Kファイル╱スポーツドクトリンNO.220:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅴ)エイゼント業務特別編
無断転載禁止 毎月第二、第四木曜日掲載
スポーツ・アドミニストレイタ-
スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」
日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介
日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者
(プロフィールは別途ご検索下さい)
筆者からのお知らせ
この度は、3月21日に公になりました大谷翔平選手(現LA/ドジャーズ球団所属)の公式通訳の水原一平氏が長年違法スポーツ賭博に関り、莫大な負債を賭博の胴元のマシュー・ボウヤー氏との間で抱えていた事が発覚しました。そしてその返済には、巨額な大谷資金が勝手に引き出されていた事が判明した事が大谷翔平選手の記者会見で明らかになりました。此処で筆者は、スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げます。大谷選手の米国でのスポーツ選手代理人(エイゼント)は、本事件発生当時から表に姿を現さない事に非常に素朴な疑問を感じている次第です。しかし、この疑問は、時間の経過と共にその裏舞台の様子がここかしことぽろぽろと出始めて参っている事から段々と問題の本質が透けて見え参っている次第です。
本Kファイルシリーズでは、「スポーツ・アドミニストレイション基礎編」を掲載致して参っています。しかしこの度のNO.220は、スポーツ界のみならず社会を震撼させている大谷選手に関係する事件が勃発した為、Kファイルの読者の皆様も気が気でない事を承知致しております。そこで、筆者は、基礎編を実践応用編として今回の事件の実務、現場をご紹介する事に致します。それにより大谷選手が関わる本件の流れと今後の出口に仮説がたつのではないかと思った次第です。その為にも実践に必要な専門的な知識を付与する事で読者の皆様がより理解を深められ、事の次第とその成り行きを冷静に観察、洞察できる手助けになれば幸いです。Kファイルの行間を読んで頂く事に寄り、TV、マスメディアの報道に惑わされることなく冷静な判断をして頂きたく願う次第です。
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読者からの便り米国より
弘道:
私は、あなたがKファイルに書かれた記事をあなた自身が翻訳して下さったことに感謝致しています。内容は、興味深く楽しく読ませていただきました。あなたの観察力と洞察力は、あなたの長年の実践キャリアがその裏付けになり、マスメディアの記事、表現と比較しても全く迫力、リアリティーが異なりますね。現在もあなたの洞察力は、衰えを知りません。現場に復帰されては、どうですか。
大谷選手、ドジャース球団、大谷の代理人、そして通訳にとっても悲しい状況だ。 私は、通訳への圧力に組織犯罪関係者が関与していないことを強く願っています。歴史が世界各地で示していることの 1 つは、多額の資金が関与する場合、通常、違法な手段でその一部を手に入れようとする誰か (または「類似者」) が存在するということです。 大谷さんは大金を持っているのでターゲットにされた(されている)。これは、私達日常の米国民が持っている感情と見解です。
大谷選手が意図あって、本事件に関りを持っているとは、彼のMLBでの言動、行動、態度、倫理観から誰も思っていません事をお伝えします。彼は、野球界のみならず、全競技スポーツ界の貴重な宝物です。M.R.O. (球団経営者)
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目次
Ⅰ.プロ選手のエイゼント(代理人)業務
先ず初めに
■MLBのエイゼント
■日本プロ野球機構の協約・規約はアンフェアー
■米国のエイゼント規制
■プロスポーツのエイゼント業務
■大谷選手の代理人紹介
■大谷選手を取り囲む環境
筆者の私的見解
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2024年4月11日 木曜日 公開
Kファイル╱スポーツドクトリンNO.220:河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション基礎編より(Ⅴ)エイゼント業務特別編
無断掲載厳禁
Ⅰ.プロ選手のエイゼント(代理人)業務
先ず初めに
読者の皆様は、MLBの選手にはエイゼント(代理人)が居る事をご存じです。しかし、エイゼントを持たない選手も居る事は、ご存じでなかったかも知れません。MLBの選手契約規約、MLB機構規約、選手会規約にも代理人の必要性の有無は、明記されていないのです。
それでは、何故大半の選手達はエイゼントを持っているのか。これは、選手サイドからしますと、ビッグネームのエイゼントに所属し、ビッグマニーを得て、首に金の太い鎖を掛ける、等々が主に中南米の選手達のステイタスの一つにもなっているようです。しかし、此れも個人差が在るので、賢いプレイヤーは、この様な事が大事だとは考えていません。日本のプロ野球の思慮浅い選手がこのような真似をするのはよく見かけます。その姿を見るにつけ筆者は、その選手の本質を伺う事が出来ます。読者の皆様は、映像を見られてあまり品の良い姿ではないと評されるのではないでしょうか。
プレイヤーに取ってエイゼントが必要なのは、主に球団から高額な年俸を勝ち取る事が目的とする事です。これは、エイゼントにとっても一番大事な業務なのです。プレイヤー同様にエイゼントには、ピンからキリまで居るという事です。エイゼントの中には、野球の経験が無い方も居れば、MLB、大学で活躍した人もいます。
先程ピンからキリまで居ると申し上げました。その意味は、エイゼントには一人で代理人を開業している人も居れば、MLB、NBA(プロバスケ)、NFL(プロフットボール)、NHL(プロアイスホッケー)選手のトップスター選手達と契約をし、企業として経営、運営、管理している巨大なコンツェルン(Konzern利益集団 )を形成しているエイゼンシーも沢山あるという事です。アメリカにおいては、利益集団(interest group)といわれる結合がこれにあたり、一大企業を形成しているエイゼントグループもあるという事です。これらの企業が何をしているかについても後ほどご説明します。
■MLBのエイゼント
ここに於けるエイゼント(代理人=Agent、代理店=Agency)は、選手の契約交渉業務を代行して行う人を指し、主に交渉人(ネゴシエイターとしての役目)として役割を担っています。また選手が集中して競技に専念できるように選手の生活環境整備をサポートする事も重要な仕事としています。
注意)米国の四大スポーツ(NFL、NBA、MLB、NHL)においては、エイゼント登録の制度があり、登録先は全て選手組合でエイゼント資格を取得しなければなりません(あまり難しくはありません)。
日本に於きましては、サッカー界、野球界にエイゼント制度がありますが有効活用に至っていないのが実態です。
1.サッカー界のエイゼント:
エイゼントになる条件が最も難しく厳しいのがサーカー界のエイゼントであると言われています。何故?―2004年3月に日本サッカー協会が行った試験では、34人中合格者は、わずか4人でした。Jリーグ規約95条には、「Jクラブと選手との契約に関し、弁護士、FIFA加盟国協会が認定する選手代理人以外の者は、代理人、仲介人等名称の如何に関わらず且つ、直接、間接を問わず、一切関与してはならない」と述べられている。エイゼント資格の重要性。(現在2016年度よりJリーグに於けるエイゼント制度は、廃止)
2.日本プロ野球界のエイゼント:
球団経営の透明化にともない選手の権利意識が高まり、現実は、代理人の存在がますます重要になってきています。
問題:現在の協約には、代理人を拒否する条項はないが、球界ではその存在を無視し続けてきているのが現状です。しかし、04年の選手会のストライキを境にごく少数ではあるが選手側がエイゼントを使用するケイスが増えてきているのも事実ですが、まだ大部分の選手には、代理人を付けた方が如何に合理的で年俸が良くなるかの知識と認識があるわけでないのが実態です。 これは、幼少の頃から野球のみに没頭して来ているが為か社会での思考力が伴わない選手が大半である事を筆者は選手との契約更改時に対応しながら可哀そうになった記憶が蘇ります。また、嘗て日本プロ野球界でエイゼント制度の有無が沸き上がった時に、東京読売巨人軍の渡邊恒雄氏が、「エイゼントなど連れて来る奴とは、契約しない。連れてこない奴には、選手がエイゼントに払う金をくれてやる」との暴言を吐いた事が記憶から蘇ります。これに対して、コミッショナーも他球団のオーナー達も選手会も何も反論しませんでした。
疑問:経営者側が選手との直接交渉を望む大きな要因は、日本のスポーツ界の体質、歴 史から企業雇用の延長としてしかみていないのと、選手が交渉に関しての指導、教育を受けていないことを承知しているからです。よって経営者側は、エイゼント(専門職)と交渉を行うよりこのような状態の選手との交渉の方がやりやすく経営者側(雇用側)の論理で有利に交渉が出来ることが最大の要因です。また、日本社会においては、個々の契約雇用体制への馴染(なじみ)が少なくその歴史が強く残されている事も背景にあると考えられます。
■日本プロ野球界の協約・規約はアンフェアー
経営者側の横暴
このような背景から日本の球界経営者は、選手が代理人を連れて来る事に対して強いアレルギー反応を示すのは読者の皆様は容易にご理解して頂けると思います。経営者側は、個々の選手と直接的に話し合い(Negotiation)をする事で(選手個々が専門的な知識に乏しく、反論できる材料も持ち合わせておらず厳しい条件闘争が難しい、等)と容易に経営者側の論理で契約交渉が進むのです。
此れに対してエイゼントを入れる事により選手は、全く不得手な交渉事にタッチせずとも交渉人が全て選手側として有利な条件闘争を展開してくれるのであります。またエイゼントは、選手の条件及び契約金、年俸を高騰させる事により自らの取り分の%が上がるので選手、エイゼント双方にメリットがあるので努力を惜しまないのです。
しかし、経営者側は、これにより契約金が高騰する上に法務・労務上、等の専門的な知識が持ち込まれることによる煩わしさとそれに伴う弊害を恐れ代理人の許認可を軽視、拒否し続けてきているのです。現行のエイゼント制度をNPB(日本野球機構)は、許可しています。しかし、この許可に対しては、付帯条件が在る事です。その一つエイゼントは、弁護士資格を有する事。二つ目は、エイゼントは選手1名のみ代理を務められる事。このような二つの条件は、弁護士にビジネスチャンスを与えない(1名のクライアント顧客だけでビジネスにならない、何故ならばMLBの選手の様な高額年俸を得ていない事です)。弁護士以外の第三者は、日本プロ野球界に於いて選手の代理人にはなり得ない事が明文化されています。此のことに付いて、プロ野球選手会(組合)は、何の反論も出来ないでこん日を迎えています。これでは、選手達はいつまで経っても球団経営者に男芸者と疎んじられている次第です。
MLB界に於いては、代理人の資格は選手会が発行しているので、日本の様な球団経営者が代理人を軽視、排除するようなことが出来ない構造とシステムが整っている事が大きな違いです。
選手会(組合)の非力
これは、即ち我が国において戦後経営者側が組合擁立を拒んだ闘争時代の原型を今尚スポーツ界に残していると言えるようです。まさに「フェアネス」の本質を逸脱した例がここにも影を落としていると言えます。 現実的には、球団、ティームにとって、選手と直接交渉を行うよりは、エイゼントと交渉するほうが、時間や複雑な契約手続きを簡素化することができます。ここで日本の選手の問題は、選手自身が経営、ビジネスに対する知識がないために、自分が金を払って迄代理人を雇い、お金の交渉をしてもらう方が利得が在るとの知識も知恵も持ち合わせていない事が問題なのです。即ち、そんな金をかけるなら自分で交渉する方が得だと考えるのです。これは、個人差があるにせよ、教育を疎かにして来たツケが此処にも表れ自ら損をしている事すら気付かないのです。
アメリカやヨーロッパにおいては、エイゼントが選手会、選手に寄り守られて強い力を持っているためか法外な移籍条件を設定することによって選手年俸、移籍金、等を高騰させて、テイームの経営を圧迫することは、選手自身のマーケテイングを狭めることにもなって来ているのも事実です。
■米国のエイゼント規制
MLBの選手会(以下MLB選手組合、MLB Player’s Unionと呼ぶ)は、メジャーリーグ選手のエイゼント(代理人)の資格を発行する唯一の組織・団体です。資格取得には、英語力に問題が無いかの確認、社会常識、ファンダメンタル(基本的な)法知識、野球ルール、他の公的な資格の有無の確認、等が含まれます。そして、資格を取得する本人は、MLB所属球団の40名の支配下登録選手名簿に記載された選手を代理する選手名を提出しなければなりません。即ち資格を取得する時に1名以上のMLBの大リーグ契約をしている選手を確保していなければなりません。これらが整えば登録許可が得られます。
NFL選手組合(NFLPU)
NFL所属球団の支配下選手お呼び入団予定の新人選手を代理するエイゼント。登録許可―必要。
NBA選手組合(NBAPU)
NBA所属球団の支配下選手お呼び入団予定の新人選手を代理するエイゼント。 登録許可―必要。
NHL選手組合(NHLPU)
NHL所属球団の支配下選手お呼び入団予定の新人選手を代理するエイゼト。 登録許可―必要。
■プロスポーツのエイゼント業務
1.エイゼントは、MLBに於いて商品価値が高いと評価される選手を高校、大学、外国から見つけ出し、その選手とエイゼント契約を結ぶことからビジネスが始まるのです。その為に、何処の球団もが欲しがる選手に触手を伸ばして、あらゆる手段、方法でエイゼント契約を結ぼうと努力しているのです。近年は、特に日本の高校生、大学生、プロ野球界に所属する投手を血眼で探しているのが現実です。彼らの評価基準は、スピードボールが145キロ以上、変化球3種類、そしてコントロールの安定感のある投手であれば、年齢を問わず買って行くでしょう。
2.契約交渉と契約管理:エイゼントの選手に対する主たる業務は、自分の選手を如何にして商品として球団に認めさせ、最高の契約条件で契約を締結する事です。これによりエイゼントは、契約の総額の1~25%をエイゼント料として基本的に得ています。通常は、5~10%が相場です。しかし、エイゼントと選手間の契約の仕事の質、量によってもこの%が当然異なると言えます。選手は、エイゼントと契約をする前に、他のエイゼントと比較する余裕が必要不可欠です。その理由は、エイゼントの名前、所属会社名に惑わされて契約するケイスが多発しているからです。それにより、契約後エイゼント料をボッタクられたり、球団との契約が高額に至らなかった場合には、その後のマネイジメントに手抜きが見られて選手業務に支障をきたすケイスが多く発生している事を見逃してはなりません。(ビッグネームに飛びつかない事)
3.その他のエイゼント業務;本来大手エイゼントは、選手との契約には球団との契約交渉のみならず、あらゆるビジネスチャンスを逃さない為にも当然、包括的か或いは個々の項目ごとの別途契約をするのが常道です。
その契約には、選手を商品として球団の契約事項に反さないビジネスチャンスを全て生かすがために、選手のマーケティング業務として選手のブランド、肖像権の管理、メディア、イメイジ戦略、チャリティー事業、等と選手の商品価値が高いほど付帯商品のビジネス活動がエイゼントに取っては、大きなビジネスチャンスとなるのです。
4.マーケティングビジネス活動:この活動範囲は、膨大です。それは、書類、映像管理、キャラクター商品管理、選手の広報・宣伝活動、選手のライフデザイン、ファイナンシャル・プラン(投資を含む)、等々とマーケティングビジネスは、金を生む木と呼ばれている所以なのです。
5.エイゼントが狙う選手との別契約:通常選手の商品価値が高い程、契約年俸、契約期間、補償も天文学的な数値になる事はご承知の通りです。此処で大手エイゼントは、この選手の高額な資金の有効活用を選手に持ちかけて一定の金額をエイゼント企業に全て預けて、預けた元金に対する預け料を年額幾らで契約を結ぶのが一般的なやり方です。よってエイゼント企業は、企業のコンツェルン(企業の利益集団)内の投資会社にこの元金を入れて有効活用するわけです。選手側は、元本割れすることなく毎年約束した定額の高利息が付くという事になる様です。
6.選手側とエイゼント間の別途契約業務:通常エイゼントは、選手側のプライベイトのサポートとして、本人、家族へのサポートの一環で住居、生活全般、警備、必要なら子供達の学校選定から送迎、買い物、病院、医師のアレンジメント、及び警備体制から法律相談迄、あらゆることを想定したサポートの準備とケアーを行うのもエイゼント業務です。
例えば、大谷選手のようなクラスであれば上記項目は、当然行われていると理解するのが本業界では常識であります。
■大谷選手の代理人紹介
大谷翔平選手の代理人は、ネズ・バレロ氏(60歳)です。バレロ氏は、CAA(Creative Artists Agency)を母体とした「CAA Sports」の共同経営者であります。母体のCAAは、名門プロダクションで主にハリウッドのスター(ブラッド・ピット氏)達を有する代理人事務所なのです。
CAA Sportsは、多くのMLBの選手達の代理を務めるスポーツ・エイゼントです。その中でも大谷翔平選手は、世界一のクライアント(顧客)である事はご承知の通りです。日本人選手では、過去に青木宣親選手がお世話になっています。ネズ・バレロ氏が公的場に顔を見せたのは、2023年12月14日、ドジャースタジアムでの大谷翔平選手のLA/ドジャーズ球団と契約締結の記者発表の場に同席した姿でした。その場には、ご承知の通り通訳の水原一平氏も同席していたのは記憶に新しいと思います。
バレロ氏は、本契約に際して大谷選手を最高の商品価値である事をLA/ドジャーズ球団に認めさせたのでした。その証は、米大リーグ・エンゼルスからドジャースにフリーエイゼント(FA)移籍した大谷翔平選手(29)の契約を10年総額7億ドル(約1015億円)でスポーツ史上最高額とされる超大型契約成立に導いたのでした。此処で読者の皆様は、念頭に置いて頂きたいのはこの総額の%がCAA Sports社に入る事です。これまた巨額な仕事料です。
■大谷選手を取り囲む環境
筆者の私的見解
2024年3月21日に本事件が公表されて以来米国の公的機関(IRS、FBI、MLB、その他)が動き出し今日迄一切の本件に関わる事件の捜査状況は、公表されていません。マスメディアに公表されるのは、本論には影響も及ぼさない程度の噂であります。関係者の中で本件に付いて取材に対するコメントして出て来ているのは、大谷翔平選手の代理と称する弁護士、また、先日は、初めてネズ・バレロ代理人(CAA Sports)が「代理人は大谷の口座を管理していない」と意味不明な短絡的なコメントを出した事でした。このコメントは、取り方に寄れば「私はこの度の事件には何の関りも持っていない」と言いたげに取れます。
筆者は、本事件は長年非常に複雑化した状況が大谷選手を中心にして進行していた様子が伺えます。その問題の中枢に位置するのは、果して何処の誰が大谷資金を管理していたのかです。常識的には、大谷翔平選手と彼の代理人のバレロ氏(CAA Sports)の契約書に本資金の運営、管理の責任の所在が明記してあるはずです。此処で明らかなのは、通訳の一平さんの支払を何処の誰が今日迄支払っていたかです。Laエンゼルズ時代には、一平氏が球団と通訳として契約していたのか、大谷選手とは、公私混同していなかったのか、代理人のCAA Sportsと契約していたのかも当時から明らかにされていません。
この度初めて、一平さんは、通訳としてLA/ドジャーズ球団と契約していたことが明らかになりました。それは、事件が公開された21日にLA/ドジャーズ球団が一平さんを解雇発表なって初めて分かった次第です。これは、多分大谷翔平選手とドジャーズ球団の間で契約の交渉時に大谷さんからか、一平さんからか、バレロ氏からか、或いは全員同意見で、一平さんの契約をドジャーズ球団に持ってもらうよう契約時に押し込んだことが考えられます。しかし、この場合は、確か年俸が高額であったのでドジャーズ球団と一平さんの契約は通訳のみならず、大谷選手のトレイニング、身の回りの世話、等々と業務が多岐にわたる内容であったと推測されます。
ドジャーズ球団は、これだけの重い契約内容で高額な支払である事から、一平さんが大谷選手に関する情報を他言できないよう強い守秘義務がかかっていた事は容易に理解できます。一平さんとドジャーズ球団の契約内容次第では、バレロ氏は一平さんと大谷選手に関する情報を共有出来るのは本来は難しい筈です。もし、バレロ氏と一平さんの間に契約関係が無いのであったなら、バレロ氏が一平事件に首を突っ込む(INVOLVE)を避けるのは十分理解出来ます。
もう1つ不可思議な点は、大谷選手は一平さんとの間で仕事とプライベートの線引きがあったのか、無かったのかであります。プライベイトで一平さんを使う事は、同意書或いは契約書により支払が発生して当然です。それを何処の誰が線引きして管理をされていたのかです。
最期に重要なキーを握られているのは、先日来大谷翔平選手の代理と称する弁護士氏が顔を出しコメントされています。この弁護士氏の立場と業務が明確に公開されていません。また、この弁護士氏及び事務所は、東京なのかロスなのか、日本人なのか米国人なのかも不明です。もし大谷選手がこの弁護士及び弁護士事務所とリーガルマター(法務関係)のアドバイスを担当する事を委託しているとすると、おそらく本事件の深層、真相は、本弁護士事務所及び担当弁護士が把握されていると思われます。
米国の捜査機関、司法機関は、日本の様に時間を掛けませんので早い時期に捜査状況の発表並びに今後の指針が公表されると期待しています。この間の水原一平氏とそのご家族の安全と健康を捜査機関が保護して挙げられます事を切に祈念致しております。
文責:河田弘道
スポーツ・アドミニストレイター
スポーツ特使(Emissary of the Sports)
紹介:G-File 長嶋茂雄と黒衣の参謀 文藝春秋社 著 武田頼政
Kファイル╱スポーツドクトリン、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada
お知らせ:NO.220エイゼント業務特別編は、如何でしたでしょうか。本件は非常に複雑怪奇に見えますが、実は、大谷選手の取り巻きがあまりにも多くの人達が首を突っ込み過ぎている為、構造的な問題が起因している様子が伺えます。大谷選手の選手としての指導、運営、管理とプロ選手としてのビジネス部門(経営、運営、管理)に関わる、最初のVision(展望、構想)を描いた方が居たはずです。その時点で、既にあまりにも多くの人達が関りを持っていたので、このような事件を起こさせる要因を醸成したのではないのでしょうか。スポーツ・アドミニストレイションの根幹は、シンプルが最高の結果を導く事です。