K'sファイルNO.137:政治と政治家達に翻弄される東京五輪 (2)
無断転載禁止 毎月第二、第四木曜日掲載予定
読者からの便り
K'sファイルNO.136、拝読致しました。先生の各ブログを拝読しなければ水野正人氏と言う人物について殆ど存じませんでしたが五輪招致において陰の立て役者と言われる存在が判りました。調べてみると氏は英語が堪能で若い頃から世界で商談をまとめる為独学でフランス語やスペイン語をマスターしたと言うバイタリティー溢れる人物との事。JOCの副会長として2011年に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会事務総長に就任するも陰で足を引っ張られる様な工作もされていた様で「大木は風に折られる」と言った所でしょうか。先生が御指摘されている水野氏自らと会社重鎮の対応の甘さについて、もし先生が先立って氏にアドバイスする事が出来ていましたなら、事態は変化していたのかも知れないと思われます。ここ数日は涼しい日々が続いており過ごし易いですがまもなく高温多湿の日々となる事と思われますので呉々もお身体を損なわれない様お気を付け下さい。それでは失礼致します。読者より
目次
読者からの便り
2020東京五輪リマインド・シリーズ(7)
1.2020東京五輪からミズノスポーツが消える!
先ず初めに
②公益財団法人2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会役員名簿
役員理事 (2018年11月28日現在)
新役員改正名簿発表(2020年6月12日現在)
③IOCスポンサーと国内スポンサーとは
④国内五輪協賛スポンサーに本命アシックスがくる
⑤森喜朗会長の言行不一致を黙認する関係者、マスメデイアの不思議
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2020東京五輪リマインド・シリーズ(7) 2019-03-14
第六弾:公益財団法人2020東京五輪組織
委員会設立
1.2020東京五輪からミズノスポーツが消える!
先ず初めに
前回のK’sファイルNO.136では、2020東京五輪招致の勝利報告、それに伴う20東京五輪組織委に絡む人事抗争の一環に於いて、招致委員会で活躍され、誰もが次なる東京五輪組織委での活躍を期待した水野正人氏(当時:20東京五輪招致委員会、副理事長、事務総長、専務理事、JOC副会長)が、突然の退場勧告を受けた模様について述べました。
そして、同氏は、その後全ての役職から姿を消し、JOCの副会長のポジションも退任された次第です。当時よりJOC会長で招致委員会の理事長として、水野氏と両輪で闘ってきた竹田恒和氏は、何故水野氏を擁護されなかったのでしょうか。
それは、同氏にその力がなかったか。或いは、自身のポジションを守るのに精一杯で事の次第を見て見ぬふりをされたのかも知れません。まさか、この時竹田氏は、今日の20東京五輪招致に関する疑惑の矢が自らに向けられてくるとは思いもしなかったのかも知れません。此れが事実ならば、長年何故JOCの補佐役理事達は、適切なアドバイスをなされて来なかったのでしょうか、JOCの理事達がこのようなレベルの集団である事が残念でなりません。
この度の招致活動の旗振り役は、当初東京都知事だった石原慎太郎氏であり、次に猪瀬直樹氏、さらに舛添要一氏へとバトンが引き継がれて行きました。しかし、どの知事も同様な問題を抱えた方々であった為に職を追われる結果となりました。そして、献身的に活動された企業家の水野氏も姿を消し、竹田氏もまた実質は招致疑惑の責任を問われ、JOC会長職の任期延長を担保していたにも関わらず退場を余儀なくされたのです。
筆者は、竹田氏に付きましてはあくまで疑惑で在り「黒」と断定された訳でないので、自らの手で疑惑を晴らす為にも延長期間を全うされるべきであったと思う次第です。此れでは、本人自らが黒と認めた事を意味すると思われますが、如何でしょうか。(本件は、今日も尚フランス検察当局は捜査を継続しています)
此処に負け組の顔触れは、略出そろった事になるのでしょうか。しかし、国会議員、都議会議員達は、この時期賑やかに飛鳴していた海鳥が巣に戻ったが如く鳴き声一つしなくなったのもこれまた政治家の処世術の一つなのかも知れません。そのような不穏な空気が淀む中、20東京五輪組織委員会の設立に向かっての人事、予算案、協賛スポンサーシップ、等の作業が準備会議を中心に粛々と進行されて行くのでした。
2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(略称:TOCOG、The Tokyo Organizing Committee of the Olympic and Paralympic Games,2020東京五輪組織委)は、2014年1月24日に発足し、2015年1月1日付で公益財団法人となりました。此処で読者の皆様は、本組織委員会が公益財団法人である事をしっかりと記憶して於いて頂ければ幸いです。
20東京五輪組織委会長には、森喜朗氏(元内閣総理大臣、元文部大臣)が就任し、副会長には、何と現役衆議院議員の遠藤利明氏が就任されたのです。それでは、政府に居る五輪担当大臣の桜田義孝氏は何をする為の大臣で、遠藤氏は何のための衆議院議員なのか。これでは、政治家による政治家の為の東京五輪である事を証明し、歴史にレガシーとして刻んだ事を意味すると筆者はスポーツ・アドミニストレイターとして申し上げます。
そして事務方のトップには、事務総長として武藤敏郎氏(元日本銀行副総裁、現大和総研名誉理事)が就任したのです。また、理事には、複数の国会議員が顔を揃えています。しかし、16年招致委員会で失敗した事務総長の河野一郎氏が副会長に入り、20年招致委員会で勝利した事務総長、専務理事、副理事長、JOC副会長の水野正人氏は、場外退場を言い渡されたのです。これは、本来ならばスポーツ・アドミニストレイターが行うフェアーな人事ではありません。本件に付いては、一切の情報公開は成されていないのでないかと思われます。読者の皆様は、このような密室での人事が成された理由をご存知でしょうか。まさにこれは日本の政界の総理総裁、閣僚人事の伝統的な人事手法そのもので、スポーツ界に於いてはこの手法は決してやってはならない手法の一つであります。
此れはまさに自民党派閥人事手法をそのまま東京五輪組織員会に持ち込んだだけの様です。この様な大規模な公益財団法人の人事は、本来であれば許認可権を持つ内閣府、文科省、スポーツ庁が審査時に精査、指導を行う責務があるのですが、出来ない理由は何だったのでしょうか。それは、文科大臣、スポーツ庁長官、等国会議員(文教族と言われる)で理事兼役員を固めてしまっている事に起因しているのかも知れません。
此れだけ国会議員、政治家達がオリンピックというスポーツの祭典の組織、団体に直接的に介入した例が嘗てあったでしょうか。此のことは、置き換えれば国内の各競技団体(NGB)には、強い求心力のあるリーダー達が不在である事を物語っているのかも知れません。
此れもレガシーを第一にする東京五輪の特徴の一つとして東京五輪史に多くの政治家名が刻まれる事でしょう。
派閥のボスにやりたい放題をさせて、これに対する反対、反論する立場の人間が誰ひとりとして居ない事の方が重大問題の我が国のスポーツ界の実情ではないかと思われます。そして委員会の役員の皆さんは、皆本業から生活の糧を得、組織委員会からも莫大な報酬を受け、諸経費も付帯され、バランテイアー活動者の顔をした高額所得者なのです。日本には、真のバランテイアーの文化が育たないのはこのあたりに起因しているように思えてなりません。公益財団法人は、本来なら法人役員全員の報酬、諸経費、等に付いて全て定期的に公開する義務と責務があるのではないでしょうか。それは、国民と社会に対してバランテイアーでない事を示し、責任の所在を明確にする事となるのです。
また、2014年4月17日に組織委員会は、国内の協賛企業獲得を行なうマーケティング専任代理店に株式会社電通(略:電通)を指名しました。そして、電通の代理として高橋治之氏(元電通専務、現株式会社コモンズ代表取締役会長)を組織委員会理事として迎え入れたのです。
此処で森喜朗氏は、自身の手で人事のお披露目をした次第です。その後、複数の理事等の交代が在りました。本公益財団法人の理事、役員、評議員達は、どのような理由で推薦され任命されたのかの情報公開も確かされなかったように思います。公益法人の役員達は、国民、社会に貢献、還元できる人物なのか、出来るかが選考基準の根幹を成すのですが、残念ながら本役員の中には意味不明の役員がそれも大挙して名を連ねているように思われます。
また、下記の東京五輪組織委員会の役員、理事達の人事が略定期的に短期間で役員が交代している様子が伺えます。これらの殆どが国会議員、政治家達でありこれらは、派閥の議員に一人でも多く東京五輪に関わった証としての肩書を付与させようとする親心の様です。この様な事には、抜け目がないのは、政治家所以なのかも知れません。これも政治家達へのレガシーなのでしょうか。
組織委員会(TOCOG)
役員名簿 役員理事 (2018年11月28日現在)
■名誉会長 御手洗 冨士夫
一般社団法人日本経済団体連合会名誉会長
■会長 森 喜朗
元内閣総理大臣 元文部大臣
公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問
■副会長 遠藤 利明
衆議院議員 元東京五輪担当相、元文科副大臣、元自民党幹事長代理
2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟幹事長
公益財団法人日本スポーツ協会副会長
■河野 一郎 公益財団法人日本オリンピック委員会JOC理事、2016年東京五輪招致
委員会 理事兼事務総長。2020年東京五輪招致委員会理事、組織委会
副会長。一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター
理事長。日本ラグビーフットボール協会元理事。元・独立行政法人日本
スポーツ振興センター(JSC)理事長。
公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構理事長
■竹田 恆和 国際オリンピック委員会委員 公益財団法人日本オリンピック委員会
会長JOC
■山脇 康 国際パラリンピック委員会理事 公益財団法人日本障がい者スポーツ協
会 日本パラリンピック委員会委員長
■猪熊 純子 東京都副知事
■専務理事(事務総長)武藤 敏郎 株式会社大和総研名誉理事
■常務理事(副事務総長)布村 幸彦 元文部科学省スポーツ・青少年局長
■常務理事 平岡 英介 公益財団法人日本オリンピック委員会副会長兼専務理事
理事
作詞家 秋元 康
公益財団法人日本オリンピック委員会理事JOC 荒木田 裕子
公益財団法人日本スポーツ協会副会長兼専務理事 泉 正文
東京都オリンピック・パラリピック準備局長 潮田 勉
福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長
日本政府代表 中東和平担当特使 河野 雅治
東京都議会議員 小山 くにひこ
公益財団法人日本オリンピック委員会副会長JOC 齋藤 泰雄
■スポーツ庁長官 鈴木 大地
■東京都議会議員 髙島 なおき
■株式会社コモンズ代表取締役会長 高橋 治之
オリンピアン(体操) 田中 理恵
オリンピアン(柔道) 谷本 歩実
トヨタ紡織株式会社取締役会長 豊田 周平
公益財団法人日本障がい者スポーツ協会 中森 邦男
日本パラリンピック委員会事務局長
パラリンピアン(水泳) 成田 真由美
写真家 映画監督 蜷川 実花
■衆議院議員 萩生田 光一
2020年東京オリンピック・パラリンピック大会 文科大臣
推進議員連盟幹事長代理
■参議院議員 橋本 聖子
公益財団法人日本オリンピック委員会副会長JOC 東京五輪担当相
■東京都議会議員 東村 邦浩
住友電気工業株式会社取締役会長
近畿陸上競技協会副会長
公益財団法人日本スポーツ協会常務理事 ヨーコ ゼッターランド
公益財団法人日本陸上競技連盟会長 横川 浩
国際オリンピック委員会委員 渡邉 守成
国際体操連盟会長
監事
公益財団法人日本オリンピック委員会監事JOC 黒川 光隆
東京都会計管理局長 土渕 裕
評議員 名簿
https://tokyo2020.org/jp/organising-committee/structure/councillor/
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新役員改正名簿発表(2020年6月12日現在)
■新役員改正に於いては新旧交代か新たに推薦、任命された役員
■名誉会長 御手洗 冨士夫
一般社団法人日本経済団体連合会名誉会長
■会長 森 喜朗
元内閣総理大臣 元文部大臣
公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問
■副会長 遠藤 利明
2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟幹事長
公益財団法人日本スポーツ協会副会長
■ 津賀 一宏
■ 河野 一郎
公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構理事
■ 山下 泰裕
公益財団法人日本オリンピック委員会会長JOC
国際柔道連盟理事
■ 山脇 康
公益財団法人日本障がい者スポーツ協会理事
■ 多羅尾 光睦
■ 武藤 敏郎
専務理事(事務総長)
株式会社大和総研名誉理事
■ 布村 幸彦
常務理事(副事務総長)
■ 福井 烈
常務理事
公益財団法人日本オリンピック委員会専務理事JOC
■理事
作詞家 秋元 康
国際オリンピック委員会オリンピックプログラム委員会委 荒木田 裕子
公益財団法人日本スポーツ協会副会長兼専務理事 泉 正文
東京都オリンピック・パラリンピック準備局長 潮田 勉
福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長
日本政府代表
中東和平担当特使 河野 雅治
■東京都議会議員 小山 くにひこ
■スポーツ庁長官 鈴木 大地
■東京都議会議員 髙島 なおき
■高橋 治之
■田嶋 幸三
公益財団法人日本オリンピック委員会副会長
公益財団法人日本サッカー協会会長
国際サッカー連盟カウンシルメンバー
オリンピアン(体操) 田中 理恵
オリンピアン(柔道) 谷本 歩実
トヨタ紡織株式会社取締役会長 豊田 周平
公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会参事中森 邦男
パラリンピアン(水泳) 成田 真由美
写真家 映画監督 蜷川 実花
■馳 浩
■東京都議会議員 東村 邦浩
住友電気工業株式会社取締役会長
近畿陸上競技協会副会長
■丸川 珠代
公益財団法人日本スポーツ協会常務理事 ヨーコ ゼッターランド
公益財団法人日本陸上競技連盟会長 横川 浩
国際オリンピック委員会委員 渡邉 守成
国際体操連盟会長
監事
公益財団法人日本オリンピック委員会監事/弁護士 塗師 純子
東京都会計管理局長 佐藤 敦
③IOCスポンサーと国内スポンサーとは
IOCのスポンサーシップに関する規定では、1985年から新しい規約、規定が設けられました。それらは、IOCの協賛スポンサーとして最高位(TOP)のスポンサー価値を意味するものです。
その為には、一業種一社方式、即ちIOCのスポンサーに成れるのは、例えば自動車メーカーを選ぶ場合、1メーカーを選定すると他の自動車メーカーはスポンサーには成り得ない事を意味するのです。これは、IOCのTOP(The Olympic Partners)と称される所以なのです。これにより、IOCは、協賛スポンサーをリスペクトすると共にIOCの唯一のスポンサーとしての評価価値を最高位に維持する事を目的としているわけです。
★開催国の組織委が獲得できる国内に限るスポンサー権は、これまたIOCのスポンサーの一業種一社のコンセプトに基づいたスポンサーであり、IOCのスポンサーの評価価値を下げない事が明記されています。しかし、この度国内に於ける大会スポンサー契約は、これまでのIOCのコンセプトの慣例を破る「一業種2社」の契約が特例として認められたのです。マーケテイング担当者の発表では、2015年4月の時点で目標収入額の1500億円を突破したとの事でした。そこで、契約枠には、1社150億円以上の契約金の設定が新たに設けられたのです。
本国内スポンサー契約に関しては、2019年2月19日の朝日新聞朝刊に寄りますと、現在3200億円のスポンサー収入を見込んでいるとの事で、これも広告代理店電通の力によりIOCの慣例を特例にした様子が伺えます。また、この朝刊記事によると、大会組織委会長の森氏の記者会見では、森氏が両脇に日本航空(JAL)社長と全日空(ANA)社長を従え「こうやって仲良くね。オールジャパンの象徴だ」と得意満面な笑顔でしたが、このお方にはスポーツマンシップが必要な環境、組織には似合わないと思うのは筆者だけでしょうか。これは、代理店電通にとっても莫大な手数料が入るのでこの上ないIOCの慣例破りとなった次第です。
この森氏の得意満面な笑顔を読者の皆さんは、記憶の片隅に置いておいて頂ければ、同氏の政治家論理が言行不一致である事が後に明らかになるのです。
この特例は、IOCがよく許可をしたと筆者は驚いている次第です。何故ならば、IOCの商品価値を低下させ、IOCのTOP精神を否定する事に繋がるからです。これは、IOCのパートナーであり、組織委員会のマーケテイングパートナーである電通の力がIOCを動かした事に繋がるのです。しかし、これによりIOCの商品価値が崩れ出した第一歩となる気配が漂い始めたと申し上げても過言でありません。今後のIOCのビジネスコンセプトに禍根を残すことになりそうです。
④国内五輪協賛スポンサーに本命「アシックスがくる」
ここで日本を代表する選手達、役員達が使用する公式ユニフォーム、開閉会式に使用される公式ブレザー、シューズ、等のスポーツ用品・スポンサーサプライアー権の指名が行われたのです。その内容に付いては、明らかにされていませんがどうも最終的に国内2社(ミズノ、アシックス)が競合し、最終的に組織委は、20東京五輪のスポーツ用品のオフィシャルスポンサーサプライアーとして、株式会社アシックス(略:アシックス=ASICS)を指名したのです。
これでスポーツ用品部門のカテゴリーは、ASICSとなったのでした。しかし、本入札の詳細に付いての情報公開は、勿論なされていないのです。聴こえてくるのは、2社の中でアシックス社の提示価格がミズノ社を上回ったという噂が流布されているだけで、真実はこれまた闇の中です。
これにより、大会の国内スポンサーの最高位(ゴールドパートナー)の中で、唯一のスポーツ用品メーカーがアシックス(ASICS)と決定したのです。
アシックスは、既に創業者の鬼塚喜八郎氏の生誕100周年記念で、アシックス会長兼CEO(最高経営者)の尾山基氏は、本オリンピック開催でのスポンサーとなる事は創業者、鬼塚喜八郎氏の夢・悲願であったかに歓喜極まる中で挨拶されたかに聞き及んでおります。悲願の夢が創業者にとっても、会社・企業にとってもかなった事に対して、筆者は心よりお喜び申し上げます。
しかし、これは、ミズノ株式会社の創業者にとっても同じことであったようです。
⑤森喜朗会長の言行不一致を黙認する関係者、マスメデイアの不思議
本件に関しては、本ファイルの「③IOCスポンサーと組織委スポンサーとは」に於いて述べさせて頂きました。本国内協賛・スポンサーに付きましては、IOC、電通の協力により特例として1業種2社枠が設けられ、組織委設置後多くの協賛を得ているのは、既にご紹介致しました。そして、その中で森氏は、1業種2社のスポンサーを従えて記者会見を行いました。森氏は、「こうやって仲良くね。オールジャパンの象徴だ」と得意満面な笑顔を既にK’sファイルでは、朝刊から引用させて頂き、ご紹介しましたので読者の皆さんは御記憶にあるかと思います。
それでは何故この度は、このようなスポンサー規定が1業種2社の方向に当初より動いていた事を承知しながら、長年日本スポーツ界の屋台骨に尽力し、支えて来られたスポーツ用品メーカー2社のアシックス社とミズノ社に対して差別的な振る舞いをされたのか。何故JALとANA同様に仲良く協力したスポンサー契約を図れなかったのかと筆者は、大会組織委会長の矛盾した裁定(言行不一致)に何か不純でどす黒い政治家としての深層心理を感じざるを得ないのです。これには、森会長と尾山アシックス会長兼CEOが石川県金沢の同郷であった事が関係しているのではとの噂までが業界で流布している所以なのかも知れません。此れは、まさに片手落ち裁定だったと残念ながら申し添えさせて頂きます。
このような裁定では、日本国民が納得しないまでもなく、オリンピックの祭典を司る東京五輪組織委員会として何とも筋の通らない一貫性が欠落した論理が罷り通るようではスポーツ・アドミニストレイションの根幹に欠陥があったのでないかと思わざるを得ませんが、読者の皆様は如何でしょうか。
また、筆者は、これでは選ばれた株式会社アシックスに対しても何か傷を付けたような印象を与えてしまったような気がしてなりません。この事に関連して、また新たなる被害者が出現か。
文責:河田 弘道
スポーツ・アドミニストレイター
スポーツ特使(Emissary of the Sports)
紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著者 武田頼政
お知らせ:第六弾:公益財団法人2020東京五輪組織委「1.20東京五輪からミズノスポーツが消えた」は、長編となりましたので、今週は、此処までとさせて頂き次週NO.138は、第七弾で続編を掲載させて頂きますのでご了承下さい。