河田弘道のトーク・ライブのお知らせ:

河田弘道トーク・ライブのお知らせ:

日時:10月6日、金曜日、午後18:30分(開場)、19:00(開演)
場所:日比谷コンベンションホール(大ホール)

詳しくは、以下URLをご確認下さい。
【アーガスプロダクション株式会社】
(ニュースに記事がございます)
http://www.argsproductions.com/

【イベント記事】
http://www.argsproductions.com/pdf/170906_kawada_1006.pdf

 
本件に関するお問い合わせ:
アーガスプロダクション株式会社 
TEL:03-6277-7982
FAX:03-6277-7984

E-MAIL:press@argsproductions.com

 

NO.20 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍(最終回)無断転載禁止

NO.20 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍(最終回)無断転載禁止

 

著者からのお知らせ:

 本課題とテーマは、NO.20で最終回とさせて頂きます。Ⅷは、長文となっていますので、テーマを1.巨人軍に於ける補強戦略の必要性~2.巨人の補強に伴う弊害~3.東京読売巨人軍の復活は、新GMの双肩にあり~、と致しました。各テーマを3週に分けて、ご笑読して下されば幸甚です。感謝    NO.21は、9月中旬予定。

 

Ⅷ.東京読売巨人軍から東京読売GIANTSへ、

1.巨人軍に於ける補強戦略の必要性~

 補強とは:

 補強とは、「足りない所や弱い所を補ったり強くしたりすること」広辞苑補強には、補強する側の必要性と仕方により種々異なった理解と解釈が成り立つのも確かです。補強する側は、球団の現有戦力の分析の結果を先ず、

①編成部門のコンセンサスを取りまとめ、

②監督から現場のコンセンサスを取りまとめ、

③編成部長と監督双方のコンセンサスを取りまとめ、

④編成部長よりGMに報告する。

GMは、最終判断を行い、最高経営者の了解を得て、決断、実行する。

このようなプロセスは、通常のベースボール・アドミニストレーションです。

先ず此処で、補強には、幾つかの異なる種類と方法がある事を理解して下さい。それらは、ドラフト(新人選手選択会議)、FAFree Agent,自由契約選手)、トレード移籍(球団間の選手売買)、外国人選手補強です。読者の皆さんは、この中でも特にFA選手、外国人選手を補強というイメージで持たれているのではないでしょうか。

 ドラフトとFA制度の関係:

 MLBに於いてのドラフト制度は、競争の原理と協力の原理を組織・団体の根幹としています。リーグの覇権をめぐっての競争とリーグの繁栄の為の協力(共存共栄の意味)は、全加盟球団(30球団)が共通した「理念」として共有しています。

 ドラフト制度は、このような理念を基にテイーム間の戦力均衡を図り、どのテイームも優勝が狙える力を維持する事により、集客を向上させ、戦力が極端に弱体したテイームを出さない事を目的とした制度なのです。

 MLBに於いては、完全ウエーバー制度を採用している為に、前年度の勝率の最下位のテイームから順番にドラフト指名を行います。

 NPB(日本プロ野球機構)に於いては、完全ウエーバー制度を採用していません。ドラフト一巡目から複数球団が同一選手を指名した場合は、ご存じのような抽選で決めています。本BLOGでは、スペースの関係で詳しくお伝えできないのが残念です。

  FA制度は、上記ドラフト制度により選手の自由を束縛、拘束する事から選手側と雇用側の間で生まれた妥協の産物です。

 MLBでドラフトされた選手は、5年間のメジャーリーグ契約を満たすと、初めて自由契約選手(FA選手)と認められ、選手が望む球団と自由に交渉が出来る権利を得ます。

 NPB(日本プロ野球機構)でドラフトされた選手は、現在7年間1軍での在籍を認められると、選手が望む球団と自由に交渉が出来る権利を手にします。以上基本的なドラフト制度とFA制度の知識を参考までに付記しました。

 球団に於ける補強の必要性:

 補強は、球団の戦力維持、強化の中核をなす編成部門の最重要な課題と責務の一つです。しかし、補強をするに当たっては、現戦力の分析と球団が目標とするテイーム強化戦略に沿ったものでなければ本来の意味を成しません。また、補強には、大きく二つの目的があります。一つは、現テイームが即戦力の必要性がある場合、二つ目は、選手層を厚くする事を目的とする場合があります。日本プロ野球界では、殆どが一つ目の即戦力が目的の場合が多いと思われます。

 本球団は、伝統的に相手球団の主力選手(四番打者、エース級投手、メデイア価値の高い選手、等)を獲得するケースが多いのでマスメデイアに大きく取り上げられる事が多いのも事実です。

  これは、球団側だけでなく、選手側にも巨人に行きたいという強い意思が働いているためです。その理由は、巨人が獲得したいという意思がある場合、FA移籍する事により多くの収入が見込まれる事、人気球団に居て活躍する事による商品価値の上昇と選手生活を終えた後の事に対するメリットなどが主な理由の様です。

 巨人軍は、常に即戦力となる人気と実績を兼ね備えた選手を欲し、即勝利する事を最優先している事は既にご承知の通りです。また、同時にこのようなコンセプトは、即効性のある補強以外に結果として、相手球団の戦力低下にも繋がることもあります。このようにプロの世界では、補強の目的が即戦力と選手層の厚さだけでなく、相手のテイーム戦力低下を狙った戦略もあります。

 日本のFAを宣言する選手の殆どは、宣言する前に移籍希望先から担保を得ている場合が多いと思われます。よって、選手は、移籍宣言をギリギリまで伸ばす理由が此処にあるのです。選手は、移籍先のメドが立たなければ宣言する意味も無く、リスクが高まるからです。

 

 2.巨人の補強に伴う弊害~

 補強で若手、中堅選手の夢を奪う:

 巨人軍の補強には、常に大きなリスクがともないます。特にSFA選手を補強する場合は、相手球団への金銭と人的補償があり、選手には、高額な契約金と年俸、インセンテイブボーナス、長期保証、その他の保証を約束しなければなりません。しかし、此処で最大のリスクは、球団スカウトに寄る情報、資料が正確であるかどうかです。

 本球団のSFA選手が期待通りに即活躍しないケースが目立つのは、何故か。FA後、翌シーズンに怪我をするのは何故か。その問題の多くは、個人差はありますが、このスカウテイング力の問題と、もう一つは、球団側(経営者を含む)の欲しいSFA選手に対してのチエック機能が甘くなり、相手選手側の言いなりの約束事をしてしまう事、移籍後、環境に順応できないケースが多いためです。

  例えば私事ですが、当時このような事にも直面しました。この球団テイームには、他球団からの現役4番をFAで獲得していたにも関わらず、また翌年他球団の4番をFAで確保してしまっていたのです。そしてまたも96年に他球団の4番の獲得指示が出されたのです。これら全ての選手は、走れない一塁手ばかりでした。よって、球団が欲しくて取るのですから、当然その選手へのチェック機能は甘く、後に禍根を残す事になるのです。このような状況下での現場に於ける運営、管理は、困難を極める事を読者の皆さんも理解して戴けるのでないでしょうか。

 その時私は、幹部会議に於いて監督補佐の立場として、監督に素朴な質問を致したのです。「監督、3人もダッグアウトに座らせてどうするつもりですか、これでは、将来の四番として既にドラ1で獲得し、ファームに居る選手は潰れますよ」と球団幹部会で訊ねた事を思い出します。

  このような補強に走った場合は、戦力補強した以上の負の遺産を背負い込む事になるのです。競技スポーツに於けるコンセプトは、最終的に勝利する事が主たる目的です。その為には、戦力を強化する事は重要な戦略の一つです。しかし、そこには、計画的な戦略補強が重要であり、相手テイームの戦力低下が目的の補強は、やがて自軍の内部崩壊を招く火薬庫と化すことを忘れてなりません。

  補強選手組がテイームの主力となった場合は、テイームマネージメントに於ける問題が日々山積され困難を極めます。特にテイーム生え抜き組対、補強組の構図は、水面下で現実のものとなります。このような現実も私は、身をもって体験した次第です。

 此のことは、長いシーズンを戦い抜くに当たって、特に一軍半、二軍の若手、中堅の育成、指導の選手達に多大なマイナス要因を与える事になります。勿論、自軍で育った選手を中心としたテイーム作りの球団は、テイームに対するファンの熱狂的視線を肌で感じます。しかし、補強中心路線を推進する球団は、何か注目がそのシーズンのFA移籍選手に集まり、テイームの一体感を感じられないのです。読者の皆さんは、如何でしょうか。しかし、巨人ファンの方々は、表に出して感情を表現しない独特な気質があるようです。

 若手中堅が育たない要因:

 FA補強の場合の弊害は、若駒のチャンスを奪う物理的な問題と、モチベーションを削ぐ選手達への精神的なダメージが現場に於いて計り知れないです。特に球団側がFA選手に強い興味を持って、獲得に動いた場合は、選手側が主で売り手市場となり、球団が従となりがちなので、余計な約束事をさせられたり、したりするのです。そのような事情の選手達を多く抱える事で、テイーム内のマネージメントにも、見えない約束事がボデイーブロー(負の遺産)となって身動きが取れない状態へ引きずり込まれるのです。

 例えば、補強選手側に、常時一軍枠28名から外さないという約束事をさせられると(外国人選手からもよくあるリクエストの一つ)、その選手が不調であっても貴重な1枠が既に奪われて、若駒にチャンスが与えられなくなるのです。球団側は、補強をする前に戦力分析、テイーム編成のコンセプトを再確認し、強い信念と意思を持って、ベースボール・アドミニストレーションを遂行して欲しいと願います。

 この補強判断と決断は、一軍28名枠を目標に日々努力している二軍の42名の選手達の未来と生活を脅かします。球団の補強体制が、今後も現在のような方向に進むのであれば、二軍の資質の高い選手達は、他球団で活躍されない為のプールにしかすぎず、選手達の夢も希望も無くして、二軍選手に成り切ってしまいます。二軍の選手には、他球団に行けば1軍28名枠に入れる選手達が沢山いるのも事実です。

 

 3.東京読売巨人軍の復活は、新GMの双肩にあり~

 一貫したベースボール・アドミニストレーションの必要性:

 このような環境と状況下で「若手を育てる」という概念は、唯のお題目で成果を期待できるものではありません。本球団は、指導者に対するコーチング、テイーチングの本質的な問題を論ずる前に、球団の補強に関するコンセプトに先ず変革が必要かと思います。読者の皆さんのご意見を伺いたいです。

 指導に対する結論として、巨人軍には、一貫した独自の指導マニュアル、指導システムが必要です。特に監督選考は、歴代のテイームの四番バッター、エース投手という伝統的な基準があるのが特徴です。このような発想から、東京読売巨人軍の監督擁立は、選手としての実績と人気を最優先する事でマネージメント能力は問われないのです。この発想は、本質的な問題の改善、改革が遅れてしまった大きな要因の一つのように思えてなりません。

  このようなコンセプトから、現場の個々の指導者達は、監督にイエスマンを装い、「世渡り術」を先ず身に付け、コーチ、指導者としての競争力が低下してしまっていることを運営、管理者が気付かないか、気付いている管理者が居ても何もできないので知らぬ顔をしているのかも知れません。監督に現場での統括管理能力が無ければ、テイームも選手も壊れてしまいます。

 今シーズン前期に解任されたGMは、この球団に必要な指導者が少ない事に気付かれたのかもしれません。しかし、本体の一軍が機能しなくなってしまい、本球団の伝統的な体質に、志半ばして押し潰されてしまったのではと推察致します。

  近年の東京読売巨人軍、最高経営者は、1993年、12月の最高経営者会議に於いて、一大方向転換をされたと考えられます。それは、V9と称されて参った川上哲治氏率いる東京読売巨人軍体制から長嶋茂雄氏率いる東京読売ジャイアンツへの一大移行プロゼクトであったと強く記憶に残っています。このプロゼクトの脚本を書かせて頂きましたのが、僭越ながら小生でありました。

  この長嶋ジャイアンツは、94年のメイクミラクル、96年のメイクドラマを完結後、最高経営者の政治的判断で本プロゼクトが解体され、プロゼクトの改革のイグニッションキー(自動車を始動する時のエンジン点火スイッチを指す)を失ったのだと思います。それ以後の球団の補強コンセプト(ドラフトを含む)は、育てるのでなく育った商品を買ってくるという手法を以前にも増して強力に推進せざるを、得なくなったのかも知れません。

 そこには、育成、指導のシステムもコンセプトも必要としない、本来の伝統的な問題処理、解決手法に委ねている様です。豊富な戦力を有しますと、そのような球団は、選手の力で10年に1,2度は勝利を味わう事が確率的にも可能なのです。形式的には、長嶋ジャイアンツを継承しながら、実質は、古き良き時代の体質に戻ってしまった感が否めないと感じているのは、私だけでしょうか。

  今此処で一大ギアのシフトチェンジを致さなければ、「本球団は、ステークホールダー(投資者)でありますジャイアンツファンの愛に溺れ、変革という努力を怠れば、気付いた時には既にプロ野球界の歴史が変わっていた」となるような気がしてなりません。現在は、まさにこの状況が進行中であります。

 GMへの提言:

 もしも、新GMが隣の芝生が美しく観え、隣の芝の運営、管理、育成方法をコピーしようと安易な考えを持たれて居たら、このGMには、期待できないかもしれません。

 既に述べて参りましたが、本球団には、特殊な事情と歴史があります。新GMには、今迄と異なる本球団に合致した新しいオリジナルなベースボール・アドミニストレイターでなければ成果と結果を期待できないかも知れないです。

 その為には、球団経営者は、新GMに創造力と実践力のある強いアシスタントを付けられて、補佐して挙げて頂きたく願う次第です。何故ならば、本球団は、伝統的な会社、企業の組織体質から内外に敵を有している関係から、新GM一人では、何ともなりません。先ずは、勝利する為にも強い信念とぶれない一貫した強い意思と意識が不可欠です。また、新GMは、自身判らない事は信頼できる、リスペクトできる方に訊ねる事です。古人曰く、「聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥」と。

  この度は、「東京読売巨人軍の若手選手が何故育てられないのか」を課題とテーマに、Ⅰ~Ⅷ回に分けて広範囲に述べさせていただきました。如何でしたでしょうか。

 読者の方々からは、「本BLOGは、日本社会、会社、企業組織の縮図への警鐘、提言として、捉えることができました」との身に余る書評、読後感を頂き恐悦至極に存じます。私は、お世話になりました東京読売巨人軍に再び栄光が蘇る事を心より願い、老婆心ながら提案、提言をさせて頂き、他意はありませんことを申し添えます。

  本球団の重大なコーチングの問題に付きましては、読者の皆さんのご要望があれば機会を見て掲載致します。今回を持ちまして、「どうした東京読売巨人軍」の課題、及びテーマは、一旦終了させて頂きます。近い将来、本提言が東京読売巨人軍から真の東京読売ジャイアンツとして生まれ変わる為の一助となりますことを心より祈念致しております。

                      文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

 

*次回NO.21は、9月中旬からスタートする予定です。

 お知らせ:河田弘道トーク・ライブ開催、106日金曜日、1830分開場。1900分スタート。会場:日比谷コンベンション大ホール。席数が限定されます。企画マネージメント会社からの告知は、9月7日を予定致しております。もうしばらくお待ちください。

 

 

NO.19 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍 無断転載禁止

NO19 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

                            無断転載禁止

 

Ⅶ.プロ野球選手以前に自立と自己管理を

 

1.自立心、自己管理、自己責任は~

 プロ選手としてのコンデイションング管理の重要性:

     真のプロフェッショナル・アスリートは、通常自らの年俸、契約金で専門家(マネージャー、トレイナー、カウンセラー、医師、等)と契約を結びます。特に競技スポーツ選手は、欠かせないのが専門スタッフの存在です。しかし、プロ野球選手は、所属する球団が専門家を帯同させ、医療機関と提携しているので、選手達は応急処置、及び治療、リハブ、等を球団に委ねているのが現状です。

    本来、メジャーリーグ(MLB)の選手達は、マネージメントを司る代理人(欧米の場合エイゼントと呼ぶ)が選手のメンテナンスから所得の運用活用、管理、そして家族の住居、子供の教育に至るまで、マネージメント契約内の全ての項目を代理業務しているのです。これらは、選手及び家族のプライバシーの保全の為にも球団のルールの下で外部の特定の専門家に委託しているケースが大です。

     プロ・アスリートの生命線は、心身の健康です。その為には、コンデイショニング管理の維持、強化に、自らの年俸、契約金の一部を投資する事はプロとしての義務であり使命です。通常は、選手の年俸、契約金の中に諸経費分が含まれているという解釈が業界の常識です。しかし、日本のプロ野球選手達(全てを指しているのでない)は、自身への投資を怠り、球団の医療関係者に身を委ねる伝統的な習慣があります。彼らは、専門知識が不足しているために選手生命、ビジネスにも大きなマイナス要因となっていることすら理解できていない人が多いです。

    その選手達の大半は、「球団所属の専門家を使えば金がかからないですむ」、との単純な理由です。このレベルの価値観では、思考能力が既に限定されていると考えられます(プロ選手としての自覚不足)。

 

 2.合宿所という閉鎖社会の功罪~

 プロ野球選手の特殊な生活習慣:

 本テーマは、少し視野を広めた視点で述べてみたいと考えました。

    日本の競技スポーツ選手は、幼い頃から学校体育の教員、部活指導者、或は地域スポーツ・クラブの指導者に接する事から始まります。このような指導者達の概念の多くは、伝統的な「全体練習」から、「型」に入れようとする指導法が今なお主流のようです。1人の指導者が多勢を運営、管理する為には、無理からぬ指導状況と環境である事も理解できます。

    このような指導法は、コーチングが「選手個々の潜在能力を導き出し、得意部分を伸ばす」コーチング理論とは異なるようです。これら全体練習は、伝統的な連帯責任的な指導方法が色濃く残っているようで、現代のプロ野球球団の指導体制に於いても現存しています。日本の選手に向いている指導法と過去の負の遺産の指導法は、整理する必要があると思われます。

 合宿所の存在:

「合宿所」は、選手にとって思春期の頃から抜け出せない競技スポーツ選手の閉ざされた生活居住の場です。読者の皆さんは、高校、大学、社会人と競技スポーツに関与された方であれば懐かしい呼び名と環境だと思います。これには、賛否両論があるでしょう。しかし、選手達には、選択(チョイス)が与えられていないのも事実、自由と人権の観点から、矛盾している運営、管理方法の一つです。

    例えば、高校時代から親元を離れて、野球部の合宿所に入れられ社会から隔離され、大学、そしてプロ野球界に入団と、この管理された環境で選手達が過ごしてきている事に対して、誰もが違和感も持たないのでしょか。勿論、管理する側、される側双方には、共同生活でしか得られないメリットもある事も事実です。

     欧米人は、この日本のスポーツ界の管理システムを、選手達を刑務所( the jailhouseの意味)に入れて管理している。とよく揶揄されます。欧米人の文化からは、想像ができない特徴の一つです。

    一方、欧米の指導者達は、日本の指導者、管理者達と異なった努力と苦労を経験しています。それは、個を認めて自由な生活をしている選手達を一つのテイーム、集団にまとめる難しさです。しかし、これは、選手にとって掛け替えのない、「自立、自主性、自己管理、自己責任を学ぶ」への重要な機会と環境なのです。読者の皆さんは、若者にどちらの生活環境を望まれますか。但し、球団と雇用契約にある、外国人選手は、合宿所への入居の有無は自由です。   このような伝統的な生活習慣を幼い頃から強いられてきた若者は、いつ自立心を学び、社会との協調性、社会性を習得できるのでしょうか。

    本BLOGコラムでは、他のテーマで教育機関での実態をご紹介しました。それは、高校生、大学生が「授業は、部活の為の休息の場と捉えて昼寝の時間」としている生徒、学生が多数居る事です(中には、指導者がこのように指導している場合もあります)。

    彼らは、教育から得られる貴重な知識の付与を望んでいないのです。それならば、何故彼らは、高校、大学に高額の授業料を払ってまで入学するのでしょうか。お子さんを持たれている読者の皆さんは、どう感じますか。我が国の教育機関に於ける競技スポーツ活動は、教育の延長線上、一環の筈なのですが、他の目的の為に大人が歪めてしまっているのではと、私は、強く感じてなりません。

     プロ野球選手の自己管理能力の育成は、日々の生活環境に於ける構造的な問題を前向きな姿勢で改善する事が、選手のプロとしての成長に繋がる重要なポイントであると思います。

 球団により管理された選手実態:

  選手にとって、その日常生活は、誰もが憧れるような「個室が与えられ、食事の準備がされ、娯楽室、サウナ、浴室、スイミングプール、トレーニングルーム」と超高級マンション同様な生活です。このような環境が若くして与えられる事で、彼らの自立心を期待する方が間違いなのかも知れません。

 余暇では、選手仲間、時として一部指導者、一部球団職員、等が加わり「賭け事」に乗ずる伝統的な生活習慣が醸成されるのもごく自然の成り行きです。このような環境から、全部でなくとも当然外部の遊戯場へとエスカレートして行く土壌が培養されているのです。選手達は、その行為の良し悪しが理解でき、知識も、自らを律する倫理観も、持ち合わせているとは限らないのです。この特殊な社会構造と生活環境に長年慣れている選手達は、違和感なく、日常生活を営んでいるわけです。

このような環境を与えている球団は、選手達の技術の指導とは別に、1社会人としての一般常識だけでも指導、改善しなければならない事を提案致します。

  各球団には、合宿所規約、ルールが設置され、ある時期が来たら社会での生活を余儀なくさせる事になっています。しかし、これでは、時すでに遅い場合が多いのです。よって、選手達には、自立できていない状態で合宿所から社会に出されるわけです。選手が起こす事件、スキャンダルは、このようなタイミングで多くが発生している場合が多いのも理解できます。この伝統的な生活環境は、今日も断ち切れない問題の温床となっている大きな要因の一つのように思えます。

  多分読者の皆さんは、現実の実態を御存じでないので想像がつかないかも知れません。球団は、高額年俸で契約した選手達を抱えていますが、プロとして契約した時点で「雇用主と個人事業主」の関係なのです。

 雇用主は、個々の選手を1社会人として対等な関係で契約の原理原則に基づき対応して行く勇気と実行力が必要かと思います。選手側には、彼ら個々の知識と理解力に応じた、多種多様な問題が起きるのは当然です。しかし、この失敗を糧に彼らは、多くの重要な問題を自ら解決して行く努力と経験から知恵が醸成されます。

 球団は、合宿所から選手を開放して、1社会人として選手と雇用関係を結ぶ事で、球団の選手管理が集約され、ゲームと育成に集中できる筈です。選手は、プロ契約後、1社会人として、個々の生活環境が確立して初めて、真のプロ選手として扱われる時なのかもしません。

  選手達は、常に高額の契約金、年俸を持っているのでATMに行けば引き出せます。それを狙うジャッカルたちが、内外に潜んでいる事を心して生活して欲しいと願う次第です。また、球団は、元ポリースマンを雇用する事で、形式的な改善を装おうのでなく、如何にして日々の生活の中で実践指導を遂行出来ているか、スキル指導同様に重要な業務だと思います。

  球団は、選手個人の問題として関知しないスタンスであるならば、選手を合宿所から解放する事に真剣に取り組む事をお薦めます。そうする事により、多くの選手達は、自然に社会に対応する能力を自ら会得し、適応力を向上させる為にも一考の余地ありと思います。

この度は、フィールドでの選手育成の基盤となる選手の生活面と環境の視点を広めて述べさせていただきました。本テーマに付きましては、球団の全選手がそうであると申しているのでありません。フィールドに於いても、生活面に於いても、1社会人としての常識を兼ね備えた立派な選手達も居ることを付け加えさせて頂きます。

                      文責:河田弘道 

                      Sportsアドミニストレーター

 

*次回NO.20は、「どうした東京読売巨人軍」の課題とテーマの最終回とさせて頂きます。テーマは、「補強に寄る功罪」、「若い選手が育たない環境、まとめ」、等を予定しています。いつも沢山のコメントメールを頂き有難うございます。

NO.21からは、他の読者の皆さんからの種々のリクエストが既に届いていますので、異なるテーマを取り上げる予定です。

@お知らせ:21日、FacebookTwitterに「私大への公金補助、助成金の情報公開の必要性」をコメント致しました。

@お知らせ:106日、午後18時より、河田弘道のライブトークが企画、予定されています。近日、企画会社より告知が予定されています。

NO.18 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍 無断転載禁止

NO18 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

                                           無断転載禁止

Ⅵ.壊し屋さんへのリスクヘッジ

 1.リスク軽減する為の専門家の導入~

 松井秀喜選手の場合:

    それでは、この壊し屋さんたちの日常の業務を如何にして、その被害から球団の財産を最小限度にくい止めることができるか、例をご紹介しましょう。私が、嘗てジャイアンツのフロント、現場に関係していました時に体験した実例です。

    それは、「松井秀喜選手のケース」です。このケースは、今日までマスメデイアに於いても紹介された事が無かったようです。彼は、ジャイアンツに入団してその年のオフの怪我から、彼が球団を離脱するまでの9年間、彼の身体のメインテナンスとバッテイング、スローイング、等に関する技術指導とコンデイショニングを行って頂いたのは、まぎれもなく市川繁之氏(PTPNFの世界の大家)でありました。「市川氏に付きましては、市川繁之で検索かPNFで検索されると詳しく告知」よって、監督以下コーチングスタッフは、市川氏に松井選手については委ねられていたのです。

   これは、言うまでもなく成果と結果が出るからでした(市川氏は、1994年~97年まで球団との契約、以降、松井選手は、1クライアントとしての関係)。マスメデイアで取り上げられている、同選手の指導者に関する話題とは、全く異なる事を読者は本BLOGで初めて知り驚かれた事でしょう。

     その献身的な情熱と卓越したスポーツ医科学を駆使した理論と実践は、MLB時代の野茂英雄氏、当時のジャイアンツの投手、他現在では、MLBの一線で活躍中の投手、日本プロ野球界で活躍の投手、選手と数えあげれば限がありません。また、過去、現在のオリンピック競技スポーツで活躍し、メダリストの多くは、市川氏のお世話になっているケースが多いのです。

    しかし、日本の競技スポーツ選手達は、自らお世話になっている大切なはずの指導者を公に紹介するという習慣が無いようです。これは、スポーツ選手に必要な礼節の一つが欠けていると私は思います。指導者も生身の人間ですので、公にされる方がモチベーションも高まり、よりインターラクテイブな関係を構築されるのでこの点を改善する必要があると思います。

     日本のスポーツ整形外科医の間では、市川氏を知らない医師はスポーツ整形医ではないとまで言われています。また、市川氏は、一切クライアント(顧客)を売名行為に使用されない方なので、業界以外の方々には、知られていないと思われます。市川氏のクレデイットをさも自分が指導したかの如くマスメデイアに肯定する方々を見聞きするに付けて、スポーツマスメデイアの取材力に一抹の不安と寂しさを感じずにはいられません。

 過酷なトレーニング実態:

    その評価と信頼は、その指導を受けたそれぞれの選手達が一番感謝し、リスペクトしている事でしょう。松井選手に於きましては、遠征から戻った即日に市川氏のクリニックを訪れて、PNFを通しての身体のメンテを受け、その後延々と続くバッテイング練習、一度に必要とする時間は、何と3時間から4時間に及ぶこともしばしばありました。これを松井選手は、根気よく週最低23度、9年間続けた、彼の強い意思、意識と市川氏のプロフェッショナリテイーには、ただただ頭が下がる思いでした。よって、同選手の怪我は、入団一年目のオフの怪我以外、退団するまで松井選手が怪我をして休むなど聞いた記憶が無いのではないでしょうか。

     この9年間の毎回のトレーニング報告書は、松井選手の初年度の怪我から同選手がFAジャイアンツを退団するまで市川氏によって作成されました。市川氏は、本当にこの業界に於いて珍しく律儀で正直な方、私が最初に松井選手をお預け(1994年早春)致して以来、紹介者に対して仕事の成果と結果の報告書を絶やした事は9年間一度もありませんでした。

 松井選手の強い決意と重大決断:

 松井選手は、当時退団を決断し発表した年月日の丁度1年前に、既に巨人軍を退任していました私を訪ねて参りました。 彼は「河田さんのご意見を聞かせて頂きたい、教えて欲しい事があるのでお会いしたい」との事で、市川氏と共に都内の某ホテルでお会いして、会食しながらお話を伺いました。

 そこでは、「松井選手の巨人軍時代に起きた整理、退団の理由、MLBへの夢と現実、退団に対する大義、今後の準備と手順、等々」を確認し合ったのが、今ではつい昨日のような気が致します。

 MLB引退後も当時彼と確認し合った方向性には、ブレも無く全うされている事を大変感心致しております。国民栄誉賞の誘惑にも揺らぐことなく、彼が物事に筋を通す事は、何にも勝る強い信念と強い意思であると信じております。

  当時の打撃コーチの記録では、市川氏のトレーニングを受けた翌日、翌々日の松井選手の打率は、7割を超えていた事が証明されており、PNFによる運動効果と正確さを計る貴重なデータでありました事を、このBLOGでご紹介致します。(Gファイル:長嶋茂雄と黒衣の参謀には、詳述済み、文芸春秋社武田頼政著)

 

2.真の指導者とは、球団の真の救助主~

 本当のプロの指導者とは:

 プロの選手は、ゲームで結果を出せば誰もが認め、誰も非難をしないのです。ユニフォームを着て背番号を付けて居なくても、超一流の指導者が居ることを松井秀喜選手、野茂英雄投手、他の例が成果と結果から証明しています。此のことから、現在ユニフォームを着ているコーチ達が、市川氏のようなスポーツ医科学の専門知識とコンデイショニングの実践スキルを少しでも身に着けて居れば、多くの若手選手達がどれ程救われ、育って行くかを誰もが理解できていないのが問題なのでしょう。

 本球団のコーチングスタッフには、誰もが憧れ、大変興味を持つのも事実です。彼らは、気付かないのでなく気付く為に必要な情報、知識と専門家に学ぼうとする真摯な心と意識が備わっていないのかも知れません。

 市川繁之氏の存在と有効性:

 これは、別の視点で申し上げますと、市川氏のような方が球団に居れば、選手、コーチングスタッフは医科学の必要性とその論理を学べ、医療担当者は野球に必要な医療技術の習得ができるわけです。またスカウテイングとスカウトマン達もスカウテイングのスキルアップや、眼力が養われ、球団にとっては、大きな変革を与えて頂けるでしょう。また、スカウテイングリストの中から、どうしても必要で、欲しい選手のスカウテイングレポートを市川氏のような方に見て頂き、億単位の価値があるかどうか何故見て頂き判断を仰がないのでしょうか。

 私なら選手獲得のリスクヘッジからも、当然見て頂き今後の指導、育成方法に於いても適切な指導を受ける方が、スマートで同時に莫大な経費の削減にも効果を発揮すると考えます。読者の皆さんならどう思考されますか。

  悪例として、1995年秋に球団は、既に8年契約という異常な契約期間と莫大な金額で韓国のスター投手を獲得されていました。趙成珉(ソンミン)投手は、秋の宮崎キャンプで市川PTの身体検査を受けてもらう事にしたのです。その結果、問題を明快に指摘されたレポートを受けた次第です。

 市川氏曰く「球団、監督、投手コーチは、マスメデイアに対して、即戦力の巨人のエースを獲得した、と告知されています。しかし、この投手は、期待されているような活躍は難しいです。テイームは、来季泣きを見る事になり、河田さんの再建ビジョンに支障をきたすと思います。他の信頼できる外国人投手を獲得されておかれた方が賢明です。」とレポートに断言されていたのでした(勿論その原因と根拠を明示)。本レポートの正確性は、その春のオープン戦で先発した趙成珉投手が2回までに大量失点し、3アウトが取れず降板した事がその証の第一弾、その後何度と同投手にはチャンスを与えました。

  このレポートのおかげで、あのバルビーノ・ガルベス投手が入団の機会を得たのです。そして、メイクドラマの主役になったのも事実、市川氏のおかげでした。(Gファイル:長嶋茂雄と黒衣の参謀、で既に紹介済) 

 当時より本球団の補強は、このよう有名で人気がある事を最優先するスカウテイングで、日本選手のFA補強も同様なコンセプトです。よって本年度も旧態依然と変わらぬFA補強でしたので、ファンとテイームに多大な迷惑を掛け、球団経営者には、多大な損失を与えている次第です。これは、プロの有能なスカウトマンが居ないか、最終決断をする責任者にベースボール・アドミニストレーターとしての能力が無かったか、或は、その両方が原因の証であると思えます。

  一日も早く、若い世代の有能なベースボール・アドミニストレーターを育成、醸成され、現代スポーツ医科学を最大限に活用される近代的な球団の環境である事を切に願います。巨人軍の指導方法は、日本の他の競技スポーツ界に多大な影響を及ぼしますので、古い体質の指導方法から脱却し、健全な未来志向への変革(Change)が急務です。その為には、底辺の模範となる機能的システムの構築が急がれると思います。

                      文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

お知らせ:BLOG「どうした東京読売巨人軍NO.18迄予定致しておりましたが、多くの一般読者以外の業界関係者、大学指導者、学生、父母からの要望により、NO.20まで予定致して居ますので、お役に立っていますならこの上ない喜びです。

次回予定:

*次回19回では、「プロの選手としての自立心と自己管理の欠落」、「12軍の指導体制の一貫性と古い指導体制からの脱皮の必要性」。

お知らせ:河田弘道の「ライブトーク106日予定」。

 

NO.17 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

NO17 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

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Ⅴ.プロ野球の指導者に何を求め期待するか

 1.監督がお飾り的な場合:

有能な競技者は、有能な指導者にあらず~

    以前本BLOGでご紹介いたしましたように、オリンピックのメダリスト、代表選手は、その競技種目で競い合った最高の勝利者、勇者として認められ、称賛されるべきです。しかし、日本の社会では、残念ながらこのような競技選手を、即優秀な指導者、人格者でもあると、また教育界では、スポーツの専門家(オーソリテイー)と称せられ、優れた教育者である。と誤った考えで評価をしてしまう慣習がある事を忘れてはなりません。読者の皆さんは、如何でしょうか。

     このような評価は、まさに迷信に近い思い込みであります。このような万能の評価をされるアスリートは、居ないとは申しませんが奇跡的な存在である事もまた確かです。このような優れた競技選手が、指導分野、部門で活動、活躍を望まれる場合は、先ず希望する専門分野、部門で十分な知識と実践を習得した上で、できればその専門分野での資格を得ることを薦めます。優秀なスポーツ競技者は、優秀な万能者でないのです。何故ならば、殆どの競技者達は、自ら特化した競技種目という世界での競技を通しての経験、体験と限られたものです。いわば、社会で申しますスペシャリストです。

  このような競技選手が監督、指導者になり指導を遂行する事は、自らの経験的な指導を強いるのであります。ジャイアンツの一軍、二軍の監督、指導者は、自身の選手時代の経験を活かして指導していますが、自らの経験が全ての選手に当てはまるものではありません。

 選手達は、顔かたちが個々それぞれ異なるように、異なる身体の構造、能力、異なる精神力、精神構造を持って居ます。その潜在的な能力をポジテイブな指導により、引き出し、導き出す事がコーチング術(スキル)です。例えば、自分は、この方法で成功したが、その方法を他の選手に押し付ける事は、その選手にその指導方が合っていない場合が多く、壊すことは出来ても、コーチングをした事にはならず、かえって球団の財産である優秀な未来ある選手を潰してしまっていることに、気付いていない事が問題なのです。

 ましてや、個々の選手のコンデイショニングの知識も無く、唯強制的にやらせる指導法を持ち込み全体練習を最優先するような質より量的指導は、コーチングという指導論理とは対極の指導法であり、これでは、個々の若駒は育てられないと思います。

 勿論、ごく少数ですが、指導者の中にも、選手時代から独学で専門知識を学び、自らの実践に取り入れ成功されて、現場で日々活躍されている指導者も居ることも事実です。

  このような現実から、プロの監督、指導者には、選手を引退され指導者になる以前にテイーチング及びコーチングの専門知識を先ず修得して頂きたく思う次第です。本来なら、日本プロ野球機構(NPB)、選手会組織は、セカンドキャリアの養成の一環として、専門的な指導者指導、養成を行える機関を確保し、運営、管理する事が必要かと思います。即ち、これは、日本プロ野球界の選手の障害予防、健康管理、指導者スキルの向上に繋がる事に何故気付かないのか残念でなりません。 

 球団の財産である選手を指導するに当たって、球団は、コーチとしての能力、適性、資質があるかどうかの独自の適性基準と評価基準が必要です。特にGMには、適性の見極めをする物差しが無ければ、選手を育てる担保が確保できないと思います。

 

契約雇用制度の有効活用~

 有名人監督を任命する場合は、実質的マネージメント面に於いて高いリスクが伴います。これを遂行する場合は、必ず両脇を固める意味に於いて、有能な強い信念を兼ね備えた補佐役を配置する事がリスク軽減に繋がります。

 このような人物を監督、指導者に据えた場合は、就任後も指導者の職責、責務を逸脱した言動、行動を起こしすい事も事実です。その為に、軽率な選手への指導が選手を壊し、それが原因で今日も放出した選手が後をたちません。全ての選手に自らの経験のみを押し付ける指導方法は、間違いの根源となっているようです。また、コーチングスタッフ達の多くは、長年の慣習でバーチカル・ソサエティー(ピラミッド型の上下関係の社会)が確立されているので、上ばかりを見ての保身術を磨いても、コーチングスキルを磨かない悲しい現実を先ず改めて欲しいです。

  その為には、契約雇用の意義と目的を明確にする事が大事です。契約は、双方の信頼と尊敬の証としての担保です。この担保が在って初めて、指導者は、指導成果の評価と査定がなされ生活の糧が得られるのですから、真剣に日々指導力の向上に努め、成果をだすよう業務に取り組むべきです。

 日本のプロ野球球団には、本職責、責務をグレーにした状態で現場を運営している球団が多く見かけられます。それでは、何故各球団の指導者個々に担当業務の肩書が与えられるが、その肩書の成果と結果の責務が問われないのでしょうか。不思議なベースボール・アドミニストレーションです。

 これは、我が国の伝統的な社会に於ける雇用制度に欧米型の契約雇用制度がプロ・スポーツ界に導入されました。この契約雇用制度は、責任の所在を明確にすることも重要な特徴であります。しかし、この特徴を有効に活用できていないのが現実の様です。

 

リーダーたる気配りの必要性~

 監督、指導者は、壊し屋さんです。と呼ばれない為にも素晴らしい内外の指導力のある人材に目を向け、指導を受け、学ぶという謙虚な姿勢が、必要であると思われます。  例えば、「誰それ監督、コーチは、誰それ選手を一流に育てた」なんてマスメデイアがよく一面に掲載していますが、それらには確かな根拠も無く、その指導者の商品価値を高めようとするマスメデイアのトリックに過ぎないのです。 

 その監督、指導者は、「実はそれは私でなく、誰それ氏のお蔭なのです」との素直な気配りさえもありません。これは、実に悲しい事です。この気配り一つで、球団内での指導者間の競争力が芽生え、指導部門に於ける競争の原理を導き出せるのです。此れも指導者へのコーチングの一つなのです。

  実力の無い指導者は、このようなシステムを望みません。多分多くの指導者達は、嘗て選手時代の名声で選手達を威圧する事をコーチングだと勘違いしているのかも知れません。私の経験から申し上げますと、本球団と監督の間には、GMと球団のそれと同様にこのようなビジネスライクな取り決めがあるとは思われませんし、球団とコーチとの間の肩書の責務がグレーである事が中途半端な指導体制になってしまっているように思えます。此れこそがプロの選手を育てられない大きな要因の根っこの一つだと思います。 

                      文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

 NO.18 では、「巨人軍での9年間、松井秀喜選手の努力と真の指導者」をご紹介します。驚かないで下さい。本BLOGに初公開!

NO.16 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍 無断転載禁止 

 

NO16 河田弘道プロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍 

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Ⅳ.ジャイアンツに於ける監督の位置付け:

 1.巨人軍監督の虚像と実像:

 人気商品としての監督業~

    東京読売巨人軍の親会社・企業は、読売新聞社でマスメデイアである事を既に紹介致しました。商品価値の高い商品は、人気と実力を兼ね備えた選手と栄光の巨人軍です。しかし、巨人軍は、もう一つ選手と同等以上に評価価値を認めているのが監督です。よって、経営者は、どうしても嘗て選手時代にジャイアンツでスター選手であった人物を歴代の監督に任命するのです。

    既に[ I ]で述べました、巨人軍創設以来モットーとして掲げて参っております「巨人軍は、紳士たれ」は、願いであり、「巨人軍は、純血たれ」の精神は、既に外国籍選手の導入により崩れ去りました。しかし、現在今なおこの「巨人軍は、純血たれ」を守り続けているのがこの監督業の位置です。これにより、古き良き時代のファン層をも固定客として維持、確保して来たのだと思われます。

     巨人軍の監督だけが勝つ事を求められているわけではありません。全ての競技スポーツは、勝利する事が最終のゴールと位置付けられているからです。

   一軍、二軍の監督がよく口にするのは、「若手を育てるには、勝ちながら育てる」とよく言っていますが、問題は、言うほど事は簡単でない事を理解できていないのです。これは、少しニューアンスも異なるのですが、「若手を育てるには、勝たせながら育てる」が正しい言い方でないかと思います。しかし、巨人軍には、この言葉に当てはまる監督が果して居ましたでしょうか。

 2.監督選考の実態:

 選考プロセスの矛盾~

    此処で大きな矛盾の一つは、親会社がマスメデイアである為にどうしても利用価値の高い人物、即ち選手時代から商品価値の高い元選手を監督にするのです。しかし、本球団経営者は、任命した監督が優れたマネージメント能力があるか否かの以前に、OBで有名人である事を最優先されます。

   東京読売ジャイアンツの監督は、客が呼べ、新聞の拡販に役立ち、グループの顔として、視聴率が稼げ、勝利する事は、当然の使命と考えられているのです。これらの期待と使命を背負わされた元スター選手の巨人軍監督は、監督としての必要で欠くべからざる能力が備わっているかどうかについては難しいところでしょう。

 選考の事情~

    現監督は、多分松井秀喜氏を期待していた結果の産物であったのでしょう(松井選手に付いては、次回の予定)。現監督は、現役選手であったのを突如巨人軍監督に据えられ、言わば(DH=指名打者)的な存在なのかも知れません。全くコーチ経験も無く、いきなりの起用は、本球団の監督選考に対する思考と特徴を計る一例でもあります。現役選手を望んでいた(マスコミコメントより)同選手を監督として同意させた理由は、別にあったのかもしれません。よって、本球団の監督選考の時点で、最高経営者は、テイーム、選手の現体制の育成、強化、向上から外れた視点で監督を任命しているわけです。

     通常メジャーリーグMLB)に於いては、球団GMが決定した後、GMが、現在のテイーム状況を精査、分析し、現段階のテイームをマネージメントできる人物を複数の候補者リストに挙げ、公平なインタビューを経て、最高経営者(オーナー)に推薦するのが業界の習慣です。最高経営者は、経営方針に沿った監督かどうかを確認し、任命、契約の運びとなります。監督契約は、GMの大きな責務の一つでもあります。よって、GMと監督は、一心同体であるべきなのです。

 3.例外的な人物の紹介:

 現有戦力で勝てる監督~

    例外も時としてあることを忘れてはなりません。例えば、中日ドラゴンズで監督をされて成功した落合博満氏です。私の私見から、同氏は、現在の日本プロ野球界でベースボールでなく、野球を一番よく熟知している1人でしょう。彼は、与えられた戦力でフィールドに於ける最高の成果と結果が出せる有能な人物です。

  私は、落合氏と巨人軍時代にベースボール・アドミニストレーターと選手の関係で3シーズンを共にしましたので彼の得意、不得意は承知しているつもりです。彼は、中日の監督としての職責を全うできた人物です。その根拠は、勝つ為に必要な選手の見極め、テイームに対するゲーム・マネージメント力、決断力は、ずば抜けた才能を発揮しました。

    巨人軍時代に彼との会話の中で強い印象が記憶に残っています。それは、丁度、桑田投手の問題で、1995年前半に同投手が怪我をして、それ以降試合に出られなかった、また、当時球団は、韓国から趙ソンミン投手を当時の編成部長氏と球団代表氏が確か8年契約で獲得していたのですが、身体的な問題が来日後に発覚し期待不可の決断を余儀なくされた結果、シーズンオフにガルベス投手を準備し、彼を春のキャンプでトライアウトを行って獲得した時でした。

  当時、落合選手とドームのダッグアウト裏のサロン控室でバッタリ会った時に、彼が私に「ガルベスを、何処で見つけてきたんですか。奴は、絶対に日本で一財産作って帰りますよ」と初めて、彼が私に口を開いて断言した事を今も鮮明に覚えています。彼のこの言葉には、何の他意も無かったと思います。

   私は、落合氏に対して「あなたは、眼力があるね。彼は、仕事が出来ると思ったので、年俸2500万円で獲得しました。あなたの年俸の何十分の一です」と笑顔で応えたのが昨日のようです。同年ガルベス投手は、確か初年度に16勝しメイクドラマに貢献してくれた主力投手でした。

     落合氏の一番不得手な分野は、コミュニケーションだと思います。彼は、中日球団でこの不得手な分野を持ちながら、見事な成果と結果を残したのです。

   彼の監督としての手腕は、与えられた戦力を最大限に引き出し、ゲーム・マネージメントを通して勝利に導く理想的な監督でした。

   彼が監督をした後を引き継ぐ監督は、正直お気の毒と申し上げます。その理由は、選手達は既にすり切れてしまっているので戦力として使える選手は、ごくわずかとなっていたのです。結果として、その後の高木氏は、テイームの戦力の十分な分析をせず監督を受託し、あのような無残な結果を持って、再度落合氏の手に戻ったわけです。

    この事からも落合氏が監督を行った後の球団は、戦力の再構築に伴う補強活動、メインテナンス、等、選手のみならずスタッフの入れ替えも重要なポイントでもあると思われます。よって、このタイプの監督は、選手を育てながら勝利を期待するタイプの指揮官、指導者ではないのです。勝ってもらう為の監督と申し上げた方が判りやすいかと思います。即ち、勝利をしてもらう為の最後の仕上げ(アンカー)の監督と説明した方が理解しやすいかと思います。

    この手法は、嘗て西武ライオンズの名将と呼ばれた森祇晶氏に酷似と私は評しています。当時森氏が通った跡(監督をした後)には、ぺんぺん草も生えない。との逸話が業界に残っているくらいです。落合氏の中日監督時代のコーチングスタッフは、この森氏の西武時代のスタッフ達であった事も落合監督の手法をよく理解できていたはずです。このBLOGの読者の皆さんなら既にお気付きのこととお察しします。

    監督退任後、彼が次にGMとして球団を引き受けられた時、「失敗して中日球団に禍根を残す」であろうと実は予想していました。何故なら、GMという職責には、多大なコミュニケーション力が求められるからです。彼は、何故一番不得手な職責、業務をあえて最高経営者に申し出たのでしょうか。

    これは、私の推論ですが、彼は、監督として復帰するには戦力が皆無であると考え、戦力が整うまで名代監督を立てる、或は、GMとして自身の能力を過信していたのかも知れません。同氏をGMに任命された最高経営者の決断に不可欠なキーワードになる情報が不足していたのでないかと私は、推測致しております。

    もしも、巨人軍の最高経営者が、現在のジャイアンツの戦力で成果と結果を求めるのであれば、OBでもある落合氏は、最適な監督であると思います。彼であれば、一部現場、フロントスタッフの入れ替えを行なえばこの戦力で十分勝つと思います。しかし、落合氏がマスメデイア受けしない事を最高経営者がどう思われるか。それは、名古屋で既に実証済みだからです。

    私は、96年の落合選手、清原選手の人事問題に関わった一人として、その事情から落合氏のジャイアンツ復帰の機会もあった(彼も巨人軍OBであり、有名な実力者)のでないかと思う一人です。

                       文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

 

*次回Ⅴでは、「巨人軍の現場指導者は、何故自軍の選手を怒鳴り、非難するか。 もっとプロとして利口な指導スキルを身に付けなさい」、「プロ野球の指導者に何を求め期待するか」

 

NO.15 河田弘道のプロ野球の視点:どうした東京読売巨人軍

 

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         Ⅲ.ベースボール・アドミニストレーションの基軸

 1.GMは、編成の統括責任者~

     GMの職責、責務を明文化せよ:

    球団の経営、運営、管理には、大きく二つの基軸が両輪となっている事を先ずご理解下さい。一つ目は、原材料(選手)を購入して商品化を行う編成部門。二つ目は、商品化なった商品(選手、テイーム)をビジネス化するビジネス部門です。

    この度、本BLOGでのテーマは、この基軸の一つ目の「原材料を購入して商品化を行う部門」です。即ち本部門は、専門的に編成、運営、管理を司る「オペレーション・マネージメント」業務部門に付いてです。

    この部門の統括責任者は、皆さんが近年よく耳にしますゼネラル・マネージャー(GM)と呼ばれる方なのです。本名称は、球団社長、球団代表、編成本部長、等々の名称で皆さんには現在もお馴染みの肩書ですが、近年、メジャーリーグMLB)の影響を受けて名称だけでも真似した肩書なのです。二つ目のビジネス部門には、ビジネス・マネージャー(BM)なる統括責任者が職責として居るのです。

    ジャイアンツ球団に於きましては、つい先日代表兼GMがシーズン2か月余り経て突如解任されたのは記憶に新しい出来事です。この球団には、何故このような事が起こりえるのかが、今回のテーマに大きく関連している要因の一つなのです。

   本球団に於いては、代表兼GMと球団との間に於ける契約書なる物の存在は、存在していないと思います。それは、あくまでも親会社と事業所(球団)の関係に於ける人事異動と位置付けているからだと思われます。よって、GMは、職責にも責務があって無いに等しいのです。此れでは、プロとしてのGMの職責でなく、単なる肩書を与えられた1サラリーマンにすぎないのです。このような球団は、プロフェッショナル球団と言い難い経営、運営、管理がなされている様子が伺えるかと思われます。

     この度、突然新しく任を受けたGMには、球団と本人の間にGMの職責に対する責務が明文化され、その職責を全うする為にどんな権限が付与されているのか、告知出来る契約書であるかどうかも今後の業務遂行に大きな影響を及ぼすのです。

   このGMの職責に対する責務と権限が明確に明記されることにより、GMは、フィールドの監督、コーチ、スタッフ達の業務委託契約書にも職責に対する責務を明確に明記し、約束事を双方で遵守して初めてフロント、現場の責任体制が明快に確立することになるのです。丁度、現場のコーチ達は、肩書が在っても実際に於いて肩書に伴った権限と責務が与えられていないので、誰も最終的な責任は問われないのと同じなのです。

本球団のベースボール・アドミニストレーションには、プロのビジネスとしての責任の所在を明確にした球団組織である事が急務だと思います。

   責任の所在が明快であり、それを担保する契約書がある事は、本球団の構造改革の第一歩であり、本来のプロ球団組織としての体を成すのです。このような構造的な問題を抱えている組織では、フィールド現場に於いて若手選手を育成、商品化するシステムを語る以前の問題を抱えていると思われます。

  このような契約書の中身が無い場合は、責任の所在も問えないし、評価基準が無いに等しいのです。本来は、職責、責務は重く、球団は、GMの能力に託されていると申し上げても過言でありません。

 2.プロフェッショナルGMのあるべき姿~

 GMの職責と業務とは:

    例えば、本テーマのような問題は、本年度シーズンを迎えるに当たり、昨年、一昨年のシーズン終了後に、全担当コーチ(一軍、二軍)、監督からシーズン終了の業務報告書の提出を義務付けているのか、いなかったのかは、プロとして重要な業務の一つなのです。

   その報告書から球団の編成を司るGMは、分析後そのシーズンの結果からどのような選手を、即戦力としての補強が必要か、中・長期ビジョンの補強が必要か否かを精査、検討しなければなりません。この時期には、最終的にこの球団テイームのコンセプトとビジョンに沿った修正仮説を立て、即次年度用と中・長期用の企画書を自らの手で書き上げる能力も本来GMの重要な業務と責務として求められるのです。

   そして此処でGMは、必要な戦力としての選手が何処まで成長しているか、鈍化しているかの状態を数値化する事で選手本人、指導者個々に説明し、理解と説得が与えられるのです。此処で、各担当コーチの契約書に明記されている責務が果たされていたのかどうかの評価、査定もなされるべきなのです。また、シーズンの結果から自軍の弱点箇所を精査検証し、次なる補強に付いては、球団スカウト部長と入念にすり合わせをする事になります。その上で補強に関する結論は、GMが決断し、業務課題を専門部署に説明、指示を与えます。スカウト部長は、GMが出した最終決断を担当スカウトマン達に伝達、スカウテイングの戦場にスカウトマン達を解き放つのです。

    2017年度シーズンは、16年度シーズンオフに先ず年度のシーズン状況を総合的に分析して、シーズン企画書に基づいたベースボール・アドミニストレーションが出来たか否かの検証をする事が大事です。その検証を基に次年度の企画、プランニングを立てるのがより現実的なのです。

   その為には、GM、及びテイーム監督は、本企画書、プランニング書を共有し、明確に遂行する強い意思と意識が必要であります。今シーズンを迎えるに当たって、GMは、シーズン前のオフの過ごし方、選手のメインテナンス、キャンプの企画、計画書の作成、オープン戦(プレシーズンゲームの意味)の現場の状況判断、フロント判断を総合して4月の開幕から10月のシーズン最終戦までの実践マニュアル(航海図面)を完成する必要があります。

   また、今シーズンをロングタームとショートタームのゴール設定、補強、準備、を行ってきているのであれば、今シーズンの様な前半に13連敗致そうが、全くガタガタとGMを途中で交代させる必要はないのです。何故なら、GMは、シーズン前の企画時に、現テイームの戦力と監督の実践経験、個々のコーチングスタッフ力から、常に最悪のシナリオを想定していなければ真のGMと言い難いからです。そして、大切な事は、シーズン開幕後、対戦相手が一巡した段階で、シーズン一回目の企画、計画に対する検証とそれに対する修正が必要なのです。

 此処で、GMの洞察力、眼力が問われるのです。此処でのチェックを怠ると今シーズン仕出かした不名誉な記録を醸成する事になるのです。また、GMは、本企画、計画をシーズン前に球団経営者会議で説明、了解を得ておくこともGMのマネージメントの一つです。

  このような準備が、今シーズンの巨人軍には、出来ていたのでしょうか。GMは、準備を整えていても、各担当部署の責任者の能力の問題で遂行出来ていないのであるならば、その担当者の責任は逃れられません。最高経営者は、新GMにどのような権限とパワーを与えているか否か、新GMの技量と度量もこれから試されるので興味深い所。

 GMは、職責、責務を理解しているか:

 私は、本球団での経験、体験者の1人ですので、去ったGMの心中察すると心が痛みます。特に、去ったGMは、親会社から来られた今迄の方々と比較しても誠実で対人関係も素晴らしいとの評価を内外から入って来ていました。

 しかし、球団の屋台骨であるべきGMが、親会社の社員の身分でプロのベースボール・アドミニストレーターは、務まりません。何故ならば、GMは、プロに移籍する時点で、親会社を退職され、GMとして球団と契約し、本職責に就任するべきであったと思います(退路を断ってプロとしての重責に臨む覚悟の証)。 

 この基本的なスポーツ・アドミニストレーションのコンセプトが既に間違えているのだと思います。二足わらじは、身と生活の安全を担保しますが、片やプロの厳しい業務を遂行する為には、脇が甘くなるかと思います。此れも、プロのスポーツ・アドミニストレーションの辛い厳しい環境と重責なのです。

 これ程有名選手の人気集団であります球団、テイームは、新聞社、テレビ局に取りましてこれ以上ない商品価値であったわけです。これらは、マスメデイア企業のビジネスとして欠く事の出来ない彼らのコンテンツなのであります。

 巨人戦がマスメデイアのキラーコンテンツであった時代は、1994年のメイクミラクル、96年のメイクドラマで完結終了してしまったと申し上げても過言でありいません。その証は、TV視聴率の年間平均が23.5%を推移していたことであります。現在のTV視聴率は、如何でしょうか。

 その後、巨人軍は、TVキラーコンテンツに成りえていない事が残念でなりません。しかし、まだ、組織の構造的な改革をドラステイックに出来れば、次世代に相応しい新しいキラーコンテンツが誕生する可能性を秘めています。現在は、全てに於いて中途半端なベースボール・アドミニストレーションと言えます。会社・企業、組織では、最高経営者及び経営陣の創造力次第で発展も衰退も可能であります。その何れかを選び決断するのは、最高経営者なのです。

  此の度のGM人事に於ける新GMは、職責を理解し、どのようなビジョンを持って、どれ程の期間で成果と結果を出せるのか楽しみです。少なくとも3シーズンは、チャンスを与えて挙げて欲しいと願う次第です。 

                      文責:河田弘道

                      Sportsアドミニストレーター

 

*次回テーマには、例として「落合博満氏の監督としての成功とGMとしての失敗」、も含まれています。お楽しみに!