KファイルNO.165: 日本代表選手の現実とフェアネスの必要性

KファイルNO.165: 日本代表選手の現実とフェアネスの必要性

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日 公開予定

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東京五輪を終演して、

2020年東京五輪は、2013年五輪招致活動から始まり2020年3月のCOVID-19の蔓延に伴う「7月23日開催か延期か中止か」の選択を国民、社会を巻き込んだ決断を迫られました。そこで、最終的には、昨年安倍晋三首相の決断により2021年7月23日に延期するに当たり新たなスローガン「人類がコロナに打ち勝った証し」を提示し、「完全な形での東京オリンピックパラリンピックを開催する事をお約束します」と内外に大見えを切ったのでした

その後、東京五輪・パラリインピック組織委員会(略:TOCOPG)は、森喜朗会長の暴力(女性軽視のパワハラ)スキャンダル、理事、中核役員達の暴力(セクハラ、不祥事)から意味不明な女性理事の追加登用と、相次いでの貧困なアドミニストレイションを露呈し、東京五輪丸は東京湾を漂流し始めた次第でした。このころから主催都市の東京都知事小池百合子氏は、まるで東京五輪の主役から私は降りたとばかりの無関心を装う態度を示し始めたのでした。このような状況下において、橋本新会長は(TOCOPG)は、世界、国民、社会に公約(私は2021年3月25日までに再度開催か中止かに関する判断と決断をスポーツ医科学的な知見を持って説明します事をお約束します)と断言しましたが、履行できず約束を反故にした次第です

この状況下を見て取り自民党政府は、東京都、TOCOPG、JOCの体たらくを逆手に取り、菅新首相の手柄にとばかり国内五輪のイニシアチブを実質は内閣府に移行、その長である菅首相が前面に出て「東京五輪は安心、安全に開催する」と何の根拠も説明もなく世論(70%開催否定)を強行突破したと筆者は肌で感じたのです。これで国民、社会は、騙し討ちに合った衝撃に陥った。

しかし、COVID-19は、その後も終息どころか第3波、第4波、第5波と勢いを増し緊急事態宣言が連続して発令される中、昨年春の五輪開催、延期、中止の判断時とは、全く異なる異常な危機的状態を7月23日の開会式へと、国民・社会を安心、安全とは真逆な方向にミスリードしてしまったのでした。

筆者の本件の結論は、2020年東京五輪開催招致を手掛ける前に「日本国民に東京五輪招致開催に関する賛否のコンセンサス」も得ず、国会議員連盟都知事JOCが政治家の為の政治家による招致活動に手を染めたことが最後まで取り返しのつかない国、国民、社会に損害と精神的ストレスを与えたと考える次第です。五輪開催の有無は、アスリート、IOCJOC、各競技団体だけの物でなく、国内に於ける公正な手順を踏み国民、社会のポジテイブなサポートが有って初めて成立する国際イベントであると確信致します。ましてや、政治家達の金儲けや売名行為の道具で在ってはならないのです。東京五輪の後始末もこれから始まろうとしている最中に、心無い国会議員達は、札幌冬季五輪開催を声高にマスメデイアに書かせ始めている次第ですが、もうこれ以上国民に負担を強いる五輪開催は勘弁してほしいと願うのは筆者だけでしょうか。

目次

KファイルNO.165: 日本代表選手の現実とフェアネスの必要性

海外マスメデイアを驚嘆させたWhat,Why,How?

Ⅰ. 大切にしたい伝統文化と母国語

      はじめに

2020年東京五輪聖火台に立ったのは大坂なおみ選手

     ■聖火台に立った大坂選手に思う

     ■大坂なおみ選手の国籍問題

     ■海外マスメデイアの論点

     ■それでは、何が問題なのか

Ⅱ. 筆者の素朴な疑問と私見

     ■大義無き東京五輪の終演

     ■筆者がイメージした最終聖火ランナー

     ■1964年東京五輪最終聖火ランナー選出コンセプト

まとめ

 

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2021年9月23 日                  公開

KファイルNO.165: 日本代表選手の現実とフェアネスの必要性

無断転載禁止

海外マスメデイアを驚嘆させたWhat,Why,How?

Ⅰ. 大切にしたい伝統文化と母国語

はじめに

近年急速な勢いで日本人アスリートに大きな変化が国際大会を通して表面化して参りました。しかし、TV、マスメデイアは、本件には触れようとしない触れたがらない実態が顕著なのも事実であります。これは、国民、社会に於いてもまた読者の皆さんの中にも既に気付かれ違和感をお持ちの事とお察し致します。この実態は、この度の東京五輪により国内外に日本の代表選手が様変わりした現実を目の当たりにした事を米国の大手マスメデイアの友人から「崩れ行く日本人の伝統が寂しい」と指摘され、何か複雑な思いを抱きました。

KファイルNO.165では、このタッチー(touchy:扱いにくい、厄介な)なテーマに誤解を恐れず触れさせて頂きますのでご容赦いただけましたら幸いです。尚、筆者は、スポーツ・アドミニストレイターとしての視点で現在既に日本国内の教育界、スポーツ界現場で起きている諸般の重要な問題、障害を少しでも無くし、フェアーな共存する環境と社会を構築して頂きたい事を期待して述べさせて頂きます。

何故なら嘗て筆者は、今から約50年前に米国に渡り白人社会の大学に職を得て勤め始めたころ、白人社会から肌色の異なる私に対する何か異質な冷たい視線と感情が至る所で感じる経験をさせられたことが蘇るからです。私は、自身を採用して頂いた大学に対して、成果と結果を出し初のNCAA(全米大学競技スポーツ協会)主催の競技スポーツでチャンピオン盾と全米にTV、マスメデイアを通して告知された事により、翌朝から白人社会の大学で今まで敵であった視線を味方に変革した辛かった時期の思い出があります。これで漸く白人社会で認められたという不思議な感情を今尚心の奥深くに焼き付いています。

本編では、決して偏見、差別、等に関する他意は無い事を先ずはじめに申し添えさせて頂きます

 

2020年東京五輪聖火台に立ったのは大坂なおみ選手

■聖火台に立った大坂選手に思う

筆者は、この光景がTV映像を通して確認した時、脳裏に最初浮かんだのが2019年ワールドカップラグビー日本大会での日本代表選手の大半が肌色の異なる外国人選手であった事に目を疑った記憶が蘇りました。

そして、次なる思いが心を痛めたことを思い出します。それは、この舞台を夢見て幼少期から人生を掛け努力の日々を強化向上して来た日本人選手の心中を察するに余るものがありました。

これは、国際ラグビー協会が認めたルールで勝たんが為の手段と言え、身体能力に恵まれたプレイヤーを外国からリクルートし企業テイームに面倒を見させ国籍を与え日本のパスポートを本人及び家族に与えてこの舞台に立たせることで、何名の日本人選手達がそのポジションと仕事場、夢と希望を奪われているかを思うにつけ、悲しい日本のラグビー界の現実を垣間見考えさせられました。これでまた何人のジュニア―達、父母達がラグビーへの夢と希望を放棄した事かを思うとこれでよいのかと思わざるを得なかった次第です。この協会の会長氏は、かの東京五輪で有名になられた森喜朗氏(元日本国首相、文部大臣、石川県選挙区出身)であった次第です。

しかし、国民、社会は、日本代表テイームが勝利する事で勝利に酔い日本人選手の心の痛みも将来の指針、プラニングも話題もしない関係者、マスメデイアが現存するのも事実です。読者の皆さんは、どのようにこの現実を消化されていますでしょうか。

大坂なおみ選手の国籍問題

大坂なおみ選手は、1997年、大阪中央区で日本人母の環さんとハイチ人の父の間に誕生しました。そして、彼女は、3歳のとき一家はアメリカのニューヨーク州ロングアイランドに移り住んだと記録されています。それ以来、大坂選手はずっとアメリカ(現在はフロリダ州)に住んでいます。

大坂選手は、上記ラグビー選手達とは異なり母親が日本人であり、生まれは大阪ですので日本国籍を有し、父親が米国籍を持っていましたので米国にも国籍を有する即ち二重国籍であったのです。

しかし、日米に二重国籍を有する人達は、日米間の条約、法律により、成人した20歳の誕生日から数えて22歳になる誕生日前迄に米国の国籍を選ぶか、日本の国籍を選ぶかの判断を自ら行い、届け出を行う義務があるのですそこで大坂なおみ選手は、2019年10月16日(誕生日)以前に先ず米国籍を放棄する手続きを行い、日本国籍の承認を得た後日本テニス協会JOCに五輪出場の条件を満たす書類を提出された筈です。これにより、彼女は、晴れて日本人国籍を有し日本での教育を受けていない、母国語を日本語としない日本人が誕生したのです。これで法律的には、何の問題も無く晴れて日本人として承認されたのです。しかし、現実的には、彼女が日本に今後住居を構えて新しい家族と生活されるとは考えにくい、と私は推測します。そして、彼女が米国人と結婚し米国市民権(国籍)を取得し、米国人に復帰する可能性もあると言う事です。

この前例から今後、大坂選手の様な日本を代表するレベルのアスリート達は、日々増してくる事は必然です。これに伴う日本人としての居住の問題、母国語としての日本語の問題、日本国民としての言動、人種差別等を含んだ行動規範(政治的を含む)、等々による内外で引き起こす諸般の問題を如何に日本国民として理解し、調和、共存して参るか問題は山積しています。

大坂なおみ選手は、東京五輪では3回戦で敗退しその後米国に帰りました。年間日本には、何日居住しているのでしょうか。大坂選手の年間所得は、56憶円とも言われています。そしてその中には、この度の東京五輪のメインスポンサーの企業が複数社彼女のスポンサーにもなっている次第です。

国民の義務である税の納付は、どうなっているのでしょうか。国とスポーツ界は、日本人と国籍の定義を今一度国民と社会に明文化し理解できるよう情報公開が必要かと思われますが、如何でしょうか。

■海外マスメデイアの論点

大坂なおみ選手は、米国籍を放棄し日本人となって約10カ月後に2021年東京五輪開会式の聖火台に立った次第です。この事実を基に海外マスメデイアは、驚嘆し批判、反論、擁護の激論が交わされたのでした。

日本のTV.マスメデイアは、東京五輪組織委員会(略:TOCOPG)が聖火最終ランナーとして決めたことであり、特に大手マスメデイアは、組織委員会のスポンサーでもある事からも本件を論じない立場にあるようで、海外では英字での論争が過熱していた次第です

★一例:

   オーストラリアの日刊紙「オーストラリアン」電子版が2021年7月24日に公開した記事が波紋を広げました。「大坂なおみは日本人なのか?」文責は、オーストラリアのスポーツジャーナリスト、ウィル・スワントン氏。

彼は、同国では有名な記者で素晴らしいプロフィールの持ち主です。記事では、大坂なおみ選手を東京オリンピックの最終聖火ランナーに選んだことは「間違いだった」と主張。これに対して、各国(米国、英国、台湾、中国、その他)の大手メディアから記事への批判、擁護、反論が続出しているのです。

大坂選手が最終ランナーとして聖火台への灯火を終えた直後のコメントは、「間違いなく、私がこれまでに経験したことのない最高の運動の成果と名誉です。今の気持ちを表す言葉はありませんが、今は感謝と感謝に満ちていることは知っています。愛してる。みんなありがとう」と述べています。筆者は、この感謝のコメントは彼女の賢明な言葉で表現した本心であると信じたく思います。

■それでは、何が問題なのか

大坂選手が最終ランナーとして聖火台に立つ事が決定する迄、紆余曲折があった事情は、読者の皆さんは気付かれていたかも知れません。問題の根源は、東京五輪組織委員会の開会式プロゼクトの統括責任者が複数回不祥事を起こすたびに解雇、辞任とそのたびに本最終ランナーの人選が変更なっていたようです。云わば、最終聖火ランナーは、ノミネートされて決まっていた最終ランナーが責任プロデユーサーの不祥事により取り消され、最後時間切れで彼女に出演依頼をしたというのがどうも正直な状況だったようです。

その根拠と証は、7月27日のテニス競技第一試合に出場の組み合わせ、対戦相手も確定していたにも関わらず、大坂選手の最終聖火ランナーが急遽決まった為に出場試合まで変更したことにより対戦選手にとっては偉い迷惑であったに違いない、とも言われています。よって、この最終選考は、多分組織委員会側と大坂なおみ選手側(エイゼント)間でビジネス・ネゴシエイションの末の結果だったのだろうと想像します。

この状況下で橋本聖子組織員会会長は、大坂なおみ選手の最終聖火ランナー選考理由として「多様性と調和」の東京五輪が基本コンセプトにマッチした選手であるからです。と何かとってつけたような理屈を付けて急遽発表した事からもドタバタ劇が伺えます。この後、大坂選手は、3回戦で早々敗退して米国に戻ったようです。

此処で、注意深く耳を澄ませると、橋本会長は、東京五輪のコンセプトは「多様性と調和」と強調し既に「復興五輪」をどこかに置き忘れてしまった事を証言している事です。

Ⅱ. 筆者の素朴な疑問と私見

大義無き東京五輪の終演

筆者は、最終聖火ランナー大坂なおみ選手であった事に対する異議は何処にも見当たりませんあえて申し上げるならば、東京五輪組織委員会には、大会の重要な大義と趣旨・目的が最初から欠落していた事です。それがために、本大会の背骨(スケルトン)は、無いに等しく最初から最後まで一貫したビジョンが無かった為ストーリーが描けず、右往左往した東京五輪であったと申し上げて過言でないかと思います。

それは、この式典の一番大事な大会の大義であるべき「東北地震災害復興五輪」を招致活動のメインテーマにしていたにも関わらず、いつの間にかサブテーマか不要テーマの扱いをされ、お蔵入りさせた責任は大罪に値し、何か大人達が詐欺行為を国際的に遣らかしたような気分になるのは私だけでしょうか。

このような屋台骨の無い東京五輪に更なる問題と矛盾を公言したのが、安倍晋三氏の開催か中止か1年延期される告知時に新たなスローガン「人類がコロナに打ち勝った証し」を提示し混乱を招き、後を引き継がれた菅新首相は、安倍氏のスローガンを継承し更なる迷言「安全・安心の大会」を加えたことです

テーマばかりを塗り替えられた東京五輪丸は、更なる混迷を増しコロナ第五波の最大の荒波の中に突っ込み暗闇の中で漂流を強いられることに相成った次第です。

 

■筆者がイメージした最終聖火ランナー

筆者は、最終聖火ランナーを推薦させて頂けるならば、実際に被害を体験され、懸命に生き延び家族の強い絆でこの震災の苦難を乗り越えた方が立派になられてプロ野球選手として活躍されている「佐々木郎希投手(現千葉ロッテマーリンズ球団)」です

彼は、当時幼くして津波で父親を亡くし母親の手で3人の男の子を育てられ、母親と子供達が協力し合って高校を卒業されお母さんの右腕として、皆でお母さんを支えて頑張られている姿は、被災者達のみならず、国内外の人達にも勇気と希望を与えてくれるに違いありません。

また、もう一人は、現在MLBで活躍されている大谷翔平選手、投手(ロサンゼルス・エンゼルス球団)です。彼らは、被災地から世界に向けて発信できた東京五輪の開催の大義、趣旨、目的に沿った、未来の日本の若者達の夢と希望を託すに相応しい若者であったと思いますが、如何でしょうか。

■1964年東京五輪最終聖火ランナー選出コンセプト

嘗て、1964年東京オリンピックの開会式では、当時19歳の早稲田大学陸上部の坂井義則氏だったのです(1945年8月6日に生まれ)。

そして1945年8月6日は、広島への原爆投下の日でした。坂井さんは、原爆投下の1時間半前に、震源地から70キロ以上離れた広島県三次市で誕生したと聞いています。

坂井さんが聖火の最終ランナーとして、当時世界中にTV中継されることで、日本の戦後は終わり大きな成長を遂げたことを知らしめることが出来ました。原爆の恐ろしさと悲惨さを理解して戴き人類に対して使用してはいけないメッセージを発信しました。この坂井さんの起用は、彼の生い立ちの紹介から、最終ランナーに起用したメッセージは大変象徴的な開会式のシーンとして発信された一例であったと思います。

筆者は、嘗てご縁があり坂井義則氏がフジテレビに勤務されていた時に数回お会いする機会があり語り合った思い出があります。お酒大好き人間であった印象が強く残っています。彼は、この度の最終聖火ランナーをどの様な心境で静観されていたでしょうか。

まとめ

筆者は、国民が最も相応しいとする人を最終ランナーとして選考するべきであったと思います。大坂なおみ選手が不適切であるとの意味でなく、選考される関係者は、もっと国民、社会の心に寄り添った感受性豊かな方であって欲しかったと思います。

そして、組織委員会の責任は、適切で国民社会が心から納得する選考方法により、真の日本人の心と魂を世界に発信して頂きたかったと思う次第でありました。如何でしたでしょうか

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gfile「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社 著 武田頼政

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お知らせ:

NO.165に関する日本国内の問題は、各教育機関、社会人、日本代表に関する国内外からのリクルート活動、及び日本人、日本国籍、留学生と称する名に於ける許認可問題に関するアンフェアーな問題が増殖している近年です。これらは、長い年月をかけて既に利害、利権というウイルスが蔓延しています現状、現実から、国内を二分、三分しかねないドロドロとした摩擦が既に起きている実態を国民、社会は余りにも無関心か、或いは無責任、無神経を装っているのかも知れません。我々は、次世代の為にも触れたくない厄介な問題にこそ勇気を持って、正面から早期に解決し常日頃から教育機関に於いても議論、討論を通して理解と調和、共存への対応力を培ってゆく必要があるのではないでしょうか