KファイルNO.149: 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネスの手法

KファイルNO.149: 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネスの手法

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 2021年 謹賀新年

明けましておめでとうございます。本年もKファイルへのご理解とご支援を宜しくお願い致します。2021年は、特に激動の内外のスポーツ界となると思われます。スポーツは、心身の健康が基軸に在って初めて存在します。昨年安部晋三前首相は、東京五輪延期に際して「完全な形で東京五輪を開催する事をお約束する」と述べました。政治家は、根拠も無い事を平気で約束、断言する人種である事を証明されました。昨年来疫病が猛威を振るう中、東京五輪を開催する事が人類と日本国民にとって最善か否かを東京都、東京五輪組織委員会、日本政府は一日も早く高い見識と良識を持って決断・告知をして頂ける事を心より祈念致しております。Kファイル筆者

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読者からの便り~

小職は、Kファイル147、148を拝読させて戴いた後、正月2、3日の大学箱根駅伝をテレビ観戦致しました。昨年までの箱根駅伝とは全く異なる景色と知的視点でこのイベントを観戦する事が出来ました。何も知らず唯ひたすら箱根路を直走る誠実で正直な日本人学生選手達が不憫にさえ思えて仕方ありませんでした。そして、唯ひたすら不慮の事故が起きない事を願っていました。何故ならば、この学生、選手達には、傷害保険すら掛けられていない自己負担である事をKファイルで教えて頂いていたからです。

また、日本語の読み書きも出来ない外国人選手達を留学生という名の下で走らせるためにだけアフリカから連れてきて走らせている大学、大学経営者達、指導者達のその品格と見識の無さを思うにつけて空しく思えたからです。それでも日本の私大教育者、経営者かと怒りさえ込み上げてきました。

誠実に日々勉学に練習に打ち込んでいる正直な学生達を侮辱したアンフェアーな不正行為を奨励している状態を我々日本人は、何も感じなくなったのでしょうか。このようなまともでない歪んだ大人達のエゴと自己中心的思考が罷り通る日本の教育界とスポーツ倫理の貧困さを改めて考えさせられました。私自身今迄何故気付かず、現実を見ようとしなかったのかと恥ずかしい思いです。

また、同様に日本人選手を非教育的な方法で寄せ集めて走らせるその大學、選手達を美化するマスメデイアも同罪であると考えさせられました。此れもKファイルがこの度我々に事実の情報を提供して下さっているおかげです。事実の情報を人は得る事で、これ程迄に自身の思考力が劇的に進歩するかと改めて情報の重要性と活用の大事さを教えて下さり感謝致します。その一方では、TV、マスメデイアが視聴者、国民、社会に重要な事実、真実を公開してこなかったために我々の脳は活性化されないで退化させられてしまったのでないかと疑念さえ抱かざるを得なくなりました。事実は、何にも勝る真の情報があってだと改めて考えさせられています。Kファイルは、小職にとって大切なバイブルです。 読者より (総合大学教授、スポーツ法学指導)

 

目次

関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)の事業(ビジネス)拡大路線

1.大学箱根駅伝大会は学連の中核事業

■企業の投資効果の目的

2.大会スポンサーとテレビスポンサーとの関係

■テレビ局の事業予算の確保と収益確保

3.主催者とスポンサー各社との関係

■素朴な疑問

4.元手0莫大な収益を得る大学箱根駅伝の手法

5.筆者の私見

 

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2020年1月14日、木曜日、公開予定

KファイルNO.149: 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネスの手法

無断転載禁止

関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)の事業(ビジネス)拡大路線

1.大学箱根駅伝大会は学連の中核事業

関東学連は、箱根駅伝以外にも複数の事業(関東学連規約:事業第五条)を行っています。しかし、本事業が唯一莫大な収益を上げているビジネスであります。

箱根駅伝を主催する関東学連、共催の読売新聞社は、大学生及び学生選手を商品として、事業(ビジネス)を行っています。そのビジネスの主な収益は、スポンサーシップとテレビ放映権によるものです

スポンサーシップとは、大学競技スポーツのCOREである学生選手が出場、出演するスポーツエンターテイメント(此処では大学箱根駅伝大会)に「金銭的、物的、人的」投資(支援)をする会社・企業を意味します。即ち、主催、共催は、その見返りとして、本大会に於いて企業名、商品名、商品を独占的に露出、提供する機会を与えることを意味しています。スポンサー企業は、大会での直接的な観戦者、間接的なマスメデイア(テレビ、新聞、雑誌、等)を通しての視聴者へと取り上げられる事により投資した以上の宣伝効果を期待しているからです。スポーツのマスメデイア価値が高まるにつれて、企業のスポンサー活動は、投資効果を見極めた積極的な投資事業を展開するのです。

企業の投資効果の目的

これとは逆に、スポンサーシップが投資効果(ROI=Return on Investment)を期待して行われる利潤追求の企業活動に対して、見返りを求めない慈善事業としての寄付活動やバランテイアー活動で、企業の社会的貢献を目的として行われる支援活動のフィランソロフィー(philanthropy)があります。しかし、後者は、投資効果を全く期待していないのではなく、長期的ビジョンにおいて投資効果が大いに見込めるのも事実です。即ち企業がスポンサーをする意味は、投資に対する対価としての見返り、即ち宣伝広告の効果、効率が期待できるからなのです。また、本大会は、「サッポロ新春スポーツスペシャ箱根駅伝」として、日本テレビ系列により独占生中継番組で放映されています。よって、日本テレビは、放映権料として莫大な金額を主催者側に支払っている筈ですまた、日本テレビは、放映権料、製作費、人件費、諸経費の回収をCMスポンサー料によりビジネスを行っている次第です

ご参考までに

箱根駅伝をスポンサーシップする主な会社・企業

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

特別後援:日本テレビ放送網株式会社

後援  :報知新聞社

■特別協賛とは、冠協賛とも言われ、冠スポンサー(別名:クラウンスポンサー)と称される本大会(イベント)に一番高額な金銭的な投資をしているスポンサーを意味しています。

➔冠スポンサーとは、テレビ番組や公演、スポーツの大会(イベント)、多目的施設などの名称に企業名や商品名などを冠することを条件に多額の資金と商品を提供するスポンサーの事です。例えば、サッポロビール冠番組として、『★SAPPORO新春スポーツスペシャル 第○回東京箱根間往復大学駅伝競走』として告知しています。

■協賛とは、箱根駅伝の趣旨に賛同し、大会の成功を助ける事が本来の意味です。通常は、協賛の会社がかなりのお金や物(自社の商品)を提供している。

■特別後援は、後援の中で一番金品を出している事が特徴です。此処では、テレビ中継をする事により、本大会を後援し、放映権料を支払う事で主催者に金銭的、放送媒体によるサポートをしている事です。

■後援は、多少のお金や物を出す程度、あるいは名義後援と言ってイベントの権威付けのために名前を貸してもらうだけのことも多いです。本大会の場合は、活字媒体を主体とした、後援を行っていると理解するのが正しいかもしれません。

2.大会スポンサーとテレビスポンサーとの関係

テレビ局の事業予算の確保と収益確保

本大会は、日本テレビにより2日間約14時間生番組(別枠:特集、10月の予選会生中継)として実況中継されています。テレビ・ビジネスは、先ず放映するに当たり番組映像を生産(制作)しなければ商品になりません。そこで制作する為には、多額の予算の確保が必要となるのです(例:中継の為の衛星回線確保、映像送信回線確保、中継基地確保、機材、運搬、テクニシャン、ゲスト、社内外スタッフの人件費、放映権料、等々)。そして、本大会の権利を得るためには、主催者側に放映権料を支払わなければなりません。

CM価格の設定基準

これら全ての諸経費を捻出する為に必要な事業費は、テレビCM・Time(コマーシャルの時間枠)を販売する事により事業費を回収し、利益を上げるビジネスコンセプトであります。また、CM時間帯の料金の設定は、前年度の本番組の視聴率が料金設定の目安となっているのです。よって、本箱根駅伝の大会スポンサーが即テレビのメインCMスポンサーとなっているのです。また、利益を上げる為の方法としては、大会スポンサー以外のスポンサーに営業(セールス)を行い秒単位でのCM販売が行われているのです。

完パケセールは70年代後半に始まる

今日、このような人気のある大会(イベント)では、大会スポンサー、テレビスポンサーを広告代理店が独占販売する事が一般的で、この事を完全パッケージセール(まとめ買い売り)と業界では読んでいます。この方式を取る事で、テレビ局の営業部門へのプレッシャー(負担)が軽減される事にもなります。基本的には、オリッピック、ワールドカップサッカー、等のテレビ・ビジネスも同様なスポーツ・ビジネスコンセプトなのです。但し、大學箱根駅伝では、他の競技スポーツビジネスと異なるのは「観客から入場料収入を得ていない」という点が特徴です

3.主催者とスポンサー各社との関係

 ■此処で素朴な疑問は

本主催者の関東学連は、任意団体であるため情報公開の義務がなく、スポンサーとどのような取り決めを行い、契約を取り交わし契約書にしているかは明らかにされていませんので推測になります通常、本大会に類似したイベント・ビジネスでは、主催者とスポンサー会社、企業間で取り決め、主催者・共催者(権利保有主)とスポンサー各社との間で毎年新しい約束事を契約書に盛り込み、双方で担保する事が常識であります。

関東学連は、スポンサーの広告代理店である博報堂が窓口で代理契約をされている事が考えられます。本大会の商品価値から、他の類似大会と比較した業界の試算では、スポンサー料、放映権料を含めて約6億円前後の収入(2日間のイベントとして)が主催者側に入っている、と推測されているようです

此処で大事な事は、もし主催者の関東学連が広告代理店、スポンサー企業、テレビ放映権料、等を独自でネゴシエーション(交渉)を行っているなら、相手の言いなりの料金でなくハードネゴシエーションを行う事がスポーツ・ビジネスの基本であり鉄則です。しかし、主催者側には、スポーツ・ビジネスの専門家がいるとは考えにくいので広告代理店、テレビ局側の言い値となっているのかも知れません。何故なら、これだけのイベントでは、主催者側にもっと収入が在っても可笑しくないと思えるからです。関東学連は、名前だけの主催者なのかも知れません

主催者の関東学連は、任意団体であり「権利能力が無い団体」とされていますので、このような権利ビジネスに於いて本来契約の主体となり得るのかどうか疑問に思うのは、筆者だけでしょうか。しかし、ここで忘れてならないのは、本大学箱根駅伝事業は、公道を使用し、警視庁、県警、交通機関を遮断、国民の税金を使っての公共事業の一つでもある事です。何故任意団体のビジネスに公共の場と公金による人件費を投入するのか、此処に大学の競技スポーツを経営、運営・管理する立場の教育機関にスポーツ・ビジネスアドミニストレーションの未熟さを感ずる次第です。

4.元手0莫大な収益を得るスポーツ・ビジネス手法

■大学箱根駅伝のファウンダーは誰

読売新聞東京本社は、共催(主催)であり「箱根駅伝」の商標登録権利を保有されている会社、企業であります。即ち、本箱根駅伝の商標は、各加盟大学と関東学連から読売新聞東京本社に帰属していると理解するのが自然でないかと思われます。よって、読売新聞東京本社の許可なくして、箱根駅伝名及び商標が使用できないことになっていると思われます。読者の皆様は、どう解釈されますか。

本来、グローバルなビジネス社会での商標は、箱根駅伝と最初に命名した個人、或は組織にその命名権が発生し通常「ファウンダー」に権利が発生していると解釈されます。よって、途中から突然読売新聞東京本社命名権をファウンダーから譲渡されたという告知も無かったので、今後禍根を残すことになるかも知れません。

箱根駅伝のファウンダーは、何処の何方であったのでしょうか。筆者の深読みでは、新年の大学箱根駅伝のTV中継の中の蘊蓄物語(うんちくものがたり)でこの「ファウンダー」について紹介されないのは主催者への忖度なのかも知れません。

主催者は、読売新聞東京本社と本商標権使用に関する何らかのネゴシエーションが存在し、各加盟大学は既に同意、或は承認している事になります。よって、関東学連は、莫大なスポンサー料から、商標権使用料として読売新聞東京本社に使用料が支払われるのは当然であると思われます。しかし、これでは主催団体が二つあり、形式的には、主催、共催の主従関係に見えるのですが実質は逆のように思えてなりません。現在の姿は、ダブルススタンダートとしての誤解を回避するための姿なのかも知れませんが、読者の皆さんにはどのように写りますか。(ご参考までに:共催の読売新聞東京本社は、2004年に箱根駅伝を商標登録し、その権利を得ています。同時にそれまでの後援から共催に変更されています)

学生競技スポーツは教育的視点から“見える化”状態が不可欠

筆者は、加盟大学が商標登録権を既に手放しているなら、その対価として何を得たのか。そうであるなら主催:読売新聞東京本社、共催:関東学生陸上競技連盟が明快で責任の所在も明らかになるのでないかと思います。

そして、財務の可視化は、加盟大学の責任に於いて主催者との間で約束事の一つとして取り交わし、公開の義務を明文化すればよいと思います。これにより少なくとも財務に関する黒い噂も改善されるのではないでしょうか。

此のことは、学生達の自治活動団体として、純粋に行動、活動している各大学の学生諸氏がどう理解し、同意しているかが非常に重要なファクターの一つになると思われます。本来は、日本の大学競技スポーツは個々の大学の課外活動の領域を大きく超えているので、学連という名の組織、団体の存在自身が形骸化している為にその脇の甘さを見透かされて、企業の罠に落ちて行く構図となっているのが、日本の大学、高校の競技団体の弱点なのです。日本に於ける大学競技スポーツ界では、このような不透明なビジネス・アドミニストレーションがあらゆるところで見受けられるのが最大の特徴と言えます

筆者は、スポーツ・アドミニストレーターとして、主催者がこれほどのビジネスを行っていながら、本大会の商品であり最も大切にされるべき学生選手、バランテイアー学生達に対する、大会期間中の不慮の事故に対する補償が「自己負担と競技規則に明記されている」事が、本主催者達の真の趣旨、目的が透けて見えて来るように思えてなりません。このような補償は、学生選手及び学生バランテイアー、公共施設、等を使ってビジネスしている方々が真摯に、且つ適切に対応することが望ましいと思います

この事実から、主催者、共催者は、学生諸氏、学生選手達のCOREを無料で使用して、莫大な利益を学生達からせ占めている事を意味しています。そのCOREの学生達は、授業料を大学に納付しているのです。此れでは、大学教育の一環、延長線上であるべき大学競技スポーツの大義となり得ないのではないでしょうかこれが大学箱根駅伝に関する経営、運営、管理に関するアンフェアーな実態なのです。このようなマネージメントをする時代ではなく、一日も早く日本の大学競技スポーツに「Justice正義とFairness公正」を基盤としたスポーツ・アドミニストレーションが構築される事を願う次第です。

5.筆者の私見

 上記論点に関し、大学経営者、管理者、またスポンサー関係者からも、どなたからの指摘も、改善の声すら聞こえてこないのは、残念でなりません。

各大学の代表者がもう少し真摯に教育者としての強い見識を持たれて、学生、学生選手達の視点に立って大学箱根駅伝の指導、運営、管理を今再構築する大きなターニングポイントに来ていると思います。そして、教育の一環、延長線上にあるべき大学競技スポーツに豊かな見識を持たれている人達が、大学箱根駅伝の組織をオーガナイズする構造とシステムの必要性も今問われているのではないでしょうか。本大会は、将来に於いて関東地域限定の大会でなく日本全国の大学が参加できる大会に解放されることが教育の視点から正しい方向性であると確信致します。

主催・共催者は、数年前から新たな箱根駅伝に付帯する事業として、毎年10月に箱根駅伝予選会を日本テレビによる実況中継にスポンサーを付けてビジネスを拡大して行って居るのはご承知の通りです。

毎年主催者には、箱根駅伝による莫大な収入が入って来ていますが、学生、大学に還元される事無く、収益をどのようにされているのでしょうか。これは、筆者の素朴な主催者、共催者への疑問です。これらの現実的な実態に付きましては、次回詳細を述べさせて頂く予定に致しております

筆者が、学生選手、大学箱根駅伝に興味を持ち始めたころから関東学生陸上競技連盟については、不透明な金銭的な暗い噂を常に耳にしてきた記憶が蘇って参ります。大部分の学生、選手達の純粋な情熱とは真逆な大人達の思惑と現実の中で、日本の大学競技スポーツの将来が今日もなお光明が見えない理不尽な障壁を強く感じているのは筆者だけでしょうか

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:

次回のK’sファイルは、大学側の経営者、教学管理者が大学箱根駅伝をどのような位置づけでテイーム編成、学生選手強化を行っているのかをご紹介します。これにより日本の大学競技スポーツが、どのような見識の経営者、大学教学責任者により教育されているかの現実を知る事になるかも知れません。

 

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 筆者からのお知らせ

 2020年度Kファイル掲載は、本NO.148号を持って最後となります。本年も根気よくお付き合い頂き有難うございました。読者の皆様のご健康と平和なHoliday Seasonであります事を心より祈念致しております。次回Kファイルは、予定通りに掲載を予定致しております。深謝

読者からの便り

1.河田先生

ブログ147号、拝読いたしました。箱根駅伝に出るような大学生ランナーが実業団に対しプロ契約を迫る図式、高校野球強豪校が中学生をスカウトするあの悪しき伝統がもとになっているのかなと、中学の硬式野球クラブチームと10年お付き合いをして見えてきたところです高校野球連盟は、現場の選手の非教育的な事実に何故目を背けて改善しようとしないのか、マスメデイアは何故事実を報道しないのでしょうか。

スカウトに来るのが高校の監督とは限らず、普段何をされているのかわからないブローカーのような方が来られ、寮費免除だとか、学費半額、だとか、どんな立場で権限を持っておられるのかわからないような人が、その場でどんどんお金の話をされているのが聞こえてきます。まだ中学生(それも2年生の秋を迎えたばかりの)選手が聞いたら大きな勘違いをするような…。高校野球のファンが知ると目を背けると思いますが、これが現実です。

入試に関しても完全にフェアネスを欠くと学校側も承知したうえでの活動でしょうから、水面下で行われるのだと思います。進学して、約束と違った、という話も時折耳にしますが敢えてその話は聞かないようにしています。今や私学のみならず、公立高校に於いても公立のマスクをした県立高校が岡山、兵庫、岐阜、等で増殖し始めています。新聞社は、見て観ぬふりですが大学箱根駅伝のアンフェアーな行為で選手獲得するのと酷似なようです。

私は選手の進路等には全く関わりを持たないようにしていますが、高校側は私がその選手を入学までに調子を整えてくれていることをアテにしているのは感じます。いつものことですが、「この世界は昔も今も全く変わらず、コレで回ってきているのだから」と変化を拒む大人達(父母を含む)がこのような方向に導いてしまっていると思います。それも大きな利権をお持ちの方々が上にいますので、打ち崩すのは難しいです。まったく違う価値観の別の組織をスクラッチビルドする方がはるかに簡単かもしれません。しかし、それでは、このような関係の方々の利害、利権が消えるからかも知れません。教育界は、どうして皆にフェアーなルールを作って、それを皆が同意して遵守する倫理観が育たないのでしょうか。 読者より(中学の現場を預かる指導者)

 2.河田弘道

 いつもKファイルを拝読いたしております。ファイルは、質、量ともにスポーツに関する論文、論考の中でもこれ程群を抜いた迫力ある内容は過去に例がないと敬意を表します。先だってもKファイルの話題が我々の仲間内でもありました。僭越ですが、Kファイルの読者は、内外に渡り月間数万人の読者がアクセスされている事も存じ上げています。しかし、毎回数えるくらいの方々しかKファイルに「いいね」のクリックがされていない不思議が話題になっています事をご存じでしょうか。そこで我々は、この現象に興味を持ち我々の広報分析室で分析させてみましたので、お気を悪くされないで下さい。

統計的には、読者の大多数は、毎回の論文、論考を真摯に拝読している事も確かに分かりました。また、毎回首を縦に振りながら拝読しています。このKファイルは、多分膨大な数の人達が吸い込まれるように熟読している事を誰もが想像できます。しかし「いいね」をクリックする事に至らない、それは自分自らの実名が公になる事を恐れているからです。心の狭い自己中的な人間が増殖している今の世の中を象徴していると私は思います。

恥を忍んで申し上げますと私も私の仲間達もみんなKファイルのファンですが「いいね」クリックに躊躇する一人です。河田様は、多分熟慮されて勇気を出して公開して下さっているのに自分自身が情けないです。

この時節、世代の国民、社会の政治への不信は、日々増幅するばかりです。しかし、Kファイルは、多くのマスメデイアの報道、記事では満たしてくれない人々に正義と誠実さ、公平さの必要性を一貫してスポーツの世界を通して教えて頂いているように思います。Kファイルが多くの読者に共感を与えてくださるのは、河田様が実践経験を基にした事実を書かれているからだと思います。「いいね」をクリックできない読者を代表してこの度勇気を持ってご報告させて頂きました。河田様の勇気と決断の足元にも及びませんが、ご理解下さい。このような時節柄、毎回のKファイルの公開日を指折り数えてお待ちしている国民も居る事をご理解下さい。更なるご健筆を期待致しております。TV界がいつ河田様をご紹介するのか楽しみにしています。一般読者は、河田氏があの長嶋ジャイアンツのMr.Kとはご存じでないでしょうね。  読者より(TV報道関係者)

 

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目次

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

■問題の序章

■学生の教育を疎かにする教育者と外部の大人達

■帰属権と既得権

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

3.主催と共催の関係

公益法人と任意団体の違い

関東学連の実態

4.関東学連とはBLACK  BOXか

筆者の素朴な疑問と私見

 

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2020年12月24日木曜日       公開日

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝シーズンの話題がマスメデイアをにぎわします。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けしておりますが、この度もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

■問題の序章

箱根駅伝は、毎年正月の2日、3日の両日早朝7時から午後2時まで長時間に渡ってテレビや、ラジオで実況中継されるほか、SNSの動画、記録配信、等国民的な行事に発展、注目されている事は読者の皆さんもご承知の通りです。

近年日本は、複数の隣国が現在まさに国土を侵食しようと足元に迫って来ています。筆者は、箱根駅伝を正月に視聴しマスメデイアに酔わされている国民、社会を肌で感じるにつけ、我々は、東京五輪箱根駅伝どころでない差し迫った亡国の危機をどうするか真剣に若者達の次世代を思うにつけ、我が国の政治、政治家、社会、教育界の危機感と緊張感の欠落が気がかりです。

筆者は、米国内の事情から日米安全保障条約がこのままいつ迄も継続されるとは思いません。米国の駐留軍が我が国を引き上げたら、この国はどうなるのだろうと現実味を帯びてきた昨今を思うにつけて心配の種は増幅するばかりです。日本国民は、如何するのか。この議論を国民、社会、国会、マスメデイアは、積極的に語ろうとしない、論議もしようとしないで日本国の防衛装備増強の購入議論などは、目先の誤魔化しにしか過ぎません。「歴史は流転」と申します。「平和日本」は、既に政治家、政治力の貧困から狂い崩れ始めているのはスポーツ界同様なのではないでしょうか。侵略国は、現在日本の領土に上陸する事を虎視眈々と戦略から戦術に移行している事に正面から向き合う事が正論です。香港、台湾の次に差し迫った現実です。

学生選手の教育を蔑ろにする教育者と外部の大人達

今回は大会を経営、運営、管理している主催団体をスポーツ・アドミニストレイションとアドミニストレイターの視点から観察、洞察して参ります。我々は、テレビの実況に気を取られている間に、何時しか重要な実態と真の伝統的な大学、学生、学生選手達の遺産がビジネス企業の手に渡ってしまったのではないかと危惧致します。これらは、まさに我が国の国民、社会が平和で浮かれている間に隣国に領地を奪われて行く構図に酷似の状態のように思えてなりません。 

 筆者は、日本の大学競技スポーツ・アドミニストレイションの貧困の弱点を狙った利権の略奪行為が行われた現実を見せられた思いがします。もしこの行為に加担した教育界関係者、大人達が居るとするならば、学生達を食い物にした大罪人と言わずして何と申しましょうか。この大人達の行為により、学生、学生選手達は、商品となり、主従関係が逆転してしまっている事に学生及び学生選手を預かる大学も見て観ぬふりなのか、今日のような舞台裏が構築されてしまったような気がしてなりません。

教育を趣旨、目的とする筈の大学競技スポーツは、その本質が事業(ビジネス)に偏った方向にミスリードされてしまっていると思われます。その意味で、国から毎年私学への莫大な助成金補助金の必要性とその在り方が問われる時期に来ているのではないのでしょうか 

本競技スポーツに関わる大学関係者(大学経営、管理者、教員、職員、学生、学生選手)は、教育という本質を見失い、何でもいいからテレビに出たい、有名になれ的な風潮が極端になってしまった産物の様です。そして、その為には、身体能力の高い選手達を手段選ばず安易にお金の力を利用して内外からリクルートして来る次第です。このような学生選手獲得資金は、いったい大学は何処からどのように捻出されているのでしょうかまさか公金の私学助成金補助金が学内で流用されていない事を願う次第です。しかし、その断言はできません。

このような現実は、既に大学競技スポーツの教育秩序を崩壊させている危険な状態である事を誰もが気付こうとしないのが、重要な課題と問題だと思います。 ここ数年大学競技スポーツが突然話題になっていますが、真に論議しなければならない本質的な問題をどう解決、処理して行くのか、避けては通れない事を関係者達がどれほど理解認識出来ているのでしょうか。この問題に大学関係者、国民、社会が全く無関心である様子は、丁度近年の我が国の選挙民と国会議員、国会の選出、運営、管理の関係にも酷似しているように思えます。

帰属権と既得権

読者の皆様は、本箱根駅伝が「何処に帰属し、既得権は本来何処の誰にある大会なのか」を考えられた事がありますか。勿論、「各加盟大学です」と純粋にまだ思っている大学関係者、読者の皆さんがいる事を願う次第です。この重大なキーワードを各大学の経営者、管理者、また、大学設置を許認可した文科省スポーツ庁)の見識者諸兄は、どのように考えられているのでしょうか。

文科省(元文部省)、スポーツ庁は、何故、このような事態に至る以前に指導、勧告を加盟大学に行わなかったのか、これもまた不思議な教育機関の省庁と言わざるを得ません。多分何も思考した事がないか、政治力により省庁は、何ももの申せないのかだと思われます。或は、インボルブ(首を突っ込む事)することを避けてきた様子も伺えます。これも省庁、官僚達の大学への天下りの悪循環が支えている利権の構造的な弊害なのかも知れません

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

先ず本箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレイションの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

1)大学箱根駅伝

主催  :関東学生陸上競技連盟(略:関東学連) 任意団体

共催  :読売新聞社(2004年、箱根駅伝の商標登録権を読売新聞東京本社が獲得し後援から共済に移行)

特別後援:日本テレビ放送網株式会社(略:NTV)

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存

     会箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

注:警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知されていない。尚広告代理店は、博報堂

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ご参考までに、

公益社団法人日本学生陸上競技連合が主催する大学駅伝大会要項

2)全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢)(商標登録無し)

主催:公益社団法人日本学生陸上競技連合 朝日新聞社 テレビ朝日 メ~テレ

後援:スポーツ庁 愛知県 三重県 名古屋市 伊勢市 日刊スポーツ新聞社 

   一般社団法人中部経済連合会 中部経済同友会 愛知県商工会議所連合会 

   三重県商工会議所連合会

運営協力:東海学生陸上競技連盟 一般財団法人愛知陸上競技協会 一般財団法人三重

     陸上競技協会 支援:愛知県警察本部 三重県警察本部

特別協賛:JAバンク

協賛:興和

協力:シチズン時計 三重交通グループ ニューバランス ジャパン 

   三菱UFJリース radiko 日清オイリオグループ

企画協力:アサツーディ・ケイ(広告代理店)

3)出雲全日本大学選抜駅伝競争(商標登録無し)

主催:主催公益社団法人日本学生陸上競技連合出雲市

主管: 出雲全日本大学選抜駅伝競走組織委員会

運営協力:中国四国学陸上競技連盟、一般財団法人島根陸上競技協会、出雲市陸上

     競技協会、島根県警察本部・出雲警察署、陸上自衛隊出雲駐屯地

協賛:  富士通株式会社

後援: スポーツ庁島根県島根県教育委員会島根県立中央病院、出雲市教育委員

    会、公益財団法人島根県体育協会、フジテレビジョン産經新聞社、サンケイ

    スポーツ、ニッポン放送、TSK山陰中央テレビ山陰中央新報社、

    エフエム山陰

3.主催と共催の関係

箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催していますまた、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社が2004年に行い所有しています。本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録をした年に後援から共催に格上げになっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。共済は主催と同格とされ名称が異なるだけです。

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要です。また、役員の責任に関しては、規約に明記されておらず不明瞭な文体で「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です。読者の皆様は、ご理解できますか。筆者は、上記内容に関しては意味不明です。余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのかどうかも公開しないので不明です

何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか。公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか。大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか

読売新聞東京本社は、2004年から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し、後援から共催と格上げしました。これは、読売新聞東京本社の持ち物であることの証です。関東学連は、読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録の使用許可を受けなければならない主催者となったのです。よって、読売新聞東京本社は、関東学連に対して「箱根駅伝」の使用料を請求できる立場と権利を持っているのですこの事を名目として関東学連は、莫大な金額を毎年支払っているのかも知れません。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

先ず此処で、注目したのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

関東学連の実態

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難い実態と思われます。

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思いますNPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります

4.関東学連とはBLACK  BOXか

 事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されない多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として、またバランテイアーとして活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な重要な疑問です。任意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任な団体に加盟大学は、学生達の大会運営、管理を委ねているのか大きな疑問ですが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう。

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOX」ではないかと思えてなりません学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報開示できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません。

公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報開示を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます

 箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回Ⅲでは、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報開示義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

筆者の素朴な疑問と私見

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)には、主に大学箱根駅伝の主催、共済の関係とその現実、現況に付いてご紹介、説明をさせて頂きました。筆者は、特にこの論考の中で何故これまで後援であった読売新聞東京本社が突然2004年に「箱根駅伝」名を商標登録して企業財産とされたのか。この所業は、任意団体の関東学連(権利能力を持たない)の誰が承認したのか。加盟大学は、オーソライズし承認したのか。読売新聞東京本社は、独自に商標登録をしたのか。本件は、筆者ならずとも各加盟大学経営・管理者、学生、学生選手、教職員、卒業生達はこの重大問題をどのように理解しているのか。素朴な疑問を持たざるを得ない商標権登録に関する疑問であります

筆者の私見として申し上げますと、此れでは、大学箱根駅伝読売新聞東京本社に伝統的に構築、使用してきた「箱根駅伝」名を売却してしまったと同じ事になってしまっているのではないのでしょうか読売新聞社の了解なしに「箱根駅伝」名は、使用できないことを関東学連の大人たちは理解している事になります。そして、大学箱根駅伝の営業収益の莫大な余剰金は、箱根駅伝の商標権料として読売新聞東京本社に支払っていても全く不思議でない構造が構築されてしまっている事を意味します。加盟大学は、このような学生選手をCOREとした大学競技スポーツ・ビジネスを何故コマーシャル企業の手に渡してしまったのか。この莫大な毎年の資金を何故文武両道で努力する加盟大学の優秀な学生選手達の支援金(奨学金)として活用する知恵を持たれなかったのかと残念至極と申し上げざるを得ないのです。この構図が事実であるならば、「箱根駅伝」の商標登録を許可した方々は、大学箱根駅伝を構築してこられた各大学の諸先輩方に対して大罪を犯したと申し上げても過言でないと思われますが、読者の皆様はこの現実を理解し同意されますか。或いは、無関係だと無関心を装いますか。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:次回(3)のⅢでは.皆さんの知らないことをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの大義、趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

注:引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

 

 

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 筆者からのお知らせ

 2020年度Kファイル掲載は、本NO.148号を持って最後となります。本年も根気よくお付き合い頂き有難うございました。読者の皆様のご健康と平和なHoliday Seasonであります事を心より祈念致しております。次回Kファイルは、予定通りに掲載を予定致しております。深謝

読者からの便り

1.河田先生

ブログ147号、拝読いたしました。箱根駅伝に出るような大学生ランナーが実業団に対しプロ契約を迫る図式、高校野球強豪校が中学生をスカウトするあの悪しき伝統がもとになっているのかなと、中学の硬式野球クラブチームと10年お付き合いをして見えてきたところです高校野球連盟は、現場の選手の非教育的な事実に何故目を背けて改善しようとしないのか、マスメデイアは何故事実を報道しないのでしょうか。

スカウトに来るのが高校の監督とは限らず、普段何をされているのかわからないブローカーのような方が来られ、寮費免除だとか、学費半額、だとか、どんな立場で権限を持っておられるのかわからないような人が、その場でどんどんお金の話をされているのが聞こえてきます。まだ中学生(それも2年生の秋を迎えたばかりの)選手が聞いたら大きな勘違いをするような…。高校野球のファンが知ると目を背けると思いますが、これが現実です。

入試に関しても完全にフェアネスを欠くと学校側も承知したうえでの活動でしょうから、水面下で行われるのだと思います。進学して、約束と違った、という話も時折耳にしますが敢えてその話は聞かないようにしています。今や私学のみならず、公立高校に於いても公立のマスクをした県立高校が岡山、兵庫、岐阜、等で増殖し始めています。新聞社は、見て観ぬふりですが大学箱根駅伝のアンフェアーな行為で選手獲得するのと酷似なようです。

私は選手の進路等には全く関わりを持たないようにしていますが、高校側は私がその選手を入学までに調子を整えてくれていることをアテにしているのは感じます。いつものことですが、「この世界は昔も今も全く変わらず、コレで回ってきているのだから」と変化を拒む大人達(父母を含む)がこのような方向に導いてしまっていると思います。それも大きな利権をお持ちの方々が上にいますので、打ち崩すのは難しいです。まったく違う価値観の別の組織をスクラッチビルドする方がはるかに簡単かもしれません。しかし、それでは、このような関係の方々の利害、利権が消えるからかも知れません。教育界は、どうして皆にフェアーなルールを作って、それを皆が同意して遵守する倫理観が育たないのでしょうか。 読者より(中学の現場を預かる指導者)

 2.河田弘道

 いつもKファイルを拝読いたしております。ファイルは、質、量ともにスポーツに関する論文、論考の中でもこれ程群を抜いた迫力ある内容は過去に例がないと敬意を表します。先だってもKファイルの話題が我々の仲間内でもありました。僭越ですが、Kファイルの読者は、内外に渡り月間数万人の読者がアクセスされている事も存じ上げています。しかし、毎回数えるくらいの方々しかKファイルに「いいね」のクリックがされていない不思議が話題になっています事をご存じでしょうか。そこで我々は、この現象に興味を持ち我々の広報分析室で分析させてみましたので、お気を悪くされないで下さい。

統計的には、読者の大多数は、毎回の論文、論考を真摯に拝読している事も確かに分かりました。また、毎回首を縦に振りながら拝読しています。このKファイルは、多分膨大な数の人達が吸い込まれるように熟読している事を誰もが想像できます。しかし「いいね」をクリックする事に至らない、それは自分自らの実名が公になる事を恐れているからです。心の狭い自己中的な人間が増殖している今の世の中を象徴していると私は思います。

恥を忍んで申し上げますと私も私の仲間達もみんなKファイルのファンですが「いいね」クリックに躊躇する一人です。河田様は、多分熟慮されて勇気を出して公開して下さっているのに自分自身が情けないです。

この時節、世代の国民、社会の政治への不信は、日々増幅するばかりです。しかし、Kファイルは、多くのマスメデイアの報道、記事では満たしてくれない人々に正義と誠実さ、公平さの必要性を一貫してスポーツの世界を通して教えて頂いているように思います。Kファイルが多くの読者に共感を与えてくださるのは、河田様が実践経験を基にした事実を書かれているからだと思います。「いいね」をクリックできない読者を代表してこの度勇気を持ってご報告させて頂きました。河田様の勇気と決断の足元にも及びませんが、ご理解下さい。このような時節柄、毎回のKファイルの公開日を指折り数えてお待ちしている国民も居る事をご理解下さい。更なるご健筆を期待致しております。TV界がいつ河田様をご紹介するのか楽しみにしています。一般読者は、河田氏があの長嶋ジャイアンツのMr.Kとはご存じでないでしょうね。  読者より(TV報道関係者)

 

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目次

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

■問題の序章

■学生の教育を疎かにする教育者と外部の大人達

■帰属権と既得権

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

3.主催と共催の関係

公益法人と任意団体の違い

関東学連の実態

4.関東学連とはBLACK  BOXか

筆者の素朴な疑問と私見

 

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2020年12月24日木曜日       公開日

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝シーズンの話題がマスメデイアをにぎわします。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けしておりますが、この度もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

■問題の序章

箱根駅伝は、毎年正月の2日、3日の両日早朝7時から午後2時まで長時間に渡ってテレビや、ラジオで実況中継されるほか、SNSの動画、記録配信、等国民的な行事に発展、注目されている事は読者の皆さんもご承知の通りです。

近年日本は、複数の隣国が現在まさに国土を侵食しようと足元に迫って来ています。筆者は、箱根駅伝を正月に視聴しマスメデイアに酔わされている国民、社会を肌で感じるにつけ、我々は、東京五輪箱根駅伝どころでない差し迫った亡国の危機をどうするか真剣に若者達の次世代を思うにつけ、我が国の政治、政治家、社会、教育界の危機感と緊張感の欠落が気がかりです。

筆者は、米国内の事情から日米安全保障条約がこのままいつ迄も継続されるとは思いません。米国の駐留軍が我が国を引き上げたら、この国はどうなるのだろうと現実味を帯びてきた昨今を思うにつけて心配の種は増幅するばかりです。日本国民は、如何するのか。この議論を国民、社会、国会、マスメデイアは、積極的に語ろうとしない、論議もしようとしないで日本国の防衛装備増強の購入議論などは、目先の誤魔化しにしか過ぎません。「歴史は流転」と申します。「平和日本」は、既に政治家、政治力の貧困から狂い崩れ始めているのはスポーツ界同様なのではないでしょうか。侵略国は、現在日本の領土に上陸する事を虎視眈々と戦略から戦術に移行している事に正面から向き合う事が正論です。香港、台湾の次に差し迫った現実です。

学生選手の教育を蔑ろにする教育者と外部の大人達

今回は大会を経営、運営、管理している主催団体をスポーツ・アドミニストレイションとアドミニストレイターの視点から観察、洞察して参ります。我々は、テレビの実況に気を取られている間に、何時しか重要な実態と真の伝統的な大学、学生、学生選手達の遺産がビジネス企業の手に渡ってしまったのではないかと危惧致します。これらは、まさに我が国の国民、社会が平和で浮かれている間に隣国に領地を奪われて行く構図に酷似の状態のように思えてなりません。 

 筆者は、日本の大学競技スポーツ・アドミニストレイションの貧困の弱点を狙った利権の略奪行為が行われた現実を見せられた思いがします。もしこの行為に加担した教育界関係者、大人達が居るとするならば、学生達を食い物にした大罪人と言わずして何と申しましょうか。この大人達の行為により、学生、学生選手達は、商品となり、主従関係が逆転してしまっている事に学生及び学生選手を預かる大学も見て観ぬふりなのか、今日のような舞台裏が構築されてしまったような気がしてなりません。

教育を趣旨、目的とする筈の大学競技スポーツは、その本質が事業(ビジネス)に偏った方向にミスリードされてしまっていると思われます。その意味で、国から毎年私学への莫大な助成金補助金の必要性とその在り方が問われる時期に来ているのではないのでしょうか 

本競技スポーツに関わる大学関係者(大学経営、管理者、教員、職員、学生、学生選手)は、教育という本質を見失い、何でもいいからテレビに出たい、有名になれ的な風潮が極端になってしまった産物の様です。そして、その為には、身体能力の高い選手達を手段選ばず安易にお金の力を利用して内外からリクルートして来る次第です。このような学生選手獲得資金は、いったい大学は何処からどのように捻出されているのでしょうかまさか公金の私学助成金補助金が学内で流用されていない事を願う次第です。しかし、その断言はできません。

このような現実は、既に大学競技スポーツの教育秩序を崩壊させている危険な状態である事を誰もが気付こうとしないのが、重要な課題と問題だと思います。 ここ数年大学競技スポーツが突然話題になっていますが、真に論議しなければならない本質的な問題をどう解決、処理して行くのか、避けては通れない事を関係者達がどれほど理解認識出来ているのでしょうか。この問題に大学関係者、国民、社会が全く無関心である様子は、丁度近年の我が国の選挙民と国会議員、国会の選出、運営、管理の関係にも酷似しているように思えます。

帰属権と既得権

読者の皆様は、本箱根駅伝が「何処に帰属し、既得権は本来何処の誰にある大会なのか」を考えられた事がありますか。勿論、「各加盟大学です」と純粋にまだ思っている大学関係者、読者の皆さんがいる事を願う次第です。この重大なキーワードを各大学の経営者、管理者、また、大学設置を許認可した文科省スポーツ庁)の見識者諸兄は、どのように考えられているのでしょうか。

文科省(元文部省)、スポーツ庁は、何故、このような事態に至る以前に指導、勧告を加盟大学に行わなかったのか、これもまた不思議な教育機関の省庁と言わざるを得ません。多分何も思考した事がないか、政治力により省庁は、何ももの申せないのかだと思われます。或は、インボルブ(首を突っ込む事)することを避けてきた様子も伺えます。これも省庁、官僚達の大学への天下りの悪循環が支えている利権の構造的な弊害なのかも知れません

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

先ず本箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレイションの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

1)大学箱根駅伝

主催  :関東学生陸上競技連盟(略:関東学連) 任意団体

共催  :読売新聞社(2004年、箱根駅伝の商標登録権を読売新聞東京本社が獲得し後援から共済に移行)

特別後援:日本テレビ放送網株式会社(略:NTV)

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存

     会箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

注:警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知されていない。尚広告代理店は、博報堂

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ご参考までに、

公益社団法人日本学生陸上競技連合が主催する大学駅伝大会要項

2)全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢)(商標登録無し)

主催:公益社団法人日本学生陸上競技連合 朝日新聞社 テレビ朝日 メ~テレ

後援:スポーツ庁 愛知県 三重県 名古屋市 伊勢市 日刊スポーツ新聞社 

   一般社団法人中部経済連合会 中部経済同友会 愛知県商工会議所連合会 

   三重県商工会議所連合会

運営協力:東海学生陸上競技連盟 一般財団法人愛知陸上競技協会 一般財団法人三重

     陸上競技協会 支援:愛知県警察本部 三重県警察本部

特別協賛:JAバンク

協賛:興和

協力:シチズン時計 三重交通グループ ニューバランス ジャパン 

   三菱UFJリース radiko 日清オイリオグループ

企画協力:アサツーディ・ケイ(広告代理店)

3)出雲全日本大学選抜駅伝競争(商標登録無し)

主催:主催公益社団法人日本学生陸上競技連合出雲市

主管: 出雲全日本大学選抜駅伝競走組織委員会

運営協力:中国四国学陸上競技連盟、一般財団法人島根陸上競技協会、出雲市陸上

     競技協会、島根県警察本部・出雲警察署、陸上自衛隊出雲駐屯地

協賛:  富士通株式会社

後援: スポーツ庁島根県島根県教育委員会島根県立中央病院、出雲市教育委員

    会、公益財団法人島根県体育協会、フジテレビジョン産經新聞社、サンケイ

    スポーツ、ニッポン放送、TSK山陰中央テレビ山陰中央新報社、

    エフエム山陰

3.主催と共催の関係

箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催していますまた、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社が2004年に行い所有しています。本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録をした年に後援から共催に格上げになっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。共済は主催と同格とされ名称が異なるだけです。

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要です。また、役員の責任に関しては、規約に明記されておらず不明瞭な文体で「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です。読者の皆様は、ご理解できますか。筆者は、上記内容に関しては意味不明です。余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのかどうかも公開しないので不明です

何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか。公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか。大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか

読売新聞東京本社は、2004年から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し、後援から共催と格上げしました。これは、読売新聞東京本社の持ち物であることの証です。関東学連は、読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録の使用許可を受けなければならない主催者となったのです。よって、読売新聞東京本社は、関東学連に対して「箱根駅伝」の使用料を請求できる立場と権利を持っているのですこの事を名目として関東学連は、莫大な金額を毎年支払っているのかも知れません。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

先ず此処で、注目したのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

関東学連の実態

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難い実態と思われます。

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思いますNPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります

4.関東学連とはBLACK  BOXか

 事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されない多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として、またバランテイアーとして活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な重要な疑問です。任意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任な団体に加盟大学は、学生達の大会運営、管理を委ねているのか大きな疑問ですが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう。

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOX」ではないかと思えてなりません学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報開示できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません。

公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報開示を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます

 箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回Ⅲでは、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報開示義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

筆者の素朴な疑問と私見

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)には、主に大学箱根駅伝の主催、共済の関係とその現実、現況に付いてご紹介、説明をさせて頂きました。筆者は、特にこの論考の中で何故これまで後援であった読売新聞東京本社が突然2004年に「箱根駅伝」名を商標登録して企業財産とされたのか。この所業は、任意団体の関東学連(権利能力を持たない)の誰が承認したのか。加盟大学は、オーソライズし承認したのか。読売新聞東京本社は、独自に商標登録をしたのか。本件は、筆者ならずとも各加盟大学経営・管理者、学生、学生選手、教職員、卒業生達はこの重大問題をどのように理解しているのか。素朴な疑問を持たざるを得ない商標権登録に関する疑問であります

筆者の私見として申し上げますと、此れでは、大学箱根駅伝読売新聞東京本社に伝統的に構築、使用してきた「箱根駅伝」名を売却してしまったと同じ事になってしまっているのではないのでしょうか読売新聞社の了解なしに「箱根駅伝」名は、使用できないことを関東学連の大人たちは理解している事になります。そして、大学箱根駅伝の営業収益の莫大な余剰金は、箱根駅伝の商標権料として読売新聞東京本社に支払っていても全く不思議でない構造が構築されてしまっている事を意味します。加盟大学は、このような学生選手をCOREとした大学競技スポーツ・ビジネスを何故コマーシャル企業の手に渡してしまったのか。この莫大な毎年の資金を何故文武両道で努力する加盟大学の優秀な学生選手達の支援金(奨学金)として活用する知恵を持たれなかったのかと残念至極と申し上げざるを得ないのです。この構図が事実であるならば、「箱根駅伝」の商標登録を許可した方々は、大学箱根駅伝を構築してこられた各大学の諸先輩方に対して大罪を犯したと申し上げても過言でないと思われますが、読者の皆様はこの現実を理解し同意されますか。或いは、無関係だと無関心を装いますか。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:次回(3)のⅢでは.皆さんの知らないことをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの大義、趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

注:引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

 

 

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

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目次

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

Ⅰ.教育の延長線上から外れ行く大学箱根駅伝

       ■はじめに

       ■大学スポーツ組織・団体の設立に思う

       ■UNIVAS設立以前に問題解決すべき事項とは

       ■大学箱根駅伝の運営、管理母体とは

       ■大学教育機関に「本音と建前論」は不要

1.筆者の体験を通して確認した学生選手の実態

       ■筆者が興味を抱いた理由

2.此処で企業スポーツを理解して頂く為に

      ■企業スポーツと学生選手の関係から

3.学生選手の入社面談報告書を見て呆れた実態

     ■企業スポーツのリクルート活動報告書より

4.透けて見えた大学部活動の現実

     ■誰も知らない大学スポーツ推薦枠の基準・規則

     ■企業スポーツは学生選手の狭き受け皿

 

 

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2020年12月10日 木曜日  公開

Ⅰ.教育の延長線上から外れ行く大学箱根

       駅伝

はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝のシーズンと話題がマスメデイアをにぎわす。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けいたしておりますが、今年もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

大学スポーツ組織・団体の設立に思う

過去複数年間文科省は、スポーツ庁の設置に伴い同庁に陣頭指揮を委ね日本の大学スポーツの改革の柱として、日本版NCAAと称したキャッチコピーで「大学スポーツ協会(UNIVAS)」の設立を声高らかに拡声されました。しかし、この看板は、掲げては見たものの肝心な中身が夜霧に霞む楼閣に等しい状態で、何を持って日本版と申されて来たのかいまだ意味不明であります。NCAA名を拝借したのは、ただ単に注目をして欲しかったのかも知れません。

スポーツ庁創設に伴い何か実績作りを焦り、準備も不十分なままに矛盾した組織・団体を設立したようにお見受け致す次第ですNCAAとは、「全米大学競技スポーツ協会(約1275校が加盟)」の名称で、米国に於いて約100年前に設立された大学競技スポーツ・アドミニストレイションに関する組織・団体です。我が国に於いては100年経っても本組織の摸倣すら不可能に近いと嘗て筆者は述べてきた次第です。どこの何方がこのような非現実的な名称を拝借して、花火を打ち上げたのか知る由もありません。

我が国は、身の丈に合った現実の問題を直視した組織の構築が賢明且つ、合理的であると思います。加盟申請を出されていない各大学の思慮分別は、ある意味においてNCAAが如何なる組織・団体か、日本の大学スポーツ協会組織が如何なる内容で団体かを熟知した大学関係者及び経営者の判断であるのかも知れません。

■UNIVAS設立以前に問題解決すべき事項とは 

既にこの矛盾は、各大学が今日まで学内に於いて抱えている重大な問題の火に油を注いでしまったように思えます。

実は、大学内に於いて各競技部が所属しているのは、学生の自治活動を束ねている学友会組織でこれも学生による自治活動と明快に謳われているのです。学友会組織は、全学生達の授業料から学友会費、施設費として徴収され、運営、管理がなされている仕組みなのです。即ち、全学生は、学友会の各部活のステイクホールダー(投資者)なのです。これが母体で学内の部活が運営、管理されている次第です。よって、本来部活の権利は、全学生にもあり、大学が大学スポーツ協会に申請、加盟するに当たっても全学生の同意或いは本来コンセンサスが必要なのです。しかし、この度の大学スポーツ協会への申請加盟は、大学・法人が勝手に出した申請書で学生達は知る由もありません。学生達は、全くこのような状況下に在る事を理解、認識していない不幸がここにもあるのです。

筆者がスポーツ・アドミニストレイションの講義授業で、学生達に授業料には、「学友会費、施設費が含まれている事に付いて、皆さんは授業料明細を確認し知っているかどうか」を問うと、誰も知らなかったのには驚嘆させられました

この為大学が大学スポーツ協会に加盟しても、協会は、大学側が競技スポーツ部を運営、管理できる体制下に無い事をご存じないのかも知れません。

これを捕らぬ狸の皮算用とでも申すのかも知れません

但し、独裁的な経営、運営、管理を行っている中・小規模大学には、例外もあることを付け加えさせて頂きます。これらの大学は、特殊な専門学校的なスタイルの経営者と申し上げた方がイメージしやすいかも知れません。

このようなことから各大学は、学内の各競技部を統括運営・管理ができていないことをこの程の加盟申請に於いて矛盾を学内外に告知、証明した事になったのではないかと思われます。即ち、この大学箱根駅伝を運営・管理する任意団体の学連が、大学スポーツ協会(UNIVAS)に加盟申請の提出を拒否したことで御上(文科省スポーツ庁、等)の意向と権威が通用しない事を示した一例だと思われます実は大学スポーツ協会設立に中心的に関与している役員方は、この大学箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟なる団体が喉から手が出るほど欲しいのです。その理由は、日本の大学競技スポーツ界で唯一人気があり、お金が儲かるイベントであることを知っているからです。また、筆者は、この関係者の方々の協会設置コンセプトが、東京五輪招致、組織員会の運営、管理者のコンセプトに酷似の様に思える次第です。

詳しくは、次回ご紹介できるかと思います。

大学箱根駅伝の運営、管理母体とは

大学箱根駅伝の運営、管理団体の関東大学陸上競技連盟(通称:学連)は、本来学生達の自治活動としてスタートされ、現在も理念、趣旨、目的に変更はありませんしかし、これは以前から単に表向きで実際は、大人達の利害、利権集団と化し無責任な任意団体(法人資格の無い、経理等公開の義務なしの個人の集まり)で学生達はバランティア活動としての単なる駒でしかないのが実態です。大学、学生選手達は、何故このような任意団体の利権集団に大学箱根駅伝を奪われてしまったのかを本年度の連載はこれらの解明を中心に展開して行ってみたいと思います。これを機会に、学生達がもう少し興味を持ってスポーツ・アドミニストレイションの必要性に付いて学ぶことを期待しています

前出の大学スポーツ協会(UNIVAS)は、設立したものの大学箱根駅伝を主催、共済する学連、新聞社から協会への加盟を拒否されたようです。よって、協会は設立したが大学競技スポーツの大学箱根駅伝さえも関われない言わば大学競技スポーツの組織、団体としての体をなしていない次第です。

本件の最大の矛盾は、大学スポーツ協会に加盟申請を提出している大学が本大学箱根駅伝に学生ティームを派遣し協力している事です。しかし、片や大学スポーツ協会は、本大学箱根駅伝を主催、共済している組織・団体とは主従関係でも翼下でもないことになります。即ち、大学箱根駅伝主催者・共催者は、UNIVASに手出し無用との意味で加盟申請を拒否したと理解できます。

大学教育機関に「本音と建前論」は不要

読者の皆さんは、それでは何のために各大学は大学スポーツ協会に参加、加盟申請書を提出しているのか、既にここにも大きな矛盾に気づかれるのはないでしょうか。この矛盾は、大学側にも大きくその要因があり、これがまさに日本の伝統的な御上に対する「建前と本音論」を使い分けている構造的な問題なのです。

文科省スポーツ庁は、そのあたりを十分に認識した上で半強制的な申請書提出要求を致したのでないかと筆者は僭越ながら推測している次第です。

★各大学は、大学スポーツ協会に加盟させられた理由が他にあると考えられます

その最大の理由は、莫大な私学助成金補助金文科省から毎年受けている事実です。この事は、各大学が訳も分からず、加盟申請書を出せと言う御上からのお達しに対して、大学内で何の議論もコンセンサスも取らずに提出した意図と真意がここにあるのでないかと思われる次第です。このことを御上も承知の上で全大学及び各種競技団体にまで申請書を送付したのだと思われます。しかし、しっかりとした信念に基づき申請書を提出しなかった大学(筑波大学、慶応大学、同志社大学関西学院大学、その他)が在る事を見逃してはなりません。また、大学スポーツ協会は、当時加盟申請校に対して入会金、年会費を義務付けていましたが、申請書を提出しない大学、団体が多数出ている為か、今や年会費、入会金を無料にするのでとの勧誘を始めているという全く持って一貫性のないスポーツ庁の姿勢には何と申し上げればよいのやら、これでは先ず信頼を失います。数だけ集め何を語ろうとしているのかが透けて見えてきそうです。

大学スポーツ協会なる組織・団体には、看板を掲げてもルールBookさえも皆無なのです。大学のみならず学生選手が競技している各種競技団体にまでも加盟申請を出させようとする事、此処にも大きな矛盾と本協会の本質的な問題があると思われます。残念ながら本団体は、ただやみくもに先を急ごうとしている為か、支離滅裂な組織・団体であるようにお見受け致します。このことは、本協会の役員名簿をご覧頂ければ納得されると思われます。

読者の皆様は、これから本Kファイルを通してマスメデイアが一切語ろうとしない裏舞台が明らかになる事により、大学教育機関と大学法人の教育と学生への呆れた「建前と本音論」を知る事となるでしょう。これを読者の皆さんを含む国民、社会は、TV、マスメデイアを通して表面の綺麗な美化されたところを見せられて楽しまれているという筋書きなのです。悪しからず。

箱根駅伝は、レースのルールが一部改正されたようですが、大学競技スポーツ、大学箱根駅伝本体の根本的な問題には、この度もまた誰も触れようとしませんでした。今年もまた学生、学生選手を駒としか利用、活用しない大学側、運営団体、広告代理店、TV、マスメデイアであります。読者の皆様には、大学教育機関として在ってはならない大学競技スポーツの実態をご理解して頂き、健全な大学本来の姿に未来ある学生及び学生選手を導く為の方法を是非ご一緒に考えて頂けたらと願う次第です。

 

1.筆者の体験を通して確認した学生選手の実態

 大学箱根駅伝(略:箱根駅伝)の組織、運営、管理に興味を持ち始めたのは、当時筆者が企業スポーツにおいてスポーツ・アドミニストレーターとして運営、管理をしていた時期からでした(1985~2005)。

■筆者が興味を抱いた理由

何故興味を持ち始めたかと申しますと、米国に於いては、NCAA(全米大学競技スポーツ協会)の下に於ける大学競技スポーツの運営、管理者としての経験から日本の大学の競技スポーツに所属する学生選手達に対する大学での指導、運営、管理の在り方を確かめたかったからです。

日本の企業スポーツは、日本独自の伝統的な運営、管理を行って来たプロでもなくアマでもない、不思議な競技スポーツの組織、団体であります。

プロ競技ではない競技種目に取り組んでいる学生選手、高校生選手達にとって卒業後も継続する為の最終的な活躍と生活の糧を得る場所は企業スポーツとなります。そしてその延長線上にあるのが、プロとしての世界選手権大会であり、オリンピック大会です。しかし、企業スポーツには、またごく限られた選手しか所属できない厳しい世界と環境です。

1974年に国際オリンピック委員会(略:IOC)の「オリンピック憲章」の改正があり、「アマチュア」の文字が消え、オリンピック大会には、1988年ソウル大会からプロ選手も本格的に参加できる事に成りました。

これにより、日本における企業スポーツの伝統的な体質は、競技スポーツ組織、団体、選手達にも徐々に変化の兆しが見られるようになりました。しかし、依然としてプロなのかアマなのか中途半端なスタイルが解消されたわけではありません。このようなスポーツ界の新しい流れの中で、日本の学生選手達の意識にも、以前と異なる意識が芽生え、段々と自分の意思を表現する様になって来たのも事実でした。これらは、急激な海外からのプロ化の波にも大きな刺激を受ける事になり、歴史的な変革の時期であったのだと思われます。しかし、残念ながら大学に於いても指導者、管理者達は、学生選手、選手達にこのグローバル化が進む競技スポーツの動向を正しく教育、指導する為の十分な知識を持ち合わせていなかった事は不幸な出来事でした

2.此処で企業スポーツを理解して頂く為に

企業スポーツと学生選手の関係から

企業スポーツの特徴は、企業の経営業績に大きく左右されるという事と競技スポーツからの収益を求めない事です

1964年の東京オリンピック開催と共にスタートしました企業スポーツは、1990年前半から吹き荒れたバブル経済の崩壊によりまして、1995年をピークによりいっそう廃部、休部が加速し、それまでの企業スポーツの半数以上が消滅して行ったのです。

特にそれまで脚光を浴びていました社会人野球(都市対抗野球)、バレーボール、バスケットボール、テニス、ラグビー、等々から伝統的な企業名が消え去り、今日に至った状況をファンの皆様は、肌で感じて来られたのではないでしょうか。

驚く事に現在の大学生の大半は、日本のオリッピック代表選手、競技スポーツ選手達が長年会社、企業スポーツにより支えられ、今日も支えられている事の知識と理解を持たない状況です。特にその中のスポーツ専攻学生ですら、企業スポーツって何ですかと質問された時は、唖然とした次第です

大学の専門分野に於いて、この企業スポーツの存在と重要性を指導する指導者、教員が居ない事もこの大きな要因の一つであると思います。

このような現状は、指導者、教員が居ないのでなく、スポーツ・アドミニストレーションの専門分野が教育機関に存在しない我が国の現状と現実がスポーツ界の再編、構築を遅らせている最大の要因の一つであると確信します

また、新しい世代の若者達への教育もさることながら、TV・マスメデイアによる報道に於いても、プロの競技スポーツと大学競技スポーツの違いと企業スポーツの存在の意義を報道、解説できるくらいの知識を持ったスポーツ報道担当プロデュサーが我が国に於いては見当たらないように思えてなりません。

3.学生選手の入社面談報告書を見て呆れた実態

企業スポーツのリクルート活動報告書より

陸上競技(英:Track & Field)は、日本が嘗て華やかな時代を迎えていた長距離、特にマラソン競技が他国の競技レベルの強化、向上とは対照的に低下し、冬の華であったエリート・マラソン大会そのものの存在が薄れ、近年は市民マラソンが主体の大会に移行している様子を皆さんも実感されている事と思います。このような状況下で唯一、脚光を浴びているのが正月恒例の行事となりました「大学箱根駅伝」、そして企業スポーツとしての全国実業団駅伝「ニューイヤー駅伝」です。本駅伝競技は、日本にのみ存在する日本オリジナルな競技方法で行われるロードレースの1つです

1985年当時から、筆者は、NEC SPORTS(強化8競技)を会社側の強い要請で設立、強化して参りました。女子バレーボール、女子バスケットボール、男子バレーボールの順に日本リーグVリーグ、全日本を制覇と並行して、陸上競技部の強化を始めた頃、当時の長距離担当指導者からのスカウテイング、リクルーテイングの計画書、面談報告書、等の最終レポートに目を通し、担当者から説明を受けていました。これらは、毎年の事でしたが、そのリストの中の大半は、箱根駅伝で活躍しマスメデイアで取り上げられている選手達でした。

特に、特注マークの選手達の面談レポートには、注目すべき内容が書かれていました。このような学生選手の多くは、所属大学ではスポーツ推薦枠という無試験で、特待生として高等学校から迎えられた学生選手達です。日本に於ける特待生とは、その競技スポーツに特に優れ、大学側が入学時に特別待遇の学生として迎え入れた学生選手への処遇を指します

驚いたのは、大学選手に企業の大卒給与以上の現金が、大学側から毎月支給されている現実でした。大学側は、大学箱根駅伝で活躍させる為にリクルートした言わば箱根駅伝の戦士(傭兵)として、TVで大学名を宣伝する為の広告塔と学生選手も理解していた事でした

面談学生選手曰く「御社は、今自分が大学から毎月受けているお小遣いより大卒の初任給は低いです」と堂々と担当者に話し、その内容が、面談報告書に記録されていた事でした。また、「自分は、会社で競技が出来なくなった後、会社に残り勤めをするつもりはないので、退職金代わりに入社時に支度金として頂きたい。他の会社では、この条件を呑んでくれる会社が複数(実名を挙げて)あるので、この支度金が大きい方にお世話になります」とも付け加えられていました。面談者は、複数の異なる大学学生選手からもこのようなリクエストを突き付けられていた次第です。このような現実に於いても、今日もなおレースのルール改正は行われても、大学、学生選手達へのレース以外の健全な規則・罰則は、全く誰もが手を付けようとしない大学管理者、指導者の実態であることを紹介します。勿論、大学スポーツ協会の関係者諸氏は、このような実態を理解し実践経験をしてきた方は皆無であるので理解するのも難しいと思われます。

これは、即ちプロの契約時の契約金に置き換え、条件としていると受け取れました。このような学生選手を抱える大学は、当時も今も大学箱根駅伝の有名大学か、そうなろうとしている新興大学であります。現場の監督には、申し訳なかったのですが即答で“NO”の回答をし、「そのような条件で引き受ける会社、企業にどうぞ行ってもらって結構です」と伝えました。その理由は、会社側がそのような選手を入社、入部させるコンセプトではなかったので、そのような予算を確保していなかったからです。しかし、そのような学生選手達は、選手のみならず彼らの指導者達も自らをTVタレントと勘違いしている様子で、期待されて企業に入社後、このような選手達は鳴かず飛ばず状態で選手生活を終えているのも事実です。

筆者は、日本の大学競技スポーツの学生選手が、個々の大学でどのような教育、指導を日々受け教養、社会常識を身に着けているのだろうか、大学競技スポーツは、どのようなアドミニストレーションがなされていてこのような学生選手が社会に出て行っているのか、とこの時期から、20年間観察しながら強い関心を箱根駅伝と日本の大学競技スポーツに抱いてきました

そして、その後、ご縁を頂きまして日本の大学で2017年春まで、約10年間教鞭を取らせて頂き、上記問題を含めた日本の大学競技スポーツの実態を観察、研究致し学内外の状況と問題の本質に辿り着いた次第です

4.透けて見えた大学部活動の現実

■誰も知らない大学スポーツ推薦枠の基準・規則

大学生の長距離選手のスカウテイング、リクルーテイングにおける、複数の大学陸上部、長距離選手(主に箱根出場が主眼)達の企業ティームへの入社条件と実態が明らかになっていました。筆者は、これらの実態をマスメデイアが一切報道しない視点に注目を抱いていました大学側が、このような大学スポーツ推薦制度を悪用して学生選手達をどのようにして高校時代にリクルートしているのか、またどのようなオファー(条件)で大学側の誰が約束し、大学内での処理をしているのかに付きましても当然、大変興味を抱きました毎年、この時期が来ると各大学では、スポーツ推薦入試との看板を大学の玄関に掲げているようですが、必要な選手は既に夏場にコミットしてしまっているのです。

やり得やられ損的なルール無き日本の大学競技スポーツ界のスポーツ推薦制度は、無法(Out of Law)状態であり、これでは大学競技スポーツが教育、教育の延長線上にあるなどとは決して言い難い、言えないのが現状、現実であります教育機関に於けるこのような非教育的な教育者と称する指導者、管理者、経営者に対していったいこの国の誰が襟を正させることができるのでしょうか。その総責任のある人物が見て観ぬふりをするのが我が国の教育の管理、監督者なのかも知れません。

勿論、本件は、長距離選手のみに限った事でなく、他の競技スポーツ男女(高卒、大卒)のリクルート活動に於いても多くの重要な問題と現実に直面致しました。此れらをきっかけに、大学野球界、陸上界、バレーボール界、バスケットボール界、テニス界、ラグビー界、等を通して教育機関とその指導者、関係者と企業スポーツとの関係と実態に付きまして20年間に渡って現場の状況と現実を実体験させて頂いた次第です。

企業スポーツは学生選手の狭き受け皿

企業スポーツは、このような高校、大学競技スポーツ選手達に競技を継続する為に唯一受け皿として、迎えてくれる場所であることを関係者は感謝の心を持って入社する事を祈念致します。

特にこの人気のある大学競技スポーツの1つである箱根駅伝は、その実態を覗く事で、より一層我が国のスポーツ社会の縮図を見ることになるかと思われます。TV中継では、大学箱根駅伝を美化する映像、報道を担当アナウンサー及び解説者が蘊蓄物語(うんちくものがたり)を交えながら絶叫されていますが、それを見聞きするにつけて何か歪められた美学を毎年虚しく聴かされているように思えてならないのは筆者だけなのでしょうか。多分これは、放送を担当している関係者が実態をご存知でないのか、或は知っていても視聴率及び新聞の拡販目的の為に美化、誇張して拡声させられているのでしょうか。

 読者の皆様には、このような社会の状況だからこそ大学競技スポーツと学生選手達の現実と実態を再考、洞察して頂き、この機会に考察して頂ければ我が国の大学競技スポーツの根深い負の悪しき伝統と将来の歩むべき方向性をポジテイブに比べて頂き取捨選択をして頂けると幸いです。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:

本NO.147をご笑読頂き、大学箱根駅伝、大学スポーツ協会、関東大学陸上競技連盟、各大学の学友会組織とその矛盾に少し触れられて如何思われましたでしょうか。この国に必要なのは、何だと思われますか。次回は、またその大学スポーツのCOREであるべき、学生選手、学生達が大人の利害、利権の道具と化している現実を目の当たりにするかも知れません。しかし、これが現実であることをご理解、認識頂けますと、東京五輪開催を契機にしてこの伝統的なスポーツ界のアドミニストレイションの改善と改革に歴史的な舵を切る事が新しい日本のスポーツに光と未来の扉を開く機会であると切に願わずにはいられませんが、如何でしょうか。

KファイルNO.146: 都の西北早稲田の森に起きた事件の行方

KファイルNO.146: 都の西北早稲田の森に起きた事件の行方  

無断転載禁止                                   毎月第二、第四木曜日掲載予定

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目次

KファイルNO.146: 都の西北早稲田の森に起きた事件の行方  

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

■はじめに

■近年の大学教員、経営者の傾向

■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理と実態

■事件の発端とその経緯

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

■友添秀則氏の特徴

■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 筆者の素朴な疑問
  • 筆者の私見

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2020年11月26日 木曜日     公開

KファイルNO.146:都の西北早稲田の森に起きた事件の行方

無断転載禁止

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

 はじめに

人は、皆完成された神仏ではありませんので失敗もあって当然であります事を先ず前置きさせて頂きます。

友添秀則氏のような優秀なスポーツ倫理学者が、所属する自らの大学で、あろうことか暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事を知り誠に残念です。本件は、突然起きた問題では無い筈、なぜ大学教学の管理者、法人経営者の何方かが諭されなかったかと残念でなりません。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いであると理解します。

長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることの無きよう、大学、研究室、学生達は、本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願う次第です。 

近年の大学教員、経営者の傾向

私立大学経営者は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導者として教員を雇用するケースが主流であると思われます。しかし、近年では大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。

読者の皆様は、近年特にTVの報道番組、バラエティー番組に出演し、OO大学教授、准教授、客員教授、特任教授、等々と紹介され、入れ代わり立ち代わり各局が競い合う中で登場している実態を既にお気づきのことと思います。その中の多くは、あまり耳慣れない私大の教員、有名な大学の教員と日替わりで出演されているのが印象的です。また、有名でない大学での肩書で出演していた教員が、TV出演し始めて半年もしないうちに有名大学に移籍されて出演を続けている様子がよく目立ちます。これらの裏舞台は、また別のドラマの様です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位を向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント志望教員が番組の品位を下げている事も確かです。にもかかわらず、大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しているのも確かのようです

筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです筆者は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を招く事を危惧しています。

勿論、私大経営者の中には、積極的に商品として活用する為かTVで名の売れた外国籍TVタレントさんに安易に語学教授職、その他教員職を与えて雇用するケースが増えているのも事実です。これでは、TV出演が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能なので学生達は授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います。

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子からは、学外で名声を得て多忙を極める教員の、学内での本来の業務負担がこの助教達に掛かっていた経緯が透けて見えてくるのです

時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

また、国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな動機付けとなったのであろう様子が伺えます。

我が国独特な名刺、肩書社会に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です。此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。

Kファイルでは、このような「時事の出来事」を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。Facebookを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たないです」と意見させて頂いた時に「よく考えます」との返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理と実態

事件の発端とその経緯

先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したものでした

本件は、本年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、その熱意と正義感に心より敬意を表します。そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

この度の「友添事件」とその周辺の出来事が、近年の日本社会の病的な出来事の話題、特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営者、教員、競技スポーツ指導者、管理者による暴力行為の実態を象徴するように感じたのは筆者だけでしょうか。つい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣(自民党国会議員、細田派、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身)の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした。

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターか権威主義」なのかもしれません

此れだけ同教授が、学外で肩書を持っていた事に鑑みれば、早稲田大学に於ける本業のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年 10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授

2012年~2016年 早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年 学校法人早稲田大学 理事

                               9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分無し

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定)

日本スポーツ教育学会(会長)

日本体育科教育学会(会長)

日本体育・スポーツ哲学会

(財)日本学校体育研究連合会常務理事

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

公益財団法人:日本スポーツ協会 理事

公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  

その他

友添秀則氏の特徴

友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします。これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます。

学外での活動例

同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします

よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて範囲を広げていました。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導を述べられていたことです。

★特に、近年では、スポーツ界のガバナンス問題に於いて高い関心を持たれ、全日本テコンドー協会と選手との対立に於いては外部有職者として直接的な介入をされていました。

★大相撲の八百長問題、レスリングの伊調馨選手へのパワハラ問題、等々には強い関心を持たれて、マスメディアへの露出度も特化していたように記憶します。

友添氏は、筑波大学時代に柔道部に所属されていた背景からか、現在は何と全日本柔道連盟の理事という要職にまで就かれており、格闘技にも殊の外、強い関心があるのかも知れません

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が理事である事も影響しているかも知れません。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。

 

3.筆者の素朴な疑問と私見

本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通りパワハラ行為とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです。そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し、招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第ですこの間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。 

キーポイント

加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについて、です。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのか、についてです。三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を「悪質なパワーハラスメントとして認定」したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します。

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。友添氏が、常識では考えられないほど学外に重心を置いた立ち振る舞いと活動を長年行っていたことは事実だとしても、それにより学内本来の業務である教育に支障が無かったのかどうかについては、非常に疑問が残る次第です。

筆者の素朴な疑問

友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に法り裁かれたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます。

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

筆者の私見

大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応をし、また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身には甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます。

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか

筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです。

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません。もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます。

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職には現在も留まっています。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

お知らせ:

読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。本件の被害者、加害者双方にとりましては、大変悲しい出来事だったと思います。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。

KファイルNO.145:スポーツ・アドミニストレイターとしてのGMの立ち位置

KファイルNO.145:スポーツ・アドミニストレイターとしてのGMの立ち位置

無断転載禁止             Kファイル:毎月第二、四木曜日掲載予定

読者からの便り

時事の話題から~

Kファイルコメント:プロ野球界から去ることを宣告された多くの選手達の心境は?

『球団に所属する選手の死刑宣告の開幕です。入団時は、天国を味わったが、何時もこの時期は死の宣告を待つ選手達の心境に心が痛みます。誰もが野球だけしかやってこなかったことをこの時期が来て初めて悔やむ。ご参考までに。此れもプロの掟なのです。』

河田様

私は、KファイルのSNSへの上記コメントを拝読させて頂きました。この言葉を拝見すると深く胸に突き刺さります。特に「高校・大学卒」の選手は「社会人としての教育、経験」など受けておりませんので、プロ野球に入り「将来の自分を思い描く段階」において「自分が野球を辞めなければならない現実が来る」とは微塵も思っていなかったことでしょう。戦力外という現実を前にして初めて『社会人としての厳しさ』を肌で感じていくことでしょう。小生は『社会人時代の経験』と『河田様からのご指導』がございますので『他の選手』よりは理解していると自負しております。しかし、小生も年齢を重ねていくに従って「更なる厳しさ」を味わうこととなると覚悟をしております。日本社会は「グレー」で「しがらみの世界」であります事を肌身に感じています。河田様のように「スポーツ・アドミニストレーター」としての『確固たる地位・資格』があればとは思います。しかしながら、河田様がここまでの地位を築くまでのご経験とご苦労は想像に難くないとお察し致します。小生のような未熟な人間には耐えられないことです。読者より(元プロ野球選手、現球団コーチ) 

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目次

スポーツ・アドミニストレイターの中枢を担うGM 

Ⅰ.スポーツ・オペレーションに於ける実戦配備

1.ゼネラルマネージャー(GM)の位置づけと存在

2.スポーツ・オペレーションとは

    1)実際にスポーツをプロデユース

    2)スポーツ・ビジネスオペレーション

      ■スポーツ・オペレーションの人的資源の使い方

      ■スポーツ・オペレーションに於けるマネージメント

    3)貧乏球団を引き受けた時のGMの手法

    4)GMと監督、専門スタッフの業務とその違い

Ⅱ.フィールドマネージャー(FM/HC/監督)

    1)監督の重要性

    2)監督とGMのパワーバランス

    3)能力ある人材に対するフェアーな環境と機会

 

 

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2020年11月12日木曜日    公開

スポーツ・アドミニストレイターの中枢を担うGM

Ⅰ.スポーツ・オペレーションに於ける実戦配備

 1.ゼネラルマネージャー(GM)の位置づけと存在

一般的にゼネラルマネージャー(略:GM)は、オーナー、最高経営者(CEO)の直轄管理下に位置しています。このことからもGMは、その球団、組織に特化した最重要なスポーツ・アドミニストレイターの一人なのです。GMは、球団及び組織・団体の中で経営分野とテイーム編成分野を統括運営・管理する事を職務・職責とする人の総称名を指します現実的には、①経営部門と②テイーム編成部門の統括管理責任者を配置している場合が多く見受けられます。皆さんが理解、認識されているGMは、多分後者②であると考えられます。 

  GMは、与えられた球団の財産(組織、人材、金、物、情報、テイーム、監督、スタッフ、選手、等を含む)の有効利用と活用能力が問われるスポーツ・アドミニストレイターなのです。特に大切なのは、先ず戦略を立案しその戦略に基づいたテイーム作りにおいて現戦力の今後の発展に一番適した指揮官・監督を選ぶ事からです。この選び方を間違えると組織に多大な損害を与えるのみならずGMのオペレーション・マネージメントに最大のダメージを与えることになるのです。

プロのGMに求められるものは、実行力と強烈なリーダーシップです。

1)トラブル処理能力:

利害関係がひしめく業務において問題の本質を敏速に見極め建設的な理解の下握手をさせる能力を意味する。

2)説得力:問題を先ず明確にしてお互いの置かれている現状を理解し、双方納得のゆく方向性と協調性を見いだし協力関係を再構築しなければならない。

3)客観的な対応力:敏速に客観的な要因を見つけだし、主観的な要素、要因を区別する能力が必要。

4)コミュニケーション力:ポジテイブな対話によって相手の真相と情報を得ながら素早く解読、分析しながら相手 にも理解させる交換能力が求められる。本能力を持ち合わせていない人間をGMに任命した場合、その時点で成果、結果は予測できます。任命権者に全責任があります。

5)人間関係の掌握力:オペレーション部門に携わる全てのスタッフ、職員達との信頼関係を構築し、個々の能力をポジテイブに理解し、それを業務に活用できるよう導く事が大事。

6)オペレーション部門の運営力:個人の個々の能力を導き出し、個々の業務を組織の中でまとめて組織力として活用できる能力が求められる。(マネージメント力、コーチング力)

7)判断力と決断力:球団、組織の経営、運営コンセプトに沿った判断は、スピードを持った決断力が必要不可欠です。

筆者は、実体験から以上主な必用能力として7項目を上げましたが、GM職には上記7項目は必要不可欠な項目でこれらの適正が無ければ務まらない、成果と結果が得られないと判断してよいかと思われます。また、アシスタントGMの採用に於いては、ただのイエスマンではなくGMの不得手な項目を得意とする能力ある人材をリクルートする事が賢明です

筆者は、このアシスタント諸氏には大変恵まれ、この方々無くしては東京読売巨人軍の歴史にメイクミラクル、ドラマを刻むことはできませんでした。現在もなお、この方々には心より感謝を致しております。

読者の皆さんが応援されているプロ野球球団、プロサッカー球団、等々には、このような項目に当てはまるGM,あるいはそれらしき編成本部長、等と称される方がいるはずです。

2.スポーツ・オペレーションとは

スポーツ・オペレーションとは、スポーツの活動を作る部門、部署であり実際に行うスポーツをプロデユースする現場を意味しています。

1)実際にスポーツをプロデユース

一般スポーツの場合

プロスポーツ競技者及びその関係者以外の一般にスポーツをする人達は、生産者であり消費者でもある可能性が高いことも忘れてはなりません。(この場合は、競技性は低くリクリエイション、レジャー、健康維持増進を目的としたスポーツ活動です)

例:スポーツ倶楽部では、消費者(会員)に対してサポートする側は、種々のサービスを提供しています。それらは、インストラクター、トレーナー、健康・栄養のアドバイザー、サポート役のフロント業務、ファシリテイー(施設)、メンテナンスの業務、スケジュールの管理、清掃・点検の重要な役目を担っています。これら全ての人材をまとめ管理する各部署のマネージャー及び支配人と呼ばれる役は、倶楽部の総合プロデユーサーです。倶楽部の顧客達は、消費者(会員)としての意識も高いです。よって、この場合、消費者は、実践者(商品)でもある事を忘れてはならないのです。

 2)スポーツ・ビジネスオペレーション

■特徴

スポーツビジネスに於けるオペレイションは、幾つかの重要なポイントがあると考えられます。以下考えられるポイントを列記致しましたのでご参考にして下されば幸いです。

①スポーツを観戦用にプロデユースする。

②選手自身は、プロダクトの一部です。

③マネージメントを行っているスタッフもプロデユーサーの一員。

④ゼネラルマネージャー(GM)、ビジネスマネージャー(BM)は、スポーツ組織・団体においての重要なコンダクターであり総合プロデユーサーなのです。

⑤スポーツプロダクトを消費するのはスポーツ観戦者、ファンです。

⑥スポーツプロダクトは物と異なりその生産と消費が同時に交換されることです。

⑦スポーツ消費者(観戦者)は、エンカウンター(encounter、出会い)を求め、プロデユーサーは、エンカウンターを作り商品化することを業務としているのです。

■スポーツ・オペレーションの人的資源の使い方

①仕事の内容、特性を明確にする。

②適切な人員を配置する。

③組織全体が効率よく動ける為の強いリーダーシップが必要です。

④仕事の成果を適切に評価し必ずフィードバックする事が大事です。

⑤モチベーションを高めるには、公平な報酬とそのシステムを明確にすることが大事です。

⑥スタッフへの対応は、常にフェアーに保つ事が大事です。

 

■スポーツ・オペレーションに於けるマネージメント 

本運営・管理には、GMとして能力のある人材を配置する事が大前提です。そして、最高経営者(CEO)は、GMに全ての統括権限を与え契約書に基づいた約束事を履行する事が重要な任務・業務であります。また、CEOは、ビジネス部門と編成部門の責任体制を明確にし互いに無意味なコンフリクト(対立)や業務上の越権行為を起こさせない、起こさない体制を整える事が重要です

また、一部球団、組織、団体に於いては、オーナー兼CEOがGMを兼務している場合を見かけますが(代表的な例は、NFLダラスカーボーイのオーナー兼GM)、この場合は各専門部門、部署にアシスタントGM、アシスタントBMを配置し業務を分担させることが賢明です。

GMの重要な使命は、最高経営者による球団の経営方針に基づいたテイーム作りを委託・委任され球団・組織の経営方針に沿ったテイーム運営/管理を行い組織の最終目的である「勝利」に導くことです。

次にGMの資質は、企業経営者としての資質を有し選手・スタッフ・監督の資質を見抜き強いテイームを作る為のリクルート(人集め)とそれを機能させる運営・管理能力に優れていなければならないことです。

そして最後にGMに求められるのは、資質の高い思考と行動力で思考だけでは役立たず、行動力だけでも成り立たないのです。行動力と思考力の高い資質を伴ったバランスを必要とされます

3)貧乏球団を引き受けた時のGMの手法

GM(ゼネラルマネージャー)は、スポーツ組織・団体において欠かすことのできない重要なコンダクターであり総合プロデユーサーでもあるのです。ゲームを運営・管理するに欠かせない人材です。オペレーション・マネージャーとも呼ばれています。このようにしてつくられたプロダクトを消費するのがスポーツ観戦者(消費者)と呼ばれます。

GMは、才能ある監督の発掘のみならずそのスタッフの採用が重要な成功の要素ともなります。安い材料(スタッフ、監督、コーチ、選手)を手に入れて、それに手を加え(マネージメント)新しい質のよい商品を生産し、ドラフト、FA,移籍というルールを有効に利用、活用して商品を相手に高額で売り、その利ざやで洞察力という能力をフル活用して安い材料を手に入れて、手を加えて蓄財して行く方法が能力あるGMと評されるのである。その為にもGMは、情報収集能力にたけ、それを最大限活用(リテラシー)する実践力が試されます

そして、そこでは生産者と消費者間では、物と金の交換でなく生産される選手のパフォーマンスに対する対価として観客、視聴者による消費が同時に行なわれる事が特徴です。また、観戦者がスタジアムに直接足を運ぶか、TV、マスメデイアの前に座るか、どちらかアクションを起さない限り観るスポーツは発生しないのです。よって、スポーツ観戦者は、お互いの関わり合いを含めて、観るスポーツの一翼を無意識のうちに担っているという事です。

4)GMと監督、専門スタッフの業務とその違い

GMは、球団・組織の中枢を担う職務・職責に位置するポジションである事は既に述べました。

球団及び組織の経営者によって雇用(契約)される場合一般的に監督より長い期間の契約となります。何故ならGMは、最高経営者の右腕であり経営陣の一員でもあるのです。特にスポーツ組織に在っては、経営のCOREであるテイーム、選手の商品化を図る最重要な役割を担っていて常に中・長期ビジョンに沿ったスポーツ・アドミニストレイターであるので長期に渡ってのテイームオペレーションの責任を負っているのです。よって、監督、コーチングスタッフのような短期的契約と区別されるのは当然です。よって、その組織に於いてGM、監督がよく変わるような球団、組織は、最高経営者に経営手腕が無いと言われても仕方ありません

プロGMは、本来まさに種々のマネージメント部署を預かる個々のマネージャー達を束ねて組織の経営、運営、管理を担うスポーツ・アドミニストレイターの最前線部隊の最高司令官と言えるかと思われます。

 

Ⅱ.フィールドマネージャー(FM/HC/監督

1)監督の重要性

フィールド・マネージャー(監督)は、このGMの管理下に位置します。GMの最重要任務は、スポーツ・ビジネスのCORE(根幹)をなす選手、及びテイームの商品価値を強化、向上させる事をその重要な職責としているのです。

GMは、企業経営者としての資質とその能力、優れた選手と監督、コーチ、専門職の資質と能力を見抜く観察力、洞察力を持ちテイームを強化する為の人材を集め、機能させる能力を兼ね備えていなかればならないのです。

日本に於いては、一般的にユニフォーム組の統括責任者として理解され、フロントの背広組と区別されています。

監督は、通常GMの推薦により球団組織の最高経営者により任命、承認されます。しかし、日本のプロ野球界のように最高経営者、オーナーの多くは、自らの私的感情と利害関係で判断するケースが多く見受けられます。このケースを優先する場合は、テイームの状況を十分把握した上での判断でなく人気及び私的な繋がりが強いケースが多々あり本来のGM体制の趣旨、目的とは異なるのです。

監督は、選手、技術スタッフの選考、テイームの戦略、戦術、等フィールド内における統括管理がその職責です。監督は、本来フィールドマネージメントの最高責任者である為に選手獲得に関してことのほか強い意識で獲得意思をGMに訴えるのです。この理由は、監督として短い契約期間内に好成績を残す事が条件であるからです。

獲得希望リストは、常に選手としての能力が高く、実績があり、確かな証がある選手を求める。しかし、そのような選手は、通常他の球団、監督もテイームもが求める選手なので商品価値が高く価格の高騰のみならず、内部においては、他の選手とのバランスを欠く結果を招きそれが原因でテイームオペレーションに大きな問題を引き起こし逆にテイームの弱体化の要因となって行く可能性が大となることを筆者は自ら経験しました。

此処で本件に関しての余談話になりますが、此のことは、日本球界に於いてもよくみられるケースであります。丁度筆者が東京読売巨人軍に招聘された時のテイーム状態が正にこの状態でありました。一例として、同じカテゴリーの高額年俸の野手が複数名顔を揃えていました(落合、広沢、大森選手が在籍しているにも関わらず清原選手が欲しいとの事で苦慮しました)

監督は、優秀な選手、コーチをリストアップしてGMにリクエストするが、その選手の獲得に関する全責任は本来GMにあり、またGMは、選手獲得の人件費のバゼット(予算)を任されているので慎重な対応、判断、決断が求められます。GMは、監督からのこれらの強い要望をそのまま受け入れる事が難しいのです。その理由としては、経営収支のバランスも考慮しながらオペレーション・マネージメントを計らなくてはならず、経営者の一角を担う職責、職務上の辛さもあるのである。

もちろん有能な監督の採用は、球団組織の大きな商品の一つであるのも事実です

GMが監督を選ぶ大きなポイントはいくつかあります。それらは、やはりその人物がフェアーであり、その競技スポーツに対するプロとしての指導、運営、管理能力を要している事、選手達に対して公平で、信頼と尊敬の念を要している事、また、自らの強い信念、対話、マネージメント能力、等々を有している事も重要なのです。

理想的な監督とは、上記能力を有した上での条件として、コーチンング、戦略、戦術、及びスポーツ科学の領域の知識と、社会人としての経験、社会常識を持ったポジテイブなパソナリテイーを有した自分物が望ましいのです。しかし、GMは、一番監督選考で必要とするのは現有戦力で勝利してくれる監督であって欲しいのはどこのGMも経営者の願いも同じのようですGMは、思考力、行動力、判断力、決断力が求められるがそれらのバランスがまたテイーム、組織の長期安定を醸成する事も忘れてならないのです。

これら個々のマネージメント部門、オペレーション部署を束ねて運営、指導、管理を指揮しているのは、組織の中ではスポーツ・アドミニストレイターなのです。

2)監督とGMのパワーバランス

 ここでGMと監督との間の力関係が明確に出てくるのは、フィールドに於けるコーチングスタッフの雇用について、監督が何人推薦したコーチに置けるか、フロント側のGMの意を受けたコーチを何人送り込んでくるかのバランス問題でも明らかになるのです。このバランスは、長いシーズン中のテイームの浮沈時に大きな問題が発生する時のパワーバランスとなるのです。

プロ野球の通常のコーチングスタッフ人数は、マネージャーを加えて7~8名で構成されるとすると最低約4名のコーチ陣は、マネージャー推薦のスタッフである事がパワーバランスからすると賢明な陣容であると思われます。フィールドマネージャーが強いリーダーであればあるほど、この陣容はおのずとしてマネージャー自らの推薦、指名のスタッフが大半であるということです。よって、監督は、ベンチコーチ(日本ではヘッドコーチと呼んでいる)に任命した人材を確保した段階でマネージャー自身の業務は、軽減されたといっても過言でないのです。

このようにコーチングスタッフの陣容が固まると即、フィールドマネージャー中心のミーテイングが持たれて、再び担当コーチからの意見と分析結果の報告を受け、総合的に戦力分析がなされる。ここでマネージャー(監督)とGMとの間の合意形成がなされ確認作業が終了するのです。このようなフィールド業務とフロント業務のシステムが既に隅々まで行き渡っているので1つの流れ作業となって遂行できるのです。しかし、個々の球団・組織のパワー即ち財力と人材の差が大きな差となり、結果としてシーズン終了後に現れるのも必然的です。

3)能力ある人材に対するフェアーな環境と機会

米国に於けるプロ球団、NCAA(全米大学競技スポーツ協会)加盟のメジャー大学を含む、等では、能力ある人材に対して常に他球団、他大学の有能なヘッドハンター達の注目を受けていることを組織も個人も知っているのです。よって、どんな弱小球団、弱小大学で与えられた業務を遂行していても能力を発揮できる機会は膨大にあり、巨大球団、メジャー大学への抜擢、GMへの道も決して夢でないのが米国でのフェアーなスポーツ・アドミニストレイションであると筆者は自らの体験からこれはよいシステムであり、効率がよい事をご紹介できる次第です。このような事は、日本ではまずありえない事のようです。それは、嘗て有名選手でなければ指導者、管理者として評価しないという迷信じみた伝統文化が日本にはいまだ幅を利かせている呆れた負の遺産です。

このように準備をしながら、フィールドマネージャー(監督)は、スプリングキャンプ、プレシーズンゲームを消化しながら開幕を迎えるのです。開幕後、ご存知のとおりゲームをコントロールするのは、フィールドマネージャーその人である。

ゲームマネージメントの最大のポイントは、与えられた球団の財産である個々の選手の能力をいかに最大限に生かせるか、即ち戦力の活用能力にかかっているのです。この与えられた戦力を最大限活用し最大の効果を発揮させるフィールドの最高責任者は、マネージャーなのである。マネージャーには、戦略、戦術にいかにたけているかどうかが大きなキーとなってくるのです。

例:日本の球団のケース

  日本のプロ野球球団組織では、米国のような本当のプロスポーツの組織構造とシステムを有していないのでメジャーリーグのフィールドマネージャーと日本の監督の業務が異なるケースが多々あります。現在もなお日本の各球団は、最高経営者の個人的な思惑で監督(フィールドマネージャー)を決定する場合が多くGMシステムが機能しないのもここにあると思われる。

注意:日本の競技スポーツ、野球界に於いては、テイームにマネージャーと呼ばれる人が居ます。これは、監督の意味ではなく主務(テイーム、監督の雑務係)と理解するのが正しいと思います。また、米国では、野球以外の競技スポーツの監督をヘッドコーチ(Head Coach)と呼ばれることを覚えておいてください。やがて日本に於いてもこの呼び方に変更されると思われます。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政 

お知らせ:NO.145編は、如何でしたでしょうか。少し内容が濃くなりましたが今までのKファイルをご笑読頂いている読者の皆様には、良く理解して頂いたかと思われます。本篇は、スポーツ界のみならず会社、企業、組織、団体、等に於いてもファンダメンタルなアドミニストレイションに於いては、ご参考になると思います。

KファイルNO.144:スポーツ・マネージメントとスポーツ・アドミニストレイションの基礎知識

KファイルNO.144:スポーツ・マネージメントとスポーツ・アドミニストレイションの基礎知識

無断転載禁止                 毎月第二、第四木曜日公開予定  

お知らせ

 毎回多くの読者の皆様には、ご笑読頂き過大な評価をして下さり感謝申し上げます。筆者は、少しでも読者の皆様に自ら体験した事、専門知識、等を還元できればと思っております。また今後とも一人でも多くの内外の方々がKファイルに興味を持っていただき、スポーツに関する知識を増やして頂ければと願っております。Kファイルの存在をご存じでないスポーツ関係者に声を掛けて頂ければその方にチャンスが訪れる可能性が生じます。筆者より

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読者からの便り

河田先生

No.143拝読させて頂きました。やっと伝家の宝刀を抜いて頂いたと思い、大変嬉しく思います。「SADの専門コース設置」烏滸がましいと思いますが、先生が日本の先駆者となり現在を変革出来無いものかと考えておりました。先生は50年いや100年遅れを取り返せない、とおっしゃられており、多難な道と思います。日本のスポーツ界のため一肌、ふた肌脱ぐことは出来ないものでしょうか?勝手な事申し上げて、気を悪くされましたらお許しください。 読者より(大学教授)

河田弘道

読者からの便りにございました文科省元高官の方のお話は、同じ元役人として同感であると同時に、現役の中には自分の良心、思いを表に出すことを許されずにいる人たちがいるのだなと同情的に、悲しくなりました。官界だけではありませんね。マスコミ界の統制は、記者クラブ制度の悪弊とあいまって。もともと、日本にジャーナリズムはないと言われていましたのに、ますます政府発表を記事にするばかりで批判は無しになりますね。それでも、朝日の記事はあいまいにしても一つの進歩ではないでしょうか。

スポーツ界の在り方にも目が向けられるのではないかと思います。あのオリンピックの延期を決めたときのIOCとのテレビ会議に日本側は政治家しか出ていなかったこと。大坂選手のマスクについてインタビューされたアスリートが一様に無言だったと言われること。現在の日本のスポーツ界の象徴のようです。

河田様のブログが一般読者だけでなく、スポーツ関係者に届き心を動かしつつあることを力強く思います。少しずつ手ごたえが出てきましたね。ポストコロナの価値観の転換の中で、多くの関係者が目を覚まし変えていってほしいものです。読者より(元郵政省高官)

目次

スポーツ・アドミニストレイションとスポーツ・マネージメントの基礎知識

1.スポーツ・アドミニストレイション(略:SAD)

      ■アドミニストレイション(略:AD)

2.マネージメント

  ■マネージメントとは

  ★マネージメント技術の基本

3.スポーツ・マネージメント

       ■経営、運営、管理のソフト

       ■スポーツ活動の生産体制

       ★伝統的な組織形態のピラミッド型

       ■スポーツ・ビジンスの商品価値は何処に

4.SADは暗い伝統的な固定概念を明るい未来志向の創造性へと変革

 

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2020年10月22日 木曜日    公開

スポーツ・アドミニストレイションとスポーツ・マネージメントの基礎知識

1.スポーツ・アドミニストレイション(略:SAD)

スポーツ・アドミニストレイションとは、詳しくはスポーツの組織、団体の内部に作られた「内規=Bylaws」や外部機構によって形成された「権威=Authority」をバランスよく経営、運営、管理に活かしより生産性が高く、効率のよい方向に導き実行する行為のトータルマネージメントの総称と申した方が理解し易いと思われます

SADは、過去の縦割り社会(Vertical society)のような支配的な経営、運営、管理イメージでなく縦、横のバランスを考え、風通しの良い個々の存在と能力を活かし導き出す事がSADの特徴です。従来の縦割り社会では、ボトムアップできない弊害があったが、SADに於いてはトップダウンボトムアップ、左右交差共有できるバランスの取れたシステムが特徴と言えると思います。

注1:内規(bylaws; a rule)=組織の内部に適用されるきまり。権威(Authority)=①他の者を服従させる威力。②ある分野において優れたものとして信頼されていること。その分野で、知識や技術が抜きんでて優れていると一般に認められている。

注2:日本の伝統的なアドミニストレイションと言えば、アドミニストレイション(略AD):国や自治体の立法によって形成された業務の執行作用と理解されてきた。日本語としては、「行政」という言葉があてられ特定の固定観念が強く植えつけられ今日に至っているようです。

■アドミニストレイション(略:AD)

本来アドミニストレイション(AD)は、高度に発達した組織において働く機能であり、国や自治体の活動に限らず、組織一般の経営、運営、管理業務を指して使用される場合もあります。マネージメントが意思形成と決定を重視した働きであるとの理解に対して、アドミニストレイションは、決定事項をスムーズに執行する為の働きであると理解されています

日本のスポーツ組織の場合は、それ自体が権力機構としての性格が強い場合や、外部組織に対するパワー依存が明白な場合にはその組織を動かしている中心機構をアドミニストレイションという場合もあります。これには、国や自治体の組織のみならず民間のスポーツ統括団体の業務も含まれます。また、学校体育の経営、総合型地域スポーツクラブの経営、運営、管理なども、スポーツ・マネージメントというよりはスポーツ・アドミニストレイションといったほうがよいかと思われます。何故ならば、これらは、学校教育法、スポーツ基本法が強く関っているからです。組織、団体の運営、管理は、アドミニストレイションと呼ぶ方が相応しいと思います。

ADには、強い組織、社会、政策、権力、団体、等の因子が多々含まれているからです。スポーツ・アドミニストレイションは、種々のスポーツ・マネージメントがCOREをなして集合している機関、組織を高所からトータルマネージメントすると考える事も出来ます。

2.マネージメント

■マネージメントとは

マネージメント(Management)は、個々の無秩序な人々の集まりを生産性(発展性)のある組織に変える(まとめる)事を総称した表現です。これらは、何れも組織という枠組みの中で考えるのが適当です。マネージメントには、それぞれ異なる業務があります。 

①経営:ある一つの一貫した経営方針を短期、中期、長期と方針をもって組織を指揮し 

              責務を負う体制のことです。

経営管理:実務の計画がその通りに遂行されているように誘導する管理部門です。

③作業管理:具体的な現場の作業をコントロールするオペレイション部門です。

★マネージメント技術の基本

マネージメントをする人には、次の基本技術が必要であるとされています。

①専門的な能力(Technical Skills):1つでも多くの人が認める能力を有する人物。特定の業務遂行に必要な知識、方法、技術、機器を使用する能力があり、経験、教育、訓練から得られる能力を意味する。

②対人能力(Human Skills):否定的性格には不向きである。他人と一緒に、また他人を通して仕事をする能力や判断を意味する。勿論、リーダーシップ、モチベーションの適用能力が含まれる。

③概念化能力(Conceptual Skills):大局が把握できるか否かは、マネージメント力の基本となります。これらは、組織活動を全体的に見渡せる能力を意味する。

3.スポーツ・マネージメント

■経営、運営、管理のソフトとして

スポーツ・マネージメントとは、スポーツをコア(核)として人と人との関係を作り出す機能を総称したものですスポーツにマネージメントの「」がスポーツに加わる事により多くの新しい生命力が与えられる活動を意味してます

スポーツに於けるマネージメントは、その目的にあった経営、運営、管理をより一層整える為のソフトの役割です。それらは、スポーツ消費者に興味をよりいっそう持ってもらう為、強化、向上、告知の為、経営・運営・管理をより一層整える為の「ソフト」として理解するとわかりやすいかと思われます。

■スポーツ活動の生産体制

スポーツ・マネージメントは、個人、集団、組織により意味内容が異なってしまう特徴をもっています。スポーツの資源は、人、物、金だけでなく、これらから派生するイベント、クラブ、スクール、施設、TV/マスメデイア、等々をいかに有効に利用できるかスポーツサービスに活用できるかが重要です。

スポーツ生産組織には、

①諸資源をうまく結びつけて採算がとれるようにするマネージメント。

②市場の条件に合わせた販売が出来るようにするマネージメント。

③スポーツ活動への直接的マネージメントをいかに最大限コーデイネートする。

    が大変重要視されます。

★伝統的な組織形態のピラミッド型

①トップマネージメント:会長、社長、CEO,副社長、専務取締役、常務、 取締役、(支配人、執行役員、部長を含むケースもある)――これら経営者達が含まれる。

②ミドルマネージメント:支配人、部長クラス、一部課長を含む。

③ロアーマネージメント:課長、係長、主任、担当。

企業、組織、団体の規模により責務も異なり、名称も異なっているのが現状です。

従業員が100名、1000名、10万人規模の企業、組織と50名以下規模のそれとはおのずから責務の重さも異なった立場となるのは言うまでもありません。

注:トップダウン方式は、ボトムからトップへアップは不可、情報の共有も不可、指示待ち人間を醸成、個々の能力の発展、向上が難しい。よって対応能力は弱い、個々のモチベーションの向上が難しい。しかし、組織としての運営・管理はやりやすい特徴があります。

注:スポーツ組織には、最高経営者、ビジネス担当者、マーケテイング担当者、オペレイション担当者、メンテナンス担当者、渉外・広報・営業担当者が直接的にエンドユーザー(顧客、観客、ファン、等)との対面者としてダイレクトコンタクト・パーソン(DCP)、等が必要不可欠である事は言うまでもありません。

スポーツ・ビジネスの商品価値は何処に

スポーツ消費者は、物としての既製品を買うのでなく、消費現場は自らの「出会い=エンカウンター(Encounter)」を買い求めているのです。このことは、スポーツ・ビジネスの商品価値の根幹をなすものである事を決して忘れてはならないのです。同じスポーツであれば誰から買っても同じスポーツ活動と出会えるというものではない、という意味で

例えば、ファンが競技場に直接的に足を運ぶのは、入場券を購入して自身が着席できる席を確保するのです。

しかし、その席は、買ったからと言って既製品として持ち帰ることはできません。本来の目的は、競技場という一般社会から隔離された別世界の雰囲気、空気と競技スポーツを観戦することでテイーム、選手個々の競いで一瞬にして起きる出来事に遭遇する事、即ち「出会い=エンカウンター」という二度と同じ出会いに遭遇できない出来事を買って楽しむ事がファンにとっての最高の魅力なのです。顧客ひとり一人のニーズを最大限に満たしていくという点で、このエンカウンターは、最高のスポーツ・ビジネスの商品価値なのです。此れこそがスポーツ・ビジネスの原点なのです

4.SADは暗い伝統的な固定概念を明るい未来志向の創造性へと変革

近年ではオリンピックだって、W杯だって立派なスポーツ・ビジネスとして大きなお金が動いています。何を今更と思うが、日本では、スポーツマンシップ精神とか、スポーツの神聖が何か特別の美学であるかの如く尊重されています。しかし、これらは、反面企業としての商業目的にスポーツを利用しづらいところがあるのも事実です。

これにより、逆にスポーツの振興、推進、発展の障壁になっていることに誰もが触れたがらないのは何故なのでしょう。それは、日本の良き伝統的な歴史、文化、慣習から美徳とされているのかも知れません。

筆者は、これらがそもそも我が国に於けるスポーツ利権の根源と化している要因の一つのように思えてならないのです。即ち、国民・社会に於いて、伝統的にスポーツを神聖化することにより、誰もが手出しできない様にバリケードを張り巡らして、そこに国会議員、政治家達が「よっしゃ、よっしゃ」と利権を求めてやってくる「」を提供し、構造的な問題を既に構築させてしまっているような気がしてならないのです。この政治家とスポーツ界の関係は、欧米先進国には見られない利権構造です。この度も既に安倍晋三前首相に東京五輪組織委員会名誉最高顧問とか、公益財団法人日本アーチュリー協会会長の席を明け渡す事も政治家達の利権構造がいつまでも続いていく様子が伺えます。

そして個人の都合により「スポーツマンシップ、ワンテイーム、アスリートファースト」とかを軽く使う政治家、スポーツ関係者が近年目立ち始めたのも事実です。これらの人達は、この「競技スポーツでしか得られない出会い(エンカウンター)」の真の価値観を持ち合わせていないのか、気付いていないのかも知れません。或いは、他の興味が強く真のスポーツの価値観が異なるのかも知れません。

スポーツは、精神論も大事ですが、これからのスポーツ世代には自らスポーツを行う事とスポーツ観戦から得られる「エンカウンター」をより多く発見し、個々の生活に取り入れ自らを発展、向上するモチベーションとして活用して欲しいと願う次第です。 

赤字経営のスポーツ団体や地方のスポーツイベントにスポンサーする企業が少ないが為に、興味ある競技をしたい、観戦したいにも関わらず一般市民の参加する場がかなり制限されています。一般的にスポーツとは、プロやオリンピックレベルの選手の人達だけのものではないのです

少なくとも今までの日本は、スポーツと云うと「スポコン、体育会系、体育の先生、ぶん殴られる、正座させられる、歯を食いしばってトレーニングさせられる」イメージで、一般の人が気楽に楽しんだり、健康のために楽しく続けたりするという感覚があまりなかったのではないでしょうか。

日本の伝統的なプロ野球球団に於いても現在も選手と指導者の関係は、暴力(精神的、身体的意味)指導が最優先されているのは事実です。これらは、選手達が幼いころから一つの競技スポーツ種目に特化し、指導者達が、暴力指導を指導手段の一つに用いて他の競技スポーツに興味を持たないようにし、威嚇したり、脅したり、暴力を用いなければ選手が動かない、動けないようにしてしまっているのです。このように暴力主体の指導は、一つの暴力指導症候群(シンドローム)化、従属化が子供達の心身に染まってしまった状態であると申しても過言でないかと思われます

例えば、競技スポーツでは「合宿所、競技者寮」と呼ばれる集団生活を強いていますが、これも広義に於いては暴力的な運営・指導管理手法の一つであると思われます

未来に向かうこれからの子供達にこのような偏った指導概念でよいとは思わないでしょう。このような管理指導を長年継続しますと、人は自主独立性が妨げられ、全員が同じ形に入れ込まれ、指示待ち人間化してしまっているのです。これらは、現在のプロ野球界の選手、指導者に色濃く堆積してしまっている事を筆者は身を持って体験しています。

一般の市民がスポーツに参加できる環境に関しては、先進諸国のレベルに比べてかなり遅れをとっている日本でも、最近ようやく市民や一般の人(つまり競技者以外の人)が楽しめる機会や環境が増えてきています。手軽なテニスやサッカー、ゴルフ、ウオーキング、ジョギング、等は、地方自治体、リクリエイション関係者により一般の人達とスポーツを楽しむ機会を積極的に持とうとしています。また、自治体が主催する”どこでも、だれでも、いつまでも” 参加できるスポーツ・リクリエーションのイベントも増えてきました。これからは、一般国民、都民、市民が生涯学習の一環として通える「スポーツ・コミュニテイーカレッジ」が必用不可欠な時代が訪れたと確信していますこれにより中高齢者の健康管理、医療費の減少は、確実に右肩下がりとなることを確約いたします。東京五輪に巨額な財源を投資する余裕があるなら、全国にこのCommunity Collegeを展開することで、どれほどの国民に健康と必要な知識を付与できるか何故政治家、官僚は、発想しないのでしょうか

スポーツ・マネージメントは、広く浅くのようで、実は大変奥の深いものです。近年のスポーツ・マネージメントは、①スポーツ活動をやることに重点を置く、オペレーションタイプと②スポーツ活動を見せることに重点をおく、プロデユース(商品化)するタイプに明確に分かれてきだしたのも特徴の一つと言えるかとも思いますこれらを総合的に取りまとめ、経営、運営、指導、管理しているのがスポーツ・アドミニストレイター達のアドミニストレイションの一つなのです。次回は、このオペレイションを少し覗いてみましょう。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G file 「長嶋茂雄と黒衣の参謀」 文芸春秋社 著者 武田頼政(共著)

お知らせ:

NO.144は、如何でしたか。大学院の講義の様で退屈でしたか。今回は、NO.143の基礎知識から少し細部の専門知識を多く含めました。スポーツ界に限らず一般企業、社会にも当てはまりますファンダメンタルな要素を多く感じて頂けたのではないでしょうか。