K'sファイルNO.93:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

 

K'sファイルNO.932020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

無断転載禁止 注:K’sファイルは、毎週木曜日掲載予定

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読者からの便り~K'sファイルを毎日ワクワク、ドキドキしながら一週間を待ちきれない思いで拝読させて頂いています。K'sファイルを読み始めてから他のマスメデイア報道、新聞メデイアを気を付けているのですが、みんな同じような当たり障りない報道、記事ばかりの様に感じます。どうして報道機関は、K'sファイルのように情報を誠実、正直に我々に公開してくれないのか、これでは国民、社会は情報操作された情報しか与えられていない様に思えてならないのです。読者より

第六弾:公益財団法人2020東京五輪組織委

1.20東京五輪からミズノスポーツが消える!

先ず初めに

前回のK’sファイルNO.92では、20東京五輪招致の勝利報告、それに伴う20東京五輪組織委に絡む人事抗争の一環に於いて、招致委員会で活躍され、誰もが次なる組織委での活躍を期待した水野正人氏(当時:20東京五輪招致委員会、副理事長、事務総長、専務理事、JOC副会長)が、突然の退場勧告を受けた模様について述べました。

そして、水野氏は、その後全ての役職から姿を消し、JOCの副会長のポジションも退任された次第です。当時よりJOC会長で招致委員会の理事長として、水野氏と両輪で闘ってきた竹田恒和氏は、何故水野氏を擁護されなかったのでしょうか。同氏には、その力がなかったか。或いは、ご自身のポストを守るのに精一杯で事の次第を見て見ぬふりをされたのかも知れません。まさか、この時竹田氏は、今日の20東京五輪招致に関する疑惑の矢が自らに向けられてくるとは思いもしなかった事でしょう。

この度の招致活動の旗振り役は、最初は当時東京都知事だった石原慎太郎氏であり、次に猪瀬直樹氏、さらに舛添要一氏へとバトンが引き継がれて行きました。しかし、どの知事も曰く付きの方であったために職を追われることになりました。そして、献身的に活動された企業家の水野氏も姿を消し、竹田氏もまた招致疑惑の責任を問われ、JOC会長職の任期延長が取り沙汰され始めているのです。此処に負け組の顔触れは、略出そろった事になるのでしょうか。しかし、国会議員、都議会議員達は、賑やかに飛鳴していた海鳥(シーガル)が巣に戻ったが如く鳴き声一つしなくなったのもこれまた政治家としての処世術の一つなのかも知れません。

そのような不穏な空気が淀む中、20東京五輪組織委員会の設立に向かっての人事、予算案、協賛スポンサーシップ、等の作業が準備会議を中心に粛々と進行されて行くのでした。

①公益財団法人2020東京五輪組織委員会設置

2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(略称:TOCOGThe Tokyo Organizing Committee of the Olympic and Paralympic Games,20東京五輪組織委)は、2014124日に発足し、201511日付で公益財団法人となりました。此処で読者の皆様は、本組織委員会が公益財団法人である事をしっかりと記憶して於いて頂ければ幸いです。

20東京五輪組織委会長には、森喜朗(元内閣総理大臣)が就任し、副会長には、何と現役衆議院議員遠藤利明が就任されたのです。それでは、政府に居る五輪担当大臣の桜田義孝は、何をする為の大臣で遠藤氏は何のための衆議院議員なのか。これでは、政治家の為の政治家による東京五輪である事を歴史に負のレガシーとして刻んだ事を意味すると筆者はスポーツ・アドミニストレイターとして申し上げて置きます。

そして事務方のトップには、事務総長として武藤敏郎(元日本銀行副総裁、現大和総研名誉理事)が就任したのです。また、理事には、複数の国会議員が顔を揃えています。しかし、16年招致委員会で失敗した事務総長の河野一郎が副会長に入り、20年招致委員会で勝利した事務総長、専務理事、副理事長、JOC副会長の水野正人の名前は、最後まで外されていたのです。

これは、本来スポーツ・アドミニストレイターが行うフェアーな人事ではありません。本件に付いては、一切の情報公開は成されていないのでないかと思われます。読者の皆様は、このような密室での人事が成された理由をご存知でしょうか。まさにこれは日本の政界の総理総裁、閣僚人事の伝統的な人事手法そのもので、スポーツ界に取っては暗黒の組織委員選考人事のような気がしますが、クリーンで清潔な人物は居なかったという事の様です1つ政界とは異なるのは、野党が居ないので反対、反論する立場の人間が誰ひとりとして居ない事です。

そして委員会の役員の皆さんは、皆本業から所得を得、組織委員会からも莫大な報酬を受け、諸経費も付帯され、バランテイアー活動者の顔をした高額所得者なのです。

また、2014417日には組織委員会は、国内の協賛企業獲得を行なうマーケティング専任代理店を公式に株式会社電通(略:電通)を指名しました。そして、電通の代理として高橋治之氏(元電通専務、現株式会社コモンズ代表取締役会長)を組織委員会理事として迎え入れたのです。

此処で森喜朗氏は、自身の神輿の担ぎ手キャビネットのお披露目をした次第です。その後、複数の理事等の交代が在りました。

②公益財団法人2020東京オリンピックパラリンピック組織委員会20181128日現在)

評議員 名簿

https://tokyo2020.org/jp/organising-committee/structure/councillor/

役員理事 名簿

名誉会長

一般社団法人日本経済団体連合会名誉会長

キヤノン株式会社代表取締役会長CEO       御手洗 冨士夫

会長

内閣総理大臣

公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問       森 喜朗

副会長

衆議院議員

2020東京オリンピックパラリンピック大会推進議員連盟幹事長

公益財団法人日本スポーツ協会副会長        遠藤 利明

パナソニック株式会社代表取締役社長        津賀 一宏

公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構理事長   河野 一郎

国際オリンピック委員会委員

公益財団法人日本オリンピック委員会会長      竹田 恆和

国際パラリンピック委員会理事

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会

日本パラリンピック委員会委員長          山脇 康

東京都副知事                   猪熊 純子

 

専務理事(事務総長)

株式会社大和総研名誉理事             武藤 敏郎

常務理事(副事務総長)

文部科学省スポーツ・青少年局長         布村 幸彦

常務理事

公益財団法人日本オリンピック委員会副会長兼専務理事 平岡 英介

 

理事

作詞家                      秋元 康

麻生セメント株式会社代表取締役会長        麻生 泰

公益財団法人日本オリンピック委員会理事      荒木田 裕子

公益財団法人日本スポーツ協会副会長兼専務理事   泉 正文

東京都オリンピック・パラリピック準備局長     潮田 勉

福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長

一般財団法人世界少年野球推進財団理事長      王 貞治

日本政府代表 中東和平担当特使          河野 雅治

東京都議会議員                  小山 くにひこ

公益財団法人日本オリンピック委員会副会長     齋藤 泰雄

スポーツ庁長官                  鈴木 大地

東京都議会議員                  髙島 なおき

株式会社コモンズ代表取締役会長          高橋 治之

オリンピアン(体操)               田中 理恵

オリンピアン(柔道)               谷本 歩実

トヨタ紡織株式会社取締役会長           豊田 周平

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会

日本パラリンピック委員会事務局長         中森 邦男

パラリンピアン(水泳)              成田 真由美

写真家 映画監督                 蜷川 実花

衆議院議員

2020東京オリンピックパラリンピック大会

推進議員連盟幹事長代理              萩生田 光一

参議院議員

公益財団法人日本オリンピック委員会副会長     橋本 聖子

東京都議会議員                  東村 邦浩

公益社団法人関西経済連合会会長

住友電気工業株式会社取締役会長

近畿陸上競技協会副会長

公益財団法人日本陸上競技連盟評議員

一般財団法人大阪陸上競技協会会長         松本 正義

公益財団法人日本スポーツ協会常務理事      ヨーコ ゼッターランド

公益財団法人日本陸上競技連盟会長        横川 浩

国際オリンピック委員会委員

国際体操連盟会長                渡邉 守成

監事

公益財団法人日本オリンピック委員会監事     黒川 光隆

東京都会計管理局長               土渕 裕

 

IOCスポンサーと国内スポンサーとは

IOCのスポンサーシップに関する規定では、1985年から新しい規約、規定が設けられました。それらは、IOCの協賛スポンサーとして最高位(TOP)のスポンサー価値を意味するものです。その為には、一業種一社方式、即ちIOCのスポンサーに成れるのは、例えば自動車メーカーを選ぶ場合、1メーカーを選定すると他の自動車メーカーはスポンサーには成り得ない事を意味するのです。これは、IOCTOPThe Olympic Partners)と称される所以なのです。これにより、IOCは、協賛スポンサーをリスペクトすると共にIOCの唯一のスポンサーとしての評価価値を最高位に維持する事を目的としているわけです。

開催国の組織委が獲得できる国内に限るスポンサー権は、これまたIOCのスポンサーの一業種一社のコンセプトに基づいたスポンサーであり、IOCのスポンサーの評価価値を下げない事が明記されているのです。しかし、この度国内に於ける大会スポンサー契約は、これまでのIOCのコンセプトの慣例を破る「一業種2社」の契約が特例として認められたのです。マーケテイング担当者の発表では、20154月の時点で目標収入額の1500億円を突破したとの事でした。そこで、契約枠には、1150億円以上の契約金の設定が新たに設けられたのです。

本国内スポンサー契約に関しては、2019219日の朝日新聞朝刊に寄りますと、現在3200億円のスポンサー収入を見込んでいるとの事で、これも広告代理店電通の力によりIOCの慣例を特例にした様子が伺えます。また、この朝刊記事によると、大会組織委会長の森氏の記者会見では、森氏が両脇に日本航空JAL)社長と全日空ANA)社長を従えこうやって仲良くね。オールジャパンの象徴だと得意満面な笑顔でしたが、このお方にはスポーツマンシップが必要な環境、組織には似合わないと思うのは筆者だけでしょうかこれは、代理店電通にとっても莫大な手数料が入るのでこの上ないIOCの慣例破りとなった次第です。

この森氏の得意満面な笑顔を読者の皆さんは、記憶の片隅に置いておいて頂ければ、同氏の政治家論理は、言動と実行の不一致が後に明らかになるのです

この特例は、IOCがよく許可をしたと筆者は驚いている次第です。何故ならば、IOCの商品価値を低下させ、IOCTOP精神を否定する事に繋がるからです。これは、IOCのパートナーであり、組織委員会のマーケテイングパートナーである電通の力がIOCを動かした事に繋がるのです。しかし、これによりIOCの商品価値が崩れ出した第一歩となる気配が漂い始めたと申し上げても過言でありません。今後のIOCのビジネスコンセプトに禍根を残すことになりそうです。

④国内五輪協賛スポンサーに本命登場

ここで日本を代表する選手達、役員達が使用する公式ユニフォーム、開閉会式に使用される公式ブレザー、シューズ、等のスポーツ用品・スポンサーサプライアー権の指名が行われたのです。その内容に付いては、明らかにされていませんがどうも最終的に国内2社(ミズノ、アシックス)が競合し、最終的に組織委は、20東京五輪のスポーツ用品のオフィシャルスポンサーサプライアーとして、株式会社アシックス(略:アシックス=ASICS)を指名したのです

これでスポーツ用品部門のカテゴリーは、ASICSとなったのでした。しかし、本入札の詳細に付いての情報公開は、勿論なされていないのです。聴こえてくるのは、2社の中でアシックスの提示価格が最高額であったという噂だけです。これにより、大会の国内スポンサーの最高位(ゴールドパートナー)の中で、唯一のスポーツ用品メーカーがアシックス(ASICS)と決定したのです。

アシックスは、既に創業者の鬼塚喜八郎氏の生誕100周年記念で、アシックス会長兼CEO(最高経営者)の尾山基氏は、本オリンピック開催でのスポンサーとなる事は創業者、鬼塚喜八郎氏の夢・悲願であったかに歓喜極まる中で挨拶されたかに聞き及んでおります。悲願の夢が創業者にとっても、会社・企業にとってもかなった事に対して、筆者は心よりお喜び申し上げます。

⑤森会長の発言内容とその矛盾

本件に関しては、本ファイルの「③IOCスポンサーと組織委スポンサーとは」に於いて述べさせていただきました。本国内協賛・スポンサーに付きましては、IOC電通の協力により特例として1業種2社枠が設けられ、組織委設置後多くの協賛を得ているのは、既にご紹介致しました。そして、その中で森氏は、1業種2社のスポンサーを従えて記者会見を行いました。森氏は、「こうやって仲良くね。オールジャパンの象徴だ」と得意満面な笑顔を既にK’sファイルでは、朝刊から引用させて頂き、ご紹介しましたので読者の皆さんは御記憶にあるかと思います。

それでは何故この度このようなスポンサー規定が1業種2社の方向に当初より動いていた事を承知しながら長年日本スポーツ界の屋台骨に尽力し、支えて来られたスポーツ用品メーカー2社のアシックス社とミズノ社に対して差別的な振る舞いをされたのか。何故仲良く協力したスポンサー契約を図れなかったのかと筆者は、組織委会長のアンフェアーな裁定(言行不一致)に政治家の計算高い心の動きを感じざるを得ないのです。このような裁定では、日本国民が納得しないまでもなく、メイクセンスしない一貫性の欠落した論理を通したようです。

この事に関連して、また新たなる被害者が出現

お知らせ:第六弾:公益財団法人2020東京五輪組織委 「1.20東京五輪からミズノスポーツが消えた」は、長編となりましたので、今週は、此処までとさせて頂き次週NO.94は、第七弾で続編を掲載させて頂きますのでご了承下さい。

 

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

K'sファイルNO.92:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

K'sファイルNO.922020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

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第五弾:20東京五輪招致委員会の役目終了

1.政治家論理は真のスポーツを歪めてしまった

本シリーズの経過と紹介

KsファイルNO.88の第一弾では、竹田恒和氏(20東京五輪招致委員会理事長、JOC会長)の疑惑とは何か、をお伝えし、NO.89の第二弾では、竹田理事長が知っていた事知らなかった事。NO.90の第三弾では、2016東京五輪招致敗戦と大勢の政治家達。NO.91では、16リオ五輪20東京五輪の招致の勝因と暗躍する闇のネットワークの存在について述べました。

今回の本NO.92では、20東京五輪招致成功の裏には、リオ五輪招致成功の模倣による勝利との疑惑が深まっていく中、日本国内に於いては、招致決定後に不可解な出来事が起きていた事を、知ってか、知らずか、それは殆ど語られず触れられずに葬り去られるのではないかと、筆者はふと素朴な疑問に行き当った次第です。これらは、日本に於ける今日の政治家とスポーツの特殊な関係なのかも知れません。 

この不可解な出来事は、16東京五輪招致活動のスタート時点から20東京五輪招致を経て、現在の20東京五輪組織委員会発足後に至るまで、国民、社会に取って大切な情報公開がなされていないという、欠陥のあるスポーツ・アドミニストレイションが成されてきたことであり、今回、その根幹を解りやすくお伝えできればと思います。

①オリンピック開催地、東京に決定!

[NEWS 20130907 1722JST]

筆者は、この一報を現地ブエノスアイレス(アルゼンチン)からのTV報道で知り、心より関係者の皆さんのご努力にお疲れ様と述べたい衝動にかられました。

しかし、次の瞬間TVカメラが日本のデリゲーション関係者席に振られると、感激で飛び上がり、抱き合っている歓喜の瞬間の幾重もの渦の中に、何か違和感を感じる映像が飛び込んで来たのでした。1枚は真ん中に安倍晋三氏、左に東京都の猪瀬直樹知事、右に森喜朗氏の構図の写真。そしてもう1枚は、安倍氏を中心にやはり左に猪瀬氏、右には水野正人氏がおり、水野氏と安倍氏は肩を抱き合って喜びの絶頂にありました

この世界最大の招致活動に勝利し、歓喜がほとばしる表舞台とその裏側では、「抱き合い、キスして歓喜している人達」、「抱き合い、クライ(涙)していた人達」、「裏での約束を果たし、プロの仕事を完了してホテルのバーの片隅で、TV映像を観ながら静かにほくそ笑んでいる人達」・・・と、それは悲喜こもごもの情景が筆者の脳裏と瞼に浮かびました。

ただ、筆者の脳裏を何か引っかかる物がかすめたのでした。その時脳裏にインパルスが走ったのは、多分長年に渡り競技スポーツ業界の実践を経験してきたスポーツ・アドミニストレイターとしての直感だったのだろうと思います。今後、明日の朝から始まるであろう生臭い戦いの後処理が思い浮かんだのです。

この時、竹田恒和氏(招致委員会理事長、JOC会長、IOC委員)や招致委員会に対する招致疑惑が世界中を駆け巡る事になろうとは一体誰が予想したでしょうか。

歓喜は、一瞬にして起き、一瞬にして現実の世界に引き戻されるのです。あの歓喜の最前列に居て、TVの映像に入っていた人達、入りたかったであろう他の政治家達、JOC関係者達は、どんな思いでその情景を眺めていたのでしょうか。直接的には、関係のない政治家達がどのような理由と公費であの場に大挙して押しかけていたのか知る由もありません。この様にして、約数百億円と言われるプレゼンテイションショーは、一夜にしてシャンペンの泡と化したのでした。

その後、国内に於けるポリテイカル・パワーゲームは、いよいよ最終戦の火ぶたが切られるのですが、この2枚の映像写真の中で歓喜に酔いしれている方々がこれから主人公を演じ、そしてその勝ち組と、負け組が、今日の社会を明確に色分けしているのです。もちろん、勝ち組の頭領は、現在神輿の玉座に鎮座し、権勢を思いのままに振るっており、一方、負け組は、先ず初めに猪瀬直樹東京都知事が選挙に於ける不正金銭問題を指されて場外退場となりました。

②本招致活動に心血を注いだ人物

此処で読者の皆さんには、注目して頂きたい人物がいます。下記の20東京五輪招致委員会の役員名簿をご覧いただきますとお気付きになられるかと思われます。理事会メンバーの殆どの顔触れは、何らかの形でJOC日本オリンピック委員会、各競技団体)に関係されている方々です。この方もJOCの副会長の肩書を持たれているのですが、唯一民間企業の経営者で在られる事がその特徴です。その方は、「水野正人氏」です

筆者は、一般企業経営者の水野氏がどのような経緯でJOCの理事、副会長に、また、20東京五輪招致委員会の事務総長、専務理事となられたのかの経緯を知る由もありません。しかし、この人事は、他の役員メンバーと比較しまして少し特異な存在に感じた次第です。これが後に同氏に大きな災いをもたらすことになるとご本人、及び同氏の企業の重鎮達、関係者は、予想していなかったのかも知れません。

水野正人氏は、日本スポーツ界に多大な貢献をされて来られた人物であり、ミズノスポーツとして企業経営者で在る事は既に読者の皆さんもご承知のはずです。

水野正人氏 略歴:

2001年(平成13年)日本オリンピック委員会理事。

2004年(平成16年)藍綬褒章を受章。

2006年(平成18年)ミズノ代表取締役会長就任。

2007年(平成19年)日本オリンピック委員会副会長就任。

2011年(平成23年)東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会事務総長就 

         任。職に専念するためミズノ代表取締役会長を退任。後に、副理事

         長兼専務理事に役職変更。

2013年(平成25年)第125IOC総会での最終プレゼンで大きな身振り手振りを交えた

         スピーチを行い、東京オリンピック招致の立役者の一人となった。

以上Wikipediaより~

上記略歴の通り、水野氏は、株式会社ミズノの最高経営者(CEO)であったのです。

 

20東京五輪招致理事会 役員名簿リスト

理事会http://token.or.jp/magazine/e201205.html

理事長 日本オリンピック委員会JOC)会長 竹田恆和

副理事長/専務理事  JOC副会長       水野正人

副理事長       同副会長        福田富昭

副理事長       同専務理事       市原則之

副理事長 日本障害者スポーツ協会副会     伍藤忠春

副理事長 東京都副知事            佐藤 広

理事 日本体育協会              岡崎助一

理事 日本オリンピック委員会理事       橋本聖子

理事 同国際専門部会員            鈴木大地

理事 パラリンピアン             成田 真由美

理事 日本オリンピック委員会理事、アスリート専門部長 荒木田 裕子

理事 同理事、国際専門部長          野上義二

理事 同理事(元東京2016招致委員会事務総長)河野一郎

理事 同総合企画・国際部長(元東京2016招致委員会事務次長)中森康弘

理事 東京都スポーツ振興局長         細井 優

監事 日本オリンピック委員会監事       深津泰彦

監事 東京都財務局長             安藤立美

東京20東京五輪招致委員会 評議会名簿

招致委員会評議員(余りにも膨大な人数の政治家諸氏の為スペースに限り有、URLをご利用下さい)

http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/2h231220goriniinnmeibo.pdf

以上2020東京五輪招致委員会サイトより~

 

水野正人氏の存在が何故特異であったか

筆者のスポーツ・アドミニストレイターとしての視点から誤解を恐れず申し上げます。私は、水野正人氏が2001年にJOCの理事に就任された時に既に違和感を持ったのは確かでした。しかし、JOC評議員会は、執行機関の理事会の人事について異議も無く承認している事、そして、やがて同氏は、2006年に株式会社ミズノの代表取締役兼会長に、即ち最高経営者(略:CEO)に就任、翌年にJOC副会長に就任された次第です。

筆者は、この状況に違和感を持ちながら静観していましたが、残念ながら同氏企業内からもJOC評議員会、理事会からも何の異議を唱える方が居ない事に驚きました。僭越ながら私の推測では、水野氏の企業役員会もこれまたイエスマンの集団だったのでないかと疑念を抱いた次第です。今日のグローバルな会社・企業に於いては、特にこのような特殊な外部での重責、活動には慎重な意見とブレーキがかかる筈なのです。

何故ならばJOCは、公益財団法人であり特に日本国内のオリンピックスポーツ競技に関する経営、運営、管理の頂点にある組織・団体なのです。この組織・団体の理事、副会長氏が総合スポーツ用品・販売・メーカーの最高経営者である事は、常識的に考えて「忖度及び利益誘導」の疑いを招く恐れがあると思われて仕方ない状況とポジションなのです此の事は、公益財団法人の長に「国会議員、政治家」がなるのと同じ利害、利権問題並びに倫理的問題が生じるのです197080年代に於いて、世界に於いてあの権勢を振るっていた故ホルスト・ダスラー氏(アデイダス社の最高経営者)ですら、IOCIGB国際競技連盟)に名を連ねる事は、しなかったのですいわば本業界の最高経営責任者が公的表舞台に立つ事は、同業他社を敵に回すことであり、元来業界に於いてはタブー視された行為だったのです。よって、筆者は、「やられるぞ」との直感が作動した次第です。

本業界には、国内に於いても同業他社の存在があることからもJOC評議員会、また20東京五輪招致員会、評議会が何故ブレーキを掛けなかったか。

まさか招致委員会の評議会は、同氏に対して招致成功か否かの責任を背負わせ、敗戦の時のスケープゴートの準備をしていたのでないか、或は、成功した時には他意を持って失脚させる、との穿った見方をしたくなるような対応、姿勢であったような気がしてならないのは筆者だけでしょうか。やはり評議員会、理事会は、意見を持たない形式的な集団なのかも知れません。この件に付いては、何の異議も裁定もなされなかった事が、後に陰湿な事件を招く最大の要因になって行くのです。

JOC20東京招致委員会の理事会、評議員会が何も異議を唱えない、つまり構造的に機能していないと判断される場合、指導的役割を担う内閣府文科省スポーツ庁は強制的な介入を行い「Justice & Fairness」の基に指導、改善する責任と使命があったはずです。しかし、この政府機関の機能不全も、今日のスポーツ界の不祥事、事件を鑑みれば、推して知るべしです。此処に於いても、我が国のスポーツに関する公共の組織・団体に特別査察機関(Infraction Committee)を設置しない理由は、誰かに取って不都合、不利益が起きるからなのかも知れません

結果として、水野正人氏は、JOCの副会長として20011年に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 事務総長に就任。職に専念するためミズノ代表取締役会長を退任。後に、副理事長兼専務理事に役職変更。となるのでした。此処で「職に専念する」為を理由に、即ち水野氏自身がお気付きになられたのかどうかはさて置き、1私人として公益財団法人の副会長として、また20東京五輪招致委員会の実務権を持つ副理事長兼専務理事に就任されたのですしかし、株式会社ミズノの代表取締役・会長職を退任するも、会社の大株主である事も放棄したとの情報公開はされていません。(中途半端な対応)

筆者は、此処での仕切りの甘さに水野氏の会社重鎮の方々の脇の甘さを感じずにはいられませんでした。勿論、JOC、招致委員会の理事会、評議会のいい加減さを既にこの時点で露呈していたのです。このような構造的な問題は、即ちこの度のあらゆる疑惑の温床となっている事を読者の皆さんにご指摘させて頂きます。

 2020東京五輪招致活動を終えて帰国

国内に於いては、連日連夜と招致関係者は元より、TVマスメデイアを通してブエノスアイレス(アルゼンチン)での映像が視聴者にサブミラルを起こしかねない強烈な勢いで、テレビ画面から溢れている頃、既に招致を勝ち取るまで情勢を見極めながら様子を窺っていた政治家、その関係者達は、一気呵成に2020東京五輪組織委員会の陣取り合戦のマニュアル作りに夜を徹して会合しエネルギーを消費していた事が想像できます。

招致に邁進し成功した理事達、関係者は、組織委員会の重鎮に当然迎え入れられると期待していたのも至極自然な成り行きではなかったでしょうか。方法は、如何であれ。

しかし、20東京五輪組織委員会設置に対する予備会議が重ねられていくに従い、段々と雲行きがおかしくなり出し、事が勃発したのです。

 

2.筆者の素朴な疑問と私見

20東京五輪招致委員会副理事長兼専務理事への退場勧告

筆者の理解するところに寄りますと、五輪招致決定後、次の五輪組織委員会に関わる予備会議が重ねられていく中で、地位名誉を既に確保した権力者が、水野正人氏(JOC副会長、20東京五輪招致委員会副理事長兼専務理事)に非常識極まりない暴言を吐いたとの情報が、マスメデイアを通じて耳に届いたのです。これは、いよいよ直接攻撃開始かと思わずにはいられませんでした。

もしもこの人物による言動、態度が事実であるならば、この人物には、既に他意が在りこの機会をうかがっていたとしか考えられない事です。この人物は、常々品格の無い暴言、失言を吐き人の尊厳を傷つけても何も感じない特殊な脳の構造の持ち主であるようです。このような人物が我が国の根幹をなす教育に携わったり、クリーンであるべきスポーツ界をくもらせて来ている事は、我々国民、社会にも重大な責任と問題があったのでないでしょうか。

水野氏のこれまでのスポーツ界への献身的な貢献、そしてこの度の20東京五輪招致に関しては、個人的な利害を度外視して心血を注いで来られ招致という勝利を副理事長、専務理事、事務総長として担当責務を全うして成果、結果を残された事実をどのように評価されたのでしょうか。

このような言動、行動ができる御仁は、いったい何方だったのか。読者の皆さんならご想像できるのでないでしょうか。このような方が、国民、社会に対して「スポーツマンシップは何たるか」を述べられても如何なものでしょうか。これはまさに2020東京オリンピックパラリンピックは、何たるかを象徴する日本版:スポーツ・アドミニストレイターの現実とレベルなのかも知れません

残念な事は、2020東京五輪招致に貢献され、成果を上げたJOC副会長でもある方を20東京五輪組織委員会発足手前に何故退場させたのか。それであるなら、20招致委員会の評議員である時に何故異議を申し立て理事会に評議会の決議を申し立てなかったのか、民主主義社会に於いて余りにも私情を挟んだ陰湿な対応でなかったかと疑わざるを得ない。もしこの方が、本当にそのような暴言を水野氏に吐いたのなら、真のスポーツ・アドミニストレイターには、相応しくない人物であると指摘させて頂きます。

もしこのような暴言、態度をしたのであれば、その会合に居合わせた周りの人達が、誰も諭されなかった事は、まさに組織委員会は親分・子分のイエスマンの集団である証で決して国民、社会の為に招致した五輪組織委員会と言い難いのでないでしょうか。勿論、マスメデイア、関係者は、ご承知のようです。

このような言動と判断には、ビジネスをともなう利害、利権が裏で絡んでいた個人的判断と決断だったのかも知れません。今後本件の様子を静観して参ると自然にこの真意が浮上しするのでないかと思われます。

 水野正人氏への悲劇は、さらにこれから始まって行くのです。差し支えない範囲で、次回この結末をお伝えできればと思います。

 文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

K'sファイルNO.92では、暗く悲しい話題となりました。しかし、このような現実に目や耳をふさぎ、触らぬ神に祟りなしとして、国民、社会に情報を提供しない、できない社会構造は、まさに談合社会と文化そのものが64東京オリンピック以降も何も変革できていない村社会と呼ばれる所以なのかも知れません。

次回は、目も耳もさらにふさぎたくなるような話題も出て参りますが、読者の皆さんは、決して顔を背けず正面から受け止めて頂く勇気も必要です。

K'sファイルNO.91:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

K'sファイルNO.912020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

             無断転載禁止

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読者からのコメント~

「河田さんが書いておられるように、招致委員会の二つの組織の大部分の方は会議で「異議なし」と発するだけの何も知らない人か、オイシさにあずかっていてだんまりしている人なのでしょう。そもそもこの評議会と理事会との関係は、普通の在り方で考えるとおかしいです。通常、理事会は実務の執行機関で、その決定は評議会の承認を受けて正式決定になりますから、評議会は理事会が正しく活動しているかチェックする上位機関のはずです。しかし、招致委員会の評議会の議長は何と、理事会の長その人ではありませんか! 

実際に物事を動かしている人たちは裏にいて、これら表の組織はおっしゃっているように形骸化した、形式的なものになっていることを示しているようです。議事に参加するメンバーたちにも問題意識はなく、メンバーになってハクが付いたくらいのことでしょう。内部から正しいことを言うとか改革するなどとてもとてもという感じだったのですね。我が国では、他の組織でもそうですが、内からの改革は難しいですね。」

 

第四弾:20東京五輪招致委員会の究極の選択

1.16リオ五輪招致活動と20東京五輪招致の疑惑が酷似と何故揶揄されるのか

リオ五輪招致勝利の事情

リオ五輪招致委員会の勝利には、幾つかの要因があると思われます。大きな要因の一つは、ブラジル・オリンピック委員会(略:BOC)のカルロス・ヌズマン会長と国内企業の強い関係が挙げられます。もう一つは、BOCIOC国際オリンピック委員会)との関係に於ける日本企業電通との関係にあると推測されます。前者の要因は、至極当然の関係であります。

読者の皆様には、解りづらいかも知れませんので少し説明させて頂きます。

IOCは、全世界のオリンピック活動に関する全ての権利を有する唯一の大会を経営、運営、管理をする組織・団体です。よって、IOCは、世界各国のオリンピック競技大会に参加する国々に対して、NOCNational Olympic Committee国内オリンピック委員会)の設置を義務付け、IOCは各NOCにオリンピック活動に関する個々の国内の運営、管理を委託し、その構造とシステムが確立されているのです。

例えばJOCBOCは、それぞれIOCから委託を受けた国内のオリンピックに関する運営、管理をする組織・団体でIOC翼下の直轄団体なのです。よって、国内のオリンピックに直接関係をしない諸問題、行事には、関わるべき団体ではありません。

企業電通が巨大スポーツ電通に変身したその礎

それでは、企業電通が何故IOCNOCに関係しているかという疑問が読者の皆様は持たれるのではないでしょうか。

企業電通は、1984年ロスサンゼルス・オリンピック大会組織委員会(略:LAOOC)の公式広告代理店として、世界で初めて組織委員会が必要な予算額をギャランテイー(金銭的保証)してスポンサー広告に関する全権利を組織委員会から買い取ったのです。これは、当時画期的な出来事でした。

当時LAOOCの会長のピーター・ユベロス氏は、IOC総会での招致に関するプレゼンテイションで「84ロス五輪は、国、州、市の公金を一切使用しないオリンピック大会にする」と公言したのは、今日も語り継がれている名言です

LAOOCは、開催予算額を企業電通が保証し、民間資本(当時90%以上のスポンサーは、日本企業)の投入により大成功を収めたのです。その上にLAOOCは、約440億円のオリンピック歴史始まって以来の黒字決算となりました。ユベロス氏は、公約通りに440億円をカリフォルニア州、市の社会施設に全てを還元し、成功裏にLAOOCの任務を果したのでした。このユベロ氏こそが、真のスポーツ・アドミニストレイターの姿として当時も今日もリスペクトされている所以なのです。このような人物は、20東京五輪組織委員会には見当たりません。

企業電通は、このビジネス・サクセスストーリーがスポーツ電通を世界に今日に於いても轟かせている礎となっているのです。LA五輪実績を基盤にスポーツ電通として巨大化していく様子が描写できるかと思われます本スポーツ電通の実践現場の様相は、本シリーズ後に「リマインド」として再紹介させて頂きます。是非ご一読下されば幸いです。

企業電通IOCをクライアントとして

もちろん、LAOOCでの民間資本導入での成功を横目で眺めていた当時のIOCのアントニオ・サマランチ会長は、そのような甘い蜜を見逃すような人物でありませんでした.

1984年以降のオリンピック大会をもっと金の儲かる巨大なビジネスにしようとサマランチ会長は、IOCの独占広告代理店(Excusive Advertising Agency)として株式会社電通(略:電通)を指名し、長期契約を成立させ今日に至っている次第です

よって、企業電通は、IOCのビジネスパートナーでありIOCが委託しているNOCは莫大な恩恵をIOC経由で受けている関係である事を此処にご紹介し、読者の皆様の心の片隅に置いて頂ければこれからのK’sファイルの展開がより解りやすいかと思います。

このようなIOCNOC、広告代理店電通の関係から、企業電通にとっては、オリンピック大会が何処に招致されようと電通本体のビジネスに何の支障も起きないシステムが構築されているのです。即ち、オリンピック関連のスポンサービジネスに関しては、全て何処で大会が開催されようとも電通を通さない限りオリンピックスポンサーになり得ない構図が完成されているのです。 

2.企業電通国際陸上競技連盟との親密な関係

①企業電通のさらなる野望

此処でIOCだけが美味しいパイにあやかっているのではありません。企業電通は、IOCは世界最大のオリンピック・イベントを保有している一つのクライアントでしかすぎないのです。

LAOOCでのビジネス実績、IOCのビジネスパートナーとしての信頼を担保に次に大きなマーケットを保有しているIGBInternational Governing Body国際競技連盟)加盟団体のFIFAFederation International of Football Association国際サッカー連盟)のワールドカップ・サッカー(略:W杯サッカー)の権利を手に入れるためにLAOOCの利権を得ていた当時、同時に作業が進行し、結果1982年のW杯サッカー・スペイン大会の会場で「スペインの嵐=電通は他企業が保有していた権利を強奪」と呼ばれるドラマを演じたのです。これにより企業電通は、FIFAの独占広告代理店としてこれまた長期契約を結んで今日に至っているのです。

次に企業電通がターゲットとしたのが、皆さんも記憶にある「91世界陸上東京大会」でおなじみのIAAFInternational Association of Athletics Federations国際陸上競技連盟)で、独占代理店契約を締結し、今日に至っているのです。電通が契約した当時は、IAAF4代会長のプリオ・ネビオロ氏(イタリア)で、本五輪疑惑に関わったのは第5代会長のラミン・デイアク氏(セネガル)でした。よって、電通は、デイアク氏とはビジネスパートナーの間柄であり、この親密な関係に於いて、内部情報を手に取るようにオンタイムで把握できる立ち位置にいたのです。

読者の皆様は、パズルのピースが段々と正しい位置にセットされ、隠されていた疑惑の絵模様が浮き彫りになってきたのではないでしょうか。

リオ五輪招致勝利の方程式

リオ五輪招致委員会は、最終的な票集めのキーとなる勝負の分かれ目はIOC委員の数十票と結論付けていたと推測されます。リオ五輪招致委員会の実力者は、ブラジル五輪委員会(BOC)会長のヌズマン氏と言われていました。

最終的にIOC総会の数日前に、ヌズマン会長は、ブラジル企業から得た資金を国際陸連IAAF)のデイアク会長とその息子(パパマッサタ・デイアク氏)に買収資金として渡し、IOC委員の確かな票の買収を実行に移すため仲介役になったと言われています。その模様は、既に海外メデイアが当時から報道して来た通りで、ヌズマン氏はブラジル当局により逮捕されました

フランス検察当局は、兼ねてよりロシア選手の薬物疑惑隠ぺいに関わっていたデイアク氏と息子のフランス国内での資金洗浄に端を発した捜査から、リオ五輪招致に関わる確証を得、一気にリオ五輪招致の不正を解明。その過程に於いて20東京五輪招致不正の事実を押さえたので、本格的な捜査に踏み切ったと思われます

16リオ五輪招致に関する報道

1)201733日(仏ルモンド(Le Monde)紙):

リオ五輪招致の不正疑惑で検察が捜査

2016年に行われたリオデジャネイロ五輪の開催地決定に絡み、賄賂が支払われた疑いがあるとして、フランス検察が捜査を行っていることが明らかになった。

国際オリンピック委員会IOC)は、仏検察当局とコンタクトを取る意向を示すとともに、2009年に開催地がブラジル・リオデジャネイロRio de Janeiroに決定する以前に、IOCメンバーのフランク・フレデリクス(Frank Fredericks氏に金銭が支払われていたとして、倫理委員会が調査を行っていると述べた

ルモンド紙は、仏検察の捜査官が「2016年大会の開催地がリオデジャネイロ決定したプロセスを疑う証拠を固めている。リオは不正を行っていた疑いがある」と報道。 

2)2017113日:[パリ 3日 ロイター]

陸上の元短距離選手で国際オリンピック委員会(IOC)のフランク・フレデリクス委員(ナミビア)に対し、2016年リオデジャネイロ五輪招致を巡る不正疑惑でフランス検察当局が本格的な捜査に着手したことが分かった。捜査関係者が3日、明らかにした。フレデリクス委員は現役時代、1992年バルセロナ大会と1996年アトランタ大会で合計4つの銀メダルを獲得した実績を持つ。リオ五輪招致を巡って賄賂を受け取り、パリで資金洗浄をした疑いが持たれている。

同委員に対しては、リオデジャネイロの招致が投票で決まった2009年のIOC総会当日に、当時IOC委員だったラミン・ディアク前国際陸連会長(セネガル)の子息から送金を受けていた疑いにより、既に調査が行われている。

3)同年114日(共同):フレデリクス委員は、当時IOC委員だったラミン・ディアク前国際陸連会長セネガル)の息子から送金があったと報じられたが、不正を否定している。ディアク親子は20年東京五輪招致を巡っても多額の資金を受け取ったとの疑惑が持たれ、フランス当局が捜査している。

4)2017/10/6日本経済新聞配信【サンパウロ=外山尚之】):

ブラジル連邦警察局5日、2016リオデジャネイロ五輪の招致に関する贈賄容疑で、ブラジル・オリンピック委員会のヌズマン会長を逮捕した。国際オリンピック委員会IOC)委員ら関係者を買収するための賄賂は少なくとも200万ドル(約22500万円)にのぼるというヌズマン会長はIOC委員らに対し、開催国を決める投票の見返りに、ブラジルの実業家などから集めた資金を渡すスキームに関与していたという。リオ五輪を巡っては競技場の建設費が水増しされており、その一部が政治家への賄賂の原資になるなど、政官財が一体となって裏金を捻出していたことが明らかになっている。賄賂を受け取ったとされるIOC委員のひとりは20年の東京五輪を巡る招致活動でも金銭の授受があったとされ、名前が取り沙汰されている

4)NHKのニュース報道より

ブラジルの捜査当局は、先月、リオデジャネイロへの招致が決まった2009年のIOC国際オリンピック委員会)の総会の直前に、IOCの当時の委員で開催都市を決める投票権を持つセネガル出身のラミン・ディアク氏の息子の会社と息子名義の2つの口座に、ブラジル人の有力な実業家の関連会社から合わせて200万ドルが振り込まれていたと発表していた。捜査当局は、ヌズマン会長が、「贈賄側のブラジル人実業家と収賄側のディアク氏との仲介役を担っていた」として、自宅を捜索するなど捜査を進めてきた結果、2009年のIOC総会の直後、ディアク氏の息子からヌズマン会長に対して、銀行口座に金を振り込むよう催促する電子メールが送られていたことなどから、票の買収に関与した疑いが強まったとして、5日、逮捕したとのことだ。

20東京五輪リオ五輪に関する報道

1)2017.9.13(英紙ガーディアン(電子版)):

五輪招致の不正疑惑…東京、リオで買収と結論 

2016年リオデジャネイロ五輪と20年東京五輪招致の不正疑惑を巡り、ブラジル司法当局が両五輪の招致委員会から、当時国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸連会長だったラミン・ディアク氏(セネガル)を父に持つパパマッサタ・ディアク氏に対し、多額の金銭が渡った可能性があると結論づけたことが分かった。

2)(共同)フランス当局の捜査を基に書類をまとめたブラジルの当局は、IOC内で特別な影響力があったラミン・ディアク氏を買収する意図が あったとしている。両五輪の開催都市が決まった前後に、疑惑の渦中にあるパパマッサタ・ディアク氏がフランスで高額の時計や宝石を購入した際の支払いや口座の記録も確認されたとしている。ガーディアンは昨年、同氏と関連のある業者の口座に東京招致委から多額の送金があった事実を報じた。東京側は不正を否定している。

以上本件に関わる内外の報道を一部ご紹介させて頂きました。 

3.筆者の素朴な疑問と私見

フランク・フレデリクス氏の出現と現金の流れ

読者の皆様は、上記K'sファイル及びマスメデイア報道内容から16リオ招致の決定的シナリオのキーが何処にあったかを想像できるのではないでしょうか。

筆者が一番驚いたソースは、フランク・フレデリクス(Frank Fredericks氏の名前です何故驚いたか、私は、フレデリクス氏が米国の大学に留学している頃から学生選手として大変よく存じていたからです。彼が、このような事件に巻き込まれているなど驚くよりショックであった事の方が正直な気持ちです。

確か、20173月でしたか、フランスのルモンド紙、英国のガーデイアン紙がフレデリクス氏の名前をリークした英字報道を米国の友人から送られて来た時でした。時を同じく、米国の陸上関係者、及び大学関係者より連絡を受けその時最初に彼の本件への関わりを詳しく知った次第です。彼を知る多くの米国関係者達は、私同様に信じませんでした。それ以降私は、海外の報道並びにフレデリクス氏と親しく、本件をよく熟知している米国、英国の陸上競技関係者達から情報を頂いていました。

フレデリクス氏は、学生選手時代からアカデミックに於いても学業優秀で何度もオールアメリカンに選ばれた優秀な留学生選手でした。アスレテイックスポーツに於いては1991年のNCAA(全米大学競技スポーツ協会)主催の全米大学陸上選手権に於いて、室内200メートル、屋外100200メートルのNCAAチャンピオンに輝き、オリンピック大会、世界陸上大会に於いても多くのメダルを獲得した、名実ともに世界のトップスプリンターの1人であったのです。

人物的には、誰もが認める大変温厚な人柄で、冷静沈着、世界中の選手達からもリスペクトされていました。その証として、フレデリクス氏は、嘗て室伏広治選手が立候補し違反行為をして立候補を取り消されたIOCのアスリート委員にも満場一致で選ばれた人物であったとも聞いています。彼ほど実直で軽はずみな行いを慎み、曲った事を好まなかった彼が何故このような事を起こしたか?

F.フレデリクス氏の苦渋の決断

フランク・フレデリクス氏は、米国の大学を卒業後母校の指導者として仕事のオファーを受けたにも関わらず、彼は母国ナミビア(アフリカ)に帰国したのです。此処からは、筆者の私見及び推測に成ります事を先ず理解して頂ければ幸いです。

彼は、母国に帰りましても英雄だったと聞いています。それは、彼が将来のナミビアの大統領との噂も米国には流布して来ていた事から想像できるかと思われます。また、彼は、親日家でもありました。

そして、アフリカ諸国のIAAF加盟国、IOC加盟国の重鎮達からも尊敬し慕われる人物で在った事は事実です。既に当時IAAF国際陸連)の会長であったデイアク氏(セネガル)は、フレデリクス氏の人徳を十二分に知っていた事は言うまでもなかったと思われます。一方、デイアク氏親子は、アフリカ諸国に於いてあまりリスペクトされる人物でなかったようです。デイアク会長にとって、フレデリクス氏は政治的に利用できる貴重な存在であったに違いないと推測する次第です。

その証として、デイアク会長は、年若くしてフレデリクス氏をIAAFの重要ポジションに迎え入れ、同時にIOCの委員に推薦し、重要なポジションを与えていたのです。また、フレデリクス氏も、デイアク会長を後ろ盾にIAAFIOCの表舞台に立つようになりました。そこでまた、彼を将来のIAAF会長に、IOCの会長にとの噂が欧米にまで広まっていたのも事実です。このような事から、同氏とデイアク氏の関係は、抜け差しならない状態になっていたのだろうと推測せざるを得ないのです。

そこで、16リオ五輪招致に関するアフリカ諸国のIAAFIOC関係委員達の買収に手を染めてしまったのではなかったか。外電では、彼はデイアク会長の息子から約3000万円が手渡されていたと報道されています。フランス当局も認めています。

フランス検察当局は、フランク・フレデリクス氏を起訴し本格的な聴取、捜査を決断しました。確か2018春にフランス検察当局との間で司法取引(plea bargaining)に応じ、既に証言(testify)を行い、確か昨年秋ごろには母国ナミビアに帰国したのだと思われます

彼の性格からしましても、この司法取引は、大変苦渋の決断であったと推測致します。現在彼は、母国ナミビアで家族(二人のお子さんと妻)と平穏に生活しているとの事を風の便りで聞きます。今後さらなる証言に戻らなければならないようなので、許可なく渡航が出来ない状態が続くのかも知れません。時系列から致しますと、竹田恒和氏(JOC会長)がフランス検察当局から呼び出されたのは、20181210日であったので、丁度フレデリクス氏が母国に帰国した後だったのかも知れません。

彼が、2020東京五輪招致にリオと同じルートと手順で関わったかどうかの証言を司法取引で行ったかどうか、筆者は知る由も在りません。

彼と彼の家族が平和で健康的な生活に一日も早く戻れる事を遠い日本から祈ってやみません。犯した罪は、自ら償わなければなりません。勿論、米国の大学関係者、指導者、友人、知人達は、如何なる手を差し伸べる事もいとわない思いで彼の反省と再起を心より願っているに違いありません。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:フランク・フレデリクス氏の件は、積み重ねて来た若者の努力と栄光が、自身の心の隙間から忍び寄る悪魔の手により一瞬にして失ってしまった例ではないでしょうか。これは、他人事でなく誰にも起こりうる近年のスポーツ界である事を教えてくれました。今日、現在日本に於いても東京五輪関係者のみならず、本件は他人事でありません。次回NO.92では、2020東京招致委員会から2020東京五輪組織委員会への移行に起きる様々な報道されない陰湿な出来事を素朴な疑問としてお伝えできれば幸いです。

 

K’sファイルNO.90:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

KsファイルNO.902020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

             無断転載禁止

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海外の読者の皆様へ

毎週K'sファイルをご笑読頂き有難うございます。サイトでの翻訳ソフトを活用されてのアクセスでは、本K'sファイルの内容が正確には伝わっていないのでないかと心苦しく思います。毎週10カ国(①合衆国、②ドイツ、③フランス、④英国、⑤スペイン、、、⑩の順です)から大変多くのアクセス、コメントを頂き感謝申し上げます。SNSを通して情報は、オンタイムで世界中に共有される時代となり、これぞグローバル社会の証しでしょうか。機会を見て海外の方々からのコメントをご紹介できる日もくるかもしれません。投稿された方の許可を頂いてからと考えています。深謝

 

第三弾:暗黒の五輪招致シナリオライターは何処に

1.2016東京五輪招致敗戦と無責任な委員達

2016東京五輪招致経過と結果

2016東京五輪招致を目的に、当時の東京都知事石原慎太郎氏を会長とした、特定非営利活動法人東京オリンピックパラリンピック招致委員会は、20073月に設置されました。同委員会には、最高顧問として当時の内閣総理大臣福田康夫首相、特別顧問に全大臣、顧問に全副大臣が就任したのです。本招致委員会のスタートは、国会議員、都議会議員等、オリッピック利権に群がる政治家の集団、招致委員会と称しても過言でなかったのが特徴のようでした。

しかし、2009年のIOC総会で2016夏季五輪開催地は、リオデジャネイロ市(ブラジル)に決定したのでした。結果として、大勢の政治家、役人が大挙したにも関わらず如何なるものでなかった事が理解されたのではないでしょうか。

16東京五輪招致委員会は、2010531日に河野一郎事務総長以下招致委員会全理事が退任。71日に東京五輪招致委員会は、「国際スポーツ東京委員会」に改称して、事実上の敗北を宣言したのです。

その後、本招致活動に関する金銭疑惑が国内に於いて次から次と浮上して来たのは読者の皆様も未だ記憶に新しいのではないでしょうか。

この問題は、先ず東京都議会議員らから、余りにも高額な支出について招致委員会への喚問に端を発したのです。16東京五輪招致総経費は、約150億円(内東京都分担金18億円)であったと報道されています。しかし、当時の招致本部の担当部長は、本招致活動に関して制作費用、制作会社、また、プレゼンテイションに要した莫大な費用が支払われている事に対する明細すら回答出来なかったのです。

此処で出て来たのは、東京都が負担した2009年度のIOC委員へのプレゼンテイション費用の総額2475万円、英国の映像制作会社に依頼した映像製作費が、何と10分間の映像が5億円費やしている事です。招致委員会の理事、評議員が実務に不向きなお飾り的なメンバーで、専門家を選考していなかったからなのか、広告代理店の言いなりの値が付いたと評されても仕方のないことでした。国民の血税がこのように使用されても、誰もそれを止めなかった事は大罪と言えると思います。

2012年に招致委員会の報告書は、報道陣に公開されたようですが、調査報告によりますと、なんと東京都知事石原慎太郎氏)は、16年度招致活動の8事業支出約18億円分の経理書類を保管期間であったにも関わらず、紛失したとして保存していなかったのです。その他莫大な経費の詳細に付いても、資料を紛失してしまったとの回答で、自らの責任を認めず逃げてしまったのです。残念でなりませんでした。

此れらは、またしても「98年長野冬季五輪後の経理の書類を焼却して何もございません」と言っているのと同類の行為と言えます。これらは、全て我が国、社会の無責任制度がその根幹をなしており、法治国家と言い難い体質そのものの様に思えます。今日も未だ改善されない最大の問題は、我が国の制度にあり、その制度を逆利用しているのでないかと筆者は思う次第です。

16年東京招致に関する経理の資料は、保管期限が義務付けられているにも関わらず、このような体たらくの委員会、役人達の責任感とモラルは計り知れず犯罪者の行為なのです。しかし、何の責任も問われず今日まで誰もが結論を求めない不思議な社会と公共組織、団体である事も確かなようです。このような伝統的な手法は、2020東京五輪招致委員会に引き継がれ、そして20東京五輪組織委員会へと継承しているのです。

此処で初めて出て来た民間企業は、「株式会社電通」という名の会社名でした。

 

2016東京五輪招致委員会 役員名簿一覧

会長 都知事 石原慎太郎 

副会長 JOC会長 竹田恆和、副知事 横山洋吉、谷川健次、佐藤広 

理事:都招致本部長 熊野順祥、 荒川満、  建築家 安藤忠雄  猪谷千春

岡野俊一郎、林務、遅塚研一、 福田富昭小谷実可子、市原則之、荒木田裕子 

事務総長: 河野一郎 

日体協会長: 森喜朗 

経団連会長: 御手洗冨士夫 

日商会頭: 山口信夫 岡村正 

都議会議員 山﨑孝明、 高島直樹 

JPC委員長 北郷勲夫 

オリンピアン:室伏広治 

監事 JOC監事 岩楯昭一、都財務局長 谷川健次、 村山寛司 

以上が16東京五輪招致委員会理事並びに役員です。

読者の皆さんは、是非このメンバーをご記憶して於いて下さい。これから20年五輪招致委員会、20東京五輪組織委員会理事、役員名簿をご紹介します。最終的に何方が本招致結果に対して神輿に鎮座し、そしてその担ぎ手は誰なのかをご想像頂けるかもしれません。そして、ポリテイカル・ビジネスゲームの勝ち組、負け組を理解され、読者のパズルの空欄を埋めることになるかも知れません。汚れたパワーゲームのアクセルは、これから一気に踏み込まれて始まるのです。

2.2020東京五輪招致活動に必要な人材は?

2020東京五輪招致創世記

石原慎太郎氏は、東京都知事に4期当選した後、2011410日に再度2020年オリンピック開催地への立候補をしたのです。そして同年915日に特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会(略:20東京五輪招致委員会)を設立。会長には石原慎太郎氏が、理事長には日本オリンピック委員会JOC)会長の竹田恒和氏が鎮座し、第1回理事会が開催されたのでした。

此処で本招致委員会は、何故か活動費の一部として広告代理店の電通から約69,000万円借り入れたとされているのです。本件に関する双方の経緯は、書面での一切の情報公開が国民、社会にはなされていません。

双方の貸し借りへの対価は、何であったのかの情報公開がなされないまま今日を迎えているのです。株式会社電通(略:電通)は、営利の広告代理店企業であり、招致委員会は非営利組織・団体でビジネス実践キャリアの無いいわば素人集団なのです。招致委員会は、電通を利用しようと安易な思考の基に関係を構築して行ったのでしょうか。それ以降は、物心ともに電通を頼らざるを得ない状況が日々醸成されて行ったのだろうと筆者は推測しています。

電通商法は、まさに日本の伝統的な近江商人の商法に酷似したビジネス手法の一つにように思えます。この手法は、丁度筆者が西武・国土計画に於いて堤義明社長から直接学んだ商法に酷似している事から経験値として感じる次第です。

電通は、バランテイアー企業でなく莫大な収益を求める会社、企業であり事業(ビジネス)の立ち位置にある事を本委員会の理事、役員達の何方が認識していたのでしょうか。逆に利用してやるくらいのレベルの思考回路しかなかったのか、或はその時点で電通に公私ともに世話になっていた理事、評議員、役人が多くいたのかも知れません。

呉越同舟の2020年東京五輪招致委員会

20東京五輪招致委員会は、上記のように2011915日に第1回理事会が開催さているのに対して、同年1128日には、政財界などの要人で構成した評議会の第1回会合が開かれ、13年1月には森喜朗副会長が評議会議長に就任した。

此処に20東京五輪招致委員会には、理事会のボスと評議委員会のボスの二頭体制が立ち上がり、これからいよいよ政争、利権闘争が開幕の火ぶたが切って落とされたのです。この招致委員会の構造から理事会、評議会は、何としても招致獲得に勝つ事でパワーゲームの勝者も確定すると読んでいたと思われます。よって、理事会、評議会と二股をかけ先読み委員、役員、国会議員、都会議員達が居たのもうなずけます。

企業電通は、何方が勝利しても利益獲得する為にも両陣営に協力、支援するのは当然のビジネスセオリーという次第です。

そして、委員会は、1130日に「ロゴ・マーク」が制定され、電通をスポンサー担当専任広告代理店として指名、契約を締結するに至った次第です。本契約の経緯は明らかにされていませんが入札でなく、随意契約であったようです

読者の皆さんなら、既にお気付きになったのではないでしょうか。東京五輪利権に関する抗争は、この招致委員会の中で既に繰り広げられていた構造と構図から感じ取れるのではないでしょうか。この招致委員会の理事会と評議委員会の二頭体制のパワーゲームがこの度の20東京五輪招致疑惑への暗夜行路にミスリードされて行くのです。この航路は、暗黒のネットワークへの入り口であったと思わざるを得ないのも無理からぬことなのです。

予知していた人物がいるとするならば、それは、20東京五輪招致活動のシナリオライターが全てを見通していたと思われます。このシナリオライターこそが、ポリテイカル・ビジネスのビジネスアドミニストレイターとしてのプロフェッショナルその人なのです。実践に強い頭脳明晰なシナリオライターは、世の中にいる事を後学の為にも覚えておいて頂きたく思うしだいです。即ち、自分だけが偉い、賢い、知恵者だなどと自己満足しているような方々は、このレベルの仕切りが出来る様な人物ではないのです。

2020東京五輪招致委員会理事会 

★は理事会/評議会の両方 

理事長 日本オリンピック委員会会長 竹田恆和

副理事長/専務理事 同副会長 水野正人

副理事長 同専務理事 同副会長 福田富昭

副理事長 同専務理事 市原則之

副理事長 日本障害者スポーツ協会副会 伍藤忠春

副理事長 東京都副知事 佐藤広

理事 日本体育協会 岡崎助一

理事 日本オリンピック委員会理事 橋本聖子

理事 同国際専門部会員 鈴木大地

理事 パラリンピアン 成田 真由美

理事 日本オリンピック委員会理事、アスリート専門部長 荒木田 裕子

理事 同理事、国際専門部長 野上義二

理事 同理事(元東京2016招致委員会事務総長) 河野一郎

理事 同総合企画・国際部長(元東京2016招致委員会事務次長) 中森康弘

理事 東京都スポーツ振興局長 細井 優

監事 日本オリンピック委員会監事 深津泰彦

監事 東京都財務局長 安藤立美

 

2020東京五輪招致委員会評議会 

★は理事会/評議会の両方

【会長】石原慎太郎 猪瀬直樹

[副会長】森喜朗(議長)竹田恆和★ 米倉弘昌 岡村正

【事務総長】小倉和夫

【事務総長代行】樋口修資

【委員】水野正人★ 河野一郎★ 細井優★ 遠藤利明 猪谷千春 岡野俊一郎

              鳥原 光憲 張富士夫 山田啓二達増拓也 村井嘉浩 佐藤雄平 長谷川閑史 

              槍田松瑩 中村芳夫 上條清文 松本正之 広瀬道貞 秋山耿太郎 古賀伸明 

              福井正興 相川敬 石澤義文 成清一臣 安西祐一郎 島村宜伸 土川健之 

              仲田和雄 松本好雄 石黒克巳 笹川陽平 王貞治 樋口久子 川淵三郎 

              鈴木寛 奥村展三 溝畑宏 

以上2020東京五輪招致委員会の理事会、評議会メンバーをリスト致しました。

 

⑤真必要な実戦部隊の人材は何処に

2020東京五輪招致員会の理事会、評議員会には、まだ株式会社電通の関係者の名前をお見かけ致しません。しかし、電通に通じた代弁者は、複数見当たります。本招致委員会の中には、残念ながら本物のスポーツ・アドミニストレイターの姿は、見掛けられないようです。よって、メンバーには、オリンピック招致に必要不可欠な真の情報収集力を期待するのは難しいのであります

近年の巨大なスポーツ・ビジネスの成否は、情報の入手力、その為のネットワーク力、即ち何処の誰が必要不可欠な情報のイグニッションキー(車のエンジンをスタートさせる鍵)を保有しているか否かにかかってくるという事です。そして、その情報が真の情報か否かを見極める為には、見極めるスキルもあるのです。このように得た高価な情報は、次に如何にして活用するかリテラシーLiteracy)の能力に委ねられると申し上げて過言でありません。

本イベントを勝ち取る為には、上記役員、メンバー達は組織・団体を形成する為の社会、国民、都民への信用担保のような物なのです。これから必要不可欠な莫大な資金集めの為には、如何にして国、都に対して、また民間企業のスポンサーを信用させるための担保として、集金ゲームの準備をする為の顔見世興行と理解された方が理解し易いかも知れません。

真に招致を勝ち取る為には、この時点で既にシナリオライターの構図に基いた真の情報の収集に日夜心血を注いでいる部隊が居たとお見受け致す次第です。

よって、その真の最前線の人達には、このようなお飾り的な委員会、政治家、役人リストは招致を勝ち取るために何の意味もなさない事を百も承知しているのです。勝負は、此の時期既に水面深く潜航して、真のキーを探している企業戦士達の高度な情報収集能力にかかっている次第です。

それは、本招致ゲームに勝利する為に必要なキーを誰が握っているか。そしてその確証を握る人物に如何にして近づき手に入れるか。そこでは、どれ程の軍資金が必要でその確約をどう担保できるか。ゲーム展開からみて、勝敗の分かれ目は、IOC委員の数十票に全てが集約される。それは、リオで見せつけられた開票結果からであったのです。

勿論、本シナリオライターは、勝者リオ招致の分析、IOC委員達の動向、等、全ての情報を入手していたと推測出来ます。要するに、20東京五輪招致の勝利の方程式は、リオ招致成功マニュアルのコピーであった、と言われても不思議ないと筆者は分析致しております。その証は、20東京五輪招致疑惑がリオ五輪招致事件と酷似である事からも、疑われてしかるべきなのかも知れません

此処で、プロのスポーツ・ビジネスアドミニストレイターに近づく情報、手立てを一番よく実践経験を通して持っている組織・団体のコマンド部隊を動かさざるを得なくなるのです。また、勝敗の行方を担保する為には、この度の招致疑惑のルート以外に数本のルートを開発している事は容易に想像できるのです。しかし、現時点では、他の複数のルートに付いては、フランス当局の事件との関わりを持たないためにマスメデイアに曝されて居なのかも知れません

筆者が本プロゼクトGMであったなら、必ず勝敗を左右する為の安全弁として複数の他のルートの開発と担保を確保して置きます。それは、本ゲームのキーを預かる指揮官としての鉄則でありプロとしての当然の戦略なのです。

此れが世界を相手に戦うスポーツ・ビジネスアドミニストレイターの真骨頂で、その真価を問われるこれが勝負どころです。次回ご期待ください。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

如何でしょうか。頭脳明晰な読者の皆様の脳神経に刺激が与えられ、どんどんと神経細胞が活性化し、脳の各分野にインパルスがエネルギーを運び始めた時期でしょうか。次回は、本招致活動に於ける本論に入れたらと思います。

K'sファイルNO.89:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

K'sファイルNO.892020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

            無断転載禁止

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読者の視点~

K’sファイル88を読ませていただきました。東京2020大会においては、竹田会長の疑惑も含め様々な利権等が複雑に絡んでいるものと多くの国民が思っているものの、それが何なのかよく解らないのが現状ではないでしょうか。今回のファイルを読んだ読者は、「なるほど、そうだったのか」「そうだよな」と感想をもたれたと思います。」読者からの貴重なお便りを頂きましたのでご紹介させて頂きます。

第二弾:五輪招致神輿に担がれた旧宮家三男

竹田恒和氏とは

ご紹介:

竹田恒和(タケダツネカズ)生年月日:1947111 (71)出身地:東京都、学歴:慶應義塾大学  同氏は、旧皇族竹田宮恒徳王の三男。今上天皇のはとこにあたる。 日本オリンピック委員会会長。国際オリンピック委員会委員。2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副会長。国際馬術連盟名誉副会長、日本馬術連盟副会長。 Wikipediaより~

竹田氏は、馬術競技で五輪出場経験を持ち、2001年にJOC会長に53歳で就任。以降17年もの長きに渡り会長職を務め、招致決定時は日本人唯一のIOC委員で、日本に於いては今日に至るまでオリンピックの顔として玉座に鎮座されている方です。

この度の招致疑惑に関する事案は、2020東京五輪招致委員会の事務局、理事、評議員達が知らなかったとするならば、その人達は、何の為に選考され、何の為に招致委員会の要職に就き、何をしていたのか、ただブラジル、リオジャネイロ市にプレゼンテイションにそろいのブレザー姿で公費を使ってのドンチャン騒ぎをする為の要員として集められたわけでない筈なのです。そうでないなら無責任極まりない人たちの集団であったと断罪されても仕方がないと思われます。

筆者は「ことの詳細を存じ上げています」と言う誠実で正直な関係者がいつ現れるかと静観致しておりましたが、今日に至っても未だに誰ひとりとして現れて来ないのが実情です。竹田恒和氏(当時20招致委員会理事長、JOC会長)は、本件に関わる統括責任者である事に間違いありません。しかし、本件は、竹田氏自身が本コンサルタント会社へのアレンジメント、調査、そして契約に至る過程まで、交渉、契約署名、送金に関する全ての行程をただ一人で遂行できたとはとても思えません。

全てを存じている人物は、竹田氏を除いて、この規模の事業から想像するに、恐らく10名以上で、その方々の中には主犯格であるボス(指示を出す人物)が居ると推測されます。その人達は、竹田氏を1人矢面に立たせて、何食わぬ顔でだんまりを決め込んでいるのです。スケープゴート役は、竹田氏の本来のお役目なのか、そうであるならばK'SファイルNO.87で述べました通り、同氏は真に神輿に担がれた操り人形でしかないのです。神輿の担ぎ手は、どのような人達なのか。このような発言をする同氏は、何故この玉座に長年座り続けていられるのでしょうか。此の国では、この様な人物だからこそ座れるのかも知れません。同氏への対価は、何だと読者の皆さんは推測されますか。興味深いですね。

本件に関わった人達は、必ず存在し今尚重要人物としてその後の組織に関わっている事はまぎれもない事実と考える事の方が正しいかと思われます。競技スポーツは、ルールの下で勝敗が決せられますが、このようなスポーツをCOREとしたポリテイカル・ビジネスゲームには暗黒の闇が奥深く底の方に重く垂れ込めているように思われます。

②竹田理事長が知っていた事と知らなかった事

知っていた事:

1.シンガポールのブラック・タイデイングス社(略:BT社)と2020五輪招致委員会 は、コンサルタント契約を結んだ事。

本契約書は、二つのコンサルタント契約が含まれていた事。

1度目の契約(2013年7月):その趣旨、目的は、ロビー活動、関連情報を収集する業

務委託契約書であると説明した事。

2度目の契約(2013年10月):これは、一つ目に対する成功報酬に基く契約であると説明した事。

筆者の疑問:

BT社が契約の趣旨、目的であるロビー活動、関連情報を収集するに相応しい会社である根拠が全く情報公開されていない。この契約内容なら何故契約書を公開して、自身の身の潔白並びに日本国への疑惑を晴らそうとしないのか、或は証明できないのか?

②竹田氏は、1度目の契約は、契約の全容を知らずに署名したと説明した。同氏の常識は、どのような尺度なのか。

2.コンサルタント契約書に同招致委員会理事長として署名、捺印した事。本契約内容は、衆参両院の予算委員会で説明、国会で本件への追及は無かったとの事。

筆者の疑問:

①衆参予算委員会は、何故理事長に本契約書の開示を強制的に求め精査しなかったのか。本件の追及をしなかった理由が不明。

②本件以外にも、異なるルートで同じような契約、作業は、あるのかないのかの確認が委員会ではなされていない不思議。

3.本契約料は、合計2億3000万円であった事(内訳:20137月に第一回目が、10月に第二回目がBT社の銀行口座に入金済、その後BT社は解散)。

筆者の疑問:

①第二回目の入金は、ロビー活動に対する成功報酬(インセンテイブ)となっているようですが、成功報酬は何を持って成功とするかの説明が欠落している。

②竹田氏は、何故この場に及んで契約書を公開できないのか。契約書を公開する事により何を依頼したのか、その成果と結果が明らかになり、何のための成功報酬を契約に明記してあったのかが、明らかになる事を恐れているのか。

知らなかった事:

1.BT社の代表のタン・トンハン氏(36)は、当時名前は知っているが会った事はない。

筆者の疑問:

①竹田氏は、守秘義務を理由に契約書の開示を否定した。しかし、契約相手の代表者は、既に有罪人で収監される人間である。誰を庇っているのか。

②本契約書は、現在何処の誰が預かり保管しているのか。98長野冬季五輪と同様に既に焼却処分して存在していないのでないか。

2.BT社の関係者に当時国際陸上競技連盟(略:IAAF)会長のラミン・デイアク氏(Lamine Diack193367 生まれ、セネガル陸上競技選手、ダカール出身。国際陸上競技連盟5代会長。IOC委員)の息子で当時の国際陸連コンサルタントのパパマッサタ・デイアク氏((Papa Massata Diack)が関係しているとされる事を知らなかった事。

筆者の疑問:

①招致委員会の最高責任者がBT社の代表者がどんな人物でどんな会社、及びその背後関係者も知らないで法人契約をし、莫大な公金を送金したなど信じ難い話です。

②海外の報道では、本契約が本ルートによるアフリカ系のIOC委員10名の票の買収に対する対価であるとも言われている。本契約を開示する事によりその疑いを堂々と否定できる証しとなるはずですが、何故拒むか。

以上が当時から今日までの間、竹田氏が本件に関して自ら認めている発言内容であり、既にマスメデイアによって報道された項目です。

これらの発言内容は、我が国の国会議員及び役人達の都合悪しき時の発言に酷似であるように思えてならないのです。海外のマスメデイアが確かいみじくも、竹田氏は、政治家発言をすると評していましたが、まさに同氏は政治家に向いているのかも知れません。

③筆者の素朴な疑問

此処で見逃してはならない重要なポイントは、通常この規模に於けるビジネス取引、ネゴシエーション(交渉)、契約の詰めに於いて竹田氏の対応発言が非常に幼稚な一面を露呈している事です。

竹田氏は、「BT社との契約に関し、如何なる意思決定プロセスにも関与していない。本件に関与した人達及びその承認手続きに疑う余地など無かった」と断言している事です。それでは、その人達が誰であるかを明らかにする義務があります。

同氏の言葉を借りますと、「本契約に当たり、決断したのは私ではない。署名、捺印してくれと持ってきた人達を信用していました」という事になるのでないでしょうか。関与していない最高責任者が、何故署名、捺印したのか。これは、本業界に於いての自殺行為と言われます。

また、同氏は、「BT社と国際陸上競技連盟前会長とその息子がどう関係していたか、私は知らなかった」とこれも断言しています。

この二つの断言は、今後同氏に最重量級のストレスが圧し掛かってくるような気がします。何故なら、竹田氏の発言は、「同氏が信頼に足りる理事、評議員の複数の関係者、及び委員会外の本件に関わる重要な企業関係者が、BT社及び代表者について、本契約を履行できる人物・法人であると担保したので、私は署名、捺印した」と言いたいのかどうか。

此れが竹田氏の本音であるなら、筆者は、招致委員会の理事会、評議員会がスポーツ・アドミニストレイターとして相応しくない人物を理事長に選任した事の責任が重大であると確信する次第です。当招致委員会の理事、評議委員の役員名簿は、次回ご紹介させて頂きます。

報道によると、このような竹田氏の発言を受けて、招致委員会にいた関係者からは「発言は、自分の保身のために部下切り捨てに聞こえる」との批判がでていることからも、招致委員会の関係者の中には事実を知っている人が多く居ると想定できます。

竹田氏本人は、事の次第を仕掛けた人達から充分に説明を受け、自らも理解と認識の上での署名、捺印したのかも知れません。

何れにしましても、招致委員会の関係者及び関連企業関係者の中に、竹田氏が契約書に署名、捺印するに足る、必要な情報及び資料を提供した人達が居た事に違いないと思われます。よって竹田氏は、情報、資料を担保できたので署名・捺印した。と筆者の経験からも仮説が成り立つ次第です

此処で現実的な問題が明確になった事です。招致委員会が契約をしたBT社・代表者のタン・トンハン氏は、関連事件で本年1月16日にシンガポール裁判所に於いて実刑判決を受け、2月20日に収監が予定されている人物でした。

これにより、竹田氏及び20東京五輪招致委員会が契約した相手は、信頼するに足る人物でなかった。との証明がなされたのではないでしょうか

この様な状態を客観的に見ても竹田氏のみならず、理事会、評議会の関係各位の責任は明らかであり、現時点に於いても限りなく黒に近い状態であるように思えてなりません。問題は、フランス当局が招致委員会から送金した金が、最終的に誰の手(IOC委員)に渡ったかの確証を握っているのかどうかに今後焦点が絞られてくる次第です。

読者の皆様は、K'Sファイルを読み進めて行くに伴い、不可思議な抜け落ちたパズルのピースを埋め込んで行けるかも知れません。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

お知らせ:

この度のK’sファイルNO.89は、如何でしたでしょうか。読者の皆様には、少し本疑惑の本質がフォーカスされて来ましたでしょうか。本疑惑に関する本質的な部分の幾つかをフォーカスしてみたいと思います。ご期待ください。

K’sファイルNO.88:2020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる 無断転載禁止

KsファイルNO.882020東京五輪招致の暗黒の霧はいつ晴れる

            無断転載禁止

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第一弾:JOC竹田恒和会長への疑惑とは何!

先ず初めに

筆者は、本件に関し招致活動に関係を持ち合わせていない事をご承知おきください。そこで本件に関しましては、スポーツ・アドミニストレイターとしてこれまでの類似した経験、体験、等を加味して論じさせて頂きます。

このことから一般の読者の方々とは少し異なる視点になるかも知れませんがご了承下さい。読者の皆様には、複雑怪奇になった問題点、人間模様、事の真相、等をできる限り判りやすく、シンプルに述べさせていただき話題と理解を共有できましたら幸いです。また、K’sファイルの過去の原稿をリマインドして頂くために添付させて頂きますので熟読して頂ければ、よりスムーズに理解頂けるかと思います。

 

①疑惑とは

この度、竹田恒和JOC日本オリンピック委員会Japan Olympic Committee)会長の問題は、2020東京オリンピックパラリンピック(略:2020東京五輪)招致活動に於いて、国際オリンピック委員会(略:IOC)委員を買収したのでないかとの嫌疑が色濃くなってきたという報道に端を発したものです。

本件は、2016年五輪招致活動に失敗後、本格的な敗因の究明もなされないまま、2020年五輪招致活動へと突入し、20139月に東京での開催が決まるまでの間に起きた問題でありますことを先ず明記させて頂きます。また、本件は、招致活動当時から、開催都市決定後に於いても我が国及びJOC関係者、招致委員会関係者、政治家達、企業関係者に内外からの疑惑の目が向けられていたのも事実でした。しかし、疑惑の中心人物達は、誰もが自らへの嫌疑は否定しても、その裏付けとなる説明及びエビデンスの情報公開は一切行わず、疑惑は深めても解消には至っていなかった事をご承知おきください。

昨年1210日、フランス裁判所の予備判事は、JOC竹田会長を本件に関わる容疑者として本格調査に乗り出し、本人を事情聴取の為に当局に呼びだしたのです。竹田氏は、「潔白」を主張して帰国したとの事です。しかし、このような事情聴取がフランス当局に呼び出され、在った事すら同氏は国民や社会に報告、開示していませんでした。フランス当局及び海外マスメデイアから事実を明かされて初めて、JOC2020東京五輪組織委員会の担当マスメデイアが色めき出し、全て後追いの報道でありました。

竹田氏は、海外マスメデイアの情報が日本国内に入り、初めて担当記者達に対応せざるを得なくなった。これも口を開かざるを得なくなったというのが本音でしょうか。そして、竹田会長は、苦し紛れに本年115日、東京都渋谷区の岸記念体育会館(日本スポーツ協会本部)に約140人もの内外メデイアを集めて、約30台のTVカメラを前に記者会見を始めたのです。

しかし、この会見も日本のオリンピック委員会、スポーツ界を代表するスポーツ・アドミニストレイターの頂点に位置する人物の記者会見とは、ほど遠い内容であった事を読者の皆さんも既にご存知の通りです。

JOC竹田会長の記者会見内容とは

記者会見は、竹田氏が準備していた一方的なメモ読みのみで、質疑を阻み、たった7分間でお開きとなった次第です。集まったマスメデイアが憤慨したのも当たりまえの出来事でした。

内容は、「この騒動で2020東京五輪パラリンピックの準備に携わる人達への影響を与えかねない状況になり、本当に申し訳ない気持ちです」とのお詫びに始まり、「フランス当局の調査に全面的に協力し、潔白を証明したい」と述べた次第です。

本題は、シンガポールコンサルタント会社への支出(23000万円)の正当性を述べたに過ぎないものでした。また、JOCは、同氏の正当性を裏付ける資料として、JOC調査テイーム(身内で編成した第三者委員会)が、3年前に結論付けた「IOCの倫理規定に違反しない」とした調査報告書を配布したのです

筆者は、JOC調査テイームの最終報告書は身内の調査であり、正当な調査ではなかった事は素人でも判る事であったと思います。これを持って「潔白」だと言われても誰が信じるでしょうか。此れが、日本を代表する人物の本件に関する記者会見であったとは、誠に寂しく、貧しい資質この上ない限りでした。竹田氏は、何処の誰が推薦、任命し、この席に長期に渡り鎮座していらっしゃるのか、重大な問題である事をスポーツ・アドミニストレイターの視点でこれから述べさせて頂きます。

フランス検察当局から竹田恒和氏(JOC会長、71)への嫌疑とは、2020東京オリンピックパラリンピック招致の為に必要なIOC投票権を持った委員への買収疑惑なのです。

③筆者の見解

筆者は、同氏のこの度の会見での対応、資質からしてこの国のスポーツ・アドミニストレイションの縮図を見ているような気がしました。竹田氏は、2001年にJOC会長職に就任17年余りに渡りこのような重要な日本スポーツ界の看板を背負わされ、重責の玉座に鎮座し、実質は神輿を担いでいる人達に操れている構図が透けて見えるような気がするのです。これは、20東京五輪組織委員会に置いても同じ構図にお見受けする次第です。

此の事が事実であるなら、115日の本疑惑に対する「記者会見」での発言は、無理からぬことと理解出来ます。しかし、このような組織構造に於けるスポーツ・アドミニストレーションは、限りない闇取引の温床と化し、疑惑が犯罪へと移行している、極めてリスキーで危険な環境と状態であるように思えてならないのです。

 

④リマインドとしてK’sファイルを再開示  

K'sファイルNO.382020東京五輪の不可解なおもてなし 無断転載禁止

PARTⅠ.~政治家による政治家の為の東京オリンピック大会~

注:河田弘道は、オリンピックが日本で開催される事に大賛成です。しかし・・・

第一弾:スポーツ・アドミニストレイター不在のツケ

①招致活動での建前と招致後の本音

どうして最初から本プロゼクトには、政治家達(現職国会議員、元国会議員、現職都議会議員)がやけに目立つのか。これほど露骨に政治家達が表舞台に顔を出す五輪は日本だけではなかろうか。K'sファイル読者の皆さんは、不思議に思われませんか。

2016東京五輪の招致活動失敗から2020年東京大会開催決定、そしてその後今日迄、これほど開催に関する問題が内外共に起きる、起きた事例が嘗てあっただろうか。

16年招致活動の大義は、1964年東京五輪から半世紀を迎え、「レガシー・プラン」として前回五輪の施設も活用しながら、コンパクトな五輪を掲げました。そして20年招致は、東日本大震災からの復興の加速と世界への感謝をアピールするプレゼンテイションがなされたわけです。費用の掛からない無駄のない、コンパクトなオリンピック・パラリンピック東京大会は、招致の為の旗頭と謳い文句に掲げてきました。しかし、いつの間にか大義の震災復興は、何処かに消え、予算は、とんでもない莫大な公金が実態として流し込まれ続けているのが実状です。

これに対して誰も歯止めを掛けようとしない。確か小池百合子都知事は、選挙で予算費用縮小を訴えて歯止め役を買って出て当選した筈ですが、筋金入りの政治家では無かった事を現在露呈しています。金は、全て組織委員会の御用達の印刷会社がプリントしているかの感覚で湯水のように使っているイメージがしてなりません。

プレゼン当初の予算告知額は、いったい何を根拠に試算された数字であったのかと、ふと頭に疑念が巡ります。いったい当初の予算の何倍の公金を投入すれば気が済むのでしょうか。此れだけの資金があるのなら、何故もっと有効にオリンピックのみならず困っている現実の社会、国民の為に活用するべきであるとは思いませんか。此れでは、限りなく国の借金が膨らむばかりです。関係者達の後は野となれ山となれ的では、此の国のスポーツどころか国が滅んで行く姿が判らないのでしょうか。

このような展開になる事は、当初より予想していた事なのですから、何故五輪招致を思考し始めた時点で「ロス方式」を検討しなかったのか。話題にも出なかった事、出さなかった事が今後大きな禍根を残す事は必至で、既にその階段を一歩また一歩と上がっていっているのです。ロス方式は、公金を1セントも使わず、440億円の黒字を出した素晴らしいプロゼクトモデルなのです。

このような優柔不断なオリンピックプロゼクトから、国外からは、招致活動に関わる裏金問題を指摘され火消しに躍起となり、国内に於いては、オリンピックロゴ・タイプの盗作問題、国立競技場の設計入札疑惑問題、設計者及び関係会社への契約変更、違約金問題、予算の不透明疑惑、そして、その間に開催都市の都知事が本件がらみを含めて3名も不名誉な交代劇を演じ、その都度掲げる公約に一貫性が無く、失言を海外に告知し、現知事は、威勢よく乗り込んできたが政治家同士の利権のつぶし合い、奪い合いを見苦しい程内外に曝し知らしめ、スポーツの祭典がこれでは「品の悪い政治家の祭典」と相成った感じが否めないと感じるのは、私だけでしょうか。

②問題の発端とプロゼクトマニュアルの欠陥

静観して見ていますと一つの方向に問題が偏っている事が透けて見えて来るのです。それは、2020東京オリンピックパラリンピック開催招致活動のプレゼンテイションで公言、公約した予算が全くの招致する為の「飾り予算」で在った事です。これがそもそもの本プロゼクトの「トリックの起点」となって、国民、都民の税金を湯水のように投入するストーリーが仕組まれていたような気がしてならないのです。今は、この描かれていたシナリオに略近い流れで進んでいるので本プロゼクト立案、遂行している執行部達の意味深な笑みが目に浮かびます。

この招致活動初期から、関係省庁及び関係機関、東京都は、種々の思惑の人達が絡み合い複雑怪奇な様相でスタート致していました。これをスポーツ・アドミニストレイターの視点で指摘させて頂きますと、そもそもの最大の問題は、主催者に当たる都知事が本巨大プロゼクトに強い興味を持ち、都民の税金で招致活動に邁進、自身が幕開けから幕閉じまで首を突っ込んで、利権の構図を描きその利権に手を突っ込んだことから今日の限りなく高騰する資金(税)投入に点火したのが発端と思われます。

当時より利権をせしめようとする東京都議与党軍団、都知事とそうさせまいとする文科省OBを中心とした超党派で構成する国会議員連盟団の利権グループが当初より抗争していたように見受けられたのです

嘗て1974年にIOCの「オリンピック憲章」からアマチュアの定義を削除せざるを得なくなったり、1976年カナダ・モントリオール大会が、オリンピック大会史上例を見ない巨額の赤字負債を抱える大会となった事などを契機に、IOCはオリンピックにスポーツビジネスを解禁し、プロ選手の参加に扉を開いたのでした。

しかし、その後この改革の弊害が毎回の開催都市招致に関わる闇の世界を構築、獲得票を集めるための莫大な裏金で買収する暗黒のネットワークを生み、大会の巨大化に伴う主催国、都市に莫大な資金を投入させて大会を肥大化させ、負のレガシー(遺産)を山積みさせて来たのでした。そして2020年東京大会は、最後の巨大化されたオリンピック大会の負のレガシーの終焉であろうと言われるに至っています

本東京大会以降は、大会招致の国が激減し、ついに2024年パリ、2028年米国ロサンゼルス市とプレゼンする競争相手も無く、24,28大会が自動的に同時に決まったのも偶然ではないのです。いったい東京大会招致活動は、何だったのでしょうか

此れは、まさに1976年のモントリオール大会後にオリンピック大会招致に興味を持たなくなった国々が出た時期に戻り、歴史が形を変えて繰り返される事になったのです。この事は、東京大会招致委員会にとっては、因果と言う表現しか見当たらないように思えてなりません。IOC理事達の罠にまんまと日本の政治家達がはめられた事に等しいのです。

東京大会開催組織委員会は、このことを如何に理解しているのか、いや、気にもかけている様子もなく、ただ国税、都税をいくら引き出すか、引き出せるかに奔走している状態が、今尚続いている様子が伺えます。勿論、スポーツ振興機関からの補助金、コマーシャルスポンサーからのスポンサーシップとサポートを受けているのも事実です。本来は、国民、都民の公金を当てにしないで2020年東京大会を招致活動で勝ち得た方法があったのも事実です。

当時、招致関係者達が、公金を使わない大会擁立に誰も興味すら示さなかった理由は何故だったのか。K'sファイルの読者の皆様はその結論に至るかと思われます

 

以上K’sファイルNO. 382020東京五輪の不可解なおもてなし、PARTⅠ.~政治家による政治家の為の東京オリンピック大会~ をリマインドさせて頂きました。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 お知らせ:次回Ksファイルは、本当にJOC竹田会長に全ての責任があるのか否かについて述べさせていただきます。

 

K’sファイルNO.87:インタビュー記事のお知らせ

K’sファイルNO.87:インタビュー記事のお知らせ

 K’sファイル読者の皆様へ

2月2日、土曜日、朝日新聞朝刊に「河田弘道へのインタビュー記事」が掲載されるようです。ご興味がございましたらご笑読頂ければ幸いです。

朝日デジタル版もあわせて掲載予定です。2月3日よりデジタル版無料掲載をご利用下さい。URL: https://digital.asahi.com/articles/ASM1P3SY6M1PUTQP008.html

取り急ぎお知らせまで。

 河田弘道  2019年2月2日