KファイルNO.173: 私大改革の諸悪の根源は何処か

KファイルNO.173: 私大改革の諸悪の根源は何処か

無断転載禁止             2月10日木曜日 公開

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スポーツ・アドミニストレイター

日本にスポーツ・アドミニストレイション論

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイター

の先駆者(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

いつもながら抑えられた筆致に、悲しさと怒りが伝わってきます。伝統ある箱根駅伝で、それこそ伝統ある日本体育大学が最下位に甘んじた件は、僕を含めスポーツをよく知る人々には、不思議な出来事ととらえる人は多いことでしょう。

しかし、ご指摘通り、競技の世界に不思議は存在しません。スポーツの神は、学生達の果敢な挑戦にも関わらず、残酷な結果を投げ掛けてきました。大学関係者からは、学生達に対して何の労いの言葉もないのでしょうか?あるいは謝罪の言葉はあったのでしょうか?教育者ならそこは絶対にはずせない倫理の問題でもあります。

母校の後輩たちの苦しい闘いに、心から声援を送られるFacebookの投稿を拝読するにつけて、今回のKファイル更新のために夜遅くデスクに向かわれているお姿を想像すると、多少なりに競技スポーツに関わっていた身としましては、複雑な思いで読ませて頂きました。

今回の更新は、中央大学でスポーツ・アドミニストレーション論を開講されていた経験から、NO172は正月特別編よりさらに深く踏み込むKファイルならではの重量級のミサイルですね。箱根駅伝にからむ実に興味深い記事に心底感銘いたしました。全く知り得ない情報もございましたが、日本の大学の根幹を揺るがす問題の所在に驚くばかりです。

その分析とご指摘は、母校日本体育大学ばかりでなく、日本の大学教育の真価を問う貴重な提言となりました。大学関係者ばかりではなく、文科省、政府関係者への警鐘でもあります。文科省も怯えていることでしょう。ですがどの方面にも心あるかたはいらっしゃるものです。確実に着弾するものと思われます。もちろん、大学スポーツを愛する現場のコーチ、監督の皆様、今後大学にお子様を送り出す保護者様にも、広く読まれることを期待しております。 kファイル愛読者

 

目次

文科省の私大への権限と使命は何

1.文科省の私大へのチェック体制の有無?

先ず初めに

 ■文部科学省(略:文科省、旧:文部省)の怠慢

 ■朝日新聞の取材記事より

 ■本論評に参加されたオーソリティー(専門家、大家)をご紹介

 ■「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書に対する論評

 ■立ち位置を異にする専門家の論評

▶筆者の私見

まとめ

 ▶政府・文科省の大罪

 

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KファイルNO.173: 私大改革の諸悪の根源は何処か

無断転載禁止             2月10日木曜日 公開

文科省の私大への権限と使命は何

1.文科省の私大へのチェック体制の有無?

先ず初めに

 昨年9月より日本大学の長年の学校法人に於ける理事長、理事達の教育機関らしからぬ不祥事、事件による逮捕者が続出し、現在司法の手に寄り裁かれる段階に至って参りました。Kファイルでは、スポーツ・アドミニストレイターの視点から今日迄我が国の私立大学(公益学校法人)に於ける経営者、教育者、指導者、運営・管理者及び公的、私的関係機関、関係者、政治家達による在ってはならない事態を紹介、警鐘を鳴らし続けて参っています

此の度、このような私大における一大不祥事、事件で逮捕者を出しても、尚決して触れようとしない、させない門外不出の利害と利権の甘い蜜の壺の蓋を開示し、悪代官(通称:文教族)とその取り巻きの政治家、役人(越後屋)を一掃しない限り日本の私大及び教育界に明るい未来は訪れないと確信致す次第です。

文部科学省(略:文科省、旧:文部省)の怠慢

此の度は、日本社会を震撼させる社会問題と化した日本大学の経営者の逮捕という前代未聞の事件が公にされた次第です。これにより、我が国の教育に関する最高機関である文部科学省(通称:文科省)は、重い腰を上げざるを得なくなったと理解するべきでしょうか。文科大臣自らの名において学校法人日本大学に対して指導を数回に渡り行った行為は、今更と不思議に思うのは筆者だけでしょうか。

何故ならば、今日迄このような事件、事態は私学に於いて星の数ほど起きていますが、「文科省は全て各学校法人にお任せしています」と職務放棄をしていた次第です。これは、筆者がある件で文科副大臣と私学担当役人同席で文科省内にて対面致した経験があるからです。此の度は、何故文科大臣、文科省自ら指導を直接するに至ったか?それには、避けられない理由があったからなのではないでしょうか。

心ある読者の皆様は、既に今日迄の本件の経過から関係する政治家諸氏、文科省関係者、公的機関、等による「手打ち」が水面下で成されて落ちがある事をお気づきになられているのでないかと推測されているかも知れません。それらは、監督諸官庁の誰もが「本気で拳を振り上げない」ところに、本件の複雑な利害、利権が絡まっている事を暗示している証であると思われても仕方ありません。

文科省は、文科大臣の名の元に日本大学の不祥事を契機に「学校法人ガバナンス改革会議」なる諮問機関を立ち上げ、専門有識者なる方々を招集されて最終報告書を提出させた事を告知しました注:ガバナンス(governance)とは、統治・支配・管理の意味です。

朝日新聞の取材記事より

此の度Kファイルでは、本年度1月15日付の朝日新聞朝刊の「オピニオン&フォーラム欄」に上記件に関して、各専門分野・部門の3名のオーソリテイー(専門家、大家)に対して聞き手が取材された記事が掲載されていましたので、ご紹介させて頂きます

筆者は、近年スポーツ紙は殆ど目にする機会が無くなりました。一般紙も同様に、殆どななめ読みするケースが多くなりました。余ほど目を引く「キャッチコピー」でない限り目に留まりません。1月の一般紙では、昨年後半から社会問題になっている日大問題を契機に文科省が諮問機関を設置して「私大のガバナンス改革会議」の最終報告書に対する論評記事を掲載されていた、朝日朝刊(1月15日付)。この記事が1月の朝日新聞で初めて目に留まった記事でした。

■本論評に参加されたオーソリティー(専門家、大家)をご紹介

朝日新聞 2022年1月15日(土) 朝刊 オピニオン&フォーラム欄より

★「改革会議の報告書概要」変わるか 私立大学 

 現在は理事長の諮問機関である評議員会を、最高監督・決議機関に格上げするよう私立学校法の改正を求めた。理事らの解任や学校法人の解散といった重要事項を決める権限を理事会から評議員会に移すほか、評議員会は学外者だけで構成し、理事と評議員の兼任は認めない、といった方針も示した。相次ぐ私立大学の不祥事を受け文科省が設けた学校法人ガバナンス改革会議が、報告書をまとめた。だが、私大側の反発により、別の会議が続く異例の事態に。改革は進むのか。

取材対象者

塩崎 恭久(やすひさ)氏:1950年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。前衆院議員。自民党 岸田派から無所属派へ。93年衆院議員で初当選。内閣官房長官厚生労働相などを歴任2021年政界引退。本報告書への結論「内部統制の欠落にがくぜん」。 (聞き手 小村田義之)

両角 亜希子(あきこ)氏:慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学院教授。専門大学経営論。教育社会学者。本報告書への結論「情報公開 信頼回復の一歩」(聞き手 編集委員・増谷文生) 

田中 愛治(あいじ)氏:1951年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。早稲田大総長。2021年日本私立大連盟会長。2014年~16年世界政治学会会長を務めた。本報告書への結論「評議委員だけで改革困難」(聞き手 編集委員・増谷文生)

                 ―以上朝日新聞掲載記事より引用―

筆者の関連プロフィール

筆者(河田弘道)は、米国の公立、私立大学に於いて院生として、教員・指導者として、競技スポーツの実践運営・管理者(スポーツ・アドミニストレイター)としての経験と、日本の複数私大での教員としてのキャリアを基に本件の問題を現実に即した見解を述べさせて頂きたく思います。読者の皆様の中には、予備知識不足か他の何らかの要因で理解しがたい部分が多々垣間見れるかもしれませんが、根気よくご笑読頂き何かにお気づきになられましたら幸いです。

■「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書に対する論評

本論評記事は、朝日新聞記者諸氏が聞き手となり取材の趣旨・目的に沿ったソースを引き出されまとめられた内容を掲載されたと理解致します。但し、本論評に登場される3氏がどの様な理由で選抜されたかどうかは、筆者の知る所ではありません事を先ず申し添えます。(取材記事を引用させて頂きます事を先ずご報告、ご理解下さい)

「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書は、2021年(令和3年)12月3日に文部科学省大臣宛に提出された全14ページ(A4)に渡る報告書であります

本報告書に関しては、また改めてご紹介並びに筆者の見解、私見を述べさせて頂く予定に致しております。この度のKファイルは、朝日新聞掲載の論評を基に筆者のスポーツ・アドミニストレイターとしての視点で素朴な疑問と私見を交えながら読者の皆様には現場の現実と実態を加味しながら述べさせて頂きます。

■立ち位置を異にする専門家の論評

塩崎 恭久氏の論評

 塩崎氏の結論は、文科省内部統制の欠落にがくぜんとしたとまとめられている個所です。同氏の視点は、私大は公益法人である事を上げ、税制上の優遇措置を受けている事。例えば、広大なキャンパス不動産への固定資産税の義務が無い事。これらの特別優遇処置を受けながら透明性が欠落している事。2019年に公益法人としてのガバナンス(統治)の機能を持たせることを閣議決定している事。

問題は、①私大の理事長が経営、人事に関する圧倒的な力を法律で持ち得る法律の枠組みになっている事です。②理事長へのチェック機能を欠いたガバナンス体制になっている事

2019年、塩崎氏が自民党行政改革推進本部長時に私大の不祥事に乗り出した。その時に文科省に説明をさせた所、全ての公益法人は、評議委員会が経営にあたる理事会の上に位置しているのに対し、③学校法人では評議員会が何と理事長の諮問機関と位置付けられて一番下に位置付けられて居た事を確認して「がくぜん」とした事

塩崎氏は「評議員委は学校関係者が卒業生ら多様なステイクホールダー(利害関係者)から、自らフェアーに選ぶ事。理事や教職員の兼務は利益相反の恐れがあるので除外する」という報告書の提言に賛成されています。また「大学の自治」を危ぶむ人も居るが全くの杞憂と述べ、むしろ健全な自治の為に、健全な自立的ガバナンスが必要と述べています。そして、大事なのは、評議委員に「思慮深い人をそろえて資源の有効配分」が必要と加えられている事に筆者は共感を覚えた次第です

▶筆者の私見

塩崎氏の論評は、問題の本質の抽出と指摘とどれも改善、改革に必要不可欠なファクターである事と思います。後に私大の代表者が「本報告書は、大学の自治を失うので賛成できない」と述べられていますが、これは大学経営者の詭弁であり「大学、法人が自治を己の都合のよい隠れ蓑に自治という言葉を悪用している」にすぎないからであると筆者は、大学内のアドミニストレイションを実体験した中で確認致した次第です。

塩崎氏は、教育界の頂点に必要なアドミニストレイターであると確信致します

彼のような高い見識と「JusticeとFairness」を兼ね備えられている国会議員がそれも自民党内にいらっした事に驚きました。このような方こそ、日本の教育を携わる文科省の大臣に就任して頂き大所高所に渡り、リーダーシップを発揮して頂きかったと思わざるを得ません。何故歴代の文科省には、大臣、副大臣、役人に塩崎氏の様な人物が居なかったのでしょうか。筆者には、旧文部省、現文科省の大臣、副大臣として森喜朗氏、下村博文氏、馳浩氏、松浪健四郎氏、等々が記憶のイメージに焼き付いているからでしょうか。此れこそが究極の問題なのでしょう。塩崎氏は、2021年既に衆議院議員を引退されました。必要な人物は、早く去るは格言通りの様です。

両角 亜希子氏の論評

両角氏の結論は、「情報公開は信頼回復の一歩」とまとめられている事です。即ち、本報告書から、情報公開がなされない、なされて居ないのは、私大の理事会、評議委員会には構造的な問題が現存するので情報公開がなされないので信頼できないと結論付けられている所に特徴があると思います。同氏は、米国の私立大学のアドミニストレイションに造詣が深い方であると記事の発言内容からお見受けします。

筆者の私見

米国の公立、私立大学で院生時を経て教員、運営、管理者として長年経験させて頂きましたので、両角亜希子氏の話題と論点は、実践をして参った小職には手に取るように理解できます。しかし、日本には、日本の伝統と文化があり即米国スタイルの摸倣には準備が必要かと思われます。これは、日本版NCAAが実現しなかったのと同じ論理なのです。

米国の私大に関わらず、国家、社会が「JusticeとFairness」を礎に形成されている強い法治国家であります。よって、私大の運営管理に於いても各州の法律に基づいた許認可の下に経営、運営、管理がなされている次第です。公立に至っては、各州の法律と教育機関への規約、規定が厳しく特に経営に関しては、査察を受ける構造とシステムが確立されています。

両角氏が申されています私学の理事は、「卒業生や地元の名士ら学外者だけでつくる理事会が最高意思決定機関」とされています。勿論理事は、バランティアーとしての要素が強く無給でありますが、大学理事としてのステイタスは、有形無形の利得を得られるのは何処の世界でも同様の様です。また、理事職を強く望まれる方は、莫大な寄付金を納めて頂ければ歓待される事も世の常です。日本の理事、評議委員達は、何か他意と下心(Greed)があるか忖度で理事長に呼ばれ強い信頼関係にあるケースが目立ちます。

但し、米国は、私大も公立大も大学内の全ての役職、人事に関しては諮問機関が設置されており、厳しい規約、規定により各校とも「By Law」により縛られ、日本のような悪代官の天国とは異なるのが米国と日本の違いであると実体験から申し添えます。それと決定的な違いは、米国は明快な契約雇用制度に対して日本の私学は、半永久雇用制度の違いはシビアーな世界とぬるま湯の世界の違いがあると表現させて頂きます

田中 愛治氏の論評

田中愛治氏は、日本私立大学連盟会長(現早稲田大学総長)としての立場からの論評されている事が特徴です。そして、同氏の専門分野、部門が政治学である為か政治家的な色彩が強い内容となっているように感じます。同氏の本報告書への結論は、「評議委員会だけで改革困難」という立場を取っている事です

先ず田中氏は、日本の大学進学率の8割を私大が担っている事を強調しています。しかし、その資質と実態には触れられていなです。また、経営では、固定資産税の免除は感謝しているが補助金が少ない事を挙げ、莫大な助成金に付いては何も語っていません。そして、「日本大学は特殊だ」という人がいるが、それは甘い。と明言しています。何が甘いのかは、明確に述べられていません。私大の不祥事が続き、国民に不信感を持たれている事は承知してると認めています。しかし、「悪人が理事長に就く可能性はあるが、それを止める仕組みが無い」と、他人事の様に取材に応えている点です。論評の後半には、本報告書に対して強い反論を加えていますそれは、報告書が「社会福祉法人などと同じガバナンスを、なぜ学校法人は受け入れないのか」という点についてです。これに対して田中氏は、「与えられた使命が異なるからだ」と反論しています

▶筆者の私見

 田中愛治氏の強い論評は、「学外者だけの評議委員会を理事会の上に置いて最高決議機関にすればうまくいく、という考えはおかしい。権力志向の人なら、理事長を辞めて評議員会の会長を狙いますよ。理事会と評議員会がお互いに監視し合う仕組みが必要だ」と述べている事です。田中氏は、私学の現実の実態をあえて直視されて居ない様子が伺えます。

★田中氏は、2020年早稲田大学で起きた友添秀則氏(倫理学専門教授、理事、文科省、等々の要職を兼務、肩書コレクターの愛称)の事件(学内同僚への暴力)について、大学法人の責任者としての説明責任、見解も述べず、それでは自治の必要性を強調する根拠が理解されないのでないかと思います。本件を懲戒免職にも出来ずどうして辞任を受理されたかお聞きしたいものです。

筆者は、文科省が本来私大の設置に関する許認可権及び、各学部設置申請に対する許認可権を有する事で私大と文科省間で既に主従関係が成立していると思います。またそれらに加えて私大助成金補助金と言う莫大な国民の税金を自由に私大に振り分ける権限と権力を有している事から絶対的な主従関係が伝統的に成り立っている事実が、構造的な問題の根源になってるのだと思いま

★小職が日本の複数の私大にお世話になっていた時に以下の様な事が起きました。実例として。

その一つは、大学法人は文科省(旧文部省)時代のOBが教授職で小職が所属していた学部教授会に採用しろと押し付けて参った次第でした。本件に付いてこの時期は、まだ教授会は伝統的な権限、権力を維持していた様子で本件を法人に突き返したようです。その後、法人事務局は文科省の協力を擁する事案を抱える他学部に半ば脅しで文科省OBを捻じ込みました。勿論待遇は当時破格の待遇であったと聞き及んでいます。この様に、文科省からの天下り用の席を常時確保され文科省内のOB,OG達の職安がコーデイネートされている事を見聞きして腐敗した省庁の実態を垣間見ました。

★もう1つ、小職の記憶では、2010年頃から確か文科省から「各私大へのお達し」があったとの事を教授会で披露された事案に驚きました。それは、日本の伝統的な私大教授会を骨抜きにするお達しであったように記憶致しています。

その第一弾は、私大の人事権を法人理事長に集約するという出来事でした。この出来事から大学法人では、理事長が評議員、理事の人事を露骨に自身の人選で執り行い理事会、評議委員会の過半以上を理事長のイエスマンの集合体と化したのでした。勿論学内の教職員、管理者達も理事長への忖度者達で固められて過半数以上の理事、評議員で固められ、学内身内・親類縁者の類まで顔を揃えているのが実態です。

この作業と並行して、第二段は、各学部教授会の極端な改変が実行されたのです。それは、本来の教授会の権限、権力をはく奪し、教授会は、教学に関する意見を述べる場であり決議権も決定権も無い理事長からの伝達事項が学部長によりお披露目の場で伝達事項を遂行するのが教授会と化した次第となりました。

この事態は、あっという間に各私大に広まり特に中小の私大では、既に理事長は大学法人(理事会、評議員会)内の人事権、大学教職員の人事権を全て握り、今日の私大では、理事長はその絶対的な権力者であり何でもできる事態に至っているのが実態です。これにより、大学法人の理事、評議員は、理事長に異論、反論などできる体制ではないのです。また、教員、職員は、教授会が形骸化している事からも意見しても御上から睨まれ、ブラックリストに載る事を恐れて口を閉ざす環境、組織が成り立っていると申し上げて過言ではありません。よって田中愛治氏は、他校の法人の現実をよくご理解されて居ないようです。

まとめ

近年に於ける諸悪の根源は、この様な十数年前から「文科省のある伝達」から公益学校法人の私大で不祥事、事件、不正が横行してしまったのが今日の最大の問題であると分析する次第です

 文科省の問題は、許認可、伝達をした後の運営管理をするシステムが根本的に欠落している事から何を始めても機能しない、構造的な問題を抱えている事にあると思います。その大きな例が「スポーツ庁」の併設です。本丁は、まさに別の利害、利権の蜜壺で文科省の政治家、役人達の職安と申し上げるに相応しい実態であることを国民、社会は知るべきであると思います。特に本庁の長官並びにその取り巻きは、どの様な規準と職務、職責で誰が推薦し任命されているのでしょうか。今日も元文教族のボスは、院政を敷かれて文科省庁の人事、等に強い影響力を行使しているという噂がまことしやかに流布しています。これでは、文科省が折角諮問委員会を立ち上げ、報告書による提言を受けても実行力の無い、形式的に終わるのかも知れません。

適切な人材である根拠を常に情報公開しなければまた新手のBLACK BOXが設置されたと揶揄される次第です。私大改革と同時に文科省内の利害、利権者達の構造と実態の改善、改革を同時に進行しなければ本件の改革とのバランスと整合性が取れない事を忘れてはならないと思います。如何でしょうか

政府・文科省の大罪

このようにして、政府・文科省は、私大理事長に権力を与え、それを法的に保護した事により、私大法人が本来は文科省の監督、管理責任を私大法人理事長が担うようにしてしまったのです。

Kファイルお正月特別編並びにNO.172、で公開致しましたように、「例えば、日本体育大学の理事長などは、学長、学生(未成年を含む)を百数十人引き連れて、日本国が渡航禁止としている、国交も無い「北朝鮮民主主義共和国」にスポーツ・文化の交流と称して、入出国を繰り返し社会主義国家の思想を紹介する等の教育をされている。」

このような行為を日本政府、文科省スポーツ庁)、外務省は、どの様なチェック体制と指導をなされているのか、国民、社会、学生の保護者会、同窓生、拉致被害者救う会)に是非情報公開並びに見解を頂きたいと切に願う次第です。

保護者会では、大学法人が社会主義思想を擁立するのではと案じている様子です。こんなことがあって良いのでしょうか。このような経営陣、大学に私大助成金補助金を支援する価値が何処にあるのでしょうか。如何して、マスメディアは、権力に加担して正しい情報を国民、社会に告知されないのでしょうか。教育界の暴力を報道するだけでよいのでしょうか。

尚、多くの私大では、「理事長及び理事会、評議員会の暴走に教授会が歯止めが出来ない構造的な問題を既に確立している」状態です。学内教職員が異議を唱えると直ちにブラックリストに加えられ後はご想像にお任せいたします。また、教員採用に関しては、人事を仕切る担当常務理事が採用統括責任者なので教員の多くはその時点で忖度を受ける実態の様子です。

何故1理事長及び1常務理事権限でガバナンスを破壊するような行為が可能なのでしょうかこの度の文科省諮問機関の「学校法人ガバナンス改革会議」報告書を遵守するなら、現日本体育大学の理事会、評議委員会は、ガバナンス違反に該当する運営、管理が行われ、文科省は解体命令を出さなければならない公益学校法人の最たる例になると思われます。如何されるのでしょう。

 

文責:河田弘道

ポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル。KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:本NO.173は、長編なために読者の皆様はお疲れになられた事でしょう。しかし、本題は、日本国の私大教育に関する重大な危機的な経営、管理問題であります。このような乱れた私大の状況では、世界の優秀な大学のランキング、教育資質が低ランクされる所以であると思います。読者の皆様は、何か感じれる事はございましたでしょうか。次回をお楽しみに。