NO.28 河田弘道のトーク・ライブ:Q & A PART Ⅲ. 無断転載禁止

NO.28 河田弘道トーク・ライブ:Q & A PART Ⅲ. 無断転載禁止

             注:106日開催しましたトーク・ライブに於きまして、時間の都合で皆さま  からのご質問にお答えする事ができませんでした。当日主催者からのアナウンスがありました通り、本BLOGでご回答させて頂きます。尚、皆さまから頂きました、沢山のご質問は、書面の都合で幾つかのカテゴリーにまとめさせて頂きご質問に対するご回答とさせて頂きました事をご理解とご了承下さい。

 

Q 5:日本にも、大リーグのドラフト5みたいな事が必要でしょうか?

A5:本来なら、MLBのようなルール5ドラフトは、日本のプロ野球が今後共存共栄に目覚めてフェアーな球団運営、管理を目指すのであるなら必要であり、球団、選手双方にメリットが大きく、ファンの皆さんに取りましても別な楽しみ方、興味と夢が広がるルールです。しかし、日本プロ野球界の場合は、選手会があまりにも非力であり、球団保有選手をリ・ドラフト(正規ドラフト後に行われる再配分)するシステムは、球団経営者に反対され、潰されてしまうことでしょう。

   MLBには、トーク・ライブでもお話しましたが、日本と異なりファームシステムが共存共栄の原理原則に基づいて確立されています。また、このシステムは、未成年、高校生の未熟な心身を保護育成する為に必要な素晴らしい制度であります。MLBには、米国に30球団(1球団はカナダに)が存在する事を忘れてなりません。また、その30球団個々が、翼下にファームとして、3A2A1Aルーキーリーグとレベルの異なる組織を全米及び、中南米に持っており、その規模とレベルは、NPB日本野球機構)と比較できるものではありません。

 ご参考までに~

*ルール5ドラフトの全体像とその趣旨、目的:これは、MLB規約の第5条に規定されているからそう呼ばれるのですが、どういう目的の制度かと申しますと、有望な選手がマイナーで飼い殺し状態になっているのを防ぐためにチャンスを広げるというのがその目的です。ですので、対象選手はすでにファーストイヤー・プレーヤー・ドラフトで選択されて入団している既存の選手ということになります。  メジャーリーグは、25人枠のアクティブロースター(現選手登録リスト)にリストされ、いわゆるベンチ入りを認められた人数です。これに入らないとゲームに出られません。その25人枠に入るためには40人枠に入っている必要があるわけです。その40人枠がいわゆる、「メジャー契約」の選手で、それ以外の選手が「マイナー契約」の選手です。

  メジャー契約かマイナー契約かで選手にとっては待遇も違いますし、この差は非常に大きいです。一方の球団側も財源が無限ではないわけですから、ある程度予算を取っておく必要があり、制度として40人枠というロースター(選手登録リスト)のシステムが出来上がりました。 ですので、せっかくのいい選手なのに、球団側の都合で、何らかの理由で試合には出せないけれど、どうしても将来のために囲っておきたいということも出てきてしまうのです。  そうなると、寿命の限られている選手にとってはまさに死活問題です。そういったケースをなくして、MLB全体にとってもいい選手にチャンスを与え、ゲームに出場させていくために、再配分しようというのが、このルール5ドラフトのコンセプトです。ベースボール・ビジネスマネージメントに於いては、素晴らしいビジネスチャンスにもなっていると思います。

  

Q 6:現在、日本には真のスポーツ・アドミニストレーターは、河田先生しかいないと思いますが、河田先生が認めるアドミニストレーターはいますか(または期待する方はいますか)。河田先生はご自身の後継者を残すおつもりですか。

 A 6:期待したい方々は、沢山いますが学ぶ場所と環境が整っていません。日本の大学に於きましては、幾つか科目として(スポーツビジネス、スポーツマネージメント、スポーツ科学個々の科目、等)講義授業を行っていますが、これら専門分野、部門を統括するトータルマネージメントを指導、実践する為の科目が各大学には、存在しません。

 現存の個々の科目に於いて、大多数の指導者の特徴は、実践の裏図けがあって指導されている教員があまり見当たらないという事です。これからは、できますれば個々の科目に於かれましても専門分野、部門の実践経験が一度社会である人材が、大学指導を行える学位を取得されてから、大学教員となられる事で受講する若者達にダイナミックな講義授業が展開でき、学生達により一層強い興味を持って頂けると確信する次第です。これらは、今後各大学の経営者、教学統括責任者の価値観と見識に委ねる事になるのでしょうか。

 残念ながら、文科省スポーツ庁に於いては、スポーツ・アドミニストレーション、アドミニストレーターがこれから必要であると言い始められているようですが、同省庁にご専門が居るとは思えませんので是非同省庁の関係者も一緒に学んで頂きたいと祈念致しております。

  勿論、私は、学問、そして実践経験、体験を若者たちに全てセアーし、沢山の後継者が日本から育ってくれることを願っていますし、また残したいと思っています。そのために、日本の大学の教壇に立つ事を決意した次第でした。日本の将来のスポーツ界の向上と発展には不可欠な専門分野、部門です。

 私は1980年に、それまで米国の大学で勤務しておりましたが、日本に軸足を移しました。それ以降、実際の現場に立って、企業の競技スポーツ、プロ競技スポーツ、各種国際競技大会のTVコーデイネーター、プロデユサー、スポンサー、広告代理店、等の経験と体験をさせて頂きました。その後、専門分野でありますスポーツ・アドミニストレーション論、スポーツ科学を日本の大学の若者たちに伝えたく、理論と実践の重要性を指導する事を趣旨、目的に約10年間講義授業とそれに付帯します専門ゼミを担当して参りました。

  日本では、初めて中央大学総合政策学部に於いてスポーツ・アドミニストレーション論(略・SAD)を講義授業、その付帯専門ゼミをファカルテイリンケージ・プログラム(FLP)に於いてスタート致しました。SADの講義授業は、選択科目であり他学部(総合政策、商学、経済、法学、文学、理工)からも履修可能なので大変多くの男女学生が毎学期履修登録されて居ました。また、河田ゼミには、毎年履修定数の数倍にあたる応募がありましたが、全員を受け入れることは難しいため、FLP事務局にお願いして定数以内にとどめて頂いておりました。一方、他の複数のスポーツゼミでは履修学生が0との事態もあったことから、日本の学生達は、SADに大変強い興味とこのスポーツ業界に進みたいという強い意識を肌で感じました。しかし、大学側は、学生達の強いニーズとは逆にスポーツにあまり関心の無い教学執行部で在りましたので、学生達が気の毒でした。(日本の大学での現状と現実より)

  このように、日本に於いてSADが世界の先進国に比べてあまりにもレベルが低いと先進国から揶揄されていますので、何とか少しでも先ず若者に興味と、SADとは何か、から根付かせていこうと大学で教鞭を取らせて頂いた次第です。実態として、学生達は、大変興味とやる気があるのに大学側は全く意欲を示さず、大学生が可哀想でした。よって、過去の経験から申し上げますと、先ずは、大学が学生達のニーズに合った専門科目、コース、そして専門課程を設置する事が先決であると思います。それにより、河田のSADの後継者は、水を得た魚の如く生き生きと成長して、大海に出て行くと確信致しました。

 先ずは日本の大学の経営者、教学管理者が体育と、スポーツ及び競技スポーツとでは概念や本質が異なる事の専門知識と創造性を持って頂く事が先決だと感じています。ご回答になっていましたら幸甚です。

 ご参考までに:河田弘道BLOG

NO.2 「スポーツアドミニストレーション論とスポーツアドミニストレーター

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NO.3  河田弘道の「日・米のスポーツ・アドミニストレーションの違いと疑問」

                    著者:河田弘道  無断転載禁止 

NO.11  河田弘道の限られた体験より:日本の大学の経営者と管理者  無断転載禁止

     :大学選びは慎重に :私立大の経営基盤と情報公開の必要性

 以上を持ちまして、河田弘道トーク・ライブでの質疑に対する回答を終了させて頂きます。

 河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

 *お知らせ:次回からは、日本の大学競技スポーツ編として、「大学箱根駅伝河田の 素朴な疑問」をスタートする予定です。驚かないで下さい。