KファイルNO.206:日本大学アメフト選手薬物逮捕大学記者会見

KファイルNO.206:日本大学アメフト選手薬物逮捕大学記者会見

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日 掲載

河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は「Justice正義&Fairness公正」

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

 

日本大学覚醒剤大麻問題に関する記者会見 

2023年8月8日

KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

スポーツ・アドミニストレイター

本日の日大記者会見:視聴者の不快感の理由

会見者:林真理子理事長(日大芸術学部卒、作家)

    酒井健夫学長 (日大本学農獣医学部卒、旧体制では評議委員、理事)

    澤田康広副学長(日大法学部卒、元検事、旧体制時の日大法学部教授、

                                            危機管  理学部非常勤講師も歴任、等)

                                             以上澤田康広氏の経歴より引用~

  本日の日本大学アメフト事件に関する大学執行部(理事長、学長、副学長)の記者会見から「視聴者の不快感」がSNSを通して炎上している事に気付かされました。これら視聴者の不快の根源は、共同通信社の記事には深く触れられていませんでした。しかし、多くの新聞記事では、露骨な表現をされています。

筆者は、本日の会見の様子を民間TV局の生中継を拝見いたしました。会見現場で聞いていませんでしたのでTVがピックアップする個所しか知る由もありません。放送した局のMCのリードは、イメージから外して会見者の言葉のみに耳を傾けました。

林真理子理事長、酒井健夫学長、澤田康広副学長(元検事)のそれぞれの会見及び質疑応答を一部確認させて頂きました。

お三方は、それぞれお立場のプロテクションに懸命で緊張されていたのが第一印象でした。僭越ですが、この度のアメフト部学生選手の大麻覚醒剤事件を混乱させてしまったその張本人は、澤田康広副学長とお見受け致しております。その根拠は、何故場違いな人物を日大理事会、評議員会は推薦、任命して副学長にしたのかが全ての問題の始まりの様にお見受け致しました。新日大執行部は、権威付けの為に澤田氏なる人物を副学長に据え、日大の競技スポーツの統括運営、管理者に任命したのでしょうか。一部マスメディアでは、同氏を「専門家」と称する表現をされていますが、何の専門家なのですか。

彼の専門職は、元検事です。検事が大学競技スポーツのどのような知識とプラクティカルの実践キャリア(元検事、旧体制下での法学部教授、危機管理学部非常勤講師を歴任)をお持ちなのでしょうか。この様な方が大学競技スポーツをどの様にしてアドミニストレイト出来るのでしょうか。会見を拝聴して感じるのは、自身のキャリアとその権威を誇示する為に、大学の記者会見ではあり得ない大麻覚醒剤の俗語、隠語を使って見せて、マスメディア、視聴者を威嚇する言動と態度を多々拝見しました。多分SNSでは「不快、不愉快な態度」と反応しているのはこのような言動、態度だと思われます。この会見は、まさに犯人逮捕した後の警察の担当者の記者会見でした。読者の皆様は、如何でしたか。

残念ながら、日大再生の為の救助主には、程遠い方々が会見のお雛壇に座られた記者会見内容でした。林真理子理事長は、異なる分野から招聘された方ですが懸命に改善、改革をなされて来られているのは理解できます。しかし、日大改革の最大の問題の根源は、日大体育系と呼ばれている競技スポーツ部である事を理解と認識されていなかったのか、或いは、知っていて手を付けるのを最初から腰が引けていたのかの何れかでしょう

その為に場違い、役職違いのこわもての澤田元検事を置き檻の中(日大競技スポーツ部)の「番犬役」として、この度は副学長として復帰させたとの強い印象を持たざるを得ませんが、如何でしょうか。この人物では、改革はおろか教育、スポーツ、競技スポーツには乖離しすぎます。学生選手達には、指導、管理者としての愛情が必要不可欠です。この方と学長の酒井氏には、誠実で正直な会見の姿勢であって欲しかったです。

残念。

文責:河田弘道

 

筆者からのお知らせ

読者の皆様へ

 猛暑・酷暑の日々お見舞い申し上げます。世界は、異常気象現象により近年は日本に於いても段々と四季が薄れ夏・冬の二季が明確に成り始めました。これにより夏の平均気温が35度~40度が常温になる様子が伺えます。国民の人体の生理現象が自然現象に対応する為にどう変革を来すのか、これは人が生きていくための最初のチャレンジを強いられます。これは、過去の伝統的な生活環境は崩壊し自然の摂理に沿った対応を強いられるという事です。この現象は、人類皆に平等に強いられるという事です。

核の権力を盾に共存共栄の人類の原理原則を破壊へと突き進む体制の異なる首領達は、この変革して行く自然の摂理の前には何の武器も権力も役立たない事をやがて思い知ると確信します。哀れな独裁者達よ。

毎月2回木曜日は、Kファイル公開の日です。読者の皆様には、約7年余りお付き合いをして頂きまして誠に感謝申し上げます。COVID-19は、段々と下火になり日常生活が漸く平静を取り戻して参りました。

この度のKファイルNO.206は、夏季休暇を頂く前の最後のファイルとさせて頂きます

そこで今回は、KファイルBLOGの中でも年間アクセス件数が常にベスト5グループに位置していましたKファイルを再度紹介させて頂きます。何故本テーマが根強い興味を持たれるのか、それは、読者それぞれの異なる興味が蘇るのかも知れません。興味の根拠は、やはり近年の大学教育と教育者の問題を読者の皆様がその理由の一部を本Kファイルのこのテーマから何かを感じられているからではないのでしょうか。

暑い夏のお休みの一時に涼しい冷房の利いたお部屋で、本Kファイルの懐かしいテーマを再読して頂く事で、また新たなる行間と奥行きに深層を読み解かれるかもしれません。期待いたしております。

筆者は、しばらくの間休暇と私用を兼ねてお休みを頂きます。次回Kファイルで再会できますのは、短い秋に入ったころに成るかと思います。読者の皆様に取りましては、どうか猛暑、酷暑を乗り切られ短い日本の秋をお迎えください。

尚、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawadaは、時事の話題から継続してコメントさせて頂きますので、ご笑読頂ければ幸いです。                        深謝

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目次

都の西北早稲田の森に起きた事件より

友添秀則氏に依存した早大、省庁、JOC、体育・スポーツ学会とマスメデイア

1.変わりゆく大学経営者と教員の実態

      ■はじめに

      ■近年の大学教員、経営者の傾向

      ■時代と共に伝統的固定観念にも変化、対応が必要か

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

      ■事件の発端とその経緯

      ■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

      ■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

      ■友添秀則氏の特徴

      ■学外での活動例

3.筆者の素朴な疑問と私見

  • キーポイント
  • 疑問
  • 私見

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2022年3月10日 木曜日     公開

KファイルNO.175: 姿を消した野心家・友添秀則氏の行方

無断転載禁止            

都の西北早稲田の森に起きた事件より

1.友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディア

☂変わりゆく大学経営者と教員の実態

はじめに

  人は、神仏のように完成された人間ではありません事を先ず申し述べさせて頂きます。

友添秀則氏は、優秀なスポーツ倫理学者であり多岐にわたる才能を有した方であった人物と推測致します。しかし、その友添氏は、所属する自らの大学で起こした事件をマスメディアにリークされた事で、彼のこれ迄の足跡を全て自らの手で消去する事に成るなど本人は全く予期しなかったと思います。それも事もあろうか、彼は、暴力事件を同僚に対して起こしたとされ、自ら退場を余儀なくされた事件は、読者の皆様は既にご存じの事と思います。しかし、あれだけ友添氏に熱狂していたファン(マスメディアを含む)達は、今や誰一人として彼の事を話題にもしない、まさに「事なかれ主義」の人達であった証でしょうか。

本件は、突然起きた問題では無い筈です。しかし、大学教学の管理者、法人経営者は、日ごろの同氏の学内外での言動、行動、等をご存じない筈がなく何故諭されなかったのでしょうか。友添秀則教授のスポーツ倫理学を受講する学生達、卒業生達の気持ちを察すると複雑な思いが込み上げて参ります。スポーツ倫理学がご専門の友添氏は、超えてはならない一線を内外で越えてしまったという事のようです。

今後は、長年積み重ねてこられた友添氏のご努力を無駄にすることなく、大学、学部研究室、専攻学生達は本件を生きた教材として、是非スポーツ倫理学の発展の為に今後も精進努力して欲しいと切に願います。特に倫理学を専攻、指導される方々には、自身を律する意味から貴重な生きた友添氏を反面教師として頂きたく願う次第です

 

■近年の大学教員、経営者の傾向

   私立大学経営者及び学部教授会は、講義、演習授業、ゼミ、研究を主体とした専門教育指導にあたる事が専業であります。

しかし、近年では、競技スポーツ選手同様に大学の広告塔を目的とし、学外でTV等のマスメデイアに出演し、コメンテイターとして活動をする事を安易に大学、大学法人により許可された大学教員が目立つのも特徴の様です。このような環境下では、大学及び自身の売名行為兼サイドビジネスに走る教授等が横行しているのも時代の変化と傾向であるようです。これも大学教学の統括責任者及び、経営責任者の資質によるところが大であるのも事実です。

TVに代表されるマスメディアでは、教員をタレント化する事でTV番組自体の品位とステイタスを向上させようと番組プロデュサーが安易に画策しているものの、そのことにより、かえってタレント教員が番組の品位を下げている事も確かです。大学、教員側からは、我も我もと自画自賛の売り込みが、テレビ局関係者に直接的、間接的殺到しては何か教育機関としてのガバナンスが狂ってしまった証の一つかも知れません。残念ながら中小規模の大学では、准教授、教授名のたたき売り状態と申し上げた方が実態を理解しやすいかも知れません。

 

■大学教授のステイタス格差を助長

   筆者がお世話になりました大学にもこのようなテレビ芸能タレントさんが大学教員名簿に名を連ねていましたが、このような肩書の教員は、授業講義もゼミも持っていない教授職名でした。如何して日本の私立大学では、大学教授職の資格基準が明文化されていないのか、公表されないのでしょうか。大学の理事長は、政治家、芸能、TVタレントさんを殊の外好まれ広告宣伝に利用し、その見返りとして当の本人には大学教育機関の教授職の肩書を提供する、云わば「Give & Take」の関係と割り切った私大及び経営者が増殖しているのも確かです。

小職は、このような実態を目の当たりにして、今日の新しい呆れたスタイルの「フェイク教授」がこの国の私大の品位と教育現場の資質を低下させ、やがて教育界の崩壊を既に招いている所を目の当たりに確認致しました。これでは、TV出演、外部組織・団体の役職が主体である為に大学で学生達に教授する為の準備や研究に向けた時間の捻出が物理的に不可能です。このような大学管理者、経営者は、学生達を授業料の運び屋さん程度にしか考えていないのだと思います

このような私立大学の実態と、この度の早稲田大学の2名の助教による大学当局への内部告発に発展して行った様子から、学外で名声を得て多忙を極める教授の学内での本来の業務負担が、この助教達に背負わされていた経緯が透けて見えてくるのです。その見返りとしての配慮も気配りも無く、教授自ら助教達に暴力までものお土産でこの度の内部告発に至ったのかも知れません。

■時代と共に伝統的固定観念にも変化と対応が必要か

   国民、社会にとっては、教育者に対する固定観念の変革が必要でないかと思えてなりません。読者の皆様には、昔から言われる「教育者は聖職者」だという考えが迷信に等しい事を先ず念頭に置いて頂きたいのです。

本件の様な教授は、長年に渡り大学教育機関という特殊な状況と環境下で、自身の人生行路を設計し、またそれを培い、自らを誘導して今日のような状況に至った気配が否めないように思えてなりません。そして、学外に於ける文科・スポーツ省庁、スポーツ組織・団体に身を置くことにより自尊心を味わうことが、殊の外、同氏としては更なる上昇志向を駆り立てて行く、大きな原動力と動機付けとなったのであろう様子が伺えます。

我が国独特な「名刺、肩書社会」に於いて、友添教授は、人から高評価を得るためのノウハウを身につけられて行ったのでないかと洞察させて頂く次第です。此れも日本社会では、プライドとブランドを求める人にとっての手法、手段なのかも知れません。特にこの度は、日本の伝統的な社会慣習がこのような「肩書モンスター」の出現を後押ししたような気がしてならないのですが、如何でしょうか。Kファイルでは、このような時事の出来事を中心にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説、分析させて頂ければ幸いです

筆者は、当事者、関係者と直接的な面識はありません。唯SNSを通して友添氏には、大学スポーツ協会設立に於いての日本版・NCAAに関して、「大義無き大学スポーツ協会の設立は実践に役立たない」とやり取り及び意見させて頂いたことがありました。彼からは、「よく考えます」と本質的な重要性に付いては興味ない様子の返信を頂いた事がありました

 

2.早大スポーツ倫理学者友添秀則教授の倫理観と実態

■事件の発端とその経緯(本件をご存じでない読者の皆様へ)

   先ず本事件は、マスメディア各社の報道によると2019年11月に早稲田大学スポーツ科学学術院(旧スポーツ科学部に大学院研究科が加えられ名称を新たにした学部)内に於いて、友添秀則教授(64)が日ごろから助教達(嘗ては助手と呼ばれていた)にパワーハラスメント行為(暴力)を加え、それを不満とした二人が学部(学術院)、大学教学本部、大学法人に内部告発した事に端を発したとされた事です。

本件は、2020年11月07日の朝日新聞朝刊の社会面に掲載されましたスクープ記事により最初に明るみに出されました。記事に関わり日々ご努力をされています記者諸氏には、取材に対する情熱と正義感に心より敬意を表します。

そして同日午後からは、マスメディア各紙、NHK、通信社、等を経由して全国の地方紙に翌日拡散された次第です。

 

■教育・スポーツ界に問われる教員、指導者倫理

   この度の「友添事件」とその周辺の出来事は、近年の日本社会の病的な出来事を象徴する話題の一つであります。特に教育界、スポーツ界に於ける大学経営、教学管理者による暴力行為、犯罪行為は、その病根を象徴する事件と感じたのは筆者だけでしょうか。

このつい数か月前に、Kファイルでは、馳浩元文科大臣「自民党国会議員、細田派(旧森喜朗派)、石川県2区選出、公益財団法人東京五輪組織員会新理事、公益財団法人日本レスリング協会副会長、専修大学レスリング部出身」の10代女子への暴力(セクハラ行為)が発覚して、安倍首相が国政の場で謝罪したばかりでした。

今回は、また早稲田大学教授(スポーツ倫理学専門)、かつ学外でも文科省スポーツ庁JOC、日本スポーツ協会、大学スポーツ協会、全柔連の役員等、数々の要職に就かれている高位な権威・権力者が学内で起こした暴力(パワハラ行為)でした。

多くの読者の皆様が、個々それぞれに異なる思考、価値観、見識をお持ちの事は十分に理解できます。本件は、国内大学機関に於いてはほんの氷山の一角と言っていい出来事であると申し上げます。この度は、加害者と称される友添氏が異常なほどの多くの肩書を有され、能動的に長年活動されていましたのでマスメデイアに目立ちスクープされたのかも知れません。同氏は、いわば「肩書コレクターで権威主義」なのかもしれません。

此れだけ同教授が、学内外で肩書を持っていた事を鑑みれば、早稲田大学に於ける本分のティーチング業務に支障を来したのは当然であったのではと思われます。筆者は、日本の大学で教鞭を執った経験者として学生の皆さんへの教授としての責務はどうであったのか、研究室の助教の皆さんへの負担は如何程であったかと思わずにはいられません。

■友添秀則氏紹介(資料:早稲田大学、各マスメディア、関係機関より)

本件に関わった関係者並びに関係組織、委員会

早稲田大学法人 理事長、総長、スポーツ・科学学術院長(学部長)

②友添秀則教授(加害者) 

③2名の助教(被害者、氏名名乗らず)

④調査委員会(大学、法人が推薦、任命した身内委員会、メンバー極秘)

⑤調査委員会報告書(極秘報告書、開示拒否)

❶友添秀則氏の肩書とプロフィール

1980年:筑波大学、研究科卒

1996年:香川大教育学部教授

2000年:早稲田大学人間科学部教授

2003年~2020年10月 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 その後辞任

2012年~2016年早稲田大学スポーツ科学学術院長(学部長)

2018年~2020年学校法人早稲田大学 理事

9月辞任退職(理由:自己都合) 懲戒処分なし

2020年:10月25日 大学教授職 退職(理由:自己都合)懲戒処分なし

2020年:11月13日 JOC常務理事辞任

❷所属学会及び役職

日本体育学会(副会長、次期会長予定) その後辞任

日本スポーツ教育学会(会長)    その後辞任

日本体育科教育学会(会長)     その後辞任

日本体育・スポーツ哲学会      その後退任

(財)日本学校体育研究連合会常務理事 その後辞任

➌国の教育機関、スポーツ機関及び組織・団体役職

 文部科学省スポーツ庁):スポーツ審議員会 会長代理

       各種諮問委員会 委員長、座長、等々 その後静かに辞任

 公益財団法人:日本オリンピック委員会JOC) 2019年6月常務理事就任

        2020年11月13日 常務理事辞任

     公益財団法人:日本スポーツ協会 理事 その後辞任

     公益財団法人:全日本柔道連盟 理事  その後辞任

 その他

■友添秀則氏の特徴

   友添氏は、早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として20年間在籍されていましたが、学内での講義授業よりも学外での活動に多忙を極めていたと言わざるを得ない事が上記プロフィールからもご理解頂けると思われます。

特に同氏は、自ら周辺に自称「御上(国の機関)に傅く御側用人(おそばようにん)」と公言して憚らない人物としても有名であったとよく耳にします

これが事実なら、この表現からも友添氏の人物像が読者の皆様にもイメージしやすいかもしれません。国の機関、公益法人、スポーツ組織、団体、そしてマスメディアに受け入れやすい人柄であったのかも知れません。それでも、筆者としては、ポジテイブな視点から「友添氏が自ら学外での活動を、教育界、スポーツ界への犠牲的な活動(Sacrificial service)と位置付けていたのでは」と捉えるにはやはり少し無理があるかも知れないと考えます

■学外での活動例

   同氏の専門分野はスポーツ倫理学、スポーツ教育学で教育機関に於いては生徒、学生達の人間形成にいずれも不可欠な学問を究められた方とお見受けします。よって、学外での活動も、本専門分野に即して教育界、スポーツ界に於ける暴力(ハラスメント行為を含む)に強い関心を持たれて殆どご専門以外の範囲に及んでいたようです。特に印象的でしたのは、ご自身の専門分野を超えた、例えば筆者のスポーツ・アドミニストレイションの分野にも専門的なご意見、指針指導、提案、提言まで述べられていたことです

同氏が2019年6月にJOC常務理事の要職を手にしたのは、新会長に山下泰裕氏が就任されて間もなくのことで、山下会長が全柔連会長、友添氏が理事である事も影響しているかも知れません。同氏と柔道との関係は、筑波大学生時代に柔道部であったという事だけの様です。何れにしましても、このように手に入る要職は1つでも多くという同氏の生き方が肩書という形で証明されているのは、実に分かりやすい表現と個性であると言えるでしょうか。

読者の皆様には、このようなアンフェアーな人事や人選が許される日本の教育界、スポーツ界の構造とそれらに特化された悪しき伝統的社会の縮図を、友添秀則氏のこの度の事件を通じて改めて実態としてご覧いただいているのではないでしょうか。多分皆様の身の回りに於いても同様な人物を見かける筈です。

3.筆者の素朴な疑問と私見

      本件の発端は、既に読者の皆様にご紹介させて頂きました通りです。

読者の皆様もご存じの通り暴力(友添氏の場合はパワハラ行為)とは、「基本的に通常強い立場側が弱い立場の側に対して相手に同意を得ずに従わせる行為」とされています。そして、「それにより弱い立場側がパワハラと理解、認識した場合に本行為が成立する」とされています

本件のパワーハラスメントは、本来暴力行為であることです。暴力行為は、①精神的な行為、②身体的な行為に大きく二分されます。パワハラは、精神的な行為に入り暴力と定義付けられているのです。そして、友添教授のこの行為は、学生に向けられたのでなく、同学術院の同僚助教二人に対するものでありました。これに対して助教達は、耐えがたい行為を受けたとして大学側に告発という手段を決意したのでした。これに対して助教が一人であれば、加害者、大学により告発は潰されていた可能性が大ですが、2名もの複数助教スクラムを組んで告発したことにより、大学側も事態を捨て置けなくなるに至ったものと思われます。大学側にも二人を擁護する教職員達が強くガードしていた為か一切報道に姿を現さないのも本件の特徴でしょうか。

大学側は、2020年明けから内部調査員会を設置し招集(メンバーは公表せず)、約10カ月の月日を経て10月上旬に調査報告書が本委員会から大学側に提出された次第です。

この間、調査委員会は、被害者、加害者、関係者への事情聴取を行った上で報告書を作成したものと理解します。加害者側の代理人(弁護士)の存在が報道で伝えられていますが、いつの時点で加害者側が代理人を立てたのか、被害者側には代理人が存在するのか、大学側も代理人を立てたのか否かの報道は一切なされていませんでした。

  • キーポイント

   加害者(友添氏)が、告発者の二人の助教に対して反論し、事実を否定した事は容易に推測できます。しかし、筆者が、先ず疑問を覚えるのは、大学の調査委員会の結論が出ていないにもかかわらず、本年9月になぜ早稲田大学法人理事を辞任したのかについてです。二つ目は、加害者の友添教授が委員会の調査報告書が出た10月上旬以後に、なぜ大学スポーツ科学学術院の教授職まで辞したのかについてです。

三つ目は、このような状況下で早稲田大学(大学法人、大学教学、学部)が、調査報告書の結論を「悪質なパワーハラスメントとして認定」したにもかかわらず、なぜ何の罰則(例:懲戒処分)も下さないまま、加害者の辞表を受理したのか。これらは、本件のキーとなるポイントであると確信します

筆者は、此処に本事件の教育機関としてあるまじきグレーで陰湿な取引があると疑わざるを得ないのですが、読者の皆様は如何でしょうか。

  • 疑問   
  • 友添氏が、大学側の調査報告書を見もせず、認定を否定し、身の潔白を公言するのであれば、何故大学側、及び、二人の告発者に対して「名誉棄損」で自身の潔白を証明しないのか。この問いに対して答えられないなら、調査報告書を頑なに開示しない大学側同様に、本件は、正義(Justice)と公正(Fairness)の下に大学規約、規則に基づいたカレッジ・アドミニストレイションには程遠い、まさに談合による手打ちによってなされた早稲田の森劇場と揶揄されても反論は出来ないのでないかと思われます

これでは、友添教授のスポーツ倫理学、教育学を受講した学生達に対する矛盾(倫理学教授の論理と自ら起こした暴力の実践行為の矛盾)について、大学側はどう説明責任を果たすつもりか。

スポーツ・アドミニストレイターの視点で申し上げると、スポーツの教育の現場では、このような事件に対する処理は後に遺恨を残さない事が重要です。それは、また被害者と加害者が最終的に握手をしたか否かです。

    大学当局が、加害者に対して何の懲罰をも行っていないことから見て、加害者は高額な退職金の受給資格も有しているのでないかと考えることも可能です。また、加害者は、報道機関の取材に対して「私は、ハラスメントは無かったと思っている。調査報告書は見ていない。辞職理由は、自己都合、もう疲れたから」と何とも無責任、且つ歯切れの悪い対応でした

また、大学の調査報告の結論についても「見ていない」発言に終始している点が、倫理学者として適格、適正があるかどうかも、重要な評価ポイントでもあります。同氏が、長年倫理学者として「高潔」を通されたと思われるのであれば、このような言動、態度は指導した学生達の為にも改めて頂きたいと願う次第です。友添氏は、ご自身に甘かったののかも知れません。自らを律する事が出来る人物でなければ、とても倫理学を教授する事は難しいものと思われます

友添秀則氏に依存した早大、省庁、スポーツ団体、マスメディアは、多くの優秀な人材が国内にいる事に気付こうともせず、同氏の肩書と言動、態度に乗っかり、手っ取り早く利用していたという事ではないでしょうか。

★筆者は、最終的には友添氏の元々の個人的な上昇志向が更なる上昇へと自らを駆り立てて行ったことが、2018年大学法人早稲田大学理事就任にもつながり、今回の事件の少なくとも遠因にはなっていたように思えてならないのです。

そして、2019年11月に二人の助教内部告発されたのは、同氏が理事職を足場にして、更なる夢の実現化の為に何らかのアクションを起こそうとしたことで、強い内部の力が二人の助教の心に勇気を与え、トリガー(trigger銃の引き金)に指を掛けたのではと危惧する次第です。彼の夢は、大学の中枢には「思い上がり」と取られたのかも知れません。

もしもそうであるとするならば、この早稲田劇場の終演は、時間と共に調査報告書の内容と友添氏が大学の認定を認めていない理由が明らかになる日も近くあるのかも知れません。真実は、必ず時間と共に露呈するのが世の常です。本件は、またまた政治家の助け舟が出てくるのかもと推測するのは筆者だけでしょうか。

このような矛盾と暴力問題が教育機関で日常茶飯事として繰り返し起きる現状を前にして、一刻も早く、我が国で契約雇用制度の改革と断行が実現されるべきであると断言させて頂きます。この制度導入により大学人事担当部署は、雇用時の身辺調査の再確認、契約更新に伴う評価と契約内容の見直しが容易になるのです。契約更新に際しては、契約期間中の業績、倫理規範の遵守状態、大学、学生にとって有益か否かの判断を常に最新の情報に基づいて行うことができ、仮に劣化が生じたとしても、学生達、社会への被害拡大を防止できることが最大の利点であることをご紹介し、本論を閉じさせて頂きます

注:友添氏は、自らの判断でJOCの常務理事職について11月12日に辞任届を提出し、翌13日に山下泰裕会長が受理、JOCも辞任告知していますが、これも理由は不明。さらに、それ以外の要職に付いて居ましたが、各要職の組織、団体、委員会は、その後本人が辞任したのか解任したかの告知は、就任時のマスメデイアの広報・告知とは異なるようです。マスメデイアの友人、知人達は、大変逃げ足の速い人達ばかりであったようです。

文責:河田弘道   11291文字

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:Gファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文芸春秋社、著:武田頼政

お知らせ:

私大ガバナンスの改善と必要性から、此の度は、友添秀則氏の事件の各論とその周辺の利権者達の様子を例にご紹介致しました。読者の皆様にとってNO.146は、如何でしたでしょうか。筆者は、加害者にもう少し誠実さがあったならば、自制心が作動して、結果もここまで大変な事態には至らなかったのではと残念に思います。

 

風の便り:その後友添氏は、表向きの肩書は取り外されたようです。しかし、文科省の外郭団体に席をお持ちの様子が聞こえてきます。同氏がこよなく愛した、お上への忠誠と肩書は、何処までも持ち続けている様子です。ある意味立派。

KファイルNO.205:医療部門の資質の貧困が多くの怪我人を生む

KファイルNO.205:医療部門の資質の貧困が多くの怪我人を生む

無断転載禁止             毎月第二、第四木曜日掲載

 

スポーツ・アドミニストレイター

日本に初めてスポーツ・アドミニストレイション論を導入

日米で実践スポーツ・アドミニストレイターの先駆者

プロフィールは別途ご検索下さい

 

筆者からのお知らせ

 読者の皆様に於かれましては、連日連夜の猛暑、酷暑の下での過酷な生活を強いられています。夏の季節は、今始まったばかりです。しかし、戦時下の人々の事を思うにつけ、現在は未だ平和を維持している我々日本国民はこの幸せに感謝です。しかし、政治と政治家の資質の低下に伴い、この平和は、根幹から崩れている事に危機感を覚えらざるを得ません。

 この度のKファイルNO.205は、WBCシリーズの最終編とさせて頂きました。読者の皆様は、涼しいご自宅でこの猛暑、酷暑を過ごされている事と思います。時事変わりゆくKファイルをご笑読下されば幸いです。

尚、次回8月10日、木曜日は、夏季休暇前の最後のKファイルとさせて頂きます事をご承知下さい。読者の皆様もこの酷暑を乗り切りましょう。その為にも人には、日々の生活に目的、目標は欠かせません。ご自愛下さい。

 

目次

栗山英樹監督の発言とその矛盾

はじめに

Ⅰ.翔平(侍)ジャパンの選手編成コンセプト

  ① 選手選考委員会は

  ② 代表選手の選考に関して

       ③NPB所属選手は指名即代表認定

Ⅱ.ベースボール・アドミニストレイター不在の悲劇

1.医療部門の大失態

   ■栗山監督の公約と矛盾

   ■医療部門の責任者は何処に

   ■問題点

   ■トレイナーはいつ誰が推薦、任命したのか不明確

 2.スポーツ医療の専門家に関する参考資料

   ■NATA-ATCとは

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2023年7月27日                       公開

KファイルNO.205:医療部門の資質の貧困が多くの怪我人を生む

無断転載禁止

 

栗山英樹監督の発言とその矛盾

はじめに

 この度は、WBCシリーズ第Ⅵ弾(NO.205)を最終編としてお届けします。

これまでのシリーズでは、読者の皆様の脳裏にはそれぞれテレビの映像、新聞、雑誌の報道では知り得なかった事ばかりではなかったでしょうか。

スポーツの世界に於いても情報操作が成されているのかも知れません。これは、WBCに関してのみではなく、スポーツ界に於けるスポーツの報道が薄っぺらな内容で、読者、国民、社会が知りたい事はなおさらの事、情報提供のバルブは閉められているか、取材しないのかも知れません。もう取材に経費を掛けられない媒体が、紙面、報道の資質にまで反映してしまった様子が伺えます。

丁度先日もTVのドキュメント番組で、各家庭の収入が向上しない中で物価高のみが進行する事で、家庭の財政切り詰めが子供達を守らんがために、大人達が栄養失調に陥り、現在静かな社会問題がじわじわと忍び寄っている事を医師を交えての番組で拝見しました。これは、まさにTV、新聞、マスメディアの真の情報が激減している現象の本質と酷似であると感じた次第です。此れもまさに政治と政治家の貧困の象徴で、国、国民、社会を不安に陥れている最大の要因の一つではないかと思われます。

ご見識ある読者の皆様は、これが我が国の報道機関と視聴者、読者、国民、社会との関係性と距離感である事にお気づきになられたのではないでしょうか。

この事は、ジャーナリズム、ジャーナリストを貫けない、フィックスされた情報が連日、連夜流されそれを拾って後生大事に信じ込まされて参りました。

日本国民、社会は、今日もなお現実的に真の情報を与えられていなかったので、昨年7月8日に起きた安倍晋三首相暗殺事件により、我々国民、社会が信じて政権を委ねて参っている自民党が隣国に本部を置く宗教団体の擁護団体であった事が全国民、社会に一人の日本人青年により、真実が明らかにされたのでした。これらは、氷山の一角なのかも知れません。

また、7月20日付のマスメディア報道では、与党を形成する公明党自民党の100名余りの議員は創価学会会員の投票により当選しています、との公表が成されました。これは、何を意味するのでしょうか。自民党国会議員の174名は、統一教会と強い関係にある議員達で、この方々は統一教会員の組織票により議員バッチを付けているという事の様です。此のことから公明党の説明が真実であるならば、自民党の国会議員の274名は、二つの宗教法人・団体の代表議員である事を公表された次第です。今日迄、このような実態を何故日本の大手新聞社、テレビ局は、国民とその社会に真実の情報を開示しなかったのでしょうか。これは何にも勝る大罪です。

日本のマスメディアには、真のジャーナリズムとジャーナリストが今必要である事をこれ程、思い知らされたことが嘗てあったでしょうか。我々は、今目を覚ませないでいつ迄無関心を装うのでしょうか。

 

Ⅰ.翔平(侍)ジャパンの選手編成コンセプト

①選手選考委員会は

代表選手招聘は、日本野球協議会(BFJ)の侍ジャパンの強化を目的とする編成部門を司る部署の「強化委員会」により執り行われます。

強化委員会には、合計12名の委員により構成され内2名の委員長、副委員長の他4名が4球団の代表者と6名がアマチュア野球連盟、協会の代表者、NPB機構の代表者により構成されています。

既に本シリーズの中に於いて述べて参りましたが、侍ジャパンは、株式会社NPBエンタープライズ(略:NPBEI)により経営、運営、管理が行われています。NPBEIは、NPB機構(日本プロ野球機構)と12のプロ野球球団により支えられているWBCの日本の代表組織・団体なのです。即ちこのNPBEIは、現場の監督、コーチングスタッフ、選手、等の編成部門を日本野球協議会(BFJ)の強化委員会に委託している事を意味しているのです。

此のことから、既に前第Ⅴ弾(K-NO.204)で解説しました通り、2023侍ジャパンの監督は、「栗山英樹氏」に決定し、栗山氏と強化委員会によりコーチングスタッフの推薦、承認も得て決まった次第です

 

②代表選手の選考に関して

此処では、次の本プロゼクトのコアとなる「代表選手」の選考、推薦、確定の作業が始まるのです。

既にMLB所属の日本人選手の招聘の作業は、栗山英樹氏と大谷翔平選手の間で意思確認を終え、ダルビッシュ・有選手は、栗山氏の思いからリーダーとして要請、説得に成功している関係から、侍ジャパンの屋台骨の「大谷選手、ダルビッシュ選手」は、固定できたので後は彼らが所属する球団の公式な許認可手続き作業が残っていましたので、各選手の代理人を通して球団との交渉を行う手筈が整っていたのだと思われます。

また、他のMLBの他球団所属の鈴木誠也選手(シカゴカブス球団)、吉田正尚選手(ボストン・レッドソックス球団)、ラーズ・ヌートバー選手(セントルイス・カージナルス球団)とそれぞれ正式なルートで許可を得る作業を残すのみとなっていたと見るのが順当だと思われます。ヌートバー選手は、多分大谷選手・投手からの紹介が事前に栗山氏にあったので隠密裏に水原一平通訳兼コーディネーターがアレンジを行っていたので突然推薦、承認した問題ではなかったと思われます

 

WBC代表選手資格を紹介

出場資格(2020年現在)

1.当該国の国籍を持っている

2.当該国の永住資格を持っている

3.当該国で出生している

4.親のどちらかが当該国の国籍を持っている

5.親のどちらかが当該国で出生している

6.当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある

7.過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されたことがある

 

NPB所属選手は指名即代表認定

日本のプロ野球球団所属の選手招聘に関しては、全く障害がありませんでした。その根拠は、WBCの日本主催者でありますNPBEI(NPBエンタープライズ社)は、NPB機構と12球団により支えられている関係から、各球団所属選手が代表選手として指名を受ければ協力しても反論する障害が見当たらないのです。そして、日本野球協議会(BFJ)の編成部門の強化委員会には、プロ野球球団代表(中日、ロッテ、オリックス、広島)が委員になっているのです。

此のことから代表監督の栗山英樹氏は、先ず(30名の選考枠を強化委員会から与えられている)のでリストアップし、時間を掛けてキャンプ、オープン戦、シーズンを通して最終リストを作成した次第です。勿論、栗山氏以下コーチングスタッフは、各球団を訪問して球団のスタッフ、選手達への接触も許可されているので、選考を目的にフリーパスで行動、活動できる次第です。

2023年WBC翔平ジャパン最終選考リスト

出場選手一覧2023年3月14日発表

背番号:11 投手 ダルビッシュ 有(MLB:サンディエゴ・パドレス所属)

背番号:12 投手 戸郷 翔征(東京読売巨人軍所属)

背番号:13 投手 松井 裕樹(東北楽天・イーグルズ所属)

背番号:14 投手 佐々木 朗希(千葉ロッテ・マリーンズ所属)

背番号:15 投手       大勢  (東京読売巨人軍所属)

背番号:16 投手       大谷 翔平(MLB:ロサンゼルス・エンゼルズ球団)

背番号:17 投手       伊藤 大海(北海道日本ハムファイターズ所属)

背番号:18 投手       山本 由伸(オリックス・バファローズ所属)

背番号:21 投手       今永 昇太(横浜DeNAベイスターズ所属)

背番号:22 投手       湯浅 京己(オリックス・バファローズ所属)

背番号:26 投手       宇田川 優希(オリックス・バファローズ所属)

背番号:28 投手       髙橋 宏斗(名古屋中日・ドラゴンズ所属)

背番号:29 投手       宮城 大弥(オリックス・バファローズ所属)

背番号:47 投手       高橋 奎二(東京ヤクルト・スワローズ所属)

背番号:63 投手       山﨑 颯一郎(オリックス・バファローズ所属)

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背番号:10 捕手       甲斐 拓也(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:24 捕手       大城 卓三(東京讀賣巨人軍所属)

背番号:27 捕手       中村 悠平(東京ヤクルト・スワローズ所属)

背番号:1 内野手      山田 哲人(東京ヤクルト・スワローズ所属)

背番号:2 内野手      源田 壮亮(埼玉西武・ライオンズ所属)

背番号:3 内野手      牧 秀悟 (横浜DeNAベイスターズ所属)

背番号:5 内野手      牧原 大成(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:7 内野手      中野 拓夢(大阪阪神・タイガーズ所属)

背番号:25 内野手    岡本 和真(東京読売巨人軍所属)

背番号:33 内野手    山川 穂高埼玉西武・ライオンズ所属)

背番号:55 内野手    村上 宗隆(東京ヤクルト・スワローズ所属)

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背番号:8 外野手      近藤 健介(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:9 外野手      周東 佑京(福岡ソフトバンク・ホークス所属)

背番号:23 外野手  ラーズ・ヌートバー(MLB: セントルイス・カージナルス所属)

背番号:34 外野手    吉田 正尚(MLB:ボストン・レッドソックス所属)

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辞退

背番号:51 外野手    鈴木 誠也 (シカゴ・カブス所属)ケガのため辞退

追加

背番号:5 内野手 牧原大成  (福岡ソフトバンク・ホークス所属)

辞退

背番号:20 投手  栗林 良吏  (広島東洋カープ所属)

追加

背番号:63 投手  山﨑 颯一郎 (オリックス・バファローズ所属)

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以上選手招聘に関しては、全球団一致した姿勢で選手派遣に協力をされた事がポジティブな成果と結果に繋がったと思われます。嘗て中日ドラゴンズ球団所属の選手が全員許否をしたケースがありましたが、当時の監督の落合博満氏の意向が反映したと言われていたのは記憶に新しい

しかし、プロ野球選手達は、「日本代表に選ばれたい、WBCでプレイがしたい」という強い夢と希望を持っている事は確かなようです。そこには、何の疑いも金銭欲もないただ出場したいというピュア―な選手達の純粋な気持ちがそうさせているようです。これは、主催者側に取りましてはありがたい最強の協力精神であり感謝にあたいするでしょう。しかし、選手達は、プロである以上プライドとプレスティージを確保する為にも、怪我、後遺症への保障、出場料はプロとしてフェアーな金額を担保する事が今後の為にも重要なファクターです。日本人選手には、ある美学が優先するようで、日本人アスリートの特徴の一つなのかも知れません

12球団には、本音と建て前があるのは事実で当然のことです本音は、「球団の高額の選手を無償で使って怪我して返されては元も子もない」どうしてくれるんだこの問題は、MLBの30球団のオーナーの最大の問題でもあるのです。日本のオーナーは、サラリーマンオーナーで真に球団の株を持ち自身の財産で球団を経営しているわけではありません。MLB球団のオーナーとは、全く次元が異なるので、日本の全球団がWBCに軽く協力するのとは問題の本質が異なるのはよく理解できます。

しかし、この問題(選手を派遣する事による球団のリスクと損失)は、WBC自身が解決しない限り「WBCが真の世界NO.1を決める大会である」とは、言い難いのが現実です。その根拠は、米国ティームはいつもベスト代表選手を選考できないからです。これでは、日本がいつも勝っても米国が最強ティームを編成出来ない限り勝利の価値が半減するのも事実です

しかし、此のことに付いては、日本の野球ファン、マスメディアはどうでもいい事の様です。まさに、「クリスマスイブにケーキを買って、何だかわけわからないけどお祭り騒ぎの習慣を作り上げる」に酷似の様です。近年では、また新しい習慣として「サンクスギビング・ディー(Thanksgiving day、感謝祭)」をちゃっかり他国の祭日を意味も理解せず取り入れて騒いでいるのも国民の特徴なのかも知れません。

 

Ⅱ. ベースボール・アドミニストレイター不在の悲劇

1.医療部門の大失態

■栗山監督の公約と矛盾

栗山英樹監督就任当初より一つの強い信念は、彼のあらゆる発言の機会で表現されています。其れは、「招聘する選手は各球団に所属する貴重な選手であり財産を侍ジャパンに派遣して頂く事です。これに伴いティームを預かり運営、管理をさせて頂く監督としては、非常に重い責任を担っている」と云う事です。

これは、「選手の健全な心身のコンディションの維持に伴い、怪我をさせない、保護する、派遣時の状態で所属球団にお返しする事に重大な責任を担っている」と言う真意が込められたと理解します。しかし、栗山監督の強い発言と信念とは、真逆な事態がスタート前から起きていて既に重要な問題が発生していた次第です。 

栗山監督がその重要性を誇張する選手の健康を維持、管理する為の医療部門の体制が貧弱であり、それを誰もが手出しできなかったという開いた口がふさがらない状態が長年放置されて来ていたのでした

■医療部門の責任者は何処に

本件は、日本の競技スポーツ、組織・団体の最大の問題の一つであると申し上げて過言ではありません。そこには、常に根深い利権構造と肩書欲しさの売名行為が横たわっている事が起因しているからです。

侍ジャパンを構成する中枢の人達の中に「スポーツ医科学の重要性と必要性」を熟知したスポーツ・アドミニストレイターが不在であるという事がこの度の事故の要因の大きな一つです

その証として、本侍ジャパンティーム編成を司るに当たって、監督、スタッフ、選手の選考委員会は、強化委員会により行われています。しかし、何故医療部門の編成は、強化委員会の責任の範疇に明記されていないのか。

何故栗山監督は、自身の最重要な責務の一つでもあるこの医療部門の問題をクリーンにクリアーになってから監督を受託しなかったのか。素朴な疑問

日本代表の医療部門の最高責任者は、ティームドクターであります。そしてドクターを補佐するのが理学療法士(PT)であり、次にアスレティック・トレーナーの筈です。これら最重要懸案の医療部門の選考委員会が設置されていなかったとなりますと、これは選手を預かる側の危機管理が全く疎かになっていたと言わざるを得ません。井原強化委員長、栗山監督は、どう説明されますか。これは、組織の重大ミスと認識不足である事を指摘します。

栗山監督は、就任直後から事あるごとに「選手には怪我をさせられない、しては困る、各球団の貴重な財産をお預かりしているから」と何度口にされたでしょうか。しかし、主催する「NPBエンタープライズ(NPGEI)」には、主催者が委託する日本野球議会(BFJ)とその下部の強化委員会が在りながら、何故この医療部門を軽視、蔑ろにして医療ティームの編成をきちんとやらなかったのか、これらは、長い全日本アマチュア野球連盟のアマチュアイズム時代からの国際代表選手団を派遣する際の悪しき伝統がこの度の医療体制にも大きな影と利害、利権体質が足を引っ張っているのではと疑念を抱く次第です

 

■問題点

 最大の問題は、2023年侍ジャパン代表ティームに医療部門の最高責任者(Team Docter)の顔が無い事です。次にスポーツ・ドクターを補佐するPT(Physical Therapist=理学療法士)の顔が無い事です。

そして表舞台に出てくるのは、いきなりヘッドトレイナーと称する人物(河野徳良氏、日体大准教授)です。本来ヘッドトレイナーなる職責は、トレイナーを纏める立場であります。どのような趣旨、目的で同氏にヘッドの名称を与えたのかも全く不明です。本来トレイナーの職責、責務は、西洋医学に於いてはドクター、理学療法士(PT)の指導、指示の下、持ち場での作業、業務を遂行する事が職責と責務とされています。何れにしましても、侍ジャパンティーム・ドクターが不在であった事は、信じがたい医療体制で前代未聞の運営、管理体制と云わざるを得ませんでした。このようなティームを預かる医療部隊は、陰でこそこそと私的レベルで医師、所属病院、クリニックと関係を持つ事は問題の起因となるのです。

■トレイナーはいつ誰が推薦、任命したのか不明

 この度の侍ジャパンティームには、4名のトレイナーが帯同していた筈です。河野徳良氏以外には、二人の日本人トレイナー資格者が帯同し、彼らは社会人野球界か、アマチュア野球界からのようで、河野氏の関係者のようです。河野氏を含む3名は、日本人選手達をサポーツトする事を責務としています。

この人選は、選手を派遣する12球団は了承したのでしょうか。素朴な疑問。

もう一人は、MLBの球団(ドジャース)に所属する日本人トレイナー(米国NATA-ATC資格者)でMLBが派遣し、日本人MLB所属選手のみの治療行為を行うため派遣されました。よって、日本人選手には、一切タッチされない立ち位置でした。しかし、河野氏は、何故かMLB派遣のトレイナーに対する「不満を常に持っている様子」が、MLBに毎回報告されているようです。よって何故このような事が、毎回現場で起きているのか疑念を感じざるを得ませんでした。しかし、この様な問題を抱えて居ながらNPBEI、日本野球会議BFJの強化委員会も何ら改善もしないで、この度も放置して来ていたのでした。

問題の本質は、どうして河野氏が立場も弁えず競技中のダッグアウトの中に入り込み、TVカメラを意識してか、常に場違いの場所に出たがるトレイナーであるにも関わらず誰も注意をしないのか。トレイナーの業務を逸脱している行為は、他にもあり自らマスメディアの取材を受ける必要があるのか。これは、職責における職務規定違反です。何故、日本の主催者の広報担当者は、河野氏の言動、行動をコントロールできなかったかの説明すらないのが本組織・団体の様です

この行為は、まさにNPBEI、BFJにもし医療部門を司る選考委員会なる部署があるなら、委員会の責任者はトレイナー規則・規範のモラル違反である事を諭さなければなりません。このようなトレイナーを何処の誰が推薦し、任命したか明らかにする事が先決です。本来トレイナーの理念は、裏方選手をサポートする事なのです。それが表に出て売名行為、等をやる立場でない事をトレイナーの規約、マニュアルに明記されている筈です。

週刊文春の指摘

後日、週刊文春は、本ヘッドトレイナー氏の問題、同氏が起こした選手への治療ミス等に付いて鷲田康氏署名記事により掲載されていました。鷲田氏は、スポーツ医科学、トレイナー、等の専門分野に付いての専門家ではありません。よってあまり深く解説、指摘はなされていませんでした。そして、何故かヘッドトレイナーの名前も明記されていませんでした。理由は、不明です。

筆者は、同トレイナーの名前を明記しましたのは彼が既にマスメディアの取材を受け、トレイナーとしての報酬を貰って職務を遂行している事から名前を明かすべきであると判断したからです。ついでに申し添えますが、河野徳良氏は、2009,10年と当時日体大の内部問題、トレイナーの問題、自身の宣伝を兼ねて小生を複数回訪ねて参りましたので性格も行動規範もよく存じ上げています。

読者の皆様は、これで何故WBCに於いて優秀な日本選手達がティーム合流する前から、故障者が続出し合流後貴重な選手、投手の怪我による離脱者があいついだ要因とその根拠を理解して頂けたのではないでしょうか。もう少し本件に付きましては、詳しく解説させて頂きたいのですが、スペースの関係で止めておきます。機会がありましたら詳しくご紹介させて頂きます。

 

■スポーツ・トレイナーに関する知識

スポーツ・アドミニストレイションに於ける医療担当者の重要性と必要性に関する専門知識を参考の為に読者に付与させて頂きます。ご参考までに、、、

其の1:日本野球会議(BJA)には、監督、スタッフ、選手招聘執り行う強化委員会なる部署が設置されています。しかし、医療部門のティームドクター、PT(理学療法士)、トレイナーの招聘を司る運営、管理部署が見当たらなかったのでした

其の2:このことから日本のプロを代表する「侍ジャパン」のティームドクターが、何処の誰であるかも知らず、情報公開もなされていないです。よって、例えば源田選手が小指の骨折をしても全治3カ月の発表が在ってもどこの誰が検診して発表したのかも公表されない。マスメディアも取材もしないのです。これは、責任の所在が明確でないのです。

無責任な告知と選手への指導・管理:

源田選手の事故は、全治3カ月と診断を受け公表されました。しかし、この診断を誰がされたかの責任の所在が不明でした。栗山監督は、自身の強いコンセプトからもいかなる事情があるにせよ、源田選手をティームに帯同しても出場許可を出すべきではありませんでした。

これは、栗山監督の越権行為以外の何物でもありませんでした

其の3:現代のスポーツ医科学では、西洋医学のライセンスを持った担当スポーツ整形外科医がいて、それを支えるのは理学療法士(PT国家資格)であります。PTは、責任医師の指導、指示の下に治療、医療行為を行う事が義務づけられています。

其の4:アスレティック・トレイナー(ATC)、スポーツ・トレイナーの資格、肩書を持つ方々は、西洋医学の立ち位置に在るので担当スポーツ整形外科医、PTの指導の下に認められた範囲内での治療行為が認められています。

其の5:日本には伝統的な東洋医学と称する分野が存在します。この分野、部門における業務内容は、「鍼師、灸師、あん摩、指圧師」を主体とする部門であります。東洋医学と西洋医学は、長年相いれない間柄であります。両医学は、厚労省(旧厚生省)管轄にあり保険が適用されています。この様な諸事情がある中、日本のスポーツ、競技スポーツ界に置いて、確か1970年代後半ごろから東洋医学の関係者の間で「トレイナー」の名称を使い始めたのは米国のスタイルが日本のスポーツ界に新たな名称が紹介され出したころだったと思います。

 

2.スポーツ医療の専門家に関する参考資料

■NATA-ATCとは

米国NATAの紹介

NATAは、全米アスレティック協会(National Athletic Trainers’ Association)

の英語名の頭文字を取った略称です。現在は、テキサス州ダラスに本社がある民

間組織・団体です。本協会が発行している資格は、「NATA-ATC」という資格が

正しい名称です。

本資格は、日本人であれば米国大学入学できる語学力がある方で、スポーツ医科学に強い興味がある方であれば、2年で資格を取得できると思います。あまり難しく考える必要は無いです。これは、基本的な資格で、用様な種類があります。しかし、今日スポーツ選手を診るトレイナーには、NATA-ATC資格者が必須資格である事を間違えてはなりません。

注意

2022年よりNATA-ATC資格は米国の大学院(修士課程プログラムと博士課程プログラム)でのみ養成されるようになりました。学部卒業直後のサマースクールから入学で、2年後の5月末卒業、の2年間の課程です。

 

NATA-ATCは、米国内での資格であります。本資格を有するトレイナーは、基本的にDocter-PT(Physical therapist)-ATCの実務序列になっているので、常に上司の指導、指示を下に治療行為をする必要があります。

現在日本国内には、約500名のNATA-ATCの資格者がいるはずです。

彼ら、彼女らが困っているのは、折角高度な理論、実践を持ってしても日本国内では治療行為が出来ないのです。(選手の身体に触れる事ができない意味)

何故ならば、1970年代前半に既にNATA-ATC資格者の第一号が帰国して活動をしようとしましましたが、当時から旧厚生省が米国資格を頑なに認めないのです。これは、今日も尚拒み続けている次第です。その最大の理由は、利権問題なのです。日本に於いては、長年伝統的に東洋医学(針、灸、あんま、マッサージ、等)が全国に根を張り巨大な組織・団体を構成しています。この団体は、自民党の選挙基盤の一つであり政治資金の礎となっているようなので本件の話題が出るとこの原石に行き当たります。

何故米国の資格(NATA-ATC)を厚労省(旧厚生省)が拒むのか、これを利権の維持以外に理由は見当たりません。本件が動き出すと自民党厚労省出身者から省庁の役人にプレッシャーがかかり、全ての書類が揉み消されてきているようです。

NATA-ATCを取得した方々は、米国に資格を取りに行く前に日本の東洋医学鍼灸師、按摩師、指圧師)の資格を得て行くか、或いは、帰国後NATA-ATC資格を取得して、再度国内で東洋医学の資格を得て活動をしているのが現状です。この他には、近年日本国内の複数の組織・団体は、日本版ATC資格が取れるようになりました。この資格を取ると治療行為が許可されています。この資格、コースは、NATA-ATC(米国)の資格要件を満たした内容、質共に異なります。このプログラムでは、実践的に信頼を得るとは言い難いとスポーツ・アドミニストレイターの立ち位置で申し添えます。このようなプログラムを設置して何故NATA-ATC資格者に治療行為の許認可が出せないのか、厚労省は明確な理由を国民、社会に公表する義務があります。

 

文責:河田弘道   10,535字

スポーツ・アドミニストレイター

ポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:「G‐File 長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

WBCシリーズⅠ~Ⅵまでを公開致しましたが如何でしたでしょうか。

個々の興味、知識も異なる事から理解の仕方も多種多様であったと推測致します。読者の皆様の知識により理解、認識されて専門分野、部門の知識を蓄えて頂けましたら十分です。問題は、個々に得た知識を如何に活用されるかです。

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案?(Ⅴ)

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案?(Ⅴ)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載

スポーツ・アドミニストレイター

日本に初めてスポーツ・アドミニストレイション論を導入

日米で実践スポーツ・アドミニストレイターの先駆者

プロフィールは別途ご検索下さい

 

筆者からの便り~

読者の皆様は、日々暑い中個々それぞれの生き方とペースでお過ごしされていると思われます。それらは、個々の心身の健康が在っての事です。人は、一人では生きて行けません。人は、それぞれ思いやりの心が在って初めて共生の社会が生まれます。自己中心主義の生き方は、やがて大切な物を失い、社会、国家を失う事になります。万物は、流転と申されています。事の良し悪しは、自らの知識と経験値により判断できます。知識が無く判断できない時は、自身が一番リスペクトする方に聞く勇気と行動力を持ちましょう。

 

注意書き

この度のNO.204は、ベースボール・アドミニストレイターとしての立ち位置と視点で主観を交えての論考とさせて頂きます事をご了解ください。筆者は、本WBCに関係した者ではありません事を先ずご理解して頂けましたら幸いです。

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目次

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案(Ⅴ)

2023WBCドリームティームのスタッフ選考

先ず初めに

Ⅰ.2023WBC侍ジャパン監督決定

 1.記者会見より

          ■監督選考経緯の説明

          ■会見での栗山新監督の発言要旨

2.侍ジャパンの真のリーダーの必要性

          ■ダルビッシュ・有選手と大谷翔平選手への配慮・気配り

          ■栗山監督のティーム構想

3.監督を支えるスタッフ選考

         ■スタッフ選考意図と真意

         ■監督を守る傭兵(スタッフ)選び

          週刊文春報道の裏に何が

         ■ティーム栗山の役割分担

筆者の私見とまとめ

 

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2023年7月13日 木曜日                   公開

無断転載禁止

KファイルNO.204:翔平(侍)ジャパン編成に伴う監督私案(Ⅴ)

2023WBCドリームティームのスタッフ選考

先ず初めに

 第Ⅳ弾(NO.203)の反響は、かなりありました事をご報告致します。特に野球担当のマスメディア諸氏からのコメントの中には、個々それぞれが過去に掲載された原稿、記事に対する反省が込められていたのが印象的です。そのプロのライター達から、大変読みやすく読み応えがありました。どうしても分からなかった部分がKファイルで勉強させて頂き、パズルの穴が埋まりました。有難うございました。次回も宜しくご指導下さい。とのご丁重なお便りを新聞社、週刊誌、プロ野球業界担当者の方々から頂き恐縮致しております。

読者の皆様は、如何でしたでしょうか。TV、マスメディアを通してのこの度のWBCの表面とその舞台裏の人間模様は、一般社会、会社、企業の組織そのものであったのではないでしょうか。これは、只単に野球の記事ではありませんので、野球に興味が無くパスされる方々は視点の視野が狭い事を読者の皆様は理解されている事と思います。

 この度の第Ⅴ弾(NO.204)は、今までに増してより現場に近い所をスポーツ・アドミニストレイター(此処ではベースボール・アドミニストレイター)として、少し細部に渡りお話しできればと思います。

 

Ⅰ.2023WBC侍ジャパン監督決定

 1.記者会見より

栗山英樹新監督の発表は、正確には2021年12月2日であった様に記憶しています。彼が日本ハムファイターズ球団監督を退任されたのは、2021年10月であったと思います。

そして同日に記者会見が行われた雛壇には、栗山英樹監督、斉藤惇氏(略称:NPB日本プロフェッショナル野球機構コミッショナー)、井原敦氏(NPB事務局長兼日本野球協議会(英略:BFJ Baseball Federation of Japan侍ジャパン強化委員会委員長)の同席により行われました。

■監督選考経緯の説明

 井原敦氏からは、監督選考の経緯に付いて形式的な説明が成されました。その内容は、選考基準として、①NPBチーム監督経験もしくは日本代表経験のいずれかがあること、②全国的な発信力があること、③アマチュア野球界を含む野球界全体および、侍ジャパン事業全体への理解があることと説明されています。

井原敦強化委員長は、上記3項目を選考基準として挙げたにも関わらず、「この度の2023年WBC大会まで強化試合、活動期間が多く取れない為「NPBでの監督経験や、短期決戦での経験が豊富な人物がよいのではないかという意見が強かったので、日本ハム球団での10年の監督経験、リーグ優勝、日本一の経験を持つ栗山新監督に引き受けて頂く事になった。と付け加えられ、「特例」と言わんばかりの説明に聞こえたのは筆者だけでしょうか。即ち、これは過去の監督選考基準に当てはまらなくとも、今回は特殊な事情(MLBで活躍している日本人選手を招聘する事が一大目標である事は発言せず)があるので基準外から選考したと言いたげな説明に終始されたことです。

この説明に置いて、井原氏らしい表現は、「選んだのは自分ではなく栗山監督が良いとの強い意見に従った」とでも言いたげな説明であった事が印象的でした。これは、彼らしい栗山で上手くいかなった場合を想定して自らの責任回避と思われても仕方のない表現に思えてなりませんでした。

栗山監督は、短期決戦に強いとの「根拠」の説明が無かったのは、述べると何か不都合があったのか、気付かれなかったのかも知れません。

■会見での栗山新監督の発言要旨

決意表明

栗山監督は、先ず強化委員会の要請に対して「想像もしていなかったので驚いた」と前置きをしました。

  • これまで野球界の皆さんが作ってくれた大切なものを継承しながら、すべての野球人が結束して日本野球は何たるものかということを示せるようにやっていきます。
  • 選手選考に付いては、対応力を持った力のある選手。今後の日本野球界への思いを持った選手たちと戦いたい。日本の野球は、ここからが次の世代に向けて、とても重要だと感じています。子供が少なくなっていく中で、野球の楽しさを知ってもらうためにという責任感を持ってくれる選手たちが集まって、魂を持って戦えるよう、選手にお願いをしながら、チームを作っていきたいと思います。
  • 10年間の監督生活の中で、本当の思いはやはり勝たないと伝わらないことがあると経験してきているので、勝ちきることで選手たちの素晴らしさや日本野球の凄さを伝えられるよう全力を尽くしていきます。-以上記者会見公表より抜粋―

筆者は、栗山氏が監督を引き受けた際の記者会見で自身の決意表明を饒舌に語った事で彼の特徴が垣間見れたと思います。

栗山英樹氏は、ロマンチストとリアリストが共存する感情豊かな人柄の方のようです此の極端な感情がTPOをコントロールできない時に「号泣」を演出する所以なのかも知れません。しかし、これが彼の特徴でもあるのです。この様な特徴から意外と芸能人、俳優、政治家(宗教を後ろ盾で)として、成功すると洞察します。

■栗山監督のティーム構想

   栗山監督は、監督を受託する以前(日ハム監督最終年)から侍ジャパン強化委員会委員長からの打診及び、構想、主たる目的、目標、即ちティームビジョンの意見交換を積み重ねてきたと推測するのが当然であると思われます。

よって、記者会見で本人は、強化委員会の要請に対して「想像もしていなかったので驚いた」と述べているのは単に社交辞令であると思う次第です

双方のすり合わせで、合意に達した事の一つは、「侍ジャパンのドリームティーム結成」であったのだと思います。過去の侍ジャパンの監督は、知名度は在っても物を作る創造力及びマネージメント力があったとはお世辞にも言えない選考であったのは言うまでもありません。

 そこでドリームティーの軸は、MLBで大活躍の「大谷翔平投手・選手」であった事は皆様もご承知の通りですそれにもう一人日本プロ野球界からは、「佐々木郎希投手」の参加です。この二人の投手が侍ジャパンの夢のティームのシンボルであり広告塔に成ったのは容易に理解できます。

これは、本来この二人こそが、真の東北震災の象徴であるべき若者です。何故21年の東京五輪に置いて、組織委員会・会長の森喜朗氏及び責任者達は、開会式での最終ランナーにこの二人を選ばず、大坂なおみ選手を突然出して来たのか。今日も尚、東京五輪開催の最大のシンボルであるべき、最終聖火ランナーの選考に軽率な判断と決断を成した事が、今後も東京五輪を語るほどに最高責任者の見識を問われることになるでしょう。

しかし、この両選手には、日本代表ティームの華になってもまとめて行く能力はまだ未知数であり、栗山監督は期待をしていたわけではないと思われます。

華やかな内外の超スター選手を招聘する上で一番難しいのは、ティームを一つにまとめる事なのです。個々の選手達は、それぞれ所属する球団ではスター選手で球団、ティームの顔である事です。此のことから選手達は、個々に異なるプライドと強い個性を持ち褪せている事が、ティームを纏めるうえで非常に困難を極める次第です。

 

2.侍ジャパンの真のリーダーの必要性

ダルビッシュ・有選手と大谷翔平選手への配慮・気配り

そこで、栗山監督は、このティームにキャプテンを置くと弊害となるとの考えに至ったのだと思います。その根拠は、招聘する各選手は、各球団の主であり国内の最高の技術、身体能力を有している事です。彼らが同業者として現在絶対的に一目も二目も置く選手は、「大谷翔平選手」である事に疑う余地はない次に一目置く選手は、元日ハム投手で現MLBサンディエゴ・パドレス球団所属の「ダルビッシュ・有選手」である事です。しかし、同投手には、日ハム時代を含め日本での素行が宜しくなかった事から、果して他の選手達がリスペクトするか否かが懸念されるところであったと思われます。

そこで、栗山氏は、何度もメールと電話での囁きに加えて、現地に赴き本人と直接会って面談、歓談を繰り返した事と察します。その結果、以前のダルビッシュ選手とは異なる人間的な成長を確信したのだと思います。此のことを確認、確証した上で、栗山氏は、同選手に侍ジャパンで彼に投手として期待する以外の重要な案件、内容を伝え、説得し、本人が受託したのだと思います。これは、あくまで筆者の推論です。

栗山監督が彼に託した任務は、MLBに置いて押しも押されもしない大投手として、日本選手達に技術のみならず、何が大切かの「野球伝道師」の役割を担わせた事であったと思われますこれは、ダルビッシュ選手のプライドをくすぐり、自身は監督から頼まれたリーダーであり、ティームを一つにまとめる役目と使命がある事を理解、認識させ彼に大義を与えた栗山氏の真骨頂であったと思われます。

これは、また栗山氏の宗教的信念に強く意味する言葉であり美学なのだと思われます。この重責を担わせた証として、栗山監督の要望でダルビッシュ・有投手には、プライベイトジェット機を準備して、宮崎キャンプの頭から乗り込ませた言わばパフォーマンスであり、これによりダルビッシュ選手に箔を付ける事で選手からリスペクトを受け、スポンサー、TVへの商品価値に繋げたと理解する事が、この業界の付加価値を意味するように思えてなりませんでした。プライベイトジェット機を手配するアイディアは、何方だったのでしょうか。機会がある時に話題といたしましょう。

3.監督を支えるスタッフ選考

 栗山氏は、監督受託以前からスタッフ選考に関する自身の意思を明確に強化委員長の井原氏に伝えた条件の中の一つであったと考えられます。最終的に選ばれたスタッフ名及び過去の所属球団を確認して頂ければ容易に、栗山氏の胸の中を推測できるはずです。この人事は、ある意味において栗山氏が監督になった時の命綱となる、即ちライフラインなので引き下がれない重要な条件闘争だった思われます

 

2023年3月14日発表

  • 背番号:89 監督 栗山 英樹(元日ハム監督)
  • 背番号:90 ヘッドコーチ 白井 一幸(元日ハムコーチ)
  • 背番号:77 打撃コーチ 吉村 禎章(元巨人軍コーチ)
  • 背番号:87 外野守備・走塁コーチ 清水 雅治(元日本ハムコーチ)
  • 背番号:81 投手コーチ 吉井 理人(元日ハムコーチ)2
  • 背番号:75 ブルペン担当コーチ 厚澤 和幸(元日ハムコーチ)
  • 背番号:79 内野守備・走塁 兼 作戦コーチ 城石 憲之(元ヤクルト、

                               日ハムコーチ)

  • 背番号:74 バッテリーコーチ 村田 善則(元巨人軍コーチ)
  • 鶴岡慎也氏 ブルペン担当(通称:壁) 

  注:通称壁とは、ブルペンで投げる投手の球を受ける事を仕事としている役目の事 です。

■これらスタッフ選考意図と真意

     読者の皆様がスタッフリストから即気付かれるのは、栗山氏が日ハム球団で監督時代にスタッフとして上下関係にあった人達ばかりである事です。この真意は、栗山氏が監督として一番遠慮なく指揮、指示を出し易い、即ちイエスマン達を招聘した事です。他数名のスタッフリストは、多分強化員会、委員長の関係者への配慮で受け入れざるを得なかったと申した方が理解しやすいと思われます。

侍ジャパンの指揮官、スタッフの重要な案件は、①勝たせること、②そのためには選手を機嫌よくプレイさせること、③怪我をさせない、④ティーム内の個々の人間関係をポジティブにまとめる事、⑤最後に個々の選手のテクニカル問題に付いては口、手を出さないこと、が指揮官から全スタッフに徹底されたていた筈なのです。

しかし、③に付いては、監督に大きな手抜かりがあったか、自身に専門知識が欠落していたか、によりスタート前に既に問題が発生していたのにも気付かなかったのかも知れません。本分野に大きな穴を開けたその要因は、監督が医療部門のヘッドトレイナー氏と公私に渡る関係者でなく、多分強化委員会、或いはこのヘッドトレイナーの招聘に昔から関わった個人か団体があったので避けていたのかも知れません。栗山氏が監督になった後から「選手の怪我、傷害に付いては、ことのほか心配していた事案であった」と声を大に最重要案件の一つとして挙げていました。それにも関わらず、本医療部門の人事に介入した足跡が無く、人任せにした事は、自身の重要な案件を何と理解していたのか疑念をぬぐえない重大な問題を残した次第です。

⑤最後に個々の選手のテクニカル問題に付いては口、手を出さないこと」の項目に付きましては、選抜された選手達は日本プロ野球界の最高の選手であるからこそ選ばれたのです。よって、技術的な問題がある選手は選考されていないのです。そしてもう1つ大きな要因は、各選手は各球団所属であり所属球団には、それぞれ専門の指導者がいるので、手出し無用の暗黙のルールがあると説明致した方が分かりやすいかも知れません。此のことは、医療部門にも当てはまる重要な問題なのでした。

■監督を守る傭兵(スタッフ)選び

      栗山監督がスタッフ選考を重要視したのは、他でもない信頼関係と気心が分かっているので遠慮なく指示が出せる事が最大の要因であると思われます。

そこで、先ず招聘したのが白井一幸氏をヘッドコーチとしたことです。野球界の知識に少し詳しい読者の皆様の中には、白井一幸氏の名前を耳にしますと色んなメメージを持たれているのではないでしょうか。確か日ハム球団がまだ東京をフランチャイズとしていたころに駒澤大学から内野手として日本ハム球団が1位指名した当時の選手でした。このドラフトに当時は、驚かれたファンも多かったようです。

 白井氏と日ハムのご縁は、日ハムの創業者であり球団オーナーであった「大社義則氏、2005年4月27日90歳没」との関係にあったと理解します。大迫氏は、無類の野球好きで有名でした。大社氏の郷里は、香川県大川郡津田町津田(現・さぬき市)であり、白井氏とは同郷であったのでした。よって、白井氏は、大学時代から大社社長に可愛がられて入団したのが正しい理解でしょう。その後、2002年に日ハムは、牛肉偽装事件(狂牛病)で大社社長・オーナーは、退任され大社啓二氏(養子)に北海道日本ハムファイターズオーナーを引き継がれたのでした。

白井氏は、このような日ハム球団との関係から自由気ままな活動、発言が許されて来たのだと推測されます。しかし、彼の自由気ままな発言、行動も日ハムの狂牛病事件を境に企業内部の力関係が変色し始めたころでした。二代目大社啓二オーナーになられた時でしたか、一度球団外に出ていた白井氏は、筆者を訪ねて参りました。彼は、米国人監督の後は自分が監督になる、なれるとの思いが強く働いていたのではないかと感じる節が多々ありました。確か、新オーナーに声を掛けて頂き古巣に戻るか、オファーを受けている他球団に行くかで迷っていたころであったような記憶があります。

最終的に白井氏は、古巣日ハムに戻る決心をした時から以降栗山英樹日ハム監督船に乗船したのだと思います。これ以外には、栗山氏とはひょっとして宗教関係での強い繋がりによる信頼関係があるのかも知れません。その後、大社啓二オーナーが退任され白井氏は、将来の後ろ盾を失ったところに「大谷翔平選手引き回し事件」が内部問題に発展突然の処分が下されたのでした。しかし、本件に於いて栗山監督は、手を差し伸べなかったのと白井氏の言動、行動に対する感情を露わにした様子が伝え聞こえて参った次第でした。

週刊文春報道

WBC後、週刊文春で何度か記事になっている件は、白井氏が日ハム球団に復帰して、栗山監督の下でコーチを行っていた時の出来事であり、丁度10年間の栗山時代の後半期から発生していた球団内の複雑な人間模様の一つであったと思われます。これ以外にも球団の一軍、二軍のスタッフ間の或る要因による派閥から栗山体制が弱体化し、個々の選手、ティームへの求心力が低下した様子は、成績、結果からもうかがえる次第でした。

侍ジャパンスタッフの白井一幸ヘッド起用は、栗山監督にとって日ハム時代の蟠りの清算と信頼関係の証であったと理解致します。

栗山監督にとっての真のスタッフは、自身の指揮、指示を伝達する駒であるので真のスタッフにはそれぞれの役目を明確に与えている事です。

ティーム栗山の役割分担

★白井ヘッドコーチの役目は、栗山監督の目の届かない所に目を光らせる、いわば栗山監督の後ろの目の役割とティーム内で起きる事を想定したストレスのはけ口に対するサンドバック役が必要であったと思われます。それと監督が直接的に発言、行動できない裏側の指示役も重要な役目であったに違いありません。云わば白井氏の特徴(お喋りで出たがり屋さん)を有効活用したのだと思います。

★投手コーチ 吉井 理人氏は、スタッフの中で唯一のMLBの選手としての経験者であり、ダルビッシュ・有投手、大谷翔平投手の相談役と佐々木投手の管理、他の投手達の相談役と投手陣の運営、管理に大きな期待を寄せていたのだと思われます。しかし、吉井氏が2022年ロッテ球団のシーズン最終戦の朝、球団の重大決断に伴い井口監督の解任、吉井氏を新監督に就任させた事から、栗山監督の構想も変更せざるを得なくなったと思われます。投手コーチとしての表舞台から静かな支援コーチ的な立ち位置に換えられたと洞察いたします。常識的には、ロッテ監督就任と同時に侍ジャパン投手コーチ辞任が筋であったと思われます。しかし、吉井氏は、佐々木郎希投手をロッテ球団入団当時より担当投手コーチであった事実からも栗山監督は、吉井氏をティームに留まる事を説得されたのだと思われます。吉井氏は、十分な役割を果たされた事でしょう。

ブルペン担当コーチ 厚澤 和幸氏は、吉井投手コーチの突然のロッテ球団監督就任により、吉井氏が他球団の投手を管理する事が倫理的にも難しくなった事から、栗山監督は、プルペン担当コーチの厚澤和幸氏を表の投手コーチとして使う決断をしたのだと推測します。吉井氏は、ダッグアウトに於いてもサポーティブな態度、発言に徹していた様子が印象的でした。

★内野守備・走塁兼作戦コーチ 城石 憲之氏は、栗山監督にとっては貴重な存在であり、城石氏は長年栗山氏とはヤクルト時代からの仲で日ハム時代に於いても二軍、一軍で肩書きとは異なる仕事をされていたのだと思われます。本人は、肩書が自身の特命であり業務と思い込んでいる様子です。

栗山氏が同氏に行わせている業務は、コーチ、選手達の日々の情報を栗山監督に提供する、栗山監督が指示した事をその特定の選手、コーチに監督からを伏せて、情報を流す、云わば「伝書バト」的な役割が必要であったのでしょう。これは、彼の適性なのかも知れません。しかし、賢い選手、球団スタッフは、見抜いていますが、本人は感じないようです。

ブルペン担当(通称:壁)鶴岡慎也は、最近まで現役選手として活躍し

栗山監督とは、大変気心が通じている関係で鶴岡氏をプルペンだけの捕手としてスタッフに確保されていたことは大変貴重な存在と成ったと思います。その根拠は、栗山監督が鶴岡氏をプルペンに入れた理由は各球団の投手の日々の状態、特にゲーム中のブルペンでの球の資質をオンタイムで厚澤コーチに入れて、ベンチの栗山監督の耳に入れ、投手起用の決断材料にする事であったと思われます。よって、WBC期間中は、バッテリーコーチ以上な重要な任務があったと理解する次第です。

★水原一平氏は、大谷翔平選手の球団公式通訳としての顔と日本代表ティームの監督通訳兼コーディネーターとしての肩書と重責を担っていたのだと思われます。他のMLBに所属する日本人選手と彼らの代理人を通しての球団との交渉並びに交渉人的役割もある程度担わされたと想像します。また、コミュニケイションラインのキーマンであった事に違いありません。

以上が、栗山監督のWBC侍ジャパンの真のスタッフとそれぞれの役割分担であったと洞察いたします。

筆者の私見とまとめ

読者の皆様に置かれましては、23WBCを一喜一憂しながら映像を通して観戦された事でしょう。スポーツ競技の中でも野球は、スポーツ医科学的に申しますれば一番運動量の少ない競技スポーツである事をご存じでしたか。野球の発祥地米国に於いても、野球が競技スポーツの三番目の人気スポーツである事がよく理解できます。巨大なスタジアムの中を時間がゆったりと流れ、友人知人、家族との語らいの場を提供し、フランチャイズティームを応援、サポートする、いわばリクレイション・スポーツに適しているのです。其れは、長い時間の流れの中で観戦する「有酸素運動(エアロビクス)」と取られているからです。

片や、人気NO.1のフットボール、NO.2のバスケットボールが米国最大の人気競技スポーツと云われる所以は、1アクションの次に多くの結果が伴う、アクションと結果が常に伴う競技スポーツでそこには強烈な身体接触伴うからです。これが多民族国家の米国人気質で肉食動物と言われる所以かも知れません。即ち、観客もスタジアム、アリーナに入った瞬間から「無酸素運動(アナエアロビック)」の体制に入っている事です。それらは、アクション、結果の連続で息つく暇もないという意味なのです。このフットボールは、陸軍の戦場での地上戦をスタジアムという競技場にコンパクトに閉じ込めた戦争ごっこが原形と成った所以です

大多数の読者の皆様は、TV中継を通してゲーム観戦されている事と思います。人気あるスポーツ番組は、リアリズムそのものです。しかし、それを支え演出する舞台裏もまたリアリズムの世界である事をKファイルから少しでも感じて頂ければ筆者冥利に尽きます。

文責:河田弘道  9572字

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G‐File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:NO.204は、如何でしたでしょうか。次回は、夏休み前の最後のKファイルを予定させて頂いております。猛暑の日々、どうか体調管理には、お気をつけてお過ごしください。

KファイルNO.203: WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

KファイルNO.203: WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

無断転載禁止                毎月第二、第四木曜日掲載


スポーツ・アドミニストレイター

日本に初めてスポーツ・アドミニストレイション論を導入

日米で実践スポーツ・アドミニストレイターの先駆者

プロフィールは別途ご検索下さい

 

目次

KファイルNO.203:WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

23WBC侍ジャパンの大前提

先ず初めに

Ⅰ.WBCに関する選考事案は委員会で承認、任命

 1.侍ジャパンの編成とその手法

  ■日本野球協議会の設立

  ■日本野球協議会とは

2.侍ジャパン強化委員会とは

  ■強化を目的とする編成部門を司る部署

  ■2023年度強化委員会の責務

3.強化委員会の重要案件

  ■監督の選考

  ■栗山英樹氏の特徴と才能

4.監督選考プロゼクトの真の目的

筆者の私見とまとめ

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2023年6月29日 木曜日                   公開

KファイルNO.203:WBC勝利、歓喜の裏のAnother Story(Ⅳ)

無断転載禁止

23WBC侍ジャパンの大前提

先ず初めに

 この度のNO.203は、ベースボール・アドミニストレイターとしての立ち位置と視点で主観を交えての論考とさせて頂きます事をご了解ください

 本KファイルNO.203(第Ⅳ弾)をスタートさせていただきます前に前弾(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)までの大事なポイントをリマインドさせて頂きますので、読者の皆様も是非ご記憶を蘇らせて下さい。

    WBCWorld Baseball Classic)は、米国のMLB(Meager League Baseball)機構とMLBPA(Meager League Baseball Players Association)選手会により出資されたWBCIWorld Baseball Classic Incorporated)社はNew York市に設立されました。WBCは、このWBCIにより経営、運営、管理がなされているベースボール・イベントなのです。よってWBCの主催者は、WBCIであります。WBCIの収入源は、ワールドワイドなスポンサーを複数社(日本企業)持ち、マネージメントは広告代理店電通と委託契約を結んでいるようです(公式公開無し)。その他の収入源では、TV局との放映権料、スタジアムで観戦する観戦料、グッズ、飲食料、他から得ています。

片や、代表各国のティーム・オーガナイザーは、WBCIの委託を受けた組織・団体が株式会社方式で経営・運営・管理を行っています。例えば、日本の代表ティーム(公称:侍ジャパン)は、NPBエンタープライズ社(英記:NPB Enterprise Inc.,略称:NPBEI)に寄って経営、運営、管理がなされています

NPBEIは、NPB機構(日本プロ野球)とNPBに加盟する12球団によりサポートされている組織・団体であるという事です。よってこの組織・団体には、日本プロ野球選手会なる組織の影響力は少なく、ここがWBCIの組織構造と大きく異なる1つであります。此のことは、即ち日本プロ野球選手会にはMLBPAのような決定的な力が無くNPB機構内にある12球団オーナー会議の力が絶大である事の証なのです。12球団は、全面的に選手選考には最大の協力を惜しまないとする前提がありますが、選手には出場する有無の許否権が与えられています

また、NPBEIの収入源は、WBCIからの分配金と主に独自のスポンサー企業を持ち、これも広告代理店電通が窓口と成っているようです。NPBEIの歴代の社長は、ほぼ全員が読売新聞東京本社の事業局、運動部から関係者が転職しているのが特徴です

この度もNPBエンタープライズ新社長の吉岡則雄氏は、1992年に読売新聞大阪本社に入社し文化事業部長などを歴任して21年4月から東京本社野球事業部長を務めていた経歴を持つ方が就任されました。日本代表「侍ジャパン」事業を展開する(株)NPBエンタープライズ(通称:NPBEI)は、取締役会と臨時株主総会を開き、吉岡則雄氏(54)を新社長として承認し、6月1日付で社長に就任しました。西原研志社長は同日付で退任。-通信社配信記事より―

Ⅰ.WBCに関する選考事案は委員会で承認、任命

    本第Ⅳ弾(KファイルNO.203)では、主に侍ジャパン編成に関して日本のマスメディアがあまり報道したがらない重要案件のポイントをご紹介、解説出来ればと思います。

Kファイルの読者の皆様は、WBCに関してマスメディアが報道、記事のネタにしたがるソースの一つに監督の選考がありますことはご承知の通りです。そして次にコーチングスタッフの選考であり、選手選考であります。この様な選考を大騒ぎするのは、日本のTV、マスメディアだけのようです。その根拠は、野球は日本の国技と未だに思い込んでいる国民と社会が伝統的にあり、今日も尚日本国内ではスポーツ、競技スポーツの中心に野球が位置しています。この最大の人気と商品価値から評価価値は、選手達に高額の年俸が支払われている事がその証です。

 

余談になりますが、比較対象として述べさせて頂きますと、日本は、野球に対抗する競技スポーツとして、プロサッカー競技が1993年に日本で初めてプロリーグが設立されました。川淵三郎氏は、プロ化に当たり大変ご尽力された方とされています。しかし、残念ながら彼のサッカー・アドミニストレイションは、ドイツ・サッカークラブの構造とシステムを其のまま日本に持ち込まれたことでした。日本には、日本の伝統的なスポーツ、競技スポーツの経営、運営、管理手法の良さは加味されず、今日迄他国の文化を無理やり根付かせようとされているように思えてなりません。川淵氏は、当初よりプロ野球のような親会社の広告宣伝を主たる目的とする事を嫌った事からドイツのクラブティームスタイルを手っ取り早く取り入れたと今日も尚言い伝えられています。

現在日本のプロサッカー球団は、全国に50球団設立し活動しています。読者の皆様は、この実態をご存じでしたか。50球団の名称など知る由もありません。それではなぜプロのサッカー選手は、アルバイトをしながらプロを名のるのか、どうして競技場の観客の大半がタダ券で入れるのか、サッカー選手の年俸がいくらかご存じですか、毎年高校、大学からどのような選手がどの球団に入団したか、等誰も知る由もありません。球団経営者には、プロ選手の定義を学んで頂き、選手が胸を張って自身の年俸を公開できるよう改善して挙げて欲しいと願います。此のことは、未来のサッカー選手としての子供達とその父母に夢と希望を与えるのです。

TV局は、国内サッカーの視聴率が獲得できないので広告代理店は見向きもしません。スポンサーが付かず放映できないからです。そこで、ヨーロッパのサッカー専門ネットワークテレビにJ-leagueの放映権を譲渡し、その収益を全球団に分配しているのが実状です。本ネットワークが日本国内のゲームの放映で利益を上げているか否かの情報は、公開されていません。何れにしても、この収益を分配されても各球団は、累積赤字の補填に回しているのが現状の様です。

NHKは、公共放送なので仕方なくBSチャンネルを活用しているのです。川淵氏曰くサッカーは、100年計画なので此れも仕方ないようです。このような状態が長年続いている現状を読者の皆さんは、サッカーはこんな物なんだとの思い込みを与えているのが心配です。しかし、日本代表ティームのレベルは、1993年以降遥かに向上したと思います。

それに比べて野球界は、恵まれ過ぎていませんでしょうか。年俸5億円取る選手が何名いるかご存じでしょうか。このところのMLB思考から、此れから益々優秀な選手達がMLBに海を渡り、J‐league同様に日本プロ野球界も国内ビジネスが空洞化なる日が近付いている事を忘れてはならないと思います

1.侍ジャパンの編成とその手法

     読者の皆様は、本編成部門に付きましては非常に興味がある部門であるかと思われます。特に監督、スタッフ、選手は、どの様にして選ばれるのか。特に近年は、2006年の第1回WBC大会から、出場選手は、略全員日本プロ野球球団所属選手が選考対象となってきました事から監督、スタッフ達もプロ経験者がその対象となって、今日に至っています。

  • 但し、スタッフの中でも医療部門は、元来のアマチュア野球連盟がオリンピック、国際試合を仕切って来た名残が、今尚改善、改革できておらずこの度の2023年WBC侍ジャパンに置いて、貴重な選手達に業務上の事故、傷害問題が発生し本人並びに所属球団に甚大な被害を出した事は、既に週刊文春、等で指摘された問題でありますKファイルでは、本件に付いては大変重要なベースボール・アドミニストレイションのファクターの一つである事から後に解説させて頂きます

其れ迄オリンピック大会、各国際大会への選考は、日本野球連盟が主体となって、五輪憲章に基づいた選考基準(アマチュア規則)で運営、管理がなされて来ました。WBC大会は、MLB機構とMLBPA選手会が主体となっているので本来はプロ野球の組織・団体で経営、運営、管理がなされて当然ではあります

しかし、WBCI(主催者)は、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)をパートナーとして、「野球世界一決定戦」と題した看板が必要な事からも、WBSC、各国のアマチュア野球競技団体との関係も維持して行かなければならないのです。そこでまた新たなプロ・アマが同席し意見を述べられる組織として、「日本野球協議会」なるものを設置し、責任ある役割を担って頂かなければならないのです

■日本野球協議会(BFJ)の設立

   そこでNPB機構、(株)NPBエンタープライズは、新たに日本野球協議会(英略:BFJ Baseball Federation of Japan)なる組織を設置して、主に編成部門、他を担って頂く事が本協議会の責務とされたのです。

■日本野球協議会とは

 日本野球協議会(BFJ)は、一般社団法人日本野球機構一般財団法人全日本野球協会が主体となって組織し、運営、管理する協議会です。目的は、この協議会は21世紀において、野球が広く国民に愛され、親しまれるために、普及・振興事業の充実をはかり、我が国最大のスポーツ文化としてさらに発展させていくことを目的とする。プロ、アマ日本の野球界が一体となって、野球の普及・振興を中心に将来を見据えた活動をするために発足した会議体である。

 その活動のため5つの委員会を設置し、この委員会を中心に実りある議論をプロ、アマで行っていくものです。協議会役員は、NPBNPB所属球団代表、BFJ、有職者により構成されています。-日本野球協議会概要より―

 

2.侍ジャパン強化委員会とは

■強化を目的とする編成部門を司る部署

本強化委員会は、日本野球協議会(略称:BFJ)の責務の1部門として開設されています。実は、この部門が侍ジャパンの中枢部門の編成を行う最重要な責務を執り行っているのです。「侍ジャパン強化委員会」は、監督の選考からスタッフ、選手選考まで現場の重要な人事が取り行われているのです。

強化委員会メンバー及び所属

2023年侍ジャパン強化委員会

委員長 井原 敦(日本野球機構NPB事務局長、元読売新聞社運動部所属)           

副委員長 筒井 崇護(日本野球連盟JBA)  

委員

鈴木 清明(広島球団)     

加茂 浩將(中日球団)     

横田 昭作(オリックス球団)

豊田 耕太郎(ロッテ球団)         

安部井 寛(日本野球機構NPB

小倉 好正(日本高等学校野球連盟

菅原 悦郎(全日本大学野球連盟

高見 泰範(日本野球連盟

中島 梨沙(全日本野球協会

平野 裕一(全日本野球協会)        

西原研志(NPBエンタープライズ社長、元讀賣新聞社、本ポジションは、本年度6月1日付で新社長に吉岡則雄氏が就任、元読売新聞東京本社、野球事業部所属)有職

以上強化委員会の委員のリストをご紹介致しました。読者の皆様は、これを見て何処の誰が委員会に強い影響力を及ぼしているかをご想像できたのではないでっしょうか。この委員会からは、東京五輪組織員会の悪夢が脳裏に浮かぶ読者も多くいる事でしょう。WBC国内主催団体に名を連ねたく運動している自民党国会議員がわんさといるとの情報が届いています

また本主催者がアマチュア野球連盟、協会の役員を本委員会に招聘した真の狙いも、別の利権を狙う戦略の一つである事が容易に想像できる事でしょう。それは、何だと思われますか。

■2023年度強化委員会の責務

   日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長(元読売新聞社運動部所属)は、日本野球協議会(BFJ)の侍ジャパン強化委員会委員長を兼務している状態です

NPB機構のコミッショナーは、歴代東京読売巨人軍のオーナーが推薦され、オーナー会議で承認される事が慣習となっています。そしてNPB機構の実務では、井原敦事務局(元読売新聞社運動部)が陣取り、(株)NPBエンタープライズの社長には、讀賣新聞社から社員が送り込まれて配置されています

侍ジャパンの人事に関しては、日本野球協議会に強化委員会を設置しNPB機構の井原事務局長が強化委員長を兼務させるという日本プロ球界の利権と権力は、讀賣新聞社、東京読売巨人軍の手中にある、という事を此処にご紹介させて頂いた次第です。それにしても、23WBCの国内放映権が、TV朝日、TBSに持っていかれて、読売新聞翼下の日本テレビが蚊帳の外化したのはミステリーな出来事でした。まさか電通は、日本テレビよりただ単に他局の条件が良かったとビジネスライクに徹していたのかも知れません。

このような実態から、この度のWBC勝利で歓喜するマスメディアに於いてもこの日本国内の主催者、運営、管理組織・団体の情報公開が成されない主たる要因の一つが、讀賣新聞社主導による忖度がそこに潜んでいるのかも知れません。これはまた大学箱根駅伝の利権の構図に酷似であるようです。読者の皆様は、理解されましたでしょうか。此処では、筆者がベースボール・アドミニストレイターとしての視点で私的な見解を述べさせて頂いた、とご理解して頂けましたら幸いです。

3.強化委員会の重要案件

■監督の選考

彼らの最重要な案件の一つは、先ず2023年度WBC大会に参加する日本ティーム(略:侍ジャパン)の監督の選考です。

2023年侍ジャパンの監督選考に付きましては、2021年確か秋に当時日本ハム球団の監督を退任して間もないタイミングで「栗山英樹氏」を選考・発表されました。しかし、発表に関して、井原敦強化委員会委員長は、一切の経過説明をしなかったと記憶しているのは私だけでしょうか。後に強化委員会としてマスメディアに伝達されたのかも知れません。この監督発表を急がせた理由が幾つかあるのですが、機会を見て解説しましょう。

これは、筆者の私見としてお聞き下されば幸いです。

栗山英樹氏の監督選考に付きましては、2021~22年のプロ野球シーズン中に於いて既に形を変えて進行していたと理解するのが順当でしょう。何故なら、シーズン終了して間もなく、監督受諾発表は、少し手回しが良すぎます。

ここで、筆者は、本件の監督選考のイニシアティブを強化委員会の中の何方が持っているかは委員達も暗黙に理解していると思われます。その方は、委員関係者を日本流な根回し、手回しを行い最初から「栗山英樹」在りきで決めていたと思われます。既にご紹介の通り強化委員会のリーダーは、肩書からして委員長の井原敦氏(NPB機構事務局長、元読売新聞東京本社、運動部)であると思われます。

素朴な疑問は、過去五輪以来、WBCに置ける代表監督と栗山氏はタイプもキャリアも異なる、いわばこれまでの選考基準には無かった人物が指名された事でした。(過去の監督:長嶋茂雄氏、中畑清氏、王貞治氏、星野仙一氏、原辰徳氏、山本浩二氏、小久保裕紀氏、稲葉篤紀氏)

栗山英樹氏の特徴と才能

   此のことから、この度の監督選考には、これまでとは異なる事情があり只単に現場で飾って置く監督では用が足りないと判断したのでしょう。何故、栗山さんが?と読者の皆様は、きっとそう思われ感じられたことでしょう。

その根拠は、歴代のプロ野球界のWBC監督は日本野球界に大きなネームバリューを引っ提げている事がその特徴でした。栗山英樹氏は、今までの日本の野球人とは異なる資質を引っ提げてWBC監督を受託した事は今日迄の日陰野球人としての悔しさを晴らすべく気構えで挑戦したかったのだろと個人的にお見受けした次第です

しかし、この度の栗山英樹氏は、歴代の監督方ではなくあえて申し上げると「理論派」で非常に「雄弁で強い宗教心的な精神の持ち主」である事が特徴として挙げられると申し上げて過言ではありません栗山氏の履歴から(創価高校卒、東京学芸大学卒、ヤクルト球団入団、日ハム球団監督、後に23WBC監督、他)は、監督業を営む中で彼が信じる選手操縦術とその手法を持っているとお見受け致しまします。それは、コミュニケイションを主体とした心情論、精神論、感情論、等を駆使した説経を用いた説法手法と理解致しています。これは、過去のWBCの監督方と比べても異才の人材であったと思います。

その根拠は、彼のあらゆる場面での言動、態度、パフォマンスの中で「神様、伝道師、勧誘、説得力、空の間、信じる力、魂、空気、感謝、etc.」とこのような言葉を散りばめている事です。そして、彼は、スタジアムのダッグアウトであれ、何処であれ自身の感情を歓喜極め涙に換える特技を擁している事です。これは、余程宗教的精神の鍛練を受けた証でもあると思われます。

彼が選手の勧誘、選手掌握術に長けている所は、何か宗教心的マインドコントロールにより、自らを昇格させた結果、WBCに置いて自分が成すべき姿を実践したかった、強い信念を見た感じがしてなりませんでした。

筆者は、彼が幼いころからどのような環境で育ち、どの様な宗教に触れ、成長されて来られたかは存じ上げません。無論筆者は、栗山氏の信ずる宗教が何であるか一切を語らない理由も知る由もありません。

日本国は、信仰の自由が憲法により保証されていますので、もし栗山氏が特定の宗教をお持ちでしたら、是非公に紹介して欲しいと願うのは筆者だけでしょうか。彼が公表する勇気は、日本国民の迷える羊達に光を与え、栗山信者の拡大を図り、今後政界にも新しい光を与える教祖的な様子を持っているのではないでしょうか。彼を心待ちしている政党は、既に彼にコンタクトをしていても可笑しくありません。筆者は、個人的には是非文科大臣、スポーツ庁長官にと期待します。

 

4.監督選考プロゼクトの真の目的

  本プロゼクトの真の目的と目標は、当時より野球界のスーパーヒーローとして出現した「MLBロサンゼルス・エンゼルス球団所属の大谷翔平投手・選手」を侍ジャパンに連れてくること。これが条件の大前提であったと思われます。即ち「翔平ジャパン」の旗揚げがこの程の最大のテーマであった事です。

これにより2023年WBC侍ジャパンの目玉商品は、大谷翔平選手である事が大前提となったと思われます。それでは、大谷選手招聘するに当たりNPB讀賣新聞社、電通、他を見渡しても、同選手を連れて来られる適任者は見当たらない。そこで長年日本ハム球団で監督をしていて、

  • 大谷選手をドラフトした
  • 米国行きを希望していた同選手を説得した
  • 二刀流を容認した
  • 日本ハム球団に入れた経緯を全て理解している
  • 大谷選手と日ハムの契約内容を知っている(MLBへのポスティングを含む)
  • 今日も親交を継続している人物

栗山英樹氏に白羽の矢が向けられたのは自然な成り行きであったと思います

筆者の私見とまとめ

    それは、強化委員会が栗山氏に期待する最大の業務はMLBに所属するスター選手達のリクルート活動(勧誘)である事でした。その中でも目玉が「大谷翔平選手」である事です。そこで彼の取った行動は、先ず日ハム時代に長く通訳として雇用し、監督と帯同していた「水原一平さん、現大谷選手のエンゼルズ球団の公式通訳」とコミュニケイションラインを構築する必要がある事でしたそして、栗山氏が一平さんに頼む事は、大谷翔平選手が諸般の問題をクリアー出来たら侍ジャパンに参加してくれるかどうかの確信を得たかった事であったと思います。これと共に一平さんの現在の立ち位置を利用して、大谷選手の侍ジャパン参加に必要なエンゼルズ球団のGM、オーナーの真意とその情報とハードルをリストアップしてもらう事でした。

これは、一平さんでは立ち位置が異なる事から大谷選手からエイゼント(代理人)に本件に付いての協力を本人が直接申し入れなければなりませんでした

此処から本プロゼクトに大谷選手の代理人を巻き込む事と成ったと推測できます。これにより初めて本件をまとめる為の方法、手段がラインナップされ(栗山―水原―大谷―代理人-エンゼルズ球団と交渉)とそれぞれ役割を明確にしてコミュニケイションミスを犯さない最善策が構築されたと理解致します。

この様な思考力は、井原強化委員長以下強化委員達にあるとは思えません。その為には、水原一平氏侍ジャパンの通訳ではなく栗山氏本人の通約兼コーディネーターとして働いてもらいたい意思を伝え、了解してもらった上で、その後のMLB所属の必要な主な選手達の一本釣りが可能となり、侍ジャパンダッグアウトにも入る事と成ったのだと理解します

これで読者の皆様の不思議なパズルの穴を埋められたのではないでしょうか。このホットラインを先ず構築出来て初めて次のステップ、即ち栗山氏自身が監督を受託するか否かの判断材料が整ったと理解することが本業界の作業マップでもあります。

その後、栗山氏は、強化委員会の井原委員長と条件に関する交渉を重ねる中で、当然大谷選手とは直接会って参加意思の確証をまず得た事は間違いないでしょう。その証は、栗山氏が公私に渡り何度も米国に足を運んだことです。栗山氏は、大谷選手の気持ちを直接確認してそれを胸に秘めて、自らの監督受諾に必要な条件を井原敦強化委員長に求めたはずです。

強化委員長との詰め

   これは、筆者の私見として申しますが、真のプロの監督は、自らの身を守る為の参謀役を持つのが常道です。それは、監督としての裁量範囲とその権限を強化委員会に明確にして頂き、口頭ではなくある程度明文化して頂く事です。

栗山氏は、ここ迄詰めが出来たかどうかは定かでありません。此処迄の詰めが出来るなら、大事な医療部門の人員配置を怠る様な事はしなかったと考えられます

井原氏は、それまでの歴代の監督要請とは異なり、栗山氏には「大谷翔平選手の招聘課題」を背負わせるのであり、栗山氏の条件を聞き可能な限りの要望を飲む腹で接触を繰り返しながらNPB讀賣新聞本社、電通の各了解並びに強化委員会へは当たり障りない報告をし、栗山監督の推薦、任命に踏み切ったと推測致します。

2022年にこれらを秘密裏に接していた様子が目に浮かびます。この様な特殊作業を擁するこの度のプロゼクトには、歴代の監督達には不向きであり、得意な事ではありません。勿論、大谷翔平選手の獲得を強く要請したのは、他でもないNPB,強化委員会以上に広告代理店であり、代理店は、大谷選手代表入りの可否がスポンサーセールスのセールス価格及びTVへの広告、視聴率を獲得する為の完パケで売れるかどうかの最大の勝負が此処に在ったと思われます

次回をお楽しみに。

 

文責:河田 弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of Sports)

紹介:G‐File 「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:如何でしたでしょうか。読者の皆様もWBC国内主催者の気分でご笑読、思考して頂けましたでしょうか。次回は、段々と生臭いAnother Storyを味わってください。

KファイルNO.202:MLB機構はWBCを梃に権力拡大を目論むか(Ⅲ)

KファイルNO.202:MLB機構はWBCを梃に権力拡大を目論むか(Ⅲ)

無断転載禁止               毎月第二、第四木曜日 掲載

スポーツ・アドミニストレイター

日本に初めてスポーツ・アドミニストレイション論を導入

日米で実践スポーツ・アドミニストレイターの先駆者

プロフィールは別途ご検索下さい

 

目次

MLB機構はWBSCを抱き込み世界の野球界の権力の頂点を目指すか

世界野球ソフトボール連盟(略称:WBSC、World Baseball Softball Confederation)

先ず初めに

I. WBC創設に関する不透明な骨格

  1.WBC創設期の背景と起因

  2.日本プロ野球機構(NPB)とMLB機構の関係

  3.MLB機構の真の目的

  ■MLBコミッショナーの現実的ターゲットは

       ■日本プロ野球選手会MLB選手会の違い

II. 侍ジャパンの運営母体

         ■㈱NPBエンターブラズ

第三弾のまとめ

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注:本掲載内容は、基本的に筆者の専門知識、経験、記憶を基に作成致しました。よって、時系列、事実と異なる箇所があるかもしれません事を最初に申し述べさせて頂きます。筆者の主観に関しては、「筆者の私見」とさせて頂きます。読者の皆様には、出来る限り分かりやすく解説、お伝え出来ますよう努力させて頂きます。

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2023年6月15日                         公開

KファイルNO.202:MLB機構はWBCで権力拡大を目論む(Ⅲ)

無断転載禁止 

MLB機構はWBSCを抱き込みIOCと如何に共存するか

リマインド:国際野球連盟(略称:IBAF)は国際野球ソフトボール連盟に改名

IBAFは、2013年に国際ソフトボール連盟(略称:ISF、International Softball Federation)と統合して世界野球ソフトボール連盟(略称:WBSC、World Baseball Softball Confederation)に改名されました事をKファイルNO.201でご紹介済。

 

先ず初めに

この度は、NO.200、NO.201に続き第III弾として、日本国内に於けるWBCに関わる組織・団体(株式会社NPBエンタープライズ)はどの様な人達によって、経営、運営、管理がなされているのか及び、WBCIの株主母体であるMLB機構、MLB選手会との関りを中心にお伝えできたらと思います。本件に関して、野球ファン、国民、社会には、情報公開が極端に少ないまま今日を迎えているように思われます。2023年は、WBC大会は5回目を開催されましたが、不透明で不思議な組織、団体と申し上げます。

それもそのはず、このような国際的な競技スポーツイベントには、オリンピック大会同様に、何処の国の誰がいつ創設したかの、「FOUNDER=創設者」が公表されるべきなのです。しかし、WBCの組織・団体は、開示も告知もされないまま今日に至っている次第です。よって、これは、いわばWBCたる組織は、衣を着せた野望に満ちた幽霊の様な人物と団体が何処かに潜んでいるので読者の皆様は是非思いを巡らせてみて下さい。

この問題は、非常に複雑怪奇でトリッキーな要素が多々含まれています。

本件は、週刊誌記事に掲載される一般大衆向けの内容とは異なるスポーツ・アドミニストレイションの中枢に位置する大事なファクターですので、是非認識を新たにして頂けますれば幸いです。

Ⅰ. WBC創設に関する不透明な骨格

1.WBC創設期の背景と起因

WBC大会は、誰の発案で誰が創設者なのかとお尋ねしても誰もが口をつぐむのです。確かにWBCに関する史実には、1990年後期あたりからMLB内で米国籍を持つ元外国籍選手達のメジャーリーガー達が著しい活躍をする時代に成った事を認めざるを得なくなったのでした。丁度日本選手では、1995年に野茂英雄選手(LAドジャーズ球団)が米国に渡り、MLBで一世を風靡する活躍をしていたころでした。

このころMLBバド・セリグコミッショナーは、米国内に於けるMLBから世界戦略へとの野望を抱き始めたころであったと筆者は強く記憶に残っています。彼らは、これを「MLBグローバル化戦略」と称して、ベースボール市場の拡大による事業収益の増大にみならずIOCの野球に対するコンセプトに疑念を持ち始めた様子が伺えた次第でした。

それは、丁度日本国内に於いてはMLBのシーズン中のLIVE放送がNHKを中心とした民放TVのBSチャンネルが増加したことで、各局スポーツ番組ソースの需要が急激に高まって時、丁度MLBでは野茂英雄選手の後、イチロー選手というスパースターが生まれ、その後を追うようにボストンには松坂大輔選手、ヤンキースには松井秀喜選手が活躍しだした時期に重なります。

日本のお茶の間では、連日早朝からMLBで活躍する日本人選手を生で観戦できる時代が来た次第でした。これと共にMLB機構は、本格的に事業を展開する拠点に「MLBオフィス」を東京に構えて事業展開を本格化させて行ったのです。

そして今日、大谷翔平選手の超人的な活躍は、まさに「日本国民の朝の太陽」です。大谷選手は、野球選手が成せる最高の「GIFT」を毎朝母国に届けてくれているのです

 

2.日本プロ野球機構(NPB)とMLB機構の関係

日本のプロ野球界とMLB機構との関係は、昔から讀賣新聞社(読売巨人軍)独壇場で、MLB側との交渉事は多岐にわたり全て讀賣を通して行われていました。しかしこれらは、讀賣新聞社が直接的に行っていたのではなく、戦後米国進駐軍に在籍してた日系人を仲介人として、言わば新聞社側の顧問的立ち位置(後に顧問として)で、MLB側も同人物を重宝に通訳兼アドバイザー的な存在で信頼を寄せていました。その仲介人は、日本球界が米国人選手を欲しがるので仲立ち役で米国選手が日本球団に紹介していた事も事実です。勿論このような重大な情報は、全て讀賣新聞社にオンタイムで流れていたのは語るに及びませんでした。

 

筆者は、このような実態に遭遇し、MLB機構と讀賣新聞社の関係を直に体験したのは1975年の頃からでした。しかし、この様な独占的なプロ野球界の状態も時代の流れに逆らう事は出来ませんでした。其れは、丁度筆者が米国の大学と西武・国土計画を兼務するようになった時期を境に転換期が訪れたのでした。

時は、1979年晩秋の頃の事でした。小職は、日米野球で来日していましたMLBコミッショナーのブーイ・クーン氏を米国の親友の紹介で、当時プロ野球球団を持った西武ライオンズ堤義明オーナーを直接ご紹介する形を取るために米国の大学から急遽一時帰国をしたのでした。帰国と同時に小職は、芝白金にある迎賓館(旧浅香邸、東京都庭園美術館)に滞在先のニューオータニホテルからMLBコミッショナー氏をお連れして、二者会談を設定、開催致しました。それは、あの忌まわしい江川問題の終演から1年後の出来事であったのです

この会談は、終始穏やかな雰囲気で進み今後の日米の野球界の在り方、現在の日本プロ野球界の実状等も含めた話し合いが双方からなされ、コミッショナー補佐氏も同席されてメモを取られて居ました。堤義明氏側は、小職河田が通訳と補佐役を兼務させて頂きました。今日では、つい先日会談でお目にかかった様な記憶が蘇るしだいです。

本会談は、「G‐File長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著武田頼政 P.204~206に明記されています。

本会談後、日本の球団は、讀賣新聞社の日系人顧問を通さずとも選手の代理人を通じて交渉が出来るよう解放されたのです。これは、日本プロ野球界にとって大きな成果と改革の一つであったと思います。今日では、本件が起因して活躍できる外国人選手は各球団の努力次第で獲得でき球団の勝利を左右する情況を演出している次第です。片や、あぐらをかいて巨額な投資をしても外国人選手に裏切られてばかりの球団は、そうでない球団との格差が大きくなるばかりの様です。此れも競争の原理がそこに作用しているからだと思います。

本会談に若輩の私が同席させて頂けたのは、その後の自身の人生に大きな自信と足跡と成りました事を付け加えさせて頂きます。

隔年毎にMLBのオールスター戦を日本に招待し、後楽園球場、東京ドームで開催して参った歴史を読者の皆様の記憶に残っているのではないでしょうか。しかし、MLBのシーズンゲームが生中継で日本の家庭の茶の間で観戦できるようになり、また、バブル経済の後ろ盾も伴い日本の野球ファンは、もうMLBオールスター戦に対する興味が段々と無くして行ったのでした。

その根拠は、来日した選手、家族、関係者の言動、行動を見るにつけ、何か日本に観光旅行かピクニックに来ている雰囲気で真剣にプレイする為に来たのではない事を見抜いた次第です。そこで日本側は、バブルの勢いを借りて広告代理店とTV局が湯水のように莫大な経費を投資し、MLBのシーズン公式戦をそのまま東京ドームに運んでくることになったのです。しかし、このプロモーションスタイルもやがてバブルが弾けるや、間もなく姿を消して行ったのは昨日の様な気がいたします。

 この後10年後に長嶋茂雄氏との出会いにより、小生が長嶋ジャイアンツの補佐役に任ぜられ、あの94年のメイクミラクル、96年のメイクドラマに立ち会うとは、誰が想像できたでしょうか。しかし、此れも天に与えられたデスティニーであり因果な現実だったのです。

3.MLB機構の真の目的は何処に

MLB機構はWBSCを抱き込み世界の野球界の権力の頂点を目指す事を目論んでいる様な近年の動きと現実のように思えてならないのは私だけでしょうか。

その根拠には、IOCの野球競技種目への優柔不断な賛否論による不安定な状況とオリンピック競技参加に伴う厳しい規則がメジャーリーグを中心とした野球界に不利益を与える事が大きな要因と考えられるからです

 

近年のMLBと日本球界との関りと歩みの中で、日本のプロ野球界も球団の経営者達は、一事業所的な位置付けをされて居ました。しかし、今日に於いては、事業所の親会社が巨大化なったIT産業、食品飲料会社、金融関連産業、等に巨大化なった為、プロ野球界の老舗とされた鉄道、新聞業界の様変わりにより、極端な格差が生じてしまったと申し上げて過言ではありません。読者の皆様も肌で感じてられるのではないでしょうか。

このような現実を鑑み、日本プロ野球の中興の祖として君臨してきた讀賣新聞社(東京読売巨人軍)は、NPB機構加盟の他11球団が以前の様に東京読売巨人軍在りきでは今や無くなってしまった現実を直視する時が来たのです。

そこで、兼ねてから長年に渡り日本の老舗球団とMLB機構と手を握り新しい野球界の共通の認識とビジネスに於いて新しい世界に通じるイベントとして「WBC」を創設、育てて行く方向に走り出した真意が此処に在ったとしても、不自然な事ではありません。

丁度NO.201号の「米国から便り」で紹介させて頂いた、米国の大手新聞社のスポーツColumnist氏のWBC評にも小生の私見に近い内容が含まれていた事を読者の皆様はお気付きになられたでしょうか。

  • リマインドとして、米国の友人からのお便り紹介

「Hi My friend

私は、あなたが毎月公開されているKファイルのファンです。記事は、大変貴重なソースです。我が社には、翻訳セクションが完備しているのでいつもKファイルが日本語なので翻訳のセクションからデスクに届くのを楽しみに拝読しています。他社の友人のColumnistも同じようにして読んでいます。あなたの事は、多くの米国のスポーツColumnistは知っています。

私の会社内では、 WBC に付いて詳しく知っている人がいるか?お恥ずかしいですが疑わしいです。おそらく誰も知らないと思います。

ご存じの通り、私も長年オリンピック、MLBNFLNBANCAAを取材担当していますが、WBCに付いて原稿、記事を書いた記憶がないのです。其れほど、米国のスポーツ・メディアも一般メディアも興味を持って対応していないのは、間違いありません。私は、WBCの主催者とこれをオペレイションしている人達、組織は、米国以外の国(例えば日本)でやっているのでないかとも思わせる程、情報は皆無に等しいです。

多分あなたの方が、全ての重要な情報を把握しているのではないでしょうか。米国でこの時期(3月中旬から4月上旬)に国際的なイベントを行う発想は常識では考えられないでしょう。WBCの興行の成否に関わらず、主催者は、日本の企業、スポンサーが補填してくれる約束になっているようなので、主催者も名義貸しをしているのでないかと疑いたくなります。あなたの意見を聞かせて下さい。

信頼する友人より(米国大手新聞社、スポーツ担当Columnist)」

 

MLBコミッショナーの現実的なターゲット

その最大のビジネスターゲットは、極東アジアの日本、韓国、台湾、中国市場なのです。その中での最大のマーケットは、日本市場である事は疑いの余地はありません。特にWBC開催に於ける成功の可否は、日本側の財政的な支援無くしては、当初よりWBCの開催はあり得ませんでした

このWBCが公になりだしたのは、忘れもしない2005年5月でしたかMLB機構が突然野球の世界大会を開催する事を発表したのでした。丁度この時期筆者は、長期休暇を取って米国に移動、2006年10月出版を予定していました「G-File:長嶋茂雄と黒衣の参謀」の思案を熟慮していた時期であったと思います。この発表前の情報は、MLBの友人氏から電話連絡を受けて知ったので、よく覚えています。

そして、其の後それまでに既に準備をされてきた14カ国の代表者をその年の7月のMLBオールスターゲーム開催地のデトロイトに招待したのです。この招待者の中には、1961年に国交断絶したキューバと日本は、選手会が猛反対するので招かれて居なかったのでした。

日本が出席を拒んでいた理由は、当時日本のプロ野球選手会の会長に古田敦也選手がなっていたのです。古田選手・会長は、MLBの本企画は不明瞭な点が多々あり、特に開催時期が3月となっている事、選手への報奨金の分配、等に付いて選手を代表して強く異議を唱え、選手会として出場を拒否する構えを崩さなかったのでした。当時の古田選手に日米の野球界のポリティカル・ゲームを理解しろと言って、理解できるものではありませんでした。

そこで、MLBは、日本野球機構(略称:NPB)、日本選手会に強烈な脅しを掛けて来たのでした。勿論、当時は、日本のNPB機構内の情報はオンタイムでMLBコミッショナーの耳に入っていた事はいうまでもありませんでした

日本選手会は、現役の選手が役員として鎮座する虚弱団体なので、NPB加盟する各球団経営者から所属球団の選手会役員の現役選手に直接的な圧力が掛かれば、ひとたまりもありません。NPB及び選手会は、MLBの軍門に下り簡単に引き下がったのです。

よって、本件は、最終的に日本プロ野球選手会が反対を撤回して2005年9月に選手会会長の古田敦也選手がNPB機構に参加の意向を伝えて翌年の2006年の第一回大会に出場したのです。

日本プロ野球選手会MLB選手会の違い

日本プロ野球選手会(Japan Professional Baseball Players Association、略称:JPBPA)は、日本野球機構NPB)に参加するプロ野球球団に所属するプロ野球選手を会員とする日本の団体である。団体の性格に合わせて労働組合と一般社団法人の2法人が登記されています。「選手会概要より」

本来は、プロ野球選手会の運営管理者を現役選手が担うなど、最初から素人集団なので現在もNPB機構に対して殆ど力を持たず、球団オーナーの言いなりである始末です。これが、強力なMLBPA(MLB選手会)との大きな違いなのです。MLBPAは、ある意味においてMLB機構とは対等以上な力を有しているのです。

しかし、このMLB選手会の力がWBCを創設する為の最大のネックと障害になっていた事など関係者以外に誰も知る由もありませんでした。MLB選手会は、MLBでプレイしている選手達が加盟する選手組合なので選手を擁護する強力な組織集団である事は言うまでもありません。そこで本WBCを設立するに当たり、MLB機構は、MLB選手会の協力と同意無くしては何もできない構造とシステムになっているのです。

MLB選手会に取りましては、WBCに対して何もせずとも大金が転がってくるこんな美味しい話は嘗てありませんでした。しかし、MLBの選手達に莫大な報酬を与えている(契約している)のは、30球団の各オーナー経営者であり、MLB選手会はその個々の選手を擁護、プロテクトする言わば弁護士集団のような組織・集団なのです。

選手会WBC設立に反対したら、コアの選手達は、プレイしない現実が待っているのです。そこで、WBCを推進しようと立ち上がったMLB機構のコミッショナーは、本プロゼクトを推進したがっている日本側の協力者達の手を借りなければこの大きなハードルを越えられない事を伝えたであろう様子が伺えます。

それでは、何を持ってこの障害を乗り越えたのでしょうか。此処で客観的に推察できる実弾は、MLB選手会に共同経営者としてWBCIの経営者株を譲渡し、MLB機構とMLBPAの二つの組織が握手をした姿が、現在の姿であると推測できるのではないでしょうか。しかし、此処で素朴な疑問として残るのは、いったい誰が共同経営権の株を選手会に譲渡したのかです。選手会側が自ら株を購入する事は、考えにくいと考えられるからです。ここに登場するのはMLB機構とコミッショナーに近い日本側の協力者達が介在しているような気がしてならないのは私だけでしょうか。まさか、日本側の協力者・企業も共同経営者として参入しているのではとの疑念が頭をかすめるのも本業界の関係者の面々から自然の摂理かもしれません。読者の皆様は、どの様に思考されますでしょうか。

II. 侍ジャパンの運営母体

■㈱NPBエンターブラズとは

NPBエンターブラズは、WBCIの傘下にあり一般社団法人日本野球機構(略称:NPB)と同機構に参加するプロ野球全球団(2014年現在12球団)が共同で出資して、2014年11月に設立された「野球日本代表・侍ジャパン」に関連するグッズ販売やテレビ放映権管理などを行う会社である

会社概要

NPBエンタープライズでは、プロを中心に構成するトップチームを中心に、日本のアマチュア野球の社会人・U-21・大学・U-18(高校生)・U-15(中学生)・U-12(小学生)・女子チームを一体化して運営することで、侍ジャパンを全面的に支援・強化していくことを目指している。

トップチームはチーム編成などが単発性であり、継続的な強化は課題材料となっていたが、今回の運営会社の設立は各カテゴリーの侍ジャパンの事業を一体化させて、主に強化試合などを中心とした試合の企画・運営、放映権やグッズの販売が中心軸となる。

社報

 2023年5月8日、同日付で取締役でNPBコミッショナー榊原定征が最高顧問に就任し、6月1日付で読売新聞東京本社野球事業部長の吉岡則雄が5代目の代表取締役社長に就任することを発表した。「以上(株)NPBエンタープライズ会社概要より」

 

第三弾のまとめ

WBCに関わる日本側のNPB機構、(株)NPBエンタープライズ中核には、読売新聞社から派遣された陣容で固められている事を本第三弾でよく理解されたのではないでしょうか。これに広告代理店電通が加わっている事からIOC、国際野球ソフト連盟、日本野球連盟、等の目配りも出来て居る。しかし、問題は、讀賣にグローバルな世界での人脈が薄い事です。WBCは、MLB機構のパワーを後ろ盾に、今後日本国内では讀賣新聞事業局が主体となって新たな野球利権の再構築の礎を得たのでないかと筆者は勝手に想像を致す次第です。これは、東京読売巨人軍の再建より遥かに魅力的な様子が内部の激しい行き来から読み取れる次第です。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of Sports)

紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:次回第四弾を持って、WBCに関する連載を終了する予定です。第四弾に付きましては、WBC第五回大会の編成を話題にスポーツ・アドミニストレイターの視点で解説させて頂けたらと予定しています。読者の皆様は、何を期待されますでしょうか。

KファイルNO.201:WBC設立の影でうごめく複数の球団所有企業(Ⅱ)

KファイルNO.201:WBC設立の影でうごめく複数の球団所有企業(Ⅱ)

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日 掲載

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米国の読者からの便りをご紹介~

To Mr. Kawada

こんにちは、私は、今年のWBCは米国でも以前に比べて興味を持った人が多くいたと思います。その理由は、過去の大会に比べてメジャーリーグ所属のスター選手が多く参加した事だと思います。それはまた、米国のテレビ局 (フォックスFOXおよび MLB ネットワークTV) で宣伝および放送された事でした。

TVによる宣伝、放送は、多くのメジャーリーグのスター選手に加え、スーパースターの大谷翔平選手の商品価値によるところが大だったと理解しています。NFLNBANCAA(全米大学競技スポーツ協会)主催のメジャーなカレッジ フットボールやバスケットボールのようなトップレベルの人気ではありません。 しかし、今年は間違いなくセカンドレベルのイベントでした。読者より(米国人スポーツ関連弁護士)

Hi Mr. Kawada

今年のワールド ベースボール クラシック(WBC)は、これまでにないほど多くのメディアで認知されました。 それをカバーしたスポーツライターは、プレーの質とプレーヤーの熱意について非常に称賛していました. ほとんどの記事は、選手たちが本当にWBC の一員であることを楽しんでいるように見えることを強調していました。 それでも、WBC が本当にアメリカの野球ファンの注目を集めているかどうかはわかりません。多分米国でのWBCへの評価と日本の熱狂的なファンの評価とは、異なるものだと思います。米国国民社会は、MLBを強くリスペクトして期待しているからでしょう。此れも文化と歴史の相違かもしれません。

私は、あなたが日本でスポーツ界の「ご意見番(wise counselor)」として活躍されている事を米国の大手メディアの担当者からいつも聞いています。多分あなたに異議を唱えられるような専門家はいないと思います。また、あなたがNCAAで活躍されていたころを懐かしく思い出しています。何か役立つことがあればコンタクトください。即対応します。元気であることを願っています。次は、いつ米国を訪れますか。

真の友人より(NCAA、元大学競技スポーツ・アドミニストレイター、ライバル校)

Hello Mr. Kawada

こんにちは、アメリカの WBC はビジネスなので、最終段階、つまりアメリカ対ベネズエラ、そして日本に到達するまで、ファンは他の国のファンほど情熱的ではありませんでした。 アメリカ側(主催者)にとっては、それは単なるビジネスです。米国以外の他の国、ファン、企業は、トーナメントの開始時からはるかに情熱的です。主催者は、WBCによりジャパンマネーを期待して設立しましたので、日本の国民が熱狂的に大騒ぎしている情報は既に把握しています。米国以外の参加国は、WBCの開催により各国独自のスポンサー企業、主催者からの分配金が収入源となっているので、問題を提起する人はいないと思います。

相変わらず、MLB加盟の各球団オーナーは、WBC開催による所属球団選手へのリスクの保証問題で今後も一層難しい局面を迎えるでしょう。そして、時期的(3月後半から4月上旬)には、米国ではご承知のNCAA(全米大学競技スポーツ協会)主催の全米バスケットボールの各カンファレンス代表校、68校による決勝トーナメント(通称March madness)が全米各地で開催されています。他の競技スポーツ開催のタイミングは、最も避けなければならない季節である事です。WBCは、今後日本で開催されることが一番適切でないかと思われます。主催者は、最終的にJapan Moneyが入ればどこで開催されても文句ないと思います。これが私のWBCへの評価と意見です。    

読者(MLB選手代理人会社・社長)

Hi My friend

こんにちは、日本は蒸し暑くなりましたか。お元気ですか? トレバー・バウアー投手(横浜ベイスター)が日本でどうなるか興味があります。 彼の態度では、日本で人気が出ないのではないかと思います。

私は、あなたが毎月公開されているKファイルのファンです。記事は、大変貴重なソースです。我が社には、翻訳セクションが完備しているのでいつもKファイルが日本語なので翻訳のセクションからデスクに届くのを楽しみに拝読しています。他社の友人のColumnistも同じようにして読んでいます。あなたの事は、多くの米国のスポーツColumnistは知っています。

私の会社内では、 WBC に付いて詳しく知っている人がいるか?お恥ずかしいですが疑わしいです。おそらく誰も知らないと思います。ご存じの通り、私も長年オリンピック、MLBNFLNBANCAAを取材担当していますが、WBCに付いて原稿、記事を書いた記憶がないのです。其れほど、米国のスポーツ・メディアも一般メディアも興味を持って対応していないのは、間違いありません。私は、WBCの主催者とこれをオペレイションしている人達、組織は、米国以外の国(例えば日本)でやっているのでないかとも思わせる程、情報は皆無に等しいです。

多分あなたの方が、全ての重要な情報を把握しているのではないでしょうか。米国でこの時期(3月中旬から4月上旬)に国際的なイベントを行う発想は常識では考えられないでしょう。WBCの興行の成否に関わらず、主催者は、日本の企業、スポンサーが補填してくれる約束になっているようなので、主催者も名義貸しをしているのでないかと疑いたくなります。あなたの意見を聞かせて下さい。

     信頼する友人より(米国大手新聞社、スポーツ担当Columnist)

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目次

KファイルNO.201:WBC設立の影でうごめく複数の球団所有企業(Ⅱ)

オリンピックとWBCの歩みと利権争い

先ず初めに

1.世界の野球を統括する組織・団体

  ■概要

2.IBAFの貧困体質がWBCを生む要因に

3.国際野球連盟は国際野球ソフトボール連盟に改名

まとめ

  ■2023年3月に第5回WBC開催

  ■国際野球連盟が貧弱組織と言われる所以

筆者の私見

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2023年5月25日(木)                     公開

KファイルNO.201:WBC設立の影でうごめく複数の球団所有企業(Ⅱ)

無断転載禁止

オリンピックとWBCの歩みと利権争い                       

先ず初めに

 この度のKファイルNO.201号は、200号に続くWBCに関する第二弾とさせて頂きます。本号をよく理解して頂かなければ次回202号のファンを熱狂させた第五回WBCのシナリオを理解出来なくなる可能性があるかと思われます。

オリンピック大会に於いての野球とワールド・ベースボール・クラシック(略称:WBCWorld Baseball Classic)は、リンクしているようでリンクしていない関係にあると表現せざるをえません。それは、両大会の設立の人間関係及び組織・団体の利害と利権に伴う構造的な問題がより一層事の次第を複雑化し、今日まで引きづって来たと申し上げられると思われます。

Kファイル読者の皆様は、野球に関する知識が大変豊富な方々が大半であるとお察し致しております。しかし、野球に関する国際組織、団体とその関係性に付いては、日本のマスメディアは何故か情報を殆ど一般に公開されないので国民、社会ではあまり知られていません。これはある意味において、ファンは、誰が出場しているか、勝ったか、負けたか、等々の表面上の出来事しか興味を持たない国民が大多数なのがマスメディアも報道する価値が無いと見くびっているのかも知れません。或いは、忖度からか?

そこで、この機会に国際組織・団体と日本国内における関連組織・団体の概要をご紹介致しますので、是非知識だけでも持って頂ければ幸いです。これから述べます五輪野球、WBCは、複雑怪奇な人間関係と組織の構造を有していますのでWBCを解読して頂くのにお役に立つと思われます。

注:本掲載内容は、基本的に筆者の専門知識、経験、記憶を基に作成致しました。よって、時系列、事実と異なる箇所があるかもしれません事を最初に申し述べさせて頂きます。筆者の主観に関しては、「筆者の私見」とさせて頂きま す。読者の皆様には、出来る限り分かりやすく解説、お伝え出来ますよう努力させて頂きます。

 

1.世界の野球を統括する組織・団体

■概要

読者の皆様は、既にご承知の通りオリンピック大会は国際オリンピック委員会(略称:IOC)によって統括運営、管理がなされています。そして、IOCは、翼下に各国の国内オリンピック委員会(略称:NOC、National Olympic Committee)を従わせ、IOCのルールに基づいた業務提携が成されています。

例えば、日本国内では日本オリンピック委員会(略称:JOC、Japan Olympic Committee)がこれに当たり、IOCの下請け団体なのです。

オリンピック大会に於ける野球競技は、1992年のバルセロナ・オリンピック競技大会から正式競技として認定されました。その後、オリンピック及び各国際大会には、プロ選手の出場が認められました。

国際野球連盟(略称:IBAF, International Baseball Federation、Aはアマチュアと理解しています)は、野球の国際大会のワールドカップインターコンチネンタルカップなどを主催・運営する国際組織として、1938年に設立され、スイスのローザンヌに本部を設置しました。

IBAFは、本名称に至るに当たりまして利害、利権のポリティカルゲームに起因する主導権争いから何度も分裂を繰り返し其の度に組織・団体の改名を余儀なくされ1999年に本名称(IBAF)に到達したのです

そして現在は、124の国と地域が加盟している(2014年4月現在のIBAF発表資料)組織・団体で、世界の野球界の頂点に位置し統括・管理を行っています。よって、IBAFは、野球に関する国際大会には欠かせない組織・団体であります。(IBAFの歴史資料から引用)

例えば、日本国内では、公益財団法人日本野球連盟(略称:JABA、Japan Amateur Baseball Association)はIBAFの傘下にあり、国内に置いては唯一の野球に関する日本を代表する組織・団体であります。この組織・団体は、伝統的にアマチュア選手を主体とした野球組織・団体を指しています

読者の皆様は、アマチュアとプロフェッショナルの違いを何となくご存じであると思いますが、此処で明確な定義を理解して於かれると今後役立つと思われます。

その違いと定義は、「プロフェッショナルとは、個々の選手が自身の身体能力とその競技スポーツ種目の技術を最大限発揮して、相手ティーム及び個々の選手が対戦する相手とパフォーマンスを持って競い合い、それを観客が有料で観戦する事で興行収入を得る。これにより個々の選手は、生活の糧を得る」、此れがプロフェッショナルなのです。片やアマチュアとは「競技スポーツを生活の糧としていない選手」の事なのです

日本は、1972年の第20回ワールドカップ出場の為に当時の国際アマチュア野球連盟(略称:FIBA, Federation International Baseball Amateur)に加盟しました。

 

2.IBAFの貧困体質がWBCを生む要因に

 IBAFは、2011年1月にIOCの野球競技除外が決定したことにより深刻な財政難に陥りました。これにより其れ迄IBAFは、頑なにMLBからの資金援助を拒んで参っていましたが、メジャーリーグベースボールMLB)から資金援助を受け入れることになったのです。それまでMLBから手を差し伸べられていましたが、IBAFが其れを拒んできた理由は、MLBから支援を受け入れる条件が付いていた事にあったのです。

これで、読者の皆様はIBAFの最大の問題は、財務基盤が貧弱であった事を理解して頂けるかと思われます。その根拠は、IBAFへの加盟国は数字的には多く加盟していても実質的にその加盟国内での野球競技がアクティブであるかと申し上げると現実は殆どの国で競技スポーツとしての大会、等の実態が無く、それに伴い財政的な確保が困難な競技団体であった事です。

IBAFは、国際競技団体に於いて野球界の唯一の国際競技団体であり、IOCの加盟競技団体である事からも、財政難であってもプライドだけは高く、云わば、利権屋さん達の集団に他ならなかったと申し上げても過言でありません。

IBAFは、権利の中でも彼らが手放さなかったのが「世界野球選手権(World Baseball Championship)」の看板だったのです。しかし、この権利は、オリンピック大会に於ける野球競技が、1992年のバルセロナ・オリンピック競技大会から正式競技として認定されました時に既にオリンピック大会での野球種目は、世界一を決める競技大会であるとIOCIBAFの間で暗黙の理解と認識の上での許認可であった様子がその後の混乱を招いた可能性は否定できなくなったのです

この根拠には、IBAFの傘下にある各国の統括競技団体(略称:NGB、National Governing Body)、日本国内では日本アマチュア野球連盟(JABA)がアマチュア団体であり、それまで国際競技への参加は全てこのJABAが代表として選手、スタッフ等は、アマチュアの資格を有する人間しか招聘できず、プロの選手、関係者とは一線を画して参っていたのでした。

これによりIBAFが持つ「世界野球選手権」の看板は、他のどの組織・団体もが触れる事の出来ない、領域であった事を理解して頂けると思われます。

例えば、日本アマチュア野球連盟は、IOC主催のオリンピック大会には、選手は大学生、社会人から選抜し、監督以下全スタッフはその関係機関、企業、大学から選抜された方々がスタッフとして送られていたのです

しかし、このような時代は、IOC五輪憲章のアマチュア文言の削除を契機に野球の国際大会にもプロ選手の参加が始まり今日を迎えている事はご承知の通りです。IBAFMLBからの金銭的な支援を受ける事は、彼らの条件を吞む事を意味していたのです。このことが、本Kファイルで取り上げています「WBC」への動きが加速して行く事になった大きな要因の一つと言えると思います。

 近年(2011年~2013年)、IBAF国際野球連盟)は、IOCからの除外競技種目に指定されたその理由(野球は女子に同種目が無いとの指摘)を解消する為にも野球とソフトボールを単一競技として五輪復帰を目指すために国際ソフトボール連盟と連携することを承認したのです

3.国際野球連盟は国際野球ソフトボール  連盟に改名

IBAFは、2013年に国際ソフトボール連盟(略称:ISF、International Softball Federation)と統合して世界野球ソフトボール連盟(略称:WBSC、World Baseball Softball Confederation)に改名されました事をご紹介します

これによりIBAFワールドカップは廃止となり、代わりにワールド・ベースボール・クラシックWBC)が野球世界一を決める世界選手権として認定。またワールドカップの代替大会として、WBC中間年にあたる2015年にプレミア12が4年に1度開催されることになりました。しかし、これで全てそれまで長きに渡っての「矛盾と問題」が解消された訳ではありません。

まとめ

 本まとめは、スポーツ・アドミニストレイターの視点でまとめさせていただきました事をご理解下されば幸いです。

■2023年3月に第5回WBC開催

読者の皆様は、2023年のWBCは今日のMLB界に於いてスーパースターとなった「大谷翔平選手」が、日本代表選手として出場した事が主たる要因で、嘗てない熱狂した興奮が日本全国を蔽った余韻に今も慕っている様子がうかがえます。

ワールド・ベースボール・クラシックWBC)は、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)機構とMLB選手会(MLBPA)により立ち上げられたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI、会社組織)が、主催、運営する大会です

そして、これを世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が、野球の国別抗戦として公認し、且つ、世界一決定戦であるとお墨付きを与えた大会なのです

即ち、WBCは、他の競技スポーツに於ける世界選手権と同等である事を意味している次第です

ここで読者の皆様は、本Kファイルに明記しましたWBSCの前進のIBAF(国際アマチュア野球連盟)時にはオリンピック野球は世界一決定戦と、あそこでも、ここでも世界一決定戦と安売りしている事に気付かれましたでしょうか。

そして2013年にIBAFは、オリンピックから野球が締め出された後、IOCの締め出し理由の一つであった「野球は女子の種目が無い」との指摘から急遽国際ソフトボール連盟と合体して「WBSC」を結成して、再度IBAFからWBSCに改名した事はつい先日の様に思えます。

最終的に、国際アマチュア野球連盟(IBAF)当時から今日の国際野球ソフトボール連盟(WBSC)は、金欠病からMLB機構の軍門に下ったという事です。

このことは、WBSCはMLB機構側の条件を飲んだことを意味します。

MLB機構とMLBPA(選手会)は、MLBI(メジャーリーグベースボール・Inc.)を運営、管理会社として設立し2006年より既に日本側のファイナンシャル・サポートを受けてWBCWorld Baseball Classic)の名称で事業を行っていました

国際野球連盟が貧弱組織と言われる所以

 このように競技団体名がこれ程繰り返し改名された競技団体は、国際的にも過去に例を見ない珍しいケースと思われます。その大きな要因の一つは、野球が米国を発祥地とした競技スポーツ種目でありながら、①世界各国に於いてポピュラーなスポーツ、競技スポーツではなかった事、②これは今日もなお競技人口の少ないスポーツ種目である事、③そして特定の国に於いてのみ競技スポーツとして事業(ビジネス)が成り立っている事、の現実が此処に在ることです

この根本的な問題の1つ目は、国際野球連盟IBAF)内の権力闘争により世界各国での野球の普及活動を怠った事が最大の原因だと思われます。それには、複数の要素がリンクしていると思われます。2つ目は、MLB機構とIBAFの理念の相違が問題です

MLB機構は、巨大な組織でプロフェッショナルな理念の下でビジネスが展開されている一方、IBAFは、長年IOC五輪憲章の下、頑なにアマチュアイズムを崩さず権力闘争に明け暮れていたのです。よって、加盟国数は、124カ国(2014年度報告)と明記されて居ますが、実態は20カ国程度で、WBC予選に参戦できるレベルは16カ国が正直な競技レベルなのです。このことからも他の球技スポーツと比較しましても五輪出場する為の正式競技種目として認定を受けるには、非情に無理がある事を読者の皆様に理解して頂けるのではないでしょうか。

五輪開催地に於いて、野球が盛んに競技スポーツとして行われている国以外での認定は、非情に難しいのです。2024年のフランス、パリ五輪も再度野球は、種目から外されています。近年の競技スポーツは、五輪競技種目に選ばれて居なければスポンサー(財政的な支援団体、企業)を付ける事が困難に近いのが現実です。よって国際野球ソフトボール連盟(IBSC)は、財政的な問題に直面しているのは今日も昔も変わらないのです。ここでまたIBAFは、国際ソフトボール連盟なる負担となる組織・団体を背負い込むことに相成ったのです。

又、今日日本国内に於いて、女子の野球が盛んになり始めて要因は、IOCの「野球に女子が参加していない」と指摘した事がその大きな要因となり、大人達が先を見越した新たなる利権構築をしようとする姿なのかも知れません。

私の私見

 MLB機構は、30球団の経営者との共同事業体を形成している事から、絶えず各球団の利益と社会(ファン)へのサービスを最優先する事が求められています。そこで、本組織を形成する真の「コア」は、選手であり優秀で商品価値の高い選手を獲得する事が重要な課題なのです。

この重要な課題を克服ためには、米国内の野球の普及活動のみならず、中南米諸国に手を広げた一大ベースボール・マーケットを展開して来たのです。その成果と結果として、今日MLBは、これら中南米諸国(例:メキシコ、パナマコスタリカ、ドミニカ、ベネゼイラ、キュウーバ、等々)を既にファーム化してしまったのです。MLBの次なるファーム化は、極東アジア(日本、韓国、中国、台湾)とオーストラリアの市場の選手をMLBの選手とビジネスの供給源と位置付けているのです。

MLB機構とMLBPA(選手会)にとっては、オリンピックとは異なる野球の世界戦の打診を日本から受けたとの情報を当時筆者の耳にも入って来ていた次第です。これが事実であったなら、MLB機構に取っては、「飛んで火に入る夏の虫、(Summer insects flying to the fire)」であっても何の不思議もありませんでした。加えて、この取引(Deal)が日本側からとするとなおさら、金銭的なサポートまで加味、沿えて提案されては断る必要など何処にも見当たらなかった、と思われます。当時MLB機構は、MLBPA選手会の強い反対を受けて難儀していたと聞き及んでいましたが、此れも日本側の投資により解決したのかも知れません。これらの問題は、次回ご説明しますが不透明な収入源の分配に疑念を抱かせているのかも知れません。

既にWBCの大会名は、World Baseball Classicとして商標登録をしています。しかし、WBCI(運営、管理会社)側の本音は、設立当時「Classic」の「C」は本来選手権を意味する「Championship」としたかったが、当時IBAFが頑なにMLBの財政支援を拒んでいて、本件の「C」の問題が解決できず、このClassicはChampionshipの仮の姿であろうことは容易に推察できるのです。

米国の競技スポーツ界に於けるクラッシック(Classic)の意味は、単なる招待試合を意味しています。果たしていつどのタイミングで、MLBI(WBCの実質的な運営、管理会社)は、「World Baseball Championship」と商標登録を改名するのか楽しみにしている次第です。

後は、WBC設置当初、日本の財政的スポンサー球団、企業の思惑通りにWBCの興行が毎年東京ドームと福岡ドームでいつから開催できるように成るか、それともMLBIが第五回大会の盛況を評価して、手放さない決断をしたかどうか、此れも広告代理店と米国のテレビ局の利権力次第であるようです。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of Sports)

紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:読者の皆様は、NO.201の読後感は如何でしたでしょうか。少しキーが高かったでしょうか。次回は、皆様にとって日本国内のWBCの話題に第五回大会の編成に付いての話題を予定しています。ご期待ください。

KファイルNO.200:日本国民・社会は何故WBCに熱狂したか(Ⅰ)

KファイルNO.200:日本国民・社会は何故WBCに熱狂したか(Ⅰ)

無断転載厳禁              毎月第二、第四木曜日掲載予定

スポーツ・アドミニストレイター

日本に初めてスポーツ・アドミニストレイション論を導入

日米で実践スポーツ・アドミニストレイターの先駆者

プロフィールは別途ご検索下さい

 

筆者からの便り「NO.200号」記念公開のお知らせ

 読者の皆様は、久しぶりのマスク無しでの五月晴れの下で爽やかな風を肌に感じられましたでしょうか。新緑とその若葉の季節感を味わっている事とお察し致します。  

 Kファイルは、この度「NO.200号」を掲載するに至りました。此れもひとえに読者の皆様のご協力と励ましがあって成し得た事と心より感謝申し上げます。思えば2017年4月17日に思うところあり、それまでの自身の実践キャリアと論理を融合した内容でスポーツ・アドミニストレイターとしての基軸を忘れず書き始めた次第です。年月の経つのは早いものです。本Kファイルが一人でも多くの必要としている方々に役立っています事を願い感謝の言葉に換えさせていただきます。

時事の話題から

■日本国が置かれている極東に置ける現実

国内外における国難の情勢は、如何ともしがたい状況、実状であります。この現実の真の情報をどれほどの国民が持たれ、それらを理解、認識されていますでしょうか。我々は、今日重大な極東情勢に直面している現実を鑑みますと世界の情勢が「軍事バランス」によって、日本国と国民の今後の命運を左右するキーワードになっている事に強い危機感を抱かざるを得ません。この事態を真剣に受け止め、理解をされていない方々に警鐘を発したく思います

ゴールデンウイークには、国内外への旅行、内外での競技スポーツを観戦、テレビ実況中継を楽しみ、家族そろって笑顔での会食を満喫している様子は何にも勝る幸せの一時であります。これらは、安心、安全な日常生活の基盤があっての平和という名の担保です。しかし、今後この平和を維持する為の担保は、何処にもない事をご存じでしょうか。皆様が楽観視されています安心、安全の平和は、今現在日米安全保障条約なる約束事により一応保持されています。しかし、この条約は、お金で買っているのです。このお約束は、10年単位で契約が更新されるのです。しかし、本契約条項は、国民に開示されていません。日本国は、米軍に対してこの莫大な見返りをいつ迄払い続けられるのか、金の切れ目が縁の切れ目となるとどうなるのでしょうか。

 

■国会議員は国民の真の心に耳を傾けては如何か

例えば、我が国と制度そのものが異なる隣国の軍隊が我が国に上陸作戦を実行したなら、我々は如何するかの国民総意のコンセンサスをお持ちですか。日本国の議会制民主主義は、もう今日の日本国を防御、維持する為の制度として限界を通り越しています。その議員達は、国民の代表と声高に叫んでいますが、彼らは国民の代表ではなく、自分たちの選挙区で長年選挙の為に放牧して来た選挙民なのです。このような選挙民に議員を選ばせている実に危険でアンフェアーな選挙制度であり、選挙民達である事を国民は理解し始めています。

この様な議員内閣制で選ばれた議員達は、「国民の声」とおごりも甚だしいと思えてなりません。よって、今日この場に及んでも「隣国が上陸してきたら、我々国民は、どうするかどうしたいのか」の全国民のコンセンサスを取る事さえ避けているかに思えるのです。現状の制度では、国民の真の心をくみ取れないと思われます。

 

■日本国は主体性ある民の集合体であって欲しい

この様な国家存亡の危機の時には、個々の国民の真意を確認する為の直接的な制度が必要不可欠なのです。我々国民は、第二次世界大戦の悲劇の根源は国民が日本政府とその軍組織を盲目に信じ込まされていた、即ち彼らは、日本国民を代表する自由民主主義の政府でも軍部でもなかったのでした。

過去の負の遺産を基に我々国民は、国論を重ねて最終結論を導き出し、国民の総意として国会はこの総意を政の基軸とする事が「JusticeとFairness」を維持、堅持、向上させ得るのでないかと思われる次第です。如何でしょうか。

しかし、現政府、野党も本重大案件を全国民の生の声を聴く事すら避けているように思われます。皆様は、現在の国会議員達にわが命、家族の命を預けられますか

 

■日本国民は他力本願の心を捨て、覚悟が必要

米国との安全保障には、限界がありますことを何故誠実に国民に情報公開しないのか。

最終的には、「我が国は我が国の国民が守らなければいったい誰が守るのか」の国民の意見を直接的に取り入れる事が先決だと思います。読者の皆様は、如何ですか。「そんなことは、百も承知、万が1つにも起きやしないので必要ない」とお思いならば、それが国民の総意として全国民は知る権利があります。

それにより、全国民は、それぞれの責任下に置いて家族のコンセンサスをまとめて、それに沿った今後の心づもりと生活設計に向かわなければならない重大な局面に来ているという事です

 

■過去の悲劇は忘れたころにやってくる

 我々は、悲惨な戦争を起こして既に70数年が過ぎようとしています。宇宙の歴史、人類の歴史は、「流転」と呼ばれることをご存じでしょうか。また、先人からは、「災害は忘れるころにやってくる」と聞かされています。この先人の教訓に耳を傾ける為の拠り所は、我々の心の何処にありますでしょうか。戦後我々国民は、伝統的な信仰心を教育から乖離させられ、心の拠り所を失いました。

戦後日本国民には、「宗教の自由」が憲法で保障され、「政教の分離」が掲げられています。しかし、「宗教の自由」と「政教分離」の法秩序は、国民と社会を蝕み崩壊させる方向に向かっているのは、ご承知のとおりです。

これが戦後70数年を経過した日本の歴史と実態である事を国民、読者の皆様は、今一度足元を真摯に見直すべき時が来たと思いませんか。

この混乱期を迎えた今こそ、我々国民一人一人は、日本国、日本民族、日本歴史を滅ぼさない為の思索を真剣に熟考し構築しなければ、今後次世代に託すに当たり、日本民族の継承は、難しくなっている事をご理解頂きたい次第です。

文責:河田弘道

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目次

KファイルNO.200:日本国民・社会は何故WBCに熱狂したか(第一弾)

Ⅰ.WBCは米国MLBPAの財産か

   1.WBCの国内熱狂に救われた東京五輪の犯罪者達

          東京五輪の主要事件整理

Ⅱ.WBCなるスポーツイベントの新たなる利権

        先ず初めに

  1.IOCに野球球種目を持ち込んだのは日本

       2.2023年3月WBC開催と東京五輪事件との関連

       3.大谷翔平選手のWBC代表選手への起用とその策略

         ■WBC成功への着眼点

      4.魑魅魍魎な国内WBC組織と団体

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2023年5月11日                         公開

KファイルNO.200:日本国民・社会は何故WBCに熱狂したか(そのI)

無断転載禁止               

Ⅰ.WBCは米国MLBPAの財産か

1.WBCの国内熱狂に救われた東京五輪の犯罪者達

東京五輪の主要事件の整理

 本年は、東京五輪終演後、昨年7月8日の安倍晋三元首相の応援演説先での暗殺事件、統一教会と大臣達との深い関係、そしてその前後から東京地検特捜部による五輪組織委員会理事、広告代理店電通、スポンサー会社、企業代表の贈収賄事件による逮捕者、起訴と現在も事件は進行中であります。

東京五輪開催に当たりましては、招致活動での虚偽のプレゼンテイション(おもてなし)と同時にIOCの委員を竹田恒和氏(当時JOC会長、招致委員会会長)の回収疑惑が、英国のガーディアン紙、仏のルモンド紙は、日本のマスメディアに先駆けて、フランス当局が竹田氏を任意聴収をしたとの報道がなされた次第でした。本件は、竹田氏に対して仏検察当局の捜査は現在も進行形であります。

2020年明け早々からは、COVID-19の襲来を受け、開催延期、そして2021年開催に際しては、無観客を条件として開催を余儀なくされました。

延期開催に揺れ動く中では、東京五輪組織委員会、会長の森喜朗氏の「女性への暴力発言」が世界中に拡散され、収拾が付かず最終的にはIOCのT/バッハ会長の幕引きを急ぐ動きから、森喜朗氏は会長職を不本意ながら五輪開催以前に辞する事となりました。

この一連の最終結論は、東京五輪組織委員会の会長であった森喜朗氏、副会長であった竹田恒和氏、事務総長の武藤敏郎氏(元大蔵・財務官僚)は、会計検査院から明確に指摘を受けている総額3兆6800億円の明細書を会計検査院に提出し、日本国民に対して本イベントが此処に至った経過並びに事件の顛末の説明、責任の所在を明らかにして、最後に司法のペナルティーを受けるのが筋だと思います。国民、読者の皆様は、如何思われますでしょうか。何れにしましてもこれら優柔不断な運営、管理者達が逃げ得とならない事だけはさせてはならないと思います。この逃げ得が許されるなら日本国の「JusticeとFairness」は、本件により抹殺された事になり、今以上に日本のスポーツ界はOut of Lawとなると思われます。

 

Ⅱ.WBCなるスポーツイベントの新たなる利権

先ず初めに

 この程の2023WBC(World Baseball Classic)は、2021年の東京五輪終演後から贈収賄罪から始まり次々と止まるところ知らずの一大疑獄事件が東京地検特捜部の手により犯罪容疑者、犯罪者が次々に司直の手に落ちて行っています。

WBCは、この様な東京五輪犯罪疑獄の中で開催された野球の国際イベントであったので国民から大変歓迎された一面があったと思われます

尚、WBCなるCの名称(クラッシック)は、米国に於いては伝統的によく競技スポーツ大会の招待試合に用いられる一般的な名称である事を付記いたします。当初米国では、単なる国際的な野球の招待試合として付けられたのだと理解されている次第です。また、それには、そうせざるを得なかったポリティカルな問題が在った事も事実です。今日も尚本件は、あらゆる問題の起点となっていることに気付いていない様子が伺えます。

それは、どうして[Wワールド Bベースボール Cクラッシック招待」なのか、どうして「Wワールド Bベースボール Cチャンピオンシップ」ではないのかという本大会のタイトルに大儀が掲げられていない問題です。

これら問題は、本イベントを設立、開催に当たり、IOC(国際オリンピック委員会)との関連問題、IBAF(国際野球連盟マチュア連盟)、MLB機構、NPB(日本プロ野球機構)、等々の許認可権並びに利害、利権が割拠しているのが問題を複雑化なっているからです。

2006年の第1回大会よりWBCのイニシアティブを擁しているのは、MLB機構とMLBPA(MLB選手会)の二本立てである事です。何故この重要な主催、運営、管理組織・団体がMLBとその選手会なのかを誰もが触れたがらない奇妙な仕組みなのです。次回、本件に付きましての各論に触れて行きたいと予定しています。

1.五輪(IOC)に野球を持ち込んだのは日本

本件に付きましては、少し解説が必要かと思います。

1970年中盤から日本に於いて、堤義明氏(西武・国土計画を母体とした独裁オーナー企業を率いて)は、日本体育協会(現スポーツ協会)、JOC、スキー連盟、アイスホッケー連盟と次々にスポーツ業界のトップの要職に推挙されました。それは、当時から「西武の堤天皇」と言わしめた時代でした。そして野球界に於きましては、「日本の野球ティームをオリンピック競技大会に出場させる、その為には、プリンスホテルに野球部を持たせて、プロ選手、球団に匹敵するティームを設立する」と堤氏は、高らかにぶち上げたのでした。そして、その後1976年に社会人野球ティーム、プリンスホテル野球部を発足、実動したのでした。

この発想と構想は、同氏の幾つもの野心の一つとして強い信念の基プロゼクトは遂行されました。1984年のロス五輪に於いてオリンピック史上初の野球が準公式種目に認められて参加、その次からは、公式種目に認定され晴れてオリンピック大会に野球が競技種目に入る事と成ったのでした。これに物心共に尽力された功労者は他でもない当時の「堤義明氏」その人でした。

これを機会に堤義明会長とA・サマランチ会長(IOC)との信頼関係は、さらに深まりそしてその後発展と信頼の証として冬季長野五輪招致へと踏み出し、長野に新幹線を走らせ途中軽井沢に下車できるよう権力を有効活用された次第でした

丁度野球事業は、プリンスホテル野球部設立と同時に所沢に野球場の建設が同時進行していたのです。そして折しも野球事業が一大プロゼクトして始まったその時に福岡に拠点を持つ「クラウンライター・ライオンズ球団」を当時先方から借金の肩代わりに引き取って欲しいとの申し出があり、江川卓投手のドラフト権利を付けて、堤会長に持ってこられたのがつい先日の様記憶が蘇ります。

小職は、これら一連のプロジェクトを会長のお側で学ばせて頂きましたので、言わば生き証人になるのかも知れません。

しかし、IOCと野球の関係は、IOCのA・サマランチ会長が退任した後、堤会長が一身上の理由でスポーツ界から身を引いた(現在はJOCの最高顧問)後、IOCでの二人の権力者が権力を失うと共に五輪の公式競技種目の野球は、即外されたのも事実です。本プロゼクト遂行には、大きな無理があったのです。それは、当初野球をまともにスポーツ競技として取り入れている国が10カ国しかなかったのが、最大の理由です。

この問題は、現在も大きな問題であります。(現在は、約20カ国と広報されて居ますが、実質は16カ国程度で、世界基準を満たすのはその内の10カ国が正直なところでしょう。サッカーは、210カ国です)

 

2.2023年3月WBC開催と東京五輪事件との関連

 この度の日本国に於ける本大会には、今までの大会とは異なる要素が含まれていたと思われます。何故ならば、東京五輪組織委員会が仕出かした贈収賄事件、招致活動回収疑惑、等々と多くの刑事事件が東京五輪終演後、今日も尚継続して捜査が行われている現実である事です。東京五輪の犯罪事件の中枢にある広告代理店は、言わばWBCの日本国内でのイベントの成功は国民、社会の東京五輪での犯罪イメージと注目を忘れさせる絶好の機会であったに違いありません。

その暗いイメージから国民の目と注目を他に向ける効果は、絶大でした。

昨年7月8日の安倍晋三氏の暗殺事件後、安倍氏一族、自民党統一教会との一連の実態が、国民社会の知る所となりました。それ以後、東京五輪に関する地検特捜部の動きとその情報がマスメディアから消え始めたのも安部氏の暗殺事件と統一教会、多数の国会議員達の関連性が一大話題になったからです。

そして2020年12月頃からWBCの話題に新聞マスメディア、TVマスメディアは、一斉に東京五輪安倍氏暗殺と統一教会の話題がトーンダウンして行く事になったのです。

日本国民、社会にとっての重大案件は、WBCと共に略消滅してしまった事に気付かれた視聴者、読者、国民はどれほど居ましたでしょうか。これは、決して見逃してはならぬ重要な犯罪者達の隠蔽工作に当たる問題にあたるのかもしれません。

 

3.大谷翔平選手のWBC代表選手への起用とその策略

WBC成功への着眼点

それにもまして、既にオリンピック開催イヤーから日本国、米国に置いては、野球界に超スーパースターが誕生していた事でした。

そして、その人物が日本人であった事は、本年度のWBCが過去のWBCと全く異なるイベントに豹変した最大の要因であったと言えるでしょう。

その人物「大谷翔平選手」が、WBCにまず出場するのか、出来るか否かに第五回WBC開催の成否が掛かっていたのです。勿論他の選手達(ダルビッシュ・有投手、吉田正尚選手、鈴木誠也選手のMLB組)と佐々木郎希投手、山本投手、源田選手、村上選手、他、、、の商品価値の高い選手達が招集できたことに大きな要因があったと思われます。

スポーツ・アドミニストレイターの視線でこの度のWBCの成功を洞察させて頂きますと、国内WBC組織・団体「日本野球協議会」、「侍ジャパン:株式会社NPBエンタープライズ」及び広告代理店が目に付けたのは、日本ハム・ファイターズ監督を退任した「栗山英樹氏」を一早く監督に招聘した事が印象的でした。

栗山氏は、これまでのWBC大会監督とは全くタイプも実績も異なる人物であった事です。日本のWBCの団体が監督として栗山氏を招聘した真の目的は、「大谷翔平選手」を一日も早く代表選手にする為に口説き落とす事でした。

この様な裏作業は、日本の組織・団体では、難しい作業なので広告代理店が外枠及び財政的な支援、処理を行ったのは素人でも理解できるところです

 

4.魑魅魍魎な国内WBC組織・団体

  大多数のファン、国民は、「WBC?」って何ですか。と首をかしげてもこの意味も中身を知る人も居ません。本大会は、近年4年に一度開催される大会で本年度は5回目の大会でありました。WBCたるは、今も尚不可思議な組織、団体と先ず申し上げておいた方が賢明だと思います。

このWBCたる組織は、まだ衣を着せた幽霊のような団体であります。それは、またマスメディアが国民、社会、ファンに今日迄情報を公開してこなかったことに起因しているのも事実です。しかし、そのマスメディアも良く状況、組織を把握できていないのと、大谷翔平選手の夢の様なスーパーマンの出場により、WBC組織・団体への持ちつ持たれつの忖度関係になると真の情報公開できる次元ではないのかも知れません。

この度は、KファイルNO.200の記念でもありましたので、筆者はこの「WBC」に付いての情報公開をできうる限り、スポーツ・アドミニストレイターの視点を基に、客観的、フェア~な立ち位置で解説出来たらと願っております。

次回からは、WBCの組織構造、人間模様、魑魅魍魎の野球界を読者の皆さんと紐解いて行けたらと期待しています。

 

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」文藝春秋社 著 武田頼政

   Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

 Kファイルは、200回公開記念に時事の話題から「WBC」について、スポーツ・アドミニストレイターの視点で解説させて頂く事になりました。この度は、その第一弾を掲載いたしました。如何でしたでしょうか。