K'sファイルNO.129:東京五輪を迎える日本国の試練

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K's
ファイルNO.129東京五輪を迎える日本国の試練

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日公開予定

読者からの便り

河田弘道先生

 K’sファイルNO.128を拝読させて頂きまして大変勉強になりました。今月も例年通りに学部教授会(主に卒業判定会議)の席で、学部長挨拶をさせられました中で河田先生の掲載原稿を勝手に紹介させて頂きまし事に付きまして、先ずはご無礼をお許しください。大学教授たるは、研究の為の研究、学問の為の学問ではもう足りない時代になった事、スポーツの分野に於いてもこのように医科学の部門で研究した事が企業のシューズの開発に結び付き、アスリート、一般ランナー達へのサポート、還元となる生きたスポーツ科学、研究が本来の研究者の姿だと思います。大多数の本学の教員達は、寄稿文を書いて提出することが自身の点数稼ぎとなるこのシステムこそが日本の大学教員の競争力を低下させ、指導教育を遅らせていることを伝えました。先生のお時間が許されます時に、本学の教員への指導をお願い致したくお礼方々お便りさせて頂きました。宜しくお願い申し上げます。 K'sファイルの愛読者より、

 

目次

東京五輪開催を前に疫病蔓延との闘い

急がれる強行時の準備(対応力とマニュアル)

2020東京五輪リマインド・シリーズ【1

第一弾:東京五輪は政治家達の独裁事業か

    1.スポーツ・アドミニストレーター不在の付け

           ■招致活動での建前と招致後の本音

           ■震災復興は招致の為の広告塔

           ■問題の発端と優柔不断なプロゼクト

           ■東京五輪は政治家の利権争奪ゲーム

           ■利権代表達の抗争とその終焉

  2.筆者の素朴な疑問と私見

 

 2020312日、木曜日 公開

東京五輪開催を前に疫病蔓延との闘い

201912月下旬から中国湖北省武漢を中心に新型コロナウイルス感染症の発生が報告されて以来短期間で世界中に蔓延してしまいました。新型コロナウイルス感染症とは、新型コロナウイルスSARS-CoV2”が原因とされている病気のことです。世界保健機関WHO)は、このウイルスによる肺炎などの症状全般を“COVID-19 ”と名付けました。

日本国内では2020115日に武漢市に渡航歴のある肺炎患者からこのウイルスが検出され、同市からの旅行者とその接触者、帰国した邦人合わせて16名の感染が当時確認されました。この新型コロナウイルスは、現在世界中を震撼させ抗体となる源の発見に至らず恐怖に人類はさらされている次第です。今日もまだ出口の見えない恐怖と闘っている感染国、我が国、国民、社会は、日々刻々と増殖している次第です。

この事実と現実に直面しながら、本年724日には、東京五輪の開会式が刻々と迫って来ている状況です。思えば、2011311日に起きた東日本大震災は、地震及びこれに伴う福島第一原子力発電所事故による放射能漏れの大事故を誘発し、毎年各地で起きる大災害、特に近年我が国には連続して自然災害が押し寄せて参っております。このような状況下で国民は、大変楽しみにしているオリンピック東京大会を無事迎えられるか否か、心配は計り知れないのです。この自然災害たるは、火山の噴火、台風、地震津波同様に自然が起こし、現代の医科学を持ってしても止める事が出来ない人類への脅威と人類が抱える強敵と言えると思われます。しかし、本ウイルスは、現代の医科学をもってすれば解明、予防、治療は可能であり、ただ新細菌の為に時間を要しているのも事実です。

急がれる五輪強行時の準備(対応力とマニュアル)

問題は、例え東京五輪が予定通りに724日開催が強行されたとして、国内の感染者が消えてなくなっているわけではなく、世界中に蔓延している状態で参加国の選手、観戦者、旅行者達を我が国は迎え入れる体制が整うのか、入国時のチェック体制、陽性者、疑偽陰性者達への隔離、管理態勢の準備ができるのか何れにしてもリスクは限りなく高く、混乱とその対応は予測不可能であることには違いないと思われます

国際オリンピック委員会IOC)に於いては、この様な事態に対するオリンピック大会開催の危機管理態勢は整っていません。この事態は、前進しても、後退しても、強行しても必然的なリスクが最大限伴う事だけは覚悟致さなければなりません。勿論強行するのであれば、IOC東京五輪組織委員会、東京都、そして日本政府は、「明確な開催する根拠と責任の所在とその個々の責任者の責務を明確にし、明文化し情報公開」を致さなければ国民、社会、及び全世界の東京五輪への参加者、観戦者は納得されないと思われます。オリンピック・アドミニストレイター達は、強行するのであれば始める前に誰もがやりたくない、やりたがらない根拠と責任の所在を先ず明確に告知するべきです

7月24日に迎える東京五輪の祭典を数カ月後に控え、この度のオリンピック東京大会は、招致時及び招致後に於いても限りなく多大な犠牲と問題をキャリーしながら開催日を待つ国民、社会がいる反面、この重い莫大な犠牲と膨大な未解決の問題を今後どう処理、解決するのかを忘れてはならないと思われます。得てして人は、楽しい一時の夢を追い夢に夢中になってしまうことで、夢の対極にある厳しい現実を忘れてしまいたいのも人間の心理でもあり弱点でもあるのです。

今日、人類が自然の猛威に脅かされている現実の中で、K'sファイルでは、東京五輪が今日に至るまでの現実と史実を今一度、この様な時期だからこそ本番を迎えるにあたり私達の足元を確認する意味に於いてもリマインドして頂けましたら幸いですこれにより、東京五輪をスポーツ・アドミニストレイターの視点でこの世紀の祭典に対する価値評価に立ち会えるならこれ以上ない貴重な証言者に成り得るのではないでしょうか

 

2020東京五輪リマインド・シリーズ【1】

2018-02-08

第一弾:東京五輪は政治家達の独裁事業か

1.スポーツ・アドミニストレーター不在の付け

 招致活動での建前と招致後の本音

本プロジェクトでは、政治家達(現職国会議員、元国会議員、現・前職都議会議員)の顔がやけに目立ちますがそれは何故なのでしょうか。これほど露骨に政治家達が表舞台に顔を出す五輪は日本国だけではないでしょうか。本来国会議員や都議会議員の職責、責務は、何なのでしょうか。国から数千万円の歳費を頂き、東京五輪組織委員会からは、莫大な特別手当を受けている様子を鑑み、この方々のプロフェッショナリテイーとは一体何なのか裏を返せば誰もそれを問わない不思議な国民、社会なのです。K'sファイル読者の皆さんは、不思議に思われませんか。

2016東京五輪の招致活動失敗から2020年東京大会開催決定、そしてその後今日迄、これほど開催に関する問題が内外共に起きる、起きた事例が嘗てあったでしょうか。

16年招致活動の大義は、確か「東日本震災復興」を掲げました。そして20年招致は、これまた震災復興を掲げてのプレゼンテイションがなされた筈です費用の掛からない無駄のない、コンパクトなオリンピック・パラリンピック東京大会を、招致の為の錦の御旗として謳い文句に掲げてきました。しかし、いつの間にか大義の震災復興もコンパクトな大会コンセプトは、何処かに消え、予算は、とんでもない莫大な公金がゼネコン(ゼネラルコンストラクションの意味)のコンクリートミキサー生コンと化し流し込まれ続けているのが実状です。

これに対して誰も歯止めを掛けようとしない。確か小池都知事は、選挙で予算費用縮小を訴えて歯止め役をかってでて当選した筈ですが、有言実行の政治家では無かった事を現在露呈、何も公約は果たせていないのが正直な評価です

それどころか、お台場、晴海のトライアスロン、等の競技会場は、今尚下水からの汚物処理も出来ず悪臭と最悪の衛生事情の解決策のめどすらつかず、これらの専門家委員、委員会は、何のためのオーソリテイーなのか情報公開すらできない状態の様です。お金は、全て組織委員会の御用達の印刷会社がプリントしているかの感覚で無駄な金を湯水のように使っていても誰も止めるすべもないのが実態です。このような組織の中では、きっとこのどさくさに紛れて「埋蔵金」を新国立競技場の地下倉庫に、ほとぼりが冷めるまで貯蔵して置き、五輪後の何か怪しい組織作りの軍資金にしようとする悪代官が居るのかも知れません残念ながらもうすでに今日世間には漏れ聞こえて来ている始末です)。

プレゼンテイション当初の予算告知額は、いったい何を根拠に試算された数字であったのかと、ふと頭に疑念が過ります。いったい当初の予算の何倍の公金を投入すれば気が済むのでしょうか。此れだけの資金があるのなら、何故もっと有効にオリンピックのみならず直面しているあらゆる被災者、国民の為に、活用するべきであるとは思わないのか。此れでは、限りなく国の借金が膨らむばかりです。東京五輪招致委員、組織委員のリーダー達は、後は野となれ山となれの方々の集りなのか、これからの若い世代にこの負債を背負わせても何とも感じない、これは政治家として決してやってはいけない発想と行為なのです

このような展開になる事は、当初のプレゼンテイション内容、組織委員会のメンバーより予想していた事なのですから、何故五輪招致を思考し始めた時点で「ロス方式」を検討しなかったのか。話題にも出なかった事、出さなかった事が今後大きな禍根を残す事は必至です。ロス方式とは、1984年ロサンゼルス五輪で当時公金を1セントも使うことなく、440億円の黒字をだした素晴らしいプロジェクトモデルなのです。既にこの方式が競技スポーツの経営モデルとなっていますが、それをあえて見向きもしない理由は、読者の皆様なら十分推測されるのではないでしょうか。ロス方式では、国民、市民、社会に財源、財政の運営、管理を完全に情報公開する事が義務付けられている事と国会議員、都会議員達が関わる余地を与えられないからです

この度の優柔不断なオリンピックプロジェクトに対し、国外からは、招致活動に関わる裏金問題を指摘され火消しに躍起となり、国内に於いても、オリンピックロゴ・タイプの盗作問題、国立競技場の設計入札疑惑問題、設計者及び関係会社への契約変更、予算の不透明疑惑、そして、その間に開催都市の都知事が本件がらみを含めて3名も不名誉な交代劇を演じ、その都度掲げる公約に一貫性が無く、失言を海外に告知し、現知事は、威勢よく乗り込んできたが政治家同士の利権のつぶし合い、奪い合いを見苦しい程内外に曝し知らしめ、スポーツの祭典がこれでは「品の悪い政治家の祭典」と相成った感じが否めないと感じるのは、筆者だけでしょうか。もう既に国民、社会は、このような未解決の重大な問題すら忘れてしまったのかも知れません

 東日本震災復興は招致の為の広告塔

さらに、当時の大義「東日本震災復興」が、いつの間にか消えて無くなり、現在はオリンピック・パラリンピック大会を我が国、東京都に持って来た意義もコンセプトもいつの間にか見えてこないようになったのが現実です。よって、元々招致活動を推進するには、大義となり得る「震災復興」がIOC理事達、海外・国内へのアピールに必要な魂のない広告塔であったのだと思われます。

推進者達は、よってこの大義に対するプロジェクトマニュアルも持たず、ただの「キャッチコピー(目を引く餌)」程度にしか考えていなかった事が、今日の状況を物語っているように思えてなりません。残念ながらこれらの議員達は、国民が選挙で選んだ国民の代表、都民が選んだ都議、都知事の発想、見識、モラルかと思うにつけて、我が国の危機と捉えるべきなのかも知れません。此れも国の今日の平和が逆に起因しているのかも知れません。

招致活動でのプレゼンテイションでIOC理事達のみならず、国際社会、国民に告知し、約束致した「お金の掛からないコンパクトなオリンピック・パラリンピック東京大会にする」約束事は、いったい何だったのか、どうしてこのよう手段を取ってまで突き進んでしまったのでしょうか。国民、社会は、マスメデイアの報道にただ浮かされている場合でないように思えてなりませんが・・・残念です。大手新聞各社は、何と東京五輪組織委員会のスポンサーとなっているために真実の報道が出来ない立場なのかも知れません。

 問題の発端と優柔不断なプロジェクト

スポーツ・アドミニストレイターとして客観的な目線からは、最初の東京五輪招致活動より既に一つの方向に問題が偏っている事が透けて見えて来るのです。それは、2020東京オリンピックパラリンピック開催招致活動のプレゼンテイションで公言、公約した予算が全くの招致する為の「飾り予算(偽り予算)」で在った事です。これがそもそもの本プロジェクトの「トリックの起点」となって、国民、都民の税金を湯水のように投入するストーリーが仕組まれていたような気がしてならないのです。今は、この描かれていたシナリオに略近い流れで進んでいるので本プロジェクト立案、遂行している執行部の慇懃(いんぎん)で意味深な笑みが目に浮かびます。残念な事は、IOCはプレゼンテイションの明文化された書面公約を精査、検証する機関がありながら機能していない、機能させない、即ち同罪を犯していると表現した方が判りやすいのかも知れません

思えばこの招致活動初期から、関係省庁及び関係機関、東京都は、種々の思惑の人達が絡み合い複雑怪奇な様相でスタート致していました。

これをスポーツ・アドミニストレーターの視点で指摘させて頂きますと、そもそもの最大の問題は、開催都市の長に当たる都知事が本巨大プロゼクトに殊の外強い興味を持ち、都民の税金で招致活動に邁進、自身が幕開けから幕閉じまで首を突っ込んで、利権の構図を描きその利権に手を突っ込んだことから今日の限りなく高騰する資金(税)投入に点火したのが発端と思われます。当時より利権をせしめようとする東京都議与党軍団、都知事とそうさせまいとする文科省OBを中心とした超党派で構成する国会議員連盟団の利権グループが当初より抗争していたように見受けられたのです。

 東京五輪は政治家の利権争奪ゲーム

今日の2020年東京大会のアドミニストレーションは、まさに真のスポーツ・アドミニストレーターが不在で政治家集団の利権争奪ゲームが現在最終局面を展開していると申し上げても過言でありません彼らの目的、目標は、本大会に関する利権闘争という政争ゲームでメダルを獲得する事であり、震災復興、競技スポーツはそのためのツール(道具)としてしか見えていないのでしょう

勿論、このような世界最大の競技スポーツのイベント招致、開催には、国を代表する政治家が関わる事も「ある部分」では確かに必要です。しかし、東京大会は、最初から政治家及びその官僚関係者、OB在りきのために、本スポーツ・アドミニストレーションをより複雑化し、真のスポーツ界のリーダーを不在にし、談合がよりやりやすい手法を形成していると思われます。これは、起きるべきして起きている我が国の伝統的な手法の一つです。何事もバランス感覚を失い、何方かに極端に偏重すると本質を失い国家と国民に被害が増幅する事を、考えもしない人達なのかも知れません。

この手法を用いる事で競技スポーツのアドミニストレーションは棚上げされ、まさにJustice(正義)もFairness(公正・公平)も無き、負のレガシーが構築されようとしているのです

 利権代表達の抗争とその終焉

此のところ日本の新聞各社は、2020年東京大会の費用に付いて、昨年暮れに総額1兆3500億円(うち都は6000億円負担)と報じました。しかし、この大会経費以外にも都は7770億円もの大会関連経費を組んでいるのです。

勿論これらの追加資金投入も都民の税金から投入するという意味です。此れでは、小池都知事の力強かった選挙前後の公約、勢いが空手形同然でそれまでの知事と何ら代わり映えしません。現在は都知事の存在感すら薄れてしまったと感じられるのは、如何なものでしょうか。現都知事が、嘗ての都知事と異なる点は、女性でオリンピック利権に手を染めさせてもらえていないところでしょうか。

 

筆者の素朴な疑問と私見

此処でスポーツ・アドミニストレーターとしての視点で申し上げますと、このような国際的なスポーツイベントに国を代表、都民を代表する政治家がむやみやたらに絡んで参りますとスポーツ大会及び競技スポーツの本質が変質し、見失われてしまう事です。この東京大会は、それを証明していると思われます。

IOCは、長年のオリンピック開催国の莫大な負債を何とか解決、解消する為の一大打開策として当時のアントニオ・サマランチ理事の提案でそれまでのオリンピック憲章から「アマチュア」の文言を削除して、オリンピックにスポーツビジネスを解禁し、またプロ選手の参加に扉を開いたのが1974年でした。

1976年カナダ、モントリオール大会は、1974年のIOCの試みに効果を期待するには準備が整わず、オリンピック大会史上例を見ない巨額の赤字負債を抱える大会となったのです。その後、1980年のモスクワ五輪は、皆様もご承知の通り自由主義国はソ連のアフガン侵攻により参加を中止したのでした。

1974年のIOCの改革の成果と結果は、1984年のロス五輪大会で初めて理想的な形として現れます。ロス五輪大会組織委員会LAOOC)のピーター・ユベロス会長の頭脳的な手腕により黒字経営に至った次第です。しかし、ロス五輪後のIOC主導の経営コンセプト(IOCと広告代理店電通のパートナーシップ)に移行してからは、この改革の弊害が毎回の開催都市招致に関わる闇の世界を構築するようになりました。獲得票を集めるための莫大な裏金で買収する暗黒のネットワークを生み招致国、開催都市に莫大な資金を投入させて大会を肥大化させ、負のレガシー(遺産)を各大会開催のたびに積み重ねてきたのですそして2020年東京大会は、最後の巨大化されたオリンピック大会の負のレガシーの終焉であろうと言われるに至っています

  本東京大会以降は、大会招致する国は巨額の財政負担に対する反発で五輪招致から撤退する都市が相次ぎ、2024年大会はパリとロサンゼルスしか残らなかったのです。それに伴いIOCは、2024年大会をパリとし、ロサンゼルスは、IOCの説得により譲歩し2028年招致を受け入れ、ロサンゼルス側の条件も了解されたのでした。この二大会同時の決定は、IOCの招致規約には反するものでしたが特例とされましたが、歴史的な流れを見ると、決して偶然の産物ではないのです。その意味で20162020年五輪開催を目指し2度も莫大な招致資金を投入してきた東京が獲得したものは一体何だったのか、と今更ながら強力なポリテイカルゲームができる戦略的なスポーツ・アドミニストレイターが不在であったことが残念でなりません

此れは、まさに1976年のカナダ・モントリオール大会まで、毎回莫大な負債を抱える為に五輪の招致に興味を持たなくなった国々が出た時期に戻り、歴史が形を変えて繰り返されていると言えるのではないでしょうか。この事は、東京大会招致委員会にとっては、五輪史上最大の金のかかった大会を自らの意思で背負い込んだ因果と言う表現しか見当たらないように思えてなりませんIOC理事達の罠にまんまと日本の政治家達がはめられたに等しいのです

   東京大会組織委員会は、この事を如何に理解しているのか、気にもかけている様子もなくただ公金をいくら引き出すか、引き出せるかに奔走している状態が本東京五輪の本質であるように思えてならないのです。このような事から東京五輪招致委員会、招致後の組織委員会に多くの国会議員、政治家が顔を出す必然性が此処にあるのかも知れません。勿論、スポーツ振興機関からの補助金、コマーシャルスポンサーからのスポンサーシップとサポートを受けているのも事実です。

本来は、国民、都民の公金を当てにしないで2020年東京大会を招致活動で勝ち得る方法があったのも事実です。当時招致関係者は、公金を使わない大会擁立に誰もが興味すら見せなかった理由は何故だったのか。K'sファイルの読者の皆様はその結論に至るかと思われます。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社

 お知らせ:本ファイルでは、現実と過去の両面を述べさせて頂きました。読者の皆様には、東京五輪の今日に至っている史実をリマインドして頂けたでしょうか。今日の新ウイルスの発生により、東京五輪の状況は、水面下に於いて日々刻々と事態が変化する中でIOC東京五輪組織委員会はどんな犠牲を払っても強行するという姿勢を崩さない様相が伺われます。大事な事は強行した場合には、既に更なる不測の事態に対する準備、対応が大事なのですが、今誰もが気付こうとしないのが心配です。今一番IOC東京五輪組織委員会TOCOG)、電通が恐れているのは、国民、社会の心配とは異なる所に彼らの重大問題が起きているのかも知れません。