニストレイション専門課程と厳密に区別しています。

私も、大学院時代にこの質問を担当教授に授業中にしたことがあるのを記憶しています。教授の回答は、「アドミニストレイションの人間がマネイジメントの人間を雇い、その人達を運営、管理しているのだ」との教えを受けた。こう説明、指導された時に私は、この説明でなるほどと素直に脳裏に落とし込めたのを今も鮮明に記憶しています。

それでは、選手のエイジェント(代理人Agent)やスポーツイベントの企画運営はマネイジメント、それを包括する組織、団体や企業の経営管理がスポーツ・アドミニストレイションか?現場の人間(マネイジメントする人達)が働きやすいようにバックアップ、サポートするのが経営側(アドミニストレイション)の役割」とこれも間違いではありません。しかし、アドミニストレイションとマネイジメントの区別は不明瞭で、日本では、マネイジメントと呼んでいるようですが、これはアドミニストレイションの本質を学ばれていないからだと考えられます。その意味説得力に欠けるのは、オリジナリティーのない(米国からの受け売り的)悲しさでもあるのだと思います。

 

II.スポーツに於ける組織は必要不可欠

1.ガバナンスは組織を堅持

  ガバナンスという言葉は、近年これ程日本国であらゆる分野で使用されているカタカナEnglishが嘗てありましたでしょうか。この用語を品パに使用される方々は、格好いいと思われている方々か、何かをごまかす事を目的に用いられているのかも知れません。しかし、残念ながらこの用語をどれ程の一般国民、社会で理解されているか、誠に疑問に思えてなりません。マスメディアで報道、掲載なされる場合は、是非面倒でも日本語訳を付けて置かれた方が親切だと思われますが、如何でしょうか。 

ガバナンス(governance)とは「統治・支配・管理」を示す言葉です。スポーツ組織とは、スポーツに関する特定の「目的・目標」を持つ複数の個人や集団によって構成され「統括・統制力」を持った組織体のことです。 

スポーツ組織の成立要因は、そこには規則・ルールが必要不可欠なのです。

競技スポーツの特徴は、勝敗を競い合うものです。勝敗を競う為には、各競技種目別にルールが必要で統一されていなければフェアーではありません。競技の勝敗を決するためのルールは、個々の参加者が話し合いで決める事は不可能です。ルールは、一部代表者達が規定を起案して、長い年月をかけて醸成されて熟成して行くものであり、ここで志を同じくする参加者達はこれに従う事を約束しなければなりません

統一されたルールに従う集団は、競技会への参加資格が得られ、競技の結果、成績、競技力もまた正当化されるのでなければならない。また、ルールとは、勝敗を競う試合のみにあらず、「スポーツ競技を運営、管理するルールも試合と同じに必要不可欠」なのです。日本のスポーツ・アドミニストレイションの欠陥は、このスポーツ競技を経営、運営、管理するルールをリスペクト(尊敬,尊重)しない点にあるのです。その悪例が東京五輪組織委員会のアドミニストレイター達は、不誠実なルール破りの集団と化し、今日最高責任者は、逃げ回っている次第です。

2.組織には場所が大事

次に必要とされるのは、「組織を経営、運営、管理する場所」が不可欠なのです。

競技スポーツは、勝敗を競う為の場である事はご承知の通りです。その競技場は、参加者たちにとっても公平中立な場の設定が不可欠です。規則・ルールに明文化されるべき重要な項目なのです。ホームとアウエイ方式は、このフェアネスを維持する為の方式なのです。

このようにスポーツの組織とは、規則・ルールに従うスポーツ集団の集合体がスポーツの組織と言われる所以なのです競技会は、必然的に地理的・地域的な要因が伴うので各地に分散を余儀なくされるのです。そこで各地に分散した集団は、組織を形成してその組織が大同団結して全国規模の組織に発展し、各種の競技スポーツ組織が団体を形成して行くのです。

スポーツ組織の例-               

スポーツの組織というと皆さんは、IOC国際オリンピック委員会FIFA(国際サッカー連盟=Federation International Football Association)、全日本高校野球連盟、日本サッカー協会(Japan Football Association、略称:JFA)、日本陸上競技連盟全日本柔道連盟、等といった種目別の各競技団体や日本スポーツ協会JSA(旧日本体育協会)は、長年に渡り日本体育協会と言い張って参りましたが、等々体育はスポーツでない事を認めざるを得なくなりようやく看板を書き換えた次第です。都道府県・市区町村は、今尚体育協会の名称を改める事も無く継承しているのが現状です。

米国に於いては、USOC(United State Olympic Committee),NFL(National Football League),NBA(National Basketball Association),MLB(Major League Baseball),NHL(National Hockey League),

NCAA(National Collegiate Athletic Association、全米大学競技スポーツ協会), etc.が代表されるスポーツ組織です。

3.集団・組織・団体の違いをご存じですか

 ここでは、整理を兼ねてスポーツには不可欠の組織・団体について述べておきます。

組織・団体を語る前にその前段となるのが、「集団」と呼ぶ集りが在ります。

それは、複数の人々の間で規則性と持続性がある相互行為や関係があり、されにある程度共通、共有する志向が分有されている状態の事を「集団」と呼びます

一例として、クラブやサークル活動は、愛好者の集まりで、その規模、人数、役割分担等で見る限り組織より集団と表現した方が適切なのです。

次に特定の目的・目標を達成するために、個人や専門的に分化した諸集団の活動を動員、統合するシステムが機能している事を「組織」と呼ぶのです。即ち、スポーツ集団を統括し、統制する団体をスポーツ組織と捉えることができます。

例えば、企業スポーツ、テイームは、会社の中の一組織として制度化され、学校の部活も同様、総合型地域スポーツクラブも同じ形態を有していることから組織と呼ばれます。

注:ここでいうシステムとは、各構成要素が相互にある種の関係を持ちながら形成する一つの「全体」を指す。役割や制度に焦点を当てた場合は組織と捉える。

最期に整備された組織を持つ集団を「団体」と呼ぶのです。即ち、1つの競技団体がその下部に複数の競技組織を有すれば団体と称する。

以上上記は、集団、組織、団体に付いて整理致しましたが、ご理解頂けましたでしょうか。お役に立ちましたら幸いです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G-File (長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル╱スポーツ・ドクトリン、

   KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

 読者の皆様は、多種多様な分野、部門をご経験されて来た方々、現在仕事として携わっていらっしゃる方々、此れから社会に向かわれようとして方々がいらっしゃられると推測致しております。ポーツ・アドミニストレイションは、スポーツだけに関わらず多岐にわたり共通・共有する専門分野である事を改めてご理解して頂いていますのでしょうか。此れから社会に挑戦される方々は、特にこの基礎編を確りと学び身の回りのあらゆることで実践経験を積んで頂き、肥やしにして頂きたく思います。

Kファイル/スポーツドクトリンNO.216: 河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(I)

Kファイル/スポーツドクトリンNO.216:

河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(I)

無断転載禁止           毎月第二、第四木曜日 掲載


河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

目次

スポーツ・アドミニストレイション基礎編

先ず初めに

Ⅰ.スポーツ・アドミニストレイションの概念

       ■日本の大学生に必要なSADを学ぶ姿勢

       ■スポーツって何?質問されあなたはどう答えますか

1.スポーツの概念(アウトライン)

2.体育の概念

3.スポーツと体育を混同しない事

      ■スポーツを簡単に区分してみると

Ⅱ.スポーツの魅力とは何だろうか

本編のまとめ

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筆者からのワンポイントアドバイス

あなたのお子さん、お知り合いがスポーツ活動(それがトップアスリートであれ、ビジネス、指導者、等であれ)に興味を持ち、しかし、適性を持ち合わせているか否かを見定める為には、スポーツ・アドミニストレイションの基礎知識が先ず必要不可欠である事を教えてあげて下さい。役立ちます。

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2024年2月15日  公開

無断転載禁止

Kファイル/スポーツドクトリンNO.216:

河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(I)

スポーツ・アドミニストレイション基礎編

先ず初めに

 今日では、皆さんに必要、不必要な情報があらゆる情報機関・機器から湯水のごとく日夜溢れ出ているのが現代社会です。

一昔前のように情報源は、新聞、TV、ラジオ、雑誌と特定のマスメディアにより一方通行で与えられ、誤った情報も意図的に垂れ流されている事も疑う余地すら与えられなかった時代がつい40年前まであった事をすでに忘れてしまっているようです。

 このような多種多様な情報とその活用(Literacy)、整理(Organize)の技術を構築する事が我々には問われ、必要となっています。しかし、この情報から得られた知識を如何に実践に於いて活用するかは、個々の専門知識を先ず構築する事が大事な事であると申し上げます。そして、次に必要となるのは、構築した専門知識を如何にして活用するかの実践キャリアを構築する場とその環境が必要になってくるのです。

何事にも志を高く持ち、夢を抱く事は自然な人の摂理であり、あなたは、その夢に接近する為の現実的な目的を持ち、目的に近づく為のより可能な目標設定が必要なのですこれが目的達成の為の準備です。あなたは、この気の遠くなるような努力と忍耐と自身との葛藤に打ち勝てますか。

 

Ⅰ.スポーツ・アドミニストレイションの概念

 スポーツ・アドミニストレイション(略:SAD)とは、スポーツに関わる全て(経営、ビジネス、マーケテイング、運営、指導、編成、管理、etc.)のトータルマネージメントを集約するトップマネージメントの総称なのです。これを理解する為にも、あなたは、これらの基礎知識を学び、実戦を経験する事をお勧めします。それは、教室の机上及び理屈で会得する事は難しいと思われます。

 中でも理解しやすい例で解説いたしますとスポーツの球団、組織、団体のフロントとフィールドに於いては、野球であればベースボール・アドミニストレイションと呼ばれます。

スポーツ・アドミニストレイションには、大きく区分してビジネス分野とオペレーション分野が組織の両輪として不可欠なのです。ビジネスに於いては、経営、ビジネス、マーケテイング、プロモーション、運営、マスメデイア、等々に関連するマネージメントとその管理を学び、オペレーションに於いては、皆さんが一番興味あるスポーツを商品として価値を高める即ち、「如何にしたら勝てるテイームにするか、選手を強化してスター選手を育て強化構築できるか」の編成、指導、運営、管理部門も含まれ学ばなければなりません。

いわば、競技スポーツに於いての、スポーツ・アドミニストレーションは、フロントのビジネス部門と現場のフィールド部門の両輪をトータルマネージメントすることなのです。要するにトップマネージメントを行う組織の中枢部門、部署を学び会得することなのです

■日本の大学生に必要なSADを学ぶ姿勢 

  日本の大学に於けるゼミでは、講義授業で得た知識を基に少しでも実践を伴った演習活動を通して知識だけで理解しえない経験をし、大事な4年後の皆さんの出口、即ち将来社会で活用できる実践力を身に着けてほしい場なのです。好きな仕事がスポーツであればこんな幸せな事はない。仕事がスポーツでなくても社会での仕事に必要な実践的なスキルを会得する事が大事です

日本の大学に於いては、河田ゼミI、Ⅱ、Ⅲと階段を登ります。しかし、米国の大学では、スポーツ・アドミニストレイションは大学院からで学部4年間はそれに必要な基礎専門分野を学ぶことになります。残念ながら日本の大学の様なゼミは、米国の大学には設置されていません。皆さんは、このことも初めて知る知識となるでしょう

 しかし、仕事を得るためには、先ず専門的な知識を学び、そして少しでも実践経験を積むことが何よりも大切です。スポーツ・アドミニストレイションは、学問の為の学問であったり、研究の為の研究ではありません。全てがスポーツの世界に出て、何が出来るのかを学ぶ究極の実践在りき、の競争の社会で生き抜く為の武器を装備する為の学問、学習の場と理解して頂ければわかりやすいのではないでしょうか。

皆さんが興味ある分野、部門は、それだけ競争力も高いということです。現在、高校まで競技スポーツを続けて来た学生さん、また引き続き大学に於いても続けている皆さんの中でプロ選手として将来生活できるのはごく限られた人だけです。その為には、スポーツの専門職の勉強を今からしっかりと始めて於かなければ、好きなスポーツで生活するのは難しいのです。先ずは、その方法を専門的に学ぶことから始めなければなりません。スポーツの経済、ビジネス、そしてマネージメント、そしてオペレーションは、保健・体育の分野と授業でない事を先ず理解して下さい。それは、全く異なる専門分野であり部門であるのです。私は、日本の体育系の教育機関でどのようにしてスポーツ・マネージメントを指導されているのかは存じません事を申し添えます。

 私の経験から申し上げますと、大学では、4年間何かのアルバイトを目的を持って続けることを勧めます。それは、社会との接点を持ち、お金を頂くありがたさ(生産して対価を得る)を学び、お金をどのように有効活用するかのマネージメントを学ぶこともスポーツの専門コースを学ぶに当たっての実践学習の基礎と基盤となります。

■スポーツって何?と質問されあなたはどう答えますか

1.スポーツの概念(アウトライン)

 スポーツとは、楽しみ、健康の維持、増進を求めたり勝敗を競ったり、またそれを仕事の目的で行われる身体活動(運動)の広義な総称なのです

スポーツが遊びであれ、競技、仕事であれスポーツに共通するものは、身体をその目的の為に動かすことにあるのです

スポーツ(Sport)の語源とその歩みー参考までに、

語源は紀元前五世紀、ローマ人の言葉で”気晴らし、遊ぶ“と理解されラテン語で“deportare=デイポールターレ”と呼ばれていたんだそうです。その後、フランス語で”desport=スポール“と呼ばれ、後十一世紀以降イギリスに渡り、16世紀に”Sport=スポーツ”となり十九世紀に国際語として発信されたとされています。

 

2.体育の概念

 体育は、英語のphysical education(身体教育)の訳語として戦後の教育改革に於いて新しく導入された学科目です。保健体育は、physical and health educationの訳語であり、我が国に於いては第二次大戦(1945年)後、名称も保健体育と呼ばれるようになったのです。

即ち、体育とは、心体の健康を維持、向上させる為の教育学の分野なのです体育学は、体育に関する諸科学を組織・体系づけたものを意味する場合と、体育教育学を意味する場合がある事をわすれてはなりません。これらを総称して体育と呼んでいるのです。本来体育には、スポーツ、競技スポーツを共有する部分を少し有するが、定義は異なるのです。

3.スポーツと体育を混同しない事

     日本のスポーツは、学校の体育の授業から始まるところが大であった事はご承知の通りです。あるいは課外活動=クラブ活動が体育の一環のように誤って教育、指導、管理してきたのにも大きな問題があります。よって、 我々の固定観念としては、体育は即ち文科省=教育=スポーツ=競技スポーツ=オリンピック=プロ野球という強い意識、認識が国民、社会の根底に植え付けられてしまったのです

日本社会に於いては、体育の先生=スポーツの指導者、アスリート=体育指導者として、オリンピック・メダリストは、スポーツのオーソリティー(authority、専門的権威者)であるかのごとく間違った認識と固定観念を持ってきた事も日本の体育、スポーツ、競技スポーツ、スポーツ医科学の分野、部門の発展を今日も尚妨げている次第です。

メダリストとは、競技の分野、部門のアスリートでオーソリティーとして認められるべきです。しかし、メダリストは、アスリートとしての専門的な権威者であっても、高等教育機関に置いて教育者、指導者、人格者としての評価、認定は、これは決して混同を許されるものではありません。

特に伝統的には、高校、大学スポーツに於いて不健全な指導者、管理者がマスメデイアを騒がせているがこれも伝統的な悪しき慣習の一つで負の産物でもあります。体育の指導者、教員が暴力指導に向かう根拠は、この根本的な相違を日本の大学の専門教育課程で学んでいない、指導していないにも関わらず、教育者、指導者として教員資格をトコロテンの如く排出して行く構造的な問題が根っこにあるのも確かなようです

我が国のスポーツ界では、スポーツマン精神の必要性を強調するが、健全な規則、ルールが軽視され明文化されていないのです。これらは、かえってスポーツの振興、推進、発展に矛盾と障害になっているのです。近年特に政治家がスポーツマンシップを声高に唱えているのが耳障りになっています。

例えば森喜朗氏(元文科大臣、元日本国首相、東京五輪組織委員会会長)以下関係者達は、その意味すら理解出来ておらず、諸外国に恥を晒している日本のスポーツ界の政治家に対して、関係者、社会、国民が何も異論を述べれないのはスポーツ・アドミニストレイションのオーソリティーを養成してこなかった証であります。スポーツの名をかたり悪事を働く人達には、確かに好都合なのでしょう。                 

スポーツは、プロやオリンピックレベルの選手及びその関係者の人達だけのものではありません。我が国においては、スポーツという名の下で根性論、とか体育会系のシゴキのイメージが強く、一般の人達が気楽に楽しみ、健康の維持増進といった感覚が感じられない。このような伝統的な社会慣習、風潮がいつまでたっても改善、改革されないので「スポコン、暴力(体罰、セクハラ、パワハラ、イジメ、等)」話題にされても改まらないのもある意味暗い歴史と伝統によって培われてきた負の遺産とも言えるのでないでしょうか。

■スポーツを簡単に区分してみると

1つは、自分自ら身体をその目的の為に動かし、ウオーキングをしたり、野球、サッカー、ゴルフ、バスケ、水泳、他を行っている事を「実践するスポーツ(Participant Sports)」と呼びます。

2つ目は、日本人の多くは昔ながら野球、相撲、サッカー、マラソン、駅伝、室内競技を観て楽しみ応援する、「観戦するスポーツ(Spectator Sports)」とに区分されます。

そして、実は、スポーツを専門的に分類しますと

①遊びから創造性、協調性を重視した「リクリエイション・スポー(Recreation       Sports)」。

②人間の環境への適応性と教育性を重視した「健康・スポーツ(Health Sports)」があります。

このように①②は、非常に体育(Physical Education)の要素(Factor)を兼ね備えた部門である事を理解されるのではないでしょうか。

しかし、次にご紹介するのは、

③人の体力の機能性の限界を競い合う事を重視する「競技スポーツ(Athletic Sports)」は人間の心体を破壊するリスクを伴った、言わば体育の理念とコンセプトに相反するのが競技スポーツである事を我が国の体育、教員、指導者は、理解されて来なかったのかも知れません。

最期に、古代昔から競技が行われる所には、必ず自然発生して参りました

④社会性、協調性、ストレスの解消を目的とされてきた「観戦・スポー(Participant Sports)」がある事を忘れてはなりません。

しかし、この分野、部門は、長年学問的に体系づけられた形跡がなく、つい近年1980年前半に米国の学者により体系づけられ新しくスポーツの専門的な分類に加えられたとされています。

特に、我が国に於いては、この見るスポーツの分野、部門は今日においても学問、理解と認識が略皆無である事は事実す。これは、日本の伝統的な「武道の精神」と大きな関連があると思われます。

Ⅱ.スポーツの魅力とは何だろうか

1.観る魅力

 観戦を映像を通して、また直接的にスタジアム、アリーナでプレイする選手達の姿を見て感動を与えてくれる。それらは、パフォーマンスの中の芸術性、プレイのみならずテイーム、選手を応援する純粋な気持ちもスポーツの魅力であり、観るスポーツの魅力なのです。

国際試合で日本が出場する試合のTV視聴率は、向上しています。日本人選手の成績はもとよりあらゆる理由が観戦・視聴者個々の創造性と感動を与えてくれるからです。観戦者達は、映像及び観戦を通して個々の理解と感情を交えてストーリーを自由に演出できるのも観るスポーツの魅力なのです。

但し、近年日本を代表するナショナルティーは、多国籍軍と言われる純粋な日本人代表選手で無くなった事はある寂しさと日本人のこれからのステイタスがどのように変革して行くのか、此れも重大且つ日本国家の主権にまで及ぶ要因をはらんでいる事も忘れてはなりません。安易なメダル、勝利至上主義のナショナルティームの是非を国民に議論の機会を与えるべきでなかったのだろうか。

観るスポーツは、楽しみ、感動をプレイヤーが与えてくれるのみならず観戦者一人ひとりの意識や思いの創造的な産物でもある事を我々は理解しています。あるスポーツを観て楽しいかどうかを感じるかどうかは、その人の気持ちや感じかたによっても異なるのは確かです。また、その一人ひとりがその時、それまでどのような環境と境遇、考え方、等を持っているかによりその受け方、受け入れ方も異なるのです。

参考資料―今日日本におけるテレビのスポーツ番組の放送時間の割合は、地上

波で4.7%(NHK-BS21.9%)に上っている。その平均視聴率(地上波)は、6.6%と全番組の平均(2%程度)よりも高く、すでに生活の中の一部に入っていると言われています。例:2002年6月9日のWCサッカー、日本対ロシア戦66%、試合終了時の瞬間には、80%を超えていたのである。(スポーツメデイア調査による)

2. 観られる魅力

 我々が競技スポーツをまたその選手達を観て楽しんでいる時、その選手達の

みならず関係者達、コーチ達もまた観られていることを意識しているのです。

選手達は、観衆、視聴者にその視線を感じ意識があるので、競技終了後のインタビュー等でのコメントの中に「応援ありがとう。応援してください。感謝します。等」のコメントがあるのはその証である。この観られていることへの意識が過剰に作用すると過度な緊張感が加わることで平常心が失われたり、ネガテイブなモチベーションが心理的に醸成されることも確かです。

しかし、観られていなかったら選手達は、自らを鼓舞したり、集中力を高めたり、モチベーションを高めたり、競技への闘争心を駆り立てたりする事はとても難しいのです。此処で伝統的な日本の武士道精神が走馬灯の如く消えて行く運命に直面しているのです。

日本の伝統的な指導体制の中には、長年競技のみならず日常のトレイニングにおいても見世物でないとする武士道の精神が美化され長くこの精神主義が継承され、観る、観られる事が否定され今日に至る歴史があると言えます。

今日、我々の日常生活においても「観られていること」を常に意識して生活しているのは事実です。この「観られている」意識が過剰に反応して服装、身だしなみ、等を過剰に表現する人達が極端に増加している現代では、この見られている魅力を利用した証であると言えるでしょう。

身体の露出は、より一層他の人との比較とそれにともなう「観られている」意識を自ら高め、不健康な優越感と快感を求める若者達が出現しています。今日では、若者達がスカートを極端に短くしたり、胸を極端に露出したりと彼女らは社会に何を期待しているのでしょうか。スポーツ界、芸能界で対抗できないのでせめてもの露出狂と言われる類なのかも知れません。

これを裏返しにすると誉められたり高く評価されると本人は満たされるが、欠点を指摘されたり無視されたりすると酷く傷付く。「観られる身体」の満足感は、スポーツの魅力の一つでもあります。スポーツを観ている人が感じる魅力は、そのまま、観られている魅力に繋がると思われます。

例:スポーツ着のファッションの進歩と今日。人は見られたいがために他人と差別化して目だとうとするのもこの心理状況を表現したものです

3.する魅力

 スポーツの魅力は、基本的に「する」ことにあるといえます。プレイをしている時の緊迫感、興奮、終わった後の心地よさ疲労感、シャワーで汗を流した時の爽快感は、やった者にのみに味わえる魅力なのである。これらスポーツや運動にともなう身体の変化は、スポーツ科学によって今日では解明されています。また、スポーツを「する」魅力は、「観られる身体」の満足感も「する」ことによる達成感の喜びは、社会的な評価や社会文化環境の産物ともいわれるのです。

本編のまとめ

元来スポーツは、身体を動かすことがその定義の基本とされてきた。しかし、長年このスポーツ及び競技スポーツには常にその一喜一憂したパフォーマンスに視線を向けていた観衆、視聴者がいたのは紛れもない事実でした。その観衆、視聴者もまたスポーツを楽しんでいるだけでなく、それ自身がスポーツと位置付けたのが米国のRaider(1980年)だと言われているのです。しかし、此のことは、日本に於いて殆ど教育界に於いてもスポーツ界に於いても興味もない様子です。

スポーツには、するという実践と観戦・視聴という二つのスポーツを楽しむ構造が出来上っているのも確かです。今日では、遥かにスポーツを実践する人達より観戦する人達が多くなったのは世界的な傾向です。そのために観戦用のスポーツイベントが多くなったと表現しても過言でありません。よって、現代では、観るスポーツと実践して楽しむスポーツに大きく大別される傾向が調査で明らかになってきているのです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、News Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:今日迄時事の話題をスポーツ・アドミニストレイションとスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析して参りました。この度は、本来のスポーツ・アドミニストレイション論の基礎編を時事の話題を理解して頂く為にも、また、スポーツ活動にこれから向かう若者とその父母達の一助となる為にも先ずは、基礎編を還元できたらとの一念で述べさせて頂きました。若者達とその父母に本Kファイルの存在が耳に届く事を祈念致しております。

今後も時事の話題とスポーツ・アドミニストレイション論をバランスよくお伝えできればと思考して参ります。

              

 

 

 

 

 

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.215:フリーエージェント規約の抜道でライオンと鷹の化かし合い

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.215:フリーエージェント規約の抜道でライオンと鷹の化かし合い

無断転載禁止                 毎月第二、第四木曜日掲載

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

 

目次

山川選手を元手に有効活用した西武ライオンズ

    ■筆者の私的な見解と解説

先ず初めに

    ▶この度の問題の起因は山川穂高選手の異常性癖

    ▶西武ライオンズ球団の対応と決断の遅れ

  ■FA権とは何ぞや

  ■和田毅投手(SBH)はディール(取引)の駒

 ▶この度の加害者は和田投手以外の全関係者

まとめ

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2024年1月25日 公開日

Kファイル/スポーツドクトリンNO.215:フリーエージェント規約の抜道でライオンと鷹の化かし合い

無断転載禁止 

 

山川選手を元手に有効活用した西武ライオンズ

■筆者の私的な見解と解説

先ず初めに

 福岡ソフトバンクホークス球団(略、FSBH)は、山川穂高選手をFA(自由契約選手)で獲得したことを告知した後、FA規約通りにFSBH選手のプロテクト選手28名のリストを期日内に埼玉西武ライオンズ球団(略、SSL)に提出しました。

この際に自軍の和田毅投手は、プロテクト選手リストからは外してあったとの事です。これには、FSBH側に何らかの思惑が働いていたのではないかと筆者は、スポーツ・アドミニストレイターの視点で解説させて頂きます。

FSBH側は、勿論和田毅投手をリストから外した事にそれ相当な根拠が在ったと思います。此処では、ある一つの甘味な思惑、期待が在ったのだと仮説がたつのです。それは、SSL側がよもや超ベテランの和田毅投手を山川穂高選手の対価として指名してこないとある意味において「高を括っていた」のではないかと思わざるを得ないからです。

その根拠は、プロテクト選手リストの28名は厳選された選手をリストアップしたに違いありません。そして和田投手をあえてリストから外したのは、上記に述べさせて頂きましたように、「山川選手の対価に和田投手をよもや指名はしまい」とのある種の妄想に至った様子がうかがえるのです。その裏には、必要不可欠な投手をプロテクトに入れざるを得なかった、台所事情が透けて見えてくるのです。西武球団を甘く見た可能性は否めません。此のことは、ソフトバンク球団の本件の担当責任者は、プロのフロントのゲームマネージメント力を持っていなかったと言わざるを得ない読みの浅さを感じざるを得なかった次第です。

しかし、ことは、ソフトバンク側の思惑通りには進行せず、リストを受けた西武側は驚嘆したのだと思います。筆者は、プロ野球界での実践経験から私見として申し上げます。私がも西武側でこのリストを手中にしたならば、だめもとで山川選手の対価として指名する選手のリストを再考すると思います。これは、ソフトバンク側が仕掛けて来た和田投手外しを逆手に取って、指名選手のリストレベルをもうOneランクアップした資質の高い選手を狙う戦略に修正をすると思います何故ならば、ソフトバンク球団は、西武球団が和田投手の指名を避けると勝手な思い込みをしていたことが透けて見えたからです。

その修正の心と手法は、「和田投手がプロテクトリストに入っていない事の情報を密かに信頼できるマスメディアを使い、情報戦に持ち込みソフトバンク球団側の出方のみならず、和田毅投手の反応を見てみたい」と考えるでしょう。

それにより先方球団は、既に和田投手と話し合いが出来ていたのか、或いは、出来ていない場合は和田投手が球団に対してどのような態度で真意を求めるかを見極めたいのは当然であります。私は、これを仕掛ける事で得る事の方が多く、失うものは何もありません。その根拠は、西武側は山川穂高選手を数年前から接触していたのでないかとの思いが強いからです。これは、現行のFA規約では御法度だからです。

これによりソフトバンク球団は、本件を円満に収めようとの動きを仕掛けてくるはずなので、そこで私がSSL球団側であれば、和田投手より将来性の或る価値の高い選手をプロテクト選手の28名から指名し先方に飲ませて、本件を終戦する方向に導く事になったかもしれません。此処でSL球団は、受け身から攻撃側に転じたからです。このチャンスを西武に与えたのは、他でもないソフトバンク球団のフロントなのです。読者の皆様であれば、どの様な戦略、戦術を持って、本件をライオンズ球団にとって利益のある収め方をされましたか。これは、競技スポーツのフロントゲームの一つなのです。

これは、筆者の推測になりますが、ソフトバンクは本プロテクトリストを相手球団に提出する場合、プロテクト28名の選手リストの公表は慣例でなされないのです。此のことから球団は、「外部に漏れる」事はないと安心して、西武球団に提出されたのではないかと思われます本来FA規約には、28名のプロテクト選手を公非開の有無は明記されていないと思われますこの西武の出方に驚いたのは、ソフトバンク側のフロントであったと思われます。それは、和田投手がプロテクトリストから漏れている情報がマスメディアからソフトバンク球団に、と同時に和田毅投手の耳に入った事だったと思われます。この事を察知したソフトバンクは、「西武にやられた」と初めて目が覚めたはずです 

この時点で、ソフトバンク球団は、話がこじれ「和田毅投手が引退を申し入れて来る」事に怯えたに違いありません。そこで即、球団幹部は、水面下で西武球団に話し合いを申し入れたのだと思います。これは、まさに球団責任者の浅知恵が裏目に出た典型です。これによりソフトバンクは、西武球団への出費が増大したのみならず、身内であったはずの和田投手にも不振を抱かせ、機嫌を直してもらうための和解金を弾まなくてはならなくなったと思われます。

このような不祥事を知った、孫正義オーナーが「激怒」した表情が目に浮かびます。その証として、先日オーナーが王会長に「人を残す事も大事」と伝達した事からも内部の様子が伺えます。

フリーエージェント規約 NPB FA規約から

第1条(FAの定義)

日本プロフェッショナル野球組織(以下「この組織」という。)にフリーエージェント(以下「FA」という。)制度を設ける。「国内FA」とは,この組織が定める国内FA資格条件を満たし,この組織のいずれの球団とも選手契約を締結する権利を有する選手をいい,「海外FA」とは,この組織が定めるFA資格条件を満たし,外国のいかなるプロフェッショナル野球組織の球団をも含め,国内外のいずれの球団とも選手契約を締結する権利を有する選手をいう

(「国内FA」及び「海外FA」の双方を,「FA」と総称する。)。

 

▶この度の問題の起因は山川穂高選手の異常性癖

 Kファイル読者の皆様は、既にご存じの通り山川穂高選手(当時西武ライオンズ球団所属)はここ数年前からマスメディアを通して、FA資格を得て福岡ソフトバンクホークス球団に莫大な金額で移籍するであろう、との内容の記事が飛び交っていました事をご存じな筈です。丁度このような時期に山川選手に起きたのが、昨年2023年7月16日の「週刊文春」に「自慰行為を見せつけられた」「美人局じゃない」西武・山川穂高(31)“強制性交容疑” 被害者知人が事件の全貌を明かした!」とするタイトルで社会の知る所となったのでした。記事に寄りますと実際に山川選手が女性に起こしたのは、2022年11月に起こした事件を女性側が警察に被害届を提出、2023年5月23日、警視庁に強制性交容疑で書類送検されたのが本件の時系列並びに発端でした。

西武ライオンズ球団の対応と決断の遅れ

 西武ライオンズ球団からの山川選手への沙汰は、5月12日に西武球団から「総合的に判断して、コンディション的に」という理由で抹消され3軍で調整中との告知が最初になされた。その後、東京地検は知人女性に対する強制性交の疑いで5月23日に書類送検された山川穂高選手(31歳)は、8月29日に嫌疑不十分で不起訴処分としたことが発表されたのでした。6月21日に行われた西武ホールディング株主総会では、株主から起訴・不起訴に関わらず山川の解雇を求める意見も出たといいます。

 

此処で西武ライオンズ球団は、自球団の山川選手に対する対応が非常に不明瞭で優柔不断な態度に思えたのも事実でした。しかし、球団に取っては、支柱となる選手であっただけに判断に苦しんでいた状況が伺えます。球団にとって判断を苦しめたのは、山川が起こしたハレンチ事件の全てが赤裸々に公開された事で今後の動向のみならず、ファン、社会に対する対応の仕方であったと察しられます。もう1点は、同選手を処理するに当たって、同選手はこの時点で残り16〜17日一軍登録をして置けば国内FA権の取得条件を満たすと見られているため、FAを取得させ他球団への移籍を促すやり方も考えたであろう思われます。しかし、可能ならば球団に残したいと考えるのが自然かもしれませんでした。

本事件が明らかになった時点以降実質的に山川選手は、FA選手としての告示を日本プロ野球機構(NPB)からは、告示が在ったとは聞いていないのでFA選手とは言い難いのでないかと思われますこれに付いて、今日も尚NPB、球団からも何の発表もない闇のFA選手になっているのかも知れません。NPBの担当者は、野球ファンに説明し告知するべきでしょう。

■FA権とは何ぞや

FAとは自由契約選手の意味で年季奉公が終了して、晴れて自由に球団を自らの意思で選べる、いわば組織、団体が持っていた在籍権利を自らの手に取り戻した事を意味するものですしかし、このFA権を設置する時に当時のプロ野球界で長年権力を振り回していた球団経営者が、この権利を手放したくない事から「選手に権利を与える代わりに球団にも権利を残す」とこのような馬鹿げた、勝手な道理に反する理屈をつけた次第です。球団に残した権利とは、FA選手放出の見返りに相手球団から「人的補償、金銭的補償」を求める事を了承させたのです。

其れに対して、他球団のオーナーから誰一人として異論が出ず、選手会からも異論はなく、現行の様な矛盾したFA制度が罷り通っている次第ですこれは、本来のFAの定義に反する行為なのです

これはまさに契約制度をリスペクトするのでなく、権力の横暴と権力でルールを捻じ曲げた浪花節論理なのです。自民党の論理をプロ野球界に持ち込んで来たのでした。

このため、現在では選手側の悪用、球団側の悪用とあいなり、裁定人であるべきプロ野球機構コミッショナーは、本FAを捻じ曲げた球団オーナーが歴代連れて来て承認した人間なので、何ともならないのが現実です。

注:第2条(資格取得条件) NPB FA規約より

1 選手は,入団して初めて出場選手登録された後,その日数がセントラル野

球連盟及びパシフィック野球連盟の同じ年度連盟選手権試合期間中(以下

「シーズン」という。)に145日を満たし,これが8シーズンに達したと

きに,国内FAとなる資格(以下「国内FA資格」という。)を取得する。

ただし,2007年以降に行われた新人選手選択会議により選択されて入団し

た選手のうち,選択された当時,大学野球連盟又は日本野球連盟に所属してい

た選手については,上記の8シーズンを7シーズンと読み替えるものとする。 

 

和田毅投手(FSBH球団)はディール(取引)の駒

  本件に付きましては、マスメディアを通して多種多様な論調が今日も尚社会をにぎわせている事で読者の皆様は、何が事実で何が深層に淀んでいるかがよく理解出来ないのが正直なところでしょうか。プロ野球ファン、Kファイル読者の皆様の理解は、SBH球団は和田毅投手を埼玉西武ライオンズSSL)に提出する28名のプロテクト選手リストに入れていなかった事。それに気付いた和田投手は、FSBH球団GMに対して「引退します」と開き直った発言で申し入れを行った。この様な事は、理解されていると思われます。

 

この発言が事実とするなら、日本のプロ野球選手、球団は、プロの世界でルールをリスペクト(尊重)して行われている競技スポーツではない、と言う事の様です。MLBでは、先ずあり得ないでしょう。これも日本の選手は、一人で球団と交渉し代理人を持たない為の問題でもあります。和田投手がプロテクト枠から漏れていたからと「引退します」と述べたとするなら、球団は任意引退選手としてNPBに何故登録しないか。そして和田投手は、引退会見をして終わらせなかったのか。

しかし、和田投手がもし球団に圧力を掛けるつもりで口走ったなら、球団は脅しに屈して西武側と裏取り引きをしたと揶揄されても仕方ありません。

西武側には、何の落ち度もないのだからもし和田投手に決めていたなら指名し、発表すれば良かった事です。しかし、西武側は、余程山川選手が数年前からSBH球団に莫大な金でFA移籍するとの情報に頭を悩まされて来ていたので、球団側は、機会があればやり返してやるとフロント担当者達は心に秘めていたのかも知れません。この信念、執念にソフトバンク球団のフロント側は、読み間違いしたのではないかと私の経験から推測致す次第です。

此のことから、ソフトバンク球団のフロントは、勿論業界の慣習をよく理解している筈です。このような超ベテランで実績を持った現役の選手については、事前の会話(プロテクトに入れない事)を和田投手と話し合い解決しておくべき重要な案件であった筈です。これをやって置けばこのような問題をマスメディア、ファンに露呈する事も無かったし、西武球団に余計な利益を与える事も無かったのです。これが正しければ球団責任者にも落ち度が在ろう。

しかし、基本的には、プロの選手は、プロの世界では只の1商品であり、自分はその球団に所属しているので、水揚げされれば(他球団からの買い手がつけば)他の置屋(球団)に籍を移される事を入団時にNPB日本野球機構)も確りと選手個々に教育指導するべきでしょう。その為にプロ野球界では、選手に対して「契約金」という莫大なお金を球団側が支払い、その選手は、期限付きでその球団(置屋)に身売りしたと事務的には理解、処理されている事を忘れてはなりません。

これに驚いたソフトバンク球団側は、西武に裏取引きを申し入れたのだと思われます。西武ライオンズ球団(SSL)は、何も公表せずライオンズ側のペースで事の次第に蓋をしたのでした。これが、社会での本件の理解度のように思われます。読者の皆様は、同意されますか。

これに対して、ソフトバンク側は、説明できないので王貞治会長(現場にはタッチしない象徴的存在)のお役目を担い、後始末という立場で公に体の悪い治め方をした様子が伺えます。

此れが、日本プロ野球界のどの球団もが未だに抱えているダークな手法の一つなのです。こんな清潔感の無いことをやっていると若い世代は、段々とプロ野球離れが加速し、シーズン中もMLBの衛星中継しか興味が無くなる時代に突入している事をNPB選手会、球団、選手達は、理解できていないようです。これは、まさに現在の自民党派閥闇金症候群(シンドローム現象)と言わざるを得ない酷似の状態です。日本プロ野球界がMLBのファーム化に成ったと言われる所以なのかも知れません。

 

▶この度の加害者は和田投手以外の関係者全員

    これは、ソフトバンク球団側だけの問題ではありません。西武側も事情説明の責任が問われます。

西武ライオンズ球団は、和田毅投手を本当に必要としていたならばプロテクトリストから外れているのですから堂々と指名して獲得していたのではないでしょうか。そこで、もし和田投手が球団に移籍を拒否した場合は、同投手は、FA規約違反に寄り球団は同選手を「任意引退選手(以後他球団でのプレイ資格はなく、選手を引退する意味)」としてNPBに登録することになりました。FA対価に対するルールが現存する限り、NPB選手会も会見してファン、社会に説明する責任が問われています

プロの選手は、商品なのです。ソフトバンク球団が山川選手の対価にプロテクト選手のリストを作成、その中に和田毅投手は、漏れていたという事なのです。何故、此のことがこうも社会問題となるのか。球団は、和田投手を西武球団が指名するなら「どうぞ持って行ってください」、うち(ソフトバンク球団)は、和田投手より山川選手が大事なのですと、ハッキリと態度を明らかにしたと単純に何故理解しないのでしょう。球団は、欲をかき過ぎたということです。

 

まとめ

     筆者は、マスメディア報道を通してのこの度のソフトバンクホークス球団と西武ライオンズ球団間での山川穂高選手のFA移籍問題、それに関するFA対価に於ける人的補償に伴うソフトバンクfの不手際から起きた問題をスポーツ・アドミニストレイターの視点で述べさせて頂きました。嘗て、私自身が東京読売巨人軍に所属して同様な問題を幾つも処理して参った経験から解説させて頂きました。

この度の一件は、山川穂高選手のソフトバンクホークスにFA移籍に関する情報が同選手の女性へのスキャンダルが発生する以前からマスメディアに大きく報道されていた事に最大の起因があると思われます

通常日本プロ野球界では、このような噂は、火のない所に煙は立たないと良く言われます。この火種は、いくつか考えられます。その一つは、ソフトバンク側が水面下で本人にコンタクトをしていたのか、本人が第三者を使ってソフトバンク球団にコンタクトしていたのか、仲介人が居て双方をコーディネートしていたか、等が考えられます。しかし、この様な事は、何れもFA協約、規約違反です

この様な解説に至りますのは、小職が東京読売巨人軍に在籍していた時に本件に酷似のFA選手問題が5件ほどありました。その中の一つが皆様もご存じの清原選手(当時西武ライオンズの主砲)問題でした。その他にもこの度野球殿堂入りした選手は、シーズン中に巨人軍内の選手仲間を仲介に立てて、先ずFAするので取ってくれるか否かの話を持ち込んできた事が昨日のように記憶が蘇ります。この様にマスメディアに流布する情報は、まんざら嘘ではない、どこかに火種があるという事を皆様にご紹介致します。

この度の件は、最初に仕掛けた山川穂高選手のFA狩りが大きな傷物狩りとなり、また、山川選手への対価の人的補償では、ソフトバンク球団フロントの姑息な手段が西武球団に揚げ足を取られる事と成り、和田毅投手には球団への不信を植え付け、問題を水面下で収めようとしたために、大事なシーズンの中継ぎ投手を西武に獲られて行った、哀れな鷹の後始末であった次第です孫正義オーナーは、本件の責任を誰に取らせるのでしょうか。企業の経営者としての切れ味を見せて頂きたいと思います。

つい先日、王貞治ソフトバンク球団会長がマスメディアに漏らした「西武に和田をマスメディアにリークされた」との嘆き節をした事で、事の次第の本音を口にしたのでした。筆者は、王氏のこの発言を耳にした時、同氏に泣きごとを言わせるようでは、福岡ソフトバンク球団には切れ者が居ない事を証明されたような思いに駆られた次第でした。王氏の発言を持って本件は、ゲームオーバーを意味していました。組織の歯車が狂い始めている様なので、一日も早く正常なギアのシフトをして頂き組織を立て直して頂きたく願う次第です。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介

G‐FILE「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行元 文藝春秋社 著者 武田頼政

Kファイルスポーツ・ドクトリン、News Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

KファイルNO.215は、時事の話題を取り上げさせていただきました。ライオンと鷹の場外バトルは、読者の皆様にはどのように映りましたでしょうか。読者の皆様とは、別世界ですがリアリティーを感じて頂けましたでしょうか。ご笑読して頂けましたなら幸いです。

 

Kファイル/スポーツ・ドクトリンNO.214:2024「Justice正義とFairness公正」を失った日本の現実

Kファイル/スポーツ・ドクトリンNO.214:2024「Justice正義とFairness公正」を失った日本の現実

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日公開

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

目次

 2024「Justice正義とFairness公正」を失った日本の現実

 変質した大学箱根駅伝は教育にあらず

  年始のご挨拶

  悪徳政治家達に拉致された日本丸(日本政府)は何処に向かう

 伝統ある大学箱根駅伝の崩壊

        ■学生選手の教育を蔑ろにする教育者を自認する経営者

     その根拠

 関東学生陸上競技連盟(学連)を隠れ蓑にした任意団体

  ■専門学部、学科の学生達は生きた教材を研究課題にすべき

 筆者の声が野心家の心を刺激

 

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2024年1月11日 木曜日   公開

Kファイル/スポーツ・ドクトリンNO.214:2024「Justice(正義)とFairness(公正)」を失った日本の現実

無断転載禁止 

変質した大学箱根駅伝は教育にあらず

年始のご挨拶

 日本国は、近年最高の決議機関である国会が不適切、不誠実な国会議員達に寄り国民、社会から信頼を失いつつあります。このような国家の存亡の渦中に新年を迎えたのであります。

 2024年元日は、自然の摂理通り太陽は東の空に上がり、西の空に沈もうとする午後5時前、能登半島を中心とした地域に巨大地震が発生、一瞬にして新年が暗黒の世界と化してしまいました。本日も行方不明者の捜索が連日、連夜冷たい雨、雪、氷の中夜を徹して懸命に行われています。

そして今日は、124時間経過しても80歳、90歳の方々が懸命の救助活動に寄り救い出されたとの朗報が飛び込んで参りました。尊い命です。一人でも瓦礫の下で救出を待たれている人達に救助の手が及びます事を日々心よりお祈りいたしております。残念ながら幾ら人類が宇宙旅行を行える時代であっても、自然の摂理には、無力である事を災害が起きるたびに思い知らされます。

   1月2日午後6時前、東京羽田国際空港C滑走路の離着陸地点では、千歳空港から羽田に向かっていたJAL516便が、着陸と同時に海上保安庁の航空機に衝突事故が発生し、両機とも炎上、海保の機体に同乗していた6名の内、機長が重症、5名が死亡との発表が成されました。JAL516便は、炎上しながら乗務員の適切な誘導で乗員乗客全員379名の命は確保されました。乗員・乗客のうち14人が怪我をした事が確認されています。

本件は、現在懸命の調査、分析がなされています。現時点では、管制塔の管制官海上保安庁の航空機機長、副操縦士への指示、理解、機器の交信記録の分析、再確認ミス、等の問題が浮上し報道されています。しかし、これは、自然災害でなく人災的な問題の可能性が非常に高くなっている事は人間の注意能力には限界がある事を認めなければならないようです。

この様にして、2024年は、それも元日、2日と連続で最大級のトラジディ(tragedy:悲劇、災害)が我が国に襲って来たことです。

長年の平和立国日本は、平和である事に慣れ親しみ過去の歴史の痛みすら消え失せてしまった世代となりました。これに伴い我々日本人は、「ものごとに対し、波風が立たないように対応する忖度」を身に着け、「Justice(正義)とFairness(公正)」の人類・社会にとっての基軸を成して来た原理原則を忘れてしまった事を意味します

 

悪徳政治家達に拉致された日本丸(日本政府)は何処に向かう

      近年では、国の政を職業とする国会議員達の人間力の低下とモラルの低下は甚だしいも のがあります。

これら悪質な国会議員達は、本来タブーとされて参った競技スポーツ事業にまで指触を伸ばし、議員バッチを最大限利権獲得の為の道具に活用している有様はご存じの通りです。彼らの主たる欲望は、民間からの取り立てに飽きず、国民からの税金にまで手を出し、自民党派閥内に於ける中抜き裏金事件が現在司直の手に寄り捜査が進行中であります。これら国会議員絡みの悪事の数々は、司法の手に寄り、国民、社会に露呈し捜査の最中に起きたこの重大災害、悲劇を読者の皆様も固唾をのんで見守られていることでしょうか。

日本丸(日本政府)は、悪事を働く国会議員達とその関係者に寄り拉致されたと筆者は述べさせて頂きます。この拉致船は、現在航行不能で危機管理を制御する為の羅針盤が壊れてしまった状態である事を忘れてはなりません。非常に危険な状態です。この状態を隣国の隣人たちは、侵略のチャンスを伺っているレベル4の状態と申し上げます。

因果にも石川県は、森喜朗氏とその用心棒の馳浩氏の選挙地盤です。お二人は、形勢が不利になるや否や姿を隠す常套手段は身に着けているようです。

読者の皆様は、混とんとする世界の情勢及び漂流する日本丸の行く末を見守って頂き、悪事を働いている治家達を個々の選挙区にお引き取り願い、二度と当選させない事を祈念する次第であります。「皆様の心身の健全」は、我が日本国を再生できる唯一の資源である事を心に止めて頂けると幸いです。

伝統ある大学箱根駅伝の崩壊

■学生選手の教育を蔑ろにする教育者を自認する経営者達

その根拠

  1. 大学箱根駅伝は本来誰の物
  2. 運営管理者の実態(任意団体は情報公開の義務なしが目的か)
  3. 何故主催者(共催者)は、明朗な会計の情報公開を拒むのか
  4. 売り飛ばされた大学箱根駅伝箱根駅伝の商標登録は2004年から東京読売新聞社の持ち物になった)
  5. 利権者の餌食となった大学箱根駅伝
  6. 大会主催者(共催者)は、大会出場校(20校)に裏金を支払うのか
  7. 各大学法人、大学は、どのような経理処理をしているのか
  8. 外国人選手、日本人選手のリクルートに対する規約、規定が皆無
  9. 学生選手の定義が無く学内の授業出席、試験、卒業に関する規定をないがしろにされている。
  10. 学生選手の入学時の特待生制度の定義と内訳を明文化し公表するべき。
  11. 入学条件に特定学部、卒業認定を約束させる学生父母側の手法を受け入れている大学の根拠を明確にすべし。
  12. 大学は何を根拠に学生選手にポケットマニーを毎月支払っているのか明らかにする事が必要。

関東学生陸上競技連盟(学連)を隠れ蓑にした任意団体

    主催者(共催者)は、強化費という名目で出場料(出演料)を近年手渡し、大学駅伝部はそれを受け取っている。各大学法人、大学は、どのような経理処理をしているのか。本戦への出場大学(20校)に対して、主催者(共催者)は、近年150万円が渡されて来ていましたが、今日では300万円と出場校の監督が述べています。

この強化費名目の出場料に関する根拠は何かを明確にし、裏金でないと申すなら何故主催者(共催者)及び各大学は、明確にして情報公開すべきであると思います。また、強化費の名目ならば、代表20校を支え予選会に出場した全校に対しては、ただ働きで何の強化費も分配しないのは大学学生選手へのフェアネスに欠けるのではないか。また、各大会に主催者(共催者)は、バランティアーと称する各大学生を動員しているが、何故アルバイトとして学生達の生活をサポートする基金を設立しないのか。

10億円を超える事業費の利益は、6億円以上とも言われていますが、代表20校への裏金分配後の大半の利益は毎年何処に保管され、何に使用されているのか、国税庁も目をつむっているのでしょうか。不思議な任意団体のようです。これは、今後重大な問題が明らかになると思われます一昔前までは、主催者学連の長の采配に寄り私物化されて来た長い時代がそこにある、悪しき伝統の「学生による自治活動」と称する大人達の談合集団なのです。

予選会出場校への出場料は何もないのか。これでは、大学学生選手を扱き使い、イベントを開催して、莫大な利益を得ている「任意団体」は、教育機関で学ぶ学生達を無償で使い、無償で出場させて食い物にしている只の興行としか思えませんが、これでも教育の一環と理解させるには無理がありそうです

このような常軌を逸した大学競技スポーツ・イベントがルールも明確にしない、金銭の流れの情報公開も拒む、「任意団体」のブラックマスクを付けたフェイクスポーツ団体は、今日迄長年放置されて来た歴史はまさに異臭を放って参ったのでした。本任意団体の存在に疑念を持っても、誰もが見て見ぬふりをして今日も尚図々しく続けている事態は、教育と学生競技スポーツの本来の姿を、大きく乖離させて行く最大の原因が此処にあると思います。このような運営、管理体制である事から、大学内に於いては、学生選手を金で売り買いする所業が長年罷り通っている事を関係者、読者の皆様は何と理解されているのでしょうか。「よく頑張っている」で済まされますか。

 

■専門学部、学科の学生達は生きた教材を研究課題にすべし

     Kファイルでは、数年前から大学箱根駅伝大会の経営、運営、管理に関する素朴な疑念を抱いていましたので、スポーツ・アドミニストレイターとして公開で述べさせて頂いています。しかし、マスメディアを含めた関係者、学生選手、大学運営、関係者からの反響は「柳に風」的な風潮が蔓延している事です。

これは、まさしく長年自分達が築いてきたそれぞれの利権の構造,構図及びその既得権が奪われ、甘い蜜にあやかれない事への忖度が深層にある事を最優先で思考するのだと推測します即ち「ものごとに対し、波風が立たないように対応する忖度の精神が関係者の共通、共有する日本型ヒエラルギーの原形なのかも知れませんこの現象は、逆に不思議な教育機関の経営者と主催者(共催者)の関係を共有した共犯者のように思えてならないのは筆者だけでしょうか。これで一番割を食うのは、学生、学生選手達なのです。

大学には、近年スポーツ学部が設置され、そこにはスポーツ・ビジネス、マネージメント学部、等と分科されている事は体育で全てを納めていたころの時代と比較しますと、とても進歩していると思われます。しかし、そのような学部、学科の指導者、教員達は、何を指導し何を専門分野、部門で教え、学生達は何を学んでいるのでしょうか。このような大学箱根駅伝大会という生きた教材を目前にして、このような矛盾や疑問を何故研究課題として実学に繋げて改善改革しようとしないのか、不思議に思う次第です。

筆者の経験から、このような生きた教材を担当教員が学生達に触れさせることで、真の実学を通して逞しく成長する事を受け合いますもし指導教員、教官が所属大学の管理者、指導者、経営者への忖度配慮から、これら実学指導を怠っているなら、これは教育指導への私的な侵害行為以外に他ならないと思うのは誤りでしょうか

このような分野、部門は、体育(Physical Education)の分野ではありません。大学生達は、知識だけを毎回授業、講義で詰め込まれているのではなく、実学に沿った実践に役立つ講義、研究でなければ、将来への展望も発展にもつながらず、知識の為の知識、学問の為の学問と社会に貢献するような実学とは言い難いのが大学の現場の様な気がいたします。筆者は、日本の大学に於いても教鞭を取らせて頂いた経験からも、実態はコーチング指導ではなくいつ迄も一方的な知識の受け売りの大学での専門授業、講義のように思われた次第でした。読者の皆さんはどう感じられますでしょうか。

筆者の声が野心家の心を刺激

     筆者は、日本の大学の内外で日本のスポーツ界に「スポーツ・アドミニストレイション論」「スポーツ・アドミニストレイター」が必要不可欠である事を2005年(中央大学総合政策学部)以降声高に述べて参って来ています。この声が大学経営者、文科省スポーツ庁の野心家を刺激したのか、省庁の声がかりで各大学にスポーツ・アドミニストレイターなる肩書を持たせた人間を置き始めた次第です。無から有を生んだという事ですしかし、残念ながらこの肩書を得た人達は、専門の知識も実践キャリアも無い、云うならば肩書だけで「魂の無い」厄介な要職を担ってしまったのです。

この肩書きを授けた大学管理者、法人経営者は、その目的がお上(文科省スポーツ庁)からのお達しであるので、指導に従わなければ、大学助成金補助金に響くので「誰でもよいので肩書だけを付けて置け」的な発想から、肩書を貰ったスポーツ・アドミニストレイターは右往左往と小生の資料をパクリ始めたという哀れな状態が各大学の現状であるとの報告を個人的に受けている次第です。全く持って忖度優先の管理者、経営者の思考の様です。

このような実態から、その為にも大学の専門分野、部門には、スポーツ・アドミニストレイション論の大学院の設置が急務なのです。その根拠は、4年間専門学部、学科でスポーツ・アドミニストレイションの基礎をなす、スポーツ・マネージメント、ビジネス、スポーツ・心理学、スポーツ・科学、等々の基礎講座を終えているので、大学院でのスポーツ・アドミニストレイション専攻がスムーズに取得できると考えられるのです。

大学管理者、経営者は、理解出来なければ理解できている人に教えを乞う事が先決です。古人は、「知らないは末代の恥、知るは学生達を救い未来に導く」と云われている所以です。日本人は、体裁を優先して、恥の精神は捨ててしまったようです。悲しい事です。体裁だけでは、机上の空言を述べても、実戦には役立たない現実が待っているのです。体育で全てが解決していた時代は、60年前に終焉を遂げています。

勿論、懸命に努力されている優秀な教員、指導者が居る事も存じ上げています。その方々は、体裁を気にせず、恥を恐れず教えを乞う姿勢を失わない方々です。一人でも多くの情熱の或る教員、指導者が醸成される事は、日本の未来のスポーツ・アドミニストレイターを養成し、真のスポーツ立国を形成する事も夢ではありません事を申し添えさせて頂きます。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介

G‐FILE「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行元 文藝春秋社 著者 武田頼政

Kファイルスポーツ・ドクトリン、News Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:NO.214は、大変辛辣で誠実で努力を惜しんでいない人達には、不愉快な論調であったかもしれません。しかし、筆者は、お世辞は苦手で表現手法も限られている事からストレイトの表現をお許しください。その方が、シンプルに理解できるのではとの思いで述べさせて頂きましたので、悪しからず。