K'sファイルNO.91:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

K'sファイルNO.912020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

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読者からのコメント~

「河田さんが書いておられるように、招致委員会の二つの組織の大部分の方は会議で「異議なし」と発するだけの何も知らない人か、オイシさにあずかっていてだんまりしている人なのでしょう。そもそもこの評議会と理事会との関係は、普通の在り方で考えるとおかしいです。通常、理事会は実務の執行機関で、その決定は評議会の承認を受けて正式決定になりますから、評議会は理事会が正しく活動しているかチェックする上位機関のはずです。しかし、招致委員会の評議会の議長は何と、理事会の長その人ではありませんか! 

実際に物事を動かしている人たちは裏にいて、これら表の組織はおっしゃっているように形骸化した、形式的なものになっていることを示しているようです。議事に参加するメンバーたちにも問題意識はなく、メンバーになってハクが付いたくらいのことでしょう。内部から正しいことを言うとか改革するなどとてもとてもという感じだったのですね。我が国では、他の組織でもそうですが、内からの改革は難しいですね。」

 

第四弾:20東京五輪招致委員会の究極の選択

1.16リオ五輪招致活動と20東京五輪招致の疑惑が酷似と何故揶揄されるのか

リオ五輪招致勝利の事情

リオ五輪招致委員会の勝利には、幾つかの要因があると思われます。大きな要因の一つは、ブラジル・オリンピック委員会(略:BOC)のカルロス・ヌズマン会長と国内企業の強い関係が挙げられます。もう一つは、BOCIOC国際オリンピック委員会)との関係に於ける日本企業電通との関係にあると推測されます。前者の要因は、至極当然の関係であります。

読者の皆様には、解りづらいかも知れませんので少し説明させて頂きます。

IOCは、全世界のオリンピック活動に関する全ての権利を有する唯一の大会を経営、運営、管理をする組織・団体です。よって、IOCは、世界各国のオリンピック競技大会に参加する国々に対して、NOCNational Olympic Committee国内オリンピック委員会)の設置を義務付け、IOCは各NOCにオリンピック活動に関する個々の国内の運営、管理を委託し、その構造とシステムが確立されているのです。

例えばJOCBOCは、それぞれIOCから委託を受けた国内のオリンピックに関する運営、管理をする組織・団体でIOC翼下の直轄団体なのです。よって、国内のオリンピックに直接関係をしない諸問題、行事には、関わるべき団体ではありません。

企業電通が巨大スポーツ電通に変身したその礎

それでは、企業電通が何故IOCNOCに関係しているかという疑問が読者の皆様は持たれるのではないでしょうか。

企業電通は、1984年ロスサンゼルス・オリンピック大会組織委員会(略:LAOOC)の公式広告代理店として、世界で初めて組織委員会が必要な予算額をギャランテイー(金銭的保証)してスポンサー広告に関する全権利を組織委員会から買い取ったのです。これは、当時画期的な出来事でした。

当時LAOOCの会長のピーター・ユベロス氏は、IOC総会での招致に関するプレゼンテイションで「84ロス五輪は、国、州、市の公金を一切使用しないオリンピック大会にする」と公言したのは、今日も語り継がれている名言です

LAOOCは、開催予算額を企業電通が保証し、民間資本(当時90%以上のスポンサーは、日本企業)の投入により大成功を収めたのです。その上にLAOOCは、約440億円のオリンピック歴史始まって以来の黒字決算となりました。ユベロス氏は、公約通りに440億円をカリフォルニア州、市の社会施設に全てを還元し、成功裏にLAOOCの任務を果したのでした。このユベロ氏こそが、真のスポーツ・アドミニストレイターの姿として当時も今日もリスペクトされている所以なのです。このような人物は、20東京五輪組織委員会には見当たりません。

企業電通は、このビジネス・サクセスストーリーがスポーツ電通を世界に今日に於いても轟かせている礎となっているのです。LA五輪実績を基盤にスポーツ電通として巨大化していく様子が描写できるかと思われます本スポーツ電通の実践現場の様相は、本シリーズ後に「リマインド」として再紹介させて頂きます。是非ご一読下されば幸いです。

企業電通IOCをクライアントとして

もちろん、LAOOCでの民間資本導入での成功を横目で眺めていた当時のIOCのアントニオ・サマランチ会長は、そのような甘い蜜を見逃すような人物でありませんでした.

1984年以降のオリンピック大会をもっと金の儲かる巨大なビジネスにしようとサマランチ会長は、IOCの独占広告代理店(Excusive Advertising Agency)として株式会社電通(略:電通)を指名し、長期契約を成立させ今日に至っている次第です

よって、企業電通は、IOCのビジネスパートナーでありIOCが委託しているNOCは莫大な恩恵をIOC経由で受けている関係である事を此処にご紹介し、読者の皆様の心の片隅に置いて頂ければこれからのK’sファイルの展開がより解りやすいかと思います。

このようなIOCNOC、広告代理店電通の関係から、企業電通にとっては、オリンピック大会が何処に招致されようと電通本体のビジネスに何の支障も起きないシステムが構築されているのです。即ち、オリンピック関連のスポンサービジネスに関しては、全て何処で大会が開催されようとも電通を通さない限りオリンピックスポンサーになり得ない構図が完成されているのです。 

2.企業電通国際陸上競技連盟との親密な関係

①企業電通のさらなる野望

此処でIOCだけが美味しいパイにあやかっているのではありません。企業電通は、IOCは世界最大のオリンピック・イベントを保有している一つのクライアントでしかすぎないのです。

LAOOCでのビジネス実績、IOCのビジネスパートナーとしての信頼を担保に次に大きなマーケットを保有しているIGBInternational Governing Body国際競技連盟)加盟団体のFIFAFederation International of Football Association国際サッカー連盟)のワールドカップ・サッカー(略:W杯サッカー)の権利を手に入れるためにLAOOCの利権を得ていた当時、同時に作業が進行し、結果1982年のW杯サッカー・スペイン大会の会場で「スペインの嵐=電通は他企業が保有していた権利を強奪」と呼ばれるドラマを演じたのです。これにより企業電通は、FIFAの独占広告代理店としてこれまた長期契約を結んで今日に至っているのです。

次に企業電通がターゲットとしたのが、皆さんも記憶にある「91世界陸上東京大会」でおなじみのIAAFInternational Association of Athletics Federations国際陸上競技連盟)で、独占代理店契約を締結し、今日に至っているのです。電通が契約した当時は、IAAF4代会長のプリオ・ネビオロ氏(イタリア)で、本五輪疑惑に関わったのは第5代会長のラミン・デイアク氏(セネガル)でした。よって、電通は、デイアク氏とはビジネスパートナーの間柄であり、この親密な関係に於いて、内部情報を手に取るようにオンタイムで把握できる立ち位置にいたのです。

読者の皆様は、パズルのピースが段々と正しい位置にセットされ、隠されていた疑惑の絵模様が浮き彫りになってきたのではないでしょうか。

リオ五輪招致勝利の方程式

リオ五輪招致委員会は、最終的な票集めのキーとなる勝負の分かれ目はIOC委員の数十票と結論付けていたと推測されます。リオ五輪招致委員会の実力者は、ブラジル五輪委員会(BOC)会長のヌズマン氏と言われていました。

最終的にIOC総会の数日前に、ヌズマン会長は、ブラジル企業から得た資金を国際陸連IAAF)のデイアク会長とその息子(パパマッサタ・デイアク氏)に買収資金として渡し、IOC委員の確かな票の買収を実行に移すため仲介役になったと言われています。その模様は、既に海外メデイアが当時から報道して来た通りで、ヌズマン氏はブラジル当局により逮捕されました

フランス検察当局は、兼ねてよりロシア選手の薬物疑惑隠ぺいに関わっていたデイアク氏と息子のフランス国内での資金洗浄に端を発した捜査から、リオ五輪招致に関わる確証を得、一気にリオ五輪招致の不正を解明。その過程に於いて20東京五輪招致不正の事実を押さえたので、本格的な捜査に踏み切ったと思われます

16リオ五輪招致に関する報道

1)201733日(仏ルモンド(Le Monde)紙):

リオ五輪招致の不正疑惑で検察が捜査

2016年に行われたリオデジャネイロ五輪の開催地決定に絡み、賄賂が支払われた疑いがあるとして、フランス検察が捜査を行っていることが明らかになった。

国際オリンピック委員会IOC)は、仏検察当局とコンタクトを取る意向を示すとともに、2009年に開催地がブラジル・リオデジャネイロRio de Janeiroに決定する以前に、IOCメンバーのフランク・フレデリクス(Frank Fredericks氏に金銭が支払われていたとして、倫理委員会が調査を行っていると述べた

ルモンド紙は、仏検察の捜査官が「2016年大会の開催地がリオデジャネイロ決定したプロセスを疑う証拠を固めている。リオは不正を行っていた疑いがある」と報道。 

2)2017113日:[パリ 3日 ロイター]

陸上の元短距離選手で国際オリンピック委員会(IOC)のフランク・フレデリクス委員(ナミビア)に対し、2016年リオデジャネイロ五輪招致を巡る不正疑惑でフランス検察当局が本格的な捜査に着手したことが分かった。捜査関係者が3日、明らかにした。フレデリクス委員は現役時代、1992年バルセロナ大会と1996年アトランタ大会で合計4つの銀メダルを獲得した実績を持つ。リオ五輪招致を巡って賄賂を受け取り、パリで資金洗浄をした疑いが持たれている。

同委員に対しては、リオデジャネイロの招致が投票で決まった2009年のIOC総会当日に、当時IOC委員だったラミン・ディアク前国際陸連会長(セネガル)の子息から送金を受けていた疑いにより、既に調査が行われている。

3)同年114日(共同):フレデリクス委員は、当時IOC委員だったラミン・ディアク前国際陸連会長セネガル)の息子から送金があったと報じられたが、不正を否定している。ディアク親子は20年東京五輪招致を巡っても多額の資金を受け取ったとの疑惑が持たれ、フランス当局が捜査している。

4)2017/10/6日本経済新聞配信【サンパウロ=外山尚之】):

ブラジル連邦警察局5日、2016リオデジャネイロ五輪の招致に関する贈賄容疑で、ブラジル・オリンピック委員会のヌズマン会長を逮捕した。国際オリンピック委員会IOC)委員ら関係者を買収するための賄賂は少なくとも200万ドル(約22500万円)にのぼるというヌズマン会長はIOC委員らに対し、開催国を決める投票の見返りに、ブラジルの実業家などから集めた資金を渡すスキームに関与していたという。リオ五輪を巡っては競技場の建設費が水増しされており、その一部が政治家への賄賂の原資になるなど、政官財が一体となって裏金を捻出していたことが明らかになっている。賄賂を受け取ったとされるIOC委員のひとりは20年の東京五輪を巡る招致活動でも金銭の授受があったとされ、名前が取り沙汰されている

4)NHKのニュース報道より

ブラジルの捜査当局は、先月、リオデジャネイロへの招致が決まった2009年のIOC国際オリンピック委員会)の総会の直前に、IOCの当時の委員で開催都市を決める投票権を持つセネガル出身のラミン・ディアク氏の息子の会社と息子名義の2つの口座に、ブラジル人の有力な実業家の関連会社から合わせて200万ドルが振り込まれていたと発表していた。捜査当局は、ヌズマン会長が、「贈賄側のブラジル人実業家と収賄側のディアク氏との仲介役を担っていた」として、自宅を捜索するなど捜査を進めてきた結果、2009年のIOC総会の直後、ディアク氏の息子からヌズマン会長に対して、銀行口座に金を振り込むよう催促する電子メールが送られていたことなどから、票の買収に関与した疑いが強まったとして、5日、逮捕したとのことだ。

20東京五輪リオ五輪に関する報道

1)2017.9.13(英紙ガーディアン(電子版)):

五輪招致の不正疑惑…東京、リオで買収と結論 

2016年リオデジャネイロ五輪と20年東京五輪招致の不正疑惑を巡り、ブラジル司法当局が両五輪の招致委員会から、当時国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸連会長だったラミン・ディアク氏(セネガル)を父に持つパパマッサタ・ディアク氏に対し、多額の金銭が渡った可能性があると結論づけたことが分かった。

2)(共同)フランス当局の捜査を基に書類をまとめたブラジルの当局は、IOC内で特別な影響力があったラミン・ディアク氏を買収する意図が あったとしている。両五輪の開催都市が決まった前後に、疑惑の渦中にあるパパマッサタ・ディアク氏がフランスで高額の時計や宝石を購入した際の支払いや口座の記録も確認されたとしている。ガーディアンは昨年、同氏と関連のある業者の口座に東京招致委から多額の送金があった事実を報じた。東京側は不正を否定している。

以上本件に関わる内外の報道を一部ご紹介させて頂きました。 

3.筆者の素朴な疑問と私見

フランク・フレデリクス氏の出現と現金の流れ

読者の皆様は、上記K'sファイル及びマスメデイア報道内容から16リオ招致の決定的シナリオのキーが何処にあったかを想像できるのではないでしょうか。

筆者が一番驚いたソースは、フランク・フレデリクス(Frank Fredericks氏の名前です何故驚いたか、私は、フレデリクス氏が米国の大学に留学している頃から学生選手として大変よく存じていたからです。彼が、このような事件に巻き込まれているなど驚くよりショックであった事の方が正直な気持ちです。

確か、20173月でしたか、フランスのルモンド紙、英国のガーデイアン紙がフレデリクス氏の名前をリークした英字報道を米国の友人から送られて来た時でした。時を同じく、米国の陸上関係者、及び大学関係者より連絡を受けその時最初に彼の本件への関わりを詳しく知った次第です。彼を知る多くの米国関係者達は、私同様に信じませんでした。それ以降私は、海外の報道並びにフレデリクス氏と親しく、本件をよく熟知している米国、英国の陸上競技関係者達から情報を頂いていました。

フレデリクス氏は、学生選手時代からアカデミックに於いても学業優秀で何度もオールアメリカンに選ばれた優秀な留学生選手でした。アスレテイックスポーツに於いては1991年のNCAA(全米大学競技スポーツ協会)主催の全米大学陸上選手権に於いて、室内200メートル、屋外100200メートルのNCAAチャンピオンに輝き、オリンピック大会、世界陸上大会に於いても多くのメダルを獲得した、名実ともに世界のトップスプリンターの1人であったのです。

人物的には、誰もが認める大変温厚な人柄で、冷静沈着、世界中の選手達からもリスペクトされていました。その証として、フレデリクス氏は、嘗て室伏広治選手が立候補し違反行為をして立候補を取り消されたIOCのアスリート委員にも満場一致で選ばれた人物であったとも聞いています。彼ほど実直で軽はずみな行いを慎み、曲った事を好まなかった彼が何故このような事を起こしたか?

F.フレデリクス氏の苦渋の決断

フランク・フレデリクス氏は、米国の大学を卒業後母校の指導者として仕事のオファーを受けたにも関わらず、彼は母国ナミビア(アフリカ)に帰国したのです。此処からは、筆者の私見及び推測に成ります事を先ず理解して頂ければ幸いです。

彼は、母国に帰りましても英雄だったと聞いています。それは、彼が将来のナミビアの大統領との噂も米国には流布して来ていた事から想像できるかと思われます。また、彼は、親日家でもありました。

そして、アフリカ諸国のIAAF加盟国、IOC加盟国の重鎮達からも尊敬し慕われる人物で在った事は事実です。既に当時IAAF国際陸連)の会長であったデイアク氏(セネガル)は、フレデリクス氏の人徳を十二分に知っていた事は言うまでもなかったと思われます。一方、デイアク氏親子は、アフリカ諸国に於いてあまりリスペクトされる人物でなかったようです。デイアク会長にとって、フレデリクス氏は政治的に利用できる貴重な存在であったに違いないと推測する次第です。

その証として、デイアク会長は、年若くしてフレデリクス氏をIAAFの重要ポジションに迎え入れ、同時にIOCの委員に推薦し、重要なポジションを与えていたのです。また、フレデリクス氏も、デイアク会長を後ろ盾にIAAFIOCの表舞台に立つようになりました。そこでまた、彼を将来のIAAF会長に、IOCの会長にとの噂が欧米にまで広まっていたのも事実です。このような事から、同氏とデイアク氏の関係は、抜け差しならない状態になっていたのだろうと推測せざるを得ないのです。

そこで、16リオ五輪招致に関するアフリカ諸国のIAAFIOC関係委員達の買収に手を染めてしまったのではなかったか。外電では、彼はデイアク会長の息子から約3000万円が手渡されていたと報道されています。フランス当局も認めています。

フランス検察当局は、フランク・フレデリクス氏を起訴し本格的な聴取、捜査を決断しました。確か2018春にフランス検察当局との間で司法取引(plea bargaining)に応じ、既に証言(testify)を行い、確か昨年秋ごろには母国ナミビアに帰国したのだと思われます

彼の性格からしましても、この司法取引は、大変苦渋の決断であったと推測致します。現在彼は、母国ナミビアで家族(二人のお子さんと妻)と平穏に生活しているとの事を風の便りで聞きます。今後さらなる証言に戻らなければならないようなので、許可なく渡航が出来ない状態が続くのかも知れません。時系列から致しますと、竹田恒和氏(JOC会長)がフランス検察当局から呼び出されたのは、20181210日であったので、丁度フレデリクス氏が母国に帰国した後だったのかも知れません。

彼が、2020東京五輪招致にリオと同じルートと手順で関わったかどうかの証言を司法取引で行ったかどうか、筆者は知る由も在りません。

彼と彼の家族が平和で健康的な生活に一日も早く戻れる事を遠い日本から祈ってやみません。犯した罪は、自ら償わなければなりません。勿論、米国の大学関係者、指導者、友人、知人達は、如何なる手を差し伸べる事もいとわない思いで彼の反省と再起を心より願っているに違いありません。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:フランク・フレデリクス氏の件は、積み重ねて来た若者の努力と栄光が、自身の心の隙間から忍び寄る悪魔の手により一瞬にして失ってしまった例ではないでしょうか。これは、他人事でなく誰にも起こりうる近年のスポーツ界である事を教えてくれました。今日、現在日本に於いても東京五輪関係者のみならず、本件は他人事でありません。次回NO.92では、2020東京招致委員会から2020東京五輪組織委員会への移行に起きる様々な報道されない陰湿な出来事を素朴な疑問としてお伝えできれば幸いです。

 

K’sファイルNO.90:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

KsファイルNO.902020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

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海外の読者の皆様へ

毎週K'sファイルをご笑読頂き有難うございます。サイトでの翻訳ソフトを活用されてのアクセスでは、本K'sファイルの内容が正確には伝わっていないのでないかと心苦しく思います。毎週10カ国(①合衆国、②ドイツ、③フランス、④英国、⑤スペイン、、、⑩の順です)から大変多くのアクセス、コメントを頂き感謝申し上げます。SNSを通して情報は、オンタイムで世界中に共有される時代となり、これぞグローバル社会の証しでしょうか。機会を見て海外の方々からのコメントをご紹介できる日もくるかもしれません。投稿された方の許可を頂いてからと考えています。深謝

 

第三弾:暗黒の五輪招致シナリオライターは何処に

1.2016東京五輪招致敗戦と無責任な委員達

2016東京五輪招致経過と結果

2016東京五輪招致を目的に、当時の東京都知事石原慎太郎氏を会長とした、特定非営利活動法人東京オリンピックパラリンピック招致委員会は、20073月に設置されました。同委員会には、最高顧問として当時の内閣総理大臣福田康夫首相、特別顧問に全大臣、顧問に全副大臣が就任したのです。本招致委員会のスタートは、国会議員、都議会議員等、オリッピック利権に群がる政治家の集団、招致委員会と称しても過言でなかったのが特徴のようでした。

しかし、2009年のIOC総会で2016夏季五輪開催地は、リオデジャネイロ市(ブラジル)に決定したのでした。結果として、大勢の政治家、役人が大挙したにも関わらず如何なるものでなかった事が理解されたのではないでしょうか。

16東京五輪招致委員会は、2010531日に河野一郎事務総長以下招致委員会全理事が退任。71日に東京五輪招致委員会は、「国際スポーツ東京委員会」に改称して、事実上の敗北を宣言したのです。

その後、本招致活動に関する金銭疑惑が国内に於いて次から次と浮上して来たのは読者の皆様も未だ記憶に新しいのではないでしょうか。

この問題は、先ず東京都議会議員らから、余りにも高額な支出について招致委員会への喚問に端を発したのです。16東京五輪招致総経費は、約150億円(内東京都分担金18億円)であったと報道されています。しかし、当時の招致本部の担当部長は、本招致活動に関して制作費用、制作会社、また、プレゼンテイションに要した莫大な費用が支払われている事に対する明細すら回答出来なかったのです。

此処で出て来たのは、東京都が負担した2009年度のIOC委員へのプレゼンテイション費用の総額2475万円、英国の映像制作会社に依頼した映像製作費が、何と10分間の映像が5億円費やしている事です。招致委員会の理事、評議員が実務に不向きなお飾り的なメンバーで、専門家を選考していなかったからなのか、広告代理店の言いなりの値が付いたと評されても仕方のないことでした。国民の血税がこのように使用されても、誰もそれを止めなかった事は大罪と言えると思います。

2012年に招致委員会の報告書は、報道陣に公開されたようですが、調査報告によりますと、なんと東京都知事石原慎太郎氏)は、16年度招致活動の8事業支出約18億円分の経理書類を保管期間であったにも関わらず、紛失したとして保存していなかったのです。その他莫大な経費の詳細に付いても、資料を紛失してしまったとの回答で、自らの責任を認めず逃げてしまったのです。残念でなりませんでした。

此れらは、またしても「98年長野冬季五輪後の経理の書類を焼却して何もございません」と言っているのと同類の行為と言えます。これらは、全て我が国、社会の無責任制度がその根幹をなしており、法治国家と言い難い体質そのものの様に思えます。今日も未だ改善されない最大の問題は、我が国の制度にあり、その制度を逆利用しているのでないかと筆者は思う次第です。

16年東京招致に関する経理の資料は、保管期限が義務付けられているにも関わらず、このような体たらくの委員会、役人達の責任感とモラルは計り知れず犯罪者の行為なのです。しかし、何の責任も問われず今日まで誰もが結論を求めない不思議な社会と公共組織、団体である事も確かなようです。このような伝統的な手法は、2020東京五輪招致委員会に引き継がれ、そして20東京五輪組織委員会へと継承しているのです。

此処で初めて出て来た民間企業は、「株式会社電通」という名の会社名でした。

 

2016東京五輪招致委員会 役員名簿一覧

会長 都知事 石原慎太郎 

副会長 JOC会長 竹田恆和、副知事 横山洋吉、谷川健次、佐藤広 

理事:都招致本部長 熊野順祥、 荒川満、  建築家 安藤忠雄  猪谷千春

岡野俊一郎、林務、遅塚研一、 福田富昭小谷実可子、市原則之、荒木田裕子 

事務総長: 河野一郎 

日体協会長: 森喜朗 

経団連会長: 御手洗冨士夫 

日商会頭: 山口信夫 岡村正 

都議会議員 山﨑孝明、 高島直樹 

JPC委員長 北郷勲夫 

オリンピアン:室伏広治 

監事 JOC監事 岩楯昭一、都財務局長 谷川健次、 村山寛司 

以上が16東京五輪招致委員会理事並びに役員です。

読者の皆さんは、是非このメンバーをご記憶して於いて下さい。これから20年五輪招致委員会、20東京五輪組織委員会理事、役員名簿をご紹介します。最終的に何方が本招致結果に対して神輿に鎮座し、そしてその担ぎ手は誰なのかをご想像頂けるかもしれません。そして、ポリテイカル・ビジネスゲームの勝ち組、負け組を理解され、読者のパズルの空欄を埋めることになるかも知れません。汚れたパワーゲームのアクセルは、これから一気に踏み込まれて始まるのです。

2.2020東京五輪招致活動に必要な人材は?

2020東京五輪招致創世記

石原慎太郎氏は、東京都知事に4期当選した後、2011410日に再度2020年オリンピック開催地への立候補をしたのです。そして同年915日に特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会(略:20東京五輪招致委員会)を設立。会長には石原慎太郎氏が、理事長には日本オリンピック委員会JOC)会長の竹田恒和氏が鎮座し、第1回理事会が開催されたのでした。

此処で本招致委員会は、何故か活動費の一部として広告代理店の電通から約69,000万円借り入れたとされているのです。本件に関する双方の経緯は、書面での一切の情報公開が国民、社会にはなされていません。

双方の貸し借りへの対価は、何であったのかの情報公開がなされないまま今日を迎えているのです。株式会社電通(略:電通)は、営利の広告代理店企業であり、招致委員会は非営利組織・団体でビジネス実践キャリアの無いいわば素人集団なのです。招致委員会は、電通を利用しようと安易な思考の基に関係を構築して行ったのでしょうか。それ以降は、物心ともに電通を頼らざるを得ない状況が日々醸成されて行ったのだろうと筆者は推測しています。

電通商法は、まさに日本の伝統的な近江商人の商法に酷似したビジネス手法の一つにように思えます。この手法は、丁度筆者が西武・国土計画に於いて堤義明社長から直接学んだ商法に酷似している事から経験値として感じる次第です。

電通は、バランテイアー企業でなく莫大な収益を求める会社、企業であり事業(ビジネス)の立ち位置にある事を本委員会の理事、役員達の何方が認識していたのでしょうか。逆に利用してやるくらいのレベルの思考回路しかなかったのか、或はその時点で電通に公私ともに世話になっていた理事、評議員、役人が多くいたのかも知れません。

呉越同舟の2020年東京五輪招致委員会

20東京五輪招致委員会は、上記のように2011915日に第1回理事会が開催さているのに対して、同年1128日には、政財界などの要人で構成した評議会の第1回会合が開かれ、13年1月には森喜朗副会長が評議会議長に就任した。

此処に20東京五輪招致委員会には、理事会のボスと評議委員会のボスの二頭体制が立ち上がり、これからいよいよ政争、利権闘争が開幕の火ぶたが切って落とされたのです。この招致委員会の構造から理事会、評議会は、何としても招致獲得に勝つ事でパワーゲームの勝者も確定すると読んでいたと思われます。よって、理事会、評議会と二股をかけ先読み委員、役員、国会議員、都会議員達が居たのもうなずけます。

企業電通は、何方が勝利しても利益獲得する為にも両陣営に協力、支援するのは当然のビジネスセオリーという次第です。

そして、委員会は、1130日に「ロゴ・マーク」が制定され、電通をスポンサー担当専任広告代理店として指名、契約を締結するに至った次第です。本契約の経緯は明らかにされていませんが入札でなく、随意契約であったようです

読者の皆さんなら、既にお気付きになったのではないでしょうか。東京五輪利権に関する抗争は、この招致委員会の中で既に繰り広げられていた構造と構図から感じ取れるのではないでしょうか。この招致委員会の理事会と評議委員会の二頭体制のパワーゲームがこの度の20東京五輪招致疑惑への暗夜行路にミスリードされて行くのです。この航路は、暗黒のネットワークへの入り口であったと思わざるを得ないのも無理からぬことなのです。

予知していた人物がいるとするならば、それは、20東京五輪招致活動のシナリオライターが全てを見通していたと思われます。このシナリオライターこそが、ポリテイカル・ビジネスのビジネスアドミニストレイターとしてのプロフェッショナルその人なのです。実践に強い頭脳明晰なシナリオライターは、世の中にいる事を後学の為にも覚えておいて頂きたく思うしだいです。即ち、自分だけが偉い、賢い、知恵者だなどと自己満足しているような方々は、このレベルの仕切りが出来る様な人物ではないのです。

2020東京五輪招致委員会理事会 

★は理事会/評議会の両方 

理事長 日本オリンピック委員会会長 竹田恆和

副理事長/専務理事 同副会長 水野正人

副理事長 同専務理事 同副会長 福田富昭

副理事長 同専務理事 市原則之

副理事長 日本障害者スポーツ協会副会 伍藤忠春

副理事長 東京都副知事 佐藤広

理事 日本体育協会 岡崎助一

理事 日本オリンピック委員会理事 橋本聖子

理事 同国際専門部会員 鈴木大地

理事 パラリンピアン 成田 真由美

理事 日本オリンピック委員会理事、アスリート専門部長 荒木田 裕子

理事 同理事、国際専門部長 野上義二

理事 同理事(元東京2016招致委員会事務総長) 河野一郎

理事 同総合企画・国際部長(元東京2016招致委員会事務次長) 中森康弘

理事 東京都スポーツ振興局長 細井 優

監事 日本オリンピック委員会監事 深津泰彦

監事 東京都財務局長 安藤立美

 

2020東京五輪招致委員会評議会 

★は理事会/評議会の両方

【会長】石原慎太郎 猪瀬直樹

[副会長】森喜朗(議長)竹田恆和★ 米倉弘昌 岡村正

【事務総長】小倉和夫

【事務総長代行】樋口修資

【委員】水野正人★ 河野一郎★ 細井優★ 遠藤利明 猪谷千春 岡野俊一郎

              鳥原 光憲 張富士夫 山田啓二達増拓也 村井嘉浩 佐藤雄平 長谷川閑史 

              槍田松瑩 中村芳夫 上條清文 松本正之 広瀬道貞 秋山耿太郎 古賀伸明 

              福井正興 相川敬 石澤義文 成清一臣 安西祐一郎 島村宜伸 土川健之 

              仲田和雄 松本好雄 石黒克巳 笹川陽平 王貞治 樋口久子 川淵三郎 

              鈴木寛 奥村展三 溝畑宏 

以上2020東京五輪招致委員会の理事会、評議会メンバーをリスト致しました。

 

⑤真必要な実戦部隊の人材は何処に

2020東京五輪招致員会の理事会、評議員会には、まだ株式会社電通の関係者の名前をお見かけ致しません。しかし、電通に通じた代弁者は、複数見当たります。本招致委員会の中には、残念ながら本物のスポーツ・アドミニストレイターの姿は、見掛けられないようです。よって、メンバーには、オリンピック招致に必要不可欠な真の情報収集力を期待するのは難しいのであります

近年の巨大なスポーツ・ビジネスの成否は、情報の入手力、その為のネットワーク力、即ち何処の誰が必要不可欠な情報のイグニッションキー(車のエンジンをスタートさせる鍵)を保有しているか否かにかかってくるという事です。そして、その情報が真の情報か否かを見極める為には、見極めるスキルもあるのです。このように得た高価な情報は、次に如何にして活用するかリテラシーLiteracy)の能力に委ねられると申し上げて過言でありません。

本イベントを勝ち取る為には、上記役員、メンバー達は組織・団体を形成する為の社会、国民、都民への信用担保のような物なのです。これから必要不可欠な莫大な資金集めの為には、如何にして国、都に対して、また民間企業のスポンサーを信用させるための担保として、集金ゲームの準備をする為の顔見世興行と理解された方が理解し易いかも知れません。

真に招致を勝ち取る為には、この時点で既にシナリオライターの構図に基いた真の情報の収集に日夜心血を注いでいる部隊が居たとお見受け致す次第です。

よって、その真の最前線の人達には、このようなお飾り的な委員会、政治家、役人リストは招致を勝ち取るために何の意味もなさない事を百も承知しているのです。勝負は、此の時期既に水面深く潜航して、真のキーを探している企業戦士達の高度な情報収集能力にかかっている次第です。

それは、本招致ゲームに勝利する為に必要なキーを誰が握っているか。そしてその確証を握る人物に如何にして近づき手に入れるか。そこでは、どれ程の軍資金が必要でその確約をどう担保できるか。ゲーム展開からみて、勝敗の分かれ目は、IOC委員の数十票に全てが集約される。それは、リオで見せつけられた開票結果からであったのです。

勿論、本シナリオライターは、勝者リオ招致の分析、IOC委員達の動向、等、全ての情報を入手していたと推測出来ます。要するに、20東京五輪招致の勝利の方程式は、リオ招致成功マニュアルのコピーであった、と言われても不思議ないと筆者は分析致しております。その証は、20東京五輪招致疑惑がリオ五輪招致事件と酷似である事からも、疑われてしかるべきなのかも知れません

此処で、プロのスポーツ・ビジネスアドミニストレイターに近づく情報、手立てを一番よく実践経験を通して持っている組織・団体のコマンド部隊を動かさざるを得なくなるのです。また、勝敗の行方を担保する為には、この度の招致疑惑のルート以外に数本のルートを開発している事は容易に想像できるのです。しかし、現時点では、他の複数のルートに付いては、フランス当局の事件との関わりを持たないためにマスメデイアに曝されて居なのかも知れません

筆者が本プロゼクトGMであったなら、必ず勝敗を左右する為の安全弁として複数の他のルートの開発と担保を確保して置きます。それは、本ゲームのキーを預かる指揮官としての鉄則でありプロとしての当然の戦略なのです。

此れが世界を相手に戦うスポーツ・ビジネスアドミニストレイターの真骨頂で、その真価を問われるこれが勝負どころです。次回ご期待ください。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

如何でしょうか。頭脳明晰な読者の皆様の脳神経に刺激が与えられ、どんどんと神経細胞が活性化し、脳の各分野にインパルスがエネルギーを運び始めた時期でしょうか。次回は、本招致活動に於ける本論に入れたらと思います。

K'sファイルNO.89:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

K'sファイルNO.892020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

            無断転載禁止

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読者の視点~

K’sファイル88を読ませていただきました。東京2020大会においては、竹田会長の疑惑も含め様々な利権等が複雑に絡んでいるものと多くの国民が思っているものの、それが何なのかよく解らないのが現状ではないでしょうか。今回のファイルを読んだ読者は、「なるほど、そうだったのか」「そうだよな」と感想をもたれたと思います。」読者からの貴重なお便りを頂きましたのでご紹介させて頂きます。

第二弾:五輪招致神輿に担がれた旧宮家三男

竹田恒和氏とは

ご紹介:

竹田恒和(タケダツネカズ)生年月日:1947111 (71)出身地:東京都、学歴:慶應義塾大学  同氏は、旧皇族竹田宮恒徳王の三男。今上天皇のはとこにあたる。 日本オリンピック委員会会長。国際オリンピック委員会委員。2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副会長。国際馬術連盟名誉副会長、日本馬術連盟副会長。 Wikipediaより~

竹田氏は、馬術競技で五輪出場経験を持ち、2001年にJOC会長に53歳で就任。以降17年もの長きに渡り会長職を務め、招致決定時は日本人唯一のIOC委員で、日本に於いては今日に至るまでオリンピックの顔として玉座に鎮座されている方です。

この度の招致疑惑に関する事案は、2020東京五輪招致委員会の事務局、理事、評議員達が知らなかったとするならば、その人達は、何の為に選考され、何の為に招致委員会の要職に就き、何をしていたのか、ただブラジル、リオジャネイロ市にプレゼンテイションにそろいのブレザー姿で公費を使ってのドンチャン騒ぎをする為の要員として集められたわけでない筈なのです。そうでないなら無責任極まりない人たちの集団であったと断罪されても仕方がないと思われます。

筆者は「ことの詳細を存じ上げています」と言う誠実で正直な関係者がいつ現れるかと静観致しておりましたが、今日に至っても未だに誰ひとりとして現れて来ないのが実情です。竹田恒和氏(当時20招致委員会理事長、JOC会長)は、本件に関わる統括責任者である事に間違いありません。しかし、本件は、竹田氏自身が本コンサルタント会社へのアレンジメント、調査、そして契約に至る過程まで、交渉、契約署名、送金に関する全ての行程をただ一人で遂行できたとはとても思えません。

全てを存じている人物は、竹田氏を除いて、この規模の事業から想像するに、恐らく10名以上で、その方々の中には主犯格であるボス(指示を出す人物)が居ると推測されます。その人達は、竹田氏を1人矢面に立たせて、何食わぬ顔でだんまりを決め込んでいるのです。スケープゴート役は、竹田氏の本来のお役目なのか、そうであるならばK'SファイルNO.87で述べました通り、同氏は真に神輿に担がれた操り人形でしかないのです。神輿の担ぎ手は、どのような人達なのか。このような発言をする同氏は、何故この玉座に長年座り続けていられるのでしょうか。此の国では、この様な人物だからこそ座れるのかも知れません。同氏への対価は、何だと読者の皆さんは推測されますか。興味深いですね。

本件に関わった人達は、必ず存在し今尚重要人物としてその後の組織に関わっている事はまぎれもない事実と考える事の方が正しいかと思われます。競技スポーツは、ルールの下で勝敗が決せられますが、このようなスポーツをCOREとしたポリテイカル・ビジネスゲームには暗黒の闇が奥深く底の方に重く垂れ込めているように思われます。

②竹田理事長が知っていた事と知らなかった事

知っていた事:

1.シンガポールのブラック・タイデイングス社(略:BT社)と2020五輪招致委員会 は、コンサルタント契約を結んだ事。

本契約書は、二つのコンサルタント契約が含まれていた事。

1度目の契約(2013年7月):その趣旨、目的は、ロビー活動、関連情報を収集する業

務委託契約書であると説明した事。

2度目の契約(2013年10月):これは、一つ目に対する成功報酬に基く契約であると説明した事。

筆者の疑問:

BT社が契約の趣旨、目的であるロビー活動、関連情報を収集するに相応しい会社である根拠が全く情報公開されていない。この契約内容なら何故契約書を公開して、自身の身の潔白並びに日本国への疑惑を晴らそうとしないのか、或は証明できないのか?

②竹田氏は、1度目の契約は、契約の全容を知らずに署名したと説明した。同氏の常識は、どのような尺度なのか。

2.コンサルタント契約書に同招致委員会理事長として署名、捺印した事。本契約内容は、衆参両院の予算委員会で説明、国会で本件への追及は無かったとの事。

筆者の疑問:

①衆参予算委員会は、何故理事長に本契約書の開示を強制的に求め精査しなかったのか。本件の追及をしなかった理由が不明。

②本件以外にも、異なるルートで同じような契約、作業は、あるのかないのかの確認が委員会ではなされていない不思議。

3.本契約料は、合計2億3000万円であった事(内訳:20137月に第一回目が、10月に第二回目がBT社の銀行口座に入金済、その後BT社は解散)。

筆者の疑問:

①第二回目の入金は、ロビー活動に対する成功報酬(インセンテイブ)となっているようですが、成功報酬は何を持って成功とするかの説明が欠落している。

②竹田氏は、何故この場に及んで契約書を公開できないのか。契約書を公開する事により何を依頼したのか、その成果と結果が明らかになり、何のための成功報酬を契約に明記してあったのかが、明らかになる事を恐れているのか。

知らなかった事:

1.BT社の代表のタン・トンハン氏(36)は、当時名前は知っているが会った事はない。

筆者の疑問:

①竹田氏は、守秘義務を理由に契約書の開示を否定した。しかし、契約相手の代表者は、既に有罪人で収監される人間である。誰を庇っているのか。

②本契約書は、現在何処の誰が預かり保管しているのか。98長野冬季五輪と同様に既に焼却処分して存在していないのでないか。

2.BT社の関係者に当時国際陸上競技連盟(略:IAAF)会長のラミン・デイアク氏(Lamine Diack193367 生まれ、セネガル陸上競技選手、ダカール出身。国際陸上競技連盟5代会長。IOC委員)の息子で当時の国際陸連コンサルタントのパパマッサタ・デイアク氏((Papa Massata Diack)が関係しているとされる事を知らなかった事。

筆者の疑問:

①招致委員会の最高責任者がBT社の代表者がどんな人物でどんな会社、及びその背後関係者も知らないで法人契約をし、莫大な公金を送金したなど信じ難い話です。

②海外の報道では、本契約が本ルートによるアフリカ系のIOC委員10名の票の買収に対する対価であるとも言われている。本契約を開示する事によりその疑いを堂々と否定できる証しとなるはずですが、何故拒むか。

以上が当時から今日までの間、竹田氏が本件に関して自ら認めている発言内容であり、既にマスメデイアによって報道された項目です。

これらの発言内容は、我が国の国会議員及び役人達の都合悪しき時の発言に酷似であるように思えてならないのです。海外のマスメデイアが確かいみじくも、竹田氏は、政治家発言をすると評していましたが、まさに同氏は政治家に向いているのかも知れません。

③筆者の素朴な疑問

此処で見逃してはならない重要なポイントは、通常この規模に於けるビジネス取引、ネゴシエーション(交渉)、契約の詰めに於いて竹田氏の対応発言が非常に幼稚な一面を露呈している事です。

竹田氏は、「BT社との契約に関し、如何なる意思決定プロセスにも関与していない。本件に関与した人達及びその承認手続きに疑う余地など無かった」と断言している事です。それでは、その人達が誰であるかを明らかにする義務があります。

同氏の言葉を借りますと、「本契約に当たり、決断したのは私ではない。署名、捺印してくれと持ってきた人達を信用していました」という事になるのでないでしょうか。関与していない最高責任者が、何故署名、捺印したのか。これは、本業界に於いての自殺行為と言われます。

また、同氏は、「BT社と国際陸上競技連盟前会長とその息子がどう関係していたか、私は知らなかった」とこれも断言しています。

この二つの断言は、今後同氏に最重量級のストレスが圧し掛かってくるような気がします。何故なら、竹田氏の発言は、「同氏が信頼に足りる理事、評議員の複数の関係者、及び委員会外の本件に関わる重要な企業関係者が、BT社及び代表者について、本契約を履行できる人物・法人であると担保したので、私は署名、捺印した」と言いたいのかどうか。

此れが竹田氏の本音であるなら、筆者は、招致委員会の理事会、評議員会がスポーツ・アドミニストレイターとして相応しくない人物を理事長に選任した事の責任が重大であると確信する次第です。当招致委員会の理事、評議委員の役員名簿は、次回ご紹介させて頂きます。

報道によると、このような竹田氏の発言を受けて、招致委員会にいた関係者からは「発言は、自分の保身のために部下切り捨てに聞こえる」との批判がでていることからも、招致委員会の関係者の中には事実を知っている人が多く居ると想定できます。

竹田氏本人は、事の次第を仕掛けた人達から充分に説明を受け、自らも理解と認識の上での署名、捺印したのかも知れません。

何れにしましても、招致委員会の関係者及び関連企業関係者の中に、竹田氏が契約書に署名、捺印するに足る、必要な情報及び資料を提供した人達が居た事に違いないと思われます。よって竹田氏は、情報、資料を担保できたので署名・捺印した。と筆者の経験からも仮説が成り立つ次第です

此処で現実的な問題が明確になった事です。招致委員会が契約をしたBT社・代表者のタン・トンハン氏は、関連事件で本年1月16日にシンガポール裁判所に於いて実刑判決を受け、2月20日に収監が予定されている人物でした。

これにより、竹田氏及び20東京五輪招致委員会が契約した相手は、信頼するに足る人物でなかった。との証明がなされたのではないでしょうか

この様な状態を客観的に見ても竹田氏のみならず、理事会、評議会の関係各位の責任は明らかであり、現時点に於いても限りなく黒に近い状態であるように思えてなりません。問題は、フランス当局が招致委員会から送金した金が、最終的に誰の手(IOC委員)に渡ったかの確証を握っているのかどうかに今後焦点が絞られてくる次第です。

読者の皆様は、K'Sファイルを読み進めて行くに伴い、不可思議な抜け落ちたパズルのピースを埋め込んで行けるかも知れません。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

この度のK’sファイルNO.89は、如何でしたでしょうか。読者の皆様には、少し本疑惑の本質がフォーカスされて来ましたでしょうか。本疑惑に関する本質的な部分の幾つかをフォーカスしてみたいと思います。ご期待ください。

K’sファイルNO.88:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる 無断転載禁止

KsファイルNO.882020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

            無断転載禁止

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第一弾:JOC竹田恒和会長への疑惑とは何!

先ず初めに

筆者は、本件に関し招致活動に関係を持ち合わせていない事をご承知おきください。そこで本件に関しましては、スポーツ・アドミニストレイターとしてこれまでの類似した経験、体験、等を加味して論じさせて頂きます。

このことから一般の読者の方々とは少し異なる視点になるかも知れませんがご了承下さい。読者の皆様には、複雑怪奇になった問題点、人間模様、事の真相、等をできる限り判りやすく、シンプルに述べさせていただき話題と理解を共有できましたら幸いです。また、K’sファイルの過去の原稿をリマインドして頂くために添付させて頂きますので熟読して頂ければ、よりスムーズに理解頂けるかと思います。

 

①疑惑とは

この度、竹田恒和JOC日本オリンピック委員会Japan Olympic Committee)会長の問題は、2020東京オリンピックパラリンピック(略:2020東京五輪)招致活動に於いて、国際オリンピック委員会(略:IOC)委員を買収したのでないかとの嫌疑が色濃くなってきたという報道に端を発したものです。

本件は、2016年五輪招致活動に失敗後、本格的な敗因の究明もなされないまま、2020年五輪招致活動へと突入し、20139月に東京での開催が決まるまでの間に起きた問題でありますことを先ず明記させて頂きます。また、本件は、招致活動当時から、開催都市決定後に於いても我が国及びJOC関係者、招致委員会関係者、政治家達、企業関係者に内外からの疑惑の目が向けられていたのも事実でした。しかし、疑惑の中心人物達は、誰もが自らへの嫌疑は否定しても、その裏付けとなる説明及びエビデンスの情報公開は一切行わず、疑惑は深めても解消には至っていなかった事をご承知おきください。

昨年1210日、フランス裁判所の予備判事は、JOC竹田会長を本件に関わる容疑者として本格調査に乗り出し、本人を事情聴取の為に当局に呼びだしたのです。竹田氏は、「潔白」を主張して帰国したとの事です。しかし、このような事情聴取がフランス当局に呼び出され、在った事すら同氏は国民や社会に報告、開示していませんでした。フランス当局及び海外マスメデイアから事実を明かされて初めて、JOC2020東京五輪組織委員会の担当マスメデイアが色めき出し、全て後追いの報道でありました。

竹田氏は、海外マスメデイアの情報が日本国内に入り、初めて担当記者達に対応せざるを得なくなった。これも口を開かざるを得なくなったというのが本音でしょうか。そして、竹田会長は、苦し紛れに本年115日、東京都渋谷区の岸記念体育会館(日本スポーツ協会本部)に約140人もの内外メデイアを集めて、約30台のTVカメラを前に記者会見を始めたのです。

しかし、この会見も日本のオリンピック委員会、スポーツ界を代表するスポーツ・アドミニストレイターの頂点に位置する人物の記者会見とは、ほど遠い内容であった事を読者の皆さんも既にご存知の通りです。

JOC竹田会長の記者会見内容とは

記者会見は、竹田氏が準備していた一方的なメモ読みのみで、質疑を阻み、たった7分間でお開きとなった次第です。集まったマスメデイアが憤慨したのも当たりまえの出来事でした。

内容は、「この騒動で2020東京五輪パラリンピックの準備に携わる人達への影響を与えかねない状況になり、本当に申し訳ない気持ちです」とのお詫びに始まり、「フランス当局の調査に全面的に協力し、潔白を証明したい」と述べた次第です。

本題は、シンガポールコンサルタント会社への支出(23000万円)の正当性を述べたに過ぎないものでした。また、JOCは、同氏の正当性を裏付ける資料として、JOC調査テイーム(身内で編成した第三者委員会)が、3年前に結論付けた「IOCの倫理規定に違反しない」とした調査報告書を配布したのです

筆者は、JOC調査テイームの最終報告書は身内の調査であり、正当な調査ではなかった事は素人でも判る事であったと思います。これを持って「潔白」だと言われても誰が信じるでしょうか。此れが、日本を代表する人物の本件に関する記者会見であったとは、誠に寂しく、貧しい資質この上ない限りでした。竹田氏は、何処の誰が推薦、任命し、この席に長期に渡り鎮座していらっしゃるのか、重大な問題である事をスポーツ・アドミニストレイターの視点でこれから述べさせて頂きます。

フランス検察当局から竹田恒和氏(JOC会長、71)への嫌疑とは、2020東京オリンピックパラリンピック招致の為に必要なIOC投票権を持った委員への買収疑惑なのです。

③筆者の見解

筆者は、同氏のこの度の会見での対応、資質からしてこの国のスポーツ・アドミニストレイションの縮図を見ているような気がしました。竹田氏は、2001年にJOC会長職に就任17年余りに渡りこのような重要な日本スポーツ界の看板を背負わされ、重責の玉座に鎮座し、実質は神輿を担いでいる人達に操れている構図が透けて見えるような気がするのです。これは、20東京五輪組織委員会に置いても同じ構図にお見受けする次第です。

此の事が事実であるなら、115日の本疑惑に対する「記者会見」での発言は、無理からぬことと理解出来ます。しかし、このような組織構造に於けるスポーツ・アドミニストレーションは、限りない闇取引の温床と化し、疑惑が犯罪へと移行している、極めてリスキーで危険な環境と状態であるように思えてならないのです。

 

④リマインドとしてK’sファイルを再開示  

K'sファイルNO.382020東京五輪の不可解なおもてなし 無断転載禁止

PARTⅠ.~政治家による政治家の為の東京オリンピック大会~

注:河田弘道は、オリンピックが日本で開催される事に大賛成です。しかし・・・

第一弾:スポーツ・アドミニストレイター不在のツケ

①招致活動での建前と招致後の本音

どうして最初から本プロゼクトには、政治家達(現職国会議員、元国会議員、現職都議会議員)がやけに目立つのか。これほど露骨に政治家達が表舞台に顔を出す五輪は日本だけではなかろうか。K'sファイル読者の皆さんは、不思議に思われませんか。

2016東京五輪の招致活動失敗から2020年東京大会開催決定、そしてその後今日迄、これほど開催に関する問題が内外共に起きる、起きた事例が嘗てあっただろうか。

16年招致活動の大義は、1964年東京五輪から半世紀を迎え、「レガシー・プラン」として前回五輪の施設も活用しながら、コンパクトな五輪を掲げました。そして20年招致は、東日本大震災からの復興の加速と世界への感謝をアピールするプレゼンテイションがなされたわけです。費用の掛からない無駄のない、コンパクトなオリンピック・パラリンピック東京大会は、招致の為の旗頭と謳い文句に掲げてきました。しかし、いつの間にか大義の震災復興は、何処かに消え、予算は、とんでもない莫大な公金が実態として流し込まれ続けているのが実状です。

これに対して誰も歯止めを掛けようとしない。確か小池百合子都知事は、選挙で予算費用縮小を訴えて歯止め役を買って出て当選した筈ですが、筋金入りの政治家では無かった事を現在露呈しています。金は、全て組織委員会の御用達の印刷会社がプリントしているかの感覚で湯水のように使っているイメージがしてなりません。

プレゼン当初の予算告知額は、いったい何を根拠に試算された数字であったのかと、ふと頭に疑念が巡ります。いったい当初の予算の何倍の公金を投入すれば気が済むのでしょうか。此れだけの資金があるのなら、何故もっと有効にオリンピックのみならず困っている現実の社会、国民の為に活用するべきであるとは思いませんか。此れでは、限りなく国の借金が膨らむばかりです。関係者達の後は野となれ山となれ的では、此の国のスポーツどころか国が滅んで行く姿が判らないのでしょうか。

このような展開になる事は、当初より予想していた事なのですから、何故五輪招致を思考し始めた時点で「ロス方式」を検討しなかったのか。話題にも出なかった事、出さなかった事が今後大きな禍根を残す事は必至で、既にその階段を一歩また一歩と上がっていっているのです。ロス方式は、公金を1セントも使わず、440億円の黒字を出した素晴らしいプロゼクトモデルなのです。

このような優柔不断なオリンピックプロゼクトから、国外からは、招致活動に関わる裏金問題を指摘され火消しに躍起となり、国内に於いては、オリンピックロゴ・タイプの盗作問題、国立競技場の設計入札疑惑問題、設計者及び関係会社への契約変更、違約金問題、予算の不透明疑惑、そして、その間に開催都市の都知事が本件がらみを含めて3名も不名誉な交代劇を演じ、その都度掲げる公約に一貫性が無く、失言を海外に告知し、現知事は、威勢よく乗り込んできたが政治家同士の利権のつぶし合い、奪い合いを見苦しい程内外に曝し知らしめ、スポーツの祭典がこれでは「品の悪い政治家の祭典」と相成った感じが否めないと感じるのは、私だけでしょうか。

②問題の発端とプロゼクトマニュアルの欠陥

静観して見ていますと一つの方向に問題が偏っている事が透けて見えて来るのです。それは、2020東京オリンピックパラリンピック開催招致活動のプレゼンテイションで公言、公約した予算が全くの招致する為の「飾り予算」で在った事です。これがそもそもの本プロゼクトの「トリックの起点」となって、国民、都民の税金を湯水のように投入するストーリーが仕組まれていたような気がしてならないのです。今は、この描かれていたシナリオに略近い流れで進んでいるので本プロゼクト立案、遂行している執行部達の意味深な笑みが目に浮かびます。

この招致活動初期から、関係省庁及び関係機関、東京都は、種々の思惑の人達が絡み合い複雑怪奇な様相でスタート致していました。これをスポーツ・アドミニストレイターの視点で指摘させて頂きますと、そもそもの最大の問題は、主催者に当たる都知事が本巨大プロゼクトに強い興味を持ち、都民の税金で招致活動に邁進、自身が幕開けから幕閉じまで首を突っ込んで、利権の構図を描きその利権に手を突っ込んだことから今日の限りなく高騰する資金(税)投入に点火したのが発端と思われます。

当時より利権をせしめようとする東京都議与党軍団、都知事とそうさせまいとする文科省OBを中心とした超党派で構成する国会議員連盟団の利権グループが当初より抗争していたように見受けられたのです

嘗て1974年にIOCの「オリンピック憲章」からアマチュアの定義を削除せざるを得なくなったり、1976年カナダ・モントリオール大会が、オリンピック大会史上例を見ない巨額の赤字負債を抱える大会となった事などを契機に、IOCはオリンピックにスポーツビジネスを解禁し、プロ選手の参加に扉を開いたのでした。

しかし、その後この改革の弊害が毎回の開催都市招致に関わる闇の世界を構築、獲得票を集めるための莫大な裏金で買収する暗黒のネットワークを生み、大会の巨大化に伴う主催国、都市に莫大な資金を投入させて大会を肥大化させ、負のレガシー(遺産)を山積みさせて来たのでした。そして2020年東京大会は、最後の巨大化されたオリンピック大会の負のレガシーの終焉であろうと言われるに至っています

本東京大会以降は、大会招致の国が激減し、ついに2024年パリ、2028年米国ロサンゼルス市とプレゼンする競争相手も無く、24,28大会が自動的に同時に決まったのも偶然ではないのです。いったい東京大会招致活動は、何だったのでしょうか

此れは、まさに1976年のモントリオール大会後にオリンピック大会招致に興味を持たなくなった国々が出た時期に戻り、歴史が形を変えて繰り返される事になったのです。この事は、東京大会招致委員会にとっては、因果と言う表現しか見当たらないように思えてなりません。IOC理事達の罠にまんまと日本の政治家達がはめられた事に等しいのです。

東京大会開催組織委員会は、このことを如何に理解しているのか、いや、気にもかけている様子もなく、ただ国税、都税をいくら引き出すか、引き出せるかに奔走している状態が、今尚続いている様子が伺えます。勿論、スポーツ振興機関からの補助金、コマーシャルスポンサーからのスポンサーシップとサポートを受けているのも事実です。本来は、国民、都民の公金を当てにしないで2020年東京大会を招致活動で勝ち得た方法があったのも事実です。

当時、招致関係者達が、公金を使わない大会擁立に誰も興味すら示さなかった理由は何故だったのか。K'sファイルの読者の皆様はその結論に至るかと思われます

 

以上K’sファイルNO. 382020東京五輪の不可解なおもてなし、PARTⅠ.~政治家による政治家の為の東京オリンピック大会~ をリマインドさせて頂きました。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:次回Ksファイルは、本当にJOC竹田会長に全ての責任があるのか否かについて述べさせていただきます。

 

K’sファイルNO.87:インタビュー記事のお知らせ

K’sファイルNO.87:インタビュー記事のお知らせ

 K’sファイル読者の皆様へ

2月2日、土曜日、朝日新聞朝刊に「河田弘道へのインタビュー記事」が掲載されるようです。ご興味がございましたらご笑読頂ければ幸いです。

朝日デジタル版もあわせて掲載予定です。2月3日よりデジタル版無料掲載をご利用下さい。URL: https://digital.asahi.com/articles/ASM1P3SY6M1PUTQP008.html

取り急ぎお知らせまで。

 河田弘道  2019年2月2日

K'sファイルNO.86:新春東京読売ジャイアンツの開幕 無断転載禁止

K'sファイルNO.86:新春東京読売ジャイアンツの開幕 無断転載禁止

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読者からの便り:K’sファイル8485、を自分の事として、読ませて頂いております。本当に河田先生がおっしゃっています生きた実践指導を受けている気持ちで背筋を正して勉強させて頂いております。これから春のキャンプに向かいます。キャンプの宿舎で仲間たちと夜の勉強会を始める予定です。此れで今年のキャンプでは、自分の為になるありがたい講義が受けられます。いつも貴重な専門知識を頂き頂きありがとうございます。お礼まで。

第三弾:TYG独り勝ちの時代の終演と新時代の幕開け

ドラフト・FA制度を歪める人のエゴ

ジャイアンツ(東京読売巨人軍TYG)独り勝ちの時代は終わりを告げ、新しいプロ野球界の足音が響く昨今となりました。この最大の要因の一つは、嘗てのような社会的にスーパースターと誰もが憧れ、認める選手がいなくなった事です。また近年のスーパースターと呼ばれる選手達が皆アメリカの地に憧れ、MLBを目指して海を渡っているからだと思います。

TYGに関して言えば、この現実に至った主たる原因は、球団、テイームの根幹をなす選手を育てる事を疎かにし、さらに選手を育てる指導者の育成も疎かにしてきたツケであることは明白です。完成した選手を買い集めると言う安易な経営者の手段、方針が、この現実を醸成して来たと言ってもいいと思います。

しかし、これも経営者がこれを最善であると決断したのですからそれは誰にも批判できるものでありません。その間に両リーグの多くの球団が、試行錯誤しながらジャイアンツに追いつけ、追い越せと地道な努力により、今日見違える様な球団に変身して行っているのは読者の皆様が実感する通りだと思います。何か古き良き時代の伝統的な球団だけが取り残されて行っている感がしてなりません

嘗て、1993年にTYGが主導的な役割を果し「逆指名」なる制度を打ち出し、本来のドラフト制度の趣旨、目的を歪める事態を形成して来たのはまだ記憶に新しい事です

この制度は、各球団2名迄欲しい選手を、選手側に逆指名させて獲得できる方式で、1位、2位指名確定後にドラフトを行う変則的な新人選手選択会議で在りました。その後、逆指名できることによる金銭的な競争が表面化し、名称を「自由獲得枠」と変えて各球団2名まで新人選手を確保できる方式に変更されました。しかし、これは名称が変更されただけで実質は変わらず、逆指名同様の問題が依然として解消されず、指名選手への契約金、年俸の上限の約束事が形骸化される事になったのでした。

莫大な裏金は、高校、大学、社会人選手に飛び交い、裏金の実態が発覚して社会問題にまで発展しました。複数の球団の経営者、管理者、選手達がその責任を取る形で終息した次第でした

丁度このような時期と前後して、プロ野球の複数の球団は、ドラフト対象になる高校球児を球団と関係の深い大学、社会人テイームに送り込み、意に沿わないドラフトを避けるための避難所としていた事もまぎれもない事実でした。その悪しき伝統と関係は、現在も尚継続しているようです。この特殊な指名制度及び名称は、裏金発覚事件の後消滅したのです。

結論から申し上げると、このような特殊な指名獲得方法は、特定の球団に対する偏ったメリットで始まり、ドラフトの趣旨、目的である「共存共栄」の原理原則を蔑にした新人選手獲得でしかなかったのですプロ野球界には、正義も公平も無かった事を社会に証明した事件の一つでした

しかし、1970年代後半の江川事件の手法と所業は、逆指名、自由獲得枠制度が消滅した後21世紀の今日も依然として改まる事無く、ドラフト拒否選手並びにその関係者が後を絶たないのは、何故なのでしょうか。

筆者は、最終的には直接関係する人達の心にどれ程の「正義Justiceと公正・公平Fairness」の理念、共存共栄の精神を尊重する経営者がいるか否かであると思います。読者の皆様は、日頃どの様に感じていますでしょうか。

ドラフト・FA制度の真の目的

フリーエイゼント制度(略:FA)は、前回も述べましたが現行のドラフト制度に対する選手への対価として認められている制度です

ドラフト指名制度は、各球団の戦力が拮抗する事により対戦カードが白熱し、ファンは一層熱量が増し、ひいてはプロ球団個々の事業(ビジネス)の拡大を図るツールとしても最善で最高の制度として導入されたのです。

もしこの制度を止め、TYGだけが毎年スター選手を獲得し、戦力拡大を図った場合、他球団との格差は一層広がっていつもTYGが勝ち、ゲームはつまらなくなって集客が期待できなくなります。そこで生まれた制度がこのドラフト制度なのです。

ドラフトにより選手が各球団に決められた期間拘束される事は、その対価として選手に拘束期間(MLBの場合は5年間、NPBでは8年高校卒、7年大学卒、社会人)明けに自由に行きたい球団と束縛なく交渉できる権利を与えたのです。

過去にTYGの経営者は、ドラフト制度の撤廃を声高に叫ばれていました。その理由は、選手個々は、人として職業選択の自由がある、との指摘であったと理解しています。選手が希望する職業の野球業に就職する自由は、誰にも奪われていません

ここで大切なのは、プロ野球という特殊な枠の中で行われる競技は、他にテイーム(球団)が無ければビジネス、興業が成り立たないという事です。テイーム競技スポーツには、どうしても対戦相手が不可欠で、そのテイームが集合体を結成して初めてリーグ戦が成立する仕組みと構造なのです。

それでは、TYGが主張した「ドラフト制度が選手の職業選択の自由を奪う」と理解するならば、欲しい選手ばかりを集めるTYGと、何処の誰が野球というビジネス、興業をするというのでしょうか。そこには、競技のルールと罰則以外にも、ビジネスを行う上での協約、規約が必要となり、各テイーム、所属選手、関係者、球団、組織が共存共栄できる環境を整えなければ事業として興業が成り立たない事を理解しようとされていないわけです。

ドラフト制度は、プロ野球という集団、組織の戦力が拮抗する為に人の自由を拘束する制度であり、その対価として選手にはFA制度の権利が与えられました。即ち皆が共存共栄する為に作られた大事なルールなのです

TYGの経営者には、共存共栄の原理原則をご理解して頂き、協調性の精神を是非養って頂きたい次第であります。

経営者の極端なエゴを最優先させる事は、最終的には社会、業界、ファンに取り残されて行くのが自然の論理なのかも知れません。そのような経営者には、一日も早く気付いて頂きプロ野球、球団は日本社会に於いて大事な公共の財産として社会に還元して頂きたいと筆者は、スポーツ・アドミニストレイターとして切に願う次第です。

球団経営者と選手間の力関係が不均衡

読者の皆様は、毎年シーズン中、シーズン後にFA資格取得選手がNPBよりマスメデイアを通して公表されて知る事となります。日本的なFAルールには、MLBと違って、完全な自由をFA取得選手に与えるのでなく、細かな縛り付けがなされているのはいかにも日本人的な発想からか、利害、利権の観点からか、最後の最後までFA選手から利権を剥ぎ取ろうとする魂胆が見え隠れしているのです。

FA資格を取得した選手達は、シーズン中どのような思いでプレーをしているのでしょうか。FA選手は、毎年取得条件を満たした選手が資格を得て告知されるのです。しかし、FA資格を取得したからと言って全ての資格者がその利益を獲得できるわけではありません。殆どの資格者は、所属球団と再契約して残留するケースが一般的なのは御承知の通りです。読者の皆様が注目するような選手達は、入団からFAを取得するまでの間、名実共にプロ野球界で活躍し実績を残して来ている選手達なのです。その中において、ある選手は、ピークを迎え、またある選手は既にピークを過ぎ、と様々な現実を抱えているのです。

ところで、FA権を取得した選手は自身の権利を行使するかどうか、なかなか態度を表明しない理由と原因は何処にあるのでしょうか

読者の皆さんは、大多数の選手が態度を保留する状況を不思議に思われているのでないでしょうか。そこには、理由があるのです。此れもMLBのFA権取得選手と日本のFA選手とでは違いがあるのです。

此処で先ずMLBと日本的FA制度の違いを説明したいと思います。前回のK’sファイルで触れさせて頂きましたが、覚えて頂いていますでしょうか。その一つは、MLBのFA選手は、完全に自由契約選手として何処の球団とも交渉可能、勿論旧所属球団との交渉も自由なのです。しかし、日本のFA選手は、先ずFA権を行使するか否かの選択を迫られます。FAを行使する場合は、宣言をNPBにしなければならず、また、FA権を行使せず保留にして、その後も行使する権利を有しているという複雑な状況にあるのが特徴なのです

他に大きな違いは、MLBの選手は、個々に交渉代理人(エイゼント)を持っている事です。日本の選手は、選手会・労組が代理人制度を勝ち取ってはいるのですが、大多数の選手が代理人を使用しないのが現実です

此れには、幾つかの理由を球団、選手側共に抱えています。よって、制度の権利を活用できるが、球団経営者側は快く思っていないため、選手側にネガテイブな条件を付けている事も、選手側が代理人制度をポジテイブに活用しない理由の一つなのです。

個々の選手は、交渉に於いての専門的な知識、法的な知識を持ち合わせていませんそこで球団側は、選手本人と直接交渉する事で球団側のペースでスムーズに契約を完了させる事が最大のメリットとなります。しかし、選手が代理人を連れて交渉に入ると球団側の担当者よりも遥かに交渉人の方が法的知識も豊富で交渉は球団ペースでは進みません。そこで、経営者側は、代理人規約に代理人は弁護士資格取得者に限定し、一人の弁護士は一人の選手しか代理業務を認めないと制限を設けているのです。この制限により、代理人に興味のある弁護士は、複数の選手を抱えられないのでビジネスにならないのが現実です。また、選手側には、弁護士と聞くと、高額なお金を巻き上げられるのではないかとか、球団側が快く思っていない為、条件提示で嫌がらせをされるのでないかとの不信感があるのです。このような事を球団経営者達は、百も承知で制限を付けている次第です。

残念ながら、日本人選手の殆どは、代理人活用によるメリットを十分に理解できていませんその大部分の要素は、専門的な知識不足に起因しています。これは、高額な年俸を得ている選手程、代理人が弁護士しか認められていないので弁護士料を払う金が勿体ない、そんな金を出すのなら自分で直接交渉して済ませた方が得だくらいにしか考えが及ばないようです。自身は、個人事業主で在るので代理人を立てて専門的な交渉事(ネゴシエーション)を任せることにより、契約条件が改善され収入も向上し、弁護士料ぐらい交渉次第でいくらでも穴埋めができ、弁護士料は個人事業主の経費なはず、という発想、ビジネス知識もない選手が大多数です。このような選手達の思考力は、球団経営者には笑いが止まらないのが現実です。選手には、自分を守ってくれるのは誰なのか、仕事に対する評価価値を球団と交渉して、如何にして数値引き上げてくれるのかをもう少し教育機関にいる間に学んでおく必要があります。

少なくとも自分の将来に必要な実践教育は、貪欲に受けて身につけておくべきなのです。そうでなければ勿体ないとしか言い様がありません。

筆者の体験で得た素朴な疑問

FA取得者は、毎年シーズン中に権利を取得するケースが多く見受けられます。この取得者の中には、ファン、マスメデイアが特に注目する選手達も勿論入っています。

筆者がベースボール・アドミニストレイターとして在職時には、毎年複数の他球団のFA権の有資格者からあらゆるルートを駆使してのコンタクトがありました。これらFA資格者は、在籍球団の主力選手で毎ゲーム出場している選手なので業界では誰一人知らない人はいないと思われます。しかし、このような選手の深層心理は、FA資格を保有しているのに自分の希望する球団からは何のコンタクトも来ない(これは現行ルールでは、違反行為に当たる)、シーズン中にも関わらず精神的な不安に駆られる例です。

そこで、このような選手達は、シーズン中にも関わらずリスクを冒してでも意中の球団の意思を確認したいのです。

選手達は、自身代理人を持っていないので自身と信頼関係のある友人、知人を代理人に仕立てて意中の球団の知人、友人、親友を頼ってコンタクトを試みるのです。

その選手達の伝言メモの内容は、「自身がFA宣言したら貴球団で取ってくれますか」が第一段階です。当該選手は、所属球団の中心選手であり、ライバルテイームの選手として戦っているわけで、毎度呆れて言葉も出ないのが現実でした。

因果にも当時の小生の職責から、毎年このような伝言メモが人を替え、品を替えて関係部署経由で上がってくるのです。私は、このような選手が所属している球団に対して尊敬の念とモラルから、伝言メモのルートを通じて相手に傷を付けない様丁重に「シーズン中であり時期が来るまでは、本件に付いての回答ができませんのでご理解下さい」との返事を口頭でお伝えし、最終的にはお断りした事を鮮明に記憶しております。この様な選手の内数名は、FA権利を行使して他球団に移籍して行かれました。他球団にも同じような手口を用いられているようです。

このような現実と事実から自信のあるFA有資格者が資格公示後、FA宣言ができない、しない理由を読者の皆様は理解されたのではないでしょうか。宣言する前に確約が欲しいという意味なのです。

この様な事例からも、FA選手達は選手会、労組の代表幹部、経験者でもある立場の選手でもある事が多いことから、ルールを遵守する事を労組・選手会に於いて徹底するようお勧めする次第です。この様な高額所得者の選手達が選手労組、選手会の幹部、執行部に居ては、弱い立場の大半の選手達を球団経営者から守もることなど不可能であり、先ず選手のモラリテイーの教育、改善が必要不可欠である事を警鐘させて頂きます

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

この度は、普段読者の皆様がプロ野球界、ドラフト、FAに付いて多分素朴な疑問と理解しがたい諸般の疑問をお持ちであろうかとの思いで、説明できる範囲で述べさせていただきました。如何でしたでしょうか。

K’sファイルNO.85:新春東京読売ジャイアンツ開幕 無断転載禁止

K’sファイルNO.85:新春東京読売ジャイアンツ開幕 無断転載禁止

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 第二弾:GFA獲得選手と放出選手の運命や如何に

ご報告:K'sファイルNO.84を掲載後、球団関係者、選手等からも貴重なコメント、感想を頂いております。筆者は、本K’sファイルを関係者が専門知識を得る通信教育と位置付けてられるとの事に大変興味を覚えました。プロ野球界に於いて、選手、指導者、管理者に対する指導、コーチングの現状は業者任せの形式的な物が多く、選手を終えた若者にベースボール・アドミニストレーションの教育、指導は、今後彼らの競技経験を活かす為にも不可欠だと思えるからです。K’sファイルが少しでもお役に立っているのであればこの上ない喜びと思います。感謝

①大量の内外FA選手獲得とその対価

第一弾として、東京読売ジャイアンツ(略:TYG)が獲得した日本人FA選手は、中島宏之選手(オリックス球団)、岩隈久志投手(マリナーズ球団)でありました。2名のベテラン選手達は、オリックス球団への金銭譲渡制度を活用、岩隈投手は、MLBからのFAの為、自由契約選手として通常の契約金並びに年俸、インセンテイブボーナス(成功報酬)を加味した契約内容であると推測します。

中島選手は、戦力外の選手として低価格で、怪我人が出た場合のスペアー要因として、保険の意味で“購入”したと思われます。

片や岩隈投手は、既にピークは数年前に迎えており怪我の修理が何処まで出来ている状態かは未確認です。往年の力があるのであればシアトルは手放すはずもなく、他球団も手を出していたに違いありません。

筆者は、どのような根拠を基に担当スカウトが値組をしたのか興味があります。晩年のシアトルに居た佐々木主浩投手を当時の横浜ベイスターズのオーナーであったTBSオーナーが莫大な金額を提示し2年契約で横浜Bが購入しましたが、確か1イニングも持たなかった記憶が蘇ります。

余談になりますが、TBSは、佐々木投手購入に関して当時、事前に筆者に意見を求められました。私は、明確に「佐々木投手は、シアトルで故障もあり購入する価値はないので、お止めになった方がいいと思います」と詳細の問題を説明させて頂きましたが、その後どのような判断をされたのか佐々木投手と契約され、TBS本体の経営まで危うくされかけた事を鮮明に記憶しております。

岩隈投手は、先発できずとも中継ぎで1、2ニング使えればとの目算をBOTTOMラインで考えているのであれば理解出来ます。

第二弾は、昨年12月に西武の主力捕手の炭谷銀仁選手がFA資格を取得し、宣言をしたので複数の球団と競争の結果TYGが同選手を獲得、移籍が確定、完了したのでした。しかし、FA選手獲得に際しては、野球協約、規則から獲得球団は西武球団(旧所属球団)に対して、同選手の評価価値に相当する人的補償、金銭補償、或は人的補償プラス金銭の何れかで補わなければならない、即ち実質はトレードを意味するのです。

西武球団は、TYGに対して人的補償を要求し、TYG28名のプロテクト選手を確保し、それ以外の選手を放出可能要員として規定日時迄にリストを提出したのでした。しかし、このリストの中身に付いては、双方に秘守義務がある為告知されません。よって、西武球団は、自軍の最大の補強ポイントである即戦力の左腕投手の内海哲也投手を指名、獲得しました。

次に、第三弾としては、丸佳浩選手(広島球団)でした。TYGは、獲得の対価として長野選手を差し出した次第です。対価として、内海投手、長野選手を失ったTYGは、球団社長、球団副本部長が言葉を選びながら「断腸の思いとか、ショックだとか、お詫びしたとか」整合性の取れない言葉を並べているのは誠に聞き苦しい限りです。

それほどまで先方に持って行かれたくないならば、何故球団は、選手をプロテクトリストから外したのか、その理由を説明する方がもっとファンもマスメデイアも納得したと思います

一昔前までなら、TYGと広島球団との力関係からしますと事前に手を出さないように申し入れて置けばこのような事は起きなかったと推測します。しかし、近年は、新広島球場建設後、同球団は球団運営、管理は従来通りに行う一方、球団の事業(ビジネス)、球場経営は大手商事会社に業務を委託して、経営は皆様がご存知の通りTYGに頼らなくても財政的な不安を解消するに至った為、対等な立場に成長された次第です。従来の主従関係の呪縛が解け、今日、堂々と人的対価を要求された事はその証であると私は考えます。

本件に関して、筆者は、先方球団に対して提出した放出可能選手リストには内海、長野選手以外に阿部慎之助選手、陽岱鋼選手、亀井善行選手、等が入っていたのでないかとイメージしている次第です。勿論、投手では内海投手以外に澤村拓一投手あたりを入れていた可能性が高いと思われます。しかし、繰り返しになりますが、この様なリストアップをしていても、リストに関しては、関係球団には守秘義務が課せられており、第三者には知る由もありません。

一部マスメデイアが先走った質問、疑念をTYGの責任者達に向けているようですが、内海投手、長野選手共に何の恨み節も語らず素直に人的補償要員として出て行ったのは、入団時に球団、本人も語れない経緯を背負い今日に至っている事を推測しますと、双方が首を絞める事となりうるのです。TYGの慣例から選手達を気持ちよく送り出す為の「御もてなし」がされている事を筆者の経験から察する次第です。よって選手達には、失うものも少なかったのではないかと考えられます。彼らの今後の活躍を祈念する次第です。

②ウエットなマスメデイアの論調

この度の東京読売ジャイアンツ(略:TYG)のFA選手獲得の是非に付いて、連日スポーツマスメデイアは、「生え抜き功労者の放出は、Gフロント編成責任者に一貫性の無い矛盾の策」との指摘が大勢を占め、TYGから除籍された内海投手、長野選手達を擁護する論調が連日躍っているように感じています。

筆者は、このメデイア論調をベースボール・アドミニストレイターの視点で申しあげますとプロ野球界に置ける「生え抜き云々」の表現に違和感を覚えてならないのです。何故ならば、プロ球界には、FA、トレード、移籍ありと元来プロ選手は高校野球大学野球選手とは異なり、所属球団の商品(Product)に他ならないのです。一昔前までこのようなルールがまだ無かった時代は、一選手が入団して、同球団を引退するまで在籍する選手が沢山居ましたが、近年は本ルールが設定され、状況は一変してしまいました。それ故、このような表現とニューアンスは、日本的で日本人が共感する言葉である事からあえてマスメデイアが使用しているのかも知れません。片や今の世代の選手達は、マスメデイアがウエットな表現をする程、球団に愛着があるとは思えないのです。選手達の愛着を持つのは、契約金、年俸、インセンテイブと言う数値の物差でしかないのです。MLBでも1人の選手が入団して、その選手が引退するまで同じ球団に所属しているケースは珍しいと言えます。

伝統的な球団には、例えば昔から巨人軍OB会事務局が存在し、一つの利権と思しき組織を構成し、職安のような事もなされているようです。しかし、このOB会の定義は、本来生え抜きと称する引退選手の集まりであったようですが、今やTYGFA、トレード、移籍により一時的に在籍した選手であったとしても、皆OBと見なして登録、所属を容認される時代になりました。これは、まさに上記「生え抜き」のみでは維持できなくなり変形した利権集団に他ならないのです。

また、会員の登録者達は、在籍が1年で在っても外部からのお誘いの野球教室、講演、イベント、等が有れば嘗てのジャイアンツのユニフォームを身にまとい出演、指導しているのが現実で、決して長きに渡りお世話になった他球団のユニフォームを身に着けようとしない心理は何だと思われますか。

このようなジャイアンOB会の現状からも、生え抜きを美徳のように感じる方々には、時代の流れと現実を是非理解、共有して頂きたと思います。よって、生え抜き云々の表現は、もう時代にそぐわない表現で在り、何かそうあって欲しいと願いを込めた表現のように思えてならないは、筆者だけでしょうか。

 

人的補償選手達の共通した過去

FAに於ける人的補償として内海哲也(36)投手、長野久義外野手(34)は、両選手共に入団時に共通した境遇と問題を経験した選手達でした。それは、日本プロ野球機構(略:NPB)のドラフトを長野選手は、2度受けながらTYGでないので行かないと拒否、また内海投手は、高校ドラフト対象選手として1度、これもTYGでないので行かないと拒否しました。

これでは、NPBが全球団同意の基に設置したドラフト制度の意義と目的の根底を否定する行為に当たるのです。そして、またこのような行為は、ドラフトした球団への尊敬の念の欠落、各所属する高等学校、大学、社会人とそれぞれの教育者、指導者が同選手達に社会の一員となる前の指導を怠っていた証でもあるのです。

内海投手は、入団を拒否後、社会人野球テイームに所属、長野選手も社会人野球に所属し、他球団がドラフトするのをあきらめた頃を見計らってTYGの指名を受けて入団した問題選手達であった事を忘れてはなりません。しかし、このような手法で手に入れる球団側は、大きなリスクと入団までのケアーに努力が必要なのも事実です。筆者は、本球団に在籍前にこのような状況下の選手を引き継ぎましたので、状況が手に取るように理解出来る次第です

TYG球団には、このような選手が嘗て1970年代後半の江川卓投手以来何名の選手達が、悪しき所業に手を染めドラフト制度を無視してきたのでしょうか。(筆者は、当時西武国土計画で堤義明社長の野球担当秘書として、因果にも当時江川選手担当も仰せつかった次第です)

今日も尚、後を絶たないのが現実です。このようなルールをリスペクトできない選手が途絶えることが無い大きな原因は、TYGがそのような選手を獲得するからなのです。TYGは、何故自らもNPBのドラフト制度に同意しリスペクトされている筈なのに、このような非道な行為を行う選手、父母に手を貸すのか、これはファンの皆さんにもその責任の一端があると思われます

私は、TYGこそ襟を正して日本の野球界のみならず、スポーツ界のお手本となるリーダーとして正道を歩んで欲しいと心から祈念している次第です。筆者は、幼いころから長嶋茂雄選手と巨人の大ファンでした。

NPBに加盟する球団も観て見ぬふりをしているのが実態ですが、日本球界も他の競技スポーツ界同様にグローバルな時代に合ったベースボール・アドミニストレーションへの変革に目覚めて欲しいと願うのは筆者だけなのでしょうか。

つい近年では、現在のTYGのエース、菅野智之投手が同じような手口でドラフトルールをリスペクトすることなく、入団して現在に至っていますが、誰も非難する事も無く逆にリスペクトされる投手として、ファン達からも称賛されている次第です。ファン達もこのような若者の所業を観て見ぬふりをしているという事なのでしょうか。Gファンは、選手が後ろ指刺されるような所業には毅然とした態度で注意をして下さい。球界関係者は、勇気を持って“NO”REDカードを出して下さい。競技スポーツには、灰色は似合いません。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ

次回K’sファイルでは、FA選手の公示後の不可思議な動向と球団の頭痛に付いて予定しています。