KファイルNO.205:医療部門の資質の貧困が多くの怪我人を生む

KファイルNO.205:医療部門の資質の貧困が多くの怪我人を生む

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日掲載

 

スポーツ・アドミニストレイター

日本に初めてスポーツ・アドミニストレイション論を導入

日米で実践スポーツ・アドミニストレイターの先駆者

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筆者からのお知らせ

 読者の皆様に於かれましては、連日連夜の猛暑、酷暑の下での過酷な生活を強いられています。夏の季節は、今始まったばかりです。しかし、戦時下の人々の事を思うにつけ、現在は未だ平和を維持している我々日本国民はこの幸せに感謝です。しかし、政治と政治家の資質の低下に伴い、この平和は、根幹から崩れている事に危機感を覚えらざるを得ません。

 この度のKファイルNO.205は、WBCシリーズの最終編とさせて頂きました。読者の皆様は、涼しいご自宅でこの猛暑、酷暑を過ごされている事と思います。時事変わりゆくKファイルをご笑読下されば幸いです。

尚、次回8月10日、木曜日は、夏季休暇前の最後のKファイルとさせて頂きます事をご承知下さい。読者の皆様もこの酷暑を乗り切りましょう。その為にも人には、日々の生活に目的、目標は欠かせません。ご自愛下さい。

 

目次

栗山英樹監督の発言とその矛盾

はじめに

Ⅰ.翔平(侍)ジャパンの選手編成コンセプト

  ① 選手選考委員会は

  ② 代表選手の選考に関して

       ③NPB所属選手は指名即代表認定

Ⅱ.ベースボール・アドミニストレイター不在の悲劇

1.医療部門の大失態

   ■栗山監督の公約と矛盾

   ■医療部門の責任者は何処に

   ■問題点

   ■トレイナーはいつ誰が推薦、任命したのか不明確

 2.スポーツ医療の専門家に関する参考資料

   ■NATA-ATCとは

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2023年7月27日                       公開

KファイルNO.205:医療部門の資質の貧困が多くの怪我人を生む

無断転載禁止

 

栗山英樹監督の発言とその矛盾

はじめに

 この度は、WBCシリーズ第Ⅵ弾(NO.205)を最終編としてお届けします。

これまでのシリーズでは、読者の皆様の脳裏にはそれぞれテレビの映像、新聞、雑誌の報道では知り得なかった事ばかりではなかったでしょうか。

スポーツの世界に於いても情報操作が成されているのかも知れません。これは、WBCに関してのみではなく、スポーツ界に於けるスポーツの報道が薄っぺらな内容で、読者、国民、社会が知りたい事はなおさらの事、情報提供のバルブは閉められているか、取材しないのかも知れません。もう取材に経費を掛けられない媒体が、紙面、報道の資質にまで反映してしまった様子が伺えます。

丁度先日もTVのドキュメント番組で、各家庭の収入が向上しない中で物価高のみが進行する事で、家庭の財政切り詰めが子供達を守らんがために、大人達が栄養失調に陥り、現在静かな社会問題がじわじわと忍び寄っている事を医師を交えての番組で拝見しました。これは、まさにTV、新聞、マスメディアの真の情報が激減している現象の本質と酷似であると感じた次第です。此れもまさに政治と政治家の貧困の象徴で、国、国民、社会を不安に陥れている最大の要因の一つではないかと思われます。

ご見識ある読者の皆様は、これが我が国の報道機関と視聴者、読者、国民、社会との関係性と距離感である事にお気づきになられたのではないでしょうか。

この事は、ジャーナリズム、ジャーナリストを貫けない、フィックスされた情報が連日、連夜流されそれを拾って後生大事に信じ込まされて参りました。

日本国民、社会は、今日もなお現実的に真の情報を与えられていなかったので、昨年7月8日に起きた安倍晋三首相暗殺事件により、我々国民、社会が信じて政権を委ねて参っている自民党が隣国に本部を置く宗教団体の擁護団体であった事が全国民、社会に一人の日本人青年により、真実が明らかにされたのでした。これらは、氷山の一角なのかも知れません。

また、7月20日付のマスメディア報道では、与党を形成する公明党自民党の100名余りの議員は創価学会会員の投票により当選しています、との公表が成されました。これは、何を意味するのでしょうか。自民党国会議員の174名は、統一教会と強い関係にある議員達で、この方々は統一教会員の組織票により議員バッチを付けているという事の様です。此のことから公明党の説明が真実であるならば、自民党の国会議員の274名は、二つの宗教法人・団体の代表議員である事を公表された次第です。今日迄、このような実態を何故日本の大手新聞社、テレビ局は、国民とその社会に真実の情報を開示しなかったのでしょうか。これは何にも勝る大罪です。

日本のマスメディアには、真のジャーナリズムとジャーナリストが今必要である事をこれ程、思い知らされたことが嘗てあったでしょうか。我々は、今目を覚ませないでいつ迄無関心を装うのでしょうか。

 

Ⅰ.翔平(侍)ジャパンの選手編成コンセプト

①選手選考委員会は

代表選手招聘は、日本野球協議会(BFJ)の侍ジャパンの強化を目的とする編成部門を司る部署の「強化委員会」により執り行われます。

強化委員会には、合計12名の委員により構成され内2名の委員長、副委員長の他4名が4球団の代表者と6名がアマチュア野球連盟、協会の代表者、NPB機構の代表者により構成されています。

既に本シリーズの中に於いて述べて参りましたが、侍ジャパンは、株式会社NPBエンタープライズ(略:NPBEI)により経営、運営、管理が行われています。NPBEIは、NPB機構(日本プロ野球機構)と12のプロ野球球団により支えられているWBCの日本の代表組織・団体なのです。即ちこのNPBEIは、現場の監督、コーチングスタッフ、選手、等の編成部門を日本野球協議会(BFJ)の強化委員会に委託している事を意味しているのです。

此のことから、既に前第Ⅴ弾(K-NO.204)で解説しました通り、2023侍ジャパンの監督は、「栗山英樹氏」に決定し、栗山氏と強化委員会によりコーチングスタッフの推薦、承認も得て決まった次第です

 

②代表選手の選考に関して

此処では、次の本プロゼクトのコアとなる「代表選手」の選考、推薦、確定の作業が始まるのです。

既にMLB所属の日本人選手の招聘の作業は、栗山英樹氏と大谷翔平選手の間で意思確認を終え、ダルビッシュ・有選手は、栗山氏の思いからリーダーとして要請、説得に成功している関係から、侍ジャパンの屋台骨の「大谷選手、ダルビッシュ選手」は、固定できたので後は彼らが所属する球団の公式な許認可手続き作業が残っていましたので、各選手の代理人を通して球団との交渉を行う手筈が整っていたのだと思われます。

また、他のMLBの他球団所属の鈴木誠也選手(シカゴカブス球団)、吉田正尚選手(ボストン・レッドソックス球団)、ラーズ・ヌートバー選手(セントルイス・カージナルス球団)とそれぞれ正式なルートで許可を得る作業を残すのみとなっていたと見るのが順当だと思われます。ヌートバー選手は、多分大谷選手・投手からの紹介が事前に栗山氏にあったので隠密裏に水原一平通訳兼コーディネーターがアレンジを行っていたので突然推薦、承認した問題ではなかったと思われます

 

WBC代表選手資格を紹介

出場資格(2020年現在)

1.当該国の国籍を持っている

2.当該国の永住資格を持っている

3.当該国で出生している

4.親のどちらかが当該国の国籍を持っている

5.親のどちらかが当該国で出生している

6.当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある

7.過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されたことがある

 

NPB所属選手は指名即代表認定

日本のプロ野球球団所属の選手招聘に関しては、全く障害がありませんでした。その根拠は、WBCの日本主催者でありますNPBEI(NPBエンタープライズ社)は、NPB機構と12球団により支えられている関係から、各球団所属選手が代表選手として指名を受ければ協力しても反論する障害が見当たらないのです。そして、日本野球協議会(BFJ)の編成部門の強化委員会には、プロ野球球団代表(中日、ロッテ、オリックス、広島)が委員になっているのです。

此のことから代表監督の栗山英樹氏は、先ず(30名の選考枠を強化委員会から与えられている)のでリストアップし、時間を掛けてキャンプ、オープン戦、シーズンを通して最終リストを作成した次第です。勿論、栗山氏以下コーチングスタッフは、各球団を訪問して球団のスタッフ、選手達への接触も許可されているので、選考を目的にフリーパスで行動、活動できる次第です。

2023年WBC翔平ジャパン最終選考リスト

出場選手一覧2023年3月14日発表

背番号:11 投手 ダルビッシュ 有(MLB:サンディエゴ・パドレス所属)

背番号:12 投手 戸郷 翔征(東京読売巨人軍所属)

背番号:13 投手 松井 裕樹(東北楽天・イーグルズ所属)

背番号:14 投手 佐々木 朗希(千葉ロッテ・マリーンズ所属)

背番号:15 投手       大勢  (東京読売巨人軍所属)

背番号:16 投手       大谷 翔平(MLB:ロサンゼルス・エンゼルズ球団)

背番号:17 投手       伊藤 大海(北海道日本ハムファイターズ所属)

背番号:18 投手       山本 由伸(オリックス・バファローズ所属)

背番号:21 投手       今永 昇太(横浜DeNAベイスターズ所属)

背番号:22 投手       湯浅 京己(オリックス・バファローズ所属)

背番号:26 投手       宇田川 優希(オリックス・バファローズ所属)

背番号:28 投手       髙橋 宏斗(名古屋中日・ドラゴンズ所属)

背番号:29 投手       宮城 大弥(オリックス・バファローズ所属)

背番号:47 投手       高橋 奎二(東京ヤクルト・スワローズ所属)

背番号:63 投手       山﨑 颯一郎(オリックス・バファローズ所属)

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背番号:10 捕手       甲斐 拓也(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:24 捕手       大城 卓三(東京讀賣巨人軍所属)

背番号:27 捕手       中村 悠平(東京ヤクルト・スワローズ所属)

背番号:1 内野手      山田 哲人(東京ヤクルト・スワローズ所属)

背番号:2 内野手      源田 壮亮(埼玉西武・ライオンズ所属)

背番号:3 内野手      牧 秀悟 (横浜DeNAベイスターズ所属)

背番号:5 内野手      牧原 大成(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:7 内野手      中野 拓夢(大阪阪神・タイガーズ所属)

背番号:25 内野手    岡本 和真(東京読売巨人軍所属)

背番号:33 内野手    山川 穂高埼玉西武・ライオンズ所属)

背番号:55 内野手    村上 宗隆(東京ヤクルト・スワローズ所属)

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背番号:8 外野手      近藤 健介(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:9 外野手      周東 佑京(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:23 外野手  ラーズ・ヌートバー(MLB: セントルイス・カージナルス所属)

背番号:34 外野手    吉田 正尚(MLB:ボストン・レッドソックス所属)

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辞退

背番号:51 外野手    鈴木 誠也 (シカゴ・カブス所属)ケガのため辞退

追加

背番号:5 内野手 牧原大成  (福岡ソフトバンク・ホークス所属)

辞退

背番号:20 投手  栗林 良吏  (広島東洋カープ所属)

追加

背番号:63 投手  山﨑 颯一郎 (オリックス・バファローズ所属)

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以上選手招聘に関しては、全球団一致した姿勢で選手派遣に協力をされた事がポジティブな成果と結果に繋がったと思われます。嘗て中日ドラゴンズ球団所属の選手が全員許否をしたケースがありましたが、当時の監督の落合博満氏の意向が反映したと言われていたのは記憶に新しい

しかし、プロ野球選手達は、「日本代表に選ばれたい、WBCでプレイがしたい」という強い夢と希望を持っている事は確かなようです。そこには、何の疑いも金銭欲もないただ出場したいというピュア―な選手達の純粋な気持ちがそうさせているようです。これは、主催者側に取りましてはありがたい最強の協力精神であり感謝にあたいするでしょう。しかし、選手達は、プロである以上プライドとプレスティージを確保する為にも、怪我、後遺症への保障、出場料はプロとしてフェアーな金額を担保する事が今後の為にも重要なファクターです。日本人選手には、ある美学が優先するようで、日本人アスリートの特徴の一つなのかも知れません

12球団には、本音と建て前があるのは事実で当然のことです本音は、「球団の高額の選手を無償で使って怪我して返されては元も子もない」どうしてくれるんだこの問題は、MLBの30球団のオーナーの最大の問題でもあるのです。日本のオーナーは、サラリーマンオーナーで真に球団の株を持ち自身の財産で球団を経営しているわけではありません。MLB球団のオーナーとは、全く次元が異なるので、日本の全球団がWBCに軽く協力するのとは問題の本質が異なるのはよく理解できます。

しかし、この問題(選手を派遣する事による球団のリスクと損失)は、WBC自身が解決しない限り「WBCが真の世界NO.1を決める大会である」とは、言い難いのが現実です。その根拠は、米国ティームはいつもベスト代表選手を選考できないからです。これでは、日本がいつも勝っても米国が最強ティームを編成出来ない限り勝利の価値が半減するのも事実です

しかし、此のことに付いては、日本の野球ファン、マスメディアはどうでもいい事の様です。まさに、「クリスマスイブにケーキを買って、何だかわけわからないけどお祭り騒ぎの習慣を作り上げる」に酷似の様です。近年では、また新しい習慣として「サンクスギビング・ディー(Thanksgiving day、感謝祭)」をちゃっかり他国の祭日を意味も理解せず取り入れて騒いでいるのも国民の特徴なのかも知れません。

 

Ⅱ. ベースボール・アドミニストレイター不在の悲劇

1.医療部門の大失態

■栗山監督の公約と矛盾

栗山英樹監督就任当初より一つの強い信念は、彼のあらゆる発言の機会で表現されています。其れは、「招聘する選手は各球団に所属する貴重な選手であり財産を侍ジャパンに派遣して頂く事です。これに伴いティームを預かり運営、管理をさせて頂く監督としては、非常に重い責任を担っている」と云う事です。

これは、「選手の健全な心身のコンディションの維持に伴い、怪我をさせない、保護する、派遣時の状態で所属球団にお返しする事に重大な責任を担っている」と言う真意が込められたと理解します。しかし、栗山監督の強い発言と信念とは、真逆な事態がスタート前から起きていて既に重要な問題が発生していた次第です。 

栗山監督がその重要性を誇張する選手の健康を維持、管理する為の医療部門の体制が貧弱であり、それを誰もが手出しできなかったという開いた口がふさがらない状態が長年放置されて来ていたのでした

■医療部門の責任者は何処に

本件は、日本の競技スポーツ、組織・団体の最大の問題の一つであると申し上げて過言ではありません。そこには、常に根深い利権構造と肩書欲しさの売名行為が横たわっている事が起因しているからです。

侍ジャパンを構成する中枢の人達の中に「スポーツ医科学の重要性と必要性」を熟知したスポーツ・アドミニストレイターが不在であるという事がこの度の事故の要因の大きな一つです

その証として、本侍ジャパンティーム編成を司るに当たって、監督、スタッフ、選手の選考委員会は、強化委員会により行われています。しかし、何故医療部門の編成は、強化委員会の責任の範疇に明記されていないのか。

何故栗山監督は、自身の最重要な責務の一つでもあるこの医療部門の問題をクリーンにクリアーになってから監督を受託しなかったのか。素朴な疑問

日本代表の医療部門の最高責任者は、ティームドクターであります。そしてドクターを補佐するのが理学療法士(PT)であり、次にアスレティック・トレーナーの筈です。これら最重要懸案の医療部門の選考委員会が設置されていなかったとなりますと、これは選手を預かる側の危機管理が全く疎かになっていたと言わざるを得ません。井原強化委員長、栗山監督は、どう説明されますか。これは、組織の重大ミスと認識不足である事を指摘します。

栗山監督は、就任直後から事あるごとに「選手には怪我をさせられない、しては困る、各球団の貴重な財産をお預かりしているから」と何度口にされたでしょうか。しかし、主催する「NPBエンタープライズ(NPGEI)」には、主催者が委託する日本野球議会(BFJ)とその下部の強化委員会が在りながら、何故この医療部門を軽視、蔑ろにして医療ティームの編成をきちんとやらなかったのか、これらは、長い全日本アマチュア野球連盟のアマチュアイズム時代からの国際代表選手団を派遣する際の悪しき伝統がこの度の医療体制にも大きな影と利害、利権体質が足を引っ張っているのではと疑念を抱く次第です

 

■問題点

 最大の問題は、2023年侍ジャパン代表ティームに医療部門の最高責任者(Team Docter)の顔が無い事です。次にスポーツ・ドクターを補佐するPT(Physical Therapist=理学療法士)の顔が無い事です。

そして表舞台に出てくるのは、いきなりヘッドトレイナーと称する人物(河野徳良氏、日体大准教授)です。本来ヘッドトレイナーなる職責は、トレイナーを纏める立場であります。どのような趣旨、目的で同氏にヘッドの名称を与えたのかも全く不明です。本来トレイナーの職責、責務は、西洋医学に於いてはドクター、理学療法士(PT)の指導、指示の下、持ち場での作業、業務を遂行する事が職責と責務とされています。何れにしましても、侍ジャパンティーム・ドクターが不在であった事は、信じがたい医療体制で前代未聞の運営、管理体制と云わざるを得ませんでした。このようなティームを預かる医療部隊は、陰でこそこそと私的レベルで医師、所属病院、クリニックと関係を持つ事は問題の起因となるのです。

■トレイナーはいつ誰が推薦、任命したのか不明

 この度の侍ジャパンティームには、4名のトレイナーが帯同していた筈です。河野徳良氏以外には、二人の日本人トレイナー資格者が帯同し、彼らは社会人野球界か、アマチュア野球界からのようで、河野氏の関係者のようです。河野氏を含む3名は、日本人選手達をサポーツトする事を責務としています。

この人選は、選手を派遣する12球団は了承したのでしょうか。素朴な疑問。

もう一人は、MLBの球団(ドジャース)に所属する日本人トレイナー(米国NATA-ATC資格者)でMLBが派遣し、日本人MLB所属選手のみの治療行為を行うため派遣されました。よって、日本人選手には、一切タッチされない立ち位置でした。しかし、河野氏は、何故かMLB派遣のトレイナーに対する「不満を常に持っている様子」が、MLBに毎回報告されているようです。よって何故このような事が、毎回現場で起きているのか疑念を感じざるを得ませんでした。しかし、この様な問題を抱えて居ながらNPBEI、日本野球会議BFJの強化委員会も何ら改善もしないで、この度も放置して来ていたのでした。

問題の本質は、どうして河野氏が立場も弁えず競技中のダッグアウトの中に入り込み、TVカメラを意識してか、常に場違いの場所に出たがるトレイナーであるにも関わらず誰も注意をしないのか。トレイナーの業務を逸脱している行為は、他にもあり自らマスメディアの取材を受ける必要があるのか。これは、職責における職務規定違反です。何故、日本の主催者の広報担当者は、河野氏の言動、行動をコントロールできなかったかの説明すらないのが本組織・団体の様です

この行為は、まさにNPBEI、BFJにもし医療部門を司る選考委員会なる部署があるなら、委員会の責任者はトレイナー規則・規範のモラル違反である事を諭さなければなりません。このようなトレイナーを何処の誰が推薦し、任命したか明らかにする事が先決です。本来トレイナーの理念は、裏方選手をサポートする事なのです。それが表に出て売名行為、等をやる立場でない事をトレイナーの規約、マニュアルに明記されている筈です。

週刊文春の指摘

後日、週刊文春は、本ヘッドトレイナー氏の問題、同氏が起こした選手への治療ミス等に付いて鷲田康氏署名記事により掲載されていました。鷲田氏は、スポーツ医科学、トレイナー、等の専門分野に付いての専門家ではありません。よってあまり深く解説、指摘はなされていませんでした。そして、何故かヘッドトレイナーの名前も明記されていませんでした。理由は、不明です。

筆者は、同トレイナーの名前を明記しましたのは彼が既にマスメディアの取材を受け、トレイナーとしての報酬を貰って職務を遂行している事から名前を明かすべきであると判断したからです。ついでに申し添えますが、河野徳良氏は、2009,10年と当時日体大の内部問題、トレイナーの問題、自身の宣伝を兼ねて小生を複数回訪ねて参りましたので性格も行動規範もよく存じ上げています。

読者の皆様は、これで何故WBCに於いて優秀な日本選手達がティーム合流する前から、故障者が続出し合流後貴重な選手、投手の怪我による離脱者があいついだ要因とその根拠を理解して頂けたのではないでしょうか。もう少し本件に付きましては、詳しく解説させて頂きたいのですが、スペースの関係で止めておきます。機会がありましたら詳しくご紹介させて頂きます。

 

■スポーツ・トレイナーに関する知識

スポーツ・アドミニストレイションに於ける医療担当者の重要性と必要性に関する専門知識を参考の為に読者に付与させて頂きます。ご参考までに、、、

其の1:日本野球会議(BJA)には、監督、スタッフ、選手招聘執り行う強化委員会なる部署が設置されています。しかし、医療部門のティームドクター、PT(理学療法士)、トレイナーの招聘を司る運営、管理部署が見当たらなかったのでした

其の2:このことから日本のプロを代表する「侍ジャパン」のティームドクターが、何処の誰であるかも知らず、情報公開もなされていないです。よって、例えば源田選手が小指の骨折をしても全治3カ月の発表が在ってもどこの誰が検診して発表したのかも公表されない。マスメディアも取材もしないのです。これは、責任の所在が明確でないのです。

無責任な告知と選手への指導・管理:

源田選手の事故は、全治3カ月と診断を受け公表されました。しかし、この診断を誰がされたかの責任の所在が不明でした。栗山監督は、自身の強いコンセプトからもいかなる事情があるにせよ、源田選手をティームに帯同しても出場許可を出すべきではありませんでした。

これは、栗山監督の越権行為以外の何物でもありませんでした

其の3:現代のスポーツ医科学では、西洋医学のライセンスを持った担当スポーツ整形外科医がいて、それを支えるのは理学療法士(PT国家資格)であります。PTは、責任医師の指導、指示の下に治療、医療行為を行う事が義務づけられています。

其の4:アスレティック・トレイナー(ATC)、スポーツ・トレイナーの資格、肩書を持つ方々は、西洋医学の立ち位置に在るので担当スポーツ整形外科医、PTの指導の下に認められた範囲内での治療行為が認められています。

其の5:日本には伝統的な東洋医学と称する分野が存在します。この分野、部門における業務内容は、「鍼師、灸師、あん摩、指圧師」を主体とする部門であります。東洋医学と西洋医学は、長年相いれない間柄であります。両医学は、厚労省(旧厚生省)管轄にあり保険が適用されています。この様な諸事情がある中、日本のスポーツ、競技スポーツ界に置いて、確か1970年代後半ごろから東洋医学の関係者の間で「トレイナー」の名称を使い始めたのは米国のスタイルが日本のスポーツ界に新たな名称が紹介され出したころだったと思います。

 

2.スポーツ医療の専門家に関する参考資料

■NATA-ATCとは

米国NATAの紹介

NATAは、全米アスレティック協会(National Athletic Trainers’ Association)

の英語名の頭文字を取った略称です。現在は、テキサス州ダラスに本社がある民

間組織・団体です。本協会が発行している資格は、「NATA-ATC」という資格が

正しい名称です。

本資格は、日本人であれば米国大学入学できる語学力がある方で、スポーツ医科学に強い興味がある方であれば、2年で資格を取得できると思います。あまり難しく考える必要は無いです。これは、基本的な資格で、用様な種類があります。しかし、今日スポーツ選手を診るトレイナーには、NATA-ATC資格者が必須資格である事を間違えてはなりません。

注意

2022年よりNATA-ATC資格は米国の大学院(修士課程プログラムと博士課程プログラム)でのみ養成されるようになりました。学部卒業直後のサマースクールから入学で、2年後の5月末卒業、の2年間の課程です。

 

NATA-ATCは、米国内での資格であります。本資格を有するトレイナーは、基本的にDocter-PT(Physical therapist)-ATCの実務序列になっているので、常に上司の指導、指示を下に治療行為をする必要があります。

現在日本国内には、約500名のNATA-ATCの資格者がいるはずです。

彼ら、彼女らが困っているのは、折角高度な理論、実践を持ってしても日本国内では治療行為が出来ないのです。(選手の身体に触れる事ができない意味)

何故ならば、1970年代前半に既にNATA-ATC資格者の第一号が帰国して活動をしようとしましましたが、当時から旧厚生省が米国資格を頑なに認めないのです。これは、今日も尚拒み続けている次第です。その最大の理由は、利権問題なのです。日本に於いては、長年伝統的に東洋医学(針、灸、あんま、マッサージ、等)が全国に根を張り巨大な組織・団体を構成しています。この団体は、自民党の選挙基盤の一つであり政治資金の礎となっているようなので本件の話題が出るとこの原石に行き当たります。

何故米国の資格(NATA-ATC)を厚労省(旧厚生省)が拒むのか、これを利権の維持以外に理由は見当たりません。本件が動き出すと自民党厚労省出身者から省庁の役人にプレッシャーがかかり、全ての書類が揉み消されてきているようです。

NATA-ATCを取得した方々は、米国に資格を取りに行く前に日本の東洋医学鍼灸師、按摩師、指圧師)の資格を得て行くか、或いは、帰国後NATA-ATC資格を取得して、再度国内で東洋医学の資格を得て活動をしているのが現状です。この他には、近年日本国内の複数の組織・団体は、日本版ATC資格が取れるようになりました。この資格を取ると治療行為が許可されています。この資格、コースは、NATA-ATC(米国)の資格要件を満たした内容、質共に異なります。このプログラムでは、実践的に信頼を得るとは言い難いとスポーツ・アドミニストレイターの立ち位置で申し添えます。このようなプログラムを設置して何故NATA-ATC資格者に治療行為の許認可が出せないのか、厚労省は明確な理由を国民、社会に公表する義務があります。

 

文責:河田弘道   10,535字

スポーツ・アドミニストレイター

ポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:「G‐File 長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

WBCシリーズⅠ~Ⅵまでを公開致しましたが如何でしたでしょうか。

個々の興味、知識も異なる事から理解の仕方も多種多様であったと推測致します。読者の皆様の知識により理解、認識されて専門分野、部門の知識を蓄えて頂けましたら十分です。問題は、個々に得た知識を如何に活用されるかです。