K'sファイルNO.69:公益財団法人日本バレーボール協会の体質 無断転載禁止

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K'sファイルNO.69:公益財団法人日本バレーボール協会の体質 無断転載禁止

            無断転載禁止

 

 第一弾 スケルトン(背骨)無き競技団体の宿命

先ず初めに

1964東京五輪での結果が歴史に語り継がれている日本バレーボール界の栄光は、今日、遥か過去の夢物語と化してしまった感があります。読者の皆様は、バレーボールと聴いて何が頭に浮かびますか。日本バレーボール界の再建はおろか、ファンの思いと期待は裏切り続けられており、何時まで経っても応えられない原因は一体何処にあるのでしょうか。読者の皆様とともに現実を客観的に考察してみたいと思います。

TVエンターテイメントと化した男女バレーボール

筆者の瞼と脳裏に先ず浮かぶのは、このシーズンです。「ニッポン・チャチャチャ」と叫ぶジャニーズ事務所の芸能タレントさん達。その掛け声に合わせ、テレビ中継がこの季節が来ると定時午後7時に開演されるシーンです。このイメージは、既に何十年も続いているように思えてなりません。そして、観客席では、バレーボール競技にあまり興味も理解もなさそうな若者達を集めて、お祭り騒ぎが繰り広げられている情景が印象的です。

これらは、TV、広告代理店の番組プロモーション活動を兼ねた一つのトリック手法なのです。これらの演出は、番組視聴率の向上がその主たる目的なのは言うまでもありません。それは、裏を返せば純粋にバレーボール競技だけでは商品価値が低いので演出効果に頼らざるを得ない、即ち勝てないテイームでは視聴者、スポンサーが満足しないという視点と判断によるものです。しかし、これは、スポーツ・アドミニストレーションの観点からすれば、真の競技スポーツを冒涜したフェイクなのです。

読者の皆様は、毎年日本で何故こうもタイトルに世界が付く国際大会が開催されるのかと疑念を抱いている方も多いのではないでしょうか。これにより日本テイームは、アウエイ(外地)で闘う機会を失っている事も弱体化の大きな要因の一つとなっています。

国際大会の競技スポーツとしてのバレーボールが、番組宣伝、広告宣伝の為であり、また芸能タレント達のプロモーション活動を兼ねた、ビジネスマーケットをその主とし、本来の競技スポーツの熱戦が従の関係にあるのが、近年の日本の男女バレーボール大会での代表テイーム、選手の置かれた実情ではないかと思われます。誠に本末転倒したバレーボール国際大会は、また今年も日本に於いて開催されているのです。入場券を購入して、入場している観客の実数は如何ほどなのか公益財団法人として情報公開の義務があると思います。何か色違いのウインドブレーカーを着せられた生徒、学生達がテレビカメラの向く席に、動員されているような様子が伺えるのは筆者の錯覚なのかも知れません。

この度のKsファイルは、読者の皆様からのご要望とも重なり時事のテーマとしてバレーボール競技を取り上げました。

②筆者がバレーボール競技に関係した背景

筆者とバレーボール競技との関係は、米国の大学で教鞭を取っていた1970年代当時にまで遡ります。スポーツ・アドミニストレイターとしてメジャーの大学競技スポーツのみならず、全米大学競技スポーツ協会(略:NCAA)主催事業の運営、管理に携わっており、当然男女バレーボールテイームにも関わっていました。

当時の日立USA社長より大学側に日本の日立テイームが米国遠征をしたいのでご協力とお知恵を拝借したいと連絡がありました。小職が日本人でもある事から大学の窓口となり、ホスト役を務めた事が日本バレーボール界とのご縁でした。当時、日立テイームの監督は、山田重雄氏、アシスタントコーチが米田一典氏、吉田敏明氏でした。

その後、小生が西武・国土計画で野球担当秘書と米国の大学職務とを兼務していたころには、既に日立監督の山田氏から堤義明社長に西友で女子バレーボールテイームを設立して欲しいとの話が進展して居たようです。しかし、当時はプリンスホテル野球部の設立や、西武ライオンズの設立が決定し始動していた関係で、山田氏は堤社長にお会いするのは難しい状況でした。そこで、ある日国土計画に私を訪ねて来られ事情説明を受けたのですが、その日のことがまるで先日のような気がいたします。

それから数年が経ち、日本に於いては、1985年から2005年まで、企業スポーツとしてNEC SPORTSが誕生。そこで小生は男女バレーボールテイームを含む8つの競技スポーツを預かり、全日本、Vリーグに於いては、スポーツ・アドミニストレイターとして運営、管理をさせて頂きましたことから、日本国内外のバレーボールに深く関わっていく事と相成った訳です。その当時、NECの経営者からは、先ず短期間で日立女子バレーボールテイームに勝って欲しいとの強い要望を受けました。そして過去に何度もお目にかかっている山田氏率いる伝統の日立を破り、確か3年目から「NECの時代」に移行させる事に成功しました。さらには男子バレーボールや、女子バスケットボール、ラグビーでもNEC時代を迎える事に成り、振り返ってみますとこれも何か運命の悪戯のような気さえします。

③野心はあるが実践力が無い協会長及び責任者達

1990年代前半まで、公益財団法人日本バレーボール協会(略:JVA)には、我が国のバレー界を支えて来た2人の巨頭が君臨していました。その1人が、松平康隆氏(男子ミュンヘン五輪監督、JVA会長、国際バレーボール連盟FIVB副会長)で、もう1人が山田重雄氏(元女子五輪監督、日立女子バレーボール監督)です。お二人に続く強烈なリーダーシップを発揮できる人材は日本バレーボール界には現れず今日に至るも成果と結果が思うように出ていないのが皆様ご承知の通りの実情です。

松平氏の後1995年から今日の嶋岡健治会長までの間に6名の協会リーダー(会長職)が誕生していますが、記憶に残る改善、改革を成された方は見当たりません。その都度起きる権力闘争の繰り返しは行われても、真に選手、指導者、バレーボールの競技力向上に対する改善、改革を能動的に示された人物は皆無に等しいと申し上げても過言ではありません。日本の競技スポーツ界の悪しき伝統の一つに、有能な若手の指導者、管理者を育てない事が挙げられます。これも権力闘争の為の犠牲と化している象徴と言えるのではないでしょうか。

④強烈な歴史を変革するようなリーダーは居ないのか

本協会の最高責任者たる会長は、短期間で交代する事に大きな問題の元凶があると考えられます。これは、裏を返せば、組織、団体としての内政が不安定である証しともいえるでしょう。

JVAを支えている団体の一つに一般社団法人日本バレーボール機構(略:JVL、通称:Vリーグ機構)があります。Vリーグ機構を支えているのは、長きに渡りバレーボールテイームを持って今日も尚運営、管理している会社、企業です。

Vリーグは、当時より将来のプロ化を前提にして一般社団法人とされたのですが、残念ながらJVAに強力なリーダーの不在と各企業間の役員達が将来の自分達の名誉職としての居場所を求めるが為に協力体制を強化できず崩壊し、プロ化の準備室も解散された次第です。

会社、企業テイームには、大部分の男女バレーボール選手が所属し、選手達の生活の糧はこの企業がサポートしているのです。即ち、JVAは、各企業で雇用している選手達を代表テイームとして招集して各国際大会でプレイをさせて興行し、そして収益はFIVBJVAが吸い上げて行くシステムが伝統的に構築されているのです。

日本体操協会と異なる点は、JVAの役員の多くは、有給である事です。また、その中のバレーボールテイームを持つ、会社、企業から執行で協会役員を務めている人達も居り、その所属企業がその執行人に生活の糧を与えているのも事実です。しかし、近年は、段々と会社、企業の環境、状況も変化し好きなバレーボールの世界でお遊びさせておくわけにもいかず、会社、企業に引き上げて戻る役員がいるのも現実です。

JVAのこのような会長以下の執行部体制は、内部の権力闘争にエネルギーを使い、彼らの本分の職責、責務に対するビジョンも実践力も伴わない中途半端なバレーボール・アドミニストレーションが日々なされている事が、本協会及び、全日本テイームが成果、結果を残せない大きな要因の一つであると申し上げてもいいのではないかと思います。

筆者の視点

日本では、初めて女子ナショナルテイームの指揮官に女性の中田久美氏が採用されました。女子テイームには、女子の監督が理想的です。しかし、そのテイームをサポートする部隊が僭越ですが、力不足のような気がします。優秀なサポーテイブな人材が居ても協会執行部の好き嫌い、派閥によって真に能力ある人間には役を渡さない。日本の競技スポーツに携わる組織、団体でよく見掛ける、指導者育成、養成の機会を与えず個人の権益を守ろうとする負の遺産の様です。

この度の大会でのコート内での指揮、戦略、戦術に於いて、中田監督の立ち位置は、どうなっているのか、また外国人のアシスタントコーチを要しているようですが、試合中の全軍へ、個々への指揮、指示系統は、アシスタントコーチにより出されている様子を見るにつけても、このテイームは、本当に中田監督のバレーボールが出来ているのかと疑念を持った次第です。また、外国人アシスタントコーチの為にコミュニケーションは、通訳を介して選手達、監督に行われています。此れでは、指揮官としてのゲームに於けるトータルマネージメントが行き届かないと思います。

幸い日本には、元米国女子ナショナルテイームを率いてオリンピック大会、世界選手権大会でメダルを獲得した優秀な日本人指導者が居ます。この指導者は、英語力もありバレーボール界の国際感覚も兼ね備えた優秀な指導者、管理者です。このような人材が居ながら、協会は、何故中田監督のアシスタントとして、或は女子強化本部長としての人選を怠ったのでしょうか。筆者は、本大会の初戦、第二戦をTV観戦しながら非常に強い疑念を抱かざるを得ませんでした。

此れでは、折角初の女性監督を擁立しても此のままでは潰してしまうような気がしてならないのは私だけでしょうか。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:次回NO.70は、何故バレーボール主要国際大会は、毎年日本ばかりで開催するのか。日本テイームのメリット、デメリットに付いて、読者の皆さんとその素朴な実態と疑問を少し深く検証して参る予定です。