KファイルNO.203: WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

KファイルNO.203: WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

無断転載禁止                毎月第二、第四木曜日掲載


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目次

KファイルNO.203:WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

23WBC侍ジャパンの大前提

先ず初めに

Ⅰ.WBCに関する選考事案は委員会で承認、任命

 1.侍ジャパンの編成とその手法

  ■日本野球協議会の設立

  ■日本野球協議会とは

2.侍ジャパン強化委員会とは

  ■強化を目的とする編成部門を司る部署

  ■2023年度強化委員会の責務

3.強化委員会の重要案件

  ■監督の選考

  ■栗山英樹氏の特徴と才能

4.監督選考プロゼクトの真の目的

筆者の私見とまとめ

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2023年6月29日 木曜日                   公開

KファイルNO.203:WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

無断転載禁止

23WBC侍ジャパンの大前提

先ず初めに

 この度のNO.203は、ベースボール・アドミニストレイターとしての立ち位置と視点で主観を交えての論考とさせて頂きます事をご了解ください

 本KファイルNO.203(第Ⅳ弾)をスタートさせていただきます前に前弾(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)までの大事なポイントをリマインドさせて頂きますので、読者の皆様も是非ご記憶を蘇らせて下さい。

    WBCWorld Baseball Classic)は、米国のMLB(Meager League Baseball)機構とMLBPA(Meager League Baseball Players Association)選手会により出資されたWBCIWorld Baseball Classic Incorporated)社はNew York市に設立されました。WBCは、このWBCIにより経営、運営、管理がなされているベースボール・イベントなのです。よってWBCの主催者は、WBCIであります。WBCIの収入源は、ワールドワイドなスポンサーを複数社(日本企業)持ち、マネージメントは広告代理店電通と委託契約を結んでいるようです(公式公開無し)。その他の収入源では、TV局との放映権料、スタジアムで観戦する観戦料、グッズ、飲食料、他から得ています。

片や、代表各国のティーム・オーガナイザーは、WBCIの委託を受けた組織・団体が株式会社方式で経営・運営・管理を行っています。例えば、日本の代表ティーム(公称:侍ジャパン)は、NPBエンタープライズ社(英記:NPB Enterprise Inc.,略称:NPBEI)に寄って経営、運営、管理がなされています

NPBEIは、NPB機構(日本プロ野球)とNPBに加盟する12球団によりサポートされている組織・団体であるという事です。よってこの組織・団体には、日本プロ野球選手会なる組織の影響力は少なく、ここがWBCIの組織構造と大きく異なる1つであります。此のことは、即ち日本プロ野球選手会にはMLBPAのような決定的な力が無くNPB機構内にある12球団オーナー会議の力が絶大である事の証なのです。12球団は、全面的に選手選考には最大の協力を惜しまないとする前提がありますが、選手には出場する有無の許否権が与えられています

また、NPBEIの収入源は、WBCIからの分配金と主に独自のスポンサー企業を持ち、これも広告代理店電通が窓口と成っているようです。NPBEIの歴代の社長は、ほぼ全員が読売新聞東京本社の事業局、運動部から関係者が転職しているのが特徴です

この度もNPBエンタープライズ新社長の吉岡則雄氏は、1992年に読売新聞大阪本社に入社し文化事業部長などを歴任して21年4月から東京本社野球事業部長を務めていた経歴を持つ方が就任されました。日本代表「侍ジャパン」事業を展開する(株)NPBエンタープライズ(通称:NPBEI)は、取締役会と臨時株主総会を開き、吉岡則雄氏(54)を新社長として承認し、6月1日付で社長に就任しました。西原研志社長は同日付で退任。-通信社配信記事より―

Ⅰ.WBCに関する選考事案は委員会で承認、任命

    本第Ⅳ弾(KファイルNO.203)では、主に侍ジャパン編成に関して日本のマスメディアがあまり報道したがらない重要案件のポイントをご紹介、解説出来ればと思います。

Kファイルの読者の皆様は、WBCに関してマスメディアが報道、記事のネタにしたがるソースの一つに監督の選考がありますことはご承知の通りです。そして次にコーチングスタッフの選考であり、選手選考であります。この様な選考を大騒ぎするのは、日本のTV、マスメディアだけのようです。その根拠は、野球は日本の国技と未だに思い込んでいる国民と社会が伝統的にあり、今日も尚日本国内ではスポーツ、競技スポーツの中心に野球が位置しています。この最大の人気と商品価値から評価価値は、選手達に高額の年俸が支払われている事がその証です。

 

余談になりますが、比較対象として述べさせて頂きますと、日本は、野球に対抗する競技スポーツとして、プロサッカー競技が1993年に日本で初めてプロリーグが設立されました。川淵三郎氏は、プロ化に当たり大変ご尽力された方とされています。しかし、残念ながら彼のサッカー・アドミニストレイションは、ドイツ・サッカークラブの構造とシステムを其のまま日本に持ち込まれたことでした。日本には、日本の伝統的なスポーツ、競技スポーツの経営、運営、管理手法の良さは加味されず、今日迄他国の文化を無理やり根付かせようとされているように思えてなりません。川淵氏は、当初よりプロ野球のような親会社の広告宣伝を主たる目的とする事を嫌った事からドイツのクラブティームスタイルを手っ取り早く取り入れたと今日も尚言い伝えられています。

現在日本のプロサッカー球団は、全国に50球団設立し活動しています。読者の皆様は、この実態をご存じでしたか。50球団の名称など知る由もありません。それではなぜプロのサッカー選手は、アルバイトをしながらプロを名のるのか、どうして競技場の観客の大半がタダ券で入れるのか、サッカー選手の年俸がいくらかご存じですか、毎年高校、大学からどのような選手がどの球団に入団したか、等誰も知る由もありません。球団経営者には、プロ選手の定義を学んで頂き、選手が胸を張って自身の年俸を公開できるよう改善して挙げて欲しいと願います。此のことは、未来のサッカー選手としての子供達とその父母に夢と希望を与えるのです。

TV局は、国内サッカーの視聴率が獲得できないので広告代理店は見向きもしません。スポンサーが付かず放映できないからです。そこで、ヨーロッパのサッカー専門ネットワークテレビにJ-leagueの放映権を譲渡し、その収益を全球団に分配しているのが実状です。本ネットワークが日本国内のゲームの放映で利益を上げているか否かの情報は、公開されていません。何れにしても、この収益を分配されても各球団は、累積赤字の補填に回しているのが現状の様です。

NHKは、公共放送なので仕方なくBSチャンネルを活用しているのです。川淵氏曰くサッカーは、100年計画なので此れも仕方ないようです。このような状態が長年続いている現状を読者の皆さんは、サッカーはこんな物なんだとの思い込みを与えているのが心配です。しかし、日本代表ティームのレベルは、1993年以降遥かに向上したと思います。

それに比べて野球界は、恵まれ過ぎていませんでしょうか。年俸5億円取る選手が何名いるかご存じでしょうか。このところのMLB思考から、此れから益々優秀な選手達がMLBに海を渡り、J‐league同様に日本プロ野球界も国内ビジネスが空洞化なる日が近付いている事を忘れてはならないと思います

1.侍ジャパンの編成とその手法

     読者の皆様は、本編成部門に付きましては非常に興味がある部門であるかと思われます。特に監督、スタッフ、選手は、どの様にして選ばれるのか。特に近年は、2006年の第1回WBC大会から、出場選手は、略全員日本プロ野球球団所属選手が選考対象となってきました事から監督、スタッフ達もプロ経験者がその対象となって、今日に至っています。

  • 但し、スタッフの中でも医療部門は、元来のアマチュア野球連盟がオリンピック、国際試合を仕切って来た名残が、今尚改善、改革できておらずこの度の2023年WBC侍ジャパンに置いて、貴重な選手達に業務上の事故、傷害問題が発生し本人並びに所属球団に甚大な被害を出した事は、既に週刊文春、等で指摘された問題でありますKファイルでは、本件に付いては大変重要なベースボール・アドミニストレイションのファクターの一つである事から後に解説させて頂きます

其れ迄オリンピック大会、各国際大会への選考は、日本野球連盟が主体となって、五輪憲章に基づいた選考基準(アマチュア規則)で運営、管理がなされて来ました。WBC大会は、MLB機構とMLBPA選手会が主体となっているので本来はプロ野球の組織・団体で経営、運営、管理がなされて当然ではあります

しかし、WBCI(主催者)は、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)をパートナーとして、「野球世界一決定戦」と題した看板が必要な事からも、WBSC、各国のアマチュア野球競技団体との関係も維持して行かなければならないのです。そこでまた新たなプロ・アマが同席し意見を述べられる組織として、「日本野球協議会」なるものを設置し、責任ある役割を担って頂かなければならないのです

■日本野球協議会(BFJ)の設立

   そこでNPB機構、(株)NPBエンタープライズは、新たに日本野球協議会(英略:BFJ Baseball Federation of Japan)なる組織を設置して、主に編成部門、他を担って頂く事が本協議会の責務とされたのです。

■日本野球協議会とは

 日本野球協議会(BFJ)は、一般社団法人日本野球機構一般財団法人全日本野球協会が主体となって組織し、運営、管理する協議会です。目的は、この協議会は21世紀において、野球が広く国民に愛され、親しまれるために、普及・振興事業の充実をはかり、我が国最大のスポーツ文化としてさらに発展させていくことを目的とする。プロ、アマ日本の野球界が一体となって、野球の普及・振興を中心に将来を見据えた活動をするために発足した会議体である。

 その活動のため5つの委員会を設置し、この委員会を中心に実りある議論をプロ、アマで行っていくものです。協議会役員は、NPBNPB所属球団代表、BFJ、有職者により構成されています。-日本野球協議会概要より―

 

2.侍ジャパン強化委員会とは

■強化を目的とする編成部門を司る部署

本強化委員会は、日本野球協議会(略称:BFJ)の責務の1部門として開設されています。実は、この部門が侍ジャパンの中枢部門の編成を行う最重要な責務を執り行っているのです。「侍ジャパン強化委員会」は、監督の選考からスタッフ、選手選考まで現場の重要な人事が取り行われているのです。

強化委員会メンバー及び所属

2023年侍ジャパン強化委員会

委員長 井原 敦(日本野球機構NPB事務局長、元読売新聞社運動部所属)           

副委員長 筒井 崇護(日本野球連盟JBA)  

委員

鈴木 清明(広島球団)     

加茂 浩將(中日球団)     

横田 昭作(オリックス球団)

豊田 耕太郎(ロッテ球団)         

安部井 寛(日本野球機構NPB

小倉 好正(日本高等学校野球連盟

菅原 悦郎(全日本大学野球連盟

高見 泰範(日本野球連盟

中島 梨沙(全日本野球協会

平野 裕一(全日本野球協会)        

西原研志(NPBエンタープライズ社長、元讀賣新聞社、本ポジションは、本年度6月1日付で新社長に吉岡則雄氏が就任、元読売新聞東京本社、野球事業部所属)有職

以上強化委員会の委員のリストをご紹介致しました。読者の皆様は、これを見て何処の誰が委員会に強い影響力を及ぼしているかをご想像できたのではないでっしょうか。この委員会からは、東京五輪組織員会の悪夢が脳裏に浮かぶ読者も多くいる事でしょう。WBC国内主催団体に名を連ねたく運動している自民党国会議員がわんさといるとの情報が届いています

また本主催者がアマチュア野球連盟、協会の役員を本委員会に招聘した真の狙いも、別の利権を狙う戦略の一つである事が容易に想像できる事でしょう。それは、何だと思われますか。

■2023年度強化委員会の責務

   日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長(元読売新聞社運動部所属)は、日本野球協議会(BFJ)の侍ジャパン強化委員会委員長を兼務している状態です

NPB機構のコミッショナーは、歴代東京読売巨人軍のオーナーが推薦され、オーナー会議で承認される事が慣習となっています。そしてNPB機構の実務では、井原敦事務局(元読売新聞社運動部)が陣取り、(株)NPBエンタープライズの社長には、讀賣新聞社から社員が送り込まれて配置されています

侍ジャパンの人事に関しては、日本野球協議会に強化委員会を設置しNPB機構の井原事務局長が強化委員長を兼務させるという日本プロ球界の利権と権力は、讀賣新聞社、東京読売巨人軍の手中にある、という事を此処にご紹介させて頂いた次第です。それにしても、23WBCの国内放映権が、TV朝日、TBSに持っていかれて、読売新聞翼下の日本テレビが蚊帳の外化したのはミステリーな出来事でした。まさか電通は、日本テレビよりただ単に他局の条件が良かったとビジネスライクに徹していたのかも知れません。

このような実態から、この度のWBC勝利で歓喜するマスメディアに於いてもこの日本国内の主催者、運営、管理組織・団体の情報公開が成されない主たる要因の一つが、讀賣新聞社主導による忖度がそこに潜んでいるのかも知れません。これはまた大学箱根駅伝の利権の構図に酷似であるようです。読者の皆様は、理解されましたでしょうか。此処では、筆者がベースボール・アドミニストレイターとしての視点で私的な見解を述べさせて頂いた、とご理解して頂けましたら幸いです。

3.強化委員会の重要案件

■監督の選考

彼らの最重要な案件の一つは、先ず2023年度WBC大会に参加する日本ティーム(略:侍ジャパン)の監督の選考です。

2023年侍ジャパンの監督選考に付きましては、2021年確か秋に当時日本ハム球団の監督を退任して間もないタイミングで「栗山英樹氏」を選考・発表されました。しかし、発表に関して、井原敦強化委員会委員長は、一切の経過説明をしなかったと記憶しているのは私だけでしょうか。後に強化委員会としてマスメディアに伝達されたのかも知れません。この監督発表を急がせた理由が幾つかあるのですが、機会を見て解説しましょう。

これは、筆者の私見としてお聞き下されば幸いです。

栗山英樹氏の監督選考に付きましては、2021~22年のプロ野球シーズン中に於いて既に形を変えて進行していたと理解するのが順当でしょう。何故なら、シーズン終了して間もなく、監督受諾発表は、少し手回しが良すぎます。

ここで、筆者は、本件の監督選考のイニシアティブを強化委員会の中の何方が持っているかは委員達も暗黙に理解していると思われます。その方は、委員関係者を日本流な根回し、手回しを行い最初から「栗山英樹」在りきで決めていたと思われます。既にご紹介の通り強化委員会のリーダーは、肩書からして委員長の井原敦氏(NPB機構事務局長、元読売新聞東京本社、運動部)であると思われます。

素朴な疑問は、過去五輪以来、WBCに置ける代表監督と栗山氏はタイプもキャリアも異なる、いわばこれまでの選考基準には無かった人物が指名された事でした。(過去の監督:長嶋茂雄氏、中畑清氏、王貞治氏、星野仙一氏、原辰徳氏、山本浩二氏、小久保裕紀氏、稲葉篤紀氏)

栗山英樹氏の特徴と才能

   此のことから、この度の監督選考には、これまでとは異なる事情があり只単に現場で飾って置く監督では用が足りないと判断したのでしょう。何故、栗山さんが?と読者の皆様は、きっとそう思われ感じられたことでしょう。

その根拠は、歴代のプロ野球界のWBC監督は日本野球界に大きなネームバリューを引っ提げている事がその特徴でした。栗山英樹氏は、今までの日本の野球人とは異なる資質を引っ提げてWBC監督を受託した事は今日迄の日陰野球人としての悔しさを晴らすべく気構えで挑戦したかったのだろと個人的にお見受けした次第です

しかし、この度の栗山英樹氏は、歴代の監督方ではなくあえて申し上げると「理論派」で非常に「雄弁で強い宗教心的な精神の持ち主」である事が特徴として挙げられると申し上げて過言ではありません栗山氏の履歴から(創価高校卒、東京学芸大学卒、ヤクルト球団入団、日ハム球団監督、後に23WBC監督、他)は、監督業を営む中で彼が信じる選手操縦術とその手法を持っているとお見受け致しまします。それは、コミュニケイションを主体とした心情論、精神論、感情論、等を駆使した説経を用いた説法手法と理解致しています。これは、過去のWBCの監督方と比べても異才の人材であったと思います。

その根拠は、彼のあらゆる場面での言動、態度、パフォマンスの中で「神様、伝道師、勧誘、説得力、空の間、信じる力、魂、空気、感謝、etc.」とこのような言葉を散りばめている事です。そして、彼は、スタジアムのダッグアウトであれ、何処であれ自身の感情を歓喜極め涙に換える特技を擁している事です。これは、余程宗教的精神の鍛練を受けた証でもあると思われます。

彼が選手の勧誘、選手掌握術に長けている所は、何か宗教心的マインドコントロールにより、自らを昇格させた結果、WBCに置いて自分が成すべき姿を実践したかった、強い信念を見た感じがしてなりませんでした。

筆者は、彼が幼いころからどのような環境で育ち、どの様な宗教に触れ、成長されて来られたかは存じ上げません。無論筆者は、栗山氏の信ずる宗教が何であるか一切を語らない理由も知る由もありません。

日本国は、信仰の自由が憲法により保証されていますので、もし栗山氏が特定の宗教をお持ちでしたら、是非公に紹介して欲しいと願うのは筆者だけでしょうか。彼が公表する勇気は、日本国民の迷える羊達に光を与え、栗山信者の拡大を図り、今後政界にも新しい光を与える教祖的な様子を持っているのではないでしょうか。彼を心待ちしている政党は、既に彼にコンタクトをしていても可笑しくありません。筆者は、個人的には是非文科大臣、スポーツ庁長官にと期待します。

 

4.監督選考プロゼクトの真の目的

  本プロゼクトの真の目的と目標は、当時より野球界のスーパーヒーローとして出現した「MLBロサンゼルス・エンゼルス球団所属の大谷翔平投手・選手」を侍ジャパンに連れてくること。これが条件の大前提であったと思われます。即ち「翔平ジャパン」の旗揚げがこの程の最大のテーマであった事です。

これにより2023年WBC侍ジャパンの目玉商品は、大谷翔平選手である事が大前提となったと思われます。それでは、大谷選手招聘するに当たりNPB讀賣新聞社、電通、他を見渡しても、同選手を連れて来られる適任者は見当たらない。そこで長年日本ハム球団で監督をしていて、

  • 大谷選手をドラフトした
  • 米国行きを希望していた同選手を説得した
  • 二刀流を容認した
  • 日本ハム球団に入れた経緯を全て理解している
  • 大谷選手と日ハムの契約内容を知っている(MLBへのポスティングを含む)
  • 今日も親交を継続している人物

栗山英樹氏に白羽の矢が向けられたのは自然な成り行きであったと思います

筆者の私見とまとめ

    それは、強化委員会が栗山氏に期待する最大の業務はMLBに所属するスター選手達のリクルート活動(勧誘)である事でした。その中でも目玉が「大谷翔平選手」である事です。そこで彼の取った行動は、先ず日ハム時代に長く通訳として雇用し、監督と帯同していた「水原一平さん、現大谷選手のエンゼルズ球団の公式通訳」とコミュニケイションラインを構築する必要がある事でしたそして、栗山氏が一平さんに頼む事は、大谷翔平選手が諸般の問題をクリアー出来たら侍ジャパンに参加してくれるかどうかの確信を得たかった事であったと思います。これと共に一平さんの現在の立ち位置を利用して、大谷選手の侍ジャパン参加に必要なエンゼルズ球団のGM、オーナーの真意とその情報とハードルをリストアップしてもらう事でした。

これは、一平さんでは立ち位置が異なる事から大谷選手からエイゼント(代理人)に本件に付いての協力を本人が直接申し入れなければなりませんでした

此処から本プロゼクトに大谷選手の代理人を巻き込む事と成ったと推測できます。これにより初めて本件をまとめる為の方法、手段がラインナップされ(栗山―水原―大谷―代理人-エンゼルズ球団と交渉)とそれぞれ役割を明確にしてコミュニケイションミスを犯さない最善策が構築されたと理解致します。

この様な思考力は、井原強化委員長以下強化委員達にあるとは思えません。その為には、水原一平氏侍ジャパンの通訳ではなく栗山氏本人の通約兼コーディネーターとして働いてもらいたい意思を伝え、了解してもらった上で、その後のMLB所属の必要な主な選手達の一本釣りが可能となり、侍ジャパンダッグアウトにも入る事と成ったのだと理解します

これで読者の皆様の不思議なパズルの穴を埋められたのではないでしょうか。このホットラインを先ず構築出来て初めて次のステップ、即ち栗山氏自身が監督を受託するか否かの判断材料が整ったと理解することが本業界の作業マップでもあります。

その後、栗山氏は、強化委員会の井原委員長と条件に関する交渉を重ねる中で、当然大谷選手とは直接会って参加意思の確証をまず得た事は間違いないでしょう。その証は、栗山氏が公私に渡り何度も米国に足を運んだことです。栗山氏は、大谷選手の気持ちを直接確認してそれを胸に秘めて、自らの監督受諾に必要な条件を井原敦強化委員長に求めたはずです。

強化委員長との詰め

   これは、筆者の私見として申しますが、真のプロの監督は、自らの身を守る為の参謀役を持つのが常道です。それは、監督としての裁量範囲とその権限を強化委員会に明確にして頂き、口頭ではなくある程度明文化して頂く事です。

栗山氏は、ここ迄詰めが出来たかどうかは定かでありません。此処迄の詰めが出来るなら、大事な医療部門の人員配置を怠る様な事はしなかったと考えられます

井原氏は、それまでの歴代の監督要請とは異なり、栗山氏には「大谷翔平選手の招聘課題」を背負わせるのであり、栗山氏の条件を聞き可能な限りの要望を飲む腹で接触を繰り返しながらNPB讀賣新聞本社、電通の各了解並びに強化委員会へは当たり障りない報告をし、栗山監督の推薦、任命に踏み切ったと推測致します。

2022年にこれらを秘密裏に接していた様子が目に浮かびます。この様な特殊作業を擁するこの度のプロゼクトには、歴代の監督達には不向きであり、得意な事ではありません。勿論、大谷翔平選手の獲得を強く要請したのは、他でもないNPB,強化委員会以上に広告代理店であり、代理店は、大谷選手代表入りの可否がスポンサーセールスのセールス価格及びTVへの広告、視聴率を獲得する為の完パケで売れるかどうかの最大の勝負が此処に在ったと思われます

次回をお楽しみに。

 

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of Sports)

紹介:G‐File 「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:如何でしたでしょうか。読者の皆様もWBC国内主催者の気分でご笑読、思考して頂けましたでしょうか。次回は、段々と生臭いAnother Storyを味わってください。