KファイルNO.150:時代と共に本質を失う大学箱根駅伝と大学倫理

KファイルNO.150:時代と共に本質を失う大学箱根駅伝と大学倫理

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

読者からの便り

河田様

Kファイル「No.148」拝読いたしました。

出来る限り何度も読み返し勉強させて頂いております。No.147におきまして「学友会組織は、全学生達の授業料から学友会費、施設費、として徴収され、運営、管理がなされている仕組みなのです。即ち、全学生は、学友会の各部活のステークホルダー(投資者)なのです。これが母体で学内の部活が運営、管理されている次第です。よって、本来部活の権利は、全学生にもあり、大学が大学スポーツ協会に申請、加盟するに当たっても全学生の同意或いは本来コンセンサスが必要なのです。」という文面がありましたので、ネットで「とある私立大学」の「入学手続時の納入金」や「学費」などの情報を見ることができました。そこからは、学友会費¥10,000、施設設備費¥218、900等、年総額130万円前後の資金を各個人(親)が授業料として負担していることが分かりました。

 日本の場合、このくらい資金を毎年(私大なら4年間)捻出しなければ、大学は卒業できない事も確認しました。こんな高い学費を払っているのに唯「遊び」「部活」だけで通っていれば「親に失礼」であるし「お金を捨てている」も同然です。話は逸れましたが、そのような一人一人が納めた費用の中から「部活動」にも充てられているとの解釈でよろしいでしょうか。そして、これらとは別に個々に部費も納めているのでそれであれば、学生達は確かに「集金マシーン」と化していることになります。そして「特別待遇」で入学してくる学生選手達の「小遣い」も「私学助成金」や「一般学生」からの「納入金」で賄われていると理解致しました。

だからこそ「大学スポーツ協会(UNIVAS)への加盟申請」、[箱根駅伝]名を勝手に学連と読売新聞東京本社間に商標権の移転を認め、企業の私物化等に付きましても「個々の大学の一般学生の意見」も聞かなければ「不公平」ということになる事も理解しました。しかしながら、学生たちは実際に自分たちが納めたお金で部活が運営管理されているという実態が入学時の書類に明記されているだけで何の説明もしない大学、法人の手法にも問題ありだと思います。しかし、これを何の疑いも無く学生、その親も全く気付かない所に双方に問題が在る事をこのKファイルで教えて頂きました。子を持つ親として、これは緊張感を持って大学との約束事、等に目を配る必要がある事を改めて学ばせて頂きました。世の親達は、我が子の入学に気を取られて私学の言いなりで全く無防備、無関心という事でしょうか。読者より 

 

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目次

KファイルNO.150:時代と共に本質を失う大学箱根駅伝と大学倫理

1.私大にとっての箱根駅伝とは何か

  ■大学内に於ける伝統的な部活の実態

  ■近年の大学・大学法人の傾向

  ■大学教育機関の企業化

  ■卒業単位にまで経営者の黒い手が伸びてきた

  ■キャンパスに於ける学生選手の認識と実態

2.大学と箱根駅伝主催者との関係

  ■不明瞭な金品の受け渡し

3.筆者の疑問と私見

 

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2021年1月28日 木曜日 公開

KファイルNO.150: 時代と共に本質を失う大学箱根駅伝と大学倫理

1.私大にとっての箱根駅伝とは何か

はじめに

Kファイルは、「大学の経営、教育の理念に付いて」の是非を論議する場でない事を最初に申し上げます。

 我が国の大学に於ける部活は、1900年前半から当時学生達の余暇活動、課外活動を経て学生達の自治組織が認められ今日に至ったとされています。そして、今日まで昔ながらの学生による自治活動との位置付に特に変更はありません。

■大学内に於ける伝統的な部活の実態

この自治組織、活動は、時代と共に大学及び周辺の関係者の利害と利権の温床と化し、伝統的な大学程、大学、法人(経営)側と各部卒業生との間での権力闘争が現存するのも事実です

その理由として、学生達の自治活動としての大義を掲げる大学は、大学側の金銭的な支援並びに活動に対する責任を長年回避してきたと言えるからです。その為に、部活の運営、管理を維持する為には、部の卒業生達の寄付行為並びに就活支援の物心両面での協力が今日も尚継続している事だと思われます。これは、大変よい伝統だと思います。しかし、実質的に大学側は、専任教授を各部の長として配置し、部活の運営、管理に一定の権限、権力を握っているのが実態です

よって、部活は完全な学生達の自治活動ではなく、あくまでも大学教育の一環と捉えているかのような見せかけで中途半端な人事からも窺い知れますしかし、この部長たるは、各部活の専門的な知識を兼ね備えているでもなく、特に競技スポーツに無縁な大学当局にとって都合のよい専任教員を大学、法人により任命配置され、長年形骸化してしまっている様子は否めません部活の運営費は、部費の徴収、大学側から学友会費(全学生は、授業料納付時に学友会費が含まれていることすら知らない)分担金、各部のOB、OG会からの寄付金により賄われているのが実態です。また、一部大学の特定の部に於いては、民間の遊技組織・団体から支援を受けている大学まで現れています。

本年の大学箱根駅伝は、学生選手達の大学のユニフォームに今日まで各テイームの隠れた支援者(卒業生関係)が金品の提供をしてきていましたが、初めてこのような形でスポンサー名を大学のユニフォームに付記するように成りだしました。これは、今後各大学が駅伝テイームに限らず個々のスポンサーを付けますよ、と告知を始めたと理解する事が出来ます。

日本の大学競技スポーツには、共通した約束事、罰則、即ちルール、罰則が明文化しない為に競技スポーツの本質であるべきフェアネス(公平)を逸脱した運営、管理がなされているのです

近年の大学・大学法人の傾向

  近年各大学は、教育とは名ばかりで異なる目的で大学競技スポーツをリードする傾向が目立っています。大学の売名行為に一役を担い、受験生の増加による増収にも貢献している実態も見逃せません。このような実態は、もう既にマスメデアに於いても一部紹介された記憶が蘇ります。

それは、近年読者の皆さんの記憶に新しい東洋大学のノーマークの新入生が突然箱根駅伝で山の神となり優勝、翌年も、その翌年も4年目もと神がかり的な連続優勝を果たしたのです。この大学は、外国人の手を借りず全員日本人選手の努力の賜物として当時称賛されました。この新人選手の活躍でその年の受験者数が通年より平均10、000人、それも4年間その数を維持した事が話題になりました。これ即ち、経営者側に致しますと、今日の受験生一人の受験料は、35,000円ですから毎年受験料が、3億5千万円臨時収入が増加、それも4年間と···。関東の多くの大学が箱根駅伝に力を入れるのも理解できます。しかし、逆に長年連続出場していた伝統校の中には、シードを逃したり、予選会で落選したりで、受験生が約10、000人激減し受験料、授業料も激減したと嘆いている大学もあるようです此の事からも、大学箱根駅伝は、殊の外大学の経営に対する重要な広告塔であり収入源でもある証です

各大学は、競技スポーツ部を強化部と称する名目で幾つかに絞り、学生達には公表せずに特定の部に対してのみ、特別強化費を大学法人から資金が重点投下されているのです。大学競技スポーツに力を入れている大学では、特別強化費と称して「年間1億円から5億円」レンジでの予算を投下しています。この金額は、大学の規模に関わらず、「平均的には2~3億円」が投入されています。このような投資は、何の目的の為に行っているのかは、もう読者の皆さんは推測できる筈です。最終的にどのようにしてこの投資資金を回収するめどを付けているのか、またこの費用対効果から考えた場合の毎年の成果と結果は如何なのか。大変興味深い日本の大学経営のマネ―ジメント手法でもあります。これは、決して教育が目的でない事だけは、確かなようです。

しかし、このような毎年の部活への投資の殆どは、成果と結果を出すためのビジネス・マネージメント手法が計画的、実践的でない為、無駄な投資となっているケースが多いのも特徴です。まさか文科省からの私学助成金補助金の公金が当てられていない事を願う次第です

大学教育機関の企業化

近年に於いての大学経営は、会社、企業の論理と酷似して来ています。その大きな要因としましては、文科省の大学設置基準の許認可権の中に大学法人に於ける事業部門の営業活動」が認められている項目が在る事です。この項目は、長年教育機関は手を出さなかったのでした。その根拠は、私大には公金である文科省からの不明瞭でアンフェアーな私学助成金補助金が毎年現在も支給されている事がその大きな要因でした。ご存じの通り、某総合大学には、毎年1000憶円近い助成金が政治力により支給されています

しかし、私学経営者は、今日この明文化されている事業部門の許認可権を盾に「株式会社」を大学教育機関に設置してビジネス部門の有効利用、活用を始めているのです。また、大学法人の経理部門の責任者に大学の主要取引銀行からの天下りか、銀行から意を受けた人物が理事、常務理事兼務で送り込まれているケースが多く、経営が傾きかけている私大にその人員も多く見受けられます。また、法人事務局長(二号理事として権限を有し)、大学教学の事務局長、人事部長、職員に企業からの転職部隊が横行しているのも近年の大学経営の特徴です

 卒業単位にまで経営者の黒い手が伸びてきた

教育現場に於きましては、人件費の圧縮が目的で、講義授業については各学部共通科目を増やし、卒業単位(124単位)に加味する手法、ゼミ演習、卒業論文演習は選択科目とし、専任教員、非常勤教員のコマ数を減らす手法ですこれは、即ち所属学部以外での授業単位を卒業単位数に加味し、その学部以外での授業単位の約半分を学部外の共通授業を60単位まで認めているのもその証です。また、今日では、学生が努力して3年間で卒業単位(124単位)を取得しても、4年目の授業料を納付しなければ卒業を認めない阿漕(あこぎ)な商売をする大学経営者、大学管理者が教育者の顔をして居る事も事実です。米国の大学では、考えられない経営論理が罷り通っている様子が伺えます。このような経営者は、特に文科省、等の政治家達との関係が大変密接なようです。

この論理は、まさに私大経営者にバランス感覚が欠落した企業論理を強引に導入し、全てのしわ寄せが学生と教育倫理の崩壊を導いていると思われます。そしてまた、大学職員に於いては、従来の各部門、部署のベテラン職員の雇用を薄くし、人材派遣会社からの人材の雇用に重きを置いた合理化が断行されている大学が目立ち始めている事です。このことによる弊害は、教学に於いては教員の資質及び人員削減に伴い、本来は学生ファーストであるべき教育機関の本質の喪失と、職員に於いては専門職でない臨時職員として腰掛のような職責の増殖から、学生及び教員に対するサポート体制、情熱を持った支援が成される筈の環境が崩壊して行っている様子が伺えます。 

大学教育機関には、企業の論理を持ち込むこと事態に相当な無理があり、大学経営者、管理者としての適性と資質を問うてしかるべきです。しかし、現在の大学設置に関する許認可基準では、経営者の適性、資質を判別する規則・罰則がなく、大きな抜け穴と化し、全て学生達に不利益が与えられている次第です。これらは、日本の大学の学生達の学力低下を招いている重要なファクターの一つなのかも知れません。

このような大学に文科省は、何故莫大な公金の助成金補助金国税を流し込む必要性があるのでしょうか。また、このような大学に於いては、大学競技スポーツに参加する事しか興味がなかったり、全く大学に於いて高等教育を受けうる意志やレベルにない学生選手達をかき集める手段として学内に見せかけの競技スポーツ施設を充実させ、一般学生の使用を禁止している呆れた私大もあります。このような学生達を集める手法を取っている大学経営者が増えている事も確かです

今後は、文科省スポーツ庁が監査、指導できないのであれば公取委員会の監査、査察が必要な時期と時代がきたのではないでしょうか。 

キャンパスに於ける学生選手の認識と実態

このような多くのスポーツ部活に所属する学生達は、部活で毎日遊ばせてもらう事を主たる目的にしている学生、学生選手達が増殖していると申し上げても過言ではありません。汗水たらして働いて授業料、生活費を仕送りしている親達は、この現状、実態を理解、認識されていた上でサポートされているのでしょうか。そうであれば、全く大学経営者と父母との利害、認識が一致している事で筆者がどうこう意見する立場でないことは確かです。

しかし、このような若者達を食い物にしている大学経営者は、何と心得て教育者の顔をしているのでしょうか筆者は、このような大学、経営者の大学を間近で体経験して感じた次第です。何か今日の日本は、教育に対する基本的な概念が音を立てて大学経営者、管理者により崩壊して行っているように感じるのは筆者だけなのでしょうか文科省は、何故認可した各大学に対する精査、検証、監査、監督も行わず長年各大学の法人任せにしているのでしょうか。このような最高学府としての教育の看板を掲げる大学に対しては、許認可取り消しの強い姿勢で臨まない限り教育の環境とそれに伴うレベルの低下が否めない事を実体験致した次第です

此処に於いても、箱根駅伝主催者と同様な何でもありの無責任なスポーツ・アドミニストレーションが大学キャンパスにまで及んでいる事を一般社会の皆さん、そして学生、学生選手の父母はご存知でないようです。筆者は、学生、学生選手を1つの集金マシーンと化した大学経営手法に対する大学教育並びに経営に今こそ国の強い指針と施策が必要であるとご提案致す次第です

 

2.大学と箱根駅伝主催者との関係

 不明瞭な金品の受け渡し

近年の大学競技スポーツは、学生達の自治運営活動でなく、大学と法人の大人の都合による学生集めの広告塔と化し、受験料、授業料を運ぶ集金マシーンのツールと化しているように思えてなりません。特に各大学法人が特定する強化競技スポーツに顕著にみられる特徴です。

大学は、関東学生陸上競技連盟が主催する陸上競技大会に出場する為に関東学連に所属しなければなりません。箱根駅伝競走大会は、その競技大会の一つです。関東学連は、全加盟大学から加盟登録料を徴収している任意団体です 此処で素朴な疑問として、箱根駅伝主催者の関東学連は、近年出場権を得た20校に対して各大学個々に毎年2,000,000円(以前は1,500,000円)支給しているのです。勿論、本件に付きましても、主催者には、情報公開の義務がないので大学と主催者の間での閉ざされた取引であり、大学側も一切公開していません。本金額は、合計しますと毎年総額40,000,000円となりますが、支給側、受給側、双方でどのような名目処理がなされているのでしょうか主催者側は、何らかの名目で箱根駅伝出場20校に対してだけでも利益を還元しているとの証を残したいのかも知れません。しかし、これでは、学生選手及び学連生、バランテイア学生達への還元になっていません。何故主催者、大学双方は、本件並びに莫大な余剰金の使途を公にしても差し支えないと思いますが、しないのでしょうか。

また、これは、信じがたい話ですが、出場校に対して主催者、スポンサーからサッポロビール黒ラベル缶が段ボールで学生選手の合宿所に届けられるとの事を聴き、唖然とした次第です。多分これは、何の他意もなくスポンサーがアルコールの会社、企業なので軽い気持ちで宣伝を兼ねて、祝勝会、残念会、ご苦労さん会で飲んで下さいという意味だと理解したいです。しかし、合宿所には、大学生、未成年学生達が居る事、またその未成年者がアルコールを手にする事を何故、主催者、スポンサー企業、大学関係者は、配慮し止めないのか。もうただただ、関係者達の大人の良識、見識を疑わざるを得ないのです。

3.筆者の疑問と私見

当然の事ながら、未成年学生選手のユニフォームの胸には、BIBナンバー(ゼッケン)にアルコールスポンサーのロゴを付けさせて14時間もテレビの生中継で露出、また主催者名で告知される全ての出版物の選手のユニフォーム写真には、スポンサー名と共に商品名も掲載されています。主催者規約には、学生選手の肖像権は関東学連に帰属されています。しかし、未成年学生がアルコールの広告塔になる了解は、何処にも明記されていません

学生選手達をアルコールの広告塔として利用する事の非常識さもさることながら、この状態を長い年月において教育機関の教育者、指導者、経営者の誰もが指摘、止めない、この現実と見識は、如何なものでしょうか。このような関係者と一般社会の常識は、異なるのかも知れません。ご存知の通り、わが国の法律では、未成年者の飲酒喫煙は禁止されています。勿論大学キャンパスに於ける飲酒喫煙は、殆どの大学で厳しく取り締まっている筈なのですが・・・。先進国に於いて、特に学生選手が出場する競技スポーツ大会では、アルコール、たばこの企業スポンサーは御法度であります。これは、青少年の心身の健康管理が何よりも優先するからです。此のことからも、大学競技スポーツのアドミニストレーションが遅れている大学、国と称されても仕方のないレベルなのかも知れません。日本国に於ける大学競技スポーツを取り巻く関係者は、もう少し高い志と見識を持ってサポートする品格も必要ではないかと思われます。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:

次回は、大學箱根駅伝シリーズの最終回として掲載予定しております。最終回は、大学が箱根駅伝にどうしたら出場できるか、そのためには学生選手のリクルート活動はルールも罰則も無いので、その方法論は問われない。TVに多くの時間露出されれば大学経営のメリットになる。それじゃ日本人選手のみならず、外国人選手も買ってくるか方式の紹介を予定しています

Kファイル特別寄稿:日本国内外のK-file読者の皆様へ 2021年1月24日

Kファイル特別寄稿:日本国内外のK-file読者の皆様へ 2021年1月24日

無断転載禁

Special Contribution to K-file: To K-file readers in Japan and Overseas

January 24, 2021

All rights reserved

Thanks

I would like to thank all the readers who always read K files overseas. We sincerely pray for your health and safety.

 

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Whether the Tokyo Olympics can be held

View as a sports administrator

When Japan was selected as the site for the Olympics, Japan and the IOC signed the legal contract that the decision whether to proceed with the Olympics in Japan rests with the IOC. Whether Japanese politicians like it or not, the IOC will decide when to proceed or delay the Games.

The decision to host the Olympics belongs to the IOC and must be made as stated in the contract agreed between Japan and the IOC.

The Government of Japan, the Tokyo Metropolitan Government, and the TOCOG (Organizing Committee) should announce that they have submitted a status report (including medical data and information) to the IOC.  Clearly transparency is needed between Japan and the IOC. The correct policy on the Japanese side is to notify the IOC that "We want you to decide whether to hold the event by O month O day." The Japanese side needs to throw the ball to the IOC by maintaining the words and actions based in the contract.

The Lack of transparency and closed-door discussions are not a good way to introduce the Olympics, as they make people feel uncomfortable about the entire Olympic plan.I think the intervention of many Japanese politicians is at the root of complicating the problem.Finally, transparency between the IOC and Japan is essential to achieving the success of all the entities involved.

By Hiromichi Kawada (Mr.)    Sports Administrator

 

Kファイル特別寄稿:日本国内外のK-file読者の皆様へ 2021年1月24日

無断転載禁

感謝

いつも海外でKファイルをご笑読頂いています読者の皆様に感謝致します。皆様方のご健康と安全を心より祈念致しております。

東京五輪開催可否

スポーツ・アドミニストレイターとしての見解 

日本がオリンピックの開催地として選ばれたとき、日本とIOCは、日本でオリンピックを進めるかどうかの決定はIOCに委ねられるという法的契約に署名しました。 日本の政治家が好むと好まざるとにかかわらず、IOCはいつ大会を進めるか延期するかを決定します。

オリンピック開催の決定は、IOCに帰属し日本とIOCが合意した契約書に記載されているとおりに行う必要があります。日本政府、東京都、TOCOG(組織委員会)は、IOCに現状報告書(医学データと情報を含む)を提出したことを発表する必要があります。

日本とIOCの間には明らかに透明性が必要です。 日本側の正論は、IOCに「我々は、大会をO月O日までに開催するかどうかを決定してほしい」と通知することです。日本側は、契約に基づく言葉と行動を維持することにより、IOCにボールを投げる必要があります。

透明性の欠如と密室での話し合いは、オリンピックの計画全体について人々の気持ちを不愉快にしているため、オリンピックを紹介する良い方法ではありません。私は、多くの日本の政治家達の介入が問題を複雑化している根源であると思います。最後に、IOCと日本の間の透明性は、関係するすべての事業体の成功を達成するために必須です。

河田 弘道(Mr.)

スポーツ・アドミニストレイター

 

KファイルNO.149: 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネスの手法

KファイルNO.149: 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネスの手法

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 2021年 謹賀新年

明けましておめでとうございます。本年もKファイルへのご理解とご支援を宜しくお願い致します。2021年は、特に激動の内外のスポーツ界となると思われます。スポーツは、心身の健康が基軸に在って初めて存在します。昨年安部晋三前首相は、東京五輪延期に際して「完全な形で東京五輪を開催する事をお約束する」と述べました。政治家は、根拠も無い事を平気で約束、断言する人種である事を証明されました。昨年来疫病が猛威を振るう中、東京五輪を開催する事が人類と日本国民にとって最善か否かを東京都、東京五輪組織委員会、日本政府は一日も早く高い見識と良識を持って決断・告知をして頂ける事を心より祈念致しております。Kファイル筆者

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読者からの便り~

小職は、Kファイル147、148を拝読させて戴いた後、正月2、3日の大学箱根駅伝をテレビ観戦致しました。昨年までの箱根駅伝とは全く異なる景色と知的視点でこのイベントを観戦する事が出来ました。何も知らず唯ひたすら箱根路を直走る誠実で正直な日本人学生選手達が不憫にさえ思えて仕方ありませんでした。そして、唯ひたすら不慮の事故が起きない事を願っていました。何故ならば、この学生、選手達には、傷害保険すら掛けられていない自己負担である事をKファイルで教えて頂いていたからです。

また、日本語の読み書きも出来ない外国人選手達を留学生という名の下で走らせるためにだけアフリカから連れてきて走らせている大学、大学経営者達、指導者達のその品格と見識の無さを思うにつけて空しく思えたからです。それでも日本の私大教育者、経営者かと怒りさえ込み上げてきました。

誠実に日々勉学に練習に打ち込んでいる正直な学生達を侮辱したアンフェアーな不正行為を奨励している状態を我々日本人は、何も感じなくなったのでしょうか。このようなまともでない歪んだ大人達のエゴと自己中心的思考が罷り通る日本の教育界とスポーツ倫理の貧困さを改めて考えさせられました。私自身今迄何故気付かず、現実を見ようとしなかったのかと恥ずかしい思いです。

また、同様に日本人選手を非教育的な方法で寄せ集めて走らせるその大學、選手達を美化するマスメデイアも同罪であると考えさせられました。此れもKファイルがこの度我々に事実の情報を提供して下さっているおかげです。事実の情報を人は得る事で、これ程迄に自身の思考力が劇的に進歩するかと改めて情報の重要性と活用の大事さを教えて下さり感謝致します。その一方では、TV、マスメデイアが視聴者、国民、社会に重要な事実、真実を公開してこなかったために我々の脳は活性化されないで退化させられてしまったのでないかと疑念さえ抱かざるを得なくなりました。事実は、何にも勝る真の情報があってだと改めて考えさせられています。Kファイルは、小職にとって大切なバイブルです。 読者より (総合大学教授、スポーツ法学指導)

 

目次

関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)の事業(ビジネス)拡大路線

1.大学箱根駅伝大会は学連の中核事業

■企業の投資効果の目的

2.大会スポンサーとテレビスポンサーとの関係

■テレビ局の事業予算の確保と収益確保

3.主催者とスポンサー各社との関係

■素朴な疑問

4.元手0莫大な収益を得る大学箱根駅伝の手法

5.筆者の私見

 

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2020年1月14日、木曜日、公開予定

KファイルNO.149: 大学箱根駅伝とスポーツ・ビジネスの手法

無断転載禁止

関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)の事業(ビジネス)拡大路線

1.大学箱根駅伝大会は学連の中核事業

関東学連は、箱根駅伝以外にも複数の事業(関東学連規約:事業第五条)を行っています。しかし、本事業が唯一莫大な収益を上げているビジネスであります。

箱根駅伝を主催する関東学連、共催の読売新聞社は、大学生及び学生選手を商品として、事業(ビジネス)を行っています。そのビジネスの主な収益は、スポンサーシップとテレビ放映権によるものです

スポンサーシップとは、大学競技スポーツのCOREである学生選手が出場、出演するスポーツエンターテイメント(此処では大学箱根駅伝大会)に「金銭的、物的、人的」投資(支援)をする会社・企業を意味します。即ち、主催、共催は、その見返りとして、本大会に於いて企業名、商品名、商品を独占的に露出、提供する機会を与えることを意味しています。スポンサー企業は、大会での直接的な観戦者、間接的なマスメデイア(テレビ、新聞、雑誌、等)を通しての視聴者へと取り上げられる事により投資した以上の宣伝効果を期待しているからです。スポーツのマスメデイア価値が高まるにつれて、企業のスポンサー活動は、投資効果を見極めた積極的な投資事業を展開するのです。

企業の投資効果の目的

これとは逆に、スポンサーシップが投資効果(ROI=Return on Investment)を期待して行われる利潤追求の企業活動に対して、見返りを求めない慈善事業としての寄付活動やバランテイアー活動で、企業の社会的貢献を目的として行われる支援活動のフィランソロフィー(philanthropy)があります。しかし、後者は、投資効果を全く期待していないのではなく、長期的ビジョンにおいて投資効果が大いに見込めるのも事実です。即ち企業がスポンサーをする意味は、投資に対する対価としての見返り、即ち宣伝広告の効果、効率が期待できるからなのです。また、本大会は、「サッポロ新春スポーツスペシャ箱根駅伝」として、日本テレビ系列により独占生中継番組で放映されています。よって、日本テレビは、放映権料として莫大な金額を主催者側に支払っている筈ですまた、日本テレビは、放映権料、製作費、人件費、諸経費の回収をCMスポンサー料によりビジネスを行っている次第です

ご参考までに

箱根駅伝をスポンサーシップする主な会社・企業

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

特別後援:日本テレビ放送網株式会社

後援  :報知新聞社

■特別協賛とは、冠協賛とも言われ、冠スポンサー(別名:クラウンスポンサー)と称される本大会(イベント)に一番高額な金銭的な投資をしているスポンサーを意味しています。

➔冠スポンサーとは、テレビ番組や公演、スポーツの大会(イベント)、多目的施設などの名称に企業名や商品名などを冠することを条件に多額の資金と商品を提供するスポンサーの事です。例えば、サッポロビール冠番組として、『★SAPPORO新春スポーツスペシャル 第○回東京箱根間往復大学駅伝競走』として告知しています。

■協賛とは、箱根駅伝の趣旨に賛同し、大会の成功を助ける事が本来の意味です。通常は、協賛の会社がかなりのお金や物(自社の商品)を提供している。

■特別後援は、後援の中で一番金品を出している事が特徴です。此処では、テレビ中継をする事により、本大会を後援し、放映権料を支払う事で主催者に金銭的、放送媒体によるサポートをしている事です。

■後援は、多少のお金や物を出す程度、あるいは名義後援と言ってイベントの権威付けのために名前を貸してもらうだけのことも多いです。本大会の場合は、活字媒体を主体とした、後援を行っていると理解するのが正しいかもしれません。

2.大会スポンサーとテレビスポンサーとの関係

テレビ局の事業予算の確保と収益確保

本大会は、日本テレビにより2日間約14時間生番組(別枠:特集、10月の予選会生中継)として実況中継されています。テレビ・ビジネスは、先ず放映するに当たり番組映像を生産(制作)しなければ商品になりません。そこで制作する為には、多額の予算の確保が必要となるのです(例:中継の為の衛星回線確保、映像送信回線確保、中継基地確保、機材、運搬、テクニシャン、ゲスト、社内外スタッフの人件費、放映権料、等々)。そして、本大会の権利を得るためには、主催者側に放映権料を支払わなければなりません。

CM価格の設定基準

これら全ての諸経費を捻出する為に必要な事業費は、テレビCM・Time(コマーシャルの時間枠)を販売する事により事業費を回収し、利益を上げるビジネスコンセプトであります。また、CM時間帯の料金の設定は、前年度の本番組の視聴率が料金設定の目安となっているのです。よって、本箱根駅伝の大会スポンサーが即テレビのメインCMスポンサーとなっているのです。また、利益を上げる為の方法としては、大会スポンサー以外のスポンサーに営業(セールス)を行い秒単位でのCM販売が行われているのです。

完パケセールは70年代後半に始まる

今日、このような人気のある大会(イベント)では、大会スポンサー、テレビスポンサーを広告代理店が独占販売する事が一般的で、この事を完全パッケージセール(まとめ買い売り)と業界では読んでいます。この方式を取る事で、テレビ局の営業部門へのプレッシャー(負担)が軽減される事にもなります。基本的には、オリッピック、ワールドカップサッカー、等のテレビ・ビジネスも同様なスポーツ・ビジネスコンセプトなのです。但し、大學箱根駅伝では、他の競技スポーツビジネスと異なるのは「観客から入場料収入を得ていない」という点が特徴です

3.主催者とスポンサー各社との関係

 ■此処で素朴な疑問は

本主催者の関東学連は、任意団体であるため情報公開の義務がなく、スポンサーとどのような取り決めを行い、契約を取り交わし契約書にしているかは明らかにされていませんので推測になります通常、本大会に類似したイベント・ビジネスでは、主催者とスポンサー会社、企業間で取り決め、主催者・共催者(権利保有主)とスポンサー各社との間で毎年新しい約束事を契約書に盛り込み、双方で担保する事が常識であります。

関東学連は、スポンサーの広告代理店である博報堂が窓口で代理契約をされている事が考えられます。本大会の商品価値から、他の類似大会と比較した業界の試算では、スポンサー料、放映権料を含めて約6億円前後の収入(2日間のイベントとして)が主催者側に入っている、と推測されているようです

此処で大事な事は、もし主催者の関東学連が広告代理店、スポンサー企業、テレビ放映権料、等を独自でネゴシエーション(交渉)を行っているなら、相手の言いなりの料金でなくハードネゴシエーションを行う事がスポーツ・ビジネスの基本であり鉄則です。しかし、主催者側には、スポーツ・ビジネスの専門家がいるとは考えにくいので広告代理店、テレビ局側の言い値となっているのかも知れません。何故なら、これだけのイベントでは、主催者側にもっと収入が在っても可笑しくないと思えるからです。関東学連は、名前だけの主催者なのかも知れません

主催者の関東学連は、任意団体であり「権利能力が無い団体」とされていますので、このような権利ビジネスに於いて本来契約の主体となり得るのかどうか疑問に思うのは、筆者だけでしょうか。しかし、ここで忘れてならないのは、本大学箱根駅伝事業は、公道を使用し、警視庁、県警、交通機関を遮断、国民の税金を使っての公共事業の一つでもある事です。何故任意団体のビジネスに公共の場と公金による人件費を投入するのか、此処に大学の競技スポーツを経営、運営・管理する立場の教育機関にスポーツ・ビジネスアドミニストレーションの未熟さを感ずる次第です。

4.元手0莫大な収益を得るスポーツ・ビジネス手法

■大学箱根駅伝のファウンダーは誰

読売新聞東京本社は、共催(主催)であり「箱根駅伝」の商標登録権利を保有されている会社、企業であります。即ち、本箱根駅伝の商標は、各加盟大学と関東学連から読売新聞東京本社に帰属していると理解するのが自然でないかと思われます。よって、読売新聞東京本社の許可なくして、箱根駅伝名及び商標が使用できないことになっていると思われます。読者の皆様は、どう解釈されますか。

本来、グローバルなビジネス社会での商標は、箱根駅伝と最初に命名した個人、或は組織にその命名権が発生し通常「ファウンダー」に権利が発生していると解釈されます。よって、途中から突然読売新聞東京本社命名権をファウンダーから譲渡されたという告知も無かったので、今後禍根を残すことになるかも知れません。

箱根駅伝のファウンダーは、何処の何方であったのでしょうか。筆者の深読みでは、新年の大学箱根駅伝のTV中継の中の蘊蓄物語(うんちくものがたり)でこの「ファウンダー」について紹介されないのは主催者への忖度なのかも知れません。

主催者は、読売新聞東京本社と本商標権使用に関する何らかのネゴシエーションが存在し、各加盟大学は既に同意、或は承認している事になります。よって、関東学連は、莫大なスポンサー料から、商標権使用料として読売新聞東京本社に使用料が支払われるのは当然であると思われます。しかし、これでは主催団体が二つあり、形式的には、主催、共催の主従関係に見えるのですが実質は逆のように思えてなりません。現在の姿は、ダブルススタンダートとしての誤解を回避するための姿なのかも知れませんが、読者の皆さんにはどのように写りますか。(ご参考までに:共催の読売新聞東京本社は、2004年に箱根駅伝を商標登録し、その権利を得ています。同時にそれまでの後援から共催に変更されています)

学生競技スポーツは教育的視点から“見える化”状態が不可欠

筆者は、加盟大学が商標登録権を既に手放しているなら、その対価として何を得たのか。そうであるなら主催:読売新聞東京本社、共催:関東学生陸上競技連盟が明快で責任の所在も明らかになるのでないかと思います。

そして、財務の可視化は、加盟大学の責任に於いて主催者との間で約束事の一つとして取り交わし、公開の義務を明文化すればよいと思います。これにより少なくとも財務に関する黒い噂も改善されるのではないでしょうか。

此のことは、学生達の自治活動団体として、純粋に行動、活動している各大学の学生諸氏がどう理解し、同意しているかが非常に重要なファクターの一つになると思われます。本来は、日本の大学競技スポーツは個々の大学の課外活動の領域を大きく超えているので、学連という名の組織、団体の存在自身が形骸化している為にその脇の甘さを見透かされて、企業の罠に落ちて行く構図となっているのが、日本の大学、高校の競技団体の弱点なのです。日本に於ける大学競技スポーツ界では、このような不透明なビジネス・アドミニストレーションがあらゆるところで見受けられるのが最大の特徴と言えます

筆者は、スポーツ・アドミニストレーターとして、主催者がこれほどのビジネスを行っていながら、本大会の商品であり最も大切にされるべき学生選手、バランテイアー学生達に対する、大会期間中の不慮の事故に対する補償が「自己負担と競技規則に明記されている」事が、本主催者達の真の趣旨、目的が透けて見えて来るように思えてなりません。このような補償は、学生選手及び学生バランテイアー、公共施設、等を使ってビジネスしている方々が真摯に、且つ適切に対応することが望ましいと思います

この事実から、主催者、共催者は、学生諸氏、学生選手達のCOREを無料で使用して、莫大な利益を学生達からせ占めている事を意味しています。そのCOREの学生達は、授業料を大学に納付しているのです。此れでは、大学教育の一環、延長線上であるべき大学競技スポーツの大義となり得ないのではないでしょうかこれが大学箱根駅伝に関する経営、運営、管理に関するアンフェアーな実態なのです。このようなマネージメントをする時代ではなく、一日も早く日本の大学競技スポーツに「Justice正義とFairness公正」を基盤としたスポーツ・アドミニストレーションが構築される事を願う次第です。

5.筆者の私見

 上記論点に関し、大学経営者、管理者、またスポンサー関係者からも、どなたからの指摘も、改善の声すら聞こえてこないのは、残念でなりません。

各大学の代表者がもう少し真摯に教育者としての強い見識を持たれて、学生、学生選手達の視点に立って大学箱根駅伝の指導、運営、管理を今再構築する大きなターニングポイントに来ていると思います。そして、教育の一環、延長線上にあるべき大学競技スポーツに豊かな見識を持たれている人達が、大学箱根駅伝の組織をオーガナイズする構造とシステムの必要性も今問われているのではないでしょうか。本大会は、将来に於いて関東地域限定の大会でなく日本全国の大学が参加できる大会に解放されることが教育の視点から正しい方向性であると確信致します。

主催・共催者は、数年前から新たな箱根駅伝に付帯する事業として、毎年10月に箱根駅伝予選会を日本テレビによる実況中継にスポンサーを付けてビジネスを拡大して行って居るのはご承知の通りです。

毎年主催者には、箱根駅伝による莫大な収入が入って来ていますが、学生、大学に還元される事無く、収益をどのようにされているのでしょうか。これは、筆者の素朴な主催者、共催者への疑問です。これらの現実的な実態に付きましては、次回詳細を述べさせて頂く予定に致しております

筆者が、学生選手、大学箱根駅伝に興味を持ち始めたころから関東学生陸上競技連盟については、不透明な金銭的な暗い噂を常に耳にしてきた記憶が蘇って参ります。大部分の学生、選手達の純粋な情熱とは真逆な大人達の思惑と現実の中で、日本の大学競技スポーツの将来が今日もなお光明が見えない理不尽な障壁を強く感じているのは筆者だけでしょうか

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:

次回のK’sファイルは、大学側の経営者、教学管理者が大学箱根駅伝をどのような位置づけでテイーム編成、学生選手強化を行っているのかをご紹介します。これにより日本の大学競技スポーツが、どのような見識の経営者、大学教学責任者により教育されているかの現実を知る事になるかも知れません。

 

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 筆者からのお知らせ

 2020年度Kファイル掲載は、本NO.148号を持って最後となります。本年も根気よくお付き合い頂き有難うございました。読者の皆様のご健康と平和なHoliday Seasonであります事を心より祈念致しております。次回Kファイルは、予定通りに掲載を予定致しております。深謝

読者からの便り

1.河田先生

ブログ147号、拝読いたしました。箱根駅伝に出るような大学生ランナーが実業団に対しプロ契約を迫る図式、高校野球強豪校が中学生をスカウトするあの悪しき伝統がもとになっているのかなと、中学の硬式野球クラブチームと10年お付き合いをして見えてきたところです高校野球連盟は、現場の選手の非教育的な事実に何故目を背けて改善しようとしないのか、マスメデイアは何故事実を報道しないのでしょうか。

スカウトに来るのが高校の監督とは限らず、普段何をされているのかわからないブローカーのような方が来られ、寮費免除だとか、学費半額、だとか、どんな立場で権限を持っておられるのかわからないような人が、その場でどんどんお金の話をされているのが聞こえてきます。まだ中学生(それも2年生の秋を迎えたばかりの)選手が聞いたら大きな勘違いをするような…。高校野球のファンが知ると目を背けると思いますが、これが現実です。

入試に関しても完全にフェアネスを欠くと学校側も承知したうえでの活動でしょうから、水面下で行われるのだと思います。進学して、約束と違った、という話も時折耳にしますが敢えてその話は聞かないようにしています。今や私学のみならず、公立高校に於いても公立のマスクをした県立高校が岡山、兵庫、岐阜、等で増殖し始めています。新聞社は、見て観ぬふりですが大学箱根駅伝のアンフェアーな行為で選手獲得するのと酷似なようです。

私は選手の進路等には全く関わりを持たないようにしていますが、高校側は私がその選手を入学までに調子を整えてくれていることをアテにしているのは感じます。いつものことですが、「この世界は昔も今も全く変わらず、コレで回ってきているのだから」と変化を拒む大人達(父母を含む)がこのような方向に導いてしまっていると思います。それも大きな利権をお持ちの方々が上にいますので、打ち崩すのは難しいです。まったく違う価値観の別の組織をスクラッチビルドする方がはるかに簡単かもしれません。しかし、それでは、このような関係の方々の利害、利権が消えるからかも知れません。教育界は、どうして皆にフェアーなルールを作って、それを皆が同意して遵守する倫理観が育たないのでしょうか。 読者より(中学の現場を預かる指導者)

 2.河田弘道

 いつもKファイルを拝読いたしております。ファイルは、質、量ともにスポーツに関する論文、論考の中でもこれ程群を抜いた迫力ある内容は過去に例がないと敬意を表します。先だってもKファイルの話題が我々の仲間内でもありました。僭越ですが、Kファイルの読者は、内外に渡り月間数万人の読者がアクセスされている事も存じ上げています。しかし、毎回数えるくらいの方々しかKファイルに「いいね」のクリックがされていない不思議が話題になっています事をご存じでしょうか。そこで我々は、この現象に興味を持ち我々の広報分析室で分析させてみましたので、お気を悪くされないで下さい。

統計的には、読者の大多数は、毎回の論文、論考を真摯に拝読している事も確かに分かりました。また、毎回首を縦に振りながら拝読しています。このKファイルは、多分膨大な数の人達が吸い込まれるように熟読している事を誰もが想像できます。しかし「いいね」をクリックする事に至らない、それは自分自らの実名が公になる事を恐れているからです。心の狭い自己中的な人間が増殖している今の世の中を象徴していると私は思います。

恥を忍んで申し上げますと私も私の仲間達もみんなKファイルのファンですが「いいね」クリックに躊躇する一人です。河田様は、多分熟慮されて勇気を出して公開して下さっているのに自分自身が情けないです。

この時節、世代の国民、社会の政治への不信は、日々増幅するばかりです。しかし、Kファイルは、多くのマスメデイアの報道、記事では満たしてくれない人々に正義と誠実さ、公平さの必要性を一貫してスポーツの世界を通して教えて頂いているように思います。Kファイルが多くの読者に共感を与えてくださるのは、河田様が実践経験を基にした事実を書かれているからだと思います。「いいね」をクリックできない読者を代表してこの度勇気を持ってご報告させて頂きました。河田様の勇気と決断の足元にも及びませんが、ご理解下さい。このような時節柄、毎回のKファイルの公開日を指折り数えてお待ちしている国民も居る事をご理解下さい。更なるご健筆を期待致しております。TV界がいつ河田様をご紹介するのか楽しみにしています。一般読者は、河田氏があの長嶋ジャイアンツのMr.Kとはご存じでないでしょうね。  読者より(TV報道関係者)

 

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目次

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

■問題の序章

■学生の教育を疎かにする教育者と外部の大人達

■帰属権と既得権

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

3.主催と共催の関係

公益法人と任意団体の違い

関東学連の実態

4.関東学連とはBLACK  BOXか

筆者の素朴な疑問と私見

 

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2020年12月24日木曜日       公開日

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝シーズンの話題がマスメデイアをにぎわします。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けしておりますが、この度もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

■問題の序章

箱根駅伝は、毎年正月の2日、3日の両日早朝7時から午後2時まで長時間に渡ってテレビや、ラジオで実況中継されるほか、SNSの動画、記録配信、等国民的な行事に発展、注目されている事は読者の皆さんもご承知の通りです。

近年日本は、複数の隣国が現在まさに国土を侵食しようと足元に迫って来ています。筆者は、箱根駅伝を正月に視聴しマスメデイアに酔わされている国民、社会を肌で感じるにつけ、我々は、東京五輪箱根駅伝どころでない差し迫った亡国の危機をどうするか真剣に若者達の次世代を思うにつけ、我が国の政治、政治家、社会、教育界の危機感と緊張感の欠落が気がかりです。

筆者は、米国内の事情から日米安全保障条約がこのままいつ迄も継続されるとは思いません。米国の駐留軍が我が国を引き上げたら、この国はどうなるのだろうと現実味を帯びてきた昨今を思うにつけて心配の種は増幅するばかりです。日本国民は、如何するのか。この議論を国民、社会、国会、マスメデイアは、積極的に語ろうとしない、論議もしようとしないで日本国の防衛装備増強の購入議論などは、目先の誤魔化しにしか過ぎません。「歴史は流転」と申します。「平和日本」は、既に政治家、政治力の貧困から狂い崩れ始めているのはスポーツ界同様なのではないでしょうか。侵略国は、現在日本の領土に上陸する事を虎視眈々と戦略から戦術に移行している事に正面から向き合う事が正論です。香港、台湾の次に差し迫った現実です。

学生選手の教育を蔑ろにする教育者と外部の大人達

今回は大会を経営、運営、管理している主催団体をスポーツ・アドミニストレイションとアドミニストレイターの視点から観察、洞察して参ります。我々は、テレビの実況に気を取られている間に、何時しか重要な実態と真の伝統的な大学、学生、学生選手達の遺産がビジネス企業の手に渡ってしまったのではないかと危惧致します。これらは、まさに我が国の国民、社会が平和で浮かれている間に隣国に領地を奪われて行く構図に酷似の状態のように思えてなりません。 

 筆者は、日本の大学競技スポーツ・アドミニストレイションの貧困の弱点を狙った利権の略奪行為が行われた現実を見せられた思いがします。もしこの行為に加担した教育界関係者、大人達が居るとするならば、学生達を食い物にした大罪人と言わずして何と申しましょうか。この大人達の行為により、学生、学生選手達は、商品となり、主従関係が逆転してしまっている事に学生及び学生選手を預かる大学も見て観ぬふりなのか、今日のような舞台裏が構築されてしまったような気がしてなりません。

教育を趣旨、目的とする筈の大学競技スポーツは、その本質が事業(ビジネス)に偏った方向にミスリードされてしまっていると思われます。その意味で、国から毎年私学への莫大な助成金補助金の必要性とその在り方が問われる時期に来ているのではないのでしょうか 

本競技スポーツに関わる大学関係者(大学経営、管理者、教員、職員、学生、学生選手)は、教育という本質を見失い、何でもいいからテレビに出たい、有名になれ的な風潮が極端になってしまった産物の様です。そして、その為には、身体能力の高い選手達を手段選ばず安易にお金の力を利用して内外からリクルートして来る次第です。このような学生選手獲得資金は、いったい大学は何処からどのように捻出されているのでしょうかまさか公金の私学助成金補助金が学内で流用されていない事を願う次第です。しかし、その断言はできません。

このような現実は、既に大学競技スポーツの教育秩序を崩壊させている危険な状態である事を誰もが気付こうとしないのが、重要な課題と問題だと思います。 ここ数年大学競技スポーツが突然話題になっていますが、真に論議しなければならない本質的な問題をどう解決、処理して行くのか、避けては通れない事を関係者達がどれほど理解認識出来ているのでしょうか。この問題に大学関係者、国民、社会が全く無関心である様子は、丁度近年の我が国の選挙民と国会議員、国会の選出、運営、管理の関係にも酷似しているように思えます。

帰属権と既得権

読者の皆様は、本箱根駅伝が「何処に帰属し、既得権は本来何処の誰にある大会なのか」を考えられた事がありますか。勿論、「各加盟大学です」と純粋にまだ思っている大学関係者、読者の皆さんがいる事を願う次第です。この重大なキーワードを各大学の経営者、管理者、また、大学設置を許認可した文科省スポーツ庁)の見識者諸兄は、どのように考えられているのでしょうか。

文科省(元文部省)、スポーツ庁は、何故、このような事態に至る以前に指導、勧告を加盟大学に行わなかったのか、これもまた不思議な教育機関の省庁と言わざるを得ません。多分何も思考した事がないか、政治力により省庁は、何ももの申せないのかだと思われます。或は、インボルブ(首を突っ込む事)することを避けてきた様子も伺えます。これも省庁、官僚達の大学への天下りの悪循環が支えている利権の構造的な弊害なのかも知れません

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

先ず本箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレイションの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

1)大学箱根駅伝

主催  :関東学生陸上競技連盟(略:関東学連) 任意団体

共催  :読売新聞社(2004年、箱根駅伝の商標登録権を読売新聞東京本社が獲得し後援から共済に移行)

特別後援:日本テレビ放送網株式会社(略:NTV)

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存

     会箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

注:警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知されていない。尚広告代理店は、博報堂

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ご参考までに、

公益社団法人日本学生陸上競技連合が主催する大学駅伝大会要項

2)全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢)(商標登録無し)

主催:公益社団法人日本学生陸上競技連合 朝日新聞社 テレビ朝日 メ~テレ

後援:スポーツ庁 愛知県 三重県 名古屋市 伊勢市 日刊スポーツ新聞社 

   一般社団法人中部経済連合会 中部経済同友会 愛知県商工会議所連合会 

   三重県商工会議所連合会

運営協力:東海学生陸上競技連盟 一般財団法人愛知陸上競技協会 一般財団法人三重

     陸上競技協会 支援:愛知県警察本部 三重県警察本部

特別協賛:JAバンク

協賛:興和

協力:シチズン時計 三重交通グループ ニューバランス ジャパン 

   三菱UFJリース radiko 日清オイリオグループ

企画協力:アサツーディ・ケイ(広告代理店)

3)出雲全日本大学選抜駅伝競争(商標登録無し)

主催:主催公益社団法人日本学生陸上競技連合出雲市

主管: 出雲全日本大学選抜駅伝競走組織委員会

運営協力:中国四国学陸上競技連盟、一般財団法人島根陸上競技協会、出雲市陸上

     競技協会、島根県警察本部・出雲警察署、陸上自衛隊出雲駐屯地

協賛:  富士通株式会社

後援: スポーツ庁島根県島根県教育委員会島根県立中央病院、出雲市教育委員

    会、公益財団法人島根県体育協会、フジテレビジョン産經新聞社、サンケイ

    スポーツ、ニッポン放送、TSK山陰中央テレビ山陰中央新報社、

    エフエム山陰

3.主催と共催の関係

箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催していますまた、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社が2004年に行い所有しています。本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録をした年に後援から共催に格上げになっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。共済は主催と同格とされ名称が異なるだけです。

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要です。また、役員の責任に関しては、規約に明記されておらず不明瞭な文体で「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です。読者の皆様は、ご理解できますか。筆者は、上記内容に関しては意味不明です。余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのかどうかも公開しないので不明です

何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか。公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか。大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか

読売新聞東京本社は、2004年から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し、後援から共催と格上げしました。これは、読売新聞東京本社の持ち物であることの証です。関東学連は、読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録の使用許可を受けなければならない主催者となったのです。よって、読売新聞東京本社は、関東学連に対して「箱根駅伝」の使用料を請求できる立場と権利を持っているのですこの事を名目として関東学連は、莫大な金額を毎年支払っているのかも知れません。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

先ず此処で、注目したのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

関東学連の実態

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難い実態と思われます。

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思いますNPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります

4.関東学連とはBLACK  BOXか

 事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されない多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として、またバランテイアーとして活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な重要な疑問です。任意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任な団体に加盟大学は、学生達の大会運営、管理を委ねているのか大きな疑問ですが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう。

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOX」ではないかと思えてなりません学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報開示できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません。

公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報開示を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます

 箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回Ⅲでは、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報開示義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

筆者の素朴な疑問と私見

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)には、主に大学箱根駅伝の主催、共済の関係とその現実、現況に付いてご紹介、説明をさせて頂きました。筆者は、特にこの論考の中で何故これまで後援であった読売新聞東京本社が突然2004年に「箱根駅伝」名を商標登録して企業財産とされたのか。この所業は、任意団体の関東学連(権利能力を持たない)の誰が承認したのか。加盟大学は、オーソライズし承認したのか。読売新聞東京本社は、独自に商標登録をしたのか。本件は、筆者ならずとも各加盟大学経営・管理者、学生、学生選手、教職員、卒業生達はこの重大問題をどのように理解しているのか。素朴な疑問を持たざるを得ない商標権登録に関する疑問であります

筆者の私見として申し上げますと、此れでは、大学箱根駅伝読売新聞東京本社に伝統的に構築、使用してきた「箱根駅伝」名を売却してしまったと同じ事になってしまっているのではないのでしょうか読売新聞社の了解なしに「箱根駅伝」名は、使用できないことを関東学連の大人たちは理解している事になります。そして、大学箱根駅伝の営業収益の莫大な余剰金は、箱根駅伝の商標権料として読売新聞東京本社に支払っていても全く不思議でない構造が構築されてしまっている事を意味します。加盟大学は、このような学生選手をCOREとした大学競技スポーツ・ビジネスを何故コマーシャル企業の手に渡してしまったのか。この莫大な毎年の資金を何故文武両道で努力する加盟大学の優秀な学生選手達の支援金(奨学金)として活用する知恵を持たれなかったのかと残念至極と申し上げざるを得ないのです。この構図が事実であるならば、「箱根駅伝」の商標登録を許可した方々は、大学箱根駅伝を構築してこられた各大学の諸先輩方に対して大罪を犯したと申し上げても過言でないと思われますが、読者の皆様はこの現実を理解し同意されますか。或いは、無関係だと無関心を装いますか。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:次回(3)のⅢでは.皆さんの知らないことをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの大義、趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

注:引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

 

 

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 筆者からのお知らせ

 2020年度Kファイル掲載は、本NO.148号を持って最後となります。本年も根気よくお付き合い頂き有難うございました。読者の皆様のご健康と平和なHoliday Seasonであります事を心より祈念致しております。次回Kファイルは、予定通りに掲載を予定致しております。深謝

読者からの便り

1.河田先生

ブログ147号、拝読いたしました。箱根駅伝に出るような大学生ランナーが実業団に対しプロ契約を迫る図式、高校野球強豪校が中学生をスカウトするあの悪しき伝統がもとになっているのかなと、中学の硬式野球クラブチームと10年お付き合いをして見えてきたところです高校野球連盟は、現場の選手の非教育的な事実に何故目を背けて改善しようとしないのか、マスメデイアは何故事実を報道しないのでしょうか。

スカウトに来るのが高校の監督とは限らず、普段何をされているのかわからないブローカーのような方が来られ、寮費免除だとか、学費半額、だとか、どんな立場で権限を持っておられるのかわからないような人が、その場でどんどんお金の話をされているのが聞こえてきます。まだ中学生(それも2年生の秋を迎えたばかりの)選手が聞いたら大きな勘違いをするような…。高校野球のファンが知ると目を背けると思いますが、これが現実です。

入試に関しても完全にフェアネスを欠くと学校側も承知したうえでの活動でしょうから、水面下で行われるのだと思います。進学して、約束と違った、という話も時折耳にしますが敢えてその話は聞かないようにしています。今や私学のみならず、公立高校に於いても公立のマスクをした県立高校が岡山、兵庫、岐阜、等で増殖し始めています。新聞社は、見て観ぬふりですが大学箱根駅伝のアンフェアーな行為で選手獲得するのと酷似なようです。

私は選手の進路等には全く関わりを持たないようにしていますが、高校側は私がその選手を入学までに調子を整えてくれていることをアテにしているのは感じます。いつものことですが、「この世界は昔も今も全く変わらず、コレで回ってきているのだから」と変化を拒む大人達(父母を含む)がこのような方向に導いてしまっていると思います。それも大きな利権をお持ちの方々が上にいますので、打ち崩すのは難しいです。まったく違う価値観の別の組織をスクラッチビルドする方がはるかに簡単かもしれません。しかし、それでは、このような関係の方々の利害、利権が消えるからかも知れません。教育界は、どうして皆にフェアーなルールを作って、それを皆が同意して遵守する倫理観が育たないのでしょうか。 読者より(中学の現場を預かる指導者)

 2.河田弘道

 いつもKファイルを拝読いたしております。ファイルは、質、量ともにスポーツに関する論文、論考の中でもこれ程群を抜いた迫力ある内容は過去に例がないと敬意を表します。先だってもKファイルの話題が我々の仲間内でもありました。僭越ですが、Kファイルの読者は、内外に渡り月間数万人の読者がアクセスされている事も存じ上げています。しかし、毎回数えるくらいの方々しかKファイルに「いいね」のクリックがされていない不思議が話題になっています事をご存じでしょうか。そこで我々は、この現象に興味を持ち我々の広報分析室で分析させてみましたので、お気を悪くされないで下さい。

統計的には、読者の大多数は、毎回の論文、論考を真摯に拝読している事も確かに分かりました。また、毎回首を縦に振りながら拝読しています。このKファイルは、多分膨大な数の人達が吸い込まれるように熟読している事を誰もが想像できます。しかし「いいね」をクリックする事に至らない、それは自分自らの実名が公になる事を恐れているからです。心の狭い自己中的な人間が増殖している今の世の中を象徴していると私は思います。

恥を忍んで申し上げますと私も私の仲間達もみんなKファイルのファンですが「いいね」クリックに躊躇する一人です。河田様は、多分熟慮されて勇気を出して公開して下さっているのに自分自身が情けないです。

この時節、世代の国民、社会の政治への不信は、日々増幅するばかりです。しかし、Kファイルは、多くのマスメデイアの報道、記事では満たしてくれない人々に正義と誠実さ、公平さの必要性を一貫してスポーツの世界を通して教えて頂いているように思います。Kファイルが多くの読者に共感を与えてくださるのは、河田様が実践経験を基にした事実を書かれているからだと思います。「いいね」をクリックできない読者を代表してこの度勇気を持ってご報告させて頂きました。河田様の勇気と決断の足元にも及びませんが、ご理解下さい。このような時節柄、毎回のKファイルの公開日を指折り数えてお待ちしている国民も居る事をご理解下さい。更なるご健筆を期待致しております。TV界がいつ河田様をご紹介するのか楽しみにしています。一般読者は、河田氏があの長嶋ジャイアンツのMr.Kとはご存じでないでしょうね。  読者より(TV報道関係者)

 

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目次

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

■問題の序章

■学生の教育を疎かにする教育者と外部の大人達

■帰属権と既得権

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

3.主催と共催の関係

公益法人と任意団体の違い

関東学連の実態

4.関東学連とはBLACK  BOXか

筆者の素朴な疑問と私見

 

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2020年12月24日木曜日       公開日

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)

Ⅱ.BLACK BOX化した大学箱根駅伝

1.此れでよいのか大学箱根駅伝の帰属・既得権

■はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝シーズンの話題がマスメデイアをにぎわします。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けしておりますが、この度もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

■問題の序章

箱根駅伝は、毎年正月の2日、3日の両日早朝7時から午後2時まで長時間に渡ってテレビや、ラジオで実況中継されるほか、SNSの動画、記録配信、等国民的な行事に発展、注目されている事は読者の皆さんもご承知の通りです。

近年日本は、複数の隣国が現在まさに国土を侵食しようと足元に迫って来ています。筆者は、箱根駅伝を正月に視聴しマスメデイアに酔わされている国民、社会を肌で感じるにつけ、我々は、東京五輪箱根駅伝どころでない差し迫った亡国の危機をどうするか真剣に若者達の次世代を思うにつけ、我が国の政治、政治家、社会、教育界の危機感と緊張感の欠落が気がかりです。

筆者は、米国内の事情から日米安全保障条約がこのままいつ迄も継続されるとは思いません。米国の駐留軍が我が国を引き上げたら、この国はどうなるのだろうと現実味を帯びてきた昨今を思うにつけて心配の種は増幅するばかりです。日本国民は、如何するのか。この議論を国民、社会、国会、マスメデイアは、積極的に語ろうとしない、論議もしようとしないで日本国の防衛装備増強の購入議論などは、目先の誤魔化しにしか過ぎません。「歴史は流転」と申します。「平和日本」は、既に政治家、政治力の貧困から狂い崩れ始めているのはスポーツ界同様なのではないでしょうか。侵略国は、現在日本の領土に上陸する事を虎視眈々と戦略から戦術に移行している事に正面から向き合う事が正論です。香港、台湾の次に差し迫った現実です。

学生選手の教育を蔑ろにする教育者と外部の大人達

今回は大会を経営、運営、管理している主催団体をスポーツ・アドミニストレイションとアドミニストレイターの視点から観察、洞察して参ります。我々は、テレビの実況に気を取られている間に、何時しか重要な実態と真の伝統的な大学、学生、学生選手達の遺産がビジネス企業の手に渡ってしまったのではないかと危惧致します。これらは、まさに我が国の国民、社会が平和で浮かれている間に隣国に領地を奪われて行く構図に酷似の状態のように思えてなりません。 

 筆者は、日本の大学競技スポーツ・アドミニストレイションの貧困の弱点を狙った利権の略奪行為が行われた現実を見せられた思いがします。もしこの行為に加担した教育界関係者、大人達が居るとするならば、学生達を食い物にした大罪人と言わずして何と申しましょうか。この大人達の行為により、学生、学生選手達は、商品となり、主従関係が逆転してしまっている事に学生及び学生選手を預かる大学も見て観ぬふりなのか、今日のような舞台裏が構築されてしまったような気がしてなりません。

教育を趣旨、目的とする筈の大学競技スポーツは、その本質が事業(ビジネス)に偏った方向にミスリードされてしまっていると思われます。その意味で、国から毎年私学への莫大な助成金補助金の必要性とその在り方が問われる時期に来ているのではないのでしょうか 

本競技スポーツに関わる大学関係者(大学経営、管理者、教員、職員、学生、学生選手)は、教育という本質を見失い、何でもいいからテレビに出たい、有名になれ的な風潮が極端になってしまった産物の様です。そして、その為には、身体能力の高い選手達を手段選ばず安易にお金の力を利用して内外からリクルートして来る次第です。このような学生選手獲得資金は、いったい大学は何処からどのように捻出されているのでしょうかまさか公金の私学助成金補助金が学内で流用されていない事を願う次第です。しかし、その断言はできません。

このような現実は、既に大学競技スポーツの教育秩序を崩壊させている危険な状態である事を誰もが気付こうとしないのが、重要な課題と問題だと思います。 ここ数年大学競技スポーツが突然話題になっていますが、真に論議しなければならない本質的な問題をどう解決、処理して行くのか、避けては通れない事を関係者達がどれほど理解認識出来ているのでしょうか。この問題に大学関係者、国民、社会が全く無関心である様子は、丁度近年の我が国の選挙民と国会議員、国会の選出、運営、管理の関係にも酷似しているように思えます。

帰属権と既得権

読者の皆様は、本箱根駅伝が「何処に帰属し、既得権は本来何処の誰にある大会なのか」を考えられた事がありますか。勿論、「各加盟大学です」と純粋にまだ思っている大学関係者、読者の皆さんがいる事を願う次第です。この重大なキーワードを各大学の経営者、管理者、また、大学設置を許認可した文科省スポーツ庁)の見識者諸兄は、どのように考えられているのでしょうか。

文科省(元文部省)、スポーツ庁は、何故、このような事態に至る以前に指導、勧告を加盟大学に行わなかったのか、これもまた不思議な教育機関の省庁と言わざるを得ません。多分何も思考した事がないか、政治力により省庁は、何ももの申せないのかだと思われます。或は、インボルブ(首を突っ込む事)することを避けてきた様子も伺えます。これも省庁、官僚達の大学への天下りの悪循環が支えている利権の構造的な弊害なのかも知れません

2.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

箱根駅伝の主催者としての関東学連

先ず本箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレイションの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

1)大学箱根駅伝

主催  :関東学生陸上競技連盟(略:関東学連) 任意団体

共催  :読売新聞社(2004年、箱根駅伝の商標登録権を読売新聞東京本社が獲得し後援から共済に移行)

特別後援:日本テレビ放送網株式会社(略:NTV)

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存

     会箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

注:警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知されていない。尚広告代理店は、博報堂

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ご参考までに、

公益社団法人日本学生陸上競技連合が主催する大学駅伝大会要項

2)全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢)(商標登録無し)

主催:公益社団法人日本学生陸上競技連合 朝日新聞社 テレビ朝日 メ~テレ

後援:スポーツ庁 愛知県 三重県 名古屋市 伊勢市 日刊スポーツ新聞社 

   一般社団法人中部経済連合会 中部経済同友会 愛知県商工会議所連合会 

   三重県商工会議所連合会

運営協力:東海学生陸上競技連盟 一般財団法人愛知陸上競技協会 一般財団法人三重

     陸上競技協会 支援:愛知県警察本部 三重県警察本部

特別協賛:JAバンク

協賛:興和

協力:シチズン時計 三重交通グループ ニューバランス ジャパン 

   三菱UFJリース radiko 日清オイリオグループ

企画協力:アサツーディ・ケイ(広告代理店)

3)出雲全日本大学選抜駅伝競争(商標登録無し)

主催:主催公益社団法人日本学生陸上競技連合出雲市

主管: 出雲全日本大学選抜駅伝競走組織委員会

運営協力:中国四国学陸上競技連盟、一般財団法人島根陸上競技協会、出雲市陸上

     競技協会、島根県警察本部・出雲警察署、陸上自衛隊出雲駐屯地

協賛:  富士通株式会社

後援: スポーツ庁島根県島根県教育委員会島根県立中央病院、出雲市教育委員

    会、公益財団法人島根県体育協会、フジテレビジョン産經新聞社、サンケイ

    スポーツ、ニッポン放送、TSK山陰中央テレビ山陰中央新報社、

    エフエム山陰

3.主催と共催の関係

箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催していますまた、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社が2004年に行い所有しています。本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録をした年に後援から共催に格上げになっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。共済は主催と同格とされ名称が異なるだけです。

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要です。また、役員の責任に関しては、規約に明記されておらず不明瞭な文体で「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です。読者の皆様は、ご理解できますか。筆者は、上記内容に関しては意味不明です。余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのかどうかも公開しないので不明です

何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか。公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか。大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか

読売新聞東京本社は、2004年から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し、後援から共催と格上げしました。これは、読売新聞東京本社の持ち物であることの証です。関東学連は、読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録の使用許可を受けなければならない主催者となったのです。よって、読売新聞東京本社は、関東学連に対して「箱根駅伝」の使用料を請求できる立場と権利を持っているのですこの事を名目として関東学連は、莫大な金額を毎年支払っているのかも知れません。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

先ず此処で、注目したのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

関東学連の実態

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難い実態と思われます。

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思いますNPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります

4.関東学連とはBLACK  BOXか

 事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されない多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として、またバランテイアーとして活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な重要な疑問です。任意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任な団体に加盟大学は、学生達の大会運営、管理を委ねているのか大きな疑問ですが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう。

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOX」ではないかと思えてなりません学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報開示できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません。

公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報開示を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます

 箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回Ⅲでは、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報開示義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

筆者の素朴な疑問と私見

KファイルNO.148:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権(2)には、主に大学箱根駅伝の主催、共済の関係とその現実、現況に付いてご紹介、説明をさせて頂きました。筆者は、特にこの論考の中で何故これまで後援であった読売新聞東京本社が突然2004年に「箱根駅伝」名を商標登録して企業財産とされたのか。この所業は、任意団体の関東学連(権利能力を持たない)の誰が承認したのか。加盟大学は、オーソライズし承認したのか。読売新聞東京本社は、独自に商標登録をしたのか。本件は、筆者ならずとも各加盟大学経営・管理者、学生、学生選手、教職員、卒業生達はこの重大問題をどのように理解しているのか。素朴な疑問を持たざるを得ない商標権登録に関する疑問であります

筆者の私見として申し上げますと、此れでは、大学箱根駅伝読売新聞東京本社に伝統的に構築、使用してきた「箱根駅伝」名を売却してしまったと同じ事になってしまっているのではないのでしょうか読売新聞社の了解なしに「箱根駅伝」名は、使用できないことを関東学連の大人たちは理解している事になります。そして、大学箱根駅伝の営業収益の莫大な余剰金は、箱根駅伝の商標権料として読売新聞東京本社に支払っていても全く不思議でない構造が構築されてしまっている事を意味します。加盟大学は、このような学生選手をCOREとした大学競技スポーツ・ビジネスを何故コマーシャル企業の手に渡してしまったのか。この莫大な毎年の資金を何故文武両道で努力する加盟大学の優秀な学生選手達の支援金(奨学金)として活用する知恵を持たれなかったのかと残念至極と申し上げざるを得ないのです。この構図が事実であるならば、「箱根駅伝」の商標登録を許可した方々は、大学箱根駅伝を構築してこられた各大学の諸先輩方に対して大罪を犯したと申し上げても過言でないと思われますが、読者の皆様はこの現実を理解し同意されますか。或いは、無関係だと無関心を装いますか。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:次回(3)のⅢでは.皆さんの知らないことをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの大義、趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

注:引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

 

 

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

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目次

KファイルNO.147:企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権

Ⅰ.教育の延長線上から外れ行く大学箱根駅伝

       ■はじめに

       ■大学スポーツ組織・団体の設立に思う

       ■UNIVAS設立以前に問題解決すべき事項とは

       ■大学箱根駅伝の運営、管理母体とは

       ■大学教育機関に「本音と建前論」は不要

1.筆者の体験を通して確認した学生選手の実態

       ■筆者が興味を抱いた理由

2.此処で企業スポーツを理解して頂く為に

      ■企業スポーツと学生選手の関係から

3.学生選手の入社面談報告書を見て呆れた実態

     ■企業スポーツのリクルート活動報告書より

4.透けて見えた大学部活動の現実

     ■誰も知らない大学スポーツ推薦枠の基準・規則

     ■企業スポーツは学生選手の狭き受け皿

 

 

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2020年12月10日 木曜日  公開

Ⅰ.教育の延長線上から外れ行く大学箱根

       駅伝

はじめに

毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝のシーズンと話題がマスメデイアをにぎわす。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けいたしておりますが、今年もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています。

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。

大学スポーツ組織・団体の設立に思う

過去複数年間文科省は、スポーツ庁の設置に伴い同庁に陣頭指揮を委ね日本の大学スポーツの改革の柱として、日本版NCAAと称したキャッチコピーで「大学スポーツ協会(UNIVAS)」の設立を声高らかに拡声されました。しかし、この看板は、掲げては見たものの肝心な中身が夜霧に霞む楼閣に等しい状態で、何を持って日本版と申されて来たのかいまだ意味不明であります。NCAA名を拝借したのは、ただ単に注目をして欲しかったのかも知れません。

スポーツ庁創設に伴い何か実績作りを焦り、準備も不十分なままに矛盾した組織・団体を設立したようにお見受け致す次第ですNCAAとは、「全米大学競技スポーツ協会(約1275校が加盟)」の名称で、米国に於いて約100年前に設立された大学競技スポーツ・アドミニストレイションに関する組織・団体です。我が国に於いては100年経っても本組織の摸倣すら不可能に近いと嘗て筆者は述べてきた次第です。どこの何方がこのような非現実的な名称を拝借して、花火を打ち上げたのか知る由もありません。

我が国は、身の丈に合った現実の問題を直視した組織の構築が賢明且つ、合理的であると思います。加盟申請を出されていない各大学の思慮分別は、ある意味においてNCAAが如何なる組織・団体か、日本の大学スポーツ協会組織が如何なる内容で団体かを熟知した大学関係者及び経営者の判断であるのかも知れません。

■UNIVAS設立以前に問題解決すべき事項とは 

既にこの矛盾は、各大学が今日まで学内に於いて抱えている重大な問題の火に油を注いでしまったように思えます。

実は、大学内に於いて各競技部が所属しているのは、学生の自治活動を束ねている学友会組織でこれも学生による自治活動と明快に謳われているのです。学友会組織は、全学生達の授業料から学友会費、施設費として徴収され、運営、管理がなされている仕組みなのです。即ち、全学生は、学友会の各部活のステイクホールダー(投資者)なのです。これが母体で学内の部活が運営、管理されている次第です。よって、本来部活の権利は、全学生にもあり、大学が大学スポーツ協会に申請、加盟するに当たっても全学生の同意或いは本来コンセンサスが必要なのです。しかし、この度の大学スポーツ協会への申請加盟は、大学・法人が勝手に出した申請書で学生達は知る由もありません。学生達は、全くこのような状況下に在る事を理解、認識していない不幸がここにもあるのです。

筆者がスポーツ・アドミニストレイションの講義授業で、学生達に授業料には、「学友会費、施設費が含まれている事に付いて、皆さんは授業料明細を確認し知っているかどうか」を問うと、誰も知らなかったのには驚嘆させられました

この為大学が大学スポーツ協会に加盟しても、協会は、大学側が競技スポーツ部を運営、管理できる体制下に無い事をご存じないのかも知れません。

これを捕らぬ狸の皮算用とでも申すのかも知れません

但し、独裁的な経営、運営、管理を行っている中・小規模大学には、例外もあることを付け加えさせて頂きます。これらの大学は、特殊な専門学校的なスタイルの経営者と申し上げた方がイメージしやすいかも知れません。

このようなことから各大学は、学内の各競技部を統括運営・管理ができていないことをこの程の加盟申請に於いて矛盾を学内外に告知、証明した事になったのではないかと思われます。即ち、この大学箱根駅伝を運営・管理する任意団体の学連が、大学スポーツ協会(UNIVAS)に加盟申請の提出を拒否したことで御上(文科省スポーツ庁、等)の意向と権威が通用しない事を示した一例だと思われます実は大学スポーツ協会設立に中心的に関与している役員方は、この大学箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟なる団体が喉から手が出るほど欲しいのです。その理由は、日本の大学競技スポーツ界で唯一人気があり、お金が儲かるイベントであることを知っているからです。また、筆者は、この関係者の方々の協会設置コンセプトが、東京五輪招致、組織員会の運営、管理者のコンセプトに酷似の様に思える次第です。

詳しくは、次回ご紹介できるかと思います。

大学箱根駅伝の運営、管理母体とは

大学箱根駅伝の運営、管理団体の関東大学陸上競技連盟(通称:学連)は、本来学生達の自治活動としてスタートされ、現在も理念、趣旨、目的に変更はありませんしかし、これは以前から単に表向きで実際は、大人達の利害、利権集団と化し無責任な任意団体(法人資格の無い、経理等公開の義務なしの個人の集まり)で学生達はバランティア活動としての単なる駒でしかないのが実態です。大学、学生選手達は、何故このような任意団体の利権集団に大学箱根駅伝を奪われてしまったのかを本年度の連載はこれらの解明を中心に展開して行ってみたいと思います。これを機会に、学生達がもう少し興味を持ってスポーツ・アドミニストレイションの必要性に付いて学ぶことを期待しています

前出の大学スポーツ協会(UNIVAS)は、設立したものの大学箱根駅伝を主催、共済する学連、新聞社から協会への加盟を拒否されたようです。よって、協会は設立したが大学競技スポーツの大学箱根駅伝さえも関われない言わば大学競技スポーツの組織、団体としての体をなしていない次第です。

本件の最大の矛盾は、大学スポーツ協会に加盟申請を提出している大学が本大学箱根駅伝に学生ティームを派遣し協力している事です。しかし、片や大学スポーツ協会は、本大学箱根駅伝を主催、共済している組織・団体とは主従関係でも翼下でもないことになります。即ち、大学箱根駅伝主催者・共催者は、UNIVASに手出し無用との意味で加盟申請を拒否したと理解できます。

大学教育機関に「本音と建前論」は不要

読者の皆さんは、それでは何のために各大学は大学スポーツ協会に参加、加盟申請書を提出しているのか、既にここにも大きな矛盾に気づかれるのはないでしょうか。この矛盾は、大学側にも大きくその要因があり、これがまさに日本の伝統的な御上に対する「建前と本音論」を使い分けている構造的な問題なのです。

文科省スポーツ庁は、そのあたりを十分に認識した上で半強制的な申請書提出要求を致したのでないかと筆者は僭越ながら推測している次第です。

★各大学は、大学スポーツ協会に加盟させられた理由が他にあると考えられます

その最大の理由は、莫大な私学助成金補助金文科省から毎年受けている事実です。この事は、各大学が訳も分からず、加盟申請書を出せと言う御上からのお達しに対して、大学内で何の議論もコンセンサスも取らずに提出した意図と真意がここにあるのでないかと思われる次第です。このことを御上も承知の上で全大学及び各種競技団体にまで申請書を送付したのだと思われます。しかし、しっかりとした信念に基づき申請書を提出しなかった大学(筑波大学、慶応大学、同志社大学関西学院大学、その他)が在る事を見逃してはなりません。また、大学スポーツ協会は、当時加盟申請校に対して入会金、年会費を義務付けていましたが、申請書を提出しない大学、団体が多数出ている為か、今や年会費、入会金を無料にするのでとの勧誘を始めているという全く持って一貫性のないスポーツ庁の姿勢には何と申し上げればよいのやら、これでは先ず信頼を失います。数だけ集め何を語ろうとしているのかが透けて見えてきそうです。

大学スポーツ協会なる組織・団体には、看板を掲げてもルールBookさえも皆無なのです。大学のみならず学生選手が競技している各種競技団体にまでも加盟申請を出させようとする事、此処にも大きな矛盾と本協会の本質的な問題があると思われます。残念ながら本団体は、ただやみくもに先を急ごうとしている為か、支離滅裂な組織・団体であるようにお見受け致します。このことは、本協会の役員名簿をご覧頂ければ納得されると思われます。

読者の皆様は、これから本Kファイルを通してマスメデイアが一切語ろうとしない裏舞台が明らかになる事により、大学教育機関と大学法人の教育と学生への呆れた「建前と本音論」を知る事となるでしょう。これを読者の皆さんを含む国民、社会は、TV、マスメデイアを通して表面の綺麗な美化されたところを見せられて楽しまれているという筋書きなのです。悪しからず。

箱根駅伝は、レースのルールが一部改正されたようですが、大学競技スポーツ、大学箱根駅伝本体の根本的な問題には、この度もまた誰も触れようとしませんでした。今年もまた学生、学生選手を駒としか利用、活用しない大学側、運営団体、広告代理店、TV、マスメデイアであります。読者の皆様には、大学教育機関として在ってはならない大学競技スポーツの実態をご理解して頂き、健全な大学本来の姿に未来ある学生及び学生選手を導く為の方法を是非ご一緒に考えて頂けたらと願う次第です。

 

1.筆者の体験を通して確認した学生選手の実態

 大学箱根駅伝(略:箱根駅伝)の組織、運営、管理に興味を持ち始めたのは、当時筆者が企業スポーツにおいてスポーツ・アドミニストレーターとして運営、管理をしていた時期からでした(1985~2005)。

■筆者が興味を抱いた理由

何故興味を持ち始めたかと申しますと、米国に於いては、NCAA(全米大学競技スポーツ協会)の下に於ける大学競技スポーツの運営、管理者としての経験から日本の大学の競技スポーツに所属する学生選手達に対する大学での指導、運営、管理の在り方を確かめたかったからです。

日本の企業スポーツは、日本独自の伝統的な運営、管理を行って来たプロでもなくアマでもない、不思議な競技スポーツの組織、団体であります。

プロ競技ではない競技種目に取り組んでいる学生選手、高校生選手達にとって卒業後も継続する為の最終的な活躍と生活の糧を得る場所は企業スポーツとなります。そしてその延長線上にあるのが、プロとしての世界選手権大会であり、オリンピック大会です。しかし、企業スポーツには、またごく限られた選手しか所属できない厳しい世界と環境です。

1974年に国際オリンピック委員会(略:IOC)の「オリンピック憲章」の改正があり、「アマチュア」の文字が消え、オリンピック大会には、1988年ソウル大会からプロ選手も本格的に参加できる事に成りました。

これにより、日本における企業スポーツの伝統的な体質は、競技スポーツ組織、団体、選手達にも徐々に変化の兆しが見られるようになりました。しかし、依然としてプロなのかアマなのか中途半端なスタイルが解消されたわけではありません。このようなスポーツ界の新しい流れの中で、日本の学生選手達の意識にも、以前と異なる意識が芽生え、段々と自分の意思を表現する様になって来たのも事実でした。これらは、急激な海外からのプロ化の波にも大きな刺激を受ける事になり、歴史的な変革の時期であったのだと思われます。しかし、残念ながら大学に於いても指導者、管理者達は、学生選手、選手達にこのグローバル化が進む競技スポーツの動向を正しく教育、指導する為の十分な知識を持ち合わせていなかった事は不幸な出来事でした

2.此処で企業スポーツを理解して頂く為に

企業スポーツと学生選手の関係から

企業スポーツの特徴は、企業の経営業績に大きく左右されるという事と競技スポーツからの収益を求めない事です

1964年の東京オリンピック開催と共にスタートしました企業スポーツは、1990年前半から吹き荒れたバブル経済の崩壊によりまして、1995年をピークによりいっそう廃部、休部が加速し、それまでの企業スポーツの半数以上が消滅して行ったのです。

特にそれまで脚光を浴びていました社会人野球(都市対抗野球)、バレーボール、バスケットボール、テニス、ラグビー、等々から伝統的な企業名が消え去り、今日に至った状況をファンの皆様は、肌で感じて来られたのではないでしょうか。

驚く事に現在の大学生の大半は、日本のオリッピック代表選手、競技スポーツ選手達が長年会社、企業スポーツにより支えられ、今日も支えられている事の知識と理解を持たない状況です。特にその中のスポーツ専攻学生ですら、企業スポーツって何ですかと質問された時は、唖然とした次第です

大学の専門分野に於いて、この企業スポーツの存在と重要性を指導する指導者、教員が居ない事もこの大きな要因の一つであると思います。

このような現状は、指導者、教員が居ないのでなく、スポーツ・アドミニストレーションの専門分野が教育機関に存在しない我が国の現状と現実がスポーツ界の再編、構築を遅らせている最大の要因の一つであると確信します

また、新しい世代の若者達への教育もさることながら、TV・マスメデイアによる報道に於いても、プロの競技スポーツと大学競技スポーツの違いと企業スポーツの存在の意義を報道、解説できるくらいの知識を持ったスポーツ報道担当プロデュサーが我が国に於いては見当たらないように思えてなりません。

3.学生選手の入社面談報告書を見て呆れた実態

企業スポーツのリクルート活動報告書より

陸上競技(英:Track & Field)は、日本が嘗て華やかな時代を迎えていた長距離、特にマラソン競技が他国の競技レベルの強化、向上とは対照的に低下し、冬の華であったエリート・マラソン大会そのものの存在が薄れ、近年は市民マラソンが主体の大会に移行している様子を皆さんも実感されている事と思います。このような状況下で唯一、脚光を浴びているのが正月恒例の行事となりました「大学箱根駅伝」、そして企業スポーツとしての全国実業団駅伝「ニューイヤー駅伝」です。本駅伝競技は、日本にのみ存在する日本オリジナルな競技方法で行われるロードレースの1つです

1985年当時から、筆者は、NEC SPORTS(強化8競技)を会社側の強い要請で設立、強化して参りました。女子バレーボール、女子バスケットボール、男子バレーボールの順に日本リーグVリーグ、全日本を制覇と並行して、陸上競技部の強化を始めた頃、当時の長距離担当指導者からのスカウテイング、リクルーテイングの計画書、面談報告書、等の最終レポートに目を通し、担当者から説明を受けていました。これらは、毎年の事でしたが、そのリストの中の大半は、箱根駅伝で活躍しマスメデイアで取り上げられている選手達でした。

特に、特注マークの選手達の面談レポートには、注目すべき内容が書かれていました。このような学生選手の多くは、所属大学ではスポーツ推薦枠という無試験で、特待生として高等学校から迎えられた学生選手達です。日本に於ける特待生とは、その競技スポーツに特に優れ、大学側が入学時に特別待遇の学生として迎え入れた学生選手への処遇を指します

驚いたのは、大学選手に企業の大卒給与以上の現金が、大学側から毎月支給されている現実でした。大学側は、大学箱根駅伝で活躍させる為にリクルートした言わば箱根駅伝の戦士(傭兵)として、TVで大学名を宣伝する為の広告塔と学生選手も理解していた事でした

面談学生選手曰く「御社は、今自分が大学から毎月受けているお小遣いより大卒の初任給は低いです」と堂々と担当者に話し、その内容が、面談報告書に記録されていた事でした。また、「自分は、会社で競技が出来なくなった後、会社に残り勤めをするつもりはないので、退職金代わりに入社時に支度金として頂きたい。他の会社では、この条件を呑んでくれる会社が複数(実名を挙げて)あるので、この支度金が大きい方にお世話になります」とも付け加えられていました。面談者は、複数の異なる大学学生選手からもこのようなリクエストを突き付けられていた次第です。このような現実に於いても、今日もなおレースのルール改正は行われても、大学、学生選手達へのレース以外の健全な規則・罰則は、全く誰もが手を付けようとしない大学管理者、指導者の実態であることを紹介します。勿論、大学スポーツ協会の関係者諸氏は、このような実態を理解し実践経験をしてきた方は皆無であるので理解するのも難しいと思われます。

これは、即ちプロの契約時の契約金に置き換え、条件としていると受け取れました。このような学生選手を抱える大学は、当時も今も大学箱根駅伝の有名大学か、そうなろうとしている新興大学であります。現場の監督には、申し訳なかったのですが即答で“NO”の回答をし、「そのような条件で引き受ける会社、企業にどうぞ行ってもらって結構です」と伝えました。その理由は、会社側がそのような選手を入社、入部させるコンセプトではなかったので、そのような予算を確保していなかったからです。しかし、そのような学生選手達は、選手のみならず彼らの指導者達も自らをTVタレントと勘違いしている様子で、期待されて企業に入社後、このような選手達は鳴かず飛ばず状態で選手生活を終えているのも事実です。

筆者は、日本の大学競技スポーツの学生選手が、個々の大学でどのような教育、指導を日々受け教養、社会常識を身に着けているのだろうか、大学競技スポーツは、どのようなアドミニストレーションがなされていてこのような学生選手が社会に出て行っているのか、とこの時期から、20年間観察しながら強い関心を箱根駅伝と日本の大学競技スポーツに抱いてきました

そして、その後、ご縁を頂きまして日本の大学で2017年春まで、約10年間教鞭を取らせて頂き、上記問題を含めた日本の大学競技スポーツの実態を観察、研究致し学内外の状況と問題の本質に辿り着いた次第です

4.透けて見えた大学部活動の現実

■誰も知らない大学スポーツ推薦枠の基準・規則

大学生の長距離選手のスカウテイング、リクルーテイングにおける、複数の大学陸上部、長距離選手(主に箱根出場が主眼)達の企業ティームへの入社条件と実態が明らかになっていました。筆者は、これらの実態をマスメデイアが一切報道しない視点に注目を抱いていました大学側が、このような大学スポーツ推薦制度を悪用して学生選手達をどのようにして高校時代にリクルートしているのか、またどのようなオファー(条件)で大学側の誰が約束し、大学内での処理をしているのかに付きましても当然、大変興味を抱きました毎年、この時期が来ると各大学では、スポーツ推薦入試との看板を大学の玄関に掲げているようですが、必要な選手は既に夏場にコミットしてしまっているのです。

やり得やられ損的なルール無き日本の大学競技スポーツ界のスポーツ推薦制度は、無法(Out of Law)状態であり、これでは大学競技スポーツが教育、教育の延長線上にあるなどとは決して言い難い、言えないのが現状、現実であります教育機関に於けるこのような非教育的な教育者と称する指導者、管理者、経営者に対していったいこの国の誰が襟を正させることができるのでしょうか。その総責任のある人物が見て観ぬふりをするのが我が国の教育の管理、監督者なのかも知れません。

勿論、本件は、長距離選手のみに限った事でなく、他の競技スポーツ男女(高卒、大卒)のリクルート活動に於いても多くの重要な問題と現実に直面致しました。此れらをきっかけに、大学野球界、陸上界、バレーボール界、バスケットボール界、テニス界、ラグビー界、等を通して教育機関とその指導者、関係者と企業スポーツとの関係と実態に付きまして20年間に渡って現場の状況と現実を実体験させて頂いた次第です。

企業スポーツは学生選手の狭き受け皿

企業スポーツは、このような高校、大学競技スポーツ選手達に競技を継続する為に唯一受け皿として、迎えてくれる場所であることを関係者は感謝の心を持って入社する事を祈念致します。

特にこの人気のある大学競技スポーツの1つである箱根駅伝は、その実態を覗く事で、より一層我が国のスポーツ社会の縮図を見ることになるかと思われます。TV中継では、大学箱根駅伝を美化する映像、報道を担当アナウンサー及び解説者が蘊蓄物語(うんちくものがたり)を交えながら絶叫されていますが、それを見聞きするにつけて何か歪められた美学を毎年虚しく聴かされているように思えてならないのは筆者だけなのでしょうか。多分これは、放送を担当している関係者が実態をご存知でないのか、或は知っていても視聴率及び新聞の拡販目的の為に美化、誇張して拡声させられているのでしょうか。

 読者の皆様には、このような社会の状況だからこそ大学競技スポーツと学生選手達の現実と実態を再考、洞察して頂き、この機会に考察して頂ければ我が国の大学競技スポーツの根深い負の悪しき伝統と将来の歩むべき方向性をポジテイブに比べて頂き取捨選択をして頂けると幸いです。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

お知らせ:

本NO.147をご笑読頂き、大学箱根駅伝、大学スポーツ協会、関東大学陸上競技連盟、各大学の学友会組織とその矛盾に少し触れられて如何思われましたでしょうか。この国に必要なのは、何だと思われますか。次回は、またその大学スポーツのCOREであるべき、学生選手、学生達が大人の利害、利権の道具と化している現実を目の当たりにするかも知れません。しかし、これが現実であることをご理解、認識頂けますと、東京五輪開催を契機にしてこの伝統的なスポーツ界のアドミニストレイションの改善と改革に歴史的な舵を切る事が新しい日本のスポーツに光と未来の扉を開く機会であると切に願わずにはいられませんが、如何でしょうか。

KファイルNO.146: 都の西北早稲田の森に起きた事件の行方

KファイルNO.146: 都の西北早稲田の森に起きた事件の行方  

無断転載禁止                                   毎月第二、第四木曜日掲載予定

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目次

KファイルNO.146: 都の西北早稲田の森に起きた事件の行方  

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

■はじめに

■近年の大学教員、経営者の傾向

■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理と実態

■事件の発端とその経緯

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

■友添秀則氏の特徴

■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 筆者の素朴な疑問
  • 筆者の私見

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2020年11月26日 木曜日     公開

KファイルNO.146:都の西北早稲田の森に起きた事件の行方

無断転載禁止

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

 はじめに

人は、皆完成された神仏ではありませんので失敗もあって当然であります事を先ず前置きさせて頂きます。

友添秀則氏のような優秀なスポーツ倫理学者が、所属する自らの大学で、あろうことか暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事を知り誠に残念です。本件は、突然起きた問題では無い筈、なぜ大学教学の管理者、法人経営者の何方かが諭されなかったかと残念でなりません。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いであると理解します。

長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることの無きよう、大学、研究室、学生達は、本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願う次第です。 

近年の大学教員、経営者の傾向

私立大学経営者は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導者として教員を雇用するケースが主流であると思われます。しかし、近年では大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。

読者の皆様は、近年特にTVの報道番組、バラエティー番組に出演し、OO大学教授、准教授、客員教授、特任教授、等々と紹介され、入れ代わり立ち代わり各局が競い合う中で登場している実態を既にお気づきのことと思います。その中の多くは、あまり耳慣れない私大の教員、有名な大学の教員と日替わりで出演されているのが印象的です。また、有名でない大学での肩書で出演していた教員が、TV出演し始めて半年もしないうちに有名大学に移籍されて出演を続けている様子がよく目立ちます。これらの裏舞台は、また別のドラマの様です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位を向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント志望教員が番組の品位を下げている事も確かです。にもかかわらず、大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しているのも確かのようです

筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです筆者は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を招く事を危惧しています。

勿論、私大経営者の中には、積極的に商品として活用する為かTVで名の売れた外国籍TVタレントさんに安易に語学教授職、その他教員職を与えて雇用するケースが増えているのも事実です。これでは、TV出演が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能なので学生達は授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います。

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子からは、学外で名声を得て多忙を極める教員の、学内での本来の業務負担がこの助教達に掛かっていた経緯が透けて見えてくるのです

時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

また、国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな動機付けとなったのであろう様子が伺えます。

我が国独特な名刺、肩書社会に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です。此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。

Kファイルでは、このような「時事の出来事」を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。Facebookを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たないです」と意見させて頂いた時に「よく考えます」との返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理と実態

事件の発端とその経緯

先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したものでした

本件は、本年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、その熱意と正義感に心より敬意を表します。そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

この度の「友添事件」とその周辺の出来事が、近年の日本社会の病的な出来事の話題、特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営者、教員、競技スポーツ指導者、管理者による暴力行為の実態を象徴するように感じたのは筆者だけでしょうか。つい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣(自民党国会議員、細田派、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身)の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした。

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターか権威主義」なのかもしれません

此れだけ同教授が、学外で肩書を持っていた事に鑑みれば、早稲田大学に於ける本業のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年 10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授

2012年~2016年 早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年 学校法人早稲田大学 理事

                               9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分無し

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定)

日本スポーツ教育学会(会長)

日本体育科教育学会(会長)

日本体育・スポーツ哲学会

(財)日本学校体育研究連合会常務理事

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

公益財団法人:日本スポーツ協会 理事

公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  

その他

友添秀則氏の特徴

友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします。これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます。

学外での活動例

同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします

よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて範囲を広げていました。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導を述べられていたことです。

★特に、近年では、スポーツ界のガバナンス問題に於いて高い関心を持たれ、全日本テコンドー協会と選手との対立に於いては外部有職者として直接的な介入をされていました。

★大相撲の八百長問題、レスリングの伊調馨選手へのパワハラ問題、等々には強い関心を持たれて、マスメディアへの露出度も特化していたように記憶します。

友添氏は、筑波大学時代に柔道部に所属されていた背景からか、現在は何と全日本柔道連盟の理事という要職にまで就かれており、格闘技にも殊の外、強い関心があるのかも知れません

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が理事である事も影響しているかも知れません。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。

 

3.筆者の素朴な疑問と私見

本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通りパワハラ行為とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです。そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し、招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第ですこの間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。 

キーポイント

加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについて、です。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのか、についてです。三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を「悪質なパワーハラスメントとして認定」したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します。

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。友添氏が、常識では考えられないほど学外に重心を置いた立ち振る舞いと活動を長年行っていたことは事実だとしても、それにより学内本来の業務である教育に支障が無かったのかどうかについては、非常に疑問が残る次第です。

筆者の素朴な疑問

友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に法り裁かれたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます。

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

筆者の私見

大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応をし、また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身には甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます。

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか

筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです。

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません。もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます。

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職には現在も留まっています。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

お知らせ:

読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。本件の被害者、加害者双方にとりましては、大変悲しい出来事だったと思います。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。