K’sファイルNO.84:新春東京読売ジャイアンツのFA問題 無断転載禁止

K’sファイルNO.84:新春東京読売ジャイアンツFA問題 無断転載禁止

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第一弾:G今シーズン約36億円投資への期待と不安

1.ベースボール・アドミニストレイター(略:BBADT)の視点

東京読売ジャイアンツ(略:TYG)は、2019年度シーズンに向かうに当たり莫大な投資資金を投入したようです。その額は、約36億円とも言われています。

この投資金額は、言うまでもなく東京ドームに足を運ぶGファンの観戦テイケット料で得たお金です。大切に有効活用して欲しいですね。

プロ野球ファンは、メジャーリーグ(略:MLB)ファンと少し楽しみ方が異なるようです。筆者は、お金をドームに運んで下さるGファン層に付いて初めてSNSを通して知る事になりました。大多数の若者ファンは、仲間との出会いを求め種々のイベントに参加する感覚で、飲食を共にし、試合の結果、選手個々の動向を語り合う憩いの場としている様子が伺えます。一昔前のGファンとは、大分ファン気質も変革した様子が伺えます。

MLBファンの大多数は、家族単位で観戦、親子、恋人同士、夫婦で熱烈な応援をし、試合後も自宅に持ち帰り茶の間、職場で話題を共有する事を伝統としているようです。此処に、日米に於ける「観るスポーツに関する概念」の違いを垣間見るような気がします。応援するフランチャイズ球団に愛情を込めた応援、協力、支援を惜しまない姿勢の違いは、ベースボールを文化として、観るスポーツの概念を一般社会、国民が共有し、幼いころから培ってきているかどうかの差なのかも知れません。これは、また大学競技スポーツ観戦に於いても同様な視点と概念を持って小さいころから観るスポーツを指導、教育されて来たからです。

日本のこの度のようなFAで除籍される選手、また人的補償で入団する選手達をマスメデイアは大きく商品として扱い騒ぎますが、GファンはSNS、ファン同士の間で賛否を論じてもそれ以上な感情を行動に表して球団批判を直接に行うようなことは決してしないようです。

MLBFA選手扱い

MLBに於いては、FA権を取得した選手は全員どの球団とも交渉することが可能です。日本のようにFAを行使するかどうかなどと球団と駆け引きするような事はありません。球団側はワールドシリーズ終了から5日間、FA選手との間で独占交渉権が与えられています。球団は手放したくない選手に対しては、MLBの年俸上位125名の平均年俸で1年契約のオファーをすることができます。そしてそのオファーを受けた選手は、7日間以内に球団側に返事をしなければなりません。

此れは、2012年に制度が導入されたクオリファイング・オファー(QOQualifying Offers)と呼ばれる制度です。しかし、本制度は、有形無実でその理由は、FA選手が欲しい球団は、好条件で迎え入れますし、元の所属球団との交渉も何時でも可能であり、それほどまでして引き留める球団であれば、その後の交渉でさらなる好条件を代理人(エイゼント)が引き出してくることを選手達は知っているからです。そのため、現実的には誰もこのオファーを受け入れる選手は居ないようです。

しかし、QOを所属した球団からオファーを受けた選手が他球団に移籍した場合は、FA選手を獲得した球団は、次回のドラフトに於いてドラフト上位の権利を同選手の旧所属球団に譲渡しなければなりません。

Gは何故球団、テイームのビジョンを告知しないのか

ところで、何故Gは、このような巨額な資金を投入しなければ勝てないと判断したのでしょうかプロ野球界の経営者は、ご存知の通り親会社の経営者が主体で在り、プロ野球ビジネス、運営、管理の専門家ではないのです。よって、球団フロントのGM的な肩書とポジションにいる職責の担当者の頭脳とマネージメント能力に全てがかかっていると申しても過言ではありません。

この度のTYG経営者(山口新オーナー)は、もしかしてフロントにGM的な能力を備えた人材が居ない、また現場(フィールド)に於いては、求心力があり指導者としてコーチングの能力、選手の育成指導を期待できる人材が居ないと判断したのかも知れません。

しかし、これらの推測は、ある意味正解であるのも事実だと思います。近年は、堤GMが不祥事の責任を取らされて解任、その後シーズン途中からGM職に付いた鹿取氏は、またしても短期間でGM職を2018年秋に追われたのでした。要するに球団は、誰がGMとしての資質を持った人材かを見極める経営者が居ないという証でもあります。よって、今シーズンからは、GM職を置かずこれまた編成に関する責任の所在をグレーにした様です。

プロのベースボール・プレイヤーとして実績、名声、等を兼ね備え、既に完成した商品(Product)を多くかき集めることにより、TYGのフロント、現場の弱点をカバーしようと単純に考えたのだと推測されます。それは、今シーズンの1、2軍のコーチングスタッフを見渡しても、新採用の指導者達の指導実績は実質的なコーチングキャリアが皆無であり、TVタレントに転身したOBに声がけした、ただ単に頭数と話題性を優先したように思えてならないのは筆者だけではないと思われます。

この様な球団の指導者に対するコンセプトでは、プロ球団に於いてコーチングができる人材は育成されない可能性が高いと思われます。

この状況から、経営者は、ベテラン選手買いに走った事も頷ける次第です。しかし、BBADTとしての視点から申し上げますと中・長期ビジョンを持たない付け焼刃的で、決して正攻法なベースボール・アドミニストレーション手法でないのは確かなようです。

勿論、これもプロの球団経営者、管理者としての戦略の一つであり、間違いではないのです。FA選手狩りは、プロの戦略の一つで自軍の戦力補強のみならず相手テイームの主力選手達なので相手テイームの戦力ダウンになるメリットも考えられます。また、使い物にならないとシーズン早々に判断できたならば二軍に温存している外国人選手、ベテラン選手との入れ替えも頻繁に行えるのです。片や、ポジテイブに思考すると、このようなFA選手の大量買いは、若い選手達が力を付けるまでの期間限定の時間稼ぎの為の手法で、金で解決できる唯一の方法であるとの見方もできるのですが、G球団に周到な準備をしたロードマップがあるとは考えにくいのも事実です

投資金額に見合った費用対効果を経営者、運営、管理者は、如何に考えての決断だったのか、そのビジョンを告知する事により、ファン、マスメデイアはより理解されたのではなかったのでしょうか。この様な事からも、G球団には、ビジョンなるものが無いのかも知れません。

②主なFA移籍選手

TYGがこの度獲得したFA選手は、中島選手(オリックス球団)、岩隈投手(マリナーズ球団)、炭谷捕手(西武球団)、丸選手(広島球団)です。他外国人選手は、8名加盟登録します。これらのFA選手達は、全て即戦力を目的に獲得されたのです。理論的には、これらFA移籍選手のポジションに居た昨シーズまでの選手達が仕事場を交換か失う危機に晒される事になります。特にピークを迎えている選手は、丸選手で、あとの選手は、既にピークダウンに入っている、また故障持ちと評価するのが妥当です。今日日本プロ野球界に於けるペナントレースの鍵を握っているは、言うまでもなく外国籍選手達なのです。

この8名の外国籍選手中の何名が当たり選手であるかは、これまたフロントの国際担当者の観察、洞察力、及び調査力、即ち眼力にかかっているのです。この担当スカウトマンが誰で、どんな経歴、実績のある人物なのかは、重大なキーポイントでもあります。筆者は、本件に付いても当時担当スカウトマンと称される人物が、全くの素人さんが長年雇用されていて、その方の整理、処理にをやかされたことが昨日のように思い出されます。これらも内部関係者の権益を守る手法であったのです。このような雇用体質では、無駄な資金が泡と消えるわけで、ファン達には申し訳ないことです。

GでのFA選手の成否は

TYGFAして来た選手の成否の判断は、そんなに簡単ではないのもこの業界の常なのです。

筆者が嘗て在籍していた当時も同様な問題が毎年起きていました。1996年は、メイクドラマを何とか完成できたシーズンでしたが、オフシーズンに入り大きなFA問題が勃発した次第です。ファン、読者の皆様には、生々しい記憶が蘇るのではないでしょうか。

当時の1軍の1塁手には、広澤選手(ヤクルト球団よりFA移籍)、落合選手(中日球団よりFA移籍)、大森選手(2軍生活)と走れない、守れない大きな契約選手を3名も抱え、大森選手(慶応大OB)は、1軍で活躍できる機会を既に奪われていたのです。

そこにシーズン途中に降って沸いた如く、清原選手(西武球団)がTYGに来たいとの意思表示をした事から、経営者、監督の欲しいとの強い要望で、筆者は内部調整及び現場のコンセンサスを整えるのに大変苦慮した事が昨日のように思い出されます。

球団経営者、監督、FA希望選手、在籍選手とそれぞれにFAを行なった為に、本球団に於いてはその後数奇な運命が待ちかまえている事を読者の皆様も記憶に留めて於いて頂きたいと思います。

この度の大量FA選手獲得により、TYGは、ファームで選手を育成する事をギブアップした事を強く印象付けられました。伝統的に2軍の殆どの歴代監督は、ファームで優勝する事を最優先したがるのです。何故優先したがるかと申しますと、自身の身の安全を守る方法であると自他ともに理解、認識してきた歴史があります。勿論、本球団の2軍監督であっても高額所得者である事もその大きな要因の一つです。その為には、若手を優先的に使うより、実績のある1軍から調整の為に降格してきた1軍半の選手達を起用する方が勝利する確率が高いからです。日本のプロ野球球団に於けるファーム(2軍)は、選手育成の場でなく1軍、1軍半の選手達の唯の調整の場にしか考えていないのです。

何故このような実態を野放しにして来たか。それは、プロ野球球団としての運営、管理コンセプトに問題があるのです。球団は、監督、コーチングスタッフと業務委託契約雇用により成り立っています。しかし、実際は、契約書の中に職責、責務に関する具体的な業務内容及び、査定、ペナルテイーが明記されていないのが主たる問題の主因であると思います。

何故、このような契約雇用を長年に渡り同じことを繰り返しているのか。この契約に対する意義と目的を球団経営者自身が学習しない限り、理不尽な伝統が今尚まかり通るのではないかと筆者は自らの経験から思う次第です。

球団は、契約書を監督、個々のコーチングスタッフと取り交わし、肩書は与えるが、個々の肩書は体裁のよい呼び名で在って、肩書の職責、責務は問われないのが現実です。何故このような体制で運営、管理が行われているのでしょうか。

それは、誰もが責任を取りたくない、取らされたくない、よって指導者に対する査定も無く、他の肩書の指導者が他の職責の指導者の領域に対して口出し、叱責しても全く越権行為として認めない優柔不断なプロ野球指導者に対する雇用契約内容なのです

此れを誰もが指摘しない理由は、指摘したフロント、現場の人間に自ら責任という十字架を背負わされることを恐れているのかも知れません。また、フロント管理責任者は、現場の監督、個々のコーチ達から悪者にされたくないので、自ら体を張った運営、管理を避けるのです。これらは、非常に伝統的な仲間意識が常に蔓延している証であります

そして、コーチ達の契約期間は、1年契約なので優秀な指導者が居ても腰を据えて選手を指導、育成する担保が与えられないのが日本のプロ野球界の指導者達の待遇、処遇なのです。此れでは、プロの指導者ではなく、監督の指示待ち人間、即ち失敗を恐れるサラリーマン体質と表現した方が読者の皆様には理解されやすいのかも知れません。

これでは、プロのフロント、現場指導者への運営、管理に重大な欠陥、甘さが指摘されても仕方がないと思います。

TYGのファームは、1軍半の選手達の調整の場所であり、高額選手達の飼い殺しの場でもあると長く揶揄されているようです。この度のFA選手の大量獲得により若手選手達の1軍での仕事の機会は、これでまた難しく成り彼らの精神的な失望感は計り知れないと思われます。要するに、TYG2軍は、優秀な在庫を抱えた置屋と表現した方が正しいのかも知れません。

日本プロ野球機構(略:NPB)の協約、規約には、MLBのような課徴金制度が存在致しませんので、幾ら個々の球団が人件費を使おうともペナルテイーが無いので、共存共栄の原理原則に立てばアンフェアーであります。しかし、NPBの加盟球団からは何の異論も出されない、即ちTYGが幾ら人件費を使おうが罰則規約が明記されていないので何の問題にもならないという事です。

④日本的なFA制度に付いて

本来FA制度は、MLBMajor League Baseball)に於いて確立された制度です。本制度の意義と目的は、選手達はドラフト制度により指名された球団に、本来拒否権が無く決められた期間同球団に拘束される規則が設けられているのです。この拘束に対する対価として、野球協約では、拘束期間を満たした選手に対して自由契約選手(FA選手)として、選手個々の意思で自由に他球団と交渉して契約が締結できるのです。

しかし、日本プロ野球機構(NPB)のFA制度は、MLBの制度とは異なりあくまでもFA選手保有球団が有利に利権を利用できる内容に加筆された協約なのです。これは、言い換えると選手会・選手組合の力のなさを露呈した例なのです。FA選手とは、所属していた球団での年季奉公が解除され、晴れて自由の身となった選手のことなのです

FAフリーエージェント)制度は、「国内FA」と「海外FA」とに区別されます。国内FAは、NPB日本野球機構)所属の全ての球団と選手契約することができる権利を有する選手をいい、いずれの場合も一定のFA資格取得条件を満たす必要があります。

日本的FA制度に付きましては、既にK’sファイルNO.3637:この度のFA問題は両球団の談合か PARTⅠ.PARTⅡをご参照ください。

Gのこの度のFA選手獲得、外国籍選手の獲得は、全てが完成された選手達で総勢12名です。此れだけの個々の実績、実力を兼ね備えた選手を獲得し、プロテクトの選手28名を加味しますと、他球団の力を持ってしてもこの戦力を打破する事は選手のキャリアからすれば難しいと考えられるのが妥当でしょう。また、G側の戦力からこの戦力では、勝って当たり前と思われて致し方ないこの度のFA狩りであったのも事実です

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

K’sファイルNO.85では、この度のFA選手達の出入りに付いて、マスメデイアの論調、Gファンの疑問と問題に付いて触れてみたいと考えております。賛否両論あるかと思われますが、ご参考にして頂けますれば幸いです。

K’sファイルNO.83:全米大学競技スポーツ協会(略:NCAA)

K’sファイルNO.83:全米大学競技スポーツ協会(略:NCAA

2019K’Sファイル開幕NCAAシーズンNEWS

大学フットボールシーズン終了

2018年度フットボールシーズンは、201918日(JST日本時間)にNCAAチャンピオンシップ(優勝決定戦)を持ちまして終了致しました。

今年度NCAA加盟1275校の頂点に立ったのは、クレムソン大学(英語: Clemson Universityサウスカロライナ州)で栄えあるNCAAチャンピオントロフィー、盾をサウスカロライナ州に持ち帰りました。

準優勝校は、名門アラバマ大学(英語: University of Alabamaアラバマ州)でした。

 

クレムソン大学は、今シーズン中NCAA 1部校のランキング2位を維持し、片やアラバマ大学は、ランキング1位を守り抜いた両校の優勝決定戦でした。

本決勝戦を持ちまして本年度のNCAAフットボールシーズンは、終了しました。此れを持って、2019年度シーズン開幕8月下旬迄は、選手、テイームによる公式練習は禁止されており、自主トレーニング、或は、他の競技スポーツ種目への参加は認められているので、バスケットボール、野球、陸上競技、等に出場する選手達が沢山います。

米国の競技スポーツは、シーズン制を伝統としているので、シーズンの異なる複数の競技スポーツに参加する選手が多く見受けられます。また、この制度によりアスリートとしてのさらなる身体能力を強化、向上でき自分に適合した競技スポーツ種目を最終的に選ぶ事が出来る大きなメリットがあります。日本のスポーツ界には、必要な制度の一つであります。

また、シーズンが異なる競技スポーツでは、大学競技スポーツとプロ競技スポーツを兼務する事も出来るNCAAPro側の同意によりルール成立しています。

余談話

余談になりますが、筆者が米国大学の指導者、管理者であった時、ダニエル ・エインジ選手(Daniel Ray Ainge)は、オレゴン州ユージン市のノース・ユージン高校に於いてフットボール(ワイドレシーバー)、野球(遊撃手)、バスケットボール(ポイントガード)と三つのシーズン競技スポーツで活躍、高校卒業学年では、MLBにドラフトされトロント・ブルージェイズに入団(三塁、二塁手)し活躍、同時にブリガム・ヤング大学BYU)にバスケットボール選手としてリクルートされ入学、4年間BYUを全米トップに引き上げ、自身も4年生の時にNCAAで一番権威のあるバスケットボールのシーズン最優秀選手に贈られるジョン・ウッドウン賞の栄誉に輝きました。

そして、同時にNBAのドラフトで当時最強のボストン・セルテイックスに指名された。しかし、MLBトロント・ブルージェイズでプレイする同選手の契約とコンフリクト(Conflict、利害の対立)を起こしている事からニューヨークのコートハウス(裁判所)に於いてMLBトロント・ブルージェイズNBAのボストン・セルテイックスの間で和解勧告がなされ、最終的に本人の意志も加味されてボストン・セルテイックスがトロント・ブルージェイズの契約を買い取る事で決着、当時は全米を話題に巻き込んだ一件でした。

彼の活躍は、その後ボストン・セルテイックスでも最優秀選手賞を獲得、後にフェニックス・サンズに移籍後もサンズを最高位に導き引退への道を選びました。

現在は、彼の古巣NBAのボストン・セルテイックスの再建の為監督を務めた後、球団社長兼GMとして今尚階段を駆け上がっている次第です。

筆者は、彼のBYUへのリクルート時から卒業時迄学生として学生選手として長く存じていますので、アスリートの鏡としてリスペクトする次第です。

2018年度NCAAフットボール勝戦の結果:

クレムソン大学 44 対 16 アラバマ大学

 (シーズン成績:150敗)       (シーズン成績:141敗)

主催:全米大学競技スポーツ協会(NCAA

スポンサー:AT&T(米国最大のコミュニケイション会社)

開催地:両校の中立地域及び中立スタジアム使用がルールとなっている為この度は、カリフォルニア州サンタクララにあるLevi’s Stadiumで行われた。

観衆Attendance74,814

TVCoverage ESPN

特徴

クレムソン大学:アカデミックに於いても大変優秀で有名校の一つです。

アラバマ大学 :マンモス大学で大学に於けるスポーツビジネス(主にフット

ボール、バスケットボールに於いての年間プロフィット(Profit,利益)は、

約160億円の興業収入(TV放映権も含む)を得ていると言われています。

 

全米大学競技スポーツ協会(NCAA)の加盟校の財務的格差問題:

NCAA加盟1部校の財務は、各大学フットボール、バスケットボールの興業収入から成り立っている。しかし、収益には大きな格差を生じておりシーズン中の興業収入が1億円~170億円とも言われている格差が現実的にあるのも事実です。強いテイームは、益々収益が上がり、弱いテイームは、益々収益が落ちる現実に各大学は頭を痛めている事を付け加えておきます。ご参考までに。

大学バスケットボールシーズン開幕

K’sファイルNO.82で既にご紹介しましたが、現在NCAAバスケットボール

シーズン開幕し、いよいよ1月から各大学が所属するカンファレンス(日本

ではリーグ戦の意味、NCAAでは少し異なる仕組み)の公式戦が開催されています。バスケットボールの公式戦は、フットボール同様にホーム&アウエイ方

式ですので、バスケのホームゲームはNCAAルールに於いて22試合、アウエイ22試合が1シーズン中に組まれています(特例校あり)。

頑張れ日本の大学競技スポーツ:

日本に於いては、文科省スポーツ庁が音頭を取り、大学競技スポーツは、国が介入しなければ無理だとの事で「日本版NCAA」を構築し、大学競技スポーツでお金を儲けようとの話題が2年程前からマスメデイアを通して話題を提供されていました。しかし、それもすっかりトーンダウンして、路線変更をされたようにも聞き及んでいます。夢と現実のバランスを見失う事なく、身の丈に合った夢を持たれて、現実に即した本質的な問題を先ず改善、解決して行って欲しいと願うのは筆者だけなのでしょうか。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

お知らせ:

K’sファイルNO.84は、「新春東京読売ジャイアンツの幕開け」から掲載させ

て頂く予定です。本年もプロ野球の発展を心より祈念致しています。ポジテイブに参りましょう。

K’sファイルNO.82:NCAA(全米大学競技スポーツ協会)バスケ開幕

K’sファイルNO.82NCAA(全米大学競技スポーツ協会)バスケ開幕

2019年新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお付き合い願います。

 

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NCAA加盟1部校のバスケットボール各カンファレンスが一斉に開幕 GO Ducks!

NCAA(全米大学競技スポーツ協会):1部校のバスケット・カンファレンス(日本的にはリーグ戦の意味)開幕。

大学を中心とした州、市、学生、教職員、卒業生、地域住民、官公庁、スポンサー、TV、ラジオ、マスメデイア、等が今フットボール・シーズンを終え、バスケットボール・シーズンに突入し集中!4月上旬までの熾烈な戦いの幕が切って落とされた。

文責:河田弘道

スポーツアドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

K’sファイルNO.81:ご挨拶並びに感謝

K’sファイルNO.81:ご挨拶並びに感謝

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K’sファイル読者の皆様へ

                      20181227日、木曜日

 本年は、例年にも増してスポーツ界に於いて不祥事、事件、事故と沢山の話題、問題が噴出、露呈致しましたが、それ故、スポーツ即ち不祥事というイメージが毎年右肩上がりの傾向にある事も事実です。此れも一昔前とは異なり、競技スポーツの不祥事、事件をTV、スポーツマスメデイアが報道の域を超えた、よりスキャンダラスな編集を加えた番組商品としてビジネス化し、各社が競い合う事から事の次第を一層エスカレートしてしまって居るケースが非常に多く見受けられ、憂慮に堪えない事態を迎えています。

これらの現象もオリンピック大会そのものがビジネスと化し、競技選手もプロ化した副産物であるとみなせば、東京オリンピック開催に向けた便乗商法の一つでもあると言えそうです。特に我が国に於ける競技スポーツ部門は、伝統的な社会構造により育成、指導、運営、管理がなされてきましたが、この構造的な問題がグローバルな国際スポーツ社会において機能しなくなり、大きな曲がり角に差し掛かっている事も問題の根源の一つであろうかと思う次第であります。

2018年のK’sファイルは、NO.34NO.80迄時事の流れに沿った課題、テーマで述べさせていただきました。おかげ様をもちまして、各テーマには、毎週多くの読者の方々からのアクセスを頂きました事を心よりお礼申し上げます。

また拙い文章のため、読者の皆様には、読みづらい箇所、理解しづらい部分が多々あり、多大なるご迷惑お掛け致しましたことをお詫び申し上げます。

何事も問題の本質に目を背けていたのでは、いつまで経っても我が国のスポーツ・アドミニストレーションのレベルの向上に至らないのが現状と現実です。

どうか読者の皆様の勇気あるその一言、その一歩前に踏み出す勇気が今日のスポーツ界、競技スポーツ界の襟を正す道標となる事を忘れないで下さい。

 思えば、20174月より本K’sファイルを執筆致し始めまして、NO.80を持ちまして総文字数は約34万字に達しました。これは筆者にとり、初めての挑戦であり、初めての経験でもあります。振り返りますと、実践トレーニングの一つとして本K’sファイルは始まり、今では毎週の執筆作業がマスメデイアのプロのライターの方々のご苦労をほんの少しですが体験させて頂いている次第となりました。それも読者の皆さんの温かい応援とご理解が在っての事と心より感謝申し上げる次第です。

本年ももう数日で終わりを遂げようとしています。読者の皆様方、本ブログを応援して下さっている方々にとりましては、素晴らしいホリデーシーズンでありますよう、また、やがて訪れます2019が幸多い新年でありますことを心より祈念致しております

                              深謝

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

以下、2018年度K’sファイルのご案内です。ご利用下さい。

2018K’sファイル

NO.特:特別寄稿集:河田教授の講義から~

NO.特:特別寄稿:河田弘道の母校を思う:日本体育大学生の逮捕劇

NO.34K'sファイル:ご挨拶、お知らせ

NO.35:悪魔の囁きに屈したカヌー選手

NO.36:この度のFA問題は両球団の談合か PARTⅠ.

NO.37:この度のFAは両球団の談合か PARTⅡ.

NO.382020東京五輪は何故税金を使う

NO.392020東京五輪の不思議

NO.40東京五輪の不可解なおもてなし

NO.411984ロス五輪の成功とそのキーワードⅠ  

NO.4284ロス五輪の成功とそのキーワードⅡ       

NO.4384ロス五輪はスポーツ電通の基盤 Ⅲ          

NO.4484ロス五輪はスポーツ電通の基盤 Ⅳ         

NO.45:リーダーの比較         

NO.46:米大学競技スポーツ、日系人との出会い編 

NO.47:特別寄稿:レスリング協会の謝罪会見に思う~

NO.48:1周年ご挨拶

NO.49PARTⅠ 82W杯サッカースペイン大会はビジネスの戦場だった

NO.50PARTⅡ ホルスト・ダスラー氏の権力拡大と強引な手法~

NO.51PARTⅢ スペイン大会開催中の電通の利権強奪作戦

NO.52PARTⅣ FIFAW杯サッカー利権獲得への決断と実弾

NO.53PARTⅠ 日大アメフト指導者の指導理念の破綻と犠牲者

NO.54PARTⅡ 限りなく腐敗して行く大学競技スポーツの要因

NO.55PARTⅢ 緊急特別寄稿:大学競技スポーツの本質的な問題

NO.56PARTⅣ 日大vs関学大定期戦の運営管理責任 

NO.57PARTI  大学競技スポーツ・日米の歩みと動向

NO.58PARTⅡ 大学を取り囲む環境の変化     

NO.59PARTⅠ MOVE東京読売G

NO.60PARTⅡ MOVE東京読売G

NO.61PARTⅢ MOVE東京読売G

NO.62PARTⅣ MOVE東京読売G

NO.63PARTⅤ MOVE東京読売G

NO.64アジア大会バスケ選手買春問題

NO.65:第一弾 体操ニッポンの危機

NO.66:第二弾 体操ニッポンの危機 1.2.

NO.67:第三弾 体操ニッポンの危機

NO.68:第四弾 体操ニッポンの危機

NO.69:第一弾 日本バレーボール協会の体質

NO.70:第二弾 日本バレーボール協会の体質 

NO.71G高橋由伸監督辞任に思う

NO.722018秋の読売劇場開演  

NO.73:第一弾企業スポーツ

NO.74:第二弾企業スポーツ

NO.75:第三弾企業スポーツ  

NO.76:第一弾 日本の冬の風物詩大学箱根駅伝は誰の物 

NO.77:第二弾 大学箱根駅伝主催は本当に学生の自治体?

NO.78:第三弾 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネス

NO.79:第四弾 大学にとっての箱根駅伝とは              

NO.80:第五弾 もう一つの大学箱根駅伝の疑問と実態

NO.81:読者の皆様へのご挨拶 20181227日、木曜日

K’sファイルNO.80:日本の冬の風物詩大学箱根駅伝は誰の物 無断転載禁止

K’sファイルNO.80:日本の冬の風物詩大学箱根駅伝は誰の物 無断転載禁止

 

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第五弾 もう一つの大学箱根駅伝の疑問と実態

1.大学と学生選手(Student Athlete)の関係

①大学生である事のステータス・シンボルとは

此処では、「学生とは」が明文化されていない学校教育基本法、また統一されない日本の大学競技スポーツの競技以外での規則、ルール、罰則に付いての実情を取り上げます

このような状況下、大学競技スポーツは、規則、罰則の下で勝敗が決せられます。しかし、競技以外には、規則、罰則が無いに等しい状態の為、学生選手の扱いが公平(フェアー)でない事が最大の問題の一つであります。

特にこの度のテーマの箱根駅伝(他の競技スポーツも同様)では、これが顕著になり学生競技スポーツの根幹を崩壊させてしまっていると申し上げても過言でありません。

問題は、「学生とは」何を持って学生と定義(Definitions)するのか、できるのかを明記したものが我が国の教育法に見当たらない事です

大学競技スポーツ及び学生選手を語る前に、学生とは何を持って学生と認められるかを何故誰もが問題視せず、大学競技スポーツを語ろうとするのでしょうか。

此の事は、教育の一環としての根幹をなすものであると筆者は確信する次第です。筆者の講義授業を受講する学生選手達の多くが、「箱根駅伝に出場する為に本学に来ました」と別に学生の資格が無くとも箱根駅伝にさえ出場できる機会が与えられればそれでよい、その為に自分は特待生で迎えられている。と公言する学生達が増殖している事も事実です。特に学業成績を問わない大学では、このような学生選手が多数存在すると言うことを実体験しました。何故このような貧困な教育機関と学生選手達が我が国の最高学府として存在するのでしょうか。

この事から、日本人学生選手に対しても、外国人選手に対しても、大学法人の経営者の見識如何によりいかようにも本来あるべき「大学学生」の姿を捻じ曲げられているのが我が国の現状と現実です。これらは、まさに大学のスポーツ・アドミニストレーションが皆無に等しい実態と言わざるを得ません。

この事は、日本の大学競技スポーツを運営、管理するに当たり最重要な問題の一つで、キーワードである事を是非理解して頂きたく思う次第です。

例えば、箱根駅伝の主催者規約の出場資格(第4章:本連盟競技者資格、第10条、第11条)には、本連盟の競技者は、次の要件を満たさなければならない。となっています。

①本連盟加盟校の学生でなければならない。

学生の範囲は、学校教育法第90条に定めた学生、及び第91条の・・・本連盟が認めた

    大学等の学生とする。

③前項の加盟校競技者は、その在籍期間中本連盟に登録する事が出来る。

以上が関東学連の競技者資格です。このような大雑把な規則では、活用者側に抜け道もありますよと告知しているようなものです。

②国の教育機関の見解とは

重要なポイントは、この学校教育基本法90条には、「学生とは」何を持って学生と判断するかの物差し、即ち定義が明記されていない事です

この事に付いて、筆者は、複数の大学の最高管理責任者にお伺いしましたが、何方からも回答らしき答えを頂けませんでした。そこで、文科省の関係者に直接お尋ねいたしたところ、その担当者曰く「文科省は、各大学法人に大学設置の許認可を出しているので、その大学の大学法人が、この人物を当大学に入学する事を認める、と承認したらその人間は、その時点でその大学の学生として認められる」とこれが回答でした。

私は、この回答を受けて「文科省は、大学設置の許認可は出すが、あとは知らない」と言っているのと同じであると理解しました。

それでは、各大学法人の最高経営者(各大学の理事長は、現理事会の過半数、及び三分の二の理事を味方に付けている証)が、大学の授業を受ける興味も無い、単位取得の能力の無い、或は、能力が在っても講義授業を受ける意志の無い人達を学生、学生選手にさせたいがために入学を認める事が、多くの大学で常態化している昨今、文科省は、何と回答するかを問い質したら、「文科省は、そこまで手が回りません」との回答でした。

私は、これ以上問い質す気にもなれず呆れ果てた次第です。この現実から、我が国の大学教育及び個々の大学には、大きな格差と偏見を醸成してしまっている因果関係が此処に起因していると思われますが、読者の皆さんはどう認識されていますでしょうか。

 ③個々の大学の資質格差が大きな障害

此れでは、学生、学生選手のレベルのみならず、わが国の大学の資質の格差が各大学の経営者の資質と見識次第で、一層深刻化して行くのは目に見えています。特に今日の大学競技スポーツに於きまして、スポーツ・アドミニストレーションの資質が向上、発展しないのは、「此処に根源」があるからではなかろうかと確信に近付けた思いが致します。

文科省スポーツ庁)は、指導的な役目をなしていない事が明確になりました。これでは、歯止めが利かないわけです。

この重大な「学生とは何を持って学生と認めるか」を明確に規定しない限り、将来の日本の教育、スポーツに光は見えてこない様に思われます。先ず問題の起点は、此処から始まっていると思いますが、如何でしょうか。

 ④此れでよいのか外国人選手と日本人学生選手との不平等

先ず留学生選手問題とこれを模倣した日本人学生選手が急増し、本来の正直で真面目な学生選手達は、アンフェアーな大学競技スポーツ活動を強いられている事をご存知でしょうか。留学生と称されている外国人選手問題に付きましては、決して大学の門を閉ざす事を意味するのでなく、門は大きく開いている事が大前提です。どこが問題なのかを申し上げます。

わが国の外務省(移民局)、文科省、大学当局には、「外国人留学生に対する留学及び、学生の定義(Definitions)」が明文化されていないのです。よって、各大学法人が必要と認めた外国人に対して学生査証(STUDENT VISA)を発行してしまっている事が問題なのです。此れでは、例えばテロリスト或はその予備軍がスポーツ選手として入って来ようとすればいとも簡単に入国し入学できるのです。

事実として、大学箱根駅伝を走らせるために大学法人は、身体能力の高いアフリカの選手を安易に買ってきていると申し上げて過言でありません。留学生に関わる関係大学及び関係者は、アフリカと日本の文化交流だとか、大学スポーツの国際交流だとか申していますが、これらは、全て大学に連れて来る為の建前論(屁理屈)でしかないのです。嘗て、NHKは、本件を美化し、ドラマ化していましたが呆れた話です。

その証として、大多数の外国人選手達は、日本の大学教育を受ける能力のない人達が大半です。当然、大学の講義授業に顔を出しても午後からの練習の為の休息、朝寝、昼寝タイムとしか理解していません。日本人学生選手のマネをしているのか、そのように指導されているのか、授業に出ても講義が子守歌に聴こえるのかは、別問題です。今日では、伝統校までもが手っ取り早いので助け人の導入に手を染めている状態はご承知の通りです。

外国人選手達は、勿論所属大学の特待生で授業料、生活費、小遣い付きで、母国への航空券代も加味されています。また、大学側は、これらの選手を確保する為には、プロの仲介人を介してアフリカから連れてくるのですから、当然ながら仲介手数料として選手一人に対して300万円から400万円が相場である事も業界では知られています。既にこの事は、一昨年、昨年と数回マスメデイで紹介されていたのも事実です。このような外国人選手は、企業スポーツにプロ契約して競技に参加するのであれば何の問題もないのです。留学生と位置付ける事にそもそも無理があるという事です。

このような事は、30数年前から既に始まっていました。それがやがて男子のみならず、女子選手も仲介人経由で日本各地の私学高校に紹介され、そして大学へ、最後は、実業団テイームの会社、企業に売られて行くネットワークが作られるようになりました。1年で日本での生活に耐えられず帰国する選手もいます。しかし、即その大学は、仲介者の手を借りて新たな助け人を10月の箱根駅伝予選会に間に合わせます。

現在の箱根駅伝規則では、外国人を2名登録できるが公式にレースに出場できるのは1名で、もう1名をスペア―と考えているのです。

現在では、箱根駅伝出場に程遠い大学が、アフリカからの選手を同じ手法で購入して走らせるのです。その大きなメリットは、大学の広告塔として、毎年10月の箱根駅伝予選会までもがテレビ実況中継され、先頭集団を走る事で広告価値は、特待生の費用、仲介料の経費を上回るとの試算が成り立つようです。

大学指導者の中には、レベルの高い選手と一緒に練習する事で日本人学生選手の強化になる。と解説する指導者もいます。しかし、これは、体裁の良い唯の言い訳であり元々の身体能力の問題と指導者の勉強不足とコーチングの無さを言い訳にしているにすぎないのです。このような指導者は、外国人選手抜きで勝利している大学テイームに対してどのような言い訳を持っているのでしょうか。

⑤外国人選手は留学生ではなくお金で買われた助け人か

筆者は、留学生を決して拒んでいるのでありません。全加盟大学に共通したルールブックを作成して、各大学は、皆さんで作った規則、ルール、罰則を遵守するための誓約書或は協定書に同意され、違反行為に対しては毅然としたペナルテイーを与え、受託する事が前提であれば、留学生問題、日本学生選手問題も問題なく解決して、皆にフェアーな大学競技スポーツを構築できると確信しております。

但し、日本の大学に留学を希望するなら、大学で講義授業を受けられる最低限度の日本語能力がある事が大前提で、その能力があるかどうかの物差しとなる留学生への日本語検定試験は、必要不可欠である事を先ずルールブックに明記する事が必要であると申し上げます

日本人学生選手には、純粋に箱根駅伝を目指して勉学に練習に取り組んでいる沢山の学生選手達が居ます。このような学生選手達に対して、心無い教育者、指導者、経営者により出場資格枠が奪われ、不公平、不利益を与えている事を何と考えているのでしょうか

2.学生選手へのリクルートとその手法

①大学から学生選手への条件提示

近年は、大学と学生選手の間の需要と供給のバランスが崩れてしまっている状態が続いています。競技力の高い大学側では、リクルートするに当たって学生選手を四段階にランクを決めているようです。

1)特Aランク選手:

何処の大学もが欲しくてたまらない商品価値の高い選手を意味しています。このランクの選手達及び父母達は、プレステイージの高いとされる大学から引く手あまたであり、そうでない大学には目もくれない選手の事です。このような学生選手達は、売り手市場となっているので各大学からの最終オファーにより父母も我が息子、娘の行き先を決めるのです。

オファーの中身は、各大学それぞれです。最後の決め手は、他大学に比べて特別な内容が加味されているかどうかなのです。(此処に置いてもリクルートに関するルールも罰則も協定書も無いワイルドな状態です例えば、近年スキージャンプ競技種目で女子学生選手が「推薦入学、特待生、強化費別途、父親の大学専門職への斡旋と特別待遇で迎え、大学授業は出席しなくても良い、卒業証書も確約、等々」と此のことが事実であるならば呆れ果てる惨状です。このような方々には、大学教育機関の教育者、管理者としての常識、プライドまでを失った方々のように見えるのは筆者だけでしょうか。しかし、このような関係者側に立てば、そこには、このような所業がルール違反であるという明文化された規則も罰則も無いので一概に批判をするのも片手落ちというものです。此れが日本の大学競技スポーツの現実と実態なのです

2)Aランク選手:

多くの大学では、このランクの学生選手をターゲットとしているのが現実です。伝統校と一般に称される大学でも1)の学生選手が手に入る保証は、有りません。よって、次のランクの選手を狙うのは自然な成り行きです。しかし、また、駅伝の場合もこのランクの選手をリクルートするのも至難の業なのです。よって、此処でも大学教育機関としてあるまじきあらゆる手法が乱れ飛んでいるのが現実です。手法は、皆さんのご想像にお任せいたします。リクルートに関する協定書も無いので当然の成り行きです。

3)Bランク選手:

4)Cランク選手:

B,Cランク選手に対しても多くの大学は、特待生扱いをしているのが現実です。まさに売り手市場だからです。

此処で読者の皆様は、お気付きになられたかも知れません。3)、4)のランクの学生選手を抱える多くの大学は、「箱根駅伝予選会出場」の常連校なのです

そこで大学経営者は、本戦出場と大学の売名行為を狙い、手っ取り早い方法と手段に手を出すのです。それが、身体能力の高い外国人を安易に買ってくる手法であり、日本人選手に対しては、特殊な条件提示でプロ野球界顔負けの所業がなされるのです。近年特に他の大学競技スポーツにも蔓延している実態であります。

このレベルの大学は、日本人選手の1)、2)の選手獲得が難しく、日本人選手だけでは大会出場枠に入れないし、目立たないからなのです。勿論、これらの問題は、指導者のコーチング力の低さにも大きな問題があるのも要因の一つです。

筆者の経験からも、近年の学生選手及び父母は、このような状況、環境から大学を選択するに当たってアカデミックや競技スポーツだけでなく、社会的にもプレシテイージが高く、就活に役立つ大学を選ぼうとするのは当たり前です。何故ならば、日本の大学には、推薦による入学制度があり、大部分の強化部所属の学生選手は受験勉強の苦労を経験せずに入学してきているからです

裏口入学した学生選手の卒業前の合否トラブル

私は、ある大学で教授職を務めていました時に、その大学では伝統的に有名な学部の教授から相談を持ち込まれたことがありました。丁度3月の卒業認定教授会の時期です。「毎年3月の卒業認定教授会は、荒れています。その理由は、本学を選ぶ学生選手が法学部を希望する事からです。しかし、この時期が来ても卒業単位を満たしていない酷い状態で、また、このような学生選手が、学部に多く押しかける事で学部の資質のレベル低下も招いています。しかし、大学が入学時に既に卒業を約束している事が判明し、それで教授会が紛糾しているのです。このような問題をスポーツ・アドミニストレーションとアドミニストレーターの専門家としては、どう処理されますか」とのご質問でした。

伝統と威厳を保つ大学が、教授会でこのような件で大問題となっている事は、多くの他大学と比較しまして、まだ真面目で常識ある大学教授会である証拠でもあります

このように、今日の学生選手、父母は、大学選択時にすでに大学側に条件を付けている事に気付かれるでしょう。嘗て、大学側のオファーは推薦入学や特待生が条件でしたが、今や学生選手、父母側は、学部指定、そして卒業証書まで担保させるに至っている事を見逃してはなりません。これは、もう日本の大学には、アウトローOut of Law)の学生選手と大学管理者、経営者が多数いると言われても仕方のない危機的な状況の証しです。

これはもうどちらが良い悪い、の判断レベルの問題ではないと思いますが、如何でしょうか。このような大学に対して、いったい何処の誰が襟を正させるのでしょうか。しかし、教育機関にも運営組織、団体にもこれらに対する規則、罰則が無いのですから、モラルの問題でしかないのです。此れを称して、やり得、やられ損と申し上げるのでしょうか

このような状況から、箱根駅伝で有名選手だったという事だけで卒業単位を取得していないにも関わらず卒業証書を持ち帰る学生選手が社会に出て、やがて教育機関で指導者になった場合、どのような指導者になるのでしょうか。これらは、ほんの一例に過ぎません。

しかし他の多くの大学では、このような事は全く問題とならず経営者、教学責任者が簡単にハンコを押し処理されているのが、実態です。例えば、オリンピックで金メダルを取った水泳選手は、特待生として推薦入学した大学プールで4年間一度も泳ぐこともなく、卒業前には、未修得単位科目が山積、担当教員がこの学生選手に単位を出さないと突き付けたのだそうです。しかし、そこで大学上層部から担当教授に圧を掛けて、この学生選手は、高笑いして卒業して行ったと知る人ぞ知る事実です。もうこの様な教育機関は、日本の最高学府の大学と言える価値もないと思いますが。大学のプライドは、無くしたようです。

私の経験則で申し上げるなら、学業、競技スポーツ共に優秀な学生選手は、全体から致しますとほんのごく僅かですが、日本の大学にいる事も確かです。この学生達は、真の文武両道の学生でありました。しかし、大多数の学生選手、特に強化部所属の学生選手は、大なり小なり共通した問題を抱えているのも事実です。その多くは、その名も体連生(体育連盟学生の略)と称して、キャンパスをジャージ姿で肩で風切って歩き、誰からも注意をされない学生という名の人達です。この呼び名は、戦前、戦中、戦後の名残りなのかも知れません。

まとめ

大学競技スポーツの大学、関連組織、団体は、各大学の代表(有資格者)の法人化された全競技スポーツを統括できる組織・団体の設立が重要且つ急務です。加盟大学と直接的な関係(資格)の無い第三者の介入は、本箱根駅伝主催者同様の不透明な組織、団体となる事を理解頂けたのではないでしょうか。

しかし、設立された組織、団体をフェアーに円滑にアドミニストレートする為には、必要な専門職の人材が不可欠であります。そうする事により、組織は、職責、責務が明確になり、責任の所在が求められるので有給であるべきです。学生の名を借りた組織、団体では、自らをバランテイアと称する人達は責任の所在が明らかにできず、今日のような大人達のBLACK BOXとなると思われます。

大学競技スポーツを、学生の自治と位置付けるには、余りにも無理があると思いませんか。各大学の競技スポーツ(部活)は、教育の一環、延長線上に位置し、「正義JUSTICEと公正、公平FAIRNESS」を基軸とした、強い教育の理念に沿ったアドミニストレーションが必要であると思います

今日のような、状況においてこそ一日も早く全加盟大学には、「共通した規則と罰則を明文化したルールブック作り」が先決である事を提案致します但し、本ルールブックを遵守するに当たりましては、独立した大学スポーツ査察委員会(Infraction Committee)を設立して、全加盟大学が委託する事が前提です

営利を第一とする会社、企業論理では、大学教育機関の本分である学生選手及び学生を健全で在るべき教育環境に於いて、守る事が難しくなっている事に読者の皆様もお気付きになられた事と思われます。

今こそ、大学競技スポーツを健全な姿に戻す為には、皆様方のご理解、ご支援と勇気あるスポーツ・マスメデイアの行動力も欠かせません。大学競技スポーツは、大学生とその地域社会が共有する公共的な財産です。この理解と認識があって初めて、関係者は、教育機関に於ける学生達に明るい未来の光を供与できるのでないでしょうか。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

大学箱根駅伝のシリーズをご笑読頂きいかがだったでしょうか。皆様は、お正月の箱根駅伝を異なる視点で次回観戦される事でしょう。しかし、この真相と現実、問題を知らなかった方が良かったと思われている方々も多くいらっしゃるのでないでしょうか。勿論、誠実に大学生としての志を持ち、卒業単位を取得する事を目し、また、大学院を目して勉学に駅伝トレーニングに日々励んでいる学生選手も沢山居ることも忘れてはなりません。

しかし、このような誠実で努力している学生選手に対する対応が余りにもアンフェアーである事は、純粋に応援されている皆さんは見逃してはなりません。見て見ぬふりをする事は、学生、学生選手達の教育に何の改善も改革にも成りません事を今一度再考下されば幸いです。読者の皆さんのお子さんがこのような環境で苦汁を舐めていたらどうされますか。放って置きますか。

大学箱根駅伝BLOG連載にお付き合い下さり誠に有難うございました。

K'sファイルNO.79:日本の冬の風物詩大学箱根駅伝は誰の物 無断転載禁止

 K'sファイルNO.79:日本の冬の風物詩大学箱根駅伝は誰の物 無断転載禁止

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 第四弾 大学にとっての箱根駅伝とは

1.大学と箱根駅伝

①大学内に於ける伝統的な部活の昨今

Ksファイルでは、「大学の経営、教育の理念に付いて」の是非を論議する場でない事を最初に申し上げます。

我が国の大学に於ける部活は、1900年前半から当時学生達の余暇活動、課外活動を経て学生達の自治組織が認められ今日に至ったとされています。そして、今日まで昔ながらの学生による自治活動との位置付に特に変更はないようです

この自治組織、活動は、時代と共に大学及び周辺の関係者の利害と利権の温床と化し、伝統的な大学程、大学、法人側と各部卒業生との間での権力闘争があるのも事実です。その理由は、学生達の自治活動としての大義を掲げる大学は大学側の金銭的な支援並びに活動に対する自己責任を長年回避してきたと思われるからです。その為に、部活の運営、管理を維持する為には、部の卒業生達の寄付行為並びに就活支援の物心両面での協力が今日も尚継続している事だと思われます。しかし、実質的に大学側は、専任教授を各部の長として配置し、部活の運営、管理に一定の権限「ポリースマンの役割も」を担っているのが実態です。

よって、部活は完全な学生達の自治活動ではなく、あくまでも大学教育の一環と捉えているかのような人事配置からも窺い知れます。しかし、この部長は、各部活の専門的な知識を兼ね備えているでもなく、特に競技スポーツに無縁な大学当局にとって都合のよい専任教員を大学、法人により任命されている事から、長年形骸化してしまっている様子は否めません。

部活の運営費は、部費の徴収、大学側から学友会費(全学生は、授業料納付時に学友会費が含まれていることすら知らない)分担金、各部のOBOG会からの寄付金により賄われているのが実態です。また、一部大学の部に於いては、民間の遊技組織・団体から支援を受けている大学まで現れている実態です。

日本の大学競技スポーツには、共通した約束事、罰則、即ちルール、罰則が明文化しない為に競技スポーツの本質であるべきフェアネス(公平)を逸脱した運営、管理がなされているのです

②近年の大学・大学法人の傾向

 近年各大学は、教育とは異なる目的で大学競技スポーツをリードする傾向が目立っています。大学の売名行為に一役を担い、受験生の増加による増収にも貢献している実態も見逃せません。このような実態は、もう既にマスメデアに於いても紹介された記憶が蘇ります。

それは、近年ある大学の新入生が突然箱根駅伝で山の神となり優勝、翌年も、その翌年も4年目もと神がかり的な連続優勝を果たしたのです。この大学は、外国人の手を借りず全員日本人選手の努力の賜物として称賛されました。この新人選手の活躍でその年の受験者数が通年より平均10000人、それも4年間その数を維持したようです。これ即ち、経営者側に致しますと、今日の受験生一人の受験料は、35,000円ですから毎年受験料が、35千万円臨時収入が増加、それも4年間と···。関東の多くの大学が箱根駅伝に力を入れるのも理解できます。しかし、逆に長年連続出場していた伝統校の中には、シードを逃したり、予選会で落選したりで、受験生が激減したと嘆いている大学もあるようです。此の事からも、大学箱根駅伝は、大学の広告塔であり収入源でもある証です。

各大学は、競技スポーツ部を幾つかに絞り、学生達には公表せずに特定した部に対してだけ、特別強化費と称して大学法人から資金が重点投下されているのも事実です。大学競技スポーツに力を入れている大学では、特別強化費と称して「年間1億円から5億円」レンジでの投資をしています。この金額は、大学の規模に関わらず、平均的には23億円が投入されていますこのような投資は、何の目的の為に行っているのかは、もう読者の皆さんは推測できる筈です。最終的にどのようにしてこの投資資金を回収するめどを付けているのか、またこの費用対効果から考えた場合の毎年の成果と結果は如何なのか。大変興味深い日本の大学経営のマネ―ジメント手法でもあります。これは、決して教育が目的でない事だけは、確かなようです。

しかし、このような毎年の部活への投資の殆どは、成果と結果を出すためのビジネス・マネージメント手法が計画的、実践的でない為、無駄な投資となっているケースが多々あることも事実です。まさか文科省からの私学助成金補助金が当てられていない事を願う次第です。

③大学教育機関の企業化問題

近年に於いての大学経営は、会社、企業の論理と酷似して来ています。

その大きな要因としましては、大学法人の経理部門の責任者に大学の主要取引銀行からの天下りか、銀行から意を受けた人物が理事、常務理事兼務で送り込まれているケースが多く見受けられます。また、法人事務局長(二号理事として)、大学教学の事務局長、人事部長、職員に企業からの転職部隊が横行しているのも近年の大学経営の特徴です。

教育現場に於きましては、人件費の圧縮が目的で、講義授業については各学部共通科目を増やし、卒業単位(124単位)に加味する手法、ゼミ演習、卒業論文演習は選択科目とし、専任教員、非常勤教員のコマ数を減らす手法です。

これは、即ち所属学部以外での授業単位を卒業単位数に加味し、その学部以外での授業単位を60単位まで認めているのです。

まさに大学経営の生死を賭けた企業論理の導入であり、この論理は、全てのしわ寄せが学生に及んでいるのです。そしてまた、大学職員に於いては、従来の各部門、部署のベテラン職員の雇用を薄くし、人材派遣会社からの人材の雇用に重きを置いた合理化が遂行されている大学が目立ち始めている事です。このことによる弊害は、教学に於いては教員の資質及び人員削減に伴い、本来は学生ファーストであるべき教育機関の本質の喪失と、職員に於いては専門職でない臨時職員として腰掛のような職責の増殖から、学生及び教員に対するサポート体制、情熱を持った支援が成される筈の環境が崩壊して行っている様子が伺えます。

大学教育機関には、企業の論理、体質を持ち込むこと事態に大学経営者、管理者としての適性と資質を問うてしかるべきです。しかし、現在の大学設置に関する許認可基準では、経営者の適性、資質を判別する術がなく、大きな抜け穴と化し、全て学生達に不利益が与えられている次第です。

このような大学に文科省は、何故助成金補助金国税を流し込む必要性があるのでしょう。また、このような大学に於いては、大学競技スポーツに参加する事しか興味がなかったり、全く大学に於いて高等教育を受けうる意志やレベルにない学生選手達をかき集める手段として学内に見せかけの競技スポーツ施設を充実させたりして、このような学生達を集める手法を取っている大学経営者が増えている事も確かです。 言わば、学生達は、大学という看板を掲げ大学教育機関に特定の競技スポーツ施設を使用させる対価として部費、受験料、授業料を払って楽しく毎日元気にキャンパスで過ごしているのです。

④キャンパスに於ける学生選手の認識と実態

このような多くのスポーツ学生達は、毎日遊ばせてもらう事を主たる目的にしている学生、学生選手達の保育所的な現状の大学が近年増殖している事です。汗水たらして働いて授業料、生活費を仕送りしている父母関係者は、この現状、実態を理解、認識されていた上でサポートされているのでしょうか。そうであれば、全く大学経営者と父母との利害、認識が一致している事で筆者がどうこう意見する立場にありません。

しかし、このような若者達を食い物にしている大学経営者は、何と心得て教育者の顔をしているのでしょうか。此の所政府に於いては、労働者不足が叫ばれて外国人労働者の法案迄議論されている中、このような国内の元気な若者達がただ遊びに大学に来ている現状を何故改善、改革しようとしないのか非常に矛盾を感じる次第です。

この健康で体力のある全国の若者達の多くは、生産業に適しています。筆者は、このような大学、経営者の大学を間近で体経験して感じた次第です。何か今日の日本は、教育に対する基本的な概念が崩壊して行って居るように感じるのは筆者だけなのでしょうか。

今日では、大学に陸上競技部も設置しないでいきなり駅伝部を創設し、キャンパス内に宿泊施設ビルを建て、ビルの一階にはコンビニエンスストア―まで入居させるありさまです。学生選手をかき集める事が主たる目的なのです。多くのこのような大学は、教育とは名ばかりであるのはご推察の通りです。

文科省は、何故認可した各大学に対する精査、検証、監査、監督も行わず長年各大学の法人任せにしているのでしょうか。このような最高学府としての教育の看板を掲げる大学に対しては、許認可取り消しの強い姿勢で臨まない限り教育の環境とそれに伴うレベルの低下が否めない事を実体験致した次第です。

此処に於いても、箱根駅伝主催者と同様な何でもありの無責任なスポーツ・アドミニストレーションが大学キャンパスにまで及んでいる事を一般社会の皆さん、そして学生の父母はご存知でないようです。

筆者は、学生、学生選手を1つの集金マシーンと化した大学経営手法に対する大学教育及び経営に今こそ国の強い指針と施策が必要であるとご提案致す次第です。このような経営者、大学教学統括責任者は、いったい何を競技スポーツに期待し、何の為に教育機関を経営、運営、管理しているのかと我が目、耳を疑った次第です。

2.大学と箱根駅伝主催者との関係

①不明瞭な金品の受け渡し

近年の大学競技スポーツは、学生達の自治運営活動でなく、大学と法人の大人の都合による学生集めの広告塔と化し、受験料、授業料を運ぶ集金マシーンのツールと化しているように思えてなりません。特に各大学法人が特定する強化競技スポーツに顕著にみられる特徴です。

大学は、関東学生陸上競技連盟が主催する陸上競技大会に出場する為に関東学連に所属しなければなりません。箱根駅伝競走大会は、その競技大会の一つです。関東学連は、全加盟大学から加盟登録料を徴収している任意団体です。

 此処で素朴な疑問として、箱根駅伝主催者の関東学連は、近年出場権を得た20校に対して各大学個々に毎年2,000,000円(以前は1,500,000円)支給しているのです。勿論、本件に付きましても、主催者には、情報公開の義務がないので大学と主催者の間での閉ざされた取引であり、大学側も一切公開していません。

本金額は、合計しますと毎年40,000,000円となりますが、支給側、受給側、双方でどのような名目処理がなされているのでしょうか。主催者側は、何らかの名目で箱根駅伝出場20校に対してだけでも利益を還元しているとの証を残したいのかも知れません。しかし、これでは、学生選手及び学連生、バランテイア学生達への還元になっていません。何故主催者、大学双方は、本件並びに余剰金の使途を公にしても差し支えないと思いますが、しないのでしょうか

また、これは、信じがたい話ですが、出場校に対して主催者、スポンサーからサッポロビール黒ラベル缶が段ボールで学生選手の合宿所に届けられるとの事を聴き、唖然とした次第です。多分これは、何の他意もなくスポンサーがアルコールの会社、企業なので軽い気持ちで宣伝を兼ねて、祝勝会、残念会、ご苦労さん会で飲んで下さいという意味だと理解したいです。しかし、合宿所には、大学生、未成年学生達が居る事、またその未成年者がアルコールを手にする事を何故、主催者、スポンサー企業、大学関係者は、配慮し止めないのか。もうただただ、関係者達の大人の良識、見識を疑わざるを得ないのです。

②学生・学生選手に対するモラル教育の低下

当然の事ながら、未成年学生選手のユニフォームの胸には、BIBナンバー(ゼッケン)にアルコールスポンサーのロゴを付けさせて14時間もテレビの生中継で露出、また主催者名で告知される全ての出版物の選手のユニフォーム写真には、スポンサー名と共に商品名も掲載されています。主催者規約には、学生選手の肖像権は関東学連に帰属されています。しかし、未成年学生がアルコールの広告塔になる了解は、何処にも明記されていません。

学生選手達をアルコールの広告塔として利用する事の非常識さもさることながら、この状態を長い年月において教育機関の教育者、指導者、経営者の誰もが指摘、止めない、この現実と見識は、如何なものでしょうか。このような関係者と一般社会の常識は、異なるのかも知れません。

ご存知の通り、わが国の法律では、未成年者の飲酒喫煙は禁止されています。勿論大学キャンパスに於ける飲酒喫煙は、殆どの大学で厳しく取り締まっている筈なのですが・・・。先進国に於いて、特に学生選手が出場する競技スポーツ大会では、アルコール、たばこの企業スポンサーは御法度でありますこれは、青少年の心身の健康管理が何よりも優先するからです。此のことからも、大学競技スポーツのアドミニストレーションが遅れている大学、国と称されても仕方のないレベルなのかも知れません。日本国に於ける大学競技スポーツを取り巻く関係者は、もう少し高い志を持ってサポートする品格も必要ではないかと思われます。

 特記事項:

 

筆者は、大学で教授職を賜りスポーツ・アドミニストレーション論の講義授業、付帯専門ゼミを指導致して参りました。大学競技スポーツのスポンサーシップに関する講義、ゼミに於いて、本箱根駅伝のスポンサーが何故アルコールの会社なのか受講生に説明できませんでした。そこで、私は担当教授として、本件に付きましてサッポロビール株式会社の広告宣伝担当統括専務氏宛に質問の書簡を大学名、学部名、担当教授名、講義授業、ゼミ演習科目名を明記して発送致しました。内容は、「御社は、大学箱根駅伝の冠スポンサーとしてサポートされています。付きましては、大学競技スポーツへのスポンサーとしての趣旨、目的をお聞かせください。また、アルコール商品の広告宣伝を何故学生選手に強いるのかも合わせてご説明頂ければ幸甚です。小職は、講義授業、ゼミで説明がつかないので苦慮している次第です」とお願い致した次第です。しかし、残念ながら同統括専務氏からの返信は、8年経過した現在もございません。

サッポロビールとは、そのような見識の会社、企業理念をお持ちの企業なのかも知れません。此処に皆様にご紹介させて頂きます。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

次回は、K’sファイルNO.80箱根駅伝シリーズの最終回として掲載予定しております。最終回は、大学が箱根駅伝にどうしたら出場できるか、そのためには学生選手のリクルート活動はルールも罰則も無いので、その方法論は問われない。TVに多くの時間露出されれば大学経営のメリットになる。それじゃ日本人選手のみならず、外国人選手も買ってくるか方式をご紹介いたします。お楽しみに!

 

K’sファイルから緊急のお知らせ:2018年12月07日、金曜日

 

K’sファイルから緊急のお知らせ20181207日、金曜日

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本年度96日~927日迄、「K'sファイルNO.65666768:緊急連載 体操ニッポンの危機」を連載して参りました。

本件に関する結論は、第三者委員会の委員により個々への任意事情聴取が行われた報告書を参考に公益財団法人日本体操協会が結論付けるものであります。

体操協会は、本年1210日、月曜日に臨時理事会を招集した模様です。よって、本理事会に於いて決議がなされると理解致します。

三者委員会は、非常に長い月日を擁しての事情聴取となったようですが、どのような報告書となったのでしょうか。協会理事の方々は、禍根を残さない決議をされる事を心より願う次第です。

K'sファイルNO.65666768:緊急連載 体操ニッポンの危機」をご参照頂ければ、専門的な観点からより理解し易いかと思います。ご参考までに。

URL

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 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

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