KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案?(Ⅴ)

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案?(Ⅴ)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

スポーツ・アドミニストレイター

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筆者からの便り~

読者の皆様は、日々暑い中個々それぞれの生き方とペースでお過ごしされていると思われます。それらは、個々の心身の健康が在っての事です。人は、一人では生きて行けません。人は、それぞれ思いやりの心が在って初めて共生の社会が生まれます。自己中心主義の生き方は、やがて大切な物を失い、社会、国家を失う事になります。万物は、流転と申されています。事の良し悪しは、自らの知識と経験値により判断できます。知識が無く判断できない時は、自身が一番リスペクトする方に聞く勇気と行動力を持ちましょう。

 

注意書き

この度のNO.204は、ベースボール・アドミニストレイターとしての立ち位置と視点で主観を交えての論考とさせて頂きます事をご了解ください。筆者は、本WBCに関係した者ではありません事を先ずご理解して頂けましたら幸いです。

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目次

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案(Ⅴ)

2023WBCドリームティームのスタッフ選考

先ず初めに

Ⅰ.2023WBC侍ジャパン監督決定

 1.記者会見より

          ■監督選考経緯の説明

          ■会見での栗山新監督の発言要旨

2.侍ジャパンの真のリーダーの必要性

          ■ダルビッシュ・有選手と大谷翔平選手への配慮・気配り

          ■栗山監督のティーム構想

3.監督を支えるスタッフ選考

         ■スタッフ選考意図と真意

         ■監督を守る傭兵(スタッフ)選び

          週刊文春報道の裏に何が

         ■ティーム栗山の役割分担

筆者の私見とまとめ

 

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2023年7月13日 木曜日                   公開

無断転載禁止

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案(Ⅴ)

2023WBCドリームティームのスタッフ選考

先ず初めに

 第Ⅳ弾(NO.203)の反響は、かなりありました事をご報告致します。特に野球担当のマスメディア諸氏からのコメントの中には、個々それぞれが過去に掲載された原稿、記事に対する反省が込められていたのが印象的です。そのプロのライター達から、大変読みやすく読み応えがありました。どうしても分からなかった部分がKファイルで勉強させて頂き、パズルの穴が埋まりました。有難うございました。次回も宜しくご指導下さい。とのご丁重なお便りを新聞社、週刊誌、プロ野球業界担当者の方々から頂き恐縮致しております。

読者の皆様は、如何でしたでしょうか。TV、マスメディアを通してのこの度のWBCの表面とその舞台裏の人間模様は、一般社会、会社、企業の組織そのものであったのではないでしょうか。これは、只単に野球の記事ではありませんので、野球に興味が無くパスされる方々は視点の視野が狭い事を読者の皆様は理解されている事と思います。

 この度の第Ⅴ弾(NO.204)は、今までに増してより現場に近い所をスポーツ・アドミニストレイター(此処ではベースボール・アドミニストレイター)として、少し細部に渡りお話しできればと思います。

 

Ⅰ.2023WBC侍ジャパン監督決定

 1.記者会見より

栗山英樹新監督の発表は、正確には2021年12月2日であった様に記憶しています。彼が日本ハムファイターズ球団監督を退任されたのは、2021年10月であったと思います。

そして同日に記者会見が行われた雛壇には、栗山英樹監督、斉藤惇氏(略称:NPB日本プロフェッショナル野球機構コミッショナー)、井原敦氏(NPB事務局長兼日本野球協議会(英略:BFJ Baseball Federation of Japan侍ジャパン強化委員会委員長)の同席により行われました。

■監督選考経緯の説明

 井原敦氏からは、監督選考の経緯に付いて形式的な説明が成されました。その内容は、選考基準として、①NPBチーム監督経験もしくは日本代表経験のいずれかがあること、②全国的な発信力があること、③アマチュア野球界を含む野球界全体および、侍ジャパン事業全体への理解があることと説明されています。

井原敦強化委員長は、上記3項目を選考基準として挙げたにも関わらず、「この度の2023年WBC大会まで強化試合、活動期間が多く取れない為「NPBでの監督経験や、短期決戦での経験が豊富な人物がよいのではないかという意見が強かったので、日本ハム球団での10年の監督経験、リーグ優勝、日本一の経験を持つ栗山新監督に引き受けて頂く事になった。と付け加えられ、「特例」と言わんばかりの説明に聞こえたのは筆者だけでしょうか。即ち、これは過去の監督選考基準に当てはまらなくとも、今回は特殊な事情(MLBで活躍している日本人選手を招聘する事が一大目標である事は発言せず)があるので基準外から選考したと言いたげな説明に終始されたことです。

この説明に置いて、井原氏らしい表現は、「選んだのは自分ではなく栗山監督が良いとの強い意見に従った」とでも言いたげな説明であった事が印象的でした。これは、彼らしい栗山で上手くいかなった場合を想定して自らの責任回避と思われても仕方のない表現に思えてなりませんでした。

栗山監督は、短期決戦に強いとの「根拠」の説明が無かったのは、述べると何か不都合があったのか、気付かれなかったのかも知れません。

■会見での栗山新監督の発言要旨

決意表明

栗山監督は、先ず強化委員会の要請に対して「想像もしていなかったので驚いた」と前置きをしました。

  • これまで野球界の皆さんが作ってくれた大切なものを継承しながら、すべての野球人が結束して日本野球は何たるものかということを示せるようにやっていきます。
  • 選手選考に付いては、対応力を持った力のある選手。今後の日本野球界への思いを持った選手たちと戦いたい。日本の野球は、ここからが次の世代に向けて、とても重要だと感じています。子供が少なくなっていく中で、野球の楽しさを知ってもらうためにという責任感を持ってくれる選手たちが集まって、魂を持って戦えるよう、選手にお願いをしながら、チームを作っていきたいと思います。
  • 10年間の監督生活の中で、本当の思いはやはり勝たないと伝わらないことがあると経験してきているので、勝ちきることで選手たちの素晴らしさや日本野球の凄さを伝えられるよう全力を尽くしていきます。-以上記者会見公表より抜粋―

筆者は、栗山氏が監督を引き受けた際の記者会見で自身の決意表明を饒舌に語った事で彼の特徴が垣間見れたと思います。

栗山英樹氏は、ロマンチストとリアリストが共存する感情豊かな人柄の方のようです此の極端な感情がTPOをコントロールできない時に「号泣」を演出する所以なのかも知れません。しかし、これが彼の特徴でもあるのです。この様な特徴から意外と芸能人、俳優、政治家(宗教を後ろ盾で)として、成功すると洞察します。

■栗山監督のティーム構想

   栗山監督は、監督を受託する以前(日ハム監督最終年)から侍ジャパン強化委員会委員長からの打診及び、構想、主たる目的、目標、即ちティームビジョンの意見交換を積み重ねてきたと推測するのが当然であると思われます。

よって、記者会見で本人は、強化委員会の要請に対して「想像もしていなかったので驚いた」と述べているのは単に社交辞令であると思う次第です

双方のすり合わせで、合意に達した事の一つは、「侍ジャパンのドリームティーム結成」であったのだと思います。過去の侍ジャパンの監督は、知名度は在っても物を作る創造力及びマネージメント力があったとはお世辞にも言えない選考であったのは言うまでもありません。

 そこでドリームティーの軸は、MLBで大活躍の「大谷翔平投手・選手」であった事は皆様もご承知の通りですそれにもう一人日本プロ野球界からは、「佐々木郎希投手」の参加です。この二人の投手が侍ジャパンの夢のティームのシンボルであり広告塔に成ったのは容易に理解できます。

これは、本来この二人こそが、真の東北震災の象徴であるべき若者です。何故21年の東京五輪に置いて、組織委員会・会長の森喜朗氏及び責任者達は、開会式での最終ランナーにこの二人を選ばず、大坂なおみ選手を突然出して来たのか。今日も尚、東京五輪開催の最大のシンボルであるべき、最終聖火ランナーの選考に軽率な判断と決断を成した事が、今後も東京五輪を語るほどに最高責任者の見識を問われることになるでしょう。

しかし、この両選手には、日本代表ティームの華になってもまとめて行く能力はまだ未知数であり、栗山監督は期待をしていたわけではないと思われます。

華やかな内外の超スター選手を招聘する上で一番難しいのは、ティームを一つにまとめる事なのです。個々の選手達は、それぞれ所属する球団ではスター選手で球団、ティームの顔である事です。此のことから選手達は、個々に異なるプライドと強い個性を持ち褪せている事が、ティームを纏めるうえで非常に困難を極める次第です。

 

2.侍ジャパンの真のリーダーの必要性

ダルビッシュ・有選手と大谷翔平選手への配慮・気配り

そこで、栗山監督は、このティームにキャプテンを置くと弊害となるとの考えに至ったのだと思います。その根拠は、招聘する各選手は、各球団の主であり国内の最高の技術、身体能力を有している事です。彼らが同業者として現在絶対的に一目も二目も置く選手は、「大谷翔平選手」である事に疑う余地はない次に一目置く選手は、元日ハム投手で現MLBサンディエゴ・パドレス球団所属の「ダルビッシュ・有選手」である事です。しかし、同投手には、日ハム時代を含め日本での素行が宜しくなかった事から、果して他の選手達がリスペクトするか否かが懸念されるところであったと思われます。

そこで、栗山氏は、何度もメールと電話での囁きに加えて、現地に赴き本人と直接会って面談、歓談を繰り返した事と察します。その結果、以前のダルビッシュ選手とは異なる人間的な成長を確信したのだと思います。此のことを確認、確証した上で、栗山氏は、同選手に侍ジャパンで彼に投手として期待する以外の重要な案件、内容を伝え、説得し、本人が受託したのだと思います。これは、あくまで筆者の推論です。

栗山監督が彼に託した任務は、MLBに置いて押しも押されもしない大投手として、日本選手達に技術のみならず、何が大切かの「野球伝道師」の役割を担わせた事であったと思われますこれは、ダルビッシュ選手のプライドをくすぐり、自身は監督から頼まれたリーダーであり、ティームを一つにまとめる役目と使命がある事を理解、認識させ彼に大義を与えた栗山氏の真骨頂であったと思われます。

これは、また栗山氏の宗教的信念に強く意味する言葉であり美学なのだと思われます。この重責を担わせた証として、栗山監督の要望でダルビッシュ・有投手には、プライベイトジェット機を準備して、宮崎キャンプの頭から乗り込ませた言わばパフォーマンスであり、これによりダルビッシュ選手に箔を付ける事で選手からリスペクトを受け、スポンサー、TVへの商品価値に繋げたと理解する事が、この業界の付加価値を意味するように思えてなりませんでした。プライベイトジェット機を手配するアイディアは、何方だったのでしょうか。機会がある時に話題といたしましょう。

3.監督を支えるスタッフ選考

 栗山氏は、監督受託以前からスタッフ選考に関する自身の意思を明確に強化委員長の井原氏に伝えた条件の中の一つであったと考えられます。最終的に選ばれたスタッフ名及び過去の所属球団を確認して頂ければ容易に、栗山氏の胸の中を推測できるはずです。この人事は、ある意味において栗山氏が監督になった時の命綱となる、即ちライフラインなので引き下がれない重要な条件闘争だった思われます

 

2023年3月14日発表

  • 背番号:89 監督 栗山 英樹(元日ハム監督)
  • 背番号:90 ヘッドコーチ 白井 一幸(元日ハムコーチ)
  • 背番号:77 打撃コーチ 吉村 禎章(元巨人軍コーチ)
  • 背番号:87 外野守備・走塁コーチ 清水 雅治(元日本ハムコーチ)
  • 背番号:81 投手コーチ 吉井 理人(元日ハムコーチ)2
  • 背番号:75 ブルペン担当コーチ 厚澤 和幸(元日ハムコーチ)
  • 背番号:79 内野守備・走塁 兼 作戦コーチ 城石 憲之(元ヤクルト、

                               日ハムコーチ)

  • 背番号:74 バッテリーコーチ 村田 善則(元巨人軍コーチ)
  • 鶴岡慎也氏 ブルペン担当(通称:壁) 

  注:通称壁とは、ブルペンで投げる投手の球を受ける事を仕事としている役目の事 です。

■これらスタッフ選考意図と真意

     読者の皆様がスタッフリストから即気付かれるのは、栗山氏が日ハム球団で監督時代にスタッフとして上下関係にあった人達ばかりである事です。この真意は、栗山氏が監督として一番遠慮なく指揮、指示を出し易い、即ちイエスマン達を招聘した事です。他数名のスタッフリストは、多分強化員会、委員長の関係者への配慮で受け入れざるを得なかったと申した方が理解しやすいと思われます。

侍ジャパンの指揮官、スタッフの重要な案件は、①勝たせること、②そのためには選手を機嫌よくプレイさせること、③怪我をさせない、④ティーム内の個々の人間関係をポジティブにまとめる事、⑤最後に個々の選手のテクニカル問題に付いては口、手を出さないこと、が指揮官から全スタッフに徹底されたていた筈なのです。

しかし、③に付いては、監督に大きな手抜かりがあったか、自身に専門知識が欠落していたか、によりスタート前に既に問題が発生していたのにも気付かなかったのかも知れません。本分野に大きな穴を開けたその要因は、監督が医療部門のヘッドトレイナー氏と公私に渡る関係者でなく、多分強化委員会、或いはこのヘッドトレイナーの招聘に昔から関わった個人か団体があったので避けていたのかも知れません。栗山氏が監督になった後から「選手の怪我、傷害に付いては、ことのほか心配していた事案であった」と声を大に最重要案件の一つとして挙げていました。それにも関わらず、本医療部門の人事に介入した足跡が無く、人任せにした事は、自身の重要な案件を何と理解していたのか疑念をぬぐえない重大な問題を残した次第です。

⑤最後に個々の選手のテクニカル問題に付いては口、手を出さないこと」の項目に付きましては、選抜された選手達は日本プロ野球界の最高の選手であるからこそ選ばれたのです。よって、技術的な問題がある選手は選考されていないのです。そしてもう1つ大きな要因は、各選手は各球団所属であり所属球団には、それぞれ専門の指導者がいるので、手出し無用の暗黙のルールがあると説明致した方が分かりやすいかも知れません。此のことは、医療部門にも当てはまる重要な問題なのでした。

■監督を守る傭兵(スタッフ)選び

      栗山監督がスタッフ選考を重要視したのは、他でもない信頼関係と気心が分かっているので遠慮なく指示が出せる事が最大の要因であると思われます。

そこで、先ず招聘したのが白井一幸氏をヘッドコーチとしたことです。野球界の知識に少し詳しい読者の皆様の中には、白井一幸氏の名前を耳にしますと色んなメメージを持たれているのではないでしょうか。確か日ハム球団がまだ東京をフランチャイズとしていたころに駒澤大学から内野手として日本ハム球団が1位指名した当時の選手でした。このドラフトに当時は、驚かれたファンも多かったようです。

 白井氏と日ハムのご縁は、日ハムの創業者であり球団オーナーであった「大社義則氏、2005年4月27日90歳没」との関係にあったと理解します。大迫氏は、無類の野球好きで有名でした。大社氏の郷里は、香川県大川郡津田町津田(現・さぬき市)であり、白井氏とは同郷であったのでした。よって、白井氏は、大学時代から大社社長に可愛がられて入団したのが正しい理解でしょう。その後、2002年に日ハムは、牛肉偽装事件(狂牛病)で大社社長・オーナーは、退任され大社啓二氏(養子)に北海道日本ハムファイターズオーナーを引き継がれたのでした。

白井氏は、このような日ハム球団との関係から自由気ままな活動、発言が許されて来たのだと推測されます。しかし、彼の自由気ままな発言、行動も日ハムの狂牛病事件を境に企業内部の力関係が変色し始めたころでした。二代目大社啓二オーナーになられた時でしたか、一度球団外に出ていた白井氏は、筆者を訪ねて参りました。彼は、米国人監督の後は自分が監督になる、なれるとの思いが強く働いていたのではないかと感じる節が多々ありました。確か、新オーナーに声を掛けて頂き古巣に戻るか、オファーを受けている他球団に行くかで迷っていたころであったような記憶があります。

最終的に白井氏は、古巣日ハムに戻る決心をした時から以降栗山英樹日ハム監督船に乗船したのだと思います。これ以外には、栗山氏とはひょっとして宗教関係での強い繋がりによる信頼関係があるのかも知れません。その後、大社啓二オーナーが退任され白井氏は、将来の後ろ盾を失ったところに「大谷翔平選手引き回し事件」が内部問題に発展突然の処分が下されたのでした。しかし、本件に於いて栗山監督は、手を差し伸べなかったのと白井氏の言動、行動に対する感情を露わにした様子が伝え聞こえて参った次第でした。

週刊文春報道

WBC後、週刊文春で何度か記事になっている件は、白井氏が日ハム球団に復帰して、栗山監督の下でコーチを行っていた時の出来事であり、丁度10年間の栗山時代の後半期から発生していた球団内の複雑な人間模様の一つであったと思われます。これ以外にも球団の一軍、二軍のスタッフ間の或る要因による派閥から栗山体制が弱体化し、個々の選手、ティームへの求心力が低下した様子は、成績、結果からもうかがえる次第でした。

侍ジャパンスタッフの白井一幸ヘッド起用は、栗山監督にとって日ハム時代の蟠りの清算と信頼関係の証であったと理解致します。

栗山監督にとっての真のスタッフは、自身の指揮、指示を伝達する駒であるので真のスタッフにはそれぞれの役目を明確に与えている事です。

ティーム栗山の役割分担

★白井ヘッドコーチの役目は、栗山監督の目の届かない所に目を光らせる、いわば栗山監督の後ろの目の役割とティーム内で起きる事を想定したストレスのはけ口に対するサンドバック役が必要であったと思われます。それと監督が直接的に発言、行動できない裏側の指示役も重要な役目であったに違いありません。云わば白井氏の特徴(お喋りで出たがり屋さん)を有効活用したのだと思います。

★投手コーチ 吉井 理人氏は、スタッフの中で唯一のMLBの選手としての経験者であり、ダルビッシュ・有投手、大谷翔平投手の相談役と佐々木投手の管理、他の投手達の相談役と投手陣の運営、管理に大きな期待を寄せていたのだと思われます。しかし、吉井氏が2022年ロッテ球団のシーズン最終戦の朝、球団の重大決断に伴い井口監督の解任、吉井氏を新監督に就任させた事から、栗山監督の構想も変更せざるを得なくなったと思われます。投手コーチとしての表舞台から静かな支援コーチ的な立ち位置に換えられたと洞察いたします。常識的には、ロッテ監督就任と同時に侍ジャパン投手コーチ辞任が筋であったと思われます。しかし、吉井氏は、佐々木郎希投手をロッテ球団入団当時より担当投手コーチであった事実からも栗山監督は、吉井氏をティームに留まる事を説得されたのだと思われます。吉井氏は、十分な役割を果たされた事でしょう。

ブルペン担当コーチ 厚澤 和幸氏は、吉井投手コーチの突然のロッテ球団監督就任により、吉井氏が他球団の投手を管理する事が倫理的にも難しくなった事から、栗山監督は、プルペン担当コーチの厚澤和幸氏を表の投手コーチとして使う決断をしたのだと推測します。吉井氏は、ダッグアウトに於いてもサポーティブな態度、発言に徹していた様子が印象的でした。

★内野守備・走塁兼作戦コーチ 城石 憲之氏は、栗山監督にとっては貴重な存在であり、城石氏は長年栗山氏とはヤクルト時代からの仲で日ハム時代に於いても二軍、一軍で肩書きとは異なる仕事をされていたのだと思われます。本人は、肩書が自身の特命であり業務と思い込んでいる様子です。

栗山氏が同氏に行わせている業務は、コーチ、選手達の日々の情報を栗山監督に提供する、栗山監督が指示した事をその特定の選手、コーチに監督からを伏せて、情報を流す、云わば「伝書バト」的な役割が必要であったのでしょう。これは、彼の適性なのかも知れません。しかし、賢い選手、球団スタッフは、見抜いていますが、本人は感じないようです。

ブルペン担当(通称:壁)鶴岡慎也は、最近まで現役選手として活躍し

栗山監督とは、大変気心が通じている関係で鶴岡氏をプルペンだけの捕手としてスタッフに確保されていたことは大変貴重な存在と成ったと思います。その根拠は、栗山監督が鶴岡氏をプルペンに入れた理由は各球団の投手の日々の状態、特にゲーム中のブルペンでの球の資質をオンタイムで厚澤コーチに入れて、ベンチの栗山監督の耳に入れ、投手起用の決断材料にする事であったと思われます。よって、WBC期間中は、バッテリーコーチ以上な重要な任務があったと理解する次第です。

★水原一平氏は、大谷翔平選手の球団公式通訳としての顔と日本代表ティームの監督通訳兼コーディネーターとしての肩書と重責を担っていたのだと思われます。他のMLBに所属する日本人選手と彼らの代理人を通しての球団との交渉並びに交渉人的役割もある程度担わされたと想像します。また、コミュニケイションラインのキーマンであった事に違いありません。

以上が、栗山監督のWBC侍ジャパンの真のスタッフとそれぞれの役割分担であったと洞察いたします。

筆者の私見とまとめ

読者の皆様に置かれましては、23WBCを一喜一憂しながら映像を通して観戦された事でしょう。スポーツ競技の中でも野球は、スポーツ医科学的に申しますれば一番運動量の少ない競技スポーツである事をご存じでしたか。野球の発祥地米国に於いても、野球が競技スポーツの三番目の人気スポーツである事がよく理解できます。巨大なスタジアムの中を時間がゆったりと流れ、友人知人、家族との語らいの場を提供し、フランチャイズティームを応援、サポートする、いわばリクレイション・スポーツに適しているのです。其れは、長い時間の流れの中で観戦する「有酸素運動(エアロビクス)」と取られているからです。

片や、人気NO.1のフットボール、NO.2のバスケットボールが米国最大の人気競技スポーツと云われる所以は、1アクションの次に多くの結果が伴う、アクションと結果が常に伴う競技スポーツでそこには強烈な身体接触伴うからです。これが多民族国家の米国人気質で肉食動物と言われる所以かも知れません。即ち、観客もスタジアム、アリーナに入った瞬間から「無酸素運動(アナエアロビック)」の体制に入っている事です。それらは、アクション、結果の連続で息つく暇もないという意味なのです。このフットボールは、陸軍の戦場での地上戦をスタジアムという競技場にコンパクトに閉じ込めた戦争ごっこが原形と成った所以です

大多数の読者の皆様は、TV中継を通してゲーム観戦されている事と思います。人気あるスポーツ番組は、リアリズムそのものです。しかし、それを支え演出する舞台裏もまたリアリズムの世界である事をKファイルから少しでも感じて頂ければ筆者冥利に尽きます。

文責:河田弘道  9572字

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G‐File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:NO.204は、如何でしたでしょうか。次回は、夏休み前の最後のKファイルを予定させて頂いております。猛暑の日々、どうか体調管理には、お気をつけてお過ごしください。