KファイルNO.178:懐かしい中大河田ゼミ生達との実践演習

KファイルNO.178:懐かしい中大河田ゼミ生達との実践演習

無断体裁禁止              毎月第二、第三木曜日掲載予定

スポーツ・アドミニストレイター

日本にスポーツ・アドミニストレイション論

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

河田先生

昨日までの夏日とは打って変わって今日は肌寒いくらいの一日で御座いました。さて、NO.177拝読致しました。先週先生がブログで取り上げておられた憲法9条日米安保等のテーマは反響が大きかった様で御座います。御紹介されていた読者の感想及びそれに対する先生の御返信にも熱意を感じます。

今回はまたテーマを一新されて学校法人制度改革について御執筆をされていましたが政界・スポーツ界・教育界と先生のブログで考察されるテーマの幅は広大です。本文中で言及されておいでだった「学校法人ガバナンス改革会議」につきましてはその存在自体、寡聞にして存じませんでした。現在先生のKファイルにアクセスが集中している上に海外からのアクセス件数も増加しているとの事で、今後の更なる御活躍を御祈念申し上げます。

それでは失礼致します。気温の変化が激しい時期で御座いますので体調管理に御留意下さいませ。 読者より

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筆者からのお知らせ

日本の大学、大学法人の不祥事、事件に伴い文科省庁は、重い腰を挙げての諮問機関、分科会、会議を約4年間の歳月を費やしガバナンスの改善、改革に乗り出しました。KファイルNO.173、NO.177では、文科省庁の成果に対する報告、疑問と私見を述べさせて頂きました。しかし、私立大学、大学法人側からの強い反発があり、もろくも強い姿勢で臨もうとした「ガバナンス会議の提言書」でありましたが、何度も修正に修正を重ねて、最終的にはあまり変わり映えのしない「緩んだ」内容の提言書を基に、今国会(2022年4月、5月)に提出する運びとなった次第であります。

結論的に申し上げると日本の教育行政機関には、毅然とした高潔で強い倫理観を持ったリーダーが居ない為か、この程も私大側から強い反論があると文科省庁は直ぐに腰砕けを起す体質を露呈しました。これも文科省庁から私大への天下り体質(職安)の実態を先ずクリーンにする事が先決なのかも知れません。この様な環境では、いつまで経っても、ガバナンスを遵守するための「罰則規定」等明記されるはずもなく、明文化できない抜け道だらけの法文を作成をせざるを得ないガバナンスであるようです。此れでは、他の省庁と同類の様です。

この度は、少しフレッシュで建設的に筆者が日本で初めて「スポーツ・アドミニストレイション論」を大学講座に設置し、講義授業でスタート致した時の様子をご紹介いたします。また、その講義授業に付帯しました実践ゼミを通しての「スポーツ・アドミニストレイター」の必要性に付いての活動と成果をご紹介させて頂き、読者の皆様を大学キャンパスでの河田ゼミでのポジティブな学生感を味わっていただけますれば幸いです。読者の皆様は、河田ゼミ生になって頂き思考して下さいます事を期待いたしております。

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目次

KファイルNO.178:懐かしい中大河田ゼミ生達との実践演習

中央大学スポーツの変革(CHANGE)

初めに

1.中大スポーツに光あれ!

①日米の大学スポーツにおける光と影

②講義科目としてのSAD論

③大学は、競技スポーツの趣旨・目的を明文化すべし

④学生選手の意義、目的とその使命を明確に

2.中大での河田ゼミスタートの起因と5カ年計画

契約期間中に何が出来るか決断

①テイーチングとコーチングの区別

②スポーツ・プロモ活動を通してSADの神髄に触れる

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KファイルNO.178:懐かしい中大河田ゼミ生達との実践演習

無断転載禁止          2022年4月28日 木曜日 公開

125周年記念中央大学リレーマラソン 「襷」        

写真:北川外廣志氏提供

             信頼と絆

              中大河田ゼミのモットー

中央大学スポーツの変革(CHANGE)

初めに

読者の皆様からは、日本の大学に於いて学生達にどの様な講義、ゼミ演習活動及び指導をしていたのかを紹介して欲しいとのご要望が他大学の教職員、学生達から筆者にありました。そこで大学スポーツのシリーズの最後に紹介させて頂く事に致しました。

日本の大学に於いて講義授業に付帯した実践河田ゼミ活動は、強い「信頼と絆」をモットーとしてスポーツ・アドミイストレイションを机上の論理のみならず、担当教員の長きにわたる実践キャリアを基に何かを会得する事を趣旨、目的と致しました。個々のゼミ生達は、実践演習を通してその一端を肌で感じる事が先ず大事と位置付けました。この度は、第一弾で「中大スポーツに光あれ!」、第二弾「河田ゼミ第一期生、二期生、三期生の実践成果と結果」、そして第三弾では、「ゼミ生達の生の体験記」の一例をご紹介します。読者の皆様もご一緒に河田ゼミ生になって戴けたら幸いです。

筆者は、2005年秋から中央大学に招かれスポーツ・アドミニストレイション論、スポーツ科学を日本の大学で初めて講義・授業、実践ゼミ活動をスタート致しました。この様な機会を提供して頂きました中央大学には、心より感謝とお礼を申し上げます。そして、日本のスポーツ界にスポーツ・アドミニストレイション(略:SAD)を導入した明確な足跡を大学に残せたことは、今後我が国のスポーツ界に寄与できることを確信しています。

此の事が後に、文科省スポーツ庁)から各大学にスポーツ・アドミニストレイションの重要性とそこで必要なスポーツ・アドミニストレイターを置くよう指示、指導がなされ多くの大学で現在肩書だけのスポーツ・アドミニストレイターを置いている次第です。その大多数は、スポーツ・アドミニストレイション、アドミニストレイターが何たるかも学んだことも実践した事も無いフェイク教員・指導者であるのが悲しい限りです

米国より帰国後は、あっという間に35年間が過ぎてしまいました。日本国内に於いてもスポーツ・アドミニストレイションのプラクイカルな経験、体験を長くして来た中で、筆者は、日本の競技スポーツ及び、スポーツ・ビジネス、プロモーション、マネージメント、等々を含む分野に於けるスポーツ・アドミニストレイションの必要性を強く肌で感じた次第ですそこで、将来を担う若者達が集う大学と言う教育現場でスポーツ・アドミニストレイターの可能性とその魅力、必要性を説き伝え、指導する事の重要性から学問として研究、そして実践を通して成果と結果を証明するご縁を頂きました。中央大学では、限られた時間内でどれ程の成果と結果が出せるか、どのような学生達が真剣に取り組み、社会に輩出できるかに挑戦させて頂いた次第です。

Kファイルでは、河田ゼミの厳しい環境の中で活躍、学んだ全ゼミ生の真剣な情熱をぶつけて挑んだ日々の足跡をご紹介させて頂きます。それは、日々壮絶なエネルギーを燃焼させたゼミ生達の足跡です。

本ご紹介内容は、当時中央大学広報室より大学時報に掲載する目的で原稿をリクエストされ、提供した原稿を基にしたものです。また本掲載原稿は、大学広報室を通じて読売新聞社のYOMIURI ONLINEにも掲載され当時既に公開されました。http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20101028.html また、朝日新聞社の教育欄にも原田記者(女性)により複数回掲載されました。

一期生、二期生、三期生(各3年間)の河田ゼミ生が、日々全力で取り組み達成した卒業学年での成果と結果を読者の皆様にご紹介出来ます事は、担当教員としての誇りであります。ご笑読下されば幸いです。現在社会の第一線で日々活躍している嘗ての河田ゼミ生達の健康と多幸を心より祈っている次第です。そして最後に優秀な中大生及び河田ゼミ生に出会えたことに感謝致しています。

河田 弘道/中央大学総合政策学部 客員教授

専門分野 スポーツ・アドミニストレイション論、スポーツ科学

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第一弾:

1.中大スポーツに光あれ!

①日米の大学スポーツにおける光と影

2005年9月、本学理工学部(後楽園キャンパス)において、最初にスポーツ科学の授業を担当させて戴きました(Gファイル、長嶋茂雄と黒衣の参謀、文芸春秋社、著武田頼政でもご紹介)。翌年4月からは、多摩キャンパスにある総合政策学部客員教授に就任。スポーツ・アドミニストレイション論(総称:SAD, Sports Administration)を講義科目とし、その付帯ゼミ(FLPスポーツ健康科学プログラム:FLPは、全学部垣根を超えた専門性の高いゼミ演習です。各学部2年生から選考基準をクリアーした学生が履修できます。毎年多くの学生達が河田ゼミを希望してくれましたが、全員を受け入れられたわけではなかった事が中大に於いての唯一の心残りでした)を担当する事になりました。中大キャンパスは恵まれた素晴らしい自然環境の中にあります。米国生活が長かった私にはその環境を有効に活用していないように見え、もったいなく思えました。

日米での大学競技スポーツの最大の違いは、アメリカの大学競技スポーツが明確に「教育の延長線上」と位置付けられているのに対し、日本では「学生の自治活動」という曖昧でグレーな点にあります。前者は、「フェアネス」を基軸に厳格な「ルール」を定めています

例えば、アメリカでは学生選手が大学を代表する対抗競技に出場する為の出場資格には、大学生として維持すべきGPA(学業成績の判定基準)の最低限の数値がルールブックに明記されています。これに違反した学生選手、指導者、及び大学管理者に対する重い罰則も明記されており、実際にペナルティーが課せられます。また大学スポーツは、興業(ビジネス)も行う点で違いがあります。

日本の場合は、「学生の自治活動」と位置付けられているがゆえに全てにおいて不透明で中途半端なアドミニストレーションが絶えないのが実情で、その点で、残念な思いがしてなりません。日本の大学スポーツ及び競技スポーツのありかたに新しい視点が必要であると思います。その為にも、SADの観点から、今後明るい未来を見据えた大学競技スポーツを再考していく必要があると思いました。

②講義科目としてのSAD論

今日我が国の大学では、スポーツ・ビジネスマネージメント、スポーツ・マネージメント、スポーツ・マーケテイング、等々と称される学科、科目をよく目にする時代になりました。SADは、これら「専門分野、部門、部署をトータルマネージメント(統括、指導、運営・管理)する行為の総称である」と考えて戴けるとわかりやすいと思います

本スポーツ・アドミニストレイション(略SAD)の講義授業、付帯ゼミは、日本に於いて唯一最初に開講致しましたのが、中央大学総合政策学部です。

既にスポーツ先進国では、体育(Physical Education略称:PE)という言葉を見聞きすることが難しくなっています。我が国の大学においても近年段々とこの表現を変更する大学が増えています。特に体育と競技スポーツは、本質的に対極に位置するもので、本来体育と競技スポーツは混同されるべきではありません

スポーツは、専門的に、①スポーツ・リクレーション&レジャー、②スポーツ健康医科学、③競技スポーツ、④観るスポーツの4分野に大別されます。

スポーツ・マネージメントは、こうした概念のスポーツに、マネージメントという「手」を加える事により新しい「ソフト」を生み出し、新しい「生命」をもたらすものです。よってこの分野、部門は、スポーツを生産する為に重要不可欠な要素となります

③大学は、競技スポーツの趣旨・目的を明文化すべし

本来、大学競技スポーツは、大学教育の延長線上に位置するべき重要な意義、目的を有すると考えられます。即ち、大学は、アカデミックな場であり、競技スポーツは、競技活動を通して人が共存共栄して行く為に必要な「フェアネス」を学び醸成する場でもあります。このことからも、大学競技スポーツに参加する大学は、共通の意義、目的、使命を「明文化」する事が必要です。

その為にも日本全国の大学競技スポーツを統括運営、管理する組織団体の設立が急がれます。近年文科省庁が旗振りで日本版NCAAを作るんだとNCAAが何なのかも理解できていない状況でただ他国の組織・団体名を借りた花火であったようです。しかし、いつの間にか「大学スポーツ協会」なる組織を設立したようですが、大義もルールBookも存在しない組織・団体では、背骨の無い名前だけで機能する前に休眠同様な中身の様です。勿体ないですね。此れも真のスポーツ・アドミニストレイターが居ない証であります

次に、大学教育の本質と競技スポーツのフェアネスを維持するためには、「ルールと罰則」を明確にし、これらを裁く利害・利権に関与しない「第三者機関の設置」が重要なのです。よって、大学スポーツが伝統的に盛んな中央大学にこそ、率先して大学競技スポーツのルールブックの必要性を発信してもらいたいと考えます

④学生選手の意義、目的とその使命を明確に

(1)大学競技スポーツの活動の意義・目的は、学生、教職員、卒業生だけでなく、地域社会にも共通の話題を提供し、関係者の心を1つにまとめるパワフルなツールとなり、これら関係者に還元されることにあります。また大学の士気高揚にも大きく貢献し、母校の名誉と伝統及びそのパワーを内外に誇示するスポークスマンの役割も担うことにあります。

(2)学生選手にとって、競技スポーツは、自己の身体能力と技術を発揮する場であり、それらの限界に挑む場なのです。また、人間形成においては、協調性、社会性を学び、母校のプライドとブランド力を高め、愛校心と連帯感を学ぶ場でもあります。このように学生選手にとっては、「心学技体」のバランスの取れた「志の高い人間を育成する場」であると言えます。

(3)学生選手の大学における使命とは、大学を代表するに値する模範となる事とともに、大学競技スポーツの意義、目的を遂行する実践者となる事です。

 

2.中大での河田ゼミスタートの起因と5カ年計画

■契約期間中に何が出来るか決断

理工学部で講義を始めて半年余り、スポーツ専門学部のない中央大学で如何にして学生達にスポーツ活動と競技スポーツの必要性や重要性を指導できるか思案しました。そして、その結果、06年4月から総合政策学部客員教授として5年間の任期中に実行すべき「5カ年計画」を作成、研究課題として実行に移したのです。スポーツ・アドミニストレイターの業務、使命は、与えられた期間に与えられた資産を如何に有効活用して、期待される成果と結果を如何にして導き出し、結論付けるか重要な任務が託されているのです

①テイーチングとコーチングの区別

講義授業のスポーツ・アドミニストレイションは、ティーチング(専門知識付与)の場と位置付け、付帯する河田ゼミは、コーチング(実学としての実践演習活動を通して個人の得意な潜在能力を導き出し、決して不得意を批判しない)の場としてバランスの取れたプログラムでスタートしました

本学における河田ゼミのスポーツ実践演習活動が、スポーツにあまり興味を抱かない人の多い中で、将来の中大スポーツの発展になくてはならない、地道であるが必要不可欠な環境作りの第一歩と位置付けたのです。また、ゼミ生達には、本実学を通して知識の付与のみでは決して体験出来ない個人、集団、組織に関わる人々の思考を体感し、自分達の思いを理解してもらう為にはやはり相手の言い分にも耳を傾ける事の重要性に気付き、社会におけるフェアネスの大切さと実践活動を通して学び会得して欲しい事を伝え続けた次第です。

SADの基盤は、フェアネスにあり、我が国のスポーツ界に必要な次世代のスポーツ・アドミニストレイターに継承し発展して行って欲しいという願いでスタートしました

②スポーツ・プロモ活動を通してSADの神髄に触れる

河田ゼミは、履修ゼミ生が多く個々のゼミ生達に十分な実践演習活動の機会が行き渡る為にも大きなプロゼクトが必要であると、最終的にスポーツ・プロモーション活動に着手する事にしました。

河田ゼミが中大競技スポーツに関わる事を課題、テーマに選んだ理由は、履修学生達の身近に存在する話題であり、課題の成果を求めるに当たり中央大学及び、大学競技スポーツにも貢献でき且つ関係者にゼミ活動の実践成果を即還元できるためでした。それはまた、机上の論理を中心とする演習活動だけでは、イマジネイションだけに終わり、実践では何が起きるのかが学べないわけです。

実践演習活動は、受講生達が自身に付いての発見及び、実践演習活動を通して悲喜交々な実体験こそがアクテイブ・ラーニングの神髄であると判断、決断致した次第です。 

 

文責:河田弘道 (中央大学 総合政策学部

略歴

河田 弘道(かわだ・ひろみち)/中央大学総合政策学部客員教授

スポーツ・アドミニストレイション論(競技スポーツの経営、指導、運営・管理)、スポーツ科学、スポーツ心理学、1947年徳島県生まれ、日本体育大学卒業、72年オレゴン大学、76年ブリガムヤング大学(BYU)大学院修士課程(MS)終了後、同大学競技スポーツ部門(Athletic Department)コーチ、監督兼スポーツアドミニストレイターとしてまた、体育学部(Physical Education Department)専任講師を兼務。

実践キャリア:

野球、フットボール、器械体操、バスケットボール、バレーボール、等々日米大学スポーツの交流の先駆者たらんとし積極的に活動。米国オリンピック委員会(USOC)と日本オリンピック委員会JOC)との橋渡しの役割を担う。

77年度より米国大学専任と西武鉄道社長室、堤義明氏秘書を兼務。

社会人プリンスホテル野球部創設と西武ライオンズ球団創設に立ち会う。

80年には、グループ企業の取締役として野球事業・特命担当、この間、プリンスホテ ル野球部都市対抗出場。

82年西武ライオンズのリーグ初優勝及び日本シリーズ優勝。

84年(株)SPI(競技スポーツの運営・管理会社)設立。同代表取締役就任

85年(株)日本電気NEC SPORTS~ 2005年春まで(20年間)スポーツ・アドミニストレイターとして陣頭指揮を取る。 8競技種目

世界陸上選手権東京大会

87年世界陸上選手権大会ローマ及び91年東京大会のホストテレビ局オフィシャルコーデイネイター、各種国際マラソン大会、室内陸上スーパー陸上大会のオフィシャルコーデイネイターを務める。  

94年、東京読売巨人軍編成本部付AD兼監督補佐として当時の長嶋茂雄監督に4年間帯同、97年12月退任する間にメイクミラクル、メイクドラマという壮絶な球史に残るベースボールアドミニストレイションを実践・完結した。

2005年9月から2011年3月迄:

中央大学理工学部総合政策学部客員教授として、スポーツ・アドミニストレイション、スポーツ科学の講義を持ち、それに付帯する河田ゼミで実践演習活動に注力。(中央大学広報室)

2013年4月から2017年3月迄:東京国際大学 経済学部客員教授として在籍。

YOMIURI ONLINE 読売新聞社 企画局

http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20101028.html 

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews

お知らせ:

日本の大学(中央大学総合政策学部)に初めてスポーツ・アドミニストレイションの講義授業・実践演習活動を紹介しました当時のコンセプトを紹介させて頂きました。如何でしたでしょうか。嘗ての河田ゼミ生達は、今日日本を代表する会社、企業、社会の第一線でぶれる事無く活躍しています。年月の経過は早いものです。次回は、その実践演習活動の模様を予定致しております。

KファイルNO.177:私大学校法人制度改革に抜け道は必要か

KファイルNO.177:私大学校法人制度改革に抜け道は必要か

無断転載禁止                          毎月第二、第三木曜日 掲載 予定

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スポーツ・アドミニストレイター

日本にスポーツ・アドミニストレイション論

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイター

の先駆者(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの読後感便り

河田さま

こんにちは。NO.176 拝読しました。

私には「疲れる」といった読後感はなかったですね。むしろ、この重たいテーマをこのタイミングで取り上げた、(適切な表現が思い当たらないのですが)河田さんの勇気みたいなものを強く感じました。それだけ「防衛」に関する言及ひとつによって、その人のレッテル貼り(右だ左だ)が横行するのが、残念な日本の一面ですから。

核大国ロシアがその力を当初からちらつかせて、ソ連崩壊後、核兵器廃棄をせざるを得なかった丸腰のウクライナに軍事侵攻した瞬間、戦勝国かつ拒否権を持つ国際連合常任理事国中心による統治が無力化したことを深刻に捉えるべきだろうと私は思っていました。 拒否権を持つ常任理事国は、何をしても咎められないわけですから・・

未だに厳然と残る戦勝国中心の国際秩序の残滓や河田さんご指摘の日米安保条約不都合な真実の部分など、日本人は自分たちの置かれている状況をもっと冷静に考えるべきだし、その意味では、政府と国民の間の(無知なるが故の)意識ギャップを埋める努力や加えて、どう国を守るのかの議論を積み重ねる必要があるということは全くの同感です。「核共有」という結論的表現にエキセントリックになるのではなく、議論というプロセスを経て、意識の共有化を図り、何が国民にとって、ベスト、ベターなのかを詳らかにすることが、混沌とした情勢の中では非常に重要な意味を持つのではないかと思います。(本来は、平時にこういったことを実行しておくべきだったのは、もちろんですが)

議論の結果、最後はルールに則り結論を出せばいいわけで、某左派系政党のように、議論すら許さない、とかは、自分の意にそぐわない議論はしないことと同義であって、議員の仕事の放棄を意味し、民主主義の否定に通じます。

日本人のほぼ100%は戦争反対だと思っています。しかし、残念ながら自分たちと同じ価値観を持っている人ばかりでないのも、また真実です。例えが適切かわかりませんが、かつての日本ですら軍部のクーデター未遂として歴史に残る、「話せばわかる」に「問答無用」と答えたと言われる暗殺事件がありました。もちろんここに至るまでにやるべき最善は尽くさねばならないですが、最後に、人間の狂気にどう対処するのか、は決して避けてはいけない歴史の教訓のような気がしています。重く受け止めた読者より

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筆者から読者へのご返信

貴殿の読後感を拝読させて頂き「なるほど」と気付かされることが多々ございます。NO.176への貴重な読後感、ご意見を沢山頂いております。

物事の核心を突かれると何か関連する事に心当たりのある人は、それに素早く感情的に反応する事も人間の心理であり弱点でもあります。読者様の中には、権力を振りかざして来られてきた方々が多々いらっしゃるようです。この様な方々の中には、狭い視野でしか物事が見えない測れないので感情論が表に湧き出るのでしょうか。貴殿からのお便りは、大変分かりやすい冷静な読後感を賜り有難うございました。貴殿がご指摘のように小生は、右でも左でもない只日本国と民の健康と安全を最優先する事を願う一国民です。 深謝

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目次

KファイルNO.177:私大学校法人制度改革に抜け道は必要か

“最終的に文科省は再度大学法人にガバナンスを丸投げか”

1.文科省は今こそ強いリーダーシップが必要

経緯並びに概要

■学校法人制度改革特別委員会の委員構成及びその目的

 学校法人制度改革特別委員会委員名簿

文科省は報告書案を了承

■特別委員会の報告書(提言)概要

■報告書の重要ポイント

2.筆者の素朴な疑問

  筆者の私見

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2022年4月14日 木曜日                 公開

KファイルNO.177:私大学校法人制度改革に抜け道は必要か

無断転載禁止              毎月第二、第三木曜日 掲載予定

 

“最終的に文科省は再度大学法人にガバナンスを丸投げか”

1.文科省は今こそ強いリーダーシップが必要

経緯並びに概要

KファイルNO.173では、「私大改革の諸悪の根源は何処か」をテーマに述べさせて頂きました。読者の皆様からは、貴重且つ有意義な読後感、ご意見を賜りまして誠にありがとうございました。

本テーマに関し文部科学省(略:文科省)は、文科大臣の名の元に日本大学の不祥事を契機に漸く重い腰を上げたのが、①2019年でした。そして②2020年1月に本件に関する有職者会議を設置しました。その後、③2021年7月に「学校法人ガバナンス改革会議」なる諮問機関をスタート、④同年12月には、報告書(提言)を文科大臣宛に提出させた次第です。しかし、⑤本報告書に対して私立大学側が「私大の健全な経営と教育研究の発展を阻害する」等々と反発したのでした

このような混乱を来した事から、文科省は、⑥新たに三度目の「大学設置・学校法人審議会学校法人分科会」なるものを立ち上げ、⑦本分科会に「学校法人制度改革特別委員会」を設け、⑧「学校法人制度改革の具体的方策について」の最終報告書(提言)を2022年3月17日に文科省に提出させ、3月29日付で報告書を公表された次第です

文科省は、本特別委員会の報告書を持って今日迄「学校法人ガバナンス改革会議」報告書(提言)と私立大学側の間で起きていた問題の齟齬(そご)に意見の一致を見たとの事で、今後文科省は本報告書に沿った内容を持って、同法の改正案を今国会に提出する運びになっています。本報告書は、16ページ(A4)に渡り、「1.私立学校法人と学校法人の独自性、2.学校法人の機関構造設計の基本的視点と規律上の工夫、3.学校法人改革の具体的方策」を軸に構成されています。

筆者は、特別委員会の提言が果たしてどれ程の実行力が在るのか、私大側は改善、改変されたガバナンスを本当に遵守できるか、ガバナンスの遵守の確認の有無をどの様に、誰が、いつチェックするのかに付いて、明文化された詳細が本報告書に明記されていないように思えてなりません。

同様にガバナンスを改善、改革してもそれらに対する罰則が明記されないのでは、何の抑止力にもならず、人は約束事を交わしても約束を破るのが人間であることの原理原則に反した「中途半端」な制度改革では、再発の防止にもならないと思えてなりません。委員会の委員の皆さん、そして主査を務められた福原紀彦氏は、どの様なお考えてまとめられたのでしょうか

■学校法人制度改革特別委員会の委員構成及びその目的

   学校法人制度改革特別委員会(略:特別委員会)は、13名の委員が推薦、任命されています。(内1名は、主査を兼務)。

特別委員会は、①学校法人分科会3名、②有職者3名、③私立学校団体代表者7名により構成されています。内主査は、①から選出されています。

本委員会設置の趣旨・目的は、近年度重なる私立大学、大学法人の運営管理の不祥事に起因した事件が多発し、学生、教職員のみならず国民、社会に多大な損害と不安を与える社会問題と化している事から、私大の経営、運営、管理を司る学校法人の特に監督権限と責任の所在の明確化、透明化を目指すところに主眼を置いた制度改革であると理解致す次第です。

学校法人制度改革特別委員会委員名簿

委 員:13名 ◎:主査

【学校法人分科会】

佐 野 慶 子 公認会計士

西 岡 佳津子 (株)日立製作所 取締役会室長

◎福 原 紀 彦 中央大学法科大学院 教授・前学長、弁護士(マリタックス法律事務   所)、(一財)私学研修福祉会 理事長、(一社)大学スポーツ協会(UNIVAS) 代表理事・会長

有識者

梅 本 寛 人 弁護士(京橋・宝町法律事務所)

尾 崎 安 央 早稲田大学法学学術院 教授

米 澤 彰 純 東北大学 国際戦略室副室長・教授、総長特別補佐(国際戦略担当)

《私立学校団体代表者》

田 中 愛 治   (一社)日本私立大学連盟 会長、早稲田大学 総長

小 原 芳 明    日本私立大学協会 会長、玉川大学 理事長・学長

川 並 弘 純  日本私立短期大学協会 常任理事、聖徳大学短期大学部 理事長・学園長・学長

嵯 峨 実 允  日本私立中学高等学校連合会 常任理事、学校法人藤華学院 理事長

重 永 睦 夫  日本私立小学校連合会 会長、東京都市大学グループ学校法人五島育英会 評議員、前 東京都市大学付属小学校 校長

尾 上 正 史  全日本私立幼稚園連合会 副会長、学校法人福岡幼児学園 紅葉幼稚園 理事長・園長

福 田 益 和  全国専修学校各種学校総連合会 会長、学校法人福田学園

理事長

(令和4年1月6日時点)

▶本名簿は、2022年(令和4年)3月29日に公表されました、学校法人制度改革特別委員会発行の最終報告書から引用した名簿です。何れも敬称略。

文科省は報告書案を了承

 文科省は、本年1月に大学設置・学校法人審議会学校法人分科会に「学校法人制度改革特別委員会(略:特別委員会)」を設置しました。本特別委員会の主眼は、学校法人のガバナンス(統治)を強化するその策を検討する事でした。

特別委員会は、3月17日に「学校法人制度改革の具体的方策について」の報告書(提言)を提出し大筋で了承を得たとのことです。

本提言には、私大法人の理事会に対する評議員会の監督権限を持たせ強化する事を軸として、私大法人に多発している贈収賄罪、特別背任罪を新設する事も盛り込んでいる所が改正ポイントなのかも知れません文科省は、提言書に沿った方向で法人改正案を精査した上今国会に提出する方針を固めたようです。

■特別委員会の報告書(提言)概要

 学校法人制度改革の基軸は、①私立学校が社会の信頼を得て一層発展して行く事を目す②学校法人の沿革、多様性にも配慮し、実効性ある改革の推進が必要③不祥事に対する再発防止策が必要

このような改革の具体策に付いては、「関係者の合意形成を図る場」として、有職者委員、学校種ごとの私立学校関係団体を代表する委員の参画を得て、本年1月に設置し、この度の委員会からの報告書の提出となった次第であったことを、報告書の最初に明記されています。

KファイルNO.173に於きまして、私大ガバナンス改革会議の報告書(提言)と私立大学側の反発意見に付きましては、読者の皆様には既にご理解、ご承知の通りと理解させて頂きます。

■報告書の重要ポイント

特別委員会では、関係者双方の間での意見の相違が大きかったので、主な論点の制度を具現化し各私立学校関係者に紹介、委員を構成していない関係団体からも任意に提出された意見書も参考に議論してきたことも付記されています。

1)学校法人の機関設計の在りか方については、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」と改革理念に基づいた、「建設的な協働とけん制関係の確立」により、学校法人の円滑な業務執行、私立学校を取り巻く広義なステイクホールダー(支援者、投資者)の意見を反映、法令、社会規範を逸脱した業務執行の防止・是正を目視して行くことで特別委員会内でのコンセンサスは一致確認された事も明記されています。また、本報告書には、「実効性ある改革」を具体的且つ実現すべき事項を中心にまとめたものである事。法律案以外にも、理事の選任方法、各法人の寄付行為の在り方、審議会での寄付行為の見直し、各関係団体のガバナンス・コード改訂、自主性、努力、実行を強く求めています。しかし、罰則規定は、見当たらず。

2)本報告書の主要ポイントの1つでありました、大学法人理事長への権限集中、また現行制度から評議員会が理事長の諮問機関と位置付けられて構造的な問題を起し、本来のチェック体制が機能していないことから、形だけの実態を防ぐ改正案を提言しています。これらは、政府、文科省庁が私大理事長に権力を与え、それを法的に保護したことにより、私大法人が本来は文科省の監督、管理責任を私大法人理事長が担うようにしてしまったことに起因している事を特別委員会も触れてない事は重大な忖度勘定と思われても説明が付かないと思います。

3)法令違反等を起した理事の解任は、評議員会の関与を強化すると共に理事会等に解任請求ができ、放置された場合は訴訟を起こす事が出来るとしています。また、理事と評議員の兼務は禁止と明記されています。重要事項の決定は、理事会だけでなく評議員会の議決が必要とされています。

4)評議員の選考方法は、一定の上限を設け理事会による選任や現職の教職員の就任は認められる、とされています。此れでは、襟を正した事に成り得ず、理事長、理事会には相変わらず強い権限を与え文科省の役割を担わせていると思わざるを得ないのです。

2.筆者の素朴な疑問

本来私大学校法人のガバナンスを歪めた主因は、文科省が私大法人理事長に権力を集中させた事に起因し、今日の様な乱れた不正行為、モラルの逸脱を大学教育機関で罷り通っている事はKファイルNO.173で述べた通りです。

この様な実態を承知しながら見て見ぬふりを決め込み、ガバナンスを大学法人に丸投げして今日まで参った関係省庁は、何の非も認めず責任の所在も明らかにせず、伝統的な不祥事、事件が起きる度に壊れた窓の補修作業をするに留める手法を此の度も行っているように思えてならないのは筆者だけなのでしょうか。

近年特に目に余るガバナンス違反行為を行う私大法人では、残念ながら「自浄能力」を失せている事はご承知の通りです。2021年に設置された「学校法人ガバナンス改革会議」の報告提言では、明快に現在の大学法人の理事長が評議委員会を骨抜きにし、業務執行機関の理事会の理事達を忖度で推薦、任命している実態を報告し、ここに楔を打ち込むために「私大法人の評議委員会は全員外部者が必要」と大胆な提言をされたと理解します。しかし、2022年の特別委員会の最終報告提言では、やんわりと本件を却下し本来の評議委員会の改善、改革には程遠い内容とされています。それらは、執行機関の理事長、理事会が評議員を選べる仕組みと権力を残している事は「抜け道」を斡旋して、大学法人の理事長、理事会を擁護している証でもあるという事のようです

筆者の私見

本報告書には、冒頭に「私立学校法と学校法人の独自性」挙げられています。

この独自性、即ち個々の個性を豊かに育てる事を意味されての「大義」とされているのだろうと推測させて頂きます。しかし、この独自性を私学で育ませるためには、大人達がガバナンスを捻じ曲げて、私利私欲に悪用する事からこの度は法人ガバナンスの改革が主たる目的ではなかったのでしょうか。即ち独自性を育てる為には、人間社会では規則と罰則が不可欠なのです。これらが明文化されていないので、いつまでも不正、不祥事、事件を繰り返しているのです。「話せばわかる」文化では、「悪事が蔓延る」ばかりである事が何故理解出来ないのでしょうか。本特別委員会の報告書には、この重要なポイントに疑念を感じるのは残念です。

この程の私大法人のガバナンス改革案(提言)の作成は、社会問題となっている本件の改善、改革を声高に国民、社会に真剣に取り組んでいますよ、と言ったパフォーマンスの様に思えてならないのです。その根拠は、既にKファイルNO.173で、そして今回のNO.177で述べさせて頂いています通り、3回もの新しい諮問委員会(見識者を集めての)を2019年より2022年3月末まで約4年の年月を費やしながら、改善、改革すべき重要事項に於いては、お茶を濁し「私大法人理事長、理事に抜け道」を提供して「手打ちを図る」手法は、相変わらずの文科省庁と申し上げなければなりません。やはり私大法人は、文科省庁にとっての甘い蜜(職安)でしかないのかと疑念を持たれる最終改正案のように思えてならないのは筆者だけでしょうか。この機会に因習を断ち切らなければ我が国の教育界、スポーツ界に「フェアーでクリーンな環境」は訪れないと思います。

本会改革は、日本の私大法人・教育機関の一大転換期でもありましたが、「大山 (たいざん) 鳴動 (めいどう) して 鼠 (ねずみ) 一匹( いっぴき)」の故事が当てはまる様では、これまた日本国の教育機関、省庁に「Justice(正義)&Fairness(公正)」の大義は、目障りのようにお見受け致しました。本気で国民・社会は、一体となって行動を共にして立ち上がらなければ、此の国の教育の現実と実態では子供達の健康と行く末が憂いてなりません。教育機関は、未来を託す若者に「正義と公正」を教育者、指導者、経営者自らに襟を正し模範とされねば、今問われている国家存亡の危機を将来どう切り抜けられるかをKファイル読者の皆様は、真摯に感じられているのではないでしょうか

注:NO.177には、2022年3月29日に公表されました学校法人制度改革特別委員会」の報告書を参考、引用させて頂きました事を明記させて頂きます。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G File (長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、 KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

この度のKファイルは、教育の根幹をなすアドミニストレイションの重要な件でしたので、読者の皆様には、大変肩の凝る内容であったのではなかったでしょうか。悪しからず。KファイルのTwitter部門のアクセス件数が、今月(28日間)の統計では、107、405件を記録しています。3か所のプログへの読者のアクセス件数、及びFacebookへのアクセス件数も順調に全国にネットワークを形成して行っております事をお知らせ致します。此れも読者の皆様の友人、知人へのセアー、口コミのお陰だと感謝致しております。尚、海外では、米国、カナダ、ドイツ、フランス、スイス、等の順にアクセスが集中しています。感謝

 

kファイルNO.176:安倍晋三氏の思案「核共有」の真意は何処に

kファイルNO.176:安倍晋三氏の思案「核共有」の真意は何処に

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日公開予定

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河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

河田先生

Kファイル更新お疲れさまでした。KファイルNo.175拝読致しました。

友添秀則氏のことについて少しネットで調べてみましたが、今は、いずれの役職にも就いておられないのでしょうか?

あれだけの役職(肩書)のデーパートをどのように築かれたのか、与えた側の対価は何であったか。いかにも日本的官僚タイプの見本のようで興味深い人物ですが、手回しよく「懲戒解雇ではなく辞職」をしてうまく切り抜ける手法は、嘗ての東京高等検察庁検事長(黒川弘務氏)をみるようです。このようにして、彼らは保身術の一つとしてアンダーアーマー(下着の鎧)を纏い、伝統として残し次の世代に受け継いでいくのでしょう。また彼の専門分野がスポーツ倫理学とは恐れ入りました。これほどの肩書きを持った方ならば、腹を据えて自身の批評には、対応していく覚悟が必要かと思うのですが、残念でございます。教育者という蓑を着た倫理学悪用者であったのでしょうか。

少し気になる分野ではありますので、どんな研究をして何を発表されていたのか気にはなります。罪深い早大教授(筑波大卒、柔道部)を文科省スポーツ庁)、種々体育学会、スポーツ学会、JOC、競技団体、等々とこのフェイク教授を見抜けなかったそれら関係者達の観察、洞察力のレベルも問題だと思います。その関係者達は、現在もその省庁、JOC、学会、等に何も無かったかの如く要職に就いていること事態信じがたい事です。マスメディア関係者達も同類であったという事のように思えます。 読者より

 

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2022年3月24日 木曜日               公開

kファイルNO.176: 安倍晋三氏の思案「日米核共有」の真意は何処に

無断転載禁止 

目次

kファイルNO.176: 安倍晋三氏の思案「日米核共有」の真意は何処に

安部晋三氏発言は国民社会に咀嚼が必要

1.何故安倍元首相は「核共有」の思案をぶち上げたか

  先ず初めに 

   ■競技スポーツは平和な環境の下で成り立つ

   ■発言の経緯

   ■安倍晋三氏と国民との間の情報に乖離(かいり)が

2.「憲法第9条」「核の共有」を論ずる前に議論が必要

   ■二つの基本的国家理念の異なる隣国

   ■理想論を掲げる国民は隣国の侵略・侵攻にどう対処するつもりか

   ■筆者の素朴な疑問と私見

   ■日米安全保障

3.まとめ

  ■国会議員と官僚の義務と使命は重い

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安部晋三氏発言は国民社会に咀嚼が必要

1.何故安倍元首相は「核共有」の思案をぶち上げたか

先ず初めに

此の度は、時事の話題から“安倍晋三氏(自民党衆議院議員、元首相、安倍派領主)の思案「核共有討論の必要性」の真意は”に付きまして、スポーツ・アドミニストレイターの立ち位置で述べさせて頂きます。本テーマは、一見スポーツ・アドミニストレイションとどのような関係と接点があるのか、読者の皆様は混乱されるかもしれませんがご容赦ください。筆者は、スポーツ・アドミニストレイションの分野、部署に於いて、特に競技スポーツの組織・団体の趣旨、目的、目標に沿った「戦術、戦略」を駆使し、そのゴールに導く事を得意と致しております。即ち、勝たせる為の参謀役とでも申しておきましょう安部晋三氏がこの程ご提案されています「核共有論」の真意に大変興味を抱いた次第です。

小生は、政治家でもなく政治的なイデオロギー論者でもなく、ポリティカル・ゲームに其れほど興味を有する人間でもありません。また同氏のイデオロギーを論じたり批評したりするつもりもございません。一人のスポーツ・アドミニストレイターとして、日本国と国民が安全で安心する領土を近年の現況下で、如何にして外部からの侵略者、侵攻者から担保するかの一点に焦点を当てて述べさせて頂きます事をご理解下さい。よって、読者の皆様には、どうか誤解無きようスポーツ・アドミニストレイターの一人が、素朴な疑問と私見を述べているとお考えいただき、何かご参考になる一助となりますれば幸いです。

「スポーツ・アドミニストレイションとは、スポーツに関する個々の異なる分野、部門を専門的にマネージメントする中に於いて、それらの個々のマネージメントを統合し、その組織・団体の趣旨、目的に合った方向に導く為のトータルマネージメントの総称であります。」河田弘道のスポーツ・アドミニストレイション論より

■競技スポーツは平和な環境の下で成り立つ

ウクライナに於きましては、ロシアの侵攻により1000万人の国民が着の身着のままで隣国、国内にと安全な場所を探し求めて流浪する中、悲惨な戦火の中で血みどろな戦いを強いられています。このようなアンフェアーな事態と状態の中で戦いが今行われているのも現実です。

日本では、安心安全で平和な日常生活の中、梅や桜の花の咲く季節がやってきました。そして、球春を告げる春の高校野球大会が甲子園で始まっています。まもなくプロ野球の開幕も始まろうとしています。何と平和でのんびりとした日本国、国民であることに心より感謝の気持ちを読者の皆様と共に共有させて頂きます。

1945年以来戦後は、大きな戦火を数えきれない程繰り返して参っています。その都度、犠牲となるのは戦場の兵士達及びそのご家族、戦場の国の民達であります。1978年に成立したアフガニスタン人民民主党政権に対するムジャーヒディーンの蜂起(ほうき)から、1979年にソビエト連邦(現ロシア)のアフガン侵攻による軍事介入により、1980年モスクワ五輪は、自由主義国の集団的拒絶(ボイコット)により我が国も不参加をしたのは記憶に残されています。その後、ソビエト連邦は、1989年撤退までの10年間戦争を継続したのでした。

オリンピック大会の理念、活動は、戦争という悲劇には無力と化す事は、既に皆様は理解されている事と思います。それともオリンピック大会は、世界の人類と平和に寄与していると思われますか。本来オリンピック競技は、古代ローマ時代に国と国の戦いの代替えとして考案さえたと言われています。その為国対抗戦は、その象徴としてメダルの色と個数を競い合い順位を争う大会であると申し上げられます。

このようなIOCの理念と今日の現状では、例えば先だっての冬季北京五輪での政治家達の戦争の為の密談場にされているのではもう五輪事態が弊害となっても人類の平和に寄与しているなど難しいのです。IOCのT/バッハ会長以下の不健康なリーダーでは,仕切れ切れないのが実態のようです世界の悪徳政治家達は、オリンピックという恒久のスポーツ競技イベントを政治利用しても、人類及びその平和に寄与しているなど、それを真に信じている人達が果たしてどれ程いるかと大きな疑念をも抱かざるを得ません。

昨年開催した夏季東京五輪、先だっての冬季北京五輪からも我々日本国民は、既に肌で疑問を感じ認識を新たにしているのではないでしょうか。

五輪開催の理想論とその現実に大きな乖離(かいり)がある事から、目を背ける事は、政治家に出来ても、我々国民にはできない現実(負の遺産と痛み)がある事を忘れてはなりません。これは、まさに戦争を仕掛ける侵略、侵攻者達と侵略、侵攻を受ける側の関係に等しいと申し上げて過言でありませんはたして、2024年のパリ大会、2028年のロス大会は、今後どうなるか。

近年のスポーツ(五輪を含む)は、平和なくして成り立たない、まさに平和がスポーツを育むという本来の五輪憲章とは真逆に成ったと申し上げます

■発言の経緯

 安部晋三氏(自民党、衆議員、元首相、安倍派領主)は、2月27日午前のフジテレビの番組で、日本国内に米国の核兵器を配備して共同運用する「核共有=Nuclear sharing」べきであるとの自らの思案を明らかにしました。また、この発言に対して、安倍氏は「日本は核拡散防止条約(NPT)の加盟国で非核三原則があるが、世界はどのように安全が守られているかという現実について議論していくことをタブー視してならない」と付け加えられ「被爆国として核を廃絶するという目標は掲げなければいけないし、それに向かって進んでいくことが大切だ」とも付け加えています。

実は、同氏のこの発言内容を客観且つ冷静に受け止めると全て「盾と矛の関係」である事に読者の皆様はお気づきになられるのではないでしょうか。

同氏は、本件を唐突にテレビ番組で述べたのではなく、首相就任以前の官房長官時代から日本国の安全保障に関する改善、改革に関して、先ず日本国憲法第9条が問題であるので改善、改訂すべきであると一貫して訴えてきている次第です。しかし、本提案に対して国会内、国民、社会は、一向に盛り上がらず具現化されず彼自身は憤懣(ふんまん)やるかたない思いで今日を迎えている事でしょう。この度のTV番組でその一端に触れ「今日の世界情勢から国の安保体制の在り方を国民の皆さんは分かりませんか」と申されている点です。

安部氏の意図には、「北朝鮮の核開発とその脅威、この度のロシアによるウクレイン侵攻によるプーチン大統領の核使用をチラつかせる言動、中国の台湾侵攻間近な状況、そして中国の尖閣諸島及び沖縄侵攻計画、ロシアの北方四島への核ミサイル配備による北海道侵攻計画、等々と核の力による戦争の脅威を国民・社会に目を向けて欲しい、そして国民世論が国民の代表である国会議員達を目覚めさせ、憲法9条の改善、改革に着手しないとだめなんです。解ってくださいよ」と言わんとされているのだと理解致します。

安部氏の本発言は、彼自身の発言と申しますより米国の強い要望が裏にあり、安倍氏がそのスポークスパーソンとなっている可能性は無いと言い切れるものではありません。読者の皆様は、どのように理解、認識されていますでしょうか。

安倍晋三氏と国民との間の情報に乖離(かいり)が

 我が国は、世界で唯一の被ばく体験国であります。それに伴い、国民の怒りと痛みは、今後永久に癒えることはありません。また、この事実を踏まえて日本国、国民は、被爆国として「非核三原則」を掲げ、被爆国として「核廃絶」を訴え続けて参っている事は、国民として十二分に理解し承知しています。

しかし、この度の安倍晋三氏は、ロシアのウクライナへの侵略、侵攻を目の当たりにし、日本国憲法第9条の改定議論より遥かに飛躍した「核共有」の必要性へと現実的な発言に舵を切ったと思われます同氏の発言には、先ず幾つかの差し迫っている国の命運を左右する現実がそこにある事が、彼の焦る心を一層駆り立てているのだと推測できるからです。

それらは、中国による台湾侵攻問題、既に水面下で戦略を基に戦術化して潜行している現実を安倍晋三氏は日本国民の誰よりも察知している事です。そして、その根拠は、真の情報を米国ワシントンDCから入手しているのだと思われますそれらの情報は、日本国に高レベルのインテリゼンスビューロー(intelligence bureau情報・諜報機関)からもたらされている事は容易に理解できます。とするならば、2月27日のフジの番組に於いては、彼のストレスと感情がつい口を滑らせたのだろうと心中を洞察致す次第であります。しかし、このレベルの情報は、戦後70数年間国家が外敵に晒された事のない我々国民にはあまりにも情報不足による乖離(かいり)した発言で理解しがたいのも事実です。それをいきなり「核共有」を述べられても予備知識の全く皆無な我々国民に理解されるはずも無いのです。先日も安倍氏は、台湾の総督と直接会話をされているマスコミ情報が飛び交っているのも事実の様です。

2.「憲法第9条」「核の共有」を論ずる以前に議論が必要

■二つの基本的国家理念の異なる隣国

本件を語るに当たり、避けては通れないのがこの基本的国家理念の異なる隣国(中国及びロシア、北朝鮮)の存在と動向です。

日本国は、自由民主主義国家の一員で在り米国とは1960年に「日米安全保障条約」を締結し、米国の軍事的な傘の下で擁護・庇護されています。その一方の中国、ロシアは、自由主義国家の我が国とは、国家体制から物事の価値観、等と対極に位置している事により、共存共栄の論理が噛み合わない言わば「水と油」の関係に等しいと表現した方が理解し易いかと思われます。これにより物事の価値観、判断、思考、行動に於いても「0か100か」で50の数値が無い両国の首領達にコミュニケーションの余地は限りなく低く、信頼関係を構築できないのが現実なのです。

この小さな島国日本は、地理的に北にロシア、西に中国と大国に挟まれた島国である事です。そして、日本は、両軍事大国との間に領土問題を抱え、軍事面に於いては米国駐留軍の極東の最前線基地となっている事ですこの様な現実的な状況と環境下に於いて、我が国は、自国防衛の為の軍隊を持てない、持たない約束事を憲法第9条に明記されているこれまた現実なのです。

この様な状況に於いて、国内では、戦後から今日迄国会議員、国民の間では「非核三原則の維持、米軍基地存続反対論、軍隊を持たない、等々」と非常に身勝手な意見が常に語られて来ています。しかし、その一方では、世界の状況、日本の置かれている環境を鑑みますと、現実を見て見ぬふりをして背を背けられない危機が足元に及んでいる事に対しては、目、耳、口を塞ぎ閉じる事なかれ主義的な態度をとる今日の国民の深層心理が伺えます。

我々は、戦後70数年間平和な日々を国家の復興、再建、繁栄を御旗に目標に向かって歩んで参りました。しかし、その平和な時代は、今終演を迎えようとしているのです。それは、嘗て日本が侵略、侵攻した国々への歴史的事実があります。今日では、かつて日本が侵攻した隣国が世界の軍事大国となり、日本の領土を侵略しようと虎視眈々と狙っている現実が足元に及んで来ている事を日本国民は如何受け止め理解しようとされないのでしょうか。

■理想論を掲げる国民は隣国の侵略・侵攻にどう対処するか

 我々は、現実的に大国の侵略と侵攻をどう防衛するかを真剣に熟考する時期が既に訪れてしまったという事ではないでしょうか。これは、我々の国家、国民の一人一人の生命と財産がかかった重大且つ、国の運命左右する事態である事です。現在我が国の置かれている立ち位置は、国家体制の全く異なる二つの軍事大国に侵略、侵攻の機会を与える領土問題と極東の米軍基地を持っている事です。

ここで読者の皆様は、この両大国の論理で我が国の領土に侵入されたら如何されますか。ご承知の通り彼らには、理想論も憲法論も何も通用しないという事を肝に銘じてほしいのです。彼らにとって侵攻をためらっているのは、極東最大の米軍基地が日本国内にあるからなのです

彼らにとって、最も煩わしいのは、日本国内の沖縄を初めとする米軍基地の筈です。彼らは、南西海域に人工軍事基地を確保しフィリピン、台湾、尖閣諸島を手中にし、本命の沖縄を手中にする事でライフラインを確保できることです。また、ロシアは、絶対に北方4島を日本に返還などする筈もなく、4島にはロシアの軍事基地として米軍の北海道への基地拡大阻止の為の最前線基地とする事が容易に理解できます。

■筆者の素朴な疑問と私見

 筆者は、国民が今日の平和を当たり前と思い込み、世界と近隣諸国の危険な状況と現実に目を背け、耳を傾けない国民社会の精神・心理状態が最大の問題であると感じています。

読者の皆様は、全く価値観の異なる近隣の軍事大国がウクレイン侵攻の如く問答無用で我が国に向かって来たら如何しますか。海辺の原発を1か所テロ攻撃されたら日本は即時壊滅する事をご存じですか。それは、米国軍が駐留していても結果は同じです。それにより駐留米軍は、米国本国に引き上げるだろうことを我々日本国民はどれ程理解されていますでしょうか。このように我が国は、無防備で砂上の楼閣にあるのが日本国なのです。

1960年に締結されました日米安全条約は、その契約更新期間は10年であることをご存じですか。日米双方の何れかが本条約を破棄する場合は、理由の如何を問わず満期1年前に相手側に通告する義務があるのです。しかし、本条約には、細部にわたる条件が明記されているのも確かです。大部分の国民は、日米安保条約及び各条項をどれ程ご存じなのでしょうか。

日本国、国民は、米国軍により守られているという理解と認識はある意味では正しいと思います。しかし、相手から侵略、侵攻を受けた場合米軍だけで日本国、日本人を守る保証はどこにも明記されていない事を我々は誤解、誤認しているのではないでしょうか。

■日米安全保障第10条(外務省提供より)

○第10条

 この条文は、日米安保条約は、当初の10年の有効期間(固定期間)が経過した後は、日米いずれか一方の意思により、1年間の予告で廃棄できる旨規定しており、逆に言えば、そのような意思表示がない限り条約が存続する、いわゆる「自動延長」方式である。本条に基づき、1970年に日米安保条約の効力は延長されて、今日に至っている。

3.まとめ

■国会議員と官僚の義務と使命は重い

大事な事は、日本国は大陸の中の一国ではないという事です有事下、有事後で敗戦の場合は、隣国に難民として徒歩で移動できません。この事は、他国と大きく異なる違いは周りが海である事です。海に逃げる事は、死を意味し、国内に留まる事は、白旗を挙げて生命、領地、財産を相手国に差し出す事しか方法は無いという事なのです。このような最悪の事態を嘗て考えた事は、今までにありましたでしょうか。

日本国民は、先ず最後のシナリオのボトムラインを理解と認識を新たにしなければならない時代と時が来たのではと申し上げさせて頂きます。昔も今も人は、「備えあれば患いなし」とよく申されます。しかし、これは、「戦争反対、非核反対、米軍基地出て行け」と現実とは真逆な夢の様な理想論を唱える一部国民、多くの野党諸君、与党諸君にあえて聞きたい。

あなた方(全国会議員を含めて)は、真剣に日本国、国民の安全と生命の確保を考えているのですか。中国、ロシアが問答無用で我が国に侵略、侵攻して来たら国と国民、財産をどの様にして守り責任を果たすか、果たせるか具体的且つ明快に国民に説明、宣言すべきです。国民の代表を自認するなら議員は、国民との約束事としての個々の契約書に署名をするくらいの気概と責任を持って、日々義務と使命を果たさなければなりません。野党議員は、代替え案を持たず何でもかんでも反対する事だけで莫大な歳費、諸経費で懐を温める事は許されざる行為です。

安部晋三氏は、「日本国憲法第9条、核共有論、等」を語る以前の重要な案件を忘れていませんか。これは、近年日本国にとっての最大且つ最重要な難題に直面しているに違いありません。それは、「日米安全保障条約が維持できなくなった場合、又は、問答無用で中国、ロシア、等が侵略して来た場合、日本国民はどうするかの国民のコンセンサスを確認して置かなければ、現在の様な与野党内の不誠実な政治家に国民の命を預けられますか。という事なのです。これは、先ず18歳以上の成人した国民の意思を直接的な方法で確認する事が最重要課題であると思うのは筆者だけでしょうか。

筆者は、日本国は自らによって守る事が「原理原則」であると思います。米国は、伝統的にあった徴兵制度が無くなりました。その大きな要因の一つは、国民の強い思いと願いなのです。それに伴い、政府は、近代的兵器の増強と改善を日夜研究、開発している所に繋がっているのです。現在は、志願兵とプロ軍人によって賄われています。米国は、国費により賄われている大学が3校あります。それらは、アメリカ合衆国陸軍士官学校(United States Military Academy、USMA)です。場所は、ニューヨーク州ウェストポイントに所在するアメリカ陸軍の士官学校(士官候補生養成校)です。アメリカ合衆国海軍兵学校(United State Naval Academy, メリーランド州アナポリス市)、そしてアメリカ合衆国空軍士官学校(United State Air Force Academy,コロラド州コロラドスプリング市)なのです。しかし、一旦戦争が起きた場合現体制で賄えないと判断した場合は、徴兵制度の復活を残していると理解しています。米国国民は、子供達、子孫を日本の防衛の為に極東アジアに送る事は決して望んでいない事を我々日本国民は理解することが大事です

日本国民は、日米安保条約が破棄された場合、他国により国土が侵略、侵攻された場合、何れも日本国民は最悪の事態を想定した準備が今必要に迫られています安部晋三氏の発言は、この事を米国から突きつけられていると何故国会議員達及び国民は真剣に理解しようとしないのか。

何故、彼ら(政治家、マスメデイア)は、真剣に最悪の事態のボトムラインに付いての議論を正面からしようとしないで避けるのか、これが危機管理の最大の問題点である事を提案させて頂きます。我々は、この日本国の象徴とプライドである富士山に赤い旗がたなびく事だけは絶対に遭ってはならず、次世代に難儀が及ばない為にも今「Justice正義とFairness公正」を貫き堅持する事が寛容だと思います。

私は、我が国、国民の生命と財産を守るための私案を持っています。しかし、私の立ち位置でそれを公開する事は、大変僭越且つ憚りますのでご遠慮させて頂きます。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行 文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews

お知らせ:

本Kファイルは、安倍晋三元首相の発言を基に筆者の素朴な疑問と私見を取り混ぜて述べさせて頂きました。読者の皆様は、如何でしたでしょうか。何か参考に成るところがありましたか。聞きたくない、思考したくないと思われた読者諸氏もおいでた事でしょう。しかし、本件は、避けては通れない問題であり、国民にとって重大な問題です。オリンピックお宅のような国会議員方には、我々国民の命を委ねるわけには参らないでしょう。今一度熟考されます事を祈念致します。

時事の話題から~ KファイルNews


時事の話題から~ KファイルNews

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Comment by Hiromichi Kawada

お知らせセアー:

NCAAバスケ・ベスト68のトーナメント March Madness 開始

Jules Bernard選手:UCLA#1.代表選手と期末試験

先だってご紹介致しましたJules Bernard選手は、現在NCAA決勝トーナメントの為テイームは、中立州のオレゴン州ポートランド市にあるNBAポートランド・トレイルブレイザーズ球団の本拠地アリーナに行っています。

UCLAは、PAC12カンファレンスの代表で米国時間17日午前に1回戦でアークロン大学と対戦、前半25対26でリードされ後半戦へ、後半残り4分迄大きくリードされる中、リーダーのBernard選手#1のリーダーシップによりテイームは、眠気から覚めて57対53で逆転勝ちをし首の皮1枚で2回戦(現地19日、日曜日)へ進出。NCAA決勝トーナメントは、決勝戦まで勝ち抜きなので5戦戦わなければなりません。UCLAは、昨シーズンは、準決勝で敗退4位でした。今年は、優勝候補の一角と目視されていた大学が1回戦で敗退するというアプセットが既に起きています。怖いトーナメント形式です。負ければ今シーズンは、終了でロスに帰らなければなりません。

本日のお知らせセアーの目的は、NCAAのルール、大学のルールの厳しさをお伝えします。Jules Bernard選手は、UCLAの経済学部に所属する4年生です。

3月17日の大事な試合日が彼の経済学部の期末試験日(Final Exam.)だったのです。これは絶対に避けて通れません。UCLAは、17日の接戦のゲーム終了後、Bernard選手は、へとへとの後18日の午前0時より午前7時の7時間の間に宿泊先のホテルで大学が準備していた期末試験を全て終えたようです。その後、仮眠をしてテイームは、明日の2回戦の準備の為に試合会場に練習に向かったようです。他のテイームメイトは、他学部所属なので既に期末試験を終えた選手、これからの選手と大変な試合と大変な期末試験の両立で苦労している様子が目に浮かびます。小職が米国大学のスポーツ・アドミニストレイター兼教員時も同じことを遠征先、ホームで気合を入れて勉強させていたことを思い出します。

学業成績のNCAA基準、大学規準、出席日数、等々がルール以下の場合は、試合への出場は不可、次の学期のシーズンは練習も試合も出場、参加が停止処分となります。

日本の大学選手、教職員、管理者は、何でもありの天国ですね。此れも文科省スポーツ庁)、大学教育機関、競技団体の大学競技スポーツに対する「大義、趣旨、目的」の理解と思考の違い、実行力の違いです。4年間授業も出ず、期末試験も受けず、卒業させる大学も学部も、本人も何を考えているのでしょうか。ご参考までに。

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

Kファイル、KファイルNews

KファイルNO.175:突然姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

KファイルNO.175:突然姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

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河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

河田さま

先日配信のIOCに関する考察(No.174)を興味深く拝読しました。裏を知り尽くした河田さんらしい読みの深さを久しぶりに堪能しました。スポーツって、何も知らない人から見たら、血の滲むような努力の積み重ねと試合で流す爽やかな汗や涙のイメージなのでしょうが、その裏のドロドロした人間関係や利害関係者の暗躍などには、なかなか考えも及ばないでしょうね。私が担当していたあの頃の企業スポーツの世界ですら、有力選手獲得のための保護者や有力校との関係、用具提供メーカーとの関係、移籍を巡るチーム間の駆け引きや協会との関係などなど、実態を知れば知るほど、素直に試合を応援できる精神状態には、なれなかったですから・・

こんな私でも、墓場まで持って行くような出来事の一つや二つはあります。しかし、今回の女子フィギュアのドーピング問題は、一般人からしたら、本当に不思議な事ばかりです。検体分析通知の遅れ、B検体の扱い、ルール上の出場資格年齢を充足しているにも拘らず、保護対象者だとして、ドーピング問題の事実上の免責を認めた裁定(なら、出場資格年齢は、保護を必要としない年齢まで引き上げないと不公平では?)、一体IOCの役割ってなに? 等々、とても摩訶不思議なモヤモヤした大会でした。

そんな中、河田さんの状況分析を拝見して、裏にシナリオライターが暗躍して、出来レースに仕立てていた、という説は、そうあって欲しくないなぁという願望の一方で、確かにいろいろと符合する点があって、十分あり得るなぁと、妙に腹落ちするものでした。何だかサスペンスドラマができそうです。

この問題は、このまま闇に消えていくんでしょうか?商業オリンピックに舵を切った瞬間から、利害を持つ人が一気に群がったのでしょうが、善良なる人ばかりでなく、得てして「越後屋」が多かったということですか。人間って、欲深い動物ですねぇ・・・ kファイル愛読者

筆者からのお知らせ

 先だっては、KファイルNO.173に於きまして「私大改革の諸悪の根源は何処か」と題して、現在我が国に於いて省庁、私立大学、関係機関による「ガバナンス」の不正操作、違反行為、等と致命的欠陥を日本大学経営陣の逮捕劇に端を発し、漸く文科省が重い腰を上げました。その手始めに「学校法人ガバナンス改革会議」なる諮問委員会を立ち上げ、専門有識者なる方々を招集されて最終報告書(提言書)を文科大臣宛に提出告知しました。その後、私大側の反発により別の会議が続く異例の事態に成っている次第です。私大側は、日本私立大連盟会長(田中愛治氏、早大総長)を先頭に文科大臣名で告知した学校法人ガバナンス改革の提言書に対する不満を代表者として、強い意見を2022年1月15日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄に大きく取り上げられました事をKファイルでは、既にご紹介させて頂きました。

2019年11月に早稲田大学教授兼法人理事が起こした暴力事件に付きましては、既にKファイルNO.146で述べさせて頂きました。その後、今日迄本掲載記事に対する読者のアクセスが今尚鳴りやまない様子をアクセス数値で確認致しています。そこで本KファイルNO.175では、関係省庁及び私大法人が声高に「ガバナンスの重要性」を叫ばれて来ましたが、お題目をただ唱えていたに過ぎなかったようです。そこで事件後、業界から突然消え去った友添秀則氏の起こされた暴力と同氏の教育者としての野心を詳らかに生きた教材として、その実態の各論を再度ご紹介させて頂き、限りなく増殖するガバナンス違反行為と「事なかれ主義」の省庁、大学・法人の責任者達の実態を分かりやすくご紹介致しながら現状を理解、認識をして頂ければ幸いです。

 

目次

都の西北早稲田の森に起きた事件より

友添秀則氏に依存した早大、省庁、JOC、体育・スポーツ学会とマスメデイア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

      ■はじめに

      ■近年の大学教員、経営者の傾向

■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

      ■事件の発端とその経緯

      ■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

      ■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

      ■友添秀則氏の特徴

      ■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 疑問
  • 私見

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2022年3月10日 木曜日     公開

KファイルNO.175: 姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止            

都の西北早稲田の森に起きた事件より

1.友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

☂変わりゆく大学経営者と教員の実態

はじめに

人は、神仏のように完成された人間ではありません事を先ず申し述べさせて頂きます。

友添秀則氏は、優秀なスポーツ倫理学者であり多岐にわたる才能を有した方であった人物と推測致します。しかし、その友添氏は、所属する自らの大学で起こし事件をマスメディアにリークされた事で、彼のこれ迄の足跡を全て自らの手で消去する事に成るなど本人は全く予期しなかったと思います。

それも事もあろうか、彼は、暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事件は、読者の皆様は既にご存じの事と思います。しかし、あれだけ友添氏に熱狂していたファン達は、今や誰一人として彼の事を話題にももしないまさに「事なかれ主義」の人達であった証でしょうか。

本件は、突然起きた問題では無い筈です。しかし、大学教学の管理者、法人経営者は、日ごろの同氏の学内外での言動、行動、等をご存じない筈がなく何故諭されなかったのでしょうか。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いが込み上げて参ります。スポーツ倫理学がご専門の友添氏は、超えてはならない一線を内外で越えてしまったという事のようです。

今後は、長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることなく、大学、学部研究室、専攻学生達は本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願います。特に倫理学を専攻、指導される方々には、自身を律する意味から貴重な生きた友添氏を反面教師として頂きたく願う次第です

■近年の大学教員、経営者の傾向

私立大学経営者及び学部教授会は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導にあたる事が専業であります。しかし、近年では、競技スポーツ選手同様に大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に大学、大学法人により許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。これも大学教学の統括責任者及び、経営責任者の資質によるところが大であるのも事実です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位とステイタスを向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント教員が番組の品位を下げている事も確かです。大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しては何か教育機関としてのガバナンスが狂ってしまった証の一つかも知れません。残念ながら中小規模の大学では、准教授、教授名のたたき売り状態と申し上げた方が実態を理解しやすいかも知れません。

■大学教授のステイタス格差を助長

筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。如何して日本の私立大学では、大学教授職の資格基準が明文化されていないのか、公表されないのでしょうか。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです。

小職は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を既に招いている所を目の当たりに確認致しましたこれでは、TV出演、外部組織・団体の役職が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能です。このような大学管理者、経営者は、学生達を授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子から、学外で名声を得て多忙を極める教授の学内での本来の業務負担が、この助教達に背負わされていた経緯が透けて見えてくるのです。その見返りとしての配慮も気配りも無く、教授自ら助教達に暴力までものお土産でこの度の内部告発に至ったのかも知れません。これは、早稲田大学だけの問題ではありません。しかし、早稲田大学がこの体たらくでは、他の私大は如何でしょうか。これらは、経営者の理事長、大学管理者の総長・学長の資質が問題であるという事です。

■時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです。

本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな動機付けとなったのであろう様子が伺えます

我が国独特な「名刺、肩書社会」に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。

Kファイルでは、このような「時事の出来事」を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです。筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。唯SNSを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たない」とやり取り及び意見させて頂いたことがありました。彼からは、「よく考えます」と本質的な重要性に付いては興味ない様子の返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯(本件をご存じでない読者の皆様へ)

 先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したとされた事です。

本件は、2020年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、取材に対する情熱と正義感に心より敬意を表します。そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

この度の「友添事件」とその周辺の出来事は、近年の日本社会の病的な出来事を象徴する話題の一つであります。特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営、教学管理者による暴力行為、犯罪行為は、その病根を象徴する事件と感じたのは筆者だけでしょうか。

このつい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣「自民党国会議員、細田派(旧森喜朗派)、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身」の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターで権威主義」なのかもしれません

此れだけ同教授が、学内外で肩書を持っていた事を鑑みれば、早稲田大学に於ける本分のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません。

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した身内委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

❶友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 その後辞任

2012年~2016年早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年学校法人早稲田大学 理事

9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分なし

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定) その後辞任

日本スポーツ教育学会(会長)    その後辞任

日本体育科教育学会(会長)     その後辞任

日本体育・スポーツ哲学会      その後退任

(財)日本学校体育研究連合会常務理事 その後辞任

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々 その後静かに辞任

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

公益財団法人:日本スポーツ協会 理事 その後辞任

公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  その後辞任

 その他

■友添秀則氏の特徴

友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします

これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます

■学外での活動例

同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします。よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて殆どご専門以外の範囲に及んでいたようです。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導、提案、提言まで述べられていたことです

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が柔連の理事である事も影響しているかも知れません。同氏と柔道との関係は、筑波大学生時代に柔道部であったという事だけの様です。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。多分皆様の身の回りに於いても同様な人物を見かける筈です。

3.筆者の素朴な疑問と私見

本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通り暴力(友添氏の場合はパワハラ行為)とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです

そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの複数助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第です

この間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。

キーポイント

加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについてです。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのかについてです三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を悪質なパワーハラスメントとして認定したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します。

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。

疑問

友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に基づいたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。

スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

筆者私見

大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応でした。

また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身には甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます。筆者には、務まりそうな学問ではありません。

友添秀則氏に依存した早大文科省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか

筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません

もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職に付いて居ましたが、各要職の組織、団体、委員会は、その後本人が辞任したのか解任したかの告知は、就任時のマスメデイアの広報・告知とは異なるようです。マスメデイアの友人、知人達は、大変逃げ足の速い人達ばかりであったようです。

現在2023年7月時点:友添氏は、文科省庁の独立機関に在籍されているとの噂が筆者の耳にも届いて来ています。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

          kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

私大ガバナンスの改善於必要性から、此の度は、友添秀則氏の事件の各論とその周辺の利権者達の様子を例にご紹介致しました。読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。

KファイルNO.175:突然姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

KファイルNO.175:突然姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

 

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河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

河田さま

先日配信のIOCに関する考察(No.174)を興味深く拝読しました。

裏を知り尽くした河田さんらしい読みの深さを久しぶりに堪能しました。

スポーツって、何も知らない人から見たら、血の滲むような努力の積み重ねと

試合で流す爽やかな汗や涙のイメージなのでしょうが、その裏のドロドロした

人間関係や利害関係者の暗躍などには、なかなか考えも及ばないでしょうね。

私が担当していたあの頃の企業スポーツの世界ですら、有力選手獲得のための

保護者や有力校との関係、用具提供メーカーとの関係、移籍を巡るチーム間の

駆け引きや協会との関係などなど、実態を知れば知るほど、素直に試合を応援できる精神状態には、なれなかったですから・・

こんな私でも、墓場まで持って行くような出来事の一つや二つはあります。

 

しかし、今回の女子フィギュアのドーピング問題は、一般人からしたら、本当に

不思議な事ばかりです。検体分析通知の遅れ、B検体の扱い、ルール上の出場資格年齢を充足しているにも拘らず、保護対象者だとして、ドーピング問題の事実上の免責を認めた裁定(なら、出場資格年齢は、保護を必要としない年齢まで引き上げないと不公平では?)、一体IOCの役割ってなに? 等々、とても摩訶不思議なモヤモヤした大会でした。

そんな中、河田さんの状況分析を拝見して、裏にシナリオライターが暗躍して、出来レースに仕立てていた、という説は、そうあって欲しくないなぁという願望の一方で、確かにいろいろと符合する点があって、十分あり得るなぁと、妙に腹落ちするものでした。何だかサスペンスドラマができそうです。

この問題は、このまま闇に消えていくんでしょうか?商業オリンピックに舵を切った瞬間から、利害を持つ人が一気に群がったのでしょうが、善良なる人ばかりでなく、得てして「越後屋」が多かったということですか。

人間って、欲深い動物ですねぇ・・・ kファイル愛読者

筆者からのお知らせ

 先だっては、KファイルNO.173に於きまして「私大改革の諸悪の根源は何処か」と題して、現在我が国に於いて省庁、私立大学、関係機関による「ガバナンス」の不正操作、違反行為、等と致命的欠陥を日本大学経営陣の逮捕劇に端を発し、漸く文科省が重い腰を上げました。その手始めに「学校法人ガバナンス改革会議」なる諮問委員会を立ち上げ、専門有識者なる方々を招集されて最終報告書(提言書)を文科大臣宛に提出告知しました。その後、私大側の反発により別の会議が続く異例の事態に成っている次第です。私大側は、日本私立大連盟会長(田中愛治氏、早大総長)を先頭に文科大臣名で告知した学校法人ガバナンス改革の提言書に対する不満を代表者として、強い意見を2022年1月15日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄に大きく取り上げられました事をKファイルでは、既にご紹介させて頂きました。

2019年11月に早稲田大学教授兼法人理事が起こした暴力事件に付きましては、既にKファイルNO.146で述べさせて頂きました。その後、今日迄本掲載記事に対する読者のアクセスが今尚鳴りやまない様子をアクセス数値で確認致しています。そこで本KファイルNO.175では、関係省庁及び私大法人が声高に「ガバナンスの重要性」を叫ばれて来ましたが、お題目をただ唱えていたに過ぎなかったようです。そこで事件後、業界から突然消え去った友添秀則氏の起こされた暴力と同氏の教育者としての野心を詳らかに生きた教材として、その実態の各論を再度ご紹介させて頂き、限りなく増殖するガバナンス違反行為と「事なかれ主義」の省庁、大学・法人の責任者達の実態を分かりやすくご紹介致しながら現状を理解、認識をして頂ければ幸いです。

 

目次

都の西北早稲田の森に起きた事件より

友添秀則氏に依存した早大、省庁、JOC、体育・スポーツ学会とマスメデイア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

■はじめに

■近年の大学教員、経営者の傾向

■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

■友添秀則氏の特徴

■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 疑問
  • 私見

 

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2022年3月10日 木曜日     公開

KファイルNO.175: 姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止            

都の西北早稲田の森に起きた事件より

1.友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

☂変わりゆく大学経営者と教員の実態

はじめに

人は、神仏のように完成された人間ではありません事を先ず申し述べさせて頂きます。

友添秀則氏は、優秀なスポーツ倫理学者であり多岐にわたる才能を有した方であった人物と推測致します。しかし、その友添氏は、所属する自らの大学で起こし事件をマスメディアにリークされた事で、彼のこれ迄の足跡を全て自らの手で消去する事に成るなど本人は全く予期しなかったと思います。

それも事もあろうか、彼は、暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事件は、読者の皆様は既にご存じの事と思います。しかし、あれだけ友添氏に熱狂していたファン達は、今や誰一人として彼の事を話題にももしないまさに「事なかれ主義」の人達であった証でしょうか。

本件は、突然起きた問題では無い筈です。しかし、大学教学の管理者、法人経営者は、日ごろの同氏の学内外での言動、行動、等をご存じない筈がなく何故諭されなかったのでしょうか。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いが込み上げて参ります。スポーツ倫理学がご専門の友添氏は、超えてはならない一線を内外で越えてしまったという事のようです。

今後は、長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることなく、大学、学部研究室、専攻学生達は本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願います。特に倫理学を専攻、指導される方々には、自身を律する意味から貴重な生きた友添氏を反面教師として頂きたく願う次第です

■近年の大学教員、経営者の傾向

私立大学経営者及び学部教授会は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導にあたる事が専業であります。

しかし、近年では、競技スポーツ選手同様に大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に大学、大学法人により許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。これも大学教学の統括責任者及び、経営責任者の資質によるところが大であるのも事実です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位とステイタスを向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント教員が番組の品位を下げている事も確かです。大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しては何か教育機関としてのガバナンスが狂ってしまった証の一つかも知れません。残念ながら中小規模の大学では、准教授、教授名のたたき売り状態と申し上げた方が実態を理解しやすいかも知れません。

■大学教授のステイタス格差を助長

筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。如何して日本の私立大学では、大学教授職の資格基準が明文化されていないのか、公表されないのでしょうか。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです。

小職は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を既に招いている所を目の当たりに確認致しましたこれでは、TV出演、外部組織・団体の役職が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能です。このような大学管理者、経営者は、学生達を授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子から、学外で名声を得て多忙を極める教授の学内での本来の業務負担が、この助教達に背負わされていた経緯が透けて見えてくるのです。その見返りとしての配慮も気配りも無く、教授自ら助教達に暴力までものお土産でこの度の内部告発に至ったのかも知れません。

■時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです。

本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな動機付けとなったのであろう様子が伺えます

我が国独特な「名刺、肩書社会」に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です

此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。

Kファイルでは、このような「時事の出来事」を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです。筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。唯SNSを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たない」とやり取り及び意見させて頂いたことがありました。彼からは、「よく考えます」と本質的な重要性に付いては興味ない様子の返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯(本件をご存じでない読者の皆様へ)

先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したとされた事です。

本件は、2020年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、取材に対する情熱と正義感に心より敬意を表します。

そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

この度の「友添事件」とその周辺の出来事は、近年の日本社会の病的な出来事を象徴する話題の一つであります。特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営、教学管理者による暴力行為、犯罪行為は、その病根を象徴する事件と感じたのは筆者だけでしょうか。

このつい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣「自民党国会議員、細田派(旧森喜朗派)、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身」の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターで権威主義者」なのかもしれません

此れだけ同教授が、学内外で肩書を持っていた事を鑑みれば、早稲田大学に於ける本分のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません。

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した身内委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

❶友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 その後辞任

2012年~2016年早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年学校法人早稲田大学 理事

9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分なし

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定) その後辞任

日本スポーツ教育学会(会長)    その後辞任

日本体育科教育学会(会長)     その後辞任

日本体育・スポーツ哲学会      その後退任

(財)日本学校体育研究連合会常務理事 その後辞任

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々 その後静かに辞任

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

公益財団法人:日本スポーツ協会 理事 その後辞任

公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  その後辞任

 その他

■友添秀則氏の特徴

友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします

これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます

■学外での活動例

同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします。よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて殆どご専門以外の範囲に及んでいたようです。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導、提案、提言まで述べられていたことです。

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が理事である事も影響しているかも知れません。同氏と柔道との関係は、筑波大学生時代に柔道部であったという事だけの様です。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。多分皆様の身の回りに於いても同様な人物を見かける筈です。

3.筆者の素朴な疑問と私見

本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通り暴力(友添氏の場合はパワハラ行為)とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです

そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの複数助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第です

この間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。

キーポイント

加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについて、です。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのか、についてです

三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を「悪質なパワーハラスメントとして認定」したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します。

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。

疑問

友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に基づいたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。

スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

私見

大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応でした。

また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身には甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます。

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか

筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません

もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職に付いて居ましたが、各要職の組織、団体、委員会は、その後本人が辞任したのか解任したかの告知は、就任時のマスメデイアの広報・告知とは異なるようです。マスメデイアの友人、知人達は、大変逃げ足の速い人達ばかりであったようです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

          kファイル、KファイルNews

お知らせ:

私大ガバナンスの改善於必要性から、此の度は、友添秀則氏の事件の各論とその周辺の利権者達の様子を例にご紹介致しました。読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。

KファイルNO.175:突然姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

 

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河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

河田さま

先日配信のIOCに関する考察(No.174)を興味深く拝読しました。

裏を知り尽くした河田さんらしい読みの深さを久しぶりに堪能しました。

スポーツって、何も知らない人から見たら、血の滲むような努力の積み重ねと

試合で流す爽やかな汗や涙のイメージなのでしょうが、その裏のドロドロした

人間関係や利害関係者の暗躍などには、なかなか考えも及ばないでしょうね。

私が担当していたあの頃の企業スポーツの世界ですら、有力選手獲得のための

保護者や有力校との関係、用具提供メーカーとの関係、移籍を巡るチーム間の

駆け引きや協会との関係などなど、実態を知れば知るほど、素直に試合を応援できる精神状態には、なれなかったですから・・

こんな私でも、墓場まで持って行くような出来事の一つや二つはあります。

 

しかし、今回の女子フィギュアのドーピング問題は、一般人からしたら、本当に

不思議な事ばかりです。検体分析通知の遅れ、B検体の扱い、ルール上の出場資格年齢を充足しているにも拘らず、保護対象者だとして、ドーピング問題の事実上の免責を認めた裁定(なら、出場資格年齢は、保護を必要としない年齢まで引き上げないと不公平では?)、一体IOCの役割ってなに? 等々、とても摩訶不思議なモヤモヤした大会でした。

そんな中、河田さんの状況分析を拝見して、裏にシナリオライターが暗躍して、出来レースに仕立てていた、という説は、そうあって欲しくないなぁという願望の一方で、確かにいろいろと符合する点があって、十分あり得るなぁと、妙に腹落ちするものでした。何だかサスペンスドラマができそうです。

この問題は、このまま闇に消えていくんでしょうか?商業オリンピックに舵を切った瞬間から、利害を持つ人が一気に群がったのでしょうが、善良なる人ばかりでなく、得てして「越後屋」が多かったということですか。

人間って、欲深い動物ですねぇ・・・ kファイル愛読者

筆者からのお知らせ

 先だっては、KファイルNO.173に於きまして「私大改革の諸悪の根源は何処か」と題して、現在我が国に於いて省庁、私立大学、関係機関による「ガバナンス」の不正操作、違反行為、等と致命的欠陥を日本大学経営陣の逮捕劇に端を発し、漸く文科省が重い腰を上げました。その手始めに「学校法人ガバナンス改革会議」なる諮問委員会を立ち上げ、専門有識者なる方々を招集されて最終報告書(提言書)を文科大臣宛に提出告知しました。その後、私大側の反発により別の会議が続く異例の事態に成っている次第です。私大側は、日本私立大連盟会長(田中愛治氏、早大総長)を先頭に文科大臣名で告知した学校法人ガバナンス改革の提言書に対する不満を代表者として、強い意見を2022年1月15日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄に大きく取り上げられました事をKファイルでは、既にご紹介させて頂きました。

2019年11月に早稲田大学教授兼法人理事が起こした暴力事件に付きましては、既にKファイルNO.146で述べさせて頂きました。その後、今日迄本掲載記事に対する読者のアクセスが今尚鳴りやまない様子をアクセス数値で確認致しています。そこで本KファイルNO.175では、関係省庁及び私大法人が声高に「ガバナンスの重要性」を叫ばれて来ましたが、お題目をただ唱えていたに過ぎなかったようです。そこで事件後、業界から突然消え去った友添秀則氏の起こされた暴力と同氏の教育者としての野心を詳らかに生きた教材として、その実態の各論を再度ご紹介させて頂き、限りなく増殖するガバナンス違反行為と「事なかれ主義」の省庁、大学・法人の責任者達の実態を分かりやすくご紹介致しながら現状を理解、認識をして頂ければ幸いです。

 

目次

都の西北早稲田の森に起きた事件より

友添秀則氏に依存した早大、省庁、JOC、体育・スポーツ学会とマスメデイア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

■はじめに

■近年の大学教員、経営者の傾向

■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

■友添秀則氏の特徴

■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 疑問
  • 私見

 

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2022年3月10日 木曜日     公開

KファイルNO.175: 姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止            

都の西北早稲田の森に起きた事件より

1.友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

☂変わりゆく大学経営者と教員の実態

はじめに

人は、神仏のように完成された人間ではありません事を先ず申し述べさせて頂きます。

友添秀則氏は、優秀なスポーツ倫理学者であり多岐にわたる才能を有した方であった人物と推測致します。しかし、その友添氏は、所属する自らの大学で起こし事件をマスメディアにリークされた事で、彼のこれ迄の足跡を全て自らの手で消去する事に成るなど本人は全く予期しなかったと思います。

それも事もあろうか、彼は、暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事件は、読者の皆様は既にご存じの事と思います。しかし、あれだけ友添氏に熱狂していたファン達は、今や誰一人として彼の事を話題にももしないまさに「事なかれ主義」の人達であった証でしょうか。

本件は、突然起きた問題では無い筈です。しかし、大学教学の管理者、法人経営者は、日ごろの同氏の学内外での言動、行動、等をご存じない筈がなく何故諭されなかったのでしょうか。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いが込み上げて参ります。スポーツ倫理学がご専門の友添氏は、超えてはならない一線を内外で越えてしまったという事のようです。

今後は、長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることなく、大学、学部研究室、専攻学生達は本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願います。特に倫理学を専攻、指導される方々には、自身を律する意味から貴重な生きた友添氏を反面教師として頂きたく願う次第です

■近年の大学教員、経営者の傾向

私立大学経営者及び学部教授会は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導にあたる事が専業であります。

しかし、近年では、競技スポーツ選手同様に大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に大学、大学法人により許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。これも大学教学の統括責任者及び、経営責任者の資質によるところが大であるのも事実です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位とステイタスを向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント教員が番組の品位を下げている事も確かです。大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しては何か教育機関としてのガバナンスが狂ってしまった証の一つかも知れません。残念ながら中小規模の大学では、准教授、教授名のたたき売り状態と申し上げた方が実態を理解しやすいかも知れません。

■大学教授のステイタス格差を助長

筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。如何して日本の私立大学では、大学教授職の資格基準が明文化されていないのか、公表されないのでしょうか。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです。

小職は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を既に招いている所を目の当たりに確認致しましたこれでは、TV出演、外部組織・団体の役職が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能です。このような大学管理者、経営者は、学生達を授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子から、学外で名声を得て多忙を極める教授の学内での本来の業務負担が、この助教達に背負わされていた経緯が透けて見えてくるのです。その見返りとしての配慮も気配りも無く、教授自ら助教達に暴力までものお土産でこの度の内部告発に至ったのかも知れません。

■時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです。

本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな動機付けとなったのであろう様子が伺えます

我が国独特な「名刺、肩書社会」に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です

此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。

Kファイルでは、このような「時事の出来事」を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです。筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。唯SNSを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たない」とやり取り及び意見させて頂いたことがありました。彼からは、「よく考えます」と本質的な重要性に付いては興味ない様子の返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯(本件をご存じでない読者の皆様へ)

先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したとされた事です。

本件は、2020年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、取材に対する情熱と正義感に心より敬意を表します。

そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

この度の「友添事件」とその周辺の出来事は、近年の日本社会の病的な出来事を象徴する話題の一つであります。特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営、教学管理者による暴力行為、犯罪行為は、その病根を象徴する事件と感じたのは筆者だけでしょうか。

このつい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣「自民党国会議員、細田派(旧森喜朗派)、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身」の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターで権威主義者」なのかもしれません

此れだけ同教授が、学内外で肩書を持っていた事を鑑みれば、早稲田大学に於ける本分のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません。

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した身内委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

❶友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 その後辞任

2012年~2016年早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年学校法人早稲田大学 理事

9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分なし

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定) その後辞任

日本スポーツ教育学会(会長)    その後辞任

日本体育科教育学会(会長)     その後辞任

日本体育・スポーツ哲学会      その後退任

(財)日本学校体育研究連合会常務理事 その後辞任

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々 その後静かに辞任

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

公益財団法人:日本スポーツ協会 理事 その後辞任

公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  その後辞任

 その他

■友添秀則氏の特徴

友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします

これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます

■学外での活動例

同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします。よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて殆どご専門以外の範囲に及んでいたようです。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導、提案、提言まで述べられていたことです。

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が理事である事も影響しているかも知れません。同氏と柔道との関係は、筑波大学生時代に柔道部であったという事だけの様です。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。多分皆様の身の回りに於いても同様な人物を見かける筈です。

3.筆者の素朴な疑問と私見

本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通り暴力(友添氏の場合はパワハラ行為)とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです

そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの複数助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第です

この間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。

キーポイント

加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについて、です。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのか、についてです

三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を「悪質なパワーハラスメントとして認定」したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します。

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。

疑問

友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に基づいたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。

スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

私見

大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応でした。

また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身には甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます。

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか

筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません

もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職に付いて居ましたが、各要職の組織、団体、委員会は、その後本人が辞任したのか解任したかの告知は、就任時のマスメデイアの広報・告知とは異なるようです。マスメデイアの友人、知人達は、大変逃げ足の速い人達ばかりであったようです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

          kファイル、KファイルNews

お知らせ:

私大ガバナンスの改善於必要性から、此の度は、友添秀則氏の事件の各論とその周辺の利権者達の様子を例にご紹介致しました。読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。