KファイルNO.207:特別寄稿 大谷翔平投手アクシデント8.23/2023

KファイルNO.207:特別寄稿 大谷翔平投手アクシデント8.23/2023

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河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

時事の話題から

8月26日KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

スポーツ・アドミニストレイターの見解

 

大谷翔平投手(29):La/エンゼルズ球団所属

2023年8月23日(現地日時)対レッズ戦に先発登板した大谷翔平投手は、1回と1/3で緊急降板した事で日米の野球ファン、マスメディアは、衝撃を受けています。

スポーツ・マスメディアは、もう報道の自由を逸脱したパパラッチ現象を超えたはしゃぎぶりで人の不幸も顧みずと商売にと無責任極まりない内容を連日連夜垂れ流しを致している次第です。

マスメディアは、大谷選手の異次元のパフォーマンスを連日連夜に渡り、囃し立てファン達を煽り商品価値をさらに高めて、販売部数、視聴率を高めるという手法を今日迄取り続けています。

大谷投手がこの程の様にアクシデントに見舞われると、やれ手術だ、FA契約に何億円の損失を来した、もう二刀流を断念、等々の根拠のない情報、評価、推測記事をばらまいているのは今始まった事ではありません。

 

■大谷投手への感謝の念を

大谷翔平選手は、野球ファンのみならず日本社会に於いてこれ程社会貢献をされている競技スポーツ選手が嘗て存在したでしょうか。高齢化した日本社会に於いては、早朝連日海の向こうの米国から日本人大谷翔平選手の活躍は、TVの生中継により届けられ、全国民、社会が毎日一喜一憂しながら衛星中継に関心を寄せるファクト(事実)を真剣に受け止めているのはご承知の通りです。

特に近年は、暗いニュース、話題の多い内外の情勢の中で、唯一の明かりを灯し続けてくれる大谷選手の努力と献身的な姿にどれ程の日本国民、社会は、期待し癒され夢と希望を与え続けてくれている事か、感謝以外の表現は見当たりません。読者の皆様には、この度のアクシデントを冷静に受け止めて頂き、ネガティブな報道を撒き散らすレベルの低いマスメディア、コメンテイターの報道には耳を傾けないで戴きたいです。

 

大谷翔平投手のアクシデントと現実

 ロサンゼルス・エンゼルズ球団は、大谷選手の怪我について「右肘内側靭帯の損傷」との情報を公開しました。この情報は、唯一無二の情報であります。これ以外の情報は、マスメディアが作り上げた真実でない情報ばかりである事を読者の皆様は心して理解頂きたいと思います。日本のマスメディアにもスポーツ整形外科医のコメントとして記事掲載、TV報道も見受けられるようです。しかし、これは、掲載するマスメディア、報道各社が専門家と称して番組内容の信憑性を高めようとする手法に過ぎないのです。

残念ながら多くのマスメディアは、所属球団が公開したファクト(事実)以外の妄想記事で、現時点では何の根拠もない憶測でしかないのです。ご注意下さい。

 

筆者の見解

 スポーツ・アドミニストレイターとしての視点で本件に付いて見解を述べさせて頂きます。

大谷選手のこの度の怪我は、非常に複雑且つデリケイトな要因が多々介在しています。其れは、先日球団が公表された箇所「右肘内側靭帯の損傷」は、嘗て2018年に1度靭帯(リグメント)を損傷して、現地で靭帯の移植手術(通称:トミー・ジョーンズ)を受け、辛いリハビリを克服して今日の大谷翔平投手が蘇った過去がある事を忘れてはなりません。

WBCの犠牲者か

 今シーズン開幕前は、WBCという特異な大会があったシーズンでありました。それにより、大谷翔平選手は、昨シーズンのMLBの疲れを癒す時間も取れず、WBCに向けた予定外のオフシーズンを過ごすことになった次第です。そこでは、普段行わない先発、抑えと投手部門と主力打者としての活躍がありました。この特別なシーズンオフの疲労を回復する間もなく、強打者を連日連夜迎えてのMLBのシーズン開幕となりました。

これによる疲労蓄積が更に連日、連夜のMLBでの二刀流に大きな負担を掛けた事は、想像するに難くない事実であったと理解します。

ここ二カ月前から右手指の痙攣から、打撃での腹斜筋への痙攣と違和感、投球時の違和感と痙攣、そしてこの度の肘への異常な負荷による怪我となって、The Endを迎えました。筆者は、スポーツ・アドミニストレイターとしての立ち位置で申させて頂くならば「2023年のWBCでのイレギュラーな通常のシーズン前のトレイニングスケジュール、WBCの無理な活動がトリガーとなり」今季シーズンのしわ寄せが8月23日の先発に結果として、投手としての生命にかかわる事故を招いた最大の要因であると分析させて頂いています。これは、WBC主力選手の犠牲者の一人であると申し上げさせて頂きます。

この移植手術は、分かりやすく説明いたしますと損傷した靭帯(靭帯は、右肘関節を繋ぎとめる為に必要な帯留め)を取り外して、本人の健康で生きている他の身体の部位にある靭帯を移植して張り付ける手術を意味しています。

この手法を考案し手術に成功した医師がDr.フランク・ジョーブなのでした。日本の多くのプロ野球界の投手がこの手術の恩恵を受け、現在も活躍しているしだいです。

 この度の大谷投手のアクシデントは、このような同投手の過去の大手術の後に発生した初めての事故です。この事故の原因の究明は、現在解析が行われていると思われます。詳しい内容は、大谷選手、球団、大谷選手が個人的に米国のスポーツ医科学の推移を集約した医療組織・団体と契約され同投手の全てのコンディショニングを全幅の信頼の下に預かっているエキスパート達の解析と判断に委ねられていると理解しています。

 一部マスメディアでは、「大谷投手への管理不行き届きがLA/エンゼルズ球団にあり、その責任を問うべき」との日本のマスメディアの報道は間違っています。大谷投手が同球団と契約する際は、エイゼント(代理人)が大谷選手側に100%立った立場で詳細に渡った契約に至っているので、マスメディアが読者をミスリードするような事は控えるべきであり、報道の倫理に反します

その根拠は、球団、現場監督、投手コーチ、医療担当者は本人の意思を随時確認しながら、最終判断は本人の意思を尊重する事が優先されます。特に怪我に関わる事項は、監督は最大の注意を払い本人の意思を確認して決断をしています。

 大谷投手の代理人は、球団、現場に落ち度がある場合は球団とのコミュニケイションで、双方に手落ちが無いと理解するのが現実的であると思います。

何か契約に関しての問題、コンフリクト(対立)がある、あった場合は、今までに調整が成されて問題は解消している筈です。この事は、MLBと日本プ野球界の契約内容も質も処理方法も異次元なので、日本のマスメディアでは理解出来ないのだと思われます。

 

■今後の大谷投手の方向性

 上記現状を述べさせて頂きましたように、現在球団が公表したファクトは、同投手の怪我の名称と今後の登板を回避する事だけであります。

現在進められています解析、分析は、多分近日中に集約され解析・分析の統括責任者から大谷投手の代理人、球団にオリジナルData及び分析内容、今後の指針が説明されると思います。次にその結果を基に大谷投手の現在のシーズン状況並びに打者としての出場の可否についても検討が行われ、同投手のスケジュールを鑑みながら先ずは、

 

  • 大谷選手と代理人との本件に関するミーティングが行われる。
  • 其の後、この度の怪我に関する分析者からの大谷選手、代理人と球団GM、球団医療責任者、等への公式なカンファレンスが持たれると思います。球団、代理人は、その結果と今後の方向性を球団広報担当、及び球団GMから公式な記者会見を持ち発表が成されると思います。本会見に監督が同席する場合があります。
  • この会見後は、球団のシーズンの動向を見ながら大谷投手の今シーズンの球団との契約に基づき契約内容の整理が行われます。
  • 本事故は、LA/エンゼルズ球団と契約中のシーズン登板時に起きた怪我から公傷が認定され本件に関わる全ての経費は、球団の負担となります。
  • 大谷翔平選手の契約書は、本シーズン終了と共に無効となりFA選手(自由契約選手)として、MLB機構により公表され晴れてどの球団との交渉も許されることになります。
  • 同選手に起きた怪我の詳細、DATAは、全てFA交渉時の相手ティームの要求が在れば大谷選手の代理人は、相手ティームに開示しなければなりません。
  • 以降は、移籍が濃厚な相手ティームとの契約交渉へと進んで行きす。

以上今後の大谷翔平選手の怪我後の実務とその方向性を述べさせて頂きました。

これにより同選手の今後の動向が読者の皆様には、鮮明になられたのではないでしょうか。

再度申し添えさせて頂きますが、大谷選手のこの度の怪我名は、「右肘内側靭帯損傷」と公表されていますが、その詳細は、一切公表されていません。よって、報道されています内容は、単なる憶測であります。

大谷選手には、代理人が居て最高の医科学ティームがコンディショニングに当っていますので、その方々の最終分析と判断を待って、大谷選手と代理人の間で全てに於ける最終決断がなされると思われます。よって、この最終決断があるまでは推測、憶測は無意味です。

ファン、読者の皆様は、大谷翔平選手が此れ迄最大の努力と献身的なプレイをMLBのスーパースターとして活躍されてきたのは100%承知しています。

この誠実で正直な大谷翔平選手には、一日も早く以前同様な健康な心体を取り戻し、パフォーマンスが出来る日まで静かに見守り、神のご加護が在ります事をお祈りします。

 

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行 文藝春秋社 著 武田頼政

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