KファイルNO.141: ②教育者を装う部活指導者に潜む危険                        副題:スポーツ・アドミニストレイションの貧困による歪んだ部活指導で自死

KファイルNO.141: ②教育者を装う部活指導者に潜む危険

副題:スポーツ・アドミニストレイションの貧困による歪んだ部活指導で自死

無断転載禁止              毎月第二、第四木曜日掲載予定

 

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読者からの便り

河田 様

岩手県不来方高校3年生のバレーボール部員、新谷翼さんが自殺した事件は多くの教訓を我々に伝えていると思います。一番悲しいのは、理由は何であれ、若者が自らの命を絶たなければいけない状況に追い込まれ、悩んだ末に自殺に踏み切ったということだ。

誰にも相談できなかったのだろうか、誰も止めようとしなかったのだろうか。相談する仲間がいなかったとしたら、何のための部活動なのだろうか、何のためのスポーツだろうかと首をひねりたくなる。

スポーツは勝つことが大切であると考える選手、指導者がいるとすれば、大きな間違いであることに気付いて欲しい。スポーツの勝者の影に必ず敗者が生まれる。トーナメント形式だと、最終的な勝者はたった1人、1チームだけしか存在し得ない。それ以外の多くの人が全員、負けを経験する。スポーツの素晴らしさは勝つ喜びにもあることは否定しないが、それ以上に負けた中から何かをつかみ、それをそれ以降の人生にどう生かすことができるか、失敗しながら学ぶことにあると思う。それは決して一人だけで行う作業ではなく、特に高校生のような未完の時期には仲間や家族と悩み・苦しみを共有し、解決しようと努めるところに良さがあると私は信じる。

新谷君のことを思うと、仲間が果たすべき友情、正義が見えず、寂しくなる。顧問の教師、学校側や県教育委員会の対応は、河田氏が激しく指摘するように保身ゆえの責任逃れしか頭にないと言わざるを得ない。高校の部活動は誰のためのものなのか、指導者のはき違えが進むべき道を誤らせたのではないかと残念に思う。

 社会システムの問題点、指導者資質や改善されない暴力指導への認識の甘さなど、河田氏のこれからの糾弾に期待したい。Kファイルと名称がすっきりし、より一層、鋭い切り口で読者をリードしていただけると大いに期待しております。  読者より

 

筆者の見解と提言

 筆者は、我が国の雇用制度が旧態依然とした制度である事がこのような事件、事故を引き起こす大きな要因の一つになっていると考えます。現実を鑑みて、我が国に於いても契約雇用制度への制度改革が急務であると思います。これにより、このような教員、指導者、そして優柔不断な管理者、教育委員会関係者に対する職責、責務怠慢への大きな歯止めとなると確信する次第です。

 中学、高校に於ける体育教員・教師、スポーツ部活顧問の生徒への暴力(身体的暴力及び精神的暴力の意味)は、以下3項目の基本的な約束事(by Law)で縛るのがベスト。これら3つの項目だけでも関係各位、教育関連機関、組織、団体で遵守することにより、生徒達の安全確保を最低限担保できます。

①スポーツ部活の顧問を任命する時は、顧問の職責、責務を明確にし、任命権者と本人 の間で同意書を交わす事。

②体育教員・教師を輩出する大学は、学内外、部活に於ける暴力指導を根絶、教員資格認定に於いては人物評価をも加味し厳正に審査する事。

都道府県、市町村の教育委員会は、教員・教師、スポーツ部活顧問を採用するに当たり、厳正な審査を行い暴力指導を行わない誓約書に双方が署名する事。暴力指導を行い事件、事故を起こした教員・教師、顧問の資格停止、実名、出身大学名を公表する事を出身大学、本人に同意させる事。

 

目次

KファイルNO.141: ②教育者を装う部活指導者に潜む危険

副題:スポーツ・アドミニストレイションの貧困による歪んだ部活指導で自死

読者からの便り~

■筆者の見解と提言

第二弾 

スポーツ・アドミニストレイションの貧困による歪んだ部活指導で自死に追い込まれた17歳少年の短い人生

■マスメデイア報道の紹介

Ⅰ.岩手県教育長に提出された調査報告書

■第三者委員会の調査報告書とは

■調査報告書の趣旨・目的は?

■筆者の素朴な疑問

■自浄能力の無い教育機関の放置は犯罪の温床

 ★暴力癖がある指導者に対して理屈を付けて安易に復帰させては新た

なる若者の人生を狂わす

    ★機能しない教育機関の人的・構造的問題に犠牲となる若者達

    ★筆者のA生徒への私見

★重要な原点とその謎

   まとめ

 

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2020年9月10日  公開

第二弾

副題

スポーツ・アドミニストレイションの貧困による歪んだ部活指導で自死に追い込まれた17歳少年の短い人生

■マスメデイア報道の紹介

★顧問の叱責が自殺の一因 

2020/7/22 18:16 (2020/7/22 21:28更新)共同通信社

2018年7月に岩手県不来方高(矢巾町)3年の男子バレーボール部員の新谷翼さん(当時17)が自殺し、調査していた県教育委員会の第三者委員会が22日に記者会見した。新谷さんが当時バレー部顧問だった男性教諭(43)に厳しく叱責され、絶望感や自己否定の感情を強めたことが自殺の一因だったと発表した。三者委から報告書の提出を受けた県教委の佐藤博教育長は「顧問、学校、教育委員会の対応が不十分とされた。心よりおわびする」と遺族に謝罪した

報告書によると、2年生のときにバレーの強豪大学への進学が内定していたが、バレーを続けることへの不安や悩みを周囲に打ち明けていた。3年生になり、部活での顧問の指導が厳しくなり「一番下手だな」「使えない」などの発言があった。大会で負け責任を感じていたのに、顧問から「敗因」と言われた。

友人に自殺をほのめかしていた他、学校の生活アンケートで助けを求めるような回答をしていたのに、学校は何の対応も行わなかった。大学進学にも拒絶感を強く持つようになった。

新谷さんは18年7月3日、「ミスをしたら一番怒られ、必要ない、使えないと言われました」と遺書を残し、自宅で亡くなっているのが見つかった。遺族は顧問の行き過ぎた指導が自殺の原因と主張し、第三者委が19年1月から調査していた。【共同通信社

 

Ⅰ.岩手県教育長に提出された調査報告書

■第三者委員会の調査報告書とは

本調査報告書の主な登場人物

①当事者A生徒選手(新谷翼さん、バレーボール部員)、②担当X顧問(体育教員、教師でバレーボール部顧問)、③校長、④担任教師、⑤県教育委員会、⑥県教育長(佐藤博教育長)、⑦父親(新谷聡氏)、⑧E大学バレーボール監督、⑨その他          *注:実名は、既にマスメデイアにより公表済

本第三者委員会は、県教育委員会、県教育長が中心になり人選、推薦、任命された委員会であると理解する。各委員達が有給、無給の有無は、明記されていない。また、各委員達の氏名、職業は、特記されていない。

本調査報告書は、A4用紙で34ページに渡る報告書にまとめられ、2019年1月6日から2020年7月22日迄の間23回の委員会が開催されている。報告書の内容は、本件に関わる関係者73名の聞き取り調査及びアンケート調査を元にまとめられています。

調査報告書の趣旨・目的

調査報告書は、本第三者委員会の趣旨、目的が明らかにされていないように思われます。しかし、委員各位は、与えられた時間と限られた権限の中で真摯な姿勢で調査された事が報告書から伺えました。本報告書を拝読させて頂き、委員会の趣旨、目的は、あくまで関係者に対して事情聴取しそれを県教育委員会にレポートする事が目的であったのでないかと推測致します。

筆者の素朴な疑問

筆者は、本報告書から本件に関わった教育関係者側の校長、担任教師、X顧問、及び県教育委員会佐藤博教育長を含めた全員が本件に関わる問題をそれぞれ個々に認識していたが、手を差し伸べず、共有もしなかったと理解、認識しました。よって関係者全員がA生徒の問題を共有し、改善、解決しようとする情熱も意思も見受けられませんでした

特に問題のX担当教員・教師、顧問は、過去に他校で暴力事件を既に起こしており、司法の手を煩わせている人物でした

X顧問氏は、教員、部活指導者として既に重大な問題を起こしていながら、本校に転勤させたことに対する理由とその後の経過観察を県教育長は何も語らず、調査報告書には触れられていませんでした。X顧問は、いわば執行猶予中に起こした再犯であると表現した方が適切なのかもしれません

此れでは、自死した若者の命が軽視されていたと申しても反論できないでしょう。校長、担任、県教育委員会、教育委員長は、X氏が暴力指導を他校に於いても行い、過去に事件を起こしている人物であるにも関わらず管理者達の監督、指導が優柔不断で、見過ごして来た事は職責、責務怠慢、ミスであり、報告書にその指摘がされていません。筆者は、このことを大変重要視し疑問に思います

自浄能力の無い教育機関の放置は犯罪の温床

★暴力癖がある指導者に対して理屈を付けて安易に復帰させては新たな多くの若者の人生を狂わす

X顧問と酷似の事件が実は、日本全国至る所に現存致しています。Kファイルでは、既に紹介させて頂きましたが、読者の皆様には記憶に新しいと思われます。

ここでリマインド頂きます例は、愛知県立豊川工業高校の男子駅伝部監督、教員が部員への身体的暴力指導が常態化していたのを告発されたことにより社会の知るところとなった。それにより県教育員会は、懲戒解雇にした事件でした

この教員は、その後事件が世間で冷めやらないまでに何と日本体育大学の付属高校(日体荏原高校)の教員、陸上部、駅伝監督として再就職の機会を与えられたのです。当時の採用雇用主(大学法人理事長、高校校長)は、軽率にも「卒業生なので敗者復活もあって良いだろう」と学校側の都合により安易な言動と人事が行われ、後に複数の類似事件を再犯,多くのさらなる犠牲者を出してしまったのでした。

そして、再就職した日体荏原高校において就任まもなく部員への暴力事件を起こし、父母会、校内で問題となった矢先、その翌年今度は、日本体育大学の都合で何とこの暴力教員、指導者を日体大箱根駅伝テイームの監督に招聘、就任させた次第です。

しかしこの暴力教員は、暴力指導に対する是非の判断できない価値観の持ち主であったようで全く改める欠片もなく、大学駅伝部に於いても就任直後の春、健志台キャンパスの朝練習後部員に身体的な暴力を与えたことから、部内の和が維持できなったようです。若いコーチ達は、大学の最高管理責任者に事の次第を報告書にして提出したようです。しかし、経営者、管理者は、「本件は、文科省の暴力規則に当たらない」との理屈を付けた回答をコーチ達に突き返し、修正を求めたようです。その後経営者は、経営陣、大学管理者、関係者を招集し、何と独自の裁定手法により若い優秀なコーチをスケープゴートに仕立て監督を擁護したのだそうです。これは、指導者の暴力のみならず、大学法人経営者、管理者による暴力(パワハラ行為に当たる)による処理と関係者は判断したようだが、このような処罰を経営陣、大学管理者達も誰一人経営者を諭す者は居なかったようです。

この若いコーチの一人は、報告内容は事実に基づいたもので、修正の必要は無いとして、学期途中早々に自らの意思、意志で退任し自身の信念と筋を曲げなかったようです。現在は六大学の某大学に迎えられ監督に就任しています。自らの正義を貫き一貫した言動、態度、決断した姿は、大学の事務局、法人事務局職員、管理者、経営陣には、どのように映ったのでしょうか。

年若くしてもこのような立派な言動、態度、決断ができる若手指導者には、学生選手達から多くの信頼と共感を得ていた証でもあり、貴重な人材を失われた思いが致します

大学経営陣、管理者達は、何時まで経っても変革できないこの事態を何と考えるのか、できないのであれば早く城を明け渡して、できる学内外に居る優秀な若手卒業生、優秀な専門家達にバトンタッチをされてはいかがですか。それにより、この乱れた体育、スポーツ界の秩序と教育界の襟が正せると確信します

しかし、このような暴力癖を持った指導者、教員は、再三再四部員の心身に暴力を与え、癖では済まされない犯罪行為を誰もが制止しない状態である事は,誠に教育機関とは程遠い環境のようです。それは、常に強い後ろ盾が擁護してくれているという思いもあったのかも知れません

機能しない教育機関の人的・構造的問題に犠牲となる若者達

本件の結末は、既に読者の皆様もマスメデイアの報道を通してご承知かもしれませんが、次なる暴力をふるった後、内部告発により公にさらされた次第です。大学経営者、管理者は、この度は内部告発なのでスケープゴートの擁立も証拠隠滅もできず、監督を解任せざるを得なかったという誠にお粗末極まりない姿を露呈しています。

大学経営者、管理者達は、外部への内部告発には隠蔽の術も無かったようです。しかし、既に非教育的な行為を受けた多くの学生選手、これに関わって退部した多くの学生選手達、優秀な若手指導者は、被害者以外の何物でもありませんでした。これらの事実を見て観ぬふりしていた教員、職員、経営陣達は、全く同罪に等しいと思われますが、読者の皆様は開いた口が閉じられないのでないでしょうか。OB、OGとして評議員、理事に加わる関係者、現教職員は、母校の経営陣としての義務と使命をどう果たされているのでしょうか。その推薦、任命権者は、何方なのでしょうか

最終的に本暴力指導者は、その責任を認めているか否かはいまだ明らかにされず、闇の中です。しかし、本教員、指導者を採用した責任者は、その責任を取らない姿勢こそが問われてしかるべきではないのでしょうか。学生選手達、若い指導者に取ってこの上ないアンフェア―なスポーツ・アドミニストレイションが大学教育機関の中で行われている実態の1例です。暴力癖のある教員・教師、指導者は、採用、雇用側にも大きな責任があることを読者の皆さんに理解して頂く為、筆者は本学卒業生の一人として恥を忍んで紹介させて頂いた次第です。

このような環境と経営、管理者の下で指導、育成されている未来の体育教師の中には、立派に教員、指導者として社会で活躍されている方々も沢山居ます。

暴力癖を持った教員、指導者達が後を絶たないのは、このように教育者、指導者を育成、養成する大学教育機関で、大学の経営者、指導者、管理者達が暴力容認と受け取れる運営、管理を改めることもなく、ただ卒業容認と同時に教員資格が与えられる現行のシステムに疑問を覚えます。

■学校体育、部活から暴力を無くすためには、体育教師、スポーツ指導者を育成、養成する大学機関に於いて、暴力を無くする指導と教育が先決であると確信いたします

嘗て、日本体育大学・学長自ら朝日新聞社の取材に対して、「本学に於いては、年間700件の暴力事件が起きてる事を認めたうえで、本学は、暴力絶滅宣言を致します」と宣言した直後、このような陰湿な事件の隠蔽、内部告発とこれでは、経営者、管理者のスポーツ・アドミニストレイションなど存在せず、既に壊れてしまった大学教育機関を露呈した証であると思わざるを得ない次第です。

朝日新聞朝刊を通して宣言宣誓した大学長は、この駅伝監督の後始末もできず責任も取らず教育者、経営、管理者としてのみならず、人としてのモラルも疑わざるを得ないのは筆者だけでしょうか。

このような状態化なった教育機関は、大学の指導者、管理者、経営陣の人心一新をドラステイックに遂行し、未来の体育教員、スポーツ指導者と暴力との関係を断ち切るための変革が今問われているのではないでしょうか。悪しき伝統とは縁を切り、良き伝統は継承し再び日本の体育界、スポーツ界で光を取り戻して欲しいと期待しております

しかし、経営陣、大学管理者の先頭に立つ理事長は、文科省の元文科副大臣、大臣で公益財団法人日本レスリング協会の副会長でJOC評議員でもあります。このような高名な方であられるので、国の教育機関の統括管理を担う文科省スポーツ庁は見て観ぬふりをしているようです。先だっても馳浩氏(元文科大臣で元日体大理事、東京五輪新理事、同じく日本レスリング協会副会長)が10代女子にセクハラ行為をして安部首相が国政で「謝罪」しましたが、自ら責任を取らないようでは、この国の教育に対する信頼を取り戻せるのか。ましてや教育現場での暴力教員、指導者に何を見習わせるのでしょうか。残念ながら、彼らには、自浄能力は皆無のようです。よって、毎年700件もの暴力が絶えないのも理解せざるを得ません。

日本体育大学は、筆者の国内大学の母校の1つであります。何としても体育・スポーツ、競技ポーツに於けるスポーツ医科学者、教育者、指導者として国民、社会からリスペクトされるスポーツ・アドミニストレイションを基軸とした真の質実剛健な大学教育機関で在ってほしいと卒業生の一人として心より祈念する次第です。

X顧問がどちらの大学に在籍し、体育教員資格を取得されたのかは存じ上げません。

筆者のA生徒への私見

A生徒は、報告書の通り誠実で正直で心優しい人物であったと理解致します

筆者は、スポーツ・アドミニストレイターの視点で述べさせて頂きますと、A生徒は、幼いころから身長がずば抜けて高い事から回りがスポーツ、競技スポーツ選手にと強い期待の視線を向けられたことがこの度の悲劇を招く起因の一つにもなった様に思われます。実際に彼のパフォーマンス、練習、等を拝見した事はありません。しかし、本報告書から鑑みますと本人自身が競技に於いて他の優秀な選手と比較して、自身は身長では優位(当時197cm)だが身体能力に於いてはコンプレックスさえ抱いていた事が強く伺えます

我が国では、身長の高い生徒、学生は、物理的に非常に目立つ存在です。しかし、その中の多くは、競技選手に必要不可欠である敏捷性(Agility)、パワー(スピードX力)、判断力、等が備わっていない事が多々あることを指導者、関係者は理解、認識していたのかどうか疑問に感じる次第です。指導者達は、身長がずば抜けて高いとずば抜けたアドバンテージがあると誤認していたのかも知れません。このことがA生徒には、大変負担が山積していったように思えてならなのです。読者には、部活の現場を経験された方なら、筆者のこの視点をよく理解されるのでないでしょうか。

A生徒にとっての悲劇は、岩手県不来方高校に入学したが為にX顧問に出会ったことでないかと思われます。そこで、他の生徒と比べて余りにも目立つ存在であったのでターゲットにされ、他の選手達への見せしめにされた可能性も否めません。そして、もう一つの悲劇は、A生徒の優しい心と他人を思う気配りが、自らの意思、意志を貫くために「NO」が表現できなかった事でした

A生徒が本校に入学してきたことに対する責任は、生徒にあるはずもなく、問題はX顧問のような教員、指導者を採用した学校管理者、県教育委員会の問題であると思いますが如何でしょうかしかし、興味を失ったバレーボール競技選手を略強制的に部活に参加させた指導者及びその関係者の意図が何に起因しているのか、テイームを勝たせんがための目的を部活動に設定したのは誰かについての重要なポイントが本調査報告書に見当たらない事が気がかりです

重要な原点と謎

重要なポイントを再度指摘致しますと「高校に於ける部活動の趣旨、目的は何なのか。部活に於ける顧問とは、何を職責、職務としているのか」の原点を今日誰もが問題視しない所が重大な謎となっている事ですこれらは、重大な教育、指導の原点であり、誰もが明言明文化しようとしない「ブラックボックス」であるにも関わらず教育機関の最高責任者(文科省スポーツ庁、県教育長、学校長、等)が触れようとしてこなかった事実です。この事件からも、関係者は、責任の所在を明確化することを恐れて触れてはならない管理者達の共通のマントラの蓋なのかもしれません。こんな事が我が国の教育界に今なおまかり通っていること事態スポーツ・アドミニストレーション、アドミニストレイターのレベルと資質が問われているのではないのでしょうか。また、次のテーマになる大学へのスポーツ推薦入学とA生徒の自死との関連は、実際どうであったのかの調査、分析が今一つ報告書に明記されていない様に思えてなりませんが、本当はどうであったのでしょうか。本テーマに付きましては、次回詳しくご紹介できればと思いす。

まとめ

筆者は、このような毎度痛ましい事件が起きるその背景には誰もが指摘しない重要な問題を我が国の教育機関、関係者が改善、改革出来ないで今なお抱えていることだと思います。それは、このような教育者を名乗る暴力教師、教員、指導者顧問が後を絶たない最大の原因が解決、根絶できていないことにあるという事です。

その一つは、このような資質の教員、指導者に安易に所属大学が教員資格を与えていることです。そして、その大学の多くは、部活中心の教育システムを最優先し部活に所属することで安易に卒業単位に加味していることです。将来体育教員、教師を目指す学生達が4年間部活中心となることにより偏った人間形成、他の専門科目、教育、教養が疎かになりアンバランスな教員、指導者を養成している現実があることです。

二つ目は、安易に教員、指導者資格を得たこのような教員、指導者が、各都道府県市町村の採用試験を何らかの方法で潜り抜けて採用、雇用される事にこのような暴力教員、指導者が事件、事故を起こしていることを管理者達は責任を共有出来ていないことです。また、採用前の学生時代に事件、事故を起こしたか否かを内申書に明記させることを義務付け精査する必要があります。採用後に事件、事故を起こした教員、指導者への対処は、厳正であるべきです。この度の事件もこれら二つの重要項目を慎重に精査していれば未然にリスクを回避できた可能性大です。

本件の第三者委員会調査報告書には、結論として「どうすれば暴力指導を防ぎ、無くすことができるか」の指針及び提言が明快に述べられていないのが特徴だと思います

それは、本委員会と県教育委員会の間での本件に関しての調査報告の依頼に関して双方暗黙の趣旨、目的の合意形成がなされていると理解します。本来、第三者委員会なるは、何の法的な判断、裁定権限を付与された機関でありませんので関係した関係者への事情聴取を行い、それをまとめて報告書として依頼者に提出する事が限界であると思います。マスメデイアは、本事件の真相と問題を明快に報道できないのでしょうか。或いは、文科省スポーツ庁への忖度からか報道させてもらえない何かがあるのかも知れません。もっと勇気を持って今日の教育界、スポーツ界の矛盾と不道徳の浄化に使命感を持って協力して頂きたいと切にお願い致します。本来マスメデイアは、正義の味方のはずです。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the Sports)

お知らせ

読者の皆様は、どのような読後感を持たれましたでしょうか。筆者は、マスメデイアが触れようとしない本質的な部分を分かりやすく解説させて頂きましたが、理解して頂けましたでしょうか。NO.141は、事例を引用しましたので容量が多くなりました。前回お約束の「スポーツ推薦制度」の弊害に付きましては、次回予定いたしております。