K'sファイルNO.130:東京五輪を迎える日本国の試練(2)

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K'sファイルNO.130:東京五輪を迎える日本国の試練(2)

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日公開予定

目次

■我々国民は国難に結束できているか

マスメデイアの真の使命は何か

パンドラの蓋を開けた勇気ある米国紙

マスメデイア企業の忖度の使い分け

★紹介 Washington Post Sports ColumnistMs. Sally Jenkins

■筆者の素朴な疑問

筆者の私見

時事の出来事:

2018-02-22 

2020東京五輪リマインド・シリーズ【2

第二弾 2020東京五輪の不可解なリーダー達

1.スポーツ・マスメデイアはレポーターでよいのか

      ①日・欧米のマスメデイアの本質的な違い

     ②米国のマスメデイアの特徴

余談話

2020326日、木曜日 公開

我々国民は国難に結束できているか

マスメデイアの真の使命は何か

我が国の社会、国民は、正義(Justice)と公正・公平(Fairness)の筋を通す(to make sense)倫理観を見失ってしまっている感が致してならないのですが読者の皆さんはどの様に感じられますか。今日の国政、スポーツ組織、団体を司る責任者の多くは、社会に於けるモラルの一線を越えてしまっていてもその閾値が何処でそれが何を意味しているかを理解、認識されていない方々を多く見受けられます。

この様な重要且つ危機的状況下に於いても、日本の大手マスメデイアは、東京五輪の中止、延期、強行の是非の論調を掲載、議論することさえタブー視され避けて居た様で、つい先日まで一切を語ろうとしなかったのです

此れでは、日本のマスメデイアは何処かで暗黙の情報操作がなされていると海外から揶揄されても返す言葉もないのでしょうか。これは、まさにグローバル世界のジャーナリズムに逆行する社会主義国の管理体制のように感じられてなりません。マスメデイアが自由な口を塞がれたのであればこれでは国難に立ち向かえるはずもありません。新聞、TVにお務めの記者、報道の皆さんは、社内での抑圧とストレスの日々ご苦労様です。マスメデイアの記者、報道関係者は、決して虎になれども羊にならぬよう使命を全うして下さい。

世界中の目は、今やコロナウイルスの次に東京五輪の動向に対する情報を静視しているのです。特に世界のスポーツファン、アスリート、関係者達は、日本のマスメデイアがいつ本件に関する誠実で正直なニュースを発信されるのかと今か今かと待ち望んでいた次第です。しかし、海外メデイアは、もうこれ以上日本のマスメデイアの発信を待つことはできないと判断し、独自の取材攻勢を仕掛けて来たのが米国の経済紙ウオールストリート・ジャーナル(WSJ)であったと思われます。この度は、米国のブルーム・バーグ通信社の先手を打ったのでしょう。海外メデイア(英国の複数のマスメデイア)は、Nike厚底シューズの報道同様常に競争の原理原則に立って取材活動が行われています。

パンドラの蓋を開けた勇気ある米国紙

2020311日:森喜朗氏(東京五輪組織委員会会長)は、同委員会の理事で元電通専務の高橋治之氏が、ウオールストリート・ジャーナル紙の取材に応じ「新型コロナウイルスの感染拡大により五輪開催が難しい場合、1、2年延期が現実的」と回答した事に対して、「正直、驚いた。とんでもないことをおっしゃったな」と、憤慨した様子をマスメデイアに話したのです。また、同会長は、高橋理事に電話で確認した結果本人から「ちょっと口が滑った。大変申し訳ないことを言ってしまった。大事な時期に軽率な発言で、ご迷惑をおかけした」と言っておられたとフォローをしたのでした。そして、「予定通りに開催する方針に変わりない」、と報道内容を打ち消されたのです。この一連の丁々発止が組織委員会内のガス抜きの為のデキレースでなかった事を願う次第です

大多数の日本国民、社会は、大手マスメデイアと東京五輪組織委員会が利害、利権の関係にあるなど知る由もないと思われます。ましてや、世界の人達は、日本の大手マスメデイアが東京五輪組織委員会TOCOG)のスポンサーとなっている関係で、組織委員会の意に沿わない情報は発信できないなど知る由もありません。このような社会のモラルに反する構造と仕組みは、業界に於いても社会に於いても常識では考えられない関係である事は言わずと知れた事です。

先日、痺れを切らしたWSJ紙は、TOCOGの理事職にある高橋治之氏(元電通専務取締役)を単独取材し、インタビュー内容を掲載しました。その内容たるは、TOCOGIOC、日本政府が一番神経をとがらせ、封印している内容に触れていた事です。

内容は、既にご紹介致しました通り組織委員会の重鎮達が目くじらを立てる程の内容ではなく、誰もが感じているごく当然な疑問に触れただけだったのです。この外電の掲載記事の後を追って、日本のマスメデイアは、本ジャーナル紙を引用する形で初めて各社一斉に重い腰を上げ報道し始めたという報道姿勢と内容も二番煎で在った次第です。しかし、国内マスメデイアにとっては、日本政府、TOCOGIOCが封印しているパンドラの蓋を開けたのが、事もあろうか組織委員会の理事で元電通専務であった事に感謝しているかも知れません

 

マスメデイア企業の忖度の使い分け

東京五輪組織委員会の忖度を受けているかのような日本のマスメデイアは、海外マスメデイアが火を付けない限り、担当記者は書きたくともデスク、整理部、等に書かせてもらえなかったのが実態です。この様な海外メデイアの後追い記事を常に配信、掲載するマスメデイアにしてしまった業界経営者達は、日本国、国民、社会に取っては本当に国を危うくしているのかも知れません。我が国のマスメデイアのジャーナリストとしてのプライドは一体どこに消え失せたか、或は、元々無かったのか、是非JUSTICE(正義)を持った強いジャーナリストが出現することを今こそ国民、社会が待ち望んでいる筈です。此れでは、若者達がジャーナリストを目す興味が段々と失せているのは、ただ単に大学に於ける専門学部、学科の指導の問題のみならず、マスメデイア企業に於いて今日尚改まらないJustice無き、真実を封印したスポーツ・マスメデイアだからかも知れません。

東京五輪は、日本国で行われる世界最大のスポーツイベントで在り、これに関するニュースソースを最初に入手できる環境にありながら、海外のマスメデイアに先を越されてしまったのです。それも組織委員会のキーマンの1人で理事でもある高橋氏(元電通専務)の取材に成功したWSJ紙に日本マスメデイア界は、9回の裏にサヨナラホームランを許したわけです。これにより国民、社会は、一気に中止か、延期かの選択の流れに向かい始めています。先日は、通信社の調査によりますと国民の約70%が東京五輪を開催するべきでないと回答しています

しかし、2020319日現在、自民党総裁安倍晋三氏、東京都知事小池百合子氏、TOCOG会長の森喜朗氏は、「東京五輪は通常通り開催します」と強硬な姿勢を崩していません。その根拠は、全く説明しない無責任な表明です。

それにしても、この度の高橋氏は、自身の立場も弁えずWSJ社の取材を受けたことは、「東京五輪に高橋電通有り」と最後の花火を挙げたかったのかも知れません。このような人物をTOCOGの理事として推薦、任命されたのは、他でもない森喜朗会長その人でしたので、国会議員が致命的な一大失言をして任命権者が責任を取らない我が国の政府と同じ構造とシステムであるまさに日本の政治家手法と申し上げた方が、解りやすいかも知れません。

 

筆者の素朴な疑問

東京五輪組織委員会は、組織を束ねる強力なトップスポーツ・アドミニストレイターとしての真のリーダーが必要であったと思われます

森喜朗会長は、組織内に①武藤敏郎事務総長、②遠藤利明理事(現公益財団法人日本スポーツ協会副会長、元オリンピック担当大臣、現自民党国会議員)、③萩生田光一理事(現自民党、文科大臣)、④橋本聖子理事(現自民党JOC副会長、五輪担当相)、⑤桜田義孝氏(元オリンピック担当大臣、現自民党国会議員)達他の重鎮達を従え、理事会内を牛耳って来ています。しかし、本件に関する危機管理に於けるメデイア対策のすり合わせができていなかったのもこれら政治家達の脇が甘かったのかも知れません。

大変お気の毒なのは、順天堂病院の治療室で日夜治療を継続して受けて居る森喜朗氏を急遽背広に着せ替え病院から一時抜け出させ、慌てふためいた血相で緊急記者会見の場に立たせる事自体が、危機管理体制が全く出来ていないとお見受け致した次第です。スポーツのコンセプトは、人の健康が第一でありスポーツ組織のリーダーたるは身心が健康であることが大前提で非常に重要であると思います。

高橋氏(TOCOG理事、元電通専務)は、米国のウオールストリート・ジャーナル紙のインタビューで組織委員会の理事としての立場でなく、電通企業の代表としての論理を述べたと考えるのが自然でしょうか。この電通の試案がやがてIOCのバッハ思案へと移行して行っているのではないかと危惧する次第です。TOCOGの森会長を取り巻く重鎮達は、この発言に対して「けしからん」と言いながら、自らは矢面には立とうとせず、重病で入退院を繰り返している病人の森氏を記者会見させる為に毎度引っ張り出す所に東京五輪組織委員会の構造とその本質、そして取り巻きの力量が透けて見える気がしてならないのは筆者だけでしょうか

彼らは、森氏に高橋氏に電話をさせ、高橋氏の発言内容の火消しに駆けずりまわし、行きあたりばったりで肩書だけの素人の運営・管理者達の姿のように思えてなりません。このことからも、世界最大のスポーツイベントの統括責任者(会長)に森氏(病人)を推挙する所に組織委員会理事達の見識と思惑が最初から疑われ、東京五輪の問題の本質が此処に潜んでいると思われる次第です。これでは、TOCOGの理事、評議委員達は定款を満たすためのお飾で、職責、使命が果されていないまさに我が国の談合文化のお手本なのかも知れません。

 筆者の私見

東京五輪開催の有無は、嘗ての五輪歴史の中でも異例の状況下に於いて決断を迫られているのです。此処で整理して於きたい幾つかの事項があります。それらは、

IOC会長の告知です。同会長は、「本五輪開催の是非に付いては、WHO(国際保健機関)の指導、指示に従う」と明言を既にしました。この事から同会長は、IOCとして独自の判断で決断することを避けているのです。

②開催都市の東京都知事は、「開催しないなど全くありえない」と明言。

東京五輪組織委員会の会長は、「予定通りに開催する方針に変わりない」と明言しています。

④開催国日本政府の安倍首相は、「完全な形で開催します」と真意不明な言い回しで公言しました。

此処で各組織・団体、機関の最重要責任者代表は、何方もが公言した事に対する「根拠」とその「責任の所在」を明確にしていない事です日本国内に於いては、約70%の国民が「五輪開催はやめるべき」と意思表示をしています。これら国民は、現在のマスメデイアの報道内容、社会の状況を鑑みての回答であると確信します。しかし、②③④の都民、運営組織委員会、日本国民、社会を代表する人達は、国民の心情と真逆なリードをするのであれば、何故国民を説得させる、できる根拠を具体性を持って説明をしようとしないのか国民の代表者達は、国民が知り得ない「重要な根拠」があるので、国民の意思を無視してまで突き進もうとしていると誤解が生じていることすら気付かないアドミニストレイター達なのかも知れません。

その方々が幾ら「アスリートファースト」と語ろうとも誰も信じていないのが寂しい限りでもあります。②③④の代表責任者達は、真にオリンピック大会の理念、趣旨、目的をご存知なのか。ここで、何の為に日本に五輪を招致したのかの強い理念とコンセプトが欠落していたので、自らの判断すらできなくなるのです。

スポーツの原点は、人々の健康、安全、平和があってこそ成立するのです。このような国内外の状況を鑑みて、代表責任者達は、今一度私的な野望、誘惑、欲望を捨て、スポーツに関わる全ての人達をミスリードすることなく、万民の声に耳を傾けられる度量と人間で在ってほしいと願うのは筆者だけでしょうか。

時事の出来事:

2020年3月20:米国紙Washington Post電子版は、「東京五輪の即時中止求める」とした記事を配信しました。K’sファイルの読者の皆様も既に日本語版をお読みになられているかと思います。この記事は、Sally Jenkins記者によって書かれた記事です。WP紙のスポーツコラムニストとして大変著名な方です。NOC、各国際競技団体、そしてアスリート達に発言する勇気を与えました。各国関係者は、IOCに対して“NO”のシグナルの声が高く響き渡るようになってきています。これは、真のマスメデイアのジャーナリストのパワーと評価します。「Shut the Olympic Games down」By Sally Jenkins Columnist March 20, 2020 at 2:55 p.m. EDT 原文に興味ある方は、URLをご検索下さい。https://www.washingtonpost.com/sports/2020/03/20/sally-jenkinstokyo-olympics-coronavirus/

★3月23日:ワシントンポスト紙(320日付)の強烈なインパクト記事により、IOCは元よりTOCOGJOC、日本政府、東京都とトーンダウンが始まりだしました。昨日迄のあの強気発言は、如何されたのでしょうか。

★3月24日:突然のバッハ氏(IOC会長)の呼びかけで安倍晋三首相、小池百合子都知事森喜朗TOCOG会長、橋本聖子五輪相同席による電話会談の結果、安倍首相は、「2020東京五輪は、延期。2021年夏までに完全な形で開催をする事に成った。中止は在りません。バッハ会長と100%同意」との発表をしました。日本の政治家は、断言しても結果に対する責任は別の様です

■筆者の私見

この唐突な安倍首相の発言は、主要な代表責任者達が口約束をしたという「空手形」であり、2021年夏までにウイルスが消えて無くなっているという担保は無いのです。2020年東京五輪は、これで開催しない事のけじめをつけたことでは良い決断だったと言えます。しかし、IOCの今日までの発言とこの唐突な延期宣言は、余りにも優柔不断な発表で東京五輪がこれからさらに底なしの泥沼に引きずり込まれて行っているような気がしてなりません。

IOC会長のバッハ氏は、「延期及び開催は来年夏までに」とは宣言せず、開催国の首相がスポークスマンを務めたのでは筋が通りません東京五輪の主体主は日本政府の首相でありTOCOGではなかったと言わざるを得ません。バッハ氏が政治家として数段上手の様です。やはり東京五輪は、最初から最後まで「政治家による政治家の為の東京五輪であったことをいみじくも土壇場で露呈してしまったように思えます。

 

2020東京五輪リマインド・シリーズ【2】

2018-02-22 

第二弾 2020東京五輪の不可解なリーダー

1.スポーツ・マスメデイアはレポーターでよいのか

①日・欧米のマスメデイアの本質的な違い

東京五輪組織委員会(略:TOCOG)は巨大マスメデイアによりガードされていることをご存知でしょうか。わが国のマスメデイアとグローバル社会のマスメデイアとの本質的な違いを誤解を恐れず申し上げますと、問題は、この状況下で我が国のマスメデイアが、この利害と利権の構図の中に組み込まれているケースが多く、真の情報が国民、社会に届けられていないと思われることです。つまり、お上にすり寄るマスメデイアでは、真に国民、社会、スポーツ界の正常化に寄与するのは難しいという事です。

スポーツを話題にしたTV番組では、日々長時間毎度お馴染みのタレントさん達を起用し面白おかしく、商品化して視聴率を稼ぐ事を目的とするだけでなく、マスメデイアには、真に国民のオピニオンリーダーとして、志を高く持って頂きたいと心より願う次第です。

我が国のスポーツマスメデイアの基本的な体質は、企業に雇用された1記者と表現した方が理解しやすいと思われます。その記者は、1レポーターとしての職責、責務を所属企業から与えられ、ジャーナリストとしての言論の自由は与えられていないと思われます。ジャーナリストとレポーターは、本質的に異なる職域だと筆者は理解しています。一般社会に於いてこの事を、我々は理解できていないのではないかと思うのです。よって、記者は、自身の理念、感情、倫理感をジャーナリストとして報道させてもらえない事が、大きな問題だと思います。

我が国に於いては、国民の表現、言論の自由が法律により保証されている筈ですが、マスメデイアの組織では企業の利権、利害を最優先するが為に、ジャーナリストとしての使命までもが奪い取られているようです。その為に生じている現象の一例として、紙面の記事原稿が何処の新聞社、TV、等も代り映えしない、即ちマスメデイアの紙面、TV情報、記者の特徴、個性が無くなってしまっているように感じてなりません。また、記事原稿に対する文責者の署名記事でない事が多いのもその一例かも知れません。本来の記者、ジャーナリストは、芸能タレントさんではない筈ですが・・・勿論芸能タレントさんの方が個性豊かです。

記者を雇用している企業は、事業(ビジネス)を最優先するが為に真実を報道できない仕組みになっていると理解した方が判りやすいかと思います。筆者は、権力に立ち向かい“NO” が言える真の勇気あるマスメデイア、記者で在って欲しいと切に願います。そうでなければ日本国民は、常に真の情報、知識を得られず資質の高い見識を持たなければ正しい判断ができなくなり、マスメデイア情報によりミスリードされる国民、社会であって欲しくないのです。

その為には、マスメデイアが本来のジャーナリストとしての使命を堅持し、ぶれない日本のマスメデイアで在って欲しいのです。その為にも大事な事は、マスメデイアの企業主は常に強い経営者でありジャーナリストとしてのバランスの堅持が必要不可欠であるのではないでしょうか。それにより、個々の記者達の本来のジャーナリストとしての潜在能力が導き出され、企業主にとっても商品価値の高いジャーナリストを育成、養成できるという事なのではないでしょうか。マスメデイアの企業主は、まさにコーチングのスキルも要求されているという事だと思います

読者の皆さんは、どう思われますか。勿論、マスメデイア企業にも、記者にもジャーナリズムを堅守し素晴らしいプロフェッショナリテイーを持って、日夜活躍、活動されている企業、記者も沢山いらっしゃる事も付け加えさせて頂きます

 

 ②米国のマスメデイアの特徴

此れがNYタイムズ社、ワシントンポスト社、ロサンゼルスタイムズ社、ABCCBSNBCFOXCNN、等の業界先進国のマスメデイア、及びそこに所属する報道、ライター、プロデューサー達と日本の報道企業、機関、記者達との根本的な違いがあるのではないでしょうか。よって、嘗てのワシントンポスト社の記者がジャーナリストとしての真価を発揮し「大統領の関与した事件(ウオーターゲート事件)」を告発して歴史の変革に寄与したのと、わが国の企業マスメデイアのレポーターとの違いのように思えてなりません

この国のJustice(正義)は、もう死に体なのでしょうか。また日本は、契約雇用制度でなく定年制度の為に経営者、管理者、社員がサラリーマン体質と化しているので、ある意味に於いて責任の所在、仕事の資質による査定制度が確立していないので、現在の制度が平和で安心なのかも知れません。

このような、組織、構造の企業としてのマスメデイアでは、真の情報提供を期待しても難しく、このために莫大な金銭が東京五輪組織委員会内部で消滅して行っていても国民、社会は知る由もありません。問題は、本プロゼクトの中枢となる運営、管理者達の大多数が、競技スポーツの経営、運営、管理経験の無い人達が大半であり、その方々が権力の中枢に居る事だと思います。莫大な公金を使用しながら、これらをチェックする第三者機関のインフラクションコミテイー(特捜部門)も設置していないのは、閉鎖された独裁組織なのかも知れないという事です。

勿論、米国のマスメデイア企業に於いても日本同様な企業論理が優先することも確かによくある事です。また、大統領、政治家、政党への忖度、癒着が企業全体、或は個別の部門、部署、等で行われているのも事実の様です。しかし、企業内に於いては、連日連夜、経営者と管理者の間でまた、彼らと現場記者、プロデューサーの間で丁々発止のバトルが連日連夜行われているのですが、日本のマスメデイア企業内では、現場にいる社員達には何のリスペクトも担保も与えられていない唯の駒のようです。まだまだマスメデイア企業がグローバル世界と肩を並べるには、根本的な変革を成す為にも資質、見識の高いリーダーの育成と養成が先決なのかも知れません。

余談話

読者の皆さんの中には、アメリカ映画の「Truth=日本語訳:ニュースの真相」を観賞されたことがあるかも知れません。この映画は、筆者の古い友人(ロバート・レッドフォード氏)が出演しているので彼の作品は、時々懐かしく観るので印象が強いドキュメント作品であります。その中でもこの作品は、政治家達とTVマスメデイアのリアリテイーを掛値なく描かれ、ハッピーエンドに終えられなかった事実がよりドキュメントの価値を高めていると思います。

2004年のアメリカで実際に起こった、あるスクープ報道が広げた波紋の一部始終を、ケイト・ブランシェットロバート・レッドフォードの共演で描いた実録ドラマ。ジョージ・W・ブッシュ米大統領が再選を目指していた04年、米国最大のネットワークを誇る放送局CBSのプロデューサー、メアリー・メイプスは、伝説的ジャーナリストのダン・ラザーアンカーマンを務める看板番組で、ブッシュの軍歴詐欺疑惑というスクープを報道する。しかし、その「決定的証拠」を保守派勢力に「偽造」と断定されたことから事態は一転。メアリーやダンら番組スタッフは、世間から猛烈な批判を浴びる。この事態を収拾するため、局の上層部は内部調査委員会を設置し、調査を開始するが……。メアリー・メイプスの自伝を、「ゾディアック」「アメイジングスパイダーマン」などを手がけた脚本家のジェームズ・バンダービルトが初監督を務めて映画化した。」2015年製作/125分/G/オーストラリア・アメリカ合作原題:Truth 

作品紹介から引用

この作品は、米国の4大テレビ局のCBSが当時の大統領の権力に挑む企業内部の葛藤が筆者には大変興味深く、報道の義務と使命、片やマスメデイア企業としての論理に板挟みとなったケイト(プロデューサー)とロバート(アンカーマン)が最終的には、報道ジャーナリストとしての信念を貫く事を選択、CBSは、最終的に両名を守る事が出来ず解雇せざるを得なくなる実録でした。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社

お知らせ:NO.130は、K’sファイルのある意味区切りとして、スポーツ・ジャーナリズム、ジャーナリストの重要性に付いて述べさせて頂きました。次回は、東京五輪の不思議な日々の経過と変化を前編に、後編ではリマインドをご紹介する予定に致しております。読者の皆様には、これらの深い闇にご案内いたします。