KファイルNO.206:日本大学アメフト選手薬物逮捕大学記者会見

KファイルNO.206:日本大学アメフト選手薬物逮捕大学記者会見

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日 掲載

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

日本大学覚醒剤大麻問題に関する記者会見 

2023年8月8日

KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

スポーツ・アドミニストレイター

本日の日大記者会見:視聴者の不快感の理由

会見者:林真理子理事長(日大芸術学部卒、作家)

    酒井健夫学長 (日大本学農獣医学部卒、旧体制では評議委員、理事)

    澤田康広副学長(日大法学部卒、元検事、旧体制時の日大法学部教授、

                                            危機管  理学部非常勤講師も歴任、等)

                                             以上澤田康広氏の経歴より引用~

  本日の日本大学アメフト事件に関する大学執行部(理事長、学長、副学長)の記者会見から「視聴者の不快感」がSNSを通して炎上している事に気付かされました。これら視聴者の不快の根源は、共同通信社の記事には深く触れられていませんでした。しかし、多くの新聞記事では、露骨な表現をされています。

筆者は、本日の会見の様子を民間TV局の生中継を拝見いたしました。会見現場で聞いていませんでしたのでTVがピックアップする個所しか知る由もありません。放送した局のMCのリードは、イメージから外して会見者の言葉のみに耳を傾けました。

林真理子理事長、酒井健夫学長、澤田康広副学長(元検事)のそれぞれの会見及び質疑応答を一部確認させて頂きました。

お三方は、それぞれお立場のプロテクションに懸命で緊張されていたのが第一印象でした。僭越ですが、この度のアメフト部学生選手の大麻覚醒剤事件を混乱させてしまったその張本人は、澤田康広副学長とお見受け致しております。その根拠は、何故場違いな人物を日大理事会、評議員会は推薦、任命して副学長にしたのかが全ての問題の始まりの様にお見受け致しました。新日大執行部は、権威付けの為に澤田氏なる人物を副学長に据え、日大の競技スポーツの統括運営、管理者に任命したのでしょうか。一部マスメディアでは、同氏を「専門家」と称する表現をされていますが、何の専門家なのですか。

彼の専門職は、元検事です。検事が大学競技スポーツのどのような知識とプラクティカルの実践キャリア(元検事、旧体制下での法学部教授、危機管理学部非常勤講師を歴任)をお持ちなのでしょうか。この様な方が大学競技スポーツをどの様にしてアドミニストレイト出来るのでしょうか。会見を拝聴して感じるのは、自身のキャリアとその権威を誇示する為に、大学の記者会見ではあり得ない大麻覚醒剤の俗語、隠語を使って見せて、マスメディア、視聴者を威嚇する言動と態度を多々拝見しました。多分SNSでは「不快、不愉快な態度」と反応しているのはこのような言動、態度だと思われます。この会見は、まさに犯人逮捕した後の警察の担当者の記者会見でした。読者の皆様は、如何でしたか。

残念ながら、日大再生の為の救助主には、程遠い方々が会見のお雛壇に座られた記者会見内容でした。林真理子理事長は、異なる分野から招聘された方ですが懸命に改善、改革をなされて来られているのは理解できます。しかし、日大改革の最大の問題の根源は、日大体育系と呼ばれている競技スポーツ部である事を理解と認識されていなかったのか、或いは、知っていて手を付けるのを最初から腰が引けていたのかの何れかでしょう

その為に場違い、役職違いのこわもての澤田元検事を置き檻の中(日大競技スポーツ部)の「番犬役」として、この度は副学長として復帰させたとの強い印象を持たざるを得ませんが、如何でしょうか。この人物では、改革はおろか教育、スポーツ、競技スポーツには乖離しすぎます。学生選手達には、指導、管理者としての愛情が必要不可欠です。この方と学長の酒井氏には、誠実で正直な会見の姿勢であって欲しかったです。

残念。

文責:河田弘道

 

筆者からのお知らせ

読者の皆様へ

 猛暑・酷暑の日々お見舞い申し上げます。世界は、異常気象現象により近年は日本に於いても段々と四季が薄れ夏・冬の二季が明確に成り始めました。これにより夏の平均気温が35度~40度が常温になる様子が伺えます。国民の人体の生理現象が自然現象に対応する為にどう変革を来すのか、これは人が生きていくための最初のチャレンジを強いられます。これは、過去の伝統的な生活環境は崩壊し自然の摂理に沿った対応を強いられるという事です。この現象は、人類皆に平等に強いられるという事です。

核の権力を盾に共存共栄の人類の原理原則を破壊へと突き進む体制の異なる首領達は、この変革して行く自然の摂理の前には何の武器も権力も役立たない事をやがて思い知ると確信します。哀れな独裁者達よ。

毎月2回木曜日は、Kファイル公開の日です。読者の皆様には、約7年余りお付き合いをして頂きまして誠に感謝申し上げます。COVID-19は、段々と下火になり日常生活が漸く平静を取り戻して参りました。

この度のKファイルNO.206は、夏季休暇を頂く前の最後のファイルとさせて頂きます

そこで今回は、KファイルBLOGの中でも年間アクセス件数が常にベスト5グループに位置していましたKファイルを再度紹介させて頂きます。何故本テーマが根強い興味を持たれるのか、それは、読者それぞれの異なる興味が蘇るのかも知れません。興味の根拠は、やはり近年の大学教育と教育者の問題を読者の皆様がその理由の一部を本Kファイルのこのテーマから何かを感じられているからではないのでしょうか。

暑い夏のお休みの一時に涼しい冷房の利いたお部屋で、本Kファイルの懐かしいテーマを再読して頂く事で、また新たなる行間と奥行きに深層を読み解かれるかもしれません。期待いたしております。

筆者は、しばらくの間休暇と私用を兼ねてお休みを頂きます。次回Kファイルで再会できますのは、短い秋に入ったころに成るかと思います。読者の皆様に取りましては、どうか猛暑、酷暑を乗り切られ短い日本の秋をお迎えください。

尚、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawadaは、時事の話題から継続してコメントさせて頂きますので、ご笑読頂ければ幸いです。                        深謝

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目次

都の西北早稲田の森に起きた事件より

友添秀則氏に依存した早大、省庁、JOC、体育・スポーツ学会とマスメデイア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

      ■はじめに

      ■近年の大学教員、経営者の傾向

      ■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

      ■事件の発端とその経緯

      ■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

      ■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

      ■友添秀則氏の特徴

      ■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 疑問
  • 私見

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2022年3月10日 木曜日     公開

KファイルNO.175: 姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止            

都の西北早稲田の森に起きた事件より

1.友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

☂変わりゆく大学経営者と教員の実態

はじめに

  人は、神仏のように完成された人間ではありません事を先ず申し述べさせて頂きます。

友添秀則氏は、優秀なスポーツ倫理学者であり多岐にわたる才能を有した方であった人物と推測致します。しかし、その友添氏は、所属する自らの大学で起こした事件をマスメディアにリークされた事で、彼のこれ迄の足跡を全て自らの手で消去する事に成るなど本人は全く予期しなかったと思います。それも事もあろうか、彼は、暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事件は、読者の皆様は既にご存じの事と思います。しかし、あれだけ友添氏に熱狂していたファン(マスメディアを含む)達は、今や誰一人として彼の事を話題にもしない、まさに「事なかれ主義」の人達であった証でしょうか。

本件は、突然起きた問題では無い筈です。しかし、大学教学の管理者、法人経営者は、日ごろの同氏の学内外での言動、行動、等をご存じない筈がなく何故諭されなかったのでしょうか。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いが込み上げて参ります。スポーツ倫理学がご専門の友添氏は、超えてはならない一線を内外で越えてしまったという事のようです。

今後は、長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることなく、大学、学部研究室、専攻学生達は本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願います。特に倫理学を専攻、指導される方々には、自身を律する意味から貴重な生きた友添氏を反面教師として頂きたく願う次第です

 

■近年の大学教員、経営者の傾向

   私立大学経営者及び学部教授会は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導にあたる事が専業であります。

しかし、近年では、競技スポーツ選手同様に大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に大学、大学法人により許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。これも大学教学の統括責任者及び、経営責任者の資質によるところが大であるのも事実です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位とステイタスを向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント教員が番組の品位を下げている事も確かです。大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しては何か教育機関としてのガバナンスが狂ってしまった証の一つかも知れません。残念ながら中小規模の大学では、准教授、教授名のたたき売り状態と申し上げた方が実態を理解しやすいかも知れません。

 

■大学教授のステイタス格差を助長

   筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。如何して日本の私立大学では、大学教授職の資格基準が明文化されていないのか、公表されないのでしょうか。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです。

小職は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を既に招いている所を目の当たりに確認致しました。これでは、TV出演、外部組織・団体の役職が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能です。このような大学管理者、経営者は、学生達を授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子から、学外で名声を得て多忙を極める教授の学内での本来の業務負担が、この助教達に背負わされていた経緯が透けて見えてくるのです。その見返りとしての配慮も気配りも無く、教授自ら助教達に暴力までものお土産でこの度の内部告発に至ったのかも知れません。

■時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

   国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです。

本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな原動力と動機付けとなったのであろう様子が伺えます。

我が国独特な「名刺、肩書社会」に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です。此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。Kファイルでは、このような時事の出来事を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです

筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。唯SNSを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たない」とやり取り及び意見させて頂いたことがありました。彼からは、「よく考えます」と本質的な重要性に付いては興味ない様子の返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯(本件をご存じでない読者の皆様へ)

   先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したとされた事です。

本件は、2020年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、取材に対する情熱と正義感に心より敬意を表します。

そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

 

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

   この度の「友添事件」とその周辺の出来事は、近年の日本社会の病的な出来事を象徴する話題の一つであります。特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営、教学管理者による暴力行為、犯罪行為は、その病根を象徴する事件と感じたのは筆者だけでしょうか。

このつい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣「自民党国会議員、細田派(旧森喜朗派)、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身」の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした。

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした。

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターで権威主義」なのかもしれません。

此れだけ同教授が、学内外で肩書を持っていた事を鑑みれば、早稲田大学に於ける本分のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません。

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した身内委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

❶友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 その後辞任

2012年~2016年早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年学校法人早稲田大学 理事

9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分なし

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定) その後辞任

日本スポーツ教育学会(会長)    その後辞任

日本体育科教育学会(会長)     その後辞任

日本体育・スポーツ哲学会      その後退任

(財)日本学校体育研究連合会常務理事 その後辞任

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々 その後静かに辞任

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

     公益財団法人:日本スポーツ協会 理事 その後辞任

     公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  その後辞任

 その他

■友添秀則氏の特徴

   友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします

これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます

■学外での活動例

   同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします。よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて殆どご専門以外の範囲に及んでいたようです。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導、提案、提言まで述べられていたことです

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が理事である事も影響しているかも知れません。同氏と柔道との関係は、筑波大学生時代に柔道部であったという事だけの様です。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか。

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。多分皆様の身の回りに於いても同様な人物を見かける筈です。

3.筆者の素朴な疑問と私見

      本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通り暴力(友添氏の場合はパワハラ行為)とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです。そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの複数助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第です。

この間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。

  • キーポイント

   加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについてです。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのかについてです。

三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を「悪質なパワーハラスメントとして認定」したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。

  • 疑問   
  • 友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に基づいたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。

スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

    大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応でした

また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身に甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか。

★筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです。

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません。

もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職に付いて居ましたが、各要職の組織、団体、委員会は、その後本人が辞任したのか解任したかの告知は、就任時のマスメデイアの広報・告知とは異なるようです。マスメデイアの友人、知人達は、大変逃げ足の速い人達ばかりであったようです。

文責:河田弘道   11291文字

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

お知らせ:

私大ガバナンスの改善と必要性から、此の度は、友添秀則氏の事件の各論とその周辺の利権者達の様子を例にご紹介致しました。読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。

 

風の便り:その後友添氏は、表向きの肩書は取り外されたようです。しかし、文科省の外郭団体に席をお持ちの様子が聞こえてきます。同氏がこよなく愛した、お上への忠誠と肩書は、何処までも持ち続けている様子です。ある意味立派。