K’sファイルNO.85:新春東京読売ジャイアンツ開幕 無断転載禁止

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 第二弾:GFA獲得選手と放出選手の運命や如何に

ご報告:K'sファイルNO.84を掲載後、球団関係者、選手等からも貴重なコメント、感想を頂いております。筆者は、本K’sファイルを関係者が専門知識を得る通信教育と位置付けてられるとの事に大変興味を覚えました。プロ野球界に於いて、選手、指導者、管理者に対する指導、コーチングの現状は業者任せの形式的な物が多く、選手を終えた若者にベースボール・アドミニストレーションの教育、指導は、今後彼らの競技経験を活かす為にも不可欠だと思えるからです。K’sファイルが少しでもお役に立っているのであればこの上ない喜びと思います。感謝

①大量の内外FA選手獲得とその対価

第一弾として、東京読売ジャイアンツ(略:TYG)が獲得した日本人FA選手は、中島宏之選手(オリックス球団)、岩隈久志投手(マリナーズ球団)でありました。2名のベテラン選手達は、オリックス球団への金銭譲渡制度を活用、岩隈投手は、MLBからのFAの為、自由契約選手として通常の契約金並びに年俸、インセンテイブボーナス(成功報酬)を加味した契約内容であると推測します。

中島選手は、戦力外の選手として低価格で、怪我人が出た場合のスペアー要因として、保険の意味で“購入”したと思われます。

片や岩隈投手は、既にピークは数年前に迎えており怪我の修理が何処まで出来ている状態かは未確認です。往年の力があるのであればシアトルは手放すはずもなく、他球団も手を出していたに違いありません。

筆者は、どのような根拠を基に担当スカウトが値組をしたのか興味があります。晩年のシアトルに居た佐々木主浩投手を当時の横浜ベイスターズのオーナーであったTBSオーナーが莫大な金額を提示し2年契約で横浜Bが購入しましたが、確か1イニングも持たなかった記憶が蘇ります。

余談になりますが、TBSは、佐々木投手購入に関して当時、事前に筆者に意見を求められました。私は、明確に「佐々木投手は、シアトルで故障もあり購入する価値はないので、お止めになった方がいいと思います」と詳細の問題を説明させて頂きましたが、その後どのような判断をされたのか佐々木投手と契約され、TBS本体の経営まで危うくされかけた事を鮮明に記憶しております。

岩隈投手は、先発できずとも中継ぎで1、2ニング使えればとの目算をBOTTOMラインで考えているのであれば理解出来ます。

第二弾は、昨年12月に西武の主力捕手の炭谷銀仁選手がFA資格を取得し、宣言をしたので複数の球団と競争の結果TYGが同選手を獲得、移籍が確定、完了したのでした。しかし、FA選手獲得に際しては、野球協約、規則から獲得球団は西武球団(旧所属球団)に対して、同選手の評価価値に相当する人的補償、金銭補償、或は人的補償プラス金銭の何れかで補わなければならない、即ち実質はトレードを意味するのです。

西武球団は、TYGに対して人的補償を要求し、TYG28名のプロテクト選手を確保し、それ以外の選手を放出可能要員として規定日時迄にリストを提出したのでした。しかし、このリストの中身に付いては、双方に秘守義務がある為告知されません。よって、西武球団は、自軍の最大の補強ポイントである即戦力の左腕投手の内海哲也投手を指名、獲得しました。

次に、第三弾としては、丸佳浩選手(広島球団)でした。TYGは、獲得の対価として長野選手を差し出した次第です。対価として、内海投手、長野選手を失ったTYGは、球団社長、球団副本部長が言葉を選びながら「断腸の思いとか、ショックだとか、お詫びしたとか」整合性の取れない言葉を並べているのは誠に聞き苦しい限りです。

それほどまで先方に持って行かれたくないならば、何故球団は、選手をプロテクトリストから外したのか、その理由を説明する方がもっとファンもマスメデイアも納得したと思います

一昔前までなら、TYGと広島球団との力関係からしますと事前に手を出さないように申し入れて置けばこのような事は起きなかったと推測します。しかし、近年は、新広島球場建設後、同球団は球団運営、管理は従来通りに行う一方、球団の事業(ビジネス)、球場経営は大手商事会社に業務を委託して、経営は皆様がご存知の通りTYGに頼らなくても財政的な不安を解消するに至った為、対等な立場に成長された次第です。従来の主従関係の呪縛が解け、今日、堂々と人的対価を要求された事はその証であると私は考えます。

本件に関して、筆者は、先方球団に対して提出した放出可能選手リストには内海、長野選手以外に阿部慎之助選手、陽岱鋼選手、亀井善行選手、等が入っていたのでないかとイメージしている次第です。勿論、投手では内海投手以外に澤村拓一投手あたりを入れていた可能性が高いと思われます。しかし、繰り返しになりますが、この様なリストアップをしていても、リストに関しては、関係球団には守秘義務が課せられており、第三者には知る由もありません。

一部マスメデイアが先走った質問、疑念をTYGの責任者達に向けているようですが、内海投手、長野選手共に何の恨み節も語らず素直に人的補償要員として出て行ったのは、入団時に球団、本人も語れない経緯を背負い今日に至っている事を推測しますと、双方が首を絞める事となりうるのです。TYGの慣例から選手達を気持ちよく送り出す為の「御もてなし」がされている事を筆者の経験から察する次第です。よって選手達には、失うものも少なかったのではないかと考えられます。彼らの今後の活躍を祈念する次第です。

②ウエットなマスメデイアの論調

この度の東京読売ジャイアンツ(略:TYG)のFA選手獲得の是非に付いて、連日スポーツマスメデイアは、「生え抜き功労者の放出は、Gフロント編成責任者に一貫性の無い矛盾の策」との指摘が大勢を占め、TYGから除籍された内海投手、長野選手達を擁護する論調が連日躍っているように感じています。

筆者は、このメデイア論調をベースボール・アドミニストレイターの視点で申しあげますとプロ野球界に置ける「生え抜き云々」の表現に違和感を覚えてならないのです。何故ならば、プロ球界には、FA、トレード、移籍ありと元来プロ選手は高校野球大学野球選手とは異なり、所属球団の商品(Product)に他ならないのです。一昔前までこのようなルールがまだ無かった時代は、一選手が入団して、同球団を引退するまで在籍する選手が沢山居ましたが、近年は本ルールが設定され、状況は一変してしまいました。それ故、このような表現とニューアンスは、日本的で日本人が共感する言葉である事からあえてマスメデイアが使用しているのかも知れません。片や今の世代の選手達は、マスメデイアがウエットな表現をする程、球団に愛着があるとは思えないのです。選手達の愛着を持つのは、契約金、年俸、インセンテイブと言う数値の物差でしかないのです。MLBでも1人の選手が入団して、その選手が引退するまで同じ球団に所属しているケースは珍しいと言えます。

伝統的な球団には、例えば昔から巨人軍OB会事務局が存在し、一つの利権と思しき組織を構成し、職安のような事もなされているようです。しかし、このOB会の定義は、本来生え抜きと称する引退選手の集まりであったようですが、今やTYGFA、トレード、移籍により一時的に在籍した選手であったとしても、皆OBと見なして登録、所属を容認される時代になりました。これは、まさに上記「生え抜き」のみでは維持できなくなり変形した利権集団に他ならないのです。

また、会員の登録者達は、在籍が1年で在っても外部からのお誘いの野球教室、講演、イベント、等が有れば嘗てのジャイアンツのユニフォームを身にまとい出演、指導しているのが現実で、決して長きに渡りお世話になった他球団のユニフォームを身に着けようとしない心理は何だと思われますか。

このようなジャイアンOB会の現状からも、生え抜きを美徳のように感じる方々には、時代の流れと現実を是非理解、共有して頂きたと思います。よって、生え抜き云々の表現は、もう時代にそぐわない表現で在り、何かそうあって欲しいと願いを込めた表現のように思えてならないは、筆者だけでしょうか。

 

人的補償選手達の共通した過去

FAに於ける人的補償として内海哲也(36)投手、長野久義外野手(34)は、両選手共に入団時に共通した境遇と問題を経験した選手達でした。それは、日本プロ野球機構(略:NPB)のドラフトを長野選手は、2度受けながらTYGでないので行かないと拒否、また内海投手は、高校ドラフト対象選手として1度、これもTYGでないので行かないと拒否しました。

これでは、NPBが全球団同意の基に設置したドラフト制度の意義と目的の根底を否定する行為に当たるのです。そして、またこのような行為は、ドラフトした球団への尊敬の念の欠落、各所属する高等学校、大学、社会人とそれぞれの教育者、指導者が同選手達に社会の一員となる前の指導を怠っていた証でもあるのです。

内海投手は、入団を拒否後、社会人野球テイームに所属、長野選手も社会人野球に所属し、他球団がドラフトするのをあきらめた頃を見計らってTYGの指名を受けて入団した問題選手達であった事を忘れてはなりません。しかし、このような手法で手に入れる球団側は、大きなリスクと入団までのケアーに努力が必要なのも事実です。筆者は、本球団に在籍前にこのような状況下の選手を引き継ぎましたので、状況が手に取るように理解出来る次第です

TYG球団には、このような選手が嘗て1970年代後半の江川卓投手以来何名の選手達が、悪しき所業に手を染めドラフト制度を無視してきたのでしょうか。(筆者は、当時西武国土計画で堤義明社長の野球担当秘書として、因果にも当時江川選手担当も仰せつかった次第です)

今日も尚、後を絶たないのが現実です。このようなルールをリスペクトできない選手が途絶えることが無い大きな原因は、TYGがそのような選手を獲得するからなのです。TYGは、何故自らもNPBのドラフト制度に同意しリスペクトされている筈なのに、このような非道な行為を行う選手、父母に手を貸すのか、これはファンの皆さんにもその責任の一端があると思われます

私は、TYGこそ襟を正して日本の野球界のみならず、スポーツ界のお手本となるリーダーとして正道を歩んで欲しいと心から祈念している次第です。筆者は、幼いころから長嶋茂雄選手と巨人の大ファンでした。

NPBに加盟する球団も観て見ぬふりをしているのが実態ですが、日本球界も他の競技スポーツ界同様にグローバルな時代に合ったベースボール・アドミニストレーションへの変革に目覚めて欲しいと願うのは筆者だけなのでしょうか。

つい近年では、現在のTYGのエース、菅野智之投手が同じような手口でドラフトルールをリスペクトすることなく、入団して現在に至っていますが、誰も非難する事も無く逆にリスペクトされる投手として、ファン達からも称賛されている次第です。ファン達もこのような若者の所業を観て見ぬふりをしているという事なのでしょうか。Gファンは、選手が後ろ指刺されるような所業には毅然とした態度で注意をして下さい。球界関係者は、勇気を持って“NO”REDカードを出して下さい。競技スポーツには、灰色は似合いません。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ

次回K’sファイルでは、FA選手の公示後の不可思議な動向と球団の頭痛に付いて予定しています。