K’sファイルNO.53:大学競技スポーツ・アメリカンフットボールの出来事 無断転載禁止

K’sファイルNO.53:大学競技スポーツ・アメリカンフットボールの出来事  

                                                      無断転載禁止

 注: K’sファイルNO.52のお知らせでは、次回「NO.53:ハリルホッジ監督の突然の解 任に思う」を予定しておりました。しかし、読者の皆様から、アメリカンフットボールの反則問題が社会問題となっているので、専門的な知見をK'sファイルに掲載して欲しい。とのご要望が寄せられております。そこで、今回NO.53から複数回の予定で連載させて頂くことにしました。どうかご理解とご了解頂けましたら幸いです。

 

PARTⅠ 緊急特別寄稿:日大アメフト指導者の指導理念の破綻と犠牲者

先ず初めに、

本緊急特別寄稿は、スポーツ・アドミニストレイターの視点で問題の起因とそれに至る本質を述べさせて頂きます。

掲載内容は、現在TV、マスメデイア、スポーツジャーナリスト、等の方々及び本件関係者の報道内容と異なる視点かと思われますが、ご承知おき下さい。尚、本件の被害者側は、521日に被害届を提出され、受理されていますので捜査に影響を及ぼす内容は控えさせて頂きます。

1.本件の概要

この度、201856日に行われた日本大学(略:日大)対 関西学院大学(略:関学大)の大学アメリカンフットボール定期戦(シーズン前の練習試合)は、一般社団法人・関東学生アメリカンフットボール連盟(略:関東学連)主催の下開催されました。

定期戦に於ける反則行為は、日大の守備専門選手(DL:デイフェンシブ・ライン守備位置の名称)が関学大の攻撃専門のクオーターバック(略:QB:攻撃司令塔の名称)選手の無防備状態及び、QBの視覚外の後方からの不意打ち攻撃を仕掛けた超危険度の高い違反行為を行った事に起因しました。

この反則行為を巡る問題は、関学大側のマスメデイアを通してのアピールにより明らかとなり、現在(5月23日時点)社会問題の一つになっている次第です。

近年は、映像機器、情報機器の発達により手軽に撮影記録が可能となり、その映像をソーシャル・ネットワーク・サービス(略:SNS)に投稿して自由に拡散できる時代です。今日のSNSは、良い意味での正義の証拠(エビデンス)が映像音声で残ります。この度の悪質な違反行為は、このような状況から隠し切れなくなったのも事実です。今後は、他大学に於いても常態化している同類の問題も勇気ある内部関係者、一般学生、ご家族のSNSへの投稿がきっかけとなり公開される可能性があります。読者の皆さんは、TVマスメデイアの映像を何度も見ておられると思いますので状況は、既にご承知の通りです。

本件に関しマスメデイアの報道が過熱している現状から、読者の皆さんは、個々の視点と価値観で評価、判断されている事と思います。

今日迄の報道の殆どは、反則行為の現象を中心とした学生選手、日大監督及び指導者達への批判と関西学院大学側の動向に関する周辺話題で、本質的な部分に触れていないのが残念です。これにより、二次、三次的な被害者を醸成する方向に向かっているのが心配です。視聴者、読者の皆さんは、現在のマスメデイアからの表面的な情報では真相を理解し難いのでないでしょうか。

このような事件、事故に対しては、マスメデイアとは異なる冷静沈着な客観的な視点で大局及びその本質を見失わない事を願う次第です。

筆者は、当該大学と酷似、或はそれ以上な信じられない指導者、管理者、経営者の大学及びその法人を存じています。日本の大学競技スポーツの本質的な問題をこれから筆者の体験も加味しながらお伝えできたらと思います。

2.真相究明なく欠席裁判はアンフェア

主催者の義務と責任、

この意味は、注意しなければ取り返しがつかない事が起こり得るという事です。それは、直接的違反行為を行った日大の学生選手は、実行者であります。だからと言って、同学生選手(現在弱い立場)を公正な裁きも提供しないで、全マスコミメデイアは、視聴者、社会、国民に対して偏った映像・情報を繰り返し配信するのは如何なものでしょうか。

本映像を毎日繰り返しレピートすることは、被害者、加害者のみならずアメフトを本当に好きでプレイし、指導している多くの健全な関係者に心理的トラウマを移植する事になりかねませんことを申し添えさせて頂きます。マスメデイアの良識ある対応を期待。

同学生選手には、自らの発言の機会が大学からも主催者からも与えられていません。本競技を主催した関東学連は、加害者学生選手及び、同選手の指導責任者である、デフェンシブコーデイネーター(守備統括管理コーチ)、ヘッドコーチ(監督)、ゲーム担当の審判クルー等への公平中立な事情聴取、審議、結論、等の会見、スケジュールの公式発表にこれ程の日時を要する事への疑問を抱きます。

関東学連は、事故発生後独自のサイトを通じて、複数回「現状について」を発信しているようですが、このような主催者対応の遅れがより一層本件に関しての混乱と社会問題を引き起こし、関係者に苦痛を与えている大きな要因の一つです

現在弱者の立場に居る加害者学生選手をマスメデイアによって、欠席裁判的な報道は、謹んで欲しいと切に願う次第です。

本学生選手には、違反行為を実行した理由と動機がある筈です。

何故、主催者は、本違反行為に対する対応、処置を速やかに取り行ない速やかな情報公開を行わないのでしょうか。此処に本件の大きな問題の隠れたキーの一つがあるように思えてなりません。関東学連は、どのような学閥の大人が運営、管理しているのか誰もが疑問に思わないのも不思議です。

読者の皆さんは、どう推理されていますか。

主催者は、速やかに記者会見を行い、当事者、社会に対する情報公開を行う事が最重要な責務です。本件がこれほど社会問題に発展していることは、主催者にフットボール・アドミニストレイターとしての能力、強いリーダーシップと組織、団体としての危機管理システムが欠落していることから機能不全を起こしていると考えられます。

加害者学生選手にフェアーな発言機会を、

この度の加害者選手には、本来なら所属大学、大学広報、アメフト部長が学生選手をサポートする側で記者会見を設定して事の次第を説明、被害に遭った学生選手、テイーム、大学への謝罪をする機会とセッテイングをするのが健全な大学の姿勢だと思われます。或は、主催者である関東学連の代表者、審判クルーの責任者が同席して、日大の当該学生選手に発言の機会を設けるのが筋だと思われます。しかし、いずれも今日の時点では、行われていません。

 注意News522日午後、日大、加害者学生選手は、日本記者クラブに於いて自身とご家族の自主的な意思“真実を話すことが謝罪の第一歩と考えて”との陳述書を読み上げ、同学生選手側の弁護士同席に寄り質疑応答を行いました。」

また、この度の日大テイームのアメフトコーチングスタッフ、監督には、主催者である関東学連同席に於いて公式な本件に関する記者会見を行う義務と使命がある筈です。日本アメフト協会及び関東学連は、当該指導者達に対するヒアリングを行い、本競技スポーツに対する指導者、管理者としての適性の有無も含めた審査、精査を行い情報公開する事は重要な責務でもあります。

今日この時点に於いても、当該競技団体は、リーダーシップも事の次第の会見、情報公開も行わないのは異常であり、フットボール・アドミニストレイションのレベルの低さを物語る何ものでもありません。

余談:米国の大学競技スポーツ(NCAA=全米大学競技スポーツ協会に加盟登録している競技スポーツの意味)の各種目の指導・管理責任者は、伝統的に大学の競技・スポーツに関係する修士号以上の学位を有する人材が雇用対象となっています。日本の大学競技スポーツでは、如何でしょうか。

3.学連は大人の学閥と片手間利権の寄合か

学連の位置付けと建前論、

大学競技スポーツの学連組織の大義は、「学生達の自治活動として位置付け、学生達が運営、管理をしている」という建前がある事です。

実際は、利害、利権に関わる大人達が大義を隠れ蓑として葛藤を繰り返している団体なのです。本関東学連に於いてのサイトコメントに、「連盟の理事は多くが日中の仕事(本業)を持っている一般の社会人である」と告知しています。この意味は、本業を持っていて連盟の運営、管理を片手間でやっているので作業をする時間がない。と言い訳をしているのです。このような主催者では、本件の対応能力及び処理、解決能力が有ると言い難いす。

即ち大学競技スポーツを運営、管理している、各種競技団体の学連は、大義と矛盾した大人の社会人達が運営、管理しているのです。このような大人達の集団であれ、学生達の自治活動であれ、関東学連は、組織、団体としての問題処理能力を遥かに超えたイベントを運営、管理している事が明らかになったのです。

(この事詳細は、既にKsファイルNO.2933(大学箱根駅伝は誰の物)で具体的に解説させて頂いておりますので是非ご参照ください)。

読者の皆さんの中には、「アメリカンフットボール(略:アメフト)なる競技スポーツを今回の騒ぎで、映像を通して初めて知った」、との方々も多くいらっしゃるのでないかと思います。これを機会に本競技スポーツのバックグラウンド、基礎知識を少し付与させて頂いてから本論に入った方が理解しやすいかと思います。

4.アメフトの特徴と基礎知識

フットボールゲームの発祥とゲームコンセプト

本競技スポーツは、米国を発祥の地としております事を先ずご紹介します。米国に於いては、本競技スポーツを「フットボールFootball」と呼びます。また、サッカーは、Soccer Footballと呼び、ラグビーは、Rugby Footballとそれぞれ呼びます。日本に於いては、「アメリカンフットボールAmerican Football」と呼びます。

米国生まれのフットボールは、どのようなコンセプトでデザインされた競技なのでしょうか。フットボール競技の原型は、陸軍の「戦場の闘い」をコンパクトにして専用スタジアムのフィールド(サイドライン長さ:109.73エンドライン長さ:48.76mの長方形のリング)に持ち込み、守備部隊と攻撃部隊を一つのテイームとして編成し、攻守の部隊が互いに入れ替わり、相手陣地を歩兵部隊が各ヤード単位で前進しながら攻め入る競技なのです。

攻撃陣の歩兵部隊は、相手の守備部隊が強固で崩せない、突破できないと判断した時に初めて、攻撃担当指揮官が、空軍の出動を要請して攻撃司令塔のクオーターバックQB)に、ミサイルロケットに見立てたボールを相手の守備部陣地に投げ込む指令を発し、空中戦に持ち込むのです。

QB選手によりミサイルが相手陣地に投げ込まれる事により、守備部隊が混乱する事態に乗じて、攻撃陣のQBのボールをキャッチすることを任務としたワイドレシーバー(略:WR-走りながら投げられたボールを敵陣地内で受けて走る役目)選手がボールをレシーブしてそのまま相手敵陣地を突撃し、ゴール(タッチダウン)をして勝利を競うといった、いわば“戦争ゲーム”と言えるでしょう。

指導者、管理者の重責と審判クルーの特殊性、

このような特徴の競技スポーツの性格から、ボールゲームの中で最も身体接触の激しい競技であります。

戦場をモデルにデザインされた本競技スポーツは、特に担当コーチ、監督による戦術の選択、決断、指示、決行は、自軍にとって絶対的ライフラインであるので、事は正確且つ遂行あるのみなのです。その為に、決断、指示を出す担当者(指揮官)は、細心の注意を持って自軍の選手に安全でベストな方法を選択するのです。それは、勿論対戦相手の選手へのリスペクトも同様にある事が前提なのです。

これは、他のボールゲームに於いても同様ですが、特にアメフトは、激しい身体接触を特徴としますので、厳しいルールの下にゲームがデザインされています。その為に、競技の迫力も他の競技スポーツを追従させない魅力を有するのです。よって、本競技スポーツは、絶対的な「正義JusticeとフェアネスFairness」をその根幹としています。その為には、競技規則とそれに対する罰則は、詳細且つ明文化し欠かすことのできない唯一無二の存在です。

このルールを公平中立な立場で、競技を進行させる役目は、当日の審判団(クルー)が全権を掌握しています。本審判クルーは、何ものにも影響を受けない強い信念を持って、起きるであろう、あらゆる反則行為に対して、判断し決断そしてジャステイス(正義)のホイッスル(笛)を吹かなければなりません。両対戦校は、この審判クルーの判定に対してリスペクトの心を持って従う公約をしているのです。

5.組織としての対応が不備

学連組織への素朴な疑問、

このような競技スポーツを統括、運営、管理する、主催者(関東学連)は、フットボール・アドミニストレーションを熟知した、強いリーダーにより組織、団体のコンプライアンス、ガバナンスが遂行されているのかどうかです。筆者は、此の程の事態に対し素朴な疑問を持たざるを得なくなった次第です。

本来ならば、当該大学の関西学院大学日本大学は、加盟、所属する関西、関東学生アメフト連盟に先ず提訴する事です。そして関西学連は、速やかに主催者の関東学連と協議し、主催者は関西学連同席で本件の経緯と今後の結論を導く作業スケジュールの情報公開を行う事が先決で不可欠でした。これは既に述べました通り、日本の大学競技スポーツを運営管理する学連組織、団体の大義とその矛盾が、このような事態に於いて機能していないことを証明していると思われます。

この度の関西学院大学、アメフトテイームのアピールの仕方を拝見して、両学連の組織、団体が機能しない団体なので、独自に速やかな対応と行動を決断されたのでないかと推測致します。

両校への御願い、

両校の学生選手達は、希望と夢に輝いた素晴らしい学生選手が沢山居ると思います。その学生達の未来とアメフトを奪う事のないよう両校の大学法人経営、管理責任者、大学教学責任者には、勇気を持って手を差し伸べて頂けることを切にお願いする次第です。この度のフィールドでの事件、事故は、大学内のスポーツ・アドミニストレイションの未熟から来る指導者、管理者の問題であります。学生選手は、本競技スポーツの特性から指導者の指揮命令に従わざるを得ない関係である事をご理解下さい。これにより、選手側の心理状態は、指導者、管理者が十分に理解し、配慮した上で指導、指示を出さなければなりませんことを重ねて申し上げる次第です。

6.時事の動向

519日:日大監督(兼法人常務理事)の動向、

日大内田正人監督兼日大法人常務理事は、関学大へのお詫び行脚の際に「私は辞任します。全ては私の責任です。」と述べたと報道されています。これは、本人が何に対する責任で辞任に結び付けているのか非常に理解が難しいと思われます。このような手法は、現在何一つ真相解明に至っていない中、辞任をチラつかせて全ての問題の本質に触れないとの予防線とも考えられます。

加害者の学生選手、被害者の学生選手に対する真相究明と処分、処置を完了する責任、義務を背負う当該監督としての責任を果される事が職責であり、責務です。辞任は、その後で行うのが常識でないでしょうか。

521日:被害者は、被害届を提出、受理される。

5月22日:日大、加害者選手の自主会見が日本記者クラブで行われました。会見では、陳述書を本人が読み上げ、その後質疑応答があり終了しました。本人、ご家族の勇気ある決意と行動に対して、心より敬意を表します。

筆者は、このような学生選手、ご両親が1人でも多く出て来られる事で、何よりも日本の大学競技スポーツの改善と改革、発展を推進して頂けると確信を持ちました。どうか同じような現状の他大学の学生選手、ご父母には、行動する勇気を本学生選手により頂いたのでないでしょうか。本件の加害者学生選手も真の被害者なのかも知れません。

会見からは、素晴らしい学生選手であると感じました。内容の詳細に付きましてのコメントは、既に被害者から被害届が提出、受理されていますので差し控えさせていただきます。同学生選手は、強い気持ちを持って自主的に真実を述べた正直な自分を褒めて挙げて下さい。天の神様は、きっといつかあなたを許して下さると思います。貴方は、忠実で正直な学生選手(Student Athlete)です。

523日:日大記者会見(内田監督兼人事担当常務理事、井上コーチ出席)

昨日の当該学生選手の陳述書に対する否定会見に終始しました。終了時に井上コーチの辞任を確認した。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sport

お知らせ:本NO.53では、本論に入る前の予備知識を述べました。次回KsファイルNO.54では、問題の本質を正直に述べさせていただきますので、関係者は、何かお役に立つ専門知識でないかと思います。お気を悪くなされないで下さい。