KファイルNO.174:ガバナンスを崩壊させたIOCの素顔

KファイルNO.174:ガバナンスを崩壊させたIOCの素顔

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

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スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

目次

Ⅰ. 忖度集団と化したIOC委員達と翼下機関と団体

   五輪の「Justice & Fairness」は有形無実と化した

     ■IOCの情報公開不備は隠蔽工作手段の一つか

     ■ガバナンスの問題は組織の長の資質次第か

    ★筆者の結論

Ⅱ.カミラ・ワリエワ選手と薬物

 責任の所在を明らかにしないIOC

  ■観賞用のアイスアリーナに入れられた妖精の終演

  ■カミラ・ワリエワ選手は北京五輪の悲劇のヒーローか

   事件の時系列

  ■筆者の素朴な疑問

 筆者の私見

 ★元スポーツ庁長官の見識に疑問

 ★利益相反を見過ごしていないか

 

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2022年2月24日 木曜日 公開

KファイルNO.174:ガバナンスを崩壊させたIOCの素顔

無断転載禁止              

Ⅰ. 忖度集団と化したIOC委員達と

  翼下機関と団体

五輪の「Justice & Fairness」は有形無実と化した

■2022年冬季北京五輪に思う

今月は、2022年冬季北京五輪の開催月間となりました。

冬季五輪を記念して話題の幾つかをスポーツ・アドミニストレイターとしての視点で述べさせて頂きます。一般読者の皆様の視点、TV/マスメデイアの報道、記事の論調並びにスポーツ・ジャーナリスト諸氏との見解とは多少内容を異にするかと思われます事を先ずご理解とご了承頂ければ幸いです。 

冬季北京五輪は、当初より人権問題、米中摩擦、台湾問題、ロシア・ウクライナ問題を抱えたままでの開催を余儀なくされました。これは、まさに現代の世界の政治情勢の竜巻(トルネード)の目の中で開催されている五輪であります。中国の国家体制は、中国共産党一党独裁社会主義国家であります。一方夏季東京五輪は、自由民主主義国家を掲げる自由民主党のここも政治家による政治家の為の五輪であったと言えるでしょうか。

本大会は、2021年夏季東京五輪開催翌年でもあり主催都市北京、中国政府は、東京同様にコロナ下の事態の中で如何にして国内外にアピールするか、政府の威信をかけて開催された決意は生半可な信念でない事をあらゆる場面、状況下に於いて見受けられました。

冬季北京五輪は、夏季東京五輪と比較して日本政府、組織委員会、等の中途半端な運営管理とは真逆で強靭な開催コンセプトを基軸に徹底された運営管理が遂行されている正に国家(中国共産党)一丸となった広報宣伝大会であるとTV・マスメデイアを通して感じた次第です。即ち、夏季東京五輪組織員会が大義もコンセプトも無かったのに対して、冬季北京五輪は、プロのイベントプロディユーサーがトータルマネージメントされていたのでTV放映、報道を通じても一貫したコンセプトが明確で、その場しのぎのころころと変わる思い付きテーマでなく、背骨がしっかりとした運営管理がなされ選手、関係者、マスメディアへの対応、管理に於いてもブレなく徹底されていました。

視聴者に対しては、日本の報道機関の細かいフォローと加工に寄り日本国民、社会が熱狂した事も事実です。東京五輪は、終了しても印象が薄く人々の心に感動が残らなかったのに対して、冬季北京大会は、良きも悪しきも視聴者の心に残る感動を与え、記憶に残る事は間違いありませんでした。Kファイルの読者の皆様は、如何でしたでしょうか。

IOCの情報公開不備は隠蔽工作手段の一つか

オリンピック大会は、ご承知の通りIOCが開催国とその都市を選定し、その国の国内オリンピック委員会NOCNational Olympic Committee)を通して大会組織委員会に運営を委託する仕組みとなっています。

そこには、IOCと組織員会との間で「運営委託に関する契約書」が存在します。契約の骨子の重要な要素には、「開催都市と政府に対して財政的な保証」を強いているのが特徴であります。これは、即ち「開催国、都市、組織員会に対して大会運営に関する財政的な責任をIOCは負いませんよ」、とする略一方的な契約内容を開催国側は結ばされている事を忘れてはならないのです

大会の競技運営、管理に付きましては、各国際スポーツ競技連盟(略:IF-International Sports Federation)が主体となって開催国の国内スポーツ競技団体(NGB=National Governing Body)を翼下に指導、運営、管理が行われている次第です。よって、この度のような各競技に於けるトラブル、問題、事故、事件等に付いては、代表選手側が所属する各国の競技団体が窓口となり、IFと直接的なコミュニケイションを図り問題解決に当たる事に成っています。その過程での経過報告は、IOCの担当者に随時報告がなされて、マスメデイアに告知され、それが各国の国民、社会に告知されて行くシステムとなっています。

此処で忘れてはならないのは、問題処理の結果の殆どがNGB、NOCとIF、IOCのパワーバランスに寄り上部団体の判断と決断に大きく影響を及ぼす事です

この様な情報の伝達方法が国際大会での基本原則となっているために視聴者に届くには、問題が難しくなればなるほど複数の組織団体を経由し、そこには人が介在するので時間の経過と工作を起こしやすいのです。また、そこには関係者達の感情、主観と欲(Greed)が含まれて来るのも人間社会の世の常であることを、我々は含んで理解、認識しなければならないのです。

この度の大会では、競技ルールの不備及びその判断と決断に関するIOCを主体とした各国際競技団体(IF)、各国競技団体(NGB)、選手、指導者への伝達とそのチェックが徹底されていなかった事が露呈した為にさらなる憶測と混乱を招いた次第です。大会のCOREであるべきアスリートに多大な迷惑を与えた事は、他でもなくIOCトーマス・バッハ会長のスポーツ・アドミニストレイターとして最大の失態でありますその失態の根拠は、「IOCの理念と趣旨、目的を逸脱、無視した政治的、独裁的な個人的利害、利権を最優先してしまった会長に起因」するところが大であったと申し上げて過言ではありません

丁度今日、日本国に於いては、文科省の最大の問題で懸案事項となった「私立大学のガバナンス改革会議」での最終報告書(提言書)が指摘する改善、改革の必要性に酷似です。(KファイルNO.173に紹介済み)

冬季北京五輪で起きた問題の本質は、IOCのガバナンスの欠落が根底にある事を露呈したと理解した方が分かりやすいと思います

 

■ガバナンスの問題は組織の長の資質次第か

国際オリンピック委員会(略:IOC)のリーダーが自らの利害、利権に傾き政治、政治家に同調する事により、本来のIOCの理念を蔑ろにし、スポーツ・アドミニストレイションが正常に機能しないため、その翼下の各国オリンピック委員会(NOC)、IF、NGBが正常にこれまた作動していない事が最後まで問題を肥大、拡散させ、選手と視聴者に多大な負担と迷惑をかけた事は、言い逃れが出来ない事実であります

この度の冬季北京五輪では、多岐にわたる競技種目で薬物、ユニフォームの不正、審判のアンフェアーな採点、等々とマスメデイアを通して世界中に報道拡散されました。

その中でも特に話題を集めた女子フィギュアスケート選手の薬物問題、女子ジャンプのスーツに関する違反行為で複数の選手達が失格となりましたがその先陣となった高梨沙羅選手の件、そして話題の男子フィギュア―選手の羽生結弦選手への素朴な疑問をスポーツ・アドミニストレイターとして述べさせて頂きたいのですが、何分スペースの関係で高梨沙羅選手、羽生結弦選手に関しては、読者の皆様のご希望が多いようでしたらタイミングを見て、マスメデイアとは異なる角度で述べさせて頂ければ幸いです。これら問題には、因果関係が存在するのは言うまでもなく、日ごろから審判員に狙われる選手達にもその要因がある事を見逃してきたのも事実です。それらをマスメデイアの報道を通して視聴者、ファン、国民、社会が美化して悲劇のヒーローに仕立て上げる世論に警鐘を発したいと思わざるを得ないです。真実は、もっと別の所の深層に隠れていますよ。

筆者の結論

現在のIOC主催の五輪競技大会、IF(国際スポーツ連盟)主催の世界選手権、ワールドカップがある限り、ドーピング(薬物)問題は地上から消滅する事は無いと思います

多くのファン、視聴者、関係者は、薬物の使用を望んではいませんが、現実的にそれは希望、期待でありIOCと各IF加盟団体及び双方の翼下にある各国NOC、NGB団体がルールを厳守する為の約束事を担保されたとしても、無くならないのが人間社会の弱点です。それは、人類が核廃絶を望み唱えても無くならないのと基本的には同様な人間の病的な「欲=Greed」と申し上げます。残念。

その最大の根拠は、「基本的に人は約束をしても、その約束を守れない動物です」それが人間なのです。その為に神様は、約束を破る人に「罰=ペナルティー」を科したのです。その罰の重量により表面には、影を潜めますが陰では何倍もの新種のウイルスを水面下で育成、増殖されているのです。

競技スポーツに於いては、各競技スポーツ個々のルールの下に各競技団体が公認した審判員により競技のフェアネスを維持し、勝敗を決めているのです。しかし、一旦競技場を離れると競技者は、競技のルールからは解かれるが、競技場外のルールを厳守、遵守しなければならない厳しい世界に身を置いているのです。これは、指導、運営管理者、関係者達も同様に厳守しなければなりません。

問題は、この競技者以外の関係者達にも課されたルールがあることです。実は、このルールは、非常にグレーで、IOCNOC、IF、NGBとこのルールを厳守、遵守するべき指導者、運営管理者達が自らに課されている職責、責務、ルール、倫理規範を犯すのが近年の競技スポーツの大きな特徴の一つであります

その代表がIOCの代表責任者であるT/バッハ氏その人なのです。しかし、IOCの委員の誰一人として同氏を諭し「JusticeとFairness」に戻る事への必要性を発言できない悲しい忖度委員達である事です。そのような委員達をあえて選考したのが、IOC会長と副会長たちなのです。これは、丁度現在日本の文科省IOCと致しますとIOCの委員達は私大の理事、評議委員達の関係という事です。

もしあなたがIOCの1委員であり「自ら忖度委員でない」と申し出るなら、委員は、バランティアですので役職に留まる必要は無い筈です。しかし、委員の席を改選時には、奪い合うのは何のためなのでしょうか此れでは、Justice(正義)を貫く事は不可能です。彼らもまた生身の人間です。利害、利得、利権と人間の欲という誘惑に駆られ、手を出しそれに染まると抜け出せなくなっているのです。筆者は、IOCの委員会(日本の代表委員を含む)の委員達は、バランティアと称する私的欲(Greed)集団と申し上げさせて頂きます

★元スポーツ庁長官の見識に疑問

このような環境と大人のエゴと欲により、15歳の女の子がもがき苦しんでいる最中に日本の元水泳メダリストであり、肩書だけは元スポーツ庁長官を6年間も務めた鈴木大地氏が2月16日のフジテレビ「めざまし8」に出演、カミラ・ワリエワ選手(ROC)に付いて、年齢を問わず「選手として自分の体内に入れるものは、全て自分の責任」とこれまた乱暴な元メダリスト自身の見解を述べた事に付いて、筆者は、この方は6年間もこのような資質でよく日本のスポーツ庁長官が務められたものだと呆れた次第です。この方を推薦、任命されたと言われている森喜朗氏に酷似であることを改めて認識を新たにした次第です。鈴木氏は、成人した大人の選手に対する見解ならまだしも15歳の子供には栄養剤のサプリメントと言い含められていても拒否できる年齢ではありません。同氏は、このような事すら配慮、気配りも出来ない元水泳メダリストさんでした。この方をフジテレビも生番組で出演させる常識を疑いました。読者の皆様は、どう思われますか。

読者の皆様は、既に身近では東京五輪で選手でない五輪関係者達が五輪利権の回収に手を染めたのを初めに、約8年間の間にどれ程刑事罰を受けるに等しい行為を行ってきたか、想像出来るはずです。本来ならそれらの事実を隠蔽する者達もまた、薬物使用した選手と同様に公表、罰を受けさせるべき対象者なのです

 

Ⅱ. カミラ・ワリエワ選手と薬物

責任の所在を明らかにしないIOC

■観賞用のアイスアリーナに入れられた妖精の終演

このような現実と環境から、この程の女子フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ選手(15歳、ロシア・オリンピック委員会代表、ROC)の薬物使用をめぐる混乱を引き起こした次第です。

その環境と理由は、競技のCOREはアスリートであり、アスリートを直接的に支えるスタッフはコーチであり医療スタッフ、医療機関です。そして、間接的にサポートしているスポンサー企業、広告代理店、選手・コーチのエイゼント(マネージメント企業)、各国の所属組織・団体(NGB)、NOCIOC、各国政府機関、政治家達が近年は複雑に絡み合って成り立つスポーツ・ビジネスワールドを形成しているからです

15歳の選手は、コーチングスタッフのモルモットか。コーチングスタッフは、誰から糧を得ているのか。糧を出す後ろ盾は誰か。個人競技スポーツ選手の収入源は、限られているがトップ選手達及びそのコーチ達の報酬は聞いて驚くでしょう。

勿論日本人選手も世界水準以上な男女選手が居るのも事実です。例えば、日本の特定の女子ジャンプ選手の年間の所得は、スポンサー料金とJOC、スケート連盟の年間強化名目費合計すると約6憶円前後と業界ではよく知られています。選手は、これだけのスポンサーへの責任も背負ってるので失敗すれば「ごめんなさい」と口にでるのは謝っているのは皆さんに対してではないかも知れません

どうも視聴者、ファンの皆様は、選手の丁重なお辞儀、お詫びを額面通りに受け取られ賛美し、憐みの心理が働く事は悪い事ではないです。しかし、その真相を取り違えいてたらどうでしょうか。読者の皆様は、事の真相をどれ程ご存じでマスメディアのミスリードに共感されているのでしょう。この度の日本人選手達の中にも素直に受け取れない言動とそれに反する行動が見受けられたのも事実です

今日は、競技選手の現場に於いても非常に複雑になっているのです。女子器械体操と女子フィギュアースケートは、指導、環境は酷似である事が特徴です。特に欧米における女子の心体的な発育、成長は、競技に直結する非常にデリケイトなスポーツ医科学のミクロの分野の闘いを強いられ、大きなファクターでリスクを伴っていることを是非理解して戴きたいと思います。ただ、フィギュアスケート選手と比較するのその商品価値は、器械体操選手のビジネスにおける評価価値が余りにも格差があるのがお気の毒と申し上げます。

優柔不断に言語を操るマスメデイア関係者、スポーツ・ジャーナリスト、等々は、オリンピックがメダル、勝利至上主義だから何時まで経っても薬物問題、裏金、不正行為が起きると叫んでいるようです。このような方々は、「競技スポーツの定義=Definition」を理解できていない方々で、修羅と化した現場をご存じでないのでそのような無責任な言葉遊びができるのかも知れません。

それらの言葉は、核廃絶を希望、期待する人類とそれを信じて活動する人々に酷似の姿に思えて空しく感じてなりません。何故ならば核を生産、保有する国の権力者達は、廃絶運動に人生を捧げる人達の思いを非現実的な夢物語としか聞えないのです。これは、スポーツマンシップを唱えながら薬物に手を染め、我関せずの態度と倫理で一般社会に於いては裕福に生活しているのと酷似に思えるのは筆者だけでしょうか。

1974年にIOCは、競技参加者、関係者に競技スポーツをビジネスとして奨励され五輪憲章まで書き換えられているのです。参加者には、プロ選手もプロ指導者、関係者も公認されて既に50年の年月が経過しているのです。もう五輪は、「参加する事に意義あり」の歴史は、50年前に削除され生活の糧を得るための五輪となって既に50年が経過するのです。TV、マスメディアもこの恩恵に与っているのではないのでしょうか。

カミラ・ワリエワ選手北京五輪の悲劇のヒーローか

この程のカミラ・ワリエワ選手(ROCロシアオリンピック委員会代表)の薬物問題は、先ず氷山の一角であると申し上げます。

読者の皆様は、ワリエワ選手の大会結果と問題の経緯に付いては報道により既にご承知されている事を前提で、これから彼女の問題の本質と経過に付いて分かりやすく、スポーツ・アドミニストレイターとして解説出来ればと思います。

本来同選手の騒ぎは、突然起きたわけではありません。問題の発端は、ワリエワ選手が出場した昨年12月25日のロシア選手権での薬物検査の検体から禁止薬物の「トリメタジジン」が検出されたが、これは、WAD翼下のロシア反ドーピング機関(RUSADA)で同検体のA、Bの内(薬物検査では常に同じ物質を二つに分けて提出する事が義務付けられている。近年は女子選手に於いても尿採取には、女性検査員が直接的に採取時に不正防止のために確認する)のAに出た反応でした

その後ルールに基づき残りのB検体がスエーデンのストックホルムにある世界反ドーピング機構(略WADA、World Anti-Doping Agency)の検査所に持ち込まれたのが、12月29日でした。このB検体に関する結果が明らかにされないままこの度の冬季北京五輪に問題を持ち込んでしまったところにIOCの判断ミスと最大の手落ちがあったと筆者は思います

事件の時系列

その手落ち(隠蔽の可能性?)に付いて整理いたしますと、

同選手が出場した12月25日のロシア選手権後にB検体は、スエーデンのストックホルムにある世界反ドーピング機構(略WADA、World Anti-Doping Agency)の検査所に持ち込まれたのが、12月29日でした。そしてWADAでのB検体検査結果が明らかになった日時が明確に告知されず、検査結果がロシア反ドーピング機構(RUSADA)に報告されたのは、本年(2022年)の2月7日であった事が明らかになっているのです

2月7日は、冬季北京五輪の女子フィギュアスケート団体戦の当日であり、ROCが1位になった当日なのです

これを受けたRUSADAは、2月8日に暫定資格停止処分を科しワリエワ選手及びスタッフ(コーチ、トレーナー、医療関係者)に通告しています。勿論ワリエワ選手陣営は、この処分を不服として異議申し立てを即RUSADAに行った次第です。そこでRUSADAの規律委員会は翌2月9日に処分解除と発表何故RUSADAは、即処分解除としたのかその根拠は?

次にこの処分解除を不服として、IOC、WADA側は、スポーツ仲裁裁判所(略:ICAS、The International Court of Arbitration for Sport)に提訴したのでした

本件に付いてICASの結論は、2月14日に「ワリエワ選手が16歳未満の「保護対象者」であり、五輪出場を妨げれば「回復不可能な損害を与える」などの理由から訴えを退け、ワリエワ選手の五輪出場の継続を認めた事を公表したのでした。但し、同選手が3位以内に入った場合は、メダル授与式、表彰式は行わず、記録には注釈を付ける事を付け加えていますこの公表は、IOCがICASの報告を受けて公式発表をするのが筋でなかったか?

筆者の素朴な疑問  

本来であれば、12月25日にRUSADAのA検体で陽性と出た段階でロシア・アイススケート連盟は、ロシア・オリンピック委員会に報告し同選手の五輪出場は、B検体のWADAでの結果が出るまでホールドするのが常識です

しかし、此処で明らかにされて居ないのは、このケースの場合のIOCとWADA(傘下のロシア・ドーピング機構RUSADA)の間に明文化されたルールがあって然るべきですが、一切の情報公開がなされていない、マスメディアも記事にしないのは何故か。B検体処理は何故遅れたか疑問(人為的な可能性の有無)?既に述べた通り、ワリエワ選手の検査に必要な検体(血液か、尿かは不明)は、12月25日のロシア選手権後にストックホルムのWADAの検査所に発送、29日に検査所は検体を受け取っています。しかし、WADAは、12月29日から本年2月6日迄公表せず、検査結果は、2月7日にロシア反ドーピング機関(RUSADA)に報告しています。

筆者の大きな疑問の一つは、WADA(検査所)は冬季北京五輪の開催日、特に女子フィギュアスケート団体戦が行われる日時を百も承知でこれ程迄、検査結果を引き延ばす理由が何処にも見当たらない事ですそして、WADAの検査結果は、真実最短で何時出ていたのか。その情報公開がなされて居ないのです

もう1つの問題は、2月7日にWADAはRUSADAにワリエワ選手の検体から禁止薬物検出の報告がなされた後、RUSADAの対処、ワリエワ陣営の対抗処置、IOC、WADAの対応策としてCASへの提訴と非常に手回しよく、全て理解し準備していたかの如くの迅速な行動に疑念が残る次第です。それなら何故IOCは、WADAに迅速に検体の検査及び結果をRUSADAに報告する指導、指示を出さなかったのか、公に情報公開がなされなかったかですこれらは、「IOCの医事委員会の最重要責務と使命」な筈です。

筆者の私見

ワリエワ選手は、まさに鳥籠に入れられたカナリヤが買主のモルモットとして与えられるものを食し、与えられた衣装をまとい、ショウタイムになるとアイスリンクに解き放されて、観客、TV、マスメデイアが喜ぶショウを演じて、また鳥籠の中で飼育される。この様な環境を物心ついたころから与えられ大人達の「欲=Greed」の玩具にされた15年間を痛ましく、誰も救ってあげられなかった大人達の罪深さを今誰よりも15歳の妖精の父母は如何に思い悩んだかを思わずに居られません。

利益相反を見過ごしていないか

筆者は、本件の一連の問題に関してIOCは全ての情報を昨年12月25日のロシア選手権以前から把握していたと推測します通常IOCは、IOC内に「医事委員会」を持っています。1998年ソウル五輪でのベン・ジョンソン選手(100m、カナダ)の薬物違反行為は、IOC医事委員会の迅速な行動と勇断により競技翌日に追放を告知されました。当時IOCの医事委員は、競技の翌早朝午前2時前にソウルのIOC本部のあるホテルに集合がかかり、B/ジョンソン選手の薬物検体結果に付いての緊急会議が行われました。当時のIOC会長は、確かA/サマランチ氏であったと記憶します。

本件も多分12月25日にロシア・アンチドーピング機構(RUSADA)が検体Aの検査結果を発表した時点から検体AがWADA(世界アンチドーピング機構)に12月29日に到着する間、或いはその後IOC医事委員会は、本件に付いてのコンセンサスと対応の為の会議を開催されたと思います。

その結果は、IOCの幹部には報告されT/バッハ会長は、全ての同行をご存じだったと思うのが自然でしょう。それにも関わらず、WADAのA検体の検査結果は、2月7日の冬季北京の女子フィギュアスケート競技の団体戦の当日まで提出しないなど不自然極まりない行為がなされているのです。

このような危機管理が求められている中で、IOCの総責任者であるバッハ会長は、IOCの医事委員会の結論を速やかに公表せず、本件に付いての結論を何と「国際スポーツ仲裁裁判所(ICAS: The International Court of Arbitration for Sport)」に丸投げしたのでした。(IOC会長として職責、責務を果たしていない)

それによりICASは、待っていましたとばかりに2月14日に「ワリエワ選手が16歳未満の保護対象者」であり、五輪出場を妨げれば「回復不可能な損害を与える」などの理由から訴えを退け、ワリエワ選手の五輪出場の継続を認めた事を公表したのでした。「但し、同選手が3位以内に入った場合は、メダル授与式、表彰式は行わず、記録には注釈を付ける事を付け加えていますとICASは、結論付けて公表したのでした。

読者の皆様なら、このICASの2月14日の女子個人競技が始まる前の手際よい公表に何か違和感を、感じられたのでないでしょうか。それもそのはず、国際仲裁裁判所(ICAS)は、IOCの翼下にありこの最高責任は、東京五輪でも越後屋を演じていたIOCの副会長でT/バッハ会長の右腕のジョン・ダウリング・コーツ弁護士(東京五輪調整委員長、オーストラリア)その人でした

此れで本件は、出来レースと申し上げても彼らはどのような屁理屈で対応されるのでしょうか。この事は、TV,マスメディアは一切公表しない、論じない不思議な業界です。或いは、気が付いてないのかも知れません真実は、ファクトを辿ると辿り着くものです。スポーツ・アドミニストレイションは、あらゆる専門分野・部門のトータルマネージメントの総称であります事をご理解頂けましたでしょうか

これで「IOCのガバナンスの崩壊」とこの度は、表題にさせて頂いた筆者の私的根拠と申し上げさせて頂いた次第です。

 

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル。KファイルNews

お知らせ:KファイルNO.174は、スポーツ界の事件を分析する為のヒントを冬季北京五輪の出来事から述べさせて頂きました。競技選手の薬物違反は、永久に不滅かも知れません。

 

KファイルNO.173: 私大改革の諸悪の根源は何処か

KファイルNO.173: 私大改革の諸悪の根源は何処か

無断転載禁止             2月10日木曜日 公開

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スポーツ・アドミニストレイター

日本にスポーツ・アドミニストレイション論

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイター

の先駆者(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

読者からの便り

いつもながら抑えられた筆致に、悲しさと怒りが伝わってきます。伝統ある箱根駅伝で、それこそ伝統ある日本体育大学が最下位に甘んじた件は、僕を含めスポーツをよく知る人々には、不思議な出来事ととらえる人は多いことでしょう。

しかし、ご指摘通り、競技の世界に不思議は存在しません。スポーツの神は、学生達の果敢な挑戦にも関わらず、残酷な結果を投げ掛けてきました。大学関係者からは、学生達に対して何の労いの言葉もないのでしょうか?あるいは謝罪の言葉はあったのでしょうか?教育者ならそこは絶対にはずせない倫理の問題でもあります。

母校の後輩たちの苦しい闘いに、心から声援を送られるFacebookの投稿を拝読するにつけて、今回のKファイル更新のために夜遅くデスクに向かわれているお姿を想像すると、多少なりに競技スポーツに関わっていた身としましては、複雑な思いで読ませて頂きました。

今回の更新は、中央大学でスポーツ・アドミニストレーション論を開講されていた経験から、NO172は正月特別編よりさらに深く踏み込むKファイルならではの重量級のミサイルですね。箱根駅伝にからむ実に興味深い記事に心底感銘いたしました。全く知り得ない情報もございましたが、日本の大学の根幹を揺るがす問題の所在に驚くばかりです。

その分析とご指摘は、母校日本体育大学ばかりでなく、日本の大学教育の真価を問う貴重な提言となりました。大学関係者ばかりではなく、文科省、政府関係者への警鐘でもあります。文科省も怯えていることでしょう。ですがどの方面にも心あるかたはいらっしゃるものです。確実に着弾するものと思われます。もちろん、大学スポーツを愛する現場のコーチ、監督の皆様、今後大学にお子様を送り出す保護者様にも、広く読まれることを期待しております。 kファイル愛読者

 

目次

文科省の私大への権限と使命は何

1.文科省の私大へのチェック体制の有無?

先ず初めに

 ■文部科学省(略:文科省、旧:文部省)の怠慢

 ■朝日新聞の取材記事より

 ■本論評に参加されたオーソリティー(専門家、大家)をご紹介

 ■「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書に対する論評

 ■立ち位置を異にする専門家の論評

▶筆者の私見

まとめ

 ▶政府・文科省の大罪

 

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KファイルNO.173: 私大改革の諸悪の根源は何処か

無断転載禁止             2月10日木曜日 公開

文科省の私大への権限と使命は何

1.文科省の私大へのチェック体制の有無?

先ず初めに

 昨年9月より日本大学の長年の学校法人に於ける理事長、理事達の教育機関らしからぬ不祥事、事件による逮捕者が続出し、現在司法の手に寄り裁かれる段階に至って参りました。Kファイルでは、スポーツ・アドミニストレイターの視点から今日迄我が国の私立大学(公益学校法人)に於ける経営者、教育者、指導者、運営・管理者及び公的、私的関係機関、関係者、政治家達による在ってはならない事態を紹介、警鐘を鳴らし続けて参っています

此の度、このような私大における一大不祥事、事件で逮捕者を出しても、尚決して触れようとしない、させない門外不出の利害と利権の甘い蜜の壺の蓋を開示し、悪代官(通称:文教族)とその取り巻きの政治家、役人(越後屋)を一掃しない限り日本の私大及び教育界に明るい未来は訪れないと確信致す次第です。

文部科学省(略:文科省、旧:文部省)の怠慢

此の度は、日本社会を震撼させる社会問題と化した日本大学の経営者の逮捕という前代未聞の事件が公にされた次第です。これにより、我が国の教育に関する最高機関である文部科学省(通称:文科省)は、重い腰を上げざるを得なくなったと理解するべきでしょうか。文科大臣自らの名において学校法人日本大学に対して指導を数回に渡り行った行為は、今更と不思議に思うのは筆者だけでしょうか。

何故ならば、今日迄このような事件、事態は私学に於いて星の数ほど起きていますが、「文科省は全て各学校法人にお任せしています」と職務放棄をしていた次第です。これは、筆者がある件で文科副大臣と私学担当役人同席で文科省内にて対面致した経験があるからです。此の度は、何故文科大臣、文科省自ら指導を直接するに至ったか?それには、避けられない理由があったからなのではないでしょうか。

心ある読者の皆様は、既に今日迄の本件の経過から関係する政治家諸氏、文科省関係者、公的機関、等による「手打ち」が水面下で成されて落ちがある事をお気づきになられているのでないかと推測されているかも知れません。それらは、監督諸官庁の誰もが「本気で拳を振り上げない」ところに、本件の複雑な利害、利権が絡まっている事を暗示している証であると思われても仕方ありません。

文科省は、文科大臣の名の元に日本大学の不祥事を契機に「学校法人ガバナンス改革会議」なる諮問機関を立ち上げ、専門有識者なる方々を招集されて最終報告書を提出させた事を告知しました注:ガバナンス(governance)とは、統治・支配・管理の意味です。

朝日新聞の取材記事より

此の度Kファイルでは、本年度1月15日付の朝日新聞朝刊の「オピニオン&フォーラム欄」に上記件に関して、各専門分野・部門の3名のオーソリテイー(専門家、大家)に対して聞き手が取材された記事が掲載されていましたので、ご紹介させて頂きます

筆者は、近年スポーツ紙は殆ど目にする機会が無くなりました。一般紙も同様に、殆どななめ読みするケースが多くなりました。余ほど目を引く「キャッチコピー」でない限り目に留まりません。1月の一般紙では、昨年後半から社会問題になっている日大問題を契機に文科省が諮問機関を設置して「私大のガバナンス改革会議」の最終報告書に対する論評記事を掲載されていた、朝日朝刊(1月15日付)。この記事が1月の朝日新聞で初めて目に留まった記事でした。

■本論評に参加されたオーソリティー(専門家、大家)をご紹介

朝日新聞 2022年1月15日(土) 朝刊 オピニオン&フォーラム欄より

★「改革会議の報告書概要」変わるか 私立大学 

 現在は理事長の諮問機関である評議員会を、最高監督・決議機関に格上げするよう私立学校法の改正を求めた。理事らの解任や学校法人の解散といった重要事項を決める権限を理事会から評議員会に移すほか、評議員会は学外者だけで構成し、理事と評議員の兼任は認めない、といった方針も示した。相次ぐ私立大学の不祥事を受け文科省が設けた学校法人ガバナンス改革会議が、報告書をまとめた。だが、私大側の反発により、別の会議が続く異例の事態に。改革は進むのか。

取材対象者

塩崎 恭久(やすひさ)氏:1950年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。前衆院議員。自民党 岸田派から無所属派へ。93年衆院議員で初当選。内閣官房長官厚生労働相などを歴任2021年政界引退。本報告書への結論「内部統制の欠落にがくぜん」。 (聞き手 小村田義之)

両角 亜希子(あきこ)氏:慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学院教授。専門大学経営論。教育社会学者。本報告書への結論「情報公開 信頼回復の一歩」(聞き手 編集委員・増谷文生) 

田中 愛治(あいじ)氏:1951年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。早稲田大総長。2021年日本私立大連盟会長。2014年~16年世界政治学会会長を務めた。本報告書への結論「評議委員だけで改革困難」(聞き手 編集委員・増谷文生)

                 ―以上朝日新聞掲載記事より引用―

筆者の関連プロフィール

筆者(河田弘道)は、米国の公立、私立大学に於いて院生として、教員・指導者として、競技スポーツの実践運営・管理者(スポーツ・アドミニストレイター)としての経験と、日本の複数私大での教員としてのキャリアを基に本件の問題を現実に即した見解を述べさせて頂きたく思います。読者の皆様の中には、予備知識不足か他の何らかの要因で理解しがたい部分が多々垣間見れるかもしれませんが、根気よくご笑読頂き何かにお気づきになられましたら幸いです。

■「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書に対する論評

本論評記事は、朝日新聞記者諸氏が聞き手となり取材の趣旨・目的に沿ったソースを引き出されまとめられた内容を掲載されたと理解致します。但し、本論評に登場される3氏がどの様な理由で選抜されたかどうかは、筆者の知る所ではありません事を先ず申し添えます。(取材記事を引用させて頂きます事を先ずご報告、ご理解下さい)

「学校法人ガバナンス改革会議」の報告書は、2021年(令和3年)12月3日に文部科学省大臣宛に提出された全14ページ(A4)に渡る報告書であります

本報告書に関しては、また改めてご紹介並びに筆者の見解、私見を述べさせて頂く予定に致しております。この度のKファイルは、朝日新聞掲載の論評を基に筆者のスポーツ・アドミニストレイターとしての視点で素朴な疑問と私見を交えながら読者の皆様には現場の現実と実態を加味しながら述べさせて頂きます。

■立ち位置を異にする専門家の論評

塩崎 恭久氏の論評

 塩崎氏の結論は、文科省内部統制の欠落にがくぜんとしたとまとめられている個所です。同氏の視点は、私大は公益法人である事を上げ、税制上の優遇措置を受けている事。例えば、広大なキャンパス不動産への固定資産税の義務が無い事。これらの特別優遇処置を受けながら透明性が欠落している事。2019年に公益法人としてのガバナンス(統治)の機能を持たせることを閣議決定している事。

問題は、①私大の理事長が経営、人事に関する圧倒的な力を法律で持ち得る法律の枠組みになっている事です。②理事長へのチェック機能を欠いたガバナンス体制になっている事

2019年、塩崎氏が自民党行政改革推進本部長時に私大の不祥事に乗り出した。その時に文科省に説明をさせた所、全ての公益法人は、評議委員会が経営にあたる理事会の上に位置しているのに対し、③学校法人では評議員会が何と理事長の諮問機関と位置付けられて一番下に位置付けられて居た事を確認して「がくぜん」とした事

塩崎氏は「評議員委は学校関係者が卒業生ら多様なステイクホールダー(利害関係者)から、自らフェアーに選ぶ事。理事や教職員の兼務は利益相反の恐れがあるので除外する」という報告書の提言に賛成されています。また「大学の自治」を危ぶむ人も居るが全くの杞憂と述べ、むしろ健全な自治の為に、健全な自立的ガバナンスが必要と述べています。そして、大事なのは、評議委員に「思慮深い人をそろえて資源の有効配分」が必要と加えられている事に筆者は共感を覚えた次第です

▶筆者の私見

塩崎氏の論評は、問題の本質の抽出と指摘とどれも改善、改革に必要不可欠なファクターである事と思います。後に私大の代表者が「本報告書は、大学の自治を失うので賛成できない」と述べられていますが、これは大学経営者の詭弁であり「大学、法人が自治を己の都合のよい隠れ蓑に自治という言葉を悪用している」にすぎないからであると筆者は、大学内のアドミニストレイションを実体験した中で確認致した次第です。

塩崎氏は、教育界の頂点に必要なアドミニストレイターであると確信致します

彼のような高い見識と「JusticeとFairness」を兼ね備えられている国会議員がそれも自民党内にいらっした事に驚きました。このような方こそ、日本の教育を携わる文科省の大臣に就任して頂き大所高所に渡り、リーダーシップを発揮して頂きかったと思わざるを得ません。何故歴代の文科省には、大臣、副大臣、役人に塩崎氏の様な人物が居なかったのでしょうか。筆者には、旧文部省、現文科省の大臣、副大臣として森喜朗氏、下村博文氏、馳浩氏、松浪健四郎氏、等々が記憶のイメージに焼き付いているからでしょうか。此れこそが究極の問題なのでしょう。塩崎氏は、2021年既に衆議院議員を引退されました。必要な人物は、早く去るは格言通りの様です。

両角 亜希子氏の論評

両角氏の結論は、「情報公開は信頼回復の一歩」とまとめられている事です。即ち、本報告書から、情報公開がなされない、なされて居ないのは、私大の理事会、評議委員会には構造的な問題が現存するので情報公開がなされないので信頼できないと結論付けられている所に特徴があると思います。同氏は、米国の私立大学のアドミニストレイションに造詣が深い方であると記事の発言内容からお見受けします。

筆者の私見

米国の公立、私立大学で院生時を経て教員、運営、管理者として長年経験させて頂きましたので、両角亜希子氏の話題と論点は、実践をして参った小職には手に取るように理解できます。しかし、日本には、日本の伝統と文化があり即米国スタイルの摸倣には準備が必要かと思われます。これは、日本版NCAAが実現しなかったのと同じ論理なのです。

米国の私大に関わらず、国家、社会が「JusticeとFairness」を礎に形成されている強い法治国家であります。よって、私大の運営管理に於いても各州の法律に基づいた許認可の下に経営、運営、管理がなされている次第です。公立に至っては、各州の法律と教育機関への規約、規定が厳しく特に経営に関しては、査察を受ける構造とシステムが確立されています。

両角氏が申されています私学の理事は、「卒業生や地元の名士ら学外者だけでつくる理事会が最高意思決定機関」とされています。勿論理事は、バランティアーとしての要素が強く無給でありますが、大学理事としてのステイタスは、有形無形の利得を得られるのは何処の世界でも同様の様です。また、理事職を強く望まれる方は、莫大な寄付金を納めて頂ければ歓待される事も世の常です。日本の理事、評議委員達は、何か他意と下心(Greed)があるか忖度で理事長に呼ばれ強い信頼関係にあるケースが目立ちます。

但し、米国は、私大も公立大も大学内の全ての役職、人事に関しては諮問機関が設置されており、厳しい規約、規定により各校とも「By Law」により縛られ、日本のような悪代官の天国とは異なるのが米国と日本の違いであると実体験から申し添えます。それと決定的な違いは、米国は明快な契約雇用制度に対して日本の私学は、半永久雇用制度の違いはシビアーな世界とぬるま湯の世界の違いがあると表現させて頂きます

田中 愛治氏の論評

田中愛治氏は、日本私立大学連盟会長(現早稲田大学総長)としての立場からの論評されている事が特徴です。そして、同氏の専門分野、部門が政治学である為か政治家的な色彩が強い内容となっているように感じます。同氏の本報告書への結論は、「評議委員会だけで改革困難」という立場を取っている事です

先ず田中氏は、日本の大学進学率の8割を私大が担っている事を強調しています。しかし、その資質と実態には触れられていなです。また、経営では、固定資産税の免除は感謝しているが補助金が少ない事を挙げ、莫大な助成金に付いては何も語っていません。そして、「日本大学は特殊だ」という人がいるが、それは甘い。と明言しています。何が甘いのかは、明確に述べられていません。私大の不祥事が続き、国民に不信感を持たれている事は承知してると認めています。しかし、「悪人が理事長に就く可能性はあるが、それを止める仕組みが無い」と、他人事の様に取材に応えている点です。論評の後半には、本報告書に対して強い反論を加えていますそれは、報告書が「社会福祉法人などと同じガバナンスを、なぜ学校法人は受け入れないのか」という点についてです。これに対して田中氏は、「与えられた使命が異なるからだ」と反論しています

▶筆者の私見

 田中愛治氏の強い論評は、「学外者だけの評議委員会を理事会の上に置いて最高決議機関にすればうまくいく、という考えはおかしい。権力志向の人なら、理事長を辞めて評議員会の会長を狙いますよ。理事会と評議員会がお互いに監視し合う仕組みが必要だ」と述べている事です。田中氏は、私学の現実の実態をあえて直視されて居ない様子が伺えます。

★田中氏は、2020年早稲田大学で起きた友添秀則氏(倫理学専門教授、理事、文科省、等々の要職を兼務、肩書コレクターの愛称)の事件(学内同僚への暴力)について、大学法人の責任者としての説明責任、見解も述べず、それでは自治の必要性を強調する根拠が理解されないのでないかと思います。本件を懲戒免職にも出来ずどうして辞任を受理されたかお聞きしたいものです。

筆者は、文科省が本来私大の設置に関する許認可権及び、各学部設置申請に対する許認可権を有する事で私大と文科省間で既に主従関係が成立していると思います。またそれらに加えて私大助成金補助金と言う莫大な国民の税金を自由に私大に振り分ける権限と権力を有している事から絶対的な主従関係が伝統的に成り立っている事実が、構造的な問題の根源になってるのだと思いま

★小職が日本の複数の私大にお世話になっていた時に以下の様な事が起きました。実例として。

その一つは、大学法人は文科省(旧文部省)時代のOBが教授職で小職が所属していた学部教授会に採用しろと押し付けて参った次第でした。本件に付いてこの時期は、まだ教授会は伝統的な権限、権力を維持していた様子で本件を法人に突き返したようです。その後、法人事務局は文科省の協力を擁する事案を抱える他学部に半ば脅しで文科省OBを捻じ込みました。勿論待遇は当時破格の待遇であったと聞き及んでいます。この様に、文科省からの天下り用の席を常時確保され文科省内のOB,OG達の職安がコーデイネートされている事を見聞きして腐敗した省庁の実態を垣間見ました。

★もう1つ、小職の記憶では、2010年頃から確か文科省から「各私大へのお達し」があったとの事を教授会で披露された事案に驚きました。それは、日本の伝統的な私大教授会を骨抜きにするお達しであったように記憶致しています。

その第一弾は、私大の人事権を法人理事長に集約するという出来事でした。この出来事から大学法人では、理事長が評議員、理事の人事を露骨に自身の人選で執り行い理事会、評議委員会の過半以上を理事長のイエスマンの集合体と化したのでした。勿論学内の教職員、管理者達も理事長への忖度者達で固められて過半数以上の理事、評議員で固められ、学内身内・親類縁者の類まで顔を揃えているのが実態です。

この作業と並行して、第二段は、各学部教授会の極端な改変が実行されたのです。それは、本来の教授会の権限、権力をはく奪し、教授会は、教学に関する意見を述べる場であり決議権も決定権も無い理事長からの伝達事項が学部長によりお披露目の場で伝達事項を遂行するのが教授会と化した次第となりました。

この事態は、あっという間に各私大に広まり特に中小の私大では、既に理事長は大学法人(理事会、評議員会)内の人事権、大学教職員の人事権を全て握り、今日の私大では、理事長はその絶対的な権力者であり何でもできる事態に至っているのが実態です。これにより、大学法人の理事、評議員は、理事長に異論、反論などできる体制ではないのです。また、教員、職員は、教授会が形骸化している事からも意見しても御上から睨まれ、ブラックリストに載る事を恐れて口を閉ざす環境、組織が成り立っていると申し上げて過言ではありません。よって田中愛治氏は、他校の法人の現実をよくご理解されて居ないようです。

まとめ

近年に於ける諸悪の根源は、この様な十数年前から「文科省のある伝達」から公益学校法人の私大で不祥事、事件、不正が横行してしまったのが今日の最大の問題であると分析する次第です

 文科省の問題は、許認可、伝達をした後の運営管理をするシステムが根本的に欠落している事から何を始めても機能しない、構造的な問題を抱えている事にあると思います。その大きな例が「スポーツ庁」の併設です。本丁は、まさに別の利害、利権の蜜壺で文科省の政治家、役人達の職安と申し上げるに相応しい実態であることを国民、社会は知るべきであると思います。特に本庁の長官並びにその取り巻きは、どの様な規準と職務、職責で誰が推薦し任命されているのでしょうか。今日も元文教族のボスは、院政を敷かれて文科省庁の人事、等に強い影響力を行使しているという噂がまことしやかに流布しています。これでは、文科省が折角諮問委員会を立ち上げ、報告書による提言を受けても実行力の無い、形式的に終わるのかも知れません。

適切な人材である根拠を常に情報公開しなければまた新手のBLACK BOXが設置されたと揶揄される次第です。私大改革と同時に文科省内の利害、利権者達の構造と実態の改善、改革を同時に進行しなければ本件の改革とのバランスと整合性が取れない事を忘れてはならないと思います。如何でしょうか

政府・文科省の大罪

このようにして、政府・文科省は、私大理事長に権力を与え、それを法的に保護した事により、私大法人が本来は文科省の監督、管理責任を私大法人理事長が担うようにしてしまったのです。

Kファイルお正月特別編並びにNO.172、で公開致しましたように、「例えば、日本体育大学の理事長などは、学長、学生(未成年を含む)を百数十人引き連れて、日本国が渡航禁止としている、国交も無い「北朝鮮民主主義共和国」にスポーツ・文化の交流と称して、入出国を繰り返し社会主義国家の思想を紹介する等の教育をされている。」

このような行為を日本政府、文科省スポーツ庁)、外務省は、どの様なチェック体制と指導をなされているのか、国民、社会、学生の保護者会、同窓生、拉致被害者救う会)に是非情報公開並びに見解を頂きたいと切に願う次第です。

保護者会では、大学法人が社会主義思想を擁立するのではと案じている様子です。こんなことがあって良いのでしょうか。このような経営陣、大学に私大助成金補助金を支援する価値が何処にあるのでしょうか。如何して、マスメディアは、権力に加担して正しい情報を国民、社会に告知されないのでしょうか。教育界の暴力を報道するだけでよいのでしょうか。

尚、多くの私大では、「理事長及び理事会、評議員会の暴走に教授会が歯止めが出来ない構造的な問題を既に確立している」状態です。学内教職員が異議を唱えると直ちにブラックリストに加えられ後はご想像にお任せいたします。また、教員採用に関しては、人事を仕切る担当常務理事が採用統括責任者なので教員の多くはその時点で忖度を受ける実態の様子です。

何故1理事長及び1常務理事権限でガバナンスを破壊するような行為が可能なのでしょうかこの度の文科省諮問機関の「学校法人ガバナンス改革会議」報告書を遵守するなら、現日本体育大学の理事会、評議委員会は、ガバナンス違反に該当する運営、管理が行われ、文科省は解体命令を出さなければならない公益学校法人の最たる例になると思われます。如何されるのでしょう。

 

文責:河田弘道

ポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル。KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:本NO.173は、長編なために読者の皆様はお疲れになられた事でしょう。しかし、本題は、日本国の私大教育に関する重大な危機的な経営、管理問題であります。このような乱れた私大の状況では、世界の優秀な大学のランキング、教育資質が低ランクされる所以であると思います。読者の皆様は、何か感じれる事はございましたでしょうか。次回をお楽しみに。

KファイルNO.172:本質を見失った大学箱根駅伝と教育倫理

KファイルNO.172:本質を見失った大学箱根駅伝と教育倫理

無断転載禁止             1月27日 木曜日 公開

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筆者からのご紹介とご提案

前回は、「Kファイル正月特別編:日本体育大学の現実を学生選手が表現した箱根路」を掲載させて頂きましたが如何でしたでしょうか。

読者の皆様には、大変興味を持って頂きました様子が、膨大なアクセス数から読み取れています。その中には、文科省関係者、スポーツマスメデイア関係諸氏、一部政界の方々に至る迄興味を持って頂き恐悦至極に存じ上げます。勿論全国の日本体育大学の同窓生の皆様からのアクセスが多く寄せられたのは、読まれた方が友人知人にセアーされた様です。その中には、大変勇気がある方々からは、実名でお手紙を多く頂き驚いています。本紙面をもってお礼と感謝を申し上げます。

読者の多くの方々からは、「母校が長年問題である事を承知していましたが、これで問題の本質が漸くはっきりとして参りました。同窓生の高等学校での部活指導者達が母校に学生選手を送らないで、他大学に送り出している現実と理由、付属高校からも他大学に行く今日、理由もよく判ります。」等々の驚くべき情報とお便りが多く寄せられていました事も併せてご報告申し上げます。

ご紹介

本日は、日本体育大学卒業生の「坂本幸雄氏」をご紹介させて頂きます。同氏は、近年日本の半導体メーカーの経営者として「半導体の風雲児」とも呼ばれて参っています。彼は、過去何度もNHKの「プロフェッショナル」にも出演され業界経営者として知らない人は居ない存在となっています。何故日体大卒の坂本氏が、それも半導体の世界の国内NO.1の経営者に登り詰めたのでしょうか

先日も朝日新聞朝刊(1月18日付)には、同氏の取材記事が掲載されていましたのをお気づきの読者の方も多かったのでないでしょうか。世界は、今半導体不足で経済が立ち行かなくなっている事はご承知の通りです。日本は、瀕死の状態です。

坂本氏は、夢を抱いて群馬県前橋商業高校から日本体育大学に入学し、野球部に所属、卒業後母校前橋商業の教員を目指していた次第です。そして、飯を食うより好きな野球、母校野球部監督として甲子園を目指す事を夢見ていました。しかし、神様のいたずらか、或いは神の啓示か教員試験を落とされたのでした

職探しを始めた矢先に当時米国王手の一つで、世界一の半導体メーカーであった企業(テキサス・インスツールメンツ株式会社Texas Instruments 略:TI) の日本法人の工場が埼玉県に在り、そこの鳩ケ谷工場の倉庫番の職を得たのが、今日の同氏のキャリアの起源となったのです。即ち、物流部門に飛び込んだわけです。それから彼の人生は、彼の潜在的な才能を開花させる為の血反吐を吐く努力と修羅場を生き抜く一人旅が始まったのです。また、機会がありましたら彼が出会った修羅の世界と、巡り合ったご縁をご紹介出来れば幸いです。(彼のプロフェールは坂本幸雄で検索されて下さい、ご参考までに)

■坂本幸雄氏の略歴

TI日本法人副社長(テキサス・インスツルメンツTexas Instruments 略:TI)

エルピーダメモリ株(社長、CEO、株主NEC,日立製作所三菱電機)、日本経済のバブル期後半より日本企業の半導体産業が急激に疲弊して行き成り立たなくなったのです。そこで大手NEC社、日立社、三菱電機社、等々が後ろ盾となり、坂本幸雄を社長、最高経営者(CEO)として迎え、日本の半導体産業の復活を坂本氏に委ねた次第です。坂本氏は、これに応えるかのようにどん底半導体産業を世界第三位のマーケットセアーにまで引き上げました。

しかし、本産業は、民間レベルの投資では韓国、台湾の基幹産業に対抗するには限界があったのです。しかし、日本政府の半導体企業への投資が余りにも貧弱でそして中途半端な為にエルピーダメモリ―社を倒産させざるを得ない事態となりました。それでも坂本氏は、それまで半導体の戦場で戦ってきた本社従業員、地方に分散していた工場、それに伴う社員達を路頭に迷わすことなく、米国の半導体メーカーにそのまま移行して存続を図ったという事で、此処でも彼の責任感と経営者としての信念が従業員を全員救ったというエピソードをご紹介させて頂きます。

★元日本体育大学理事、元広島大学理事

★2018年9月~2021年9月:紫光集団(中国の国策半導体メーカー)と3年契約を結び副総裁として就任しました。紫光集団の総裁の李 克強首相(リ・コクキョウ、Li Ke-qiang)中国より直接ヘッドハントされました。李リー首相との直接面談では、半導体及びその経営についての意見を求められたようです。2021の紫光集団再建半ばにしてコロナ問題で途中ホールドになってしまったのが現状のようです

★2021年:取材記事(11月下旬、日経ビジネス)、週刊ダイアモンド(12月)

★2022年:取材記事(1月18日、朝日朝刊)、週刊新潮

     日経ビジネスより書籍出版 6月予定

現在:東京理科大客員教授、執筆活動

■筆者の提案

 学校法人日本体育大学は、十数年前にクーデター的スキャンダラスな理事長(一部理事を含む)、学長の交代劇を行い現在に至っています。当時、法人の理事の一人として活躍されていたのが、此の度ご紹介させて頂きました「坂本幸雄氏」でした。

当時同氏は、エルピーダメモリ―株の社長兼CEOとして日本国の半導体を背負い超多忙にも関わらず、母校日本体育大学の理事会には、必ず出席されて意見を述べられ理事会に於いては「某法人常務理事及び別の法人役員に対して直接辞めなさいと理事会で言及。その理由は、教育機関に於ける法人常務、役員として相応しくない言動、挙動不審を指摘された」程の母校愛と責任感に満ちた方だったようです。

坂本理事は、利害、利権、忖度の無い立ち位置で発言、指摘されるので非常に貴重な存在であったと思われます。そして、母校の理事会には、多忙を極める中でも社長専用車は使わずいつも必ず電車とバスを利用して、大学校門を襟を正して通門して大学理事会に赴いていた事を筆者は聞き及んでいました。

このような誠実で貴重な理事を、当時クーデター的なスキャンダラスな方法で理事長、学長、理事の坂本氏迄、排斥されたという酷い事をやらかした理事、外部から招聘した常務理事、事務系役員、評議委員が居たとはなんと無礼千万な事であったのでしょうか。そして、その後の大学、法人の体制には、政治家達がなだれ込んで来たのが現体制の様です。現大学の現状、経営状態は、起きるべくして起きたと申し上げても過言でないかも知れません。

■筆者の素朴な私見

筆者の私見を述べさせて頂きますと、当時何がどのようにして起きたのかの詳しい事の次第は、当然当事者でないので知る由もありません。この時期小生は、丁度中央大学に於いて教授職を賜っていた時期だったと記憶しています。

しかし、「当時卒業生理事であり、日本を代表する経営手腕を誇る坂本氏を切り捨てた行為は、よほど社会常識、価値観の欠落した、自己のGreed(欲)のみに野心を持つ人達と評価せざるを得ない次第です。これが現在の大学法人の経営陣の中核を構成している事は、大学の大義、理念は下より本来の日体大のブルーの知と血が変色してしまったのかもと危惧するのは小生だけでしょうか」。

現経営者(理事、評議委員達)は、一日も早く目を覚まされて坂本幸雄氏に権限のある理事に復帰して頂き、大学法人日本体育大学に健全な経営の立て直しと、教職員が安全・安心して教育、業務に集中できる環境を再構築して頂く事を切に一卒業生として、提案させて頂きます。

これにより、学生達には、大学の理念に基づいた本来あるべきフェアネスを基に健全なキャンパスでの大学教育がなされる環境を取り戻して頂けるのではないかと確信致します。関係者の皆様、同窓生の皆様は、ご賛同頂けますでしょうか。同窓生の皆様には、どうか勇気ある発言力を持って頂ければ幸いです。

私は、真のブルーの知と血が通う社会常識の伴った卒業生諸氏がいらっしゃる事を期待いたしております。「日本体育大学の再建は、全国の同窓生の英知と勇気と行動力に掛かっていると申し上げて過言ではありません。

 

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目次

筆者からのご紹介ご提案(坂本幸雄氏、日本の半導体の風雲児)

ご紹介

  ■坂本幸雄氏の略歴

筆者の私見と提案

KファイルNO.172:本質を見失った大学箱根駅伝と教育倫理

1.大学箱根駅伝は私大の受験生争奪戦の広告塔化

  ■大学内に於ける部活の実態

  ■捻じ曲がり行く大学、法人の教育現場の環境

  ■学生選手の大学と授業に対する認識と実態

2.筆者の疑問と私見

  ■特別協賛スポンサーの変更

 

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2022年1月27日 木曜日 公開

無断転載禁止

KファイルNO.172:本質を見失った大学箱根駅伝と大学倫理  

1.大学箱根駅伝は私大の受験生争奪戦の広告塔化

はじめに

Kファイルは、「大学の経営、教育の理念に付いて」の是非を論議する場でない事を最初に申し上げます

我が国の大学に於ける部活は、1900年前半から当時学生達の余暇活動、課外活動を経て学生達の自治組織が認められ今日に至ったとされています。そして、今日まで昔ながらの学生による自治活動との位置付に特に変更はありません。この伝統的な部活の構造が、今日に於いては、大人達の悪事の隠れ蓑を形成し、悪代官、越後屋さん、岡っ引き達の巣窟と化していると申し上げます。

■大学内に於ける部活の実態

この自治組織、活動は、時代と共に大学及び周辺の関係者の利害と利権の温床と化し、伝統的な大学程、大学、法人(経営)側と各部卒業生との間での権力闘争が現存するのも事実です。

その理由として、学生達の自治活動としての大義を掲げる大学は、大学側の金銭的な支援並びに活動に対する責任を長年回避してきたと言えるからです。その為に、部活の運営、管理を維持する為には、部の卒業生達の寄付行為並びに就活支援の物心両面での協力が今日も尚継続している事だと思われます。これは、大変よい伝統とシステムだと思います。しかし、実質的に大学側は、専任教授を各部の長として配置し、部活の運営、管理に一定の権限、権力を握っているのが実態です。

そこで、部活は完全な学生達の自治活動ではなく、あくまでも大学教育の一環と捉えているかのような見せかけで中途半端な実態からも窺い知れます

しかし、この部長たるは、各部活の専門的な知識を兼ね備えているでもなく、特に競技スポーツに無縁な大学当局にとって都合のよい専任教員を大学、法人により任命配置され、お巡りさん的な役割を担った実態が長年形骸化してしまっている様子は否めません。部活の運営費は、部費の徴収、大学側から学友会費(全学生は、授業料納付時に学友会費が含まれていることすら知らない)分担金、各部のOB、OG会からの寄付金により賄われているのが実態です。また、一部大学の特定の部に於いては、民間の遊技組織・団体から支援を受けている大学まで現れています。

本年の大学箱根駅伝は、学生選手達の大学のユニフォームに今日まで各テイームの隠れた支援者(卒業生関係)が金品の提供をしてきていましたが、初めてこのような形でスポンサー名を大学のユニフォームに付記するように成りだしました。これは、今後各大学が駅伝テイームに限らず個々のスポンサーを付けますよ、と告知を始めたと理解する事が出来ます。

日本の大学競技スポーツには、共通した約束事、罰則、即ちルール、罰則が明文化しない為に競技スポーツの本質であるべきフェアネス(公平)を逸脱した運営、管理がなされているのです

■捻じ曲がり行く大学、法人の教育現場の環境

  近年各大学は、教育とは名ばかりで異なる目的で大学競技スポーツをミスリードする傾向が目立っています。大学の売名行為に一役を担い、受験生の増加による増収にも貢献している実態も見逃せません。このような実態は、もう既にマスメデアに於いても一部紹介された記憶が蘇ります。

それは、近年読者の皆さんの記憶に新しい東洋大学の無名の新入生が突然箱根駅伝で山の神となり優勝、翌年も、その翌年も4年目もと神がかり的な連続優勝を果たしたのです。この大学は、外国人の手を借りず全員日本人選手の努力の賜物として当時称賛されました。この新人選手の活躍でその年の受験者数が通年より平均10、000人、それも4年間その数を維持した事が話題になりました。これ即ち、経営者側に致しますと、今日の受験生一人の受験料は、35,000円ですから毎年受験料が、3億5千万円臨時収入が増加、それも4年間と···

関東の多くの大学が箱根駅伝に力を入れるのも理解できます。しかし、逆に長年連続出場していた伝統校の中には、シードを逃したり、予選会で落選したりで、受験生が約10、000人激減し受験料、授業料も激減したと嘆いている駅伝名門大学もあるようです。此の事からも、大学箱根駅伝は、殊の外大学の経営に対する重要な広告塔であり収入源でもある証です。

競技スポーツを利用・活用する各私大は、競技スポーツ部を強化部と称する名目で幾つかに絞り、学生達には公表せずに特定の部に対してのみ、特別強化費を大学法人から資金が重点投下されているのです

大学競技スポーツに力を入れている大学では、特別強化費と称して「年間1億円から5億円」レンジでの予算を投下しています。この金額は、大学の規模に関わらず、「平均的には2~3億円」が投入されています。このような投資は、何の目的の為に行っているのかは、もう読者の皆さんはご理解される筈です。最終的にどのようにしてこの投資資金を回収するメドを付けているのか、またこの費用対効果から考えた場合の毎年の成果と結果は如何なのか。大変興味深い日本の大学経営のマネ―ジメント手法でもあります。これは、決して教育が目的でない事だけは、確かなようです

しかし、このような毎年の部活への投資の殆どは、成果と結果を出すためのビジネス・マネージメント手法が計画的、実践的でない為、無駄な投資となっているケースが多いのも特徴です。まさか文科省からの私学助成金補助金の公金が当てられていない事を願う次第です

■学生選手の大学と授業に対する認識と実態

このような多くのスポーツ部活に所属する学生達は、部活で毎日遊ばせてもらう事を主たる目的にしている学生、学生選手達が増殖していると申し上げても過言ではありません。汗水たらして働いて授業料、生活費を仕送りしている親達は、この現状、実態を理解、認識されていた上でサポートされているのでしょうか。そうであれば、全く大学経営者と父母との利害、認識が一致している事で筆者がどうこう意見する立場でないことは確かです

しかし、このような若者達を食い物にしている大学経営者は、何と心得て教育者の顔をしているのでしょうか。筆者は、このような大学、経営者の大学を間近で体経験して感じた次第です。何か今日の日本は、教育に対する基本的な概念が音を立てて大学経営者、管理者により崩壊して行っているように感じるのは筆者だけなのでしょうか。

文科省は、何故認可した各大学に対する精査、検証、監査、監督も行わず長年各大学の法人任せにしているのでしょうか。このような最高学府としての教育の看板を掲げる大学に対しては、許認可取り消しの強い姿勢で臨まない限り教育の環境とそれに伴うレベルの低下が否めない事を実体験致した次第です

此処に於いても、箱根駅伝主催者と同様な何でもありの無責任なスポーツ・アドミニストレーションが大学キャンパスにまで及んでいる事を一般社会の皆さん、そして学生、学生選手の父母はご存知でないようです。筆者は、学生、学生選手を1つの集金マシーンと化した大学経営手法に対する大学教育並びに経営に今こそ国の強い指針と施策が必要であるとご提案致す次第です毎年文科省が莫大な公金を私大に助成金補助金の名目で提供する趣旨、目的は、既に変色を来しているので再考する必要ありと提案させて頂きます

2.筆者の疑問と私見

当然の事ながら、未成年学生選手のユニフォームの胸には、BIBナンバー(ゼッケン)にアルコールスポンサーのロゴを付けさせて14時間もテレビの生中継で露出、また主催者名で告知される全ての出版物の選手のユニフォーム写真には、スポンサー名と共に商品名も掲載されています。主催者規約には、学生選手の肖像権は関東学連に帰属されています。しかし、未成年学生がアルコールの広告塔になる了解は、何処にも明記されていません。

学生選手達をアルコールの広告塔として利用する事の非常識さもさることながら、この状態を長い年月において教育機関の教育者、指導者、経営者の誰もが指摘、止めない、この現実と見識は、如何なものでしょうか。このような関係者と一般社会の常識は、異なるのかも知れません。

ご存知の通り、わが国の法律では、未成年者の飲酒喫煙は禁止されています。勿論大学キャンパスに於ける飲酒喫煙は、殆どの大学で厳しく取り締まっている筈なのですが・。先進国に於いて、特に学生選手が出場する競技スポーツ大会では、アルコール、たばこの企業スポンサーは御法度であります。これは、青少年の心身の健康管理が何よりも優先するからです。此のことからも、大学競技スポーツのアドミニストレーションが遅れている大学、国と称されても仕方のないレベルなのかも知れません。日本国に於ける大学競技スポーツを取り巻く関係者は、もう少し高い志と見識を持ってサポートする品格も必要ではないかと思われます

■特別協賛スポンサーの変更

大学箱根駅伝の特別協賛スポンサーは、サッポロビールでした。特別協賛スポンサーは、毎年莫大な協賛金を支払っています。しかし、2006年よりKファイルの筆者は、中央大学総合政策学部で日本初のスポーツ・アドミニストレイション論の講義授業を開講して以来、毎年FLP河田ゼミに於いて、その後も2018年迄Kファイルを通して毎年サッポロビール(株)の広告宣伝担当専務宛に学生選手(未成年を含む)にアルコールの広告塔を強いる見識を問い質して参りました。その影響、効果もあったのか、2020年度の大学箱根駅伝特別協賛を降りられました。そして新たに現在は、「長谷川工務(株)」が特別協賛として新たに名乗られている事を本Kファイルでご紹介致しました。中大河田ゼミの皆さんの努力と勇気には、心より感謝致しています。この広告スポンサー変更に一役を担ったと確信する次第です。此れこそが大学専門ゼミに於ける実践から得る成果なのだと思います。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

この度のNO.172では、前回の「Kファイル正月特別編:日本体育大学の現実を学生選手が表現した箱根路」の締めとして、坂本幸雄氏をご紹介、ご提案をさせて頂きました。後半は、大学箱根駅伝に関わる大学の歪み行く倫理に付いて述べさせて頂きました。毎年全く進歩の無い組織・団体及び大学の様子を読者の皆様は、どのようなご見識で大学箱根駅伝を観戦されていますでしょうか。大学教育機関と学生達が段々と変質して行く姿の情報を加味しながらお楽しみいただければ幸いです。次回をお楽しみにされて下さい。

 

Kファイル正月特別編:日本体育大学の現実を学生選手が表現した箱根路

Kファイル正月特別編:日本体育大学の現実を学生選手が表現した箱根路

無断転載禁止                   1月6日 木曜日

 

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ご挨拶

2022年も太陽は、東の空に昇り人類に新しいエネルギーと新年を照らして下さいました。読者の皆様に於かれましては、どのようなお気持ちで新年を迎えられましたでしょうか。

筆者は、この世に少しでも「Justice&Fairness」を基盤とした皆が「共存共栄」出来るフェアーな心ある人が,一人でも多くのそうでない人達を導き、心豊かな人達と共に生きれる世の中を祈念致しました。皆様に取りまして、素晴らしい2022年をお迎えされたことと確信致しております。

KファイルNews からのお知らせ

新春大学箱根駅伝で学生選手に教えられた生きた教材:

筆者は、本年正月2,3日と緊急の諸用があり早朝からほぼ全日フル活動を致していました。しかし、冬の風物詩の大学箱根駅伝は、昨年暮れより連日連夜番組宣伝(TV、新聞、ネット)で頭に刷り込まれていた事もあり、諸用の合間を見てお茶タイムをしながら、テレビ中継で拝見させて頂きました。

不思議なことに、私が日本の大学時代に4年間お世話になりました日本体育大学の学生選手がもがき苦しむ姿が目に飛び込んで来たのです。如何した事かと暫く状況を観察しますと出場校20校中20位である事が漸く把握できた次第でした。

次にTVにスイッチを入れると、これまた日体大の学生選手が中継所で1人立って今か今かと戦友の到着を待っている、しかし、戦友は辿り着かず繰り上げの号砲と共に会えずに消えて去ったのでした。其の後2時間ばかり経過して気がかりだったのでTVのスイッチを3度目入れると、またしても中継所で日体生が戦友の到着を今か今かと遠くを覗いているではないか。如何したんだと再度状況を把握すると選手達は、頑張っているが他校のスピードに着いて行けず、後続はもがき苦しんでいるではないか。そして、再度ディレイスタートの号砲と共に戦友に会えずスタートを切っていた次第でした。復路二度目の事態を目撃しました。これを見て、これはまさに現日体大の実態の縮図を学生選手が先輩達に訴えている姿ではないのだろうかと真剣に彼らの痛みを感じずには居られなかったのです。

そこで、ふと母校の後輩学生選手達は、あの喘ぎ苦しみながら何を伝えようとしているのか暫し考えさせられました。この事から一卒業生として、日体大駅伝ティームの皆さんの心身の痛みを少しでも分かち合えればとの思いから、読者の皆様にKファイル正月特別編を通して「スポーツ・アドミニストレイターの視点」でお伝えできればと思います。

このKファル特別編が、日体生の苦しみの源泉が何処から誘引されて参っているのかを参考にして頂ければ幸いです。学生の皆さんは、まだ社会経験が無いので本ファイルの行間及び奥行きが測れないかも知れません。しかし少しでも参考知識として付与して戴ければ皆さんはその理由と意味をご理解頂けると確信する次第です。私は、駅伝ティームにこのKファイルが目に留まる事を願います。読者の皆様には、賛否両論あろうかと思われますがご一読頂けましたら幸いです。

マスメデイアのキャッチコピーを確認

時事の話題から~

日体大箱根駅伝2区間で「たすき」つながらず…体育大学が優勝常連校でない不思議  日刊ゲンダイ記事より、1月05日掲載から

筆者は、正直申し上げて本掲載記事の内容をまだ拝読致しておりません。その理由は、記事内容を読むと先入観が入るからです。

私は、競技スポーツ界に於いて「不思議」という言葉は当てはまらないと経験値に於いても確信致しております。それは、競技がリアリズムの世界に位置するからです

先だってもKファイルNews でスポーツ紙、TV報道へのコメントさせて頂きました。「日体大駅伝ティーム:頑張れ! 粘るんだ」と、、、、学生選手達は、全てを出し切り頑張っている姿に胸が痛みます。これは、今日の大学経営陣、大学管理者達の終着地点なのかも知れません。大学経営者、管理者の暴力肯定の物事への指導、運営、管理の末路でしょうか。全国の日本体育大学の同窓生は、危機迫る日体大の現状を学生選手により伝えられた様には思いませんでしたか。

学生選手達よ、君たちの体内のブルーの知と血を根絶させないでくれてありがとう」学生選手達には、辛くて恥ずかしい姿を全国の同窓諸氏、先輩方にお見せして、さぞや辛い思いをしながら箱根路を走られた事でしょう。先輩の一人として皆さんの辛さと痛みを分かち合っています。

勿論全出場選手、サポート選手全員反省されている事でしょう。しかし、皆さんは、本当によく頑張りました。 決して「申し訳ない」等と謝る必要もありませんこの成果と結果は、起きるべくして起きたのです競技スポーツは、勝利する事が目標です。それは、ティームにのみならず己に勝ったかどうかです。そのようなトレーニング指導をあなた方は指導者から受けていますか。大学で医科学、コーチング、等の専門家と称する教授たちからそれらの実践演習を通しての指導を受けていますか。あなた方は、何が問題かを教えてくれたですか。大学側は、十分なサポートをしてくれましたか。あなたの得意は何ですか。その得意な事を出しきり自己ベストを出したなら、何も悔いる事はない、堂々と胸張りなさい。申し訳ないと学生選手、学生、全国の同窓生に謝るべきは、大学法人の責任者であり、大学の運営、管理責任者です。その方々からは、今まだ何の学生達、同窓生へのコメントは聞かれません。此れこそが問題の本質であると思います。

Facebookでは、既にレース終了後にこのような投稿が成されていましたので、ご紹介します。多分この方は、実名であり頭脳明晰な卒業生かも知れません。

投稿内容は、

日体大は、何から何まで見直すことが必要でしょうね。確かに選手は、頑張っていると思いますが、結果がでないとスポーツはダメですね。大学経営陣が、皆さんの批判を受け止めて、大学改革を断行すべきでしょう。監督や指導者を替えても、選手が育たないのはどうしてでしょうか⁉️」と、何か私に問いかけられている様な気がしてなりませんでした。そこで私は、僭越ながら返信コメントさせていただきましたので、ご紹介させて頂きました。

ご返信

KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada 

大学経営陣、経営者、大学管理者は、十数年前にクーデター的スキャンダラスな理事長(一部理事を含む)、学長の交代劇を行い現在に至っています

理事長(理事、評議員を含む)、大学執行部交代以降大学法人は、自民党の政治家(通称:文教族)を顧問化(森喜朗元文部大臣、武部勤氏、二階俊博氏、馳浩元文科副大臣、文科大臣で後に未成年女性に暴力セクハラ行為を行った人物、松浪健四郎元文科副大臣、細川元首相夫人、等々)して政治家の集団に移行、大学の本来のあるべき姿に逆行した学内外での政治家ゲームを始めたのです。そして、他大学からお連れした元事務局長氏を常務理事として、そのお方が教員採用、職員採用、競技監督、指導者を推薦、理事長が任命するのですから人選びも、マネージメントも大学、学生の為ならず、当然と言えるのかも知れません。以上返信コメント。

大学の競技部活に於いては

そこで手っ取り早く既に有名になった選手親子を金で連れてきたり、従わない教職員指導者は、網走番外地の支援高等学校に左遷移動、学生選手を暴力で従わせるか、辞めて行くのは、学生、若手指導者、学生選手の犠牲者ばかりでしょうか。これで学生選手は、育ちますか、教育はなされますか。

また上記コメントの後、学内外の関係者達からのお便りがメールでとどいています。何と駅伝ティームに対しては、大学の財政難と称する理由からか、スポーツ専門職として長年雇用して来たトレーナー職の方々を廃業に追い込んだとの報告が入っています。これが事実ならば、この度の学生選手達には、何と酷い大学、法人の心無い人達の仕打ちか。大学競技スポーツのCOREであるべき学生、学生選手達の夢と努力を破壊させた行為は許し難いと言わざるを得ないかも知れません。学生選手の皆さんには、真に辛い思いをさせてしまったことでしょう。

日本体育大学の趣旨・目的は何処に

2021年暮れの学術の基調講演では、日本体育大学の理事長として松浪健四郎氏は、「美の館を創る」と題した講演をされています。

此処で同氏は、我が大学には中村晋也氏(文化勲章受章者)の彫刻がゴロゴロあり、またペルシャの草木染の作品なども所狭しと、ゴロゴロしてとの自慢話に終始した基調講演だったそうです。このような美術工芸品、貴重品に価値観が無い人間には、分からずともよいと誇らしげに語りつくしたようです。

筆者の素朴な私見

 伝統のブルーの知と血を死守した日体大駅伝ティームに未来あれ!

このような美術工芸品を収集する為に大学の公費を湯水の様に使うなら、どうして学生選手をサポートする人材確保を打ち切る様な心無い大学の指導、運営、管理をされるのか情報の公開が必要ではないのでしょうか。これは、まさに東京五輪招致委員会、組織員会のコンセプトそのものです。関係者の顔ぶれが同じでは、酷似なのもやむなしでしょう。学内の教授会、管理担当者達には、教育者としての理念も使命感も失せたのでしょうか。

十数年前の報知新聞を利用した内部スキャンダルを醸成し、当時の理事長、学長、理事を追い出したのは、いったいどのような方々だったのでしょうか。それらが教育者を名のる方々でない事を心より願う次第です

この度の箱根駅伝で全身全霊を以て、最後まで闘って力果てた学生選手と部員達、全国各県から毎年箱根駅伝を応援する為に駆けつけて下さる卒業生の皆さんの情熱と真心に敬意を表します。遠路上京された同窓生に対して、母校が何のおもてなしも出来ない心無い教職員、経営管理者に衰退する日本体育大学の姿を重ね合わせるのは筆者だけかもしれません。

以下嘗てKファイルでは、筆者がお世話になった日本の大学でもあります日本体育大学に警鐘を鳴らした原稿をリマインドさせて頂きますので思い出して頂けましたら幸いです

 

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K’sファイル特別寄稿: 河田弘道の母校を思う  

無断転載禁止              2017年10月31日 公開

 

Ⅰ.日本体育大学生の逮捕劇 

1.日本体育大学が、見識ある高等教育の場と環境である事を願う~

確か数年前、朝日新聞は朝刊で、日本体育大学の「体罰、暴力、性犯罪、セクハラ、等」に付いて当時の大学長(谷釜了氏)を取材し、毎年のように学内で繰り返す本件事案の調査報告書を取り上げていたのが、記憶に新しいところです。

①度重なる事件

  そしてこの度、陸上部駅伝ブロック(陸上部は、短距離、中距離、長距離、フィールド競技、駅伝とブロック別されている意味)に所属する4年生が、「女子寮に侵入、体操部の女子下着を盗み、逃げる所を路上で発見、取り押さえ警察に突き出したのもまた日体大生であった」と、主役が全員日体生であったことをTV、マスメデイア報道で知るに至り、毎度おなじみの報道に心を痛めております。学生ばかりでありません。本学教授が温泉宿の女湯を外から覗き見していたのを取り押さえられ警察に引き渡された事もありました。どうして毎度毎度、このような事件が起きるのか、また起こすのか、改善しないのか、私は不思議でなりません!

②マスメデイアを通じて既に公開

  新聞発表の学内調査報告書によりますと、本学内外に於いて起きている上記事件数は、毎年約700件近くと確か公表されていました。これは、もう大学教育機関として常軌を逸脱した件数であると思うのは私だけでしょうか。この数字の中には、「教職員、指導者が学生に対して行う行為」、「学生と教職員との間で起きる行為」、「学生と学生の間で起きる行為」、「学生と外部の人間との間で起きる行為」が含まれているとの事でした。このような行為が長年常態化し内部では、慢性化してしまっている状態が想像出来る次第です

③教学最高責任者の宣言は実行力を伴わない

当時の大学長(谷釜了氏)は、新聞紙上で本件の問題に関して「一掃宣言書」を告知されていましたが、それ以降も事件は途絶えることなく、今日も日々発生している事を聞くにつけ、この告知が掛け声だけで実践及び成果が伴っていなかった事を証明する結果となりました。学内のまともな人達は、肩身が狭く、お気の毒としか言いようがありません。

通常、このようなケースでは、宣言の裏付けとして、それでは何をどう改善、改革するかのマニュアルを公表する必要があります。そして、その経過と成果、結果を公に公開する事は、宣言者の義務であり責務なのです。教育機関の現場に於いて必要なのは、一例としてスポーツ心理学の専門講座、それに伴う実践演習講座が必修且つ、実践指導が出来る教員の補強が先決です。机上の講義だけではなく、実践を伴ったキャリアのある教員でなければ意味が無く、知識の為の指導では本学のような現体質に成果と効果を求めるのは難しいのです。学問では、研究の為の研究でなく、実践成果と効果のある研究でないなら、費用対効果に於いて無駄な投資なのです。また、在学生に見合った、実践カウンセラーの雇用も説得力がありますが、そのような改善、改革を実行しているのでしょうか

 

2.本学生を駆立てた要因の解明が急務では

①教育的指導不足

  私は、これらに関わる「被害者、加害者、そしてその父母、ご家族」に対して高額な授業料、生活費を負担され汗水たらして投資している身内の方々に申し訳ない思いで心が痛みます。勿論、この度も事件を起こした学生選手は、自身に責任と問題があります。しかし、ただそれだけで学生選手を責め全てを被せて事を済ませる事には賛成できません。大学の教学として、法人経営者として何故この学生がこのような事を卒業学年後期に起こしたのか。部活動している駅伝ブロック内では、如何だったのか、日々のトレーニングの中で指導者は、教育的指導、ケアーが行われているのか、等の学生の立ち位置に立った誠実な調査と正直で勇気ある情報公開が必要ではないでしょうか。

②勇気ある学内の隠蔽体質の改革が必要

  学外の他大学、高校では、日本体育大学の駅伝ブロックの指導者が暴力指導をしているとの噂が昨年から今日まで絶えない事を大学教学、法人経営・管理者は存じているのでしょうか。この度の事件とこの噂の真相との関連に付きましても、真摯な調査と対応が必要でないかと思われます。本件の学生選手が、もしそのような指導下で関係している学生であったなら今回の事件の真相を見逃し、本人のこれからの人生とサポートしているご両親には、どうご説明、償えばよいかを想像するだけでもやるせない気持ちです。

 大学という教育機関は、学生が主体でありCOREなのです。本学は、オリンピック・パラリンピック選手養成、育成機関ではない筈です。どうか常に教育者の立場でこのような事件を起こした学生にも、手を差し伸べて頂き後輩達の成長を情熱と愛情を持って、育てて頂きたく卒業生としてお願いする次第であります。

 このように毎年、本学関係者が事件を起こし、改まらない原因は、何か根幹に本質的な問題があり、教育という大義が失せている事に起因しているように思えてなりません。或は、大学、法人管理者がこのような重大な問題を軽視しているのであれば別問題です。私は「母校は、自浄能力があると信じていました」が、残念でなりません。そして、多くの真面目な「学生、教員、指導者、職員、卒業生」にこれほどの傷と迷惑を掛け、社会的な信用を失墜させている事に対する大学教学、大学法人は、本当に真剣に業務に取り組まれているのでしょうか

 

3.本学は、高名な見識ある経営陣に守られて

①本学に必要なのは真に必要な経営陣の選考基準

私の知識では、過去10年間の本学の大学アドミニストレーションを振り返りましても、法人では、新しい経営者体制がスタートされ新たに各方面の高名でご見識の高い方々(元警視総監、元総理夫人、馳浩氏:自民党森派細田派、現安倍派、元文科副大臣、前文科大臣で後に未成人女性に暴力(セクハラ行為)を行った人物元文科副大臣、前文科大臣、等々)を理事にお迎えし、また、松浪健四郎氏が経営者の長として(元文科副大臣経験者、元衆議員、二階派)をお迎えして改善、改革に乗り出され今日を迎えられているはずです。またサポーテイブなオブザーバー的な存在では、森喜朗氏(元総理大臣、元文部大臣、20年東京オリンピックパラリンピック組織委員会会長)、武部勤氏(元農水産大臣、二階氏の親友)、二階俊博氏が本学に於いて協力をしてくださっているようです。何故このような方々が必要なのかの説明は、何処にも成されていません。

このような政治家経営陣を取りそろえられて、本学の法人、大学教学に於かれては、どのような成果と結果を出されたのでしょうか。毎度事件が起きる度に、経営者の方々は、どのようなご意見とご指導を本学の為に述べられ、取り組まれているのか是非、公に開示して欲しいと思うのは、私だけでしょうか

②最高学府として教育機関であることに目覚めよ

  日本体育大学は、本質的に体育教員、教育者を養成、輩出する事を趣旨、目的にした「質実剛健」が伝統の大学教育機関であります。しかし、何故、いかなる理由で、いつから、このように変質した大学教育機関になったのか、卒業生の1人として、毎年毎回このような事件が母校に起きる度にいろいろな思いが頭の中を駆け巡ります。

本学は、文科省から大学設置の許認可を委託された大学法人の趣旨・目的に立ち返り、国の施策、方針を遵守し、本学の教育に関してのカレッジ・アドミニストレイションを確立し、次に体育のアドミニストレイションと本学の特徴であります競技スポーツのアドミニストレイションに於いて成果と結果が出せる体育教員、スポーツ指導者、社会人を育て世に送り、また社会に還元する事ではないのでしょうか

現在のような名称、肩書のみを付与するだけでは、既にスポーツ・アドミニストレイションのステップを踏み外しています。このような現状と現実では、決して他大学のモデル校になりえないです。日本に於ける大学教育と競技スポーツの原理原則に立ち返り、学生達をCOREとした大学教育の王道に立ち戻って頂くことを心より祈念致しています。

筆者の素朴な疑問

学校法人日本体育大学の経営者、管理者は、国策、方針である国交の無い渡航禁止国に学生達をスポーツ・文化交流という名目で、何故毎回引っ張り出す行為をされるのでしょうか。この様なプロゼクトは、十数年前に今日のような経営陣、経営者になってから始まったようです。日本政府、文科省、外務省は、学生達(未成年を含む)を危険なリスクを伴う国家への渡航訪問に関しての情報公開を一切行っていません。何故?

長年我が国には、拉致被害者家族の問題が未だ解決せず苦痛を与えています。このような御家族に対して、日本体育大学の経営者、大学教授会は、教育者としての配慮も気配りもなされないのでしょうか文科省、外務省は、学生達への生命に関わるリスクリスクを伴う行動、行為に対しての責任の所在を明確にされないで宜しいのでしょうか。

 

③学部名称、人材肩書より個の資質の強化・向上が大事

2008年に本学に招かれ、NCAA(全米大学競技スポーツ協会)、米国大学に於けるスポーツ・アドミニストレイションとアスレテイックデパートメントの必要性を説く講演を致した小生は、あるいみで責任を感じております。

素晴らしい多くの学生達、常識を兼ね備えられた教職員の方々は、沢山いらっしゃいます。後輩の学生達は、大人の事情に振り回されるのでなく、日々の学生生活に於いて、自ら観察、洞察力を養い、強い目的、目標を持って自分たちの母校の健全化と自身の目標に向かって、日々精進努力を積み重ねて行って下さい。

貴重で優秀な人材(学生達)の為にも、法人、大学教学の各責任者の方々は、ぶれない正論をもってして大学の教育者、指導者としての本分を是非全うして頂き、溺れ行く若者達に情熱の手を差し伸べて頂きたいと願う1卒業生からの思いとさせて頂きます。宜しくお願い致します。                  

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター

スポーツ特使(Emissary of the SPORT)

お知らせ:この度は、お正月特別寄稿編とさせて頂きましたが如何でしたでしょうか。大学箱根駅伝に出場された学生選手達の心身の早期回復を切に願う次第です。そして、早期に後期のアカデミックへの集中力を高めて行ってください。

皆さんの本分は、あくまで高等教育の授業、実践演習活動のアクティブラーニングにある事を忘れない事です。

Kファイルからのご挨拶 2021/12/24

Kファイルからのご挨拶

2006年10月13日 発売、即完売でした。

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Kファイル/KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

ご挨拶、

Kファイル/KファイルNewsを愛読頂き有難うございます。

そして皆様のご支援に感謝申し上げます。

新年が皆様とご家族の皆様に取りまして平和で希望ある年であります事を心より祈念致しております。深謝

筆者 河田 弘道  2021年12月24日

 

K file / K file News Comment by Hiromichi Kawada

Seasonal Greetings,

Thank you for reading the K file/K file News.

And thank you for your support.

We sincerely hope that the New Year will be a peaceful and hopeful year for you and your family. Thank you.

Author Hiromichi Kawada       December 24, 2021

KファイルNO.171:大学箱根駅伝は美化される実態と真逆の実態

KファイルNO.171:大学箱根駅伝は美化される実態と真逆の実態

無断転載禁止             毎月第一、第四木曜日掲載予定

 

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筆者からのご挨拶

2021年も残りわずかに迫りました。本年は、もう8日すれば年が明けます。読者の皆様に於かれましては、2021年はどの様な年でしたでしょうか。

昨年早春は、コロナウイルスの水際対策が政府、責任省庁の不手際により混乱を来し、本年4月には、懸案の東京五輪開催か否かに国民、社会は翻弄されたました。結果、東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏の暴力事件(女性を差別する発言)により、最終的にはIOCのT/バッハ会長に促されるかの様相で不本意ながら自ら辞任せざるを得なくなった次第でした。

其の後、新会長人事では、森氏のチルドレンの一人とされる橋本聖子氏が国会議員(参議院自民党、北海道、元アイススケーター)兼務を条件に就任が決まりました。そして、4月25日には、国民の65%以上が五輪開催を望まない中、菅内閣が強引に開催を強行した次第でした。これでは、五輪は政治、政治家と距離を置くべしなど虚言の実態を証明したわけです。

その後、ワシントンポスト紙のIOC批判、その問題の矛先は、T/バッハ会長は「ボッタクリ男爵」との見出しの記事を世界に配信され、東京五輪IOCを評したキャッチコピーが今年の流行語大賞にノミネートされるに至ったのです

そして東京五輪は、COVID-19感染者が過去最大の波の中無観客という事態での開催を余儀なくされたのでした。この酷暑の中で病院にも入れず自宅待機で亡くなられた多くの国民のご冥福を心よりお祈りいたします。これも偏に政治家の社会、国民を顧みない不誠実な証拠でありました。またワクチンは、十分確保できていると大口を叩いていたワクチン担当相の実行力の無い虚言癖が今尚痛く耳の底に残っています。

9月上旬のパラリンピック大会終了後、マスメデイアを先頭にもう誰もが東京五輪を語らくなったのも此の度の東京五輪の最大の特徴であったと思います。読者の皆さんは、お気付きでしたでしょうか。

4兆円もの公費を投入し決算報告書の中身が問われる中、組織委員会の武藤事務総長は、赤字だと吠え、この赤字を東京都にと向ける丸川五輪相(通称:タマちゃん)、ハチャメチャの五輪執行部隊は、既に読者の知るところです。今後長野五輪同様に決算報告書の根拠となる書類が焼却されていない事を見守りましょう。多分今頃は、事務局内で数字合わせに苦慮し不誠実な帳簿操作に懸命になっている姿が目に浮かびます。

この様な中、日本政府に於いては、内閣総理大臣岸田文雄氏に交代し現在奮闘中です。中でも来年2月の北京冬季五輪への政府代表派遣問題で中国習主席に踏み絵を迫られる日本政府と岸田首相、中曾康弘氏スタイルの風見鶏と行くか否かの結論はまもなく出されることになるのでしょうか。

米国のNHL(プロアイスホッケーリーグ)は、不参加を決断しました。

筆者は、橋本聖子氏の冬季五輪への派遣は国会議員である事実から本人は行きたくても許可すべき人物には当たらないと思われます。此処は、五輪ボイコット反対の山下泰裕氏(JOC会長)が当を得た人選かと理解致しています

この様な社会の流れの中で既に、9月半ばから大学教育機関を揺るがすマンモス日本大学の理事、理事長の背任、脱税問題が日本のマスメデイアの注目の的となりました。今日結果として1名の理事が逮捕、そして先日理事長も逮捕、大学理事会では、恐々理事長の解任を決議、全理事の辞任を取り付けた次第です。現在理事長は、起訴されて検察、国税文科省と国民が注視する中どのような手打ち(治め方)がなされるか年を越しそうです。同理事長は、昨夜(12月21日)6000万円の保釈金を納めて20日ぶりに帰宅したようです。

この様な問題山積の中、またまた橋本聖子氏は、「札幌冬季オリンピック招致をIOC会長が応援してくれている」とのTPOを全く読めない、わきまえられない思考停止発言をマスメディアに告知し、国会議員として元オリンピック選手としての資質を国民と社会に知らしめた一例かも知れません。これも自民党、安倍派(旧森派)と北海道道民の民意の賜物でしょうか。

この様な本年の出来事からも、我々日本国民は、どれほど不安定な国体と社会情勢の中に位置しているかを認識し、今後の我が国の未来展望を教授された本年であったかと思うのは筆者だけでしょうか。2021年12月23日

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2021年12月23日 木曜日            公開

KファイルNO.171: 大学箱根駅伝は美化される実態と真逆の実態

無断転載禁止

目次

大学箱根駅伝を主催、共済するブラック・ボックス

1.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

大学箱根駅伝を主催する関東学連

 ■主催と共催の関係

 ■公益法人と任意団体の違い

 ■企業は何時から乗っ取りを計画?

 ■関東学連の実態

2.関東学連とは体の良いBLACK  BOXか

 ■代官様と越後屋の隠れ蓑

3.筆者の素朴な疑問と私見

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大学箱根駅伝を主催、共済するブラック・ボックス

1.関東学生陸上競技連盟の真の姿とは

大学箱根駅伝を主催する関東学連

先ず本大学箱根駅伝がどのようにして運営、管理されているかをスポーツ・アドミニストレイターの視点で述べるに当たり、開催要項から覗いて見ることに致します。

開催要項:

大学箱根駅伝

主催  :関東学生陸上競技連盟(略:関東学連) 任意団体

共催  :読売新聞社(2004年、箱根駅伝の商標登録権を読売新聞東京本社が獲得し

     後援から共済に移行)

特別後援:日本テレビ放送網株式会社(略:NTV)

後援  :報知新聞社

特別協賛:サッポロホールデイングス株式会社(サッポロビール株式会社)

協賛  :ミズノ株式会社 トヨタ自動車株式会社 セコム株式会社 

     敷島製パン株式会社

運営協力:東京陸上競技協会、神奈川陸上競技協会、名橋「日本橋」保存

     会箱根町 株式会社陸上競技者(2017年度学連要項より)

注:警視庁、神奈川県警:通常は、協力、支援として告知するべきですが、名称も告知

     されていない。尚広告代理店は、博報堂

ご参考までに、公益社団法人日本学生陸上競技連合は別の団体です。

 

■主催と共催の関係

大学箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(略:関東学連)という団体が主催し、読売新聞社が共催しています。また、主催団体は、法人資格を持たない「任意団体」であり、わが国においては「権利能力なき社団」と解釈されている団体です。しかし、共催の読売新聞社は、「箱根駅伝」の商標登録(第5565518号)を既に読売新聞東京本社が2004年に行い所有しています。本商標登録を加盟大学の同意を得ての登録か否かは不明です。また読売新聞社は、本商標登録を完了した年に後援から共催に格上げになっていますが、何故主催に名をあえて連ねなかったのか、興味深いところです。共済は主催と同格とされ名称が異なるだけです

公益法人と任意団体の違い

関東学生陸上競技連盟関東学連)は、独自に「関東学生陸上競技連盟規約」を発行しています。それは公益法人と任意団体との違いにおいて、任意団体は、「営利」「非営利」いずれも可能であり、任意団体には任意規約が必要です。また、役員の責任に関しては、規約に明記されておらず不明瞭な文体で「任意団体の規約に基づいて誰にどのような義務が課せられているか、その義務に違反した行為があるかどうか等による」との事です。読者の皆様は、ご理解できますか。筆者は、上記内容に関しては意味不明です。

余剰金の扱いに於いては、任意規約によるとされ、税制に於いては、収益事業課税対象になっているのかどうかも公開しないので不明です

★何故、関東学連は、公益法人ではなく、任意団体を選んでいるのか公益法人は、全てに於いて公開を義務付けられているのに対して、任意団体は、規約のみの開示で他の重要な情報の「開示義務なし」だからなのかもしれません。この事からも関東学連が、何故公益法人としないかの理由がこの辺りに潜んでいるような気がするのは筆者だけでしょうか。

大学の教育の一環、延長線上に位置するはずの本箱根駅伝の運営、管理が、何故不透明で責任の所在の無い任意団体を今日まで続けているのか。大学内の同好会組織の方が純粋で経理は、関東学連より遥かに明朗です。

■企業は何時から乗っ取りを計画?

読売新聞東京本社は、2004年から「箱根駅伝」の名称を独自に商標登録し、後援から共催と格上げしました。これは、読売新聞東京本社の持ち物であることの証です。関東学連は、読売新聞東京本社に「箱根駅伝」の商標登録の使用許可を受けなければならない主催者となったのです。よって、読売新聞東京本社は、関東学連に対して「箱根駅伝」の使用料を請求できる立場と権利を持っているのです。この事を名目として関東学連は、莫大な金額を毎年支払っているのかも知れません。もしそうであるならば、これは重大な問題でないかと危惧致しますが、如何でしょうか。丁度東京五輪を例にすれば、主催者の関東学連は、IOC読売新聞東京本社)から大学箱根駅伝大会開催の委託を受けた委託業者に当るのかもしれません

業界では、本関東学連に対して何十年も前から経理に関するグレーな噂が絶えない理由の本質が此処にもあるのかも知れません。

筆者は、読売新聞社の心変わりの大きな根拠の一つに紙媒体の限界により数十年前まで渡辺恒雄会長が発行部数は1000万部で世界一と大声を張り上げていた時代は去り、今日では500万部を既に割っているとの業界常識になっている事からも、既にKファイルNO.163,164の中で山口寿一新社長が内部の幹部会で本年6月に檄を飛ばした、「今後事業を如何に拡大し収益事業に変革させるか」のテーマの収益事業の中核に東京読売巨人軍を置き、本大学箱根駅伝が先ず最初に読売の私物化に成功し、次なる獲物を狙っているそれが春夏の甲子園大会であるのかも知れないとkファイルで推測した次第です。読者の皆様は、この様な発想をお持ちでしたでしょうか

関東学連の実態

本任意団体は、大学と言う教育機関とその学生及び学生選手達の大会を主催し、事業(ビジネス)として、経営、運営、管理している団体(有給事務職員2名のみ、全ての役員及び関係者は、無給と規約上は明記)です。

関東学連規約をご確認して頂けたと思いますが、本連盟は、学生の自治により運営、管理される事を目的にしています。しかし、実際に運営、管理に携わっているのは、大人達であり、学生達は、重要な議案、金銭に関わるビジネスは直接的な関与、自治をさせてもらえていないのが実状です(学連担当幹事のコメント)。連盟規約①~⑳迄は、一般大人が全て関与している構造と仕組みになっていますが、これでは、学生の自治団体とは言い難い実態と思われます。

規約第3条の目的には、「本連盟は、関東における学生陸上競技界を統括し、代表する学生自治団体であり、学生競技者精神を尊重して加盟校相互の親睦を深め、互いに切磋琢磨して競技力向上に努め、わが国陸上競技の普及、発展に寄与することを目的とする」となっています。

参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

先ず此処で、注目したのは、「学生の自治団体」という文言です。素直にこれを理解致しますと、「関東学連は、加盟大学の学生達の手に寄って運営、管理がされている団体である」、と理解できます。しかし、実態は、上記関東学連規約を拝見致しますと、学生達は、連盟の幹事という肩書を与えられた補助役員、バランテイアー活動的な駒でしかない事が容易に理解できるのです。

その証として、規約に明記されている重要決議の会議、委員会の構造、役員は、大人達によって仕切られており、学生達の入る余地がない仕組みと構造になっているのです。参考:関東学連役員名簿

URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/member.pdf

筆者は、学生の自治団体を装うならば、最低限の法人資格を取得して運営、管理が行われるべきであると思いますNPO法人は、最小限の責任者や責任の所在が明らかで、事業部門の大事な収入、支出の財務管理問題は、クリーンに各大学、社会、学生達に情報公開できるのでないかと思います。本法人でありましたら、本来の学生達の自治活動として教育的にも素晴らしい実践演習活動及び、インターンシップが十分可能な環境であります。

2.関東学連とは体の良いBLACK  BOXか

■代官様、越後屋と岡っ引き達の隠れ蓑

事業(ビジネス)が巨大化したにも関わらず、主催者の組織、団体は、2名の有給職員により賄われ、他の役員全員が無給であると規約には謳われています。この組織、団体には、各大学の学生選手、学生達が参加するに於いての責任の所在と財務管理の全てが情報公開されない。多くの純粋な学生選手達は、仮に本競技大会参加中に不慮の事故が発生した場合は、競技規則によると自己責任となっています。それでは、学生選手を商品として、またバランテイアーとして活用するに当たっての彼らへの対価はなにか。これは、素朴な現実的な重要な疑問です。任意団体なので「情報開示の義務なし」とは、なんと無責任な団体に加盟大学は、学生達の大会運営、管理を委ねているのか大きな疑問ですが、誰もが疑問を唱えないのは何故なのでしょう

このような組織、団体に日本の最高学府である大学法人は、何故このような公共性を欠いた任意団体を認め加盟しているのか理解に苦しむのは筆者だけでしょうか。

箱根駅伝は、大学教育機関とそこに所属、教育を受ける学生達をスポーツ・ビジネスに活用した、大人たちが構築した「BLACK BOX」ではないかと思えてなりません。学生達の純粋な情熱をサポートする為にもフェアーで透明性のある公益法人に移行し、全てを情報開示できる構造とシステムが教育界に相応しいと思われます。本来我が国の大学競技スポーツ界には、談合文化は不要です。

■ドル箱イベント

何れにしましても日本の大学競技スポーツのイベントで一番お金が儲かるイベントである事に違いありません公益法人の改善、改革が騒がれ、時代の流れと共に大きく各組織、団体が変革しだした今日、関東学連は、このような任意団体を継続して情報開示を拒んでいる理由が彼らの規約の中に明記されていない事は重大な問題であると思われます

箱根駅伝の総事業規模は、業界(テレビ、広告代理店、企業スポンサー、等の類似した他の大会と比較して)の試算で約10億円前後、と言われています。次回は、本スポーツ・ビジネスの裏側を覗きたいと思います。この度は、主催者が公益法人でなく「権利能力なき任意団体」であること、「事業の情報開示義務なし」をご紹介出来た事です。読者の皆様は、大学箱根駅伝がこのような組織・団体により経営、運営、管理が長年に渡りなされている事をご存知でしたか。

3.筆者の素朴な疑問と私見

企業に横取りされた大学箱根駅伝の商標権は、主に大学箱根駅伝の主催、共済の関係とその現実、現況に付いてご紹介、説明をさせて頂きました。筆者は、特にこの論考の中で何故これまで後援であった読売新聞東京本社が突然2004年に「箱根駅伝」名を商標登録して企業財産とされたのか。この所業は、任意団体の関東学連(権利能力を持たない)の誰が承認したのか。加盟大学は、オーソライズし承認したのか。読売新聞東京本社は、独自に商標登録をしたのか。本件は、筆者ならずとも各加盟大学経営・管理者、学生、学生選手、教職員、卒業生達はこの重大問題をどのように理解しているのか。素朴な疑問を持たざるを得ない商標権登録に関する疑問であります

筆者の私見として申し上げますと、此れでは、大学箱根駅伝読売新聞東京本社に伝統的に構築、使用してきた「箱根駅伝」名を売却してしまったと同じ事になってしまっているのではないのでしょうか

読売新聞社の了解なしに「箱根駅伝」名は、使用できないことを関東学連の大人たちは理解している事になります。そして、大学箱根駅伝の営業収益の莫大な余剰金は、箱根駅伝の商標権料として読売新聞東京本社事業局に支払っていても全く不思議でない構造が構築されてしまっている事を意味します。加盟大学は、このような学生選手をCOREとした大学競技スポーツ・ビジネスを何故コマーシャル企業の手に渡してしまったのかこの莫大な毎年の収入を何故文武両道で努力する加盟大学の優秀な学生選手達の支援金(奨学金)として活用する知恵を持たれなかったのかと残念至極と申し上げざるを得ないのですこの構図が事実であるならば、「箱根駅伝」の商標登録を許可した方々は、大学箱根駅伝を構築してこられた各大学の諸先輩方に対して大罪を犯したと申し上げても過言でないと思われますが、読者の皆様はこの現実を理解し同意されますか。或いは、無関係だと無関心を装いますか。

 

文責者:河田弘道

スポーツ・アドミニストレーター   

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)

紹介:Gファイル(長嶋茂雄と黒衣の参謀)文芸春秋社 著 武田頼政

   KファイルNews、Kファイル

お知らせ:

次回は.新年1月13日、木曜日を予定しています。皆さんのご存じでないパーツをご紹介致したいと予定しています。今後大学の理念、大学競技スポーツの大義、趣旨、目的は、いったいどうなるのでしょうか。

外国人助っ人の良い選手には、年間1000万円以上が購入価格で必要相場とされています。それらは、どの選手に当るのか正月の外人選手に注目下さい。札束を眼前にぶら下げれて箱根路を走っている姿を想像して下さい

このような事がマスメディアの美談の裏で大学経営者、教育者、指導者が平然と行う実態を視聴者はテレビの前で何を思考されえいるのでしょうか。日本人の27分台の選手達は、幾らで大学に買ってもらっているのでしょうか

注:引用文献及び資料:今後、関東学連規約(本規約は公開)は、連盟規約を引用させて頂きます。参照URL:http://www.kgrr.org/about_iuauk/kiyaku.pdf

 

KファイルNO.170:私大教育機関で増殖する悪代官と越後屋達

KファイルNO.170:私大教育機関で増殖する悪代官と越後屋

無断転載禁止             毎月第一、第四木曜日掲載

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読者からの便り

河田弘道

 この度お便りさせて頂くのは、二度目です。前回はKファイルにご紹介下さり身に余る思いで感激しました。小職は、現在スポーツ紙に勤務しデスクの顔色を見ながら原稿を書くサラリーマン記者です。デスクは、その上の編集責任者の顔色を伺いながら媚びへつらっている様子が今も目に入ってくる仕事場から自分のスマホでお便りをさせて頂いています。この様なことからジャーナリストとは程遠い自分に嫌悪感さえ抱いて居ました時、丁度数年前でしたかKファイルなるスポーツBLOGにSNSを通して出会った次第です。

 Kファイル、即ち河田様は、スポーツ記者として長年社内で葛藤を続けていた自分に明快な指針を与えて下さいました事に先ず感謝申し上げます。どうして自分達が書く、書いた原稿と河田様の原稿の表現、語彙の選択、強烈なパッション、人を引き付けるカリスマ的な魅力、等々と真似できるレベルでない事を思い知りました。私は、毎回Kファイルを拝読させて頂いております。また、今日では、日々発信されています「KファイルNews、 Comment by Hiromichi Kawada」なる短いコメントは非常に鋭く研ぎ澄まされた刃をポイントに鋭い手斧を打ち込む非情さも加味され、非常に人を魅了する筆力にのめり込んで行きます。僭越ですが、河田様はこのような文才力をお持ちであられる事をご自身はいつお気づきになられたのでしょうか。

ファイルは、質、量ともに毎回スポーツに関する論文、論考の中でもこれ程群を抜いた迫力ある内容は過去に例がないと敬意を表します。先だってもKファイルの話題が我々の仲間内でも語り合いました。Kファイルの読者は、内外に渡り月間数万人、いや数十万人の読者がアクセスされている事も存じ上げています。しかし、毎回数えるくらいの方々しかKファイルに「いいね」のクリックがされていない不思議が話題になっています事をご存じでしょうか。そこで我々は、この現象に興味を持ち社内広報分析室で分析させてみましたので、お気を悪くされないで下さい。

統計的には、読者の大多数は、毎回の論文、論考を真摯に拝読している事も確かに分かりました。また、毎回首を縦に振りながら拝読しています。このKファイルは、多分膨大な数の人達が吸い込まれるように熟読している事を誰もが想像できます。しかし「いいね」をクリックする為にカーソルを当てるに至らない、それは自分自らの実名が公になる事を恐れているからである事が分かりました。心の狭い自己中的な人間がこの国には増殖している今の世の中を象徴していると私は思います。

私も仲間達もみんなKファイルのファンですが、恥を忍んで申し上げますと「いいね」クリックに躊躇する一人です。河田様は、多分熟慮されて意図あって公開して下さっているのに自分自身が情けないです。我々のような類の人間が日本のスポーツジャーナリストだと肩書を持っている事事態が、河田さんのスポーツ・アドミニストレイション、アドミニストレイターの邪魔をしているんだと思う今日です。それは、マスメディアの組織で禄をはむサラリーマンの悲しい会社の飼い犬だからです。ご理解ください。

この時節、国民、社会の政治への不信は、日々増幅するばかりです。しかし、Kファイルは、多くのマスメデイアの報道、記事では満たしてくれない人々に正義とフェアネスの必要性を一貫してスポーツの話題を通して誠実に教えて頂いているように思います。

Kファイルが多くの読者に共感を与えてくださるのは、河田様が幾度もの修羅場を通して実践キャリアを基にした史実に基づいた事実を書かれているからだと思います。「いいね」をクリックできない読者を代表してこの度勇気を持って二度目のご報告とさせて頂きました。何もお役に立てないのが悔しいです。

河田様の勇気と決断の足元にも及びませんがご理解下さい。このような時節柄、毎回のKファイルの公開日を指折り数えてお待ちしている国民も居る事をご理解下さい。更なるご健筆を期待致しております。

新聞社、通信社、週刊誌記者、TV関係部署、等々は、河田様の発信原稿を目を皿にして覗いています。また、教育界の大学教員達は、それぞれ姑息な手段で貴兄の知的財産を勝手に自分の言葉に替えて学生達、自身の寄稿文、論文にパクリしている始末です。それでも河田様は、自身の知的財産を惜しげもなく公開されて我々に分け与えて下さり学ばせて下さることに感謝申し上げます。

一般読者は、河田さんがあの長嶋ジャイアンツのメイクミラクル、メイクドラマの黒衣の参謀であられたなど知る由もないのがまた不思議です。

読者より(スポーツ新聞記者氏)

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紹介~

KファイルNews  Comment by Hiromichi Kawada​

スポーツ・アドミニストレイター

福岡国際マラソン:75回大会は2021年12月5日幕を閉じた

関係者の皆様は、大変お疲れ様でした。今回を持って福岡国際マラソン選手権大会は、長い伝統と歴史に幕を降ろしました。筆者は、何度も小雪の舞うこの季節に福岡にお邪魔したあの頃が懐かしく思い出されます。当節は、お世話になりました。

此の主因は、主催者、後援者、関係者達がエリート選手のみの大会への思いとステイタスを重視し、長年の伝統にしがみ付き、時代の流れと価値観に大きな読み違いをされた事だと思います。世界の主要マラソン大会は、既に半世紀前から市民マラソンが主流となり、一般参加者から参加料を取り日本の伝統的なマラソン大会(男女別のマラソンエリートのみがエントリーできる)とはコンセプトを異にしていたのです

主催者の日本陸上競技連盟 朝日新聞社 テレビ朝日 九州朝日放送は、本イベントを支える財政的な担保を失い支援ができなくなった事です。そして、この競技大会は男子のみのレースであった事です。ご存じの通りその昔からマラソンは、優秀な持久力を主体とする選手達の競技スポーツの代表格がマラソン競技でした。しかし、本競技もスピード化へと大きく舵が切られた競技となった次第です。そのことから日本人選手のスポーツ生理、解剖学的な知見からスピード化なるマラソン競技に着いて行けなくなりました。それにもまして、日本式トレーニングは、欧米のスポーツ医科学を主体としたトレーニングに対して、伝統的な根性(精神)論主体の指導方法が長年指導者にも選手達にもしみ込んでいるのです。

今日では、大迫 傑(すぐる)選手のように国外のスポーツメーカーのスポンサーを得て、トレーニングに於いてもそのスポンサーの現地トレーニング施設で医科学的なサポートと新開発された厚底シューズの最新試作品を着けてのレースで、日本人でありながら次々と日本新記録を打ち立てたのはつい昨年、一昨年と日本人選手も出てきている今日です。しかし、殆どの選手達は、国内レベルでの競い合いで国際での成果、結果が難しいのも事実です。

この様な現実から、本福岡国際マラソン大会に出場する日本人選手は、明らかにアフリカ選手の後追いとなり、TV、スポンサーの評価価値をカバーするに至らなかったのも大きな要因の一つでもあります。全ては、複数の因果関係が重なり合いこの度の幕が降ろされた結末であったと思います。

その他の主な要因は、本大会を放映するTV局の視聴率がじり貧となった事です。即ち視聴者が興味を持たなくなったことです。それに伴いスポンサー(TV局、特別協賛スポンサー)は、その商業価値を見いだせなくなったことです。もう日本の競技スポーツは、新聞社、TV局が主催する時代は既に過去の歴史となっている事に早く気付くべきであったと思うのは筆者だけでしょうか

第75回福岡国際マラソン選手権大会

主催: 日本陸上競技連盟 朝日新聞社 テレビ朝日 九州朝日放送

後援: 福岡県 福岡県教育委員会 福岡市 福岡市教育委員会

国土交通省福岡国道事務所 日刊スポーツ新聞社

主管: 福岡陸上競技協会

支援: 福岡県警察 陸上自衛隊第4師団・福岡駐屯地

特別協賛:マイナビ

協賛: ホカ オネオネ

協力: シチズン時計、SUBARU

注)伝統ある琵琶湖毎日マラソンは、第76回を持って幕を降ろしました。尚、同マラソンは、大阪マラソンに2022年より統合されました。

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目次

KファイルNO.170:私大教育機関で増殖する悪代官と越後屋

箱根駅伝は受験生争奪の広告塔化

Ⅰ. 理念無き大学競技スポーツ

  ■はじめに

  ■スポーツを囲む社会情勢

  ■学生選手の教育を蔑ろにする経営・教育者と利権を漁る政治家達

  ■帰属権と既得権

まとめ

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2021年12月9日 木曜日 公開

KファイルNO.170:私大教育機関で増殖する悪代官と越後屋

Ⅰ. 理念無き大学競技スポーツ

箱根駅伝は受験生争奪の広告塔化

■はじめに

本年もまた師走が訪れました。毎年12月が来ると年末年始の到来を告げる大学駅伝の話題がマスメデイアをにぎわします。Kファイルは、この時期に大学箱根駅伝をリマインド連載でお届けしておりますが、この度もまた多くの読者の皆様からのリクエストの声が届いています

今年も各テーマに修正と加筆をして、読者の皆様にはより内容を濃く理解し易すく改善に努めたいと思います。本Kファイルが日本の大学競技スポーツ、学生選手、大学に取りまして不健全な実態から少しでも健全な方向に向かう事を祈念致しております。本Kファイルでは、毎年警鐘を鳴らしていますが主催者、共催者、所属大学では全く馬耳東風の様です。

■スポーツを囲む社会情勢

箱根駅伝は、毎年正月の2日、3日の両日早朝7時から午後2時まで長時間に渡ってテレビや、ラジオで実況中継されるほか、SNSの動画、記録配信、等国民的な行事に発展、注目されている事は読者の皆さんもご承知の通りです。

近年日本は、複数の隣国が現在まさに国土を侵食しようと機会を伺い足元に迫って来ています。筆者は、箱根駅伝を正月に視聴しマスメデイアに酔わされている国民、社会を肌で感じるにつけ、我々は、大学箱根駅伝どころでない差し迫った亡国の危機をどうするか真剣に若者達の次世代を思うにつけ、我が国の政治、政治家、社会、教育界の危機感と緊張感の欠落が気がかりです

私は、米国内の事情を鑑み日米安全保障条約がこのままいつ迄も継続されるとは思いません。米国の駐留軍が我が国を引き上げたら、この国はどうなるのだろうと現実味を帯びてきた昨今を思うにつけて心配の種は増幅するばかりです。我々日本国民は、如何するべきか。この議論を国民、社会、国会、マスメデイアは、積極的に語ろうとしない、論議もしようとしないで日本国の防衛装備増強の購入議論などは、目先の誤魔化しにしか過ぎません。「歴史は流転する」と申します。「平和日本」は、既に政治家、政治力の貧困から狂い崩れ始めているのはスポーツ界同様なのではないでしょうか。侵略国は、現在日本の領土に上陸する事を虎視眈々と戦略から戦術に移行している事に正面から向き合う事が正論です。香港、台湾の次に差し迫った現実です。嘗ての侵略国は、これからは侵略される立場に今立たされようとしているのです。

■学生選手の教育を蔑ろにする経営・教育者と利権を漁る政治家達

今回は大会を経営、運営、管理している主催団体をスポーツ・アドミニストレイションとアドミニストレイターの視点から観察、洞察して参ります。

我々は、テレビの実況に気を取られている間に、何時しか重要な実態と真の伝統的な大学、学生、学生選手達の遺産がビジネス企業の手に渡ってしまったのではないかと危惧致します。これらは、まさに我が国の国民、社会が平和で浮かれている間に隣国に領地を奪われて行く構図に酷似の状態のように思えてなりません

 

 筆者は、日本の大学競技に必要なスポーツ・アドミニストレイションの貧困の弱点を狙った利権の略奪行為が行われた現実を見せられた思いがします。もしこの行為に加担した教育界関係者、大人達が居るとするならば、学生達を食い物にした大罪人と言わずして何と申しましょうか。この大人達の行為により、学生、学生選手達は、商品となり、主従関係が逆転してしまっている事に学生及び学生選手を預かる大学も見て観ぬふりなのか、加担してしまっている現実、今日のような舞台裏が構築されてしまったような気がしてなりません。

大学競技スポーツが学生達の自治活動、自治運営とするこの隠れ蓑的な看板は、即外す事が正直で必要ではないでしょうか

教育を趣旨、目的とする筈の大学競技スポーツは、その本質が事業(ビジネス)に偏った方向にミスリードされてしまっていると思われます。その意味で、国から毎年私学への莫大な助成金補助金の必要性とその在り方が問われる時期に来ているのではないのでしょうか。文科省は、先ずこの私学助成金補助金とは何なのか、そして各私大への毎年の交付金額を情報公開する必要が不可欠です。この情報公開により、文科省内、各私大内での活用と不正に襟を正す事が重要です。また、文科省は、長年の本助成金補助金に絡む私大への「天下り人事」は即禁止すべきです。本件に関する事件は、この人事にも大きな大罪が隠れているのです。

近年に於いては、大学教育機関に事業部と称する株式会社を設立して、営利事業を始めている事はマンモス日本大学の此の度の事件により、漸く国民社会の知るところになった次第です

競技スポーツに関わる大学関係者は、教育という本質を見失い、何でもいいからテレビに出たい、有名になれ的な風潮が極端になってしまった産物の様です。

そして、その為には、身体能力の高い選手達を手段選ばず安易にお金の力を利用して内外からリクルートして来る次第です。このような学生選手獲得資金は、いったい大学は何処からどのように捻出されているのでしょうか。まさか公金の私学助成金補助金が学内で流用されていない事を願う次第ですしかし、そのような事は、無いと断言できないのは誰も助成金補助金の詳細の意味を理解しない、公開しないからです。このような現実は、既に大学競技スポーツの教育秩序を崩壊させている危険な状態である事を誰もが気付こうとしないのが、重要な課題と問題だと思います。

ここ数年大学競技スポーツが突然話題になりましたが、現在はこの話題も消滅してしまいました。真に論議しなければならない本質的な問題をどう解決、処理して行くのか、避けては通れない事を関係者達がどれほど理解認識出来ているのでしょうか。この問題に大学関係者、国民、社会が全く無関心である様子は、丁度近年の我が国の選挙民と国会議員の関係とその選出、運営、管理の関係にも酷似しているように思えます

■帰属権と既得権

読者の皆様は、本箱根駅伝が「何処に帰属し、既得権は本来何処の誰にある大会なのか」を考えられた事がありますか。勿論、「各加盟大学でしょう」と純粋にまだ思っている大学関係者、読者の皆さんがいる事を願う次第です。この重大なキーワードを各大学の経営者、管理者、また、大学設置を許認可した文科省スポーツ庁)の見識者諸兄は、どのように考えられているのでしょうか。

文科省(元文部省)、スポーツ庁は、何故、このような事態に至る以前に指導、勧告を加盟大学に行わなかったのか、これもまた不思議な教育機関の省庁と言わざるを得ません。彼らは、多分何も思考した事がないか、政治家への忖度からか省庁は、何も言いたがらないかだと思われます。或は、インボルブ(首を突っ込む事)することを避けてきた様子も伺えます。これも省庁、官僚達の大学への天下りの悪循環が支えている利権の構造的な弊害なのかも知れません

まとめ

 この度のNO.170では、最初に「読者からの便り」、「KファイルNews」を紹介させて頂きました。東京五輪の終了、疫病の下火と国民・社会は、ホッと一息する間もなく、私学日大の背任、脱税事件での逮捕劇に火が点き国内のマスメディアが一斉に、堰を切った如く報道を始めました。これも日本のマスメディアの特徴で、今まで全く話題を避けてきた本件に対して「皆が一緒に渡れば怖くない」的な心理状態の様です。情けない限りです。日大問題は、教育機関のタブー視されてきた問題、事件でこれに酷似の現在日本の中小規模の私学には質の悪い教育者を名のる悪代官とそれを補佐する越後屋さんが星の数ほど増殖していいる現実を見逃してはなりません。これらは、国の根幹に必要で不可欠な「JusticeとFairness」の欠落が大学アドミニストレイションを悪の組織に走らせている大きな要因となっているように思えてならないのです

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使:Emissary of the Sports

紹介:G file「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著:武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:本年も残りわずかです。北京冬季五輪は、国際情勢に翻弄されています。読者の皆様は、どうか問題の本質を見失う事の無きようお願い致します。次回をお楽しみに。